ラサールロジポート投資法人 2023年8月期決算概要

ラサールロジポート投資法人
2023年8月期(第15期)決算動画説明書&質疑応答
○動画  https://www.irwebcasting.com/20231017/1/e6766757cd/mov/main/index.html
○説明資料
https://lasalle-logiport.com/file/term-0a67160b55e9f3b9835ca731fdfe2239519931bb.pdf
○説明者 ラサールロジポート投資法人 執行役員 兼 
ラサールREITアドバイザーズ株式会社 代表取締役社長 地紙 平
○説明 
第15期も、本投資法人のポートフォリオは、堅調な運用実績を維持することができましたが、他方で不透明な資本市場関係を継続し、引き続き成長戦略の舵取りが難しい局面が続いております。昨年末に新たなブリッジファンドを組成し、今年の上半期までは、柔軟、且つ、機動的な外部成長戦略の遂行を目指してまいりました。
その一環で、今年の6月に、約2年ぶりの公募増資を実施し、新たに3物件を取得致しました。しかし、同時に、公募増資のマーケティングの際には、投資家の皆様より様々なご意見を頂戴し、この市場環境下においてどのように次の一手を打つべきか、考える必要な機会となりました。昨日決算発表と同時に、いくつか新しい取り組みを公表致しましたので、その内容も含めて決算資料に基づいて説明申し上げます。

先ずは、運用ハイライトにポイントをまとめておりますので、3頁をご覧下さい。先ず、分配金に関してですが、第15期の一口当たり分配金は、業績予想対比5円上振れ、3,090円で着地しました。そして、今期の第16期(2024年2月期)の予想分配金は、住之江案件の償還益など昨日公表しました取引により、大幅な上方修正を行っており、従来予想3,136円対比で、約20%増の3,750円を予想しています。2点目、昨日新たに物件入替について 公表致しました。ロジポート流山B棟の一部持分を売却し、新たに物件取得などを行います。売却は、今後3期にわたり分割して行うため、2025年2月期まで売却益による分配金の押し上げ効果が見込まれます。又、売却資金の一部を活用して、ブリッジファンドから新たな取得物件および交換物件に対する新たな出資等を行い、ポートフォリオ収益を維持するとともに、余剰の資金を確保できますので、今後の成長に温存する予定です。或いは、今後投資口価格の水準次第で、自己投資口の取得に充当することも検討しています。3点目、 バリューアッド戦略の開発第1号案件として、2019年に底地を取得し、2021年に間接投資に切り替え、スポンサーと開発を進めてまいりました大阪住之江物流センターが安定稼働したため、この度ブリッジファンドに移管し出資の償還がなされます。従って、今期その償還益として、一時的な利益が分配金に上乗せされる予定です。

開発プロジェクトの出資に関しては、今年7月に新たに仙台の案件に対する出資を発表し、松戸案件に続き第3号の開発案件が進捗しています。4点目、6月の公募増資を通じて3物件をブリッジファンドから取得した後も、引き続きパイプラインの物件は約2,700億円規模がありますが、足元の資本市場環境においては、ブリッジファンドを活用し、取得の柔軟性を維持してまいります。最後に内部成長に関してですが、引き続き力強さが継続し、ラサールグループの物件運用力とリーシング力を最大限活用し、高稼働の維持と賃料増額を達成しています。特に今季は、通常期の2倍以上の25万平米の区画において、契約更改が予定されていましたが、既に100%内定しています。

4頁をご覧下さい。第15期の分配金の予実対比と、第16期、第17期の業績予想についてご説明致します。第15期(前期)は、6月の公募増資と、期中の物件取得による希薄化分や第16期のリーシング費用が通常期よりも多く、一時的に計上する分を一時的利益超過分配で補填していますが、それ以外に、事務所や駐車場収入の増加や水光熱費の予想と対比の下振れより3,090円で着地しました。第16期(2024年2月期)は、繰り返しになりますが、2つの大きな押し上げ効果があります。1つは、大阪住之江物流センターの開発プロジェクトへの出資対する償還益が245円、もう1つは、ロジポート流山B棟を、3期にわたって持分売却する第1回目の決済を、今期11月に行うため、その売却益が+590円です。

