日本リート投資法人 2024年12月期決算概要

日本リート投資法人
2024年12月期(第25期)決算動画説明書
○動画  https://www.video-streaming.net/ir/3296/2024_12_25/
○説明資料
https://www.nippon-reit.com/file/term_errata_list-241070a3b3b0d5b22722d0b786e9b97db541961f.pdf
○説明者 日本リート投資法人 執行役員 兼
     SBIリートアドバイザーズ株式会社 代表取締役社長 岩佐 泰志
○説明
日本リート投資法人の2024年12月期(第25期)の決算説明動画をご視聴頂き誠に有難うございます。これより2024年12月期の決算について説明させて頂きます。今回は、先ず長らく投資口価格が低迷している茲許の厳しい状況下、当リートは第25期から本格的に着手した新たな成長戦略と、今後の展開について説明させて頂きます。

3頁をご覧ください。当リートは第25期から、資産の入替によるポートフォリオの強靭化に取り組んでいます。築古・低成長の物件中心の売却は、第27期までに予定されているものまで含めると6 物件、299億円になります。これらの売却から得られる売却益は59億円になり、第27期までにこのうち16億円を投資主に還元させて頂く予定です。尚、第26期以降も物件売却は継続していきますが、ヒアリングの結果として現時点では500億円ほどの物件が候補に上がっています。一方で物件の取得につきましては、インフレ耐性を意識した高成長が期待できる築浅物件を中心に取り組んでおります。

下段のフローをご覧ください。右から順に、新たに取得する築浅物件の高い内部成長があり、築浅物件が増えることで創出されたフリーキャッシュを、既存物件の戦略的バリューアップに使い、内部成長を加速させ、この循環によって当リートのNOIを確実に成長させていきます。加えて、物件売却によって売却益の分配と、自己投資口の取得による投資主還元を継続していきます。これが今、当リートにできる最善の投資主価値向上に向けた取り組みであると認識しております。

4頁をご覧ください。バランスシートマネジメントという観点で、投資主価値向上のための諸施策を整理しております。資産サイドから順に説明申し上げますと、継続的な資産の入替、それによってポートフォリオの質の量化を図りつつ売却益を創出していきます。これによって内部成長を加速するわけですが、その中身はレントギャップの解消とインフレ耐性物件の貢献、それに加えて戦略的バリューアップ投資になります。負債サイドは、先ずはデットコストの上昇を抑制すべく、借入年限や固定金利比率をコントロールしつつ、AA格を生かした投資法人債での調達も検討します。最後に資本サイドに関しては、物件売却により調達された資金の活用方法として、市場環境と投資口価格を見極めながら、自己投資口の取得を機動的に実施ということになります。分配金の維持・成長については、次の頁で説明致します。

5頁をご覧ください。今後の分配方針とその見通しです。第27期までは既に予定されている物件売却による売却益がDPUを押し上げることで、ご覧のような予想になっていますが、 第28期以降も基本的にこの方針を継続して、2,250円を超えるDPUを作っていきたいと考えております。一方で、冒頭の頁で説明しましたように、ポートフォリオの強靭化を進めることでNOIを力強く成長させ、3年から5年以内にはEPUベースで2,250円を達成することを目標とします。その目標達成のための重点施策を右側に纏めました。

オフィスのテナント入替と契約更新時の期毎の平均賃料増減率の目標を+5%以上に設定します。その成長を支えるエンジニアリングマネジメントでは、築浅物件の取得によって創出されたフリーキャッシュも活用して、年間50百万円のNOI向上を目指していきます。投資主還元策に関しては、平均で26.7%ある含み益を効果的に使いながら実施していきます。

7頁をご覧ください。第25期の決算ハイライトです。業績は記載の通りで、一口当たり分配金は、昨年8月の決算発表時に公表した、予想対比1,007円アップの9,972円での着地となりました。これは売却益の分配と、自己投資口の取得による投資主還元の成果になります。先ず内部成長の実績ですが、全体の稼働率は97.7%と、前期から引き続き高稼働を維持できました。続いて第25期における月額賃料増減額の実績ですが、オフィスと住宅の契約更新とテナント入替を合わせて、ネットで月額702万円、年換算しますと8,424万円の増額となりました。

後ほど改めて説明しますが、増額の内訳としましては、オフィスについては5期連続のプラスで、ネットで月額604万円、住宅が月額98万円のプラスとなり、トータルで、一口当たり分配金換算23円の増額に貢献することになります。又、もう1つの内部成長の源泉である、エンジニアリングマネジメントによるNOI向上見込み額は、年換算で1,596万円、同じく一口当たり分配金換算4円の増額に貢献することになります。外部成長については、当期中の資産入替としては5物件の売却のみでしたので、期末の資産規模は105物件、2,506億円、前期対比68億円の減少となりました。

