ジャパンリアルエステイト投資法人 2025年3月期決算概要
ジャパンリアルエステイト投資法人
2025年3月期(第47期)決算動画説明書&質疑応答
○動画
https://www.irwebcasting.com/20250516/6/3004a157d5/mov/main/index.html
○説明資料
https://www.j-re.co.jp/file/term-433add3acab40bedda11ed6af5a59f802371f648.pdf
〇質疑応答
https://www.j-re.co.jp/file/term-77631921dc4ad9b7e836bb4632b79d3f0356a202.pdf
○説明者 ジャパンリアルエステイトアセットマネジメント株式会社
代表取締役社長 井上 和幸
〇説明
ジャパンリアルエステイト投資法人の2025年3月期(第47期)決算について説明を致します。私は運用会社でありますジャパンリアルステートアセットマネジメントの井上です。前任の小島の後を受けまして4月1日に弊社の代表取締役社長に就任を致しました。どうぞ宜しくお願い致します。
それでは早速説明に入ってまいります。 先ず、3 頁をご覧ください。 はじめに当期の決算のハイライトについて、今後の見通しを含めて説明を致します。それでは入居率からです。左側の折れ線グラフをご覧ください。当期末の入居率は、前期から1.1 ポイントアップの97.6%となりました。好調な賃貸マーケットを反映してリーシングは順調に進んでおり、入居率を大きく上昇させることができました。今期は新宿イーストサイドスクエアの大口解約が控えておりますが、その後のリーシングも非常に順調で、26年3月期末までには後貸しが全て完了します。
又、それ以外の物件のリーシングも進捗しておりますので、98%台を捉える水準まで上昇する見通しです。次にEPUについての説明です。23年9月期から続く上昇基調は、今期である25年9月期にかけてもしっかりと継続しています。入居率上昇や賃料改定による賃料収入の増加、修繕費をはじめとした費用のコントロールによって、収入の増加がインフレによるコストの増加を上回って成長しています。一方で、翌期である26年3月期のEPUは前期に比べて低下します。これは先ほど説明しました新宿イーストのテナント入替に伴う、フリーレント等によるダウンタイムの影響です。
全ての後貸しが確定しているため、その賃料収入が通期で発生した場合のEPU寄与を、右上の小さな棒グラフで示しています。26年9月期中に全てのフリーレントが解消しますので、27年3月期以降はこの通期寄与分が計上されることになります。後ほども詳しく説明致しますが、今回のテナント入れ替えによって賃料収入が2割ほどアップしますので、EPUの底上げに貢献する取り組みになったと考えています。次に右側の賃料改定の状況です。前期に続き当期も増額改定を大きく伸ばすことができました。詳細については後ほど説明致します。
続きまして4頁をご覧ください。前期から当期にかけての一口当たり分配金の増減要因を、主に棒グラフの緑で示したEPUに焦点を当てて説明致します。一言で申し上げますと、真ん中中断に示している通り、既存物件の内部成長が費用の増加分を大きく上回り、EPUを成長させることができました。内部成長では、前期の高賃料での新規貸付の通期寄与や、その他物件でのフリーレント終了に伴う賃料発生によって、賃料収入を大きく伸ばしました。一方外部成長では、堂島タワーの2回目の売却による賃貸利益の剥落により、18円のマイナスです。財務関連では、主に支払い利息の増加により16円のマイナスです。これらトータルで、EPUは、前期比+37円の1,955円 と大きく上昇させることができました。そして当期の一口当たり分配金DPUについてです。当期は、堂島タワーの2回目の売却によって65億円の売却益を計上し、ここから圧縮限度額まで内部留保した上で、その残額である 532円を投資家への還元に充てます。これにより、当期のDPUは2,487円となりました。
次に5頁をご覧ください。予想2期の分配金見通しになります。先ず、当期から今期にかけてのEPUの増減です。賃料共益費では新宿イーストの大口解約というマイナス要因がありますが、その他の既存物件の賃料収入がそのマイナスを打ち消す以上に伸びることから、+21円を見込んでいます。又、今期は、原状回復費相当額などの一時的な収入が、多めに計上される見込みです。財務その他では、金利上昇のほか、コモレ四谷取得に伴う新規借入れによる支払利息の増加を見込んでいます。差し引きで、今期のEPUは当期比で+31円の1,986円となる見込みです。続いて今期から翌期にかけてのEPU増減です。
新宿イーストの大口解約のマイナス影響が効いてきますが、その他の物件の賃料収入の増加がそのマイナスを打ち消して、40円のプラスを見込みます。又、今期の一時的な収入の反動減の影響が大きいですが、水道光熱費などの費用の減少もあり、内部成長では22円のプラスを見込んでいます。外部成長では、赤坂パークビルの2回目の売却などによる賃貸利益の減少によって、44円のマイナスです。当期から翌期にかけて纏めますと、既存ビルの賃料収入は順調に伸びている一方、新宿イーストのマイナス影響や一時的な収入の反動減により、一時的にEPUは低下します。