その他、7月に取得した3物件の通期寄与や保有物件のNOI向上による増収、そして借入 コストを保守的に見積もるなど、費用の見直し、結果、第16期の予想分配金は、前期比21.4%の3,750円を予想しています。第17期(2024年8月期)は流山B棟の第2回の持分売却を3月に予定しているため、引き続き売却益の押し上げは継続するものの、住之江案件の償還益が剥落することや、7月に取得した3物件の固定資産税の費用化などが、減益要因となります。他方、新たな収益貢献としてブリッジファンドから取得する犬山物流センターの通期寄与など、物件入替の効果や、ロジポート北柏の冷凍冷蔵倉庫増築の竣工を含めた内部成長が寄与します。結果、24年8月期の分配金は3,566円を予想しています。

続いて5頁をご覧下さい。今後の運用戦略について説明します まず。先ず、ポートフォリオ戦略については、足元の投資口価格水準や、資本市場を踏まえますと、公募増資に依拠しない成長戦略が必要と認識しております。そのため、物件売却を一つの資金調達手法として位置付け、今後の成長資金を確保しました。又、投資口価値向上に寄与すると判断した場合、調達資金を自己投資額に充当する形で株主還元も検討します。又、単純に物件売却を行うのみならず、ポートフォリオの収益性の維持向上や、将来のパイプライン拡大に資する戦略的な物件入替を具体的な選択肢として検討します。特に、物件取得競争が引き続き激しい環境においては、物件交換によるソーシングは検討に値する一つの手段として考えています。

アセット戦略では、堅調な物流ファンダメンタルズが続く中でも、ラサールグループが有する物件運用力およびリーシング力を最大限に活用し、高稼働の維持と賃料ギャップの解消を持続していきます。バリューアッド戦略では、今般第1号の開発案件である大阪住之江物流センターの投資回収を実現しました。低稼働物件のバリューアップに比べて時間はかかるものの、第2号、第3号の案件も進捗し、継続性を持ちつつ選別的に取り組んでいきます。大阪住之江物流センターに関しては、足元で本投資法人による取得環境が整っていないことから、別のブリッジファンドに移管し、本投資法人は追加出資を行います。その出資に対して、暫くは配当収入という形で収益を確保し、取得環境が整うまで待ちます。このように公募増資を必要としない形で、例えばSPCを通じた間接投資によって、安定稼働物件に投資を行っていくことで、高い資金効率で収益を確保していくとともに、本投資法人による取得時期の柔軟性を確保しつつ、少しずつではありますが、物件の簿価下げをしながら、超過収益の獲得を目指してまいります。ブリッジファンドについては、後続ファンドの組成も視野に入れ、引き続きパイプラインの運用柔軟性を高めてまいります。

6頁をご覧下さい。まず昨日公表致しました物件入替取引の概要について説明致します。本入替取引の目的は、売却益の還元と公募増資に頼らない資金調達です。やや複雑な取引ですので詳細について以後3頁にわたって説明致します。先ず、物件売却については、今般、ロジポート流山B棟の合計37.5%の準共有持分を約131億円で売却し、合計で約34億円の売却益を計上する見込みです。2025年2月期までの3期にわたり、均等に決済することで一口当たり分配金に換算して、590円の売却益がはっきり上乗せされています。念のためですが、今後3期にわたって売却益で補填する必要がある減収、又は、減益の要因があるわけでは全くございません。次に売却によって得られた資金の97億円のうち59億円は、ポートフォリオ収益の維持のため、資金使途2件、残りの37億円は今後の成長投資のための待機資金となります。新規取得に関して、1つの資金使途は売却先との交換を行う2物件の取得資金、これは27億円への充当です。こちらは、資金効率を上げるために特定目的会社を通じた間接投資による取得を行います。資金使途の2つ目は、犬山物流センターへの新規取得の32億円です。こちらは、昨年よりブリッジファンドで運用していた中部県所在の物件ですが、この度、フリーレント期間が終了し、安定稼働したため取得を決定いたしました。