尚、売却益は11億円で、そのうち6.6億円を分配させて頂きました。又、第26期と第27期の2回に分けて、FORECAST新宿SOUTH200億円の売却と、浦和ガーデンビルとFORECAST品川@LABOの合計202億円の取得が予定されておりますが、これらを含む資産の入替を実施する方向で検討を進めているところです。財務に関する報告としては、当期においてJCR の格付けがAAマイナスに格上げになったこと、そして発行済み投資口総数の1.7% について自己投資口の取得・消却を行ったことが挙げられます。

ESGに関しては、第25期末では 環境認証取得床のポートフォリオ全体に占める割合が52.1%と、前期末比で1.4%増えております。そして下段の第26期、第27期の業績予想ですが、第26期の一口当たり予想分配金は2,288円で、これは昨年11月26日の予想対比では+18円の上方修正となります。第26期は、第25期の物件売却によって資産が減った分賃貸事業収入が減少しますが、FORECAST新宿SOUTHの50%持分の売却益が加わった分配金の予想になっております。第27期については、予想分配金は2,324円で、第26期との対比ではトップラインの賃貸事業収入はほとんど変わらず、同じくFORECAST新宿SOUTHの残りの50% 持分の売却益が計上された予想になっております。

8頁をご覧ください。決算の実績と業績予想について要点を申し上げます。詳細については、後半の29頁から31頁に掲載しておりますので後ほどご確認ください。先ず、第25期の実績です。当期純利益は4,887百万円となりました。前期(第24期)実績との比較、即ち、C-A においては114百万円の増加となりました。右側に主な変動要因を記載しています。第25期は、第24期との比較では、トップラインに関しては物件の入替要因のマイナスを既存物件、主にオフィスの賃料稼働率の上昇がカバーして、賃貸事業収入が56百万円減少でとどまりました。

前期との差異を簡潔に纏めますと、物件の売却益と売却損で約1億円のプラスになり、そこに期ずれ要因である修繕費やリーシング費用の減少でプラスが増え、そこから金利上昇分のマイナスを減じて、最終的に114百万円の増益という着地になります。又、昨年8月に公表した予想対比、即ち、C-B においては415百万円の増加となりました。右側で説明しますが、変動要因は予算外で物件を売却したことにつきます。物件の売却益と売却損を通算すると、424百万円のプラスが残ります。尚、賃貸事業収入については、予算外の物件売却によって減った分の一部を、想定より稼働が良かった住宅の賃料収入がカバーして、34百万円マイナスの着地になっています。

9頁をご覧ください。第26期と第27期の業績予想について説明申し上げます。第26期の当期純利益は5,946百万円を予想します。第25期実績との比較、即ちB-Aでは、当期純利益が1,058百万円の増加となります。右側で主な変動要因を説明します。第26期については、第25期との比較では大規模な資産の入替の影響が大きく、FORECAST新宿SOUTHの50%持分の売却益の発生と、前期対比で売却損がなくなる分の合計で+1,235百万円になります。そこから主に物件の売買要因で減少する賃貸事業収入151百万円を差引くと、前期比1,058百万円増に着地します。

続いて第27期の当期純利益は6,030百万円を予想します。第26期予想との比較、即ちC-Bでは当期純利益が57百万円の増加となります。第27期は。第26期に続いてFORECAST新宿SOUTHの残りの50%の売却益が出ますが、変動要因という意味では優位な金額にはなりません。又、賃貸事業収入については売買要因で微減しますが、修繕費の減少や新宿SOUTHの支払地代がなくなることを考慮すると、つまりNOIレベルでは150百万円ほどのプラスになり、そこから築浅の物件を取得したことによる減価償却費の増加分や、支払利息等の増加分を減じて前期比 57百万円増の着地になります。

10頁をご覧ください。投資主価値である一口当たり分配金とNAVの推移です。赤い折れ線グラフが一口当たりNAVですが、前期比1.33%増の434,669円となりました。要因としては、鑑定評価においてキャップレートは横這いが殆どですが、収入増で評価された物件が複数あったことが挙げられます。一方棒グラフで示している一口当たり分配金については、第25期の実績が9,972円、うち売却益の分配が1,507円で、第26期と第27夫々FORECAST新宿SOUTHの50%持分の売却益を含んだDPUとして、共に2,250円を超える予想になっております。第28期以降につきましても資産の入替を継続し、高水準の DPUを実現していきたいと考えています。

