グローバル・ワン不動産投資法人 2025年3月期決算概要
グローバル・ワン不動産投資法人
2025年3月期(第43期)決算動画説明書
○動画 https://www.video-streaming.net/ir/8958/43_2025_5/
○説明資料 https://ssl4.eir-parts.net/doc/8958/ir_material_for_fiscal_ym/179348/00.pdf
〇訂正資料 https://ssl4.eir-parts.net/doc/8958/ir_material_for_fiscal_ym/179348/01.pdf
○説明者 グローバル・アライアンス・リアルティ株式会社
代表取締役社長 山内 和紀
〇説明
2025年3月期(第43期)の決算説明動画をご視聴頂き有難うございます。資料に沿って第43期の決算の概要と、運用状況について説明させて頂きます。
決算説明資料の3頁をご覧ください。説明としましては、先ずⅠ.のはじめにで、直近の実績と中期成長戦略について説明致します。その後、Ⅱの決算、並びにⅢの運用状況の詳細を説明させて頂きます。
資料5頁をご覧下さい。先ず直近の実績について説明します。当期の分配金は、大手町、錦糸町、品川の売却益を還元し、前期比+1,307円の3,835円となりました。内部成長については、ポートフォリオ稼働率は前期比+2.7ポイントの98.9%に上昇し、5期連続の賃料増額を実現しました。外部成長では、品川の売却を決定し3月に引き渡しを完了したほか、明治安田生命を相手方とする、横浜と梅田の相互売買を決定しました。財務については、過去最大規模の自己投資口取得50億円を公表・実施したほか、デットコストの上昇を抑制するために、減額リファイナンスや借入年限の短期化を実施しました。こうした資本コストや投資口価格を意識した一連の取り組みが好感され、投資口価格は、東証REIT指数などのINDEX対比で大きくアウトパフォームしました。
次に現状の環境認識について説明します。6頁をご覧下さい。ご案内の通りインフレの進行や金利の上昇に伴う収益悪化懸念や、J-REIT投信からの資金流出による投資口の需給悪化のため、グローバル・ワンのみならず殆どのJ-REITの投資口価格は、一口当たりNAVを下回り、NAVディスカウントが常態化しています。又、オフィスビルの売買市場は、高値圏での取引が継続しているため、資本コストに見合う物件取得も困難な状況です。こうした中、オフィスの賃貸マーケットは、従業員エンゲイジメントの向上を目的とした移転、拡張の需要が増加する一方で、建設コストの上昇による計画見直しや、人手不足による工期遅延のため、新規ビル供給は減少する見込みです。そのため需給は逼迫し、賃料は上昇基調が継続しています。
次の頁では、こうした現状の環境認識を踏まえ、グローバル・ワンが持続的に成長していくために策定した、中期成長戦略について説明します。今回の中期成長戦略では、稼ぐ力の強化と将来成長期待の醸成、時期を捉えた適切なバランスシートコントロールに注力します。この2つの取り組みを通じて、物件の売却益を還元し、DPUを3,200円以上に維持するとともに、NOI年平均成長率3%以上を目指すことにより、巡航EPU2,400円以上の早期回復と更なる成長を実現します。
続いて中期目標を達成するための具体的な施策について、8頁で説明します。先ず、内部成長ですが、インフレや金利上昇に負けないポートフォリオを構築するために、テナント退去も辞さない賃料増額交渉を強力に推進します。これに伴い、退去やフリーレント付与等で、一時的に収益が悪化する場合は、横浜の売却益で積み上がっていく、内部留保を積極的に活用します。次に外部成長です。資産入替目的で譲渡した錦糸町と横浜の売却益は、投資主に還元し、売却物件よりも収益性の高い物件を取得していきます。