7頁をご覧下さい。本入替取引による取得資産の概要をお示ししています。先ず、ブリッジファンドから取得する犬山物流センターは、延床面積約3,000坪の物件で、愛知県に本社を構える3PL事業者が、ドラッグストアへの配送拠点として、消費財を取り扱うため1棟全体を賃借しているシングルテナント物件です。昨今、需要の拡大が見込まれる中部圏の中でも、名古屋都市圏をカバーする消費財や、周辺工場への産業材の配送センターが最も多く、集積するエリアに所在しています。続いて流山B棟の持分売却とほぼ同額の取引金額となる2物件、南港物流センターと八千代物流センターを、特定目的会社を通じて段階的に取得します。11月末の第1回決済時点では、本投資法人は、特定目的会社の特定社債8億円と優先出資3.9億円を取得します。南港物流センターは、延べ床面積約11,000坪で、現在3PL事業者2社に賃貸しており、契約年数は平均して約9年です。八千代物流センターは、延床面積約4,500坪で3 PL事業者に一棟貸し、契約年数は12年、残りは8年です。いずれの物件も、賃料が市場賃料に比べて1割以上低いため、中長期的なアップサイドがございます。これらの物件は、将来的なパイプライン物件になると同時に、いずれも安定稼働物件であるため、本投資法人は、特定社債および優先出資を通じて、安定的な収入を享受することが可能です。特定社債の利率は9%、優先出資を含めると2桁の利回りが期待できるため資金効率が高く、本入替取引を通じてポートフォリオ収入を維持しながら今後の成長資金を確保することを両立できます。

8頁をご覧下さい。本入替取引の売却および取得の決済のタイミングを纏めています。売却・ 取得ともに段階的に複数期に分けて行います。流山B棟の売却を、12.5%持分ずつ3期に分けて均等に決済します。初回は11月、2回目は来年3月、最後に来年9月を予定しています。交換物件についても段階的な決算を予定しており、南港物流センターは11月に初回の20%を取得し、その後来年の3月と7月に、残りの80%持分を2回に分けて検討を取得します。八千代物流センターは11月に一括取得します。本投資法人による特定社債および優先出資の取得への資金拠出も、各界の取引金額に対してプロラタで行う予定です。今回の入替取引は、お互い複数決算期にわたる決済を行うニーズが合致した形で成立した総合取引であり、各種取引条件を調整した結果このような内容となっています。犬山物流センターは、来年2024年8月期の期初に決済を予定しています。来期より収益に通期寄与をいたします。
9頁をご覧下さい。昨日発表いたしましたもう一つの取引である、大阪住之江物流センターの開発案件にかかる優先出資の償還について説明致します。本件は2019年に打ち出した バリューアッド戦略の、開発案件への出資の第1号案件です。案件の当初の経緯を振り返ると、本資産運用会社の独自のルートで底地をソーシングし、約2年間底地として保有し、地代を安定収益として享受しました。その後、開発準備が整った段階で、底地を別のSPC に譲渡し、本投資法人は優先出資の11%持分、計5億円を取得しました。2021年12月に着工し、開発およびリーシングによる付加価値創造の期間を経て、今年3月に竣工、今般、安定化の目処が立ったため、優先出資が償還されます。本投資法人に帰属する収益として4.5億円の償還益を今期に計上する見込みです。本来は、安定稼動後に本投資法人が取得する優先権があるのですが、足元の資本市場環境を考慮し、直ぐには取得せず、ブリッジファンドへ移管してウエアハウジングを行うことと致しました。今回の償還された優先出資の資金を一部活用して、ブリッジファンドへ追加出資1.9億円を行い、今後は本物件から収益を、出資に対する配当として表示します。工場跡地のセール&リースバックからの開発案件であるため、土地取得から4年間と長い期間でしたが、本投資法人はその過程において、底地の地代、開発案件出資の償還益、ブリッジファンドへの出資に対する配当のように、様々な形で収益を確保しております。本投資法人が掲げるバリューアッド戦略も、月日が経つごと、環境が変わるごとに、形を変えてきていますが、大阪住之江物流センターを一つの成功例として、今後控えるバリューアッド投資案件においても、償還収益の獲得を目指してまいります。