続いて16頁をご覧ください。第25期に実施、又は決議した資産の入替について説明します。当期にはオフィス2物件と住宅3物件を売却し、第26期と第27期に分けて、FORECAST新宿SOUTHから、浦和ガーデンビルとFORECAST品川@LABOへの入替を実施します。この一連の売却によって、下段に記載のように、投資主還元として売却益の分配と自己投資口取得による高水準のDPUを実現します。又、この頁に記載した資産の入替が完了した段階のポートフォリオの平均築年数は、第24期初のポートフォリオと比較して約3年も若返ることになります。

17頁をご覧ください。ポートフォリオの再構築への取り組みの説明です。当リートでは、環境認識における主なキーワードとして、需要サイドにおける人口の都市部集中、インバウンド、供給サイドにおける建築費高騰、新規供給制約、これらにより恩恵を受ける、又は需給が改善するアセットに注目しています。その結果、注力するアセットとして、既存物件の競争力が向上すると思われる築浅・中規模オフィス、高まる賃貸ニーズの受け皿となる都市部の住宅、インフレ耐性の高いホテル、そして今後一層ニーズが高まる都心近接のR&D施設などへの取り組みを進めています。現時点では、SBIグループの総合力を生かしたソーシングやブリッジサポートも活用しつつ、築浅物件を中心に約430億円のパイプラインが積み上がっています。

続いて運用状況についてご説明します。18頁をご覧ください。先ず、稼働率とフリー レント期間です。右側上段のオフィスの契約稼働率と賃料稼働率ですが、第26期の後半にテナントの退去が重なり若干稼働率が下がりますが、その後、又持ち直す見通しになっています。右側下段に示しています空室期間とフリーレント期間ですが、今回の資料から空室期間の計上方法を変更しました。第24期までは成約した日が属する期に空室だった期間を一括して計上していましたが、第25期からはその期に実際に空室だった期間のみを都度計上することにしました。つまり1期あたりは6ヶ月が上限になります。第25期については 空室期間は2.6ヶ月、フリーレントは1.8ヶ月となり引き続き オフィス 賃貸市場の堅調さを表した結果になっています。

19頁をご覧ください。オフィステナントの入退去状況です。左下のグラフはオフィスの退去率の推移です。第26期の2.3%はほぼ確定値ですが、第27期は予算作成上のストレスロジックが効いてきますので、3.9%と若干高めの数字になっています。そしてこの入退去のタイミングにおけるオフィス賃料の上限については、右側上段に示していますように、第23期から第25期にかけては、現状の賃貸マーケットの好調さを表して着実に増額でのテナント入替ができています。当期はネットで3,217千円の増額を達成する結果となりました。増減率が14.4%と高かった理由としては、FORECAST高田馬場で入替時に賃料が40%も上昇、それ以外でも20%以上上昇した物件が複数あったことが挙げられます。又、下段に入退去の理由を示していますが、拡張移転や新規開設も多く、オフィスの賃貸マーケットが上向いていることを引き続き感じさせる調査結果であると捉えております。

20頁をご覧ください。オフィスにおける賃料増額改定の実績です。左側のグラフは直近5期の賃料改定による月額賃料の上限の推移です。第25期には広く、順調に増額交渉を進めることができ、全部で39件のテナントに対して、合計で2,938千円の増額を達成することができました。1件だけ減額改定したテナントがいましたが、これはリードシー目黒不動前のシェアオフィスの価格が売上連動の賃料を採用しており、賃料改定のタイミングで減額になったという特殊要因です。それをネットして2,825千円の増額になります。尚、1.4%は、契約更新を迎えたテナント全体に対する上限率であり、今回から定義を変更しました。そして右側上段の円グラフは賃料増額交渉の結果ですが、④の濃いグレーが今回交渉を見送った面積になります。交渉対象外となった床のうち、34%はまだマーケット賃料より現行賃料が低いテナントですので、それらを含め次回以降の交渉となります。