又、入替以外の物件取得は、売買マーケット、資本コスト、投資口価格を踏まえて、厳選投資に臨みます。尚、資産規模目標については、足元の資本市場の状況に鑑み、時間軸を意識し過ぎた物件取得は、投資主価値の向上に繋がらないとの考えから、目標時期の達成は、一旦撤回させて頂くこととし、当面は資産入替を軸にポートフォリオの収益性向上に努めます。最後に、財務・資本政策についてです。新規物件取得にかかる資金調達については、足元の市場環境を踏まえ、公募増資は様子見とし、物件売却資金やレバレッジを活用します。又、自己投資口取得については、現在も市場から買付を行っているところですが、今後も投資口価格の水準、Free-Cashの状況、他の施策との複合効果、インサイダー取引規制等を踏まえて、中長期的な視点で検討します。以上の内部成長、外部成長、財務・資本政策の各施策について、資産、負債、資本と連動させた、機動的なバランスシートコントロールを実施してまいります。
9頁をご覧下さい。中期成長戦略の期間中におけるキャピタル・アロケーションについてです。グローバル・ワンは、ポートフォリオの収益性向上を目的に、資産入替のための物件売却を先行させ、売却益については投資主へ還元し、残る簿価相当額を資金効率や資本効率の観点から、デットの削減や自己投資口の取得に充当してきました。現在、パイプラインの取得に備えて175億円を定期預金で運用していますが、今後、錦糸町や横浜の売却によって約350億円のCash-inが見込まれます。これらの資金を将来の成長期待に応え、収益力を強化するために、梅田やパイプライン2物件をはじめとする物件取得や、バリューアップ工事などの成長投資に優先的に充当し、そのうえで投資主還元策として自己投資口取得を実施します。
尚、実際の資金充当のプライオリティは、その時々の投資口価格の水準も考慮して機動的に判断します。
10頁は、中期成長戦略で掲げたDPUと巡航EPUの目標達成に向け、インフレや金利上昇によるコスト増を上回る成長を、どのような取組みにより実現していくのかを示しています。即ち、NOI年平均成長率3%以上を目指すために、内部成長で賃料増額による収益の底上げを図りながら、外部成長でブリッジ2物件と品川代替物件の取得を行うというものです。
11頁をお願いします。グローバル・ワンの定期借家契約に比率は、品川の売却と錦糸町の一部売却に伴い、当期(第43期)末時点で59%と、既に比較的高い割合となっています。定期借家契約は、マーケット賃料が上昇する局面においては、テナントとの賃料交渉を優位に進めることが可能となります。今後一連の資産入替の完了によって、第49期末時点で67%まで上昇する見込みであり、この定借比率の上昇が賃料増額、ひいては中期目標の達成を一層後押しするものと考えています。
続きましてⅡの決算です。
14頁をご覧下さい。当期決算の予想との対比です。当期(第43期)の分配金は、予想比+63円の3,835円となりました。右の表に増減益の要因を記載していますが、賃貸事業損益が予想比7百万円下振れした一方で、不動産等売却益が15百万円上振れしたため、営業利益は7百万円、DPU換算で7円のプラスとなりました。又、錦糸町において29百万円の一時的な増益要因があったほか、預金利息の増加により営業外収益が39百万円、DPU換算で39円上振れました。更に、当期中に取得した自己投資口4,522口を消却したため、これが分配金を17円押し上げました。
次の15頁は、前期(第42期)と比較をしています。当期は不動産等売却益が前期比1,340百万円上振れたことを主因として、営業収益は7,477百万円と前期比991百万円の増収、当期純利益は3,812百万円と996百万円の増益となりました。右側の表の賃貸事業損益をご覧下さい。当期は、大手町の譲渡割合が10%から5%に減少し、売却益が前期比減少しましたが、錦糸町の1回目の譲渡と品川の譲渡があったため、売却益全体では前期比1,340百万円の上振れとなりました。一方、横浜のパナソニックの退去影響や、物件売却による期中収益の減少等によって、トータルの賃貸事業損益は310百万円の減益となりました。利益連動の運用報酬の増加や、その他一般管理費の増加による減益要因もありましたが、不動産等売却益の1,340百万円の増益インパクトが大きいため、営業利益は959百万円の増益となりました。