10頁をご覧下さい。本投資法人が掲げるバリューランド投資は、SPCを活用した間接投資が特徴です。先ほど説明しました大阪住之江物流センターの優先出資の償還をもって、初期のバリューアッド投資案件、即ち、ロジポート尼崎とロジポート大阪ベイを加えた3 案件への全ての出口を向かえました。以降、ここ数年で投資の形態も案件数も変化を遂げてまいりましたので、改めて投資目的別にバリューアッド投資の現状を整理しています。大きく分けると、右側3つのボックスで示す方法に大別されます。1つ目はブリッジファンドへの出資ですが、こちらの目的は外部成長戦略の柔軟性確保です。5年間の運用期間を確保し、低稼働物件、又は、安定稼働物件の両方を取得することが可能です。犬山物流センターの取得後、ブリッジファンドには5物件が残り、本投資法人の出資残高は7.9億円となります。このうち4物件は、今安定稼働しているため、今後は巡航的な配当収入が見込めます。

ブリッジファンドから取得した4物件は、今回発表しました犬山物流センターに加えて、7月に公募増資で取得したロジポート京都愛西物流センター、刈谷物流センターの総額264億円です。今後もブリッジファンドは、約700億円規模のパイプライン物件を、柔軟、且つ、機動的に取得できる先として機能します。2つ目は、今回の入替取引で組成しました安定稼働物件のみ保有、運用するSPCへの出資です。こちらの目的は外部成長の柔軟性を確保するよりも、少額の資金で高い利回りを確保することで、本投資法人の収益を向上させることが目的です。従って、安定稼働物件に限定しつつ、且つ、比較的賃貸借契約期間が長く、現行賃料が市場賃料よりも低いことで、ダウンサイドプロテクションがある物件が理想的です。今回の入替取引における交換物件は、正にその条件を合致するものでした。約130億円規模の2物件に対して、本投資法人は優先出資7.4億円に加えて、特定社債20億円を取得することで、資金効率が高い投資が可能となります。3つ目は開発案件への出資です。こちらは、他の出資に比べてリスクリターンが高く、より長期の出資になるため、個別案件ごとに選別して行います。現在は、松戸および仙台の2案件に、総額約20億円、開発面積にして約6万平米相当があります。

11頁をご覧下さい。毎期示しているパイプライン一覧をアップデートしています。今期のアップデートと致しましては3つあります。1つは、スポンサー開発案件が1件公表となり追加されています。もう1つは、7月に出資をプレスリリースで発表しました仙台の開発案件が追加されています。最後に先ほど説明致しました物件入替取引において、新たに出資した2物件が追加されて、合計4物件を新たに公表しています。ブリッジファンド等の組成に伴い、パイプライン物件の保有形態が多様化していますので、右側バリューアッド投資案件の一覧で簡単に区分しています。スポンサー開発物件でも、安定稼働してブリッジファンドへ移管したものは右側LRF2で運用中と記載しています。LRF2は、昨年12月に組成したブリッジファンドの名称ですが、現在フォワードコミットしている2 物件や今後出口を迎えるスポンサー開発物件を一時的に取得するため、後続のブリッジファンド組成も準備しています。潜在的なものも含む開発案件は、右側紫色で記載していますが、個別案件ごとにプロジェクトの形態が異なります。パイプラインの総額は、約2,700億円の規模を維持していますが、当面はブリッジファンドでの運用をベースとし、将来的に取得に適した環境が訪れるまで、取得の柔軟性を活用することを最優先としたいと思います。

