大和証券オフィス投資法人 2024年11月期決算概要
大和証券オフィス投資法人
2024年11月期(第38期)決算動画説明書&質疑応答
○動画 https://www.net-presentations.com/8976/20250123/hrgtfsd34/
○説明資料
https://www.daiwa-office.co.jp/file/ir_library_term-704d4a551913f2b2e250770ef80b92d7328f4944.pdf
〇質疑応答
https://www.daiwa-office.co.jp/file/ir_library_other_file-ca702e92ef868ede42401f5ef4e38e5ddd79f5b4.pdf
○説明者 大和リアル・エステート・アセット・マネジメント株式会社
投資運用副本部長 阿部 淳
○説明
2024年11月期(第38期)の決算内容と直近の状況、今後の取り組みについてお話しします。初めに本投資法人の姿勢、考え方について説明させて頂きます。本投資法人は、投資主価値向上策として、物件入替による資産価値向上と、売却に伴い発生した売却益を原資として、投資主への還元や自己投資口の取得を行うというコーポレートアクションに加えて、リート本来の賃貸収益の向上、内部成長というオーガニックなDPU成長の要素があると考えています。最後にも説明しますが、資産入替によるポートフォリオの価値向上および自己投資口取得は、これまでも継続的に実行してきました。この戦略をベースに、当期は特にオフィスマーケット改善の動きの中で、賃貸収益の向上という、オーガニックな成長が期待できる状況にあるとの判断のもと、その点にフォーカスして説明させて頂きます。
4頁をご覧ください。24年11月期は、ご覧の通り各指標で好調な運用実績となりました。左から24年11月末の実績稼働率は97.7%と、当初予想比+0.6%で着地しました。当期に取得したDaiwa秋葉原ビルは、8月末の稼働率を91.9%と見込んでおりましたが、早期成約により、8月末より満室稼働を実現しています。中央の2つの棒グラフは、夫々入替時、更新時の賃料増減率を示しています。濃い赤色の棒が当期実績で、入替時の賃料増減率は+10.1%、更新時の賃料増減率は+7.5%と、いずれも前期までの実績を大きく上回る増額率を実現しました。又、薄い赤色の棒は25年5月期の見通しです。
現時点で確定しているものだけで、既に24年11月期と同水準の賃料増額率を見込んでいますが、引き続きここからの積み増しを図ってまいります。尚、マーケット賃料の上昇やインフレマインドの浸透から 契約更新対象のうち、増額に応じていただけるテナントが増えてきていると実感しています。面積ベースでの増額割合については13頁に記載していますが、24年11月期は全体の20%のテナントが契約更新の対象であり、そのうち24.4%のテナントに増額を応諾頂くことができました。増額割合が20%を超える水準になるのは4年8期ぶりです。
現在走っております25年5月期についても、更新対象面積20.4%のうち確定しているものだけで、既に27%のテナントに賃料増額を応諾頂いております。この割合は今後増えていく見込みです。このように24年11月期は、前期に続いて力強い運用実績を示すことができたと考えており、この良好なリーシング環境は今後も継続すると見ています。一番右側のグラフでは、ポートフォリオ全体のレントギャップを示していますが、24年11月期の運用を踏まえ、改めてオフィスマーケットの状況を精査した結果、ポートフォリオ全体のポジティブレント ギャップは、前期の3%から足元では10%を超える水準に拡大していると認識しています。このポジティブレントギャップを取り込むべく、稼働率の目安を97%程度とした上で、賃料増額の実現に軸足を置いたリーシング戦略を継続してまいります。24年11月期末のLTVは、鑑定ベースで34.5%、総資産ベースで44.7%、一口当たり分配金は、自己投資口取得・消却による効果70円もあり6,920円となりました。