21頁をご覧ください。オフィスにおける賃料増減額の合計とレントギャップです。左側上段のグラフは、19頁のテナント入替と20頁の契約更新、夫々における月額賃料の増減額の合計とその上限率を示しています。第25期は合わせて6,042千円の増額、増減率は2.75%と、5期連続でプラスとなりました。尚、冒頭でご説明しましたポートフォリオの強靭化によって、この増減率を5%に上げていきます。そして右側上段のグラフで示していますレントギャップですが、第25期末における当リートのオフィスの平均坪単価は、赤い棒グラフの16,867円であるのに対して、実際の成約賃料などをもとに集計したマーケット賃料は、一番右端の濃いグレーの棒グラフの坪当たり17,731円ですので、レントギャップは-4.87%となります。好調なマーケット環境を反映してレントギャップは前期からも拡大傾向にあり、このギャップを解消させていくことで、これまで以上の賃料増額を勝ち取っていけるものと考えております。尚、薄いグレーの棒グラフは、マーケットレポートに記載された賃料であり、当リートの保有物件の実力値と比較すると、保守的な数値になっております。

22頁をご覧ください。住宅のテナント入退去状況および稼働率です。左側のグラフが住宅における入退去面積です。右側上段がエリア別の稼働率ですが、名古屋エリアを除いて安定して高稼働を保っています。名古屋エリアに関しては、エリア全体の需給の緩みが完全には回復していない環境下、複数の物件で、夫々個別の事情で一時的に稼働が落ちている状況ですので、引き続きリースアップに注力していくことになります。右側下段はルームタイプ別の稼働率ですが、需給が逼迫しているファミリータイプを筆頭に、全タイプで好調が継続していますが、コンパクトタイプの稼働率が少し低くなっているは、当リートのコンパクトタイプの物件における、名古屋エリアの物件の比率が高いことが影響しています。

23頁をご覧ください。住宅の賃料増額改定の実績です。左側上段のグラフは、住宅のテナント入替時の月額賃料の上限額の実績です。今期は前期と比較して入替件数が少なかったため、増額金額が減少しておりますが、増減率としては前期並みの水準で推移しております。主にタワーコート北品川を中心に、東京エリアの増額入替やリニューアル工事による増額が寄与しており、ネットで655千円の増額となりました。続いて右側のグラフは契約更新時の月額賃料の改定実績とその推移です。増額改定の合計は 393千円で、減額改定は1件63千円のマイナスですが、これは名古屋のマックミラージュ平安におけるマスターリス賃料の減額改定になります。これをネットして330千円の増額となり、左側の最下段でテナント入替と契約更新時の賃料上限額の合計を記載してありますが、トータル985千円の増額になっております。引き続き住宅においても賃料増額を追求し、内部成長を実現していきたいと考えています。

24頁をご覧ください。エンジニアリングマネジメントです。第25期におけるNOIの向上につながる施策の実績は、右側上段にある収益力の向上とコスト削減を合わせまして、年間1,596万円のNOI向上に繋がるバリューアップであり、記載の通り一口当たり分配金換算では、今後毎期約4円の増加に貢献する見込みです。第26期以降にも様々なバリューアップ施策が予定されており、テナント満足度の向上、賃料増額、コスト削減を実現してまいります。

続いて財務運営について説明します。25頁をご覧ください。左側上段は有利子負債の状況です。第25期末時点での有利子負債残高は132,620百万円、長期比率は100%、固定金利 比率は93.9%でした。左側下段はLTVの推移ですが、第25期末時点での総資産ベースのLTVは48.3%でした。引き続き45%から50%をコントロールレンジとして運営していきます。尚、時価ベースのLTVは38.8%でした。
26頁をご覧ください。左側上段は第25期に実行したリファイナンスの概要です。収益とコストのバランスを見ながら長期固定化を図っていくという基本方針のもと、期日が到来した合計9,850百万円のリファイナンスにおいては、変動金利の比重を高め、更に加重平均の借入期間を短期化することでトータルでの金利負担の増加を抑えています。右側上段にありますようにオールインコストは第25期末現在で1.12%です。

27頁をご覧ください。サステナビリティに関する取り組みです。当期は右側中段に記載の通、5物件で新たに環境認証を取得しております。これによって延床面積ベースの環境認証取得床の割合が52.1%となっております。環境認証を取った物件を売却することもありますが、今後50%以上を維持すべく入替で取得する築浅物件を中心に、既存物件においても設備更新を機に認証取得を促進していく方針です。今後も持続可能な社会の形成のため、当リートは引き続き必要な責任と役割を果たしてまいります。
私からのご説明は以上となります。今後につきましては SBIグループのサポートをより一層得えまして、引き続き規律ある運用を継続していくことで投資主価値の維持・向上を実現してまいる所存です。今後とも日本リート投資法人に対するご支援を賜りたく何卒よろしくお願い申し上げます。
ご清聴ありがとうございました。