一方で26年9月期以降は、新宿イーストの後貸しの賃料収入の寄与が大きくなってきますので、順調にEPUを推移させることができると考えています。次に一口当たり分配金DPUです。今期と翌期の棒グラフ、グレーの部分をご覧ください。赤坂パークビルの1回目と2回目の売却益を全額配当に充て、その上で内部留保の取り崩しを上乗せします。その結果、今期は2,511円、翌期は2,536円を見込んでいます。尚、今後の分配戦略については後ほど説明を致します。
次に6頁をご覧ください。我々の考える、投資主価値の持続的成長に向けた運用戦略についてです。投資主価値の本質は、リートが生み出すCash-Flowですから、価値向上のドライバーは、DPUとそのベースとなるEPUの持続的な成長への期待だと考えています。そしてDPU、EPUの持続的成長を実現するための大きな柱は、ポートフォリオの中長期的な競争力です。我々としてはインフレを上回る成長を続けるため、ポートフォリオのクオリティと競争力というJRE の持つ競争優位性を最大限に活かし、NOIの成長を図ってまいります。
又、オフィス需要の上位グレードへのシフトが進む中で、ポートフォリオのクオリティを高めていくことがますます重要になっていますので、今まで以上にクオリティの高い物件の取得を念頭に置き、資産入替を進めます。そして、資産入替に伴い、顕在化する売却益は投資主へ還元していく方針です。
次に7頁をご覧ください。今説明しましたDPU、EPUの持続的成長の具体的な成長目標と、それを達成するための戦略についてです。前回の決算説明の場では、EPUの水準を着実に上昇させDPUとEPUの乖離幅を縮小させること、そしてその乖離幅が目標通り縮小する目処がつけばDPU水準も切り上げていくこと、主にこの2点をお伝えしたと思います。それ以降今日に至るまでの間には、賃貸マーケットは更に力強さを増し、投資主の皆様のDPU成長に対する期待は高まっていると感じています。
こうした環境の変化に対応して収益見通しを見直し、より積極的で明確な目標として、中長期的にEPUを年平均3%、DPUを年平均2%成長させることを目指します。頁右側は、目標を達成するための取り組みを記載しています。先ず、下段のEPU3%成長についてです。良好な賃貸マーケットも追い風にして、入居率は、26年3月期末想定の98%からの更なる引き上げを目指します。同時に賃料ギャップが拡大しているこの局面を捉えて、賃料増額改定の一層の推進を図ります。又、資産入替戦略の一環として、3月26日にコモレ四谷を新規取得し、併せて赤坂パークビルの6分割売却を決定し、4月1日に1回目の売却が完了しています。今後も競争力の向上が期待できる優良物件を取得し、その一方で収益性の低下が懸念される物件を売却することで、ポートフォリオのクオリティと競争力を向上させてまいります。
次にDPU2%成長についてです。現在EPUとDPUの乖離は2割ほどありますが、このギャップは資産入替の過程で生み出される、売却益や内部留保を活用することで埋めていく予定です。赤坂パークビルの売却により総額 233億円の売却益は、向こう6期に亘って全額を投資主に還元する予定です。これによりDPU2%成長を下支えすることができます。そしてEPUとDPUの成長を目指すと同時に、この乖離幅の縮小も目指していきます。
続いて9頁をご覧ください。内部成長についてです。先ず、入居率の推移ですが、冒頭申し上げた通り、26年3月期にかけて98%を捉える水準まで上昇する見通しです。全国的にリーシングが進んでいる状況が反映されたものですが、ここではリーシングが特に進捗した主な物件を右側に記載しています。先ず新宿イーストサイドスクエアです。冒頭、退去スペースの全ての埋め戻しが完了したと申し上げました。館内テナントの借り増しと新規テナントへの貸付を合わせた複数の契約によって、今期中に約1,000坪、来期中に約2,000坪の埋め戻しが確定済みです。
そして27年3月期以降は、新たな契約の賃料収入がフルに発生する予定です。この通期寄与ベースで解約した契約と新たな契約を比較した場合、賃料収入は2割ほど上昇します。退去スペースを早期に埋め戻すことと、賃貸条件の両方に拘りながら、更にマルチテナント化も図ることができました。下段は、みなとみらいのMMパークビルです。過去に纏まった面積の解約が複数発生し、入居率が80%台に低下しておりましたが、館内テナントの借り増しニーズや外部の移転ニーズを確実に捉え、当期末時点で97.1%と大きく埋め戻すことができました。来期にも館内テナントの増床が内定しており、それによりほぼ満室稼働となる見込みです。
次に10頁、賃料改定です。左上のグラフをご覧ください。当期も前期同様、月額賃料ベースで増額改定が減額改定後大きく上回っており増額基調です。右上のグラフは、各期に契約公開を迎えたテナントのうち、増額できた割合を緑色で示していますが、緩やかにその割合が増えていることが分かります。この割合を今後更に上げていくとともに、右下に示している増額改定率にも拘って増額交渉に取り組んでまいります。今後インフレによるコスト上昇に打ち勝っていくためには、この増額改定を毎期着実に積み上げていくことが大変重要だと認識しています。好調な賃貸マーケットという追い風や、70%を超える定借比率の高さ という我々の強みを生かしつつ、一軒一軒の賃料交渉を丁寧、且つ積極的に行っていくことで増額改定を伸ばしていきたいと思います。