5頁をご覧ください。一口当たり分配金の増減要因について説明します。先ず、24年11月期について前期との実績比較です。本投資法人は、2024年6月1日付で、投資口一口につき2口の割合で投資口分割を行いましたので、分割後の分配金額で説明します。Daiwa日本橋馬喰町Ⅱ(旧名 S-GATE FIT日本橋馬喰町)の通期寄与、Daiwa秋葉原ビルの賃料発生、既存物件収入のプラス寄与により賃共収入は前期比+263円、Daiwa月島ビルの1回目の売却による売却益が+579円、Daiwa月島ビルの売却益の一部を使った戦略的な修繕工事の前倒しにより、修繕費を積みましたことで前期比▲160円、又、主にDaiwa秋葉原ビルの減価償却費が計上されることで、その他項目が前期比▲160円となり、結果として売却益を除いた一口当たり当期準利益は、自己投資口取得・消却の効果70円を加えて6,341 円、分配金実績としては 6,920円となりました。尚、24年11月期の半年前予想に対しては、先ほど述べたとおり前倒して修繕工事を実施しましたが、賃共収入の上振れで取り返し、売却益および自己投資口取得・消却の効果を除いた一口当たり当期純利益は、+10円となりました。
6頁をご覧ください。前回の決算説明でも説明しました通り、2024年11月期、25年5月期、25年11月期の3期については、Daiwa月島ビルの売却益が発生するため、その後の巡航期である26年5月期のEPUを最大化するべく、その売却益の一部を使って戦略的に施策に取り込んでいる期間になります、25年5月期および25年11月期の予想について説明します。尚、本頁でも、自己投資口取得の効果70円は薄緑色で分けて示しており、売却益を除いた一口当たり当期準利益はグレーで記載しています。先ず、25年5月期予想の前期比較です。
前期に続き売却益の即時還元分が前期比+11円、賃共収入については、将来的な賃料増額を実現するために、売却資金の一部を活用して戦略的にフリーレントや段階 賃料を付与した結果、既存物件では+5円にとどまりましたが、秋葉原の一部寄与により賃共収入全体では、前期比+224円となる見込みです。修繕費については、前期同様、売却益の一部を活用し前倒しで実施するため、前期比▲74円となります。支払い利息を前期比▲161円と見込み、結果として、売却益を除いた一口当たり当期純利益は6,330円となる予想です。
尚、一口当たり当期純利益は、前期から僅かに減少しますが、一口当たり分配金は、前期と同水準の,6920円としています。次に25年11月予想についてです。Daiwa月島ビル譲渡に関わる、3回目の売却益が前回対比縮小するため前期比▲182円、賃共収入は、前期に付与したフリーレントが解消すること等により前期比+335円、修繕費は引き続き前倒しで実施するため前期比▲48円、支払い利息を前期比▲87円とし、1口当たり当期純利益は6,512円、一口当たり分配金は6,920円としています。巡航期に向けては、目先前倒しで実施している修繕工事の平準化、および既存物件の賃料増額に向けた施策によって、EPUのみで6,920円の達成を目指します。
7頁をご覧ください。24年11月期に実現した賃料増額の実例です。入替、更新共に、多くの物件で10%を超える賃料増額を実現しました。渋谷は勿論、新宿やその他のエリアにおいても増額事例が増えてきており、リーシング環境が好転しているエリアが拡大していると実感しています。中でも、本投資法人のポートフォリオの40%を占める、渋谷・新宿エリアで顕著にその傾向が見られることから、今後の成長余地が拡大していると認識しています。冒頭申し上げた通り、改めて物件およびテナント毎に状況を精査した結果、足元でのポートフォリオ全体のポジティブレントギャップは、10%を超える水準に拡大していると認識しています。本投資法人の強みである東京主要5区を中心とした良質なポートフォリオを、運用チームによるきめ細やかなテナントリレーションによって、力強い内部成長を実現していきます。