16頁は第44期(2025年9月期)の業績予想です。今期は、営業収益8,027百万円、当期純利益4,527百万円と増収・増益を見込み、売却する錦糸町に紐付く内部留保13百万円を取り崩す一方で、横浜と梅田の入替取引で買替特例を適用することにより、42百万円の内部留保を行い、分配金は前期比291円プラスの4,126円を予想しています。尚、今期と来期の分配金予想には、現在実施中の自己投資口取得の消却は加味されていませんので、更なるアップサイド余地があることになります。右の表をご覧下さい。賃貸事業損益は、物件売却による期中収益の減少を主因として、賃料等収入が474百万円下振れますが、外部委託費の減少、水道光熱費収支の改善、減価償却費・公租公課の減少等による増益効果があるため、賃貸事業損益の減益幅は、199百万円に縮小する見込みです。一方、錦糸町の譲渡割合が40%から30%に減少し、売却益は前期比較でマイナスとなりますが、横浜に1回目の譲渡があるため、売却益全体では前期比1,035百万円上振れ、営業利益は前期比811百万円の増益を見込みます。
17頁は第45期(2026年3月期)の業績予想です。来期は営業収益7,130百万円、当期純利益3,759百万円と減収・減益を見込み、2回目の横浜の売却益のうち388百万円を内部留保し、分配金は第44期比737円マイナスの3,389円を計画しています。右の表をご覧下さい。賃貸事業損益は、テナント退去や錦糸町と横浜の売却によって賃料等収入が98百万円の減益となる一方で、外部委託費の減少、修繕費・減価償却費・公租公課の減少による増益要因があり、トータルでは25百万円のプラスを見込みます。又、利益連動の運用報酬の減少による増益要因がありますが、横浜の譲渡割合が25%から15%に減少するため、不動産等売却益は778百万円下振れ、営業利益は前期比706百万円の減益を見込みます。
続きまして資産の運用状況について説明します。
内部成長についてです。20頁の稼働の状況をご覧下さい。当期のポートフォリオ稼働率は、埋め戻しが進展し前期比2.7ポイントプラスの98.9%に上昇しました。
次に当期の空室の埋め戻しの状況とマーケットの大規模移転事例について説明します21頁の左側のグラフをご覧下さい。当期は、錦糸町、豊洲、横浜でリーシングが進展し、土佐堀以外ではテナント退去がなかったため、4,141m2の大幅な入居超になりました。右側の移転事例を見て頂きますと、グレードアップを目的とした移転事例が、大規模移転事例の過半を占めています。今後も構造的な人手不足が継続することが予想される中、人材の採用や繋ぎ止めを目的とした高いグレイドや、利便性を求める移転需要が高まっていくと考えています。
次に22頁のテナント入替と賃料改定による月額賃料変動についてです。当期のテナント入替は、マーケット賃料よりも高い賃料で入居をしていた横浜のパナソニックの後に、明治安田生命が入居した影響で、入替前後の増減率で-6.4%、月額賃料は2百万円の減額となりました。又、賃料改定は、館内増床取り込みのための戦略的な賃料減額の影響もあり、平均増減率で+1.5%、月額賃料で40万円の増加に留まり、テナント入替と賃料改定による契約ベースの月額賃料は、ネットで前期比150万円減少しました。
続いて23頁と24頁で賃料改定の状況について説明します。第43期の実績は、改定対象22件のうち増額7件、据置14件、減額1件で、平均増減率は1.5%のプラスとなりました。第44期は、改定対象74件に対し、4月末時点で増額39件、据置16件、減額2件、交渉中19件の状況で、平均増減率は+4.0%を予想し、6期連続で賃料増額を達成する見込みです。
次の24頁は、賃料改定の今後の見通しについてです。マーケット賃料は、東京と大阪の物件を中心に上昇し、現行賃料よりもマーケット賃料の方が高いネガティブレントギャップの割合が、前期の53.4%に対し当期は63.9%に増加しました。既にネガティブレントギャップの状況にある上野、横浜、名古屋、大阪、札幌の7物件に、当期は仙石山、さいたま、梅田の3物件が加わり、ポートフォリオ全体でも2.6%のネガティブレントギャップに転換しました。空室率の低下により賃料は上昇し、賃料増額交渉でも手応えを感じていますので、インフレや金利上昇分の賃料への転嫁を強く意識して、賃料増額交渉を強く進めてまいります。