次に11頁をご覧ください。左側のグラフの査定賃料は、前期から更に賃料水準が上昇を致しまして、都心5区ではほぼ全ての物件で上昇、全国的に見ても上昇傾向にあります。これを受けて右側の賃料ギャップですが、当期も大きく改善し、賃料ギャップは-1.9%となりました。賃料の増額改定が、益々進みやすい環境になっていることがお分かり頂けます。
頁を飛ばしまして、13頁からは外部成長です。冒頭申し上げた通り資産入替を進めています。3月にコモレ四谷の持分13.5%を取得し、赤坂パークビルを今期以降6期に分けて売却します。先ず、新規取得物件であるコモレ四谷についてです。オフィス、商業、住宅のほか、公益施設を含む複合用途の物件ですが、取得対象は三菱地所が所有しているオフィス部分の共有持分です。2020年に竣工した築浅の大規模複合ビルで、四谷駅から徒歩2分と大変 利便性の良い立地です。建物スペックが高いことは勿論、視認性が非常に高く、又、オフィスフロアからの眺望が良いことも本物件の強みの一つです。
オフィスビルの選定で重視される要素を備えており、四谷エリアでは勿論のこと、より広域のエリアで見ても十分競争力を発揮できる物件と考えています。続いて売却物件の赤坂パークビルについてです。先ず、売却を決定した理由ですが、コロナ禍以降の働き方の変化などにより、一定のテナント入替を経験する中で、本物件のオフィスとしての競争力に対して懸念を持った点が挙げられます。オフィス需要は、立地やグレードが益々重視される傾向にあります。最寄り駅から本物件に至るまでのアクセス性の弱さを考慮しますと、大規模なオフィス供給がある赤坂エリアで、今後も高い競争力を維持することは難しいと判断を致しました。
又、本物件は、築31年を経過した大型複合用途ビルであり、今後、修繕、更新費の増加が見込まれています。一方、本物件の含み益とポートフォリオへの利益貢献は相応にあるため、売却検討に当たっては、DPUとEPUへの変動をコントロールできるかどうかが重要な判断要素でした。そうした中、スポンサーである三菱地所から分割での売買提案を得られたことと、代替物件の取得機会確保に関して同社と一定の合意ができたことから、同社への売却を決定致しました。
15頁をご覧ください。譲渡価格は合計807億円で、売却決定時点の鑑定評価額と同額です。 そして今回の売却益は、凡そ各期38億円から39億円を見込んでおります。3年間の売却益の総額は233億円でありまして、これを全額投資主へ還元致します。
16頁をご覧ください。本物件の売却に合わせて三菱地所との間で、代替物件提供契約を締結致しました。赤坂パークビルと同等規模の取得機会を確保するために締結したものであり、赤坂パークビルの譲渡価格807億円に達するまで優先交渉権を行使することができ、その期間は原則として、赤坂パークビルの譲渡が完了する 2028年3月期までとしています。
続いて18頁をご覧ください。財務戦略です。当期も引き続き中期年限での借入や、長期変動での借入も組み合わせて、デット資金の調達を行いました。予想2期の平均利率は、既存借入のリファイナンスに伴う借入金利上昇の影響によって、緩やかに上昇する見込みです。国内金利は米国の関税政策の影響で、一時的にボラタイルな展開になりましたが、今後も 緩やかな上昇傾向が続くことが予想されます。これまでの借入戦略を大きく変えることはなく、長期・固定を中心とした借入を基本としつつも、借入コスト上昇の抑制と財務の安全性とのバランスを意識しながら、引き続き柔軟な姿勢で資金調達を進めてまいります。下段の折れ線グラフはLTV水準を示しています。前期末の42.8%から、3月のコモレ四谷の取得に伴う新規借入によって 43.5%まで上昇しています。
最後はESGです。22頁をご覧ください。昨年1月に引き上げた、環境認証の取得率目標を達成することができました。引き続きESGの面からも、ポートフォリオの競争力を高める取り組みを推進してまいります。
以上、資料に沿った一通りの説明とさせて頂きます。最後に、改めまして現在のオフィス賃貸マーケットの認識と今後の取り組みについてですが、ご案内の通りオフィス賃貸マーケットの回復には非常に力強いものがあり、現在も日々伸長している状況にあります。コロナ禍を経てオフィスワーカーは完全にオフィスに戻ってきており、優秀な人材を確保したい企業はリクルーティングや社員のエンゲージメント向上を目的に、駅近でハイスペックなオフィス空間を求めて移転や増床に動いています。
立地やスペックにおいてハイクオリティなポートフォリオを持つ我々JREとしては、質の高いオフィスビルが選ばれるという、現在のこの好調なマーケットの波を捉え、更なる収益向上に努めることで、インフレ下でも長期持続的な分配金の成長を実現し、投資主への還元を続けてまいりたいと思っております。どうぞJREの今後の取り組みにご注目ください。
私からの説明は以上です。有難うございました。