8頁をご覧ください。前回決算発表時に、Daiwa月島ビル売却代金の使途について、持続的なEPU成長に向け、ご覧のような様々なアイテムがあることを説明しました。このうち当期はチェックマークをつけた施策について実行しています。このうち、本投資法人5回目となる自己投資口の取得については、投資口の取得総額の上限30億円をほぼ使い切り、結果としてEPUを70円向上させることとなりました。分配金としての即時還元と併せて、 投資主により多くの還元ができたと考えています。又、下段に示しました賃料増額施策を通じて、テナントの満足度向上を図りながら賃料増額に応じて頂くことや、高契約賃料単価のテナントには、長くご入居頂くことを目指します。これは戦略的な計画修繕の前倒しと併せて、巡航期の成長に向けた先行投資だと考えています。次の頁で説明します。
9頁をご覧ください。上段のグラフはトップラインの推移を示しています。フリーレントや段階賃料は、これまでもリーシング戦略の一環として付与していますが、Daiwa月島ビルの売却益が発生する期間においては、賃料増額交渉時に従前よりも柔軟に付与することで、高契約賃料単価の獲得を図り、将来のトップライン向上に繋げていきます。下段のグラフは修繕費の推移です。Daiwa月島ビルの売却が発生する期間は、修繕計画を見直し、将来の計画工事を戦略的に前倒すことによって、中長期的なコストの低減を図っています。又、 右側のグラフは、6期前から2期先までの修繕費の見通しを示しています。23年5月期のDaiwa SHIBUYA EDGE売却時を含め、これまでも売却益を計上することができる期には、戦略的に各種工事の前倒しを行ってまいりました。インフレ等のコスト増が懸念される今、このようにして費用低減を図っていくことは、将来的に本投資法人の安定した運用に寄与すると確信しています。
16頁をご覧ください。先ほども申し上げましたが、本投資法人は、ポートフォリオの質改善による投資主価値の向上策を一貫して続けてきました。第25期以降だけでも11物件 1,232億円の売却と、14 物件1,152億円の物件取得を通じて、競争力の高い物件への入替を、年間3%以上のペースで実施してきました。現在もDaiwa月島ビルを3期に亘って売却しているところであり、当期を含む3期に亘って売却益を投資主へ還元しているところです。併せて、自己投資口取得も、J-REIT最多水準である過去5回にわたって実施してきました。
この戦略は、本投資法人の基本戦略として、今後も継続的に実施していく方針です。
17頁をご覧ください。右側のグラフの通り、築古物件を中心に、ポートフォリオを更に改善する余地は十分あると考えています。これまで通り、今後も継続的に物件入替を行うことによって、そこから生じる売却益を投資主に還元し、自己投資口取得に繋げるなど柔軟なコーポレートアクションを実行し、投資主価値向上に繋げていきたいと考えています。今回の決算では、このような考え方のもと、リート本来の賃貸収益の向上に関して、オーガニックなEPU成長を中心に説明させて頂きました。
前回決算発表を行った半年前と比較し、オフィス市況の改善傾向は加速していると感じています。置いて行かれているエリアはごく一部となり、多くのエリアでポジティブレントギャップが発生し、ポートフォリオ全体では、レントギャップが10%を超えました。マーケット賃料の上昇とインフレマインドの浸透によりテナント側の考え方も変わり、更新時の増額改定もかなりの比率で受け入れられるようになり、又、従業員満足度を高めるために、多少高い賃料単価のビルでも移転するといった動きが顕著になってきています。
何度か申し上げていますが、中規模オフィスビルについては、工事費の高騰や他のタイプのアセットとの土地段階での競合により、今後新規供給が減少することが見込まれ、若しくは、高い賃料設定を前提とした供給しか行うことができなくなるため、既存の中規模オフィスビルをメインアセットとする本投資法人にとっては、確実に有利な状況になってきています。インフレによる運用コスト増や金利動向など、引き続き注視が必要な事項も多くありますが、運用会社として様々な変化に適切に対応し、引き続き本投資法人の価値向上に取り組んでまいります。本投資法人を支えて頂いている投資家の皆様、および金融機関の皆様、この場を借りまして改めてお礼をお伝えするとともに、今後とも宜しくお願い申し上げます。
以上で説明を終わります。ご清聴、有難うございました。