25頁をご覧下さい。先ほど説明しました保有物件のマーケット賃料の状況は、こちらの頁でご確認頂けますが、賃料が上昇局面に入っていることが分かります。
27頁以降は外部成長について記載していますが、ここでは2月28日に公表した、スポンサーである明治安田生命を相手方とする相互売買について説明します。
28頁をご覧下さい。今回の相互売買は、グローバル・ワンが保有する横浜プラザビルを譲渡し、明治安田生命が保有する明治安田生命大阪梅田ビルの70%持分を取得するもので、資産規模の拡大と利回りの向上を実現します。売却する横浜は、需給が比較的安定した横浜駅周辺エリアに立地していますが、レントギャップは-3.8%と、収益のアップサイド余地が限定的です。一方取得する梅田は、再開発によって上昇してきたマーケット賃料に比べて低い賃料水準に留まっており、レントギャップは-20%以上もあるため、今後バリューアップ工事等の実施によって、賃料の上昇が十分に見込めるポテンシャルを有する物件です。
29頁後ご覧下さい。梅田のエリアや立地のポテンシャル、物件スペックについてご確認頂けます。
それでは30頁をお願いします。今回の資産入替は、築15.3年の横浜を売却して、築24.9年の梅田を取得するため、ポートフォリオの平均築年数は1.3年上昇しますが、バリューアップ工事等によって梅田の賃料増額が実現すれば、一層の利回りの向上が期待できます。又、横浜の譲渡は約81億円と多額の売却益が出るため、売却先である明治安田生命がクレジット面で全くの懸念がないことから、6期、3年に亘る売却を行い、売却益計上の平準化を図り、更に横浜の売却と同じタイミングで梅田を6分割で取得するため、6回の売却益全てにおいて長期保有資産の買替特例を適用し、一括売却よりも多くの金額を内部留保することを可能としました。
これより財務について説明します。31頁をご覧下さい。当期は物件売却資金を活用し、過去最大規模の自己投資口取得を公表・実施するとともに、借入金削減によるコスト削減のために減額リファイナンスを行うなど、効率的なCash-Managementに取り組んだ結果、当期末の簿価ベースLTVは44.4%まで低下し、簿価ベースLTV50%までの調達余力は、約480億円となりました。
32頁をご覧下さい。当期は返済期日を迎える借入金計75億円のうち、10億円は物件売却資金で返済し、残る65億円のリファイナンスは、借入期間を短くしてコストアップの抑制を図りました。上に記載のリファイナンス実績をご覧頂きますと、リファイナンス前とリファイナンス後の5年の利率を比較すると、ベースレート上昇の影響で1%以上コストが上昇しています。当面金利が低い時に調達したデットの返済が続くため、ベースレート上昇によるコストアップは避けられない状況ですが、効率的なCash-Managementや平均調達期間を意識しながら、返済期間の短縮によりコストアップの抑制に努めます。
33頁は内部留保についてです。内部留保は、大手町の売却を通じて43期末時点で1,368百万円、DPU換算で1,370円まで積み上がりました。今回の横浜と梅田の相互売買を通じて、最終的に50期までに35億円程度、DPU換算で3,500円程度まで積み上がる見込みです。こうして積み上がっていく内部留保は、積極的に賃料増額交渉に伴う一時的な収入減少等に活用し、インフレや金利上昇に負けないポートフォリオの構築に努めてまいります。
最後にESGへの取り組みについてです。当期に実施したESGへの取り組みについては、34頁に纏めておりますので、以降の頁と併せて後ほどご確認下さい。
私からの説明は以上とさせて頂きます。今後とも、グローバル・ワン不動産投資法人に対しまして、ご理解・ご支援の程を宜しくお願い申し上げます。
ご清聴有難うございました。