12頁をご覧下さい。続いてポートフォリオの内部成長について、実績および予想2期の全体感を纏めています。先ず、前期第15期は、期中平均稼働率99.0%と高稼働を維持し、契約満了を迎えた8万平米の区画全てにおいて、再契約、又は、テナント入替が完了、定借物件の平均で 4.7%の賃料増額を達成致しました。今期16期は、以前よりお伝えしておりますが、通常期よりも2倍以上の約25万平米の契約更改があったものの、現時点で既に100%が内定済みです。弊社の運用部およびスポンサーのリーシングチームが、共同してテナント事業をとらえ成果です。全区画の平均値としては+4.4%の賃料増額ですが、その中でも特に、ロジポート相模原、北柏、堺、川崎ベイの4物件で大型の増額改定を実現致しました。来期17期も順調に進み、現時点で半分が内定済み、内定した区画の増額率は+6.3%と力強い需要が確認出来ております。弊社が目標としている賃料とのギャップは、ポートフォリオ全体を通して約4%、スポット賃料とのギャップは約9%程度と、引き続き内部成長余地は継続するものと見ています。

13頁をご覧下さい。足元、国内でも物価上昇基調にはありますが、本投資法人のポートフォリオの収益や対策に関するトピックを3つほど挙げています。先ず左側に、改めて過去3年の内部成長実績を纏めてみました。現在、本投資法人が保有する底地を除く21 物件のうち、定借のみの18 物件と、東扇島A、B、C棟との3物件に大別すると、賃貸可能面積のベースで約8対2の比率となります。賃貸借契約の残存年数は、定借物件が3.2年、東扇島3物件が1.4年、ポートフォリオ全体で2.9年となっています。定借物件のうち、過去6期に満了を迎えた45万平米、即ち、賃貸借可能面積の約4割を占める面積において、加重平均で+5.5%の賃料増額を達成してきました。東扇島3物件においては、過去6期に21万平米、即ち、3物件の賃貸可能面積の約75%相当の面積において、定借区画で契約の満了を迎えた、或いは、普通借区画で更新時に賃料が増額した、又は、普通借から定借への契約の切り替えが生じました。荷重平均で+6.8%の増額を達成しています。いずれも、物価上昇を大きく上回る水準といえます。又、今期、ロジポート大阪ベイにて、既存テナントより、大型の設備投資の導入に合わせて、長期契約締結の要望がありました。期間20年のところ、5年ごとに消費者物価指数に連動して、増額のみの賃料改定を行う条項を導入し、物価上昇への対策を取っています。最後に、水光熱費の動向ですが、右下に過去6期の水光熱費の差益の推移を示しています。昨年は価格上昇に伴い差益が縮小しましたが、前期15期には、個別物件の運用努力の成果が実を結び、再び差益を回復することを達成することができました。NOIに対する割合は、いずれの期も0.5%以下と影響は軽微にとどめることができています。

14頁をご覧下さい。財務運営に関して説明します。先ず、今年の8月に総額75億円のリファイナンスを行いました。変動金利と固定金利の2トランシェ、いずれも6.5年の借入ですが、今般、変動借入の金額を減らして固定比率を上げ、且つ、平均借入年限を7.0年に長期化しました。いずれも上昇基調にある昨今の金利動向を考慮し、金利上昇リスクへの対策を行いました。平均借入金利は足元のベースレート上昇とほぼ同水準で上昇していますが、借入スプレッドは借り入れ年限の長期化を考慮しても微増にとどまっています。今年に入っても不透明な金利市場環境を継続し、今後の金利上昇リスクを見据えた財務運営が必要と考えています。借入コストの水準を注視しながら、引き続き平均借入年限の維持および固定化比率の維持に努めてまいります。右側ではリファイナンス後の主要な指標を纏めています。7月の物件取得に伴い調達した短期1年のブリッジローン104億円は、来年の6月までに金利市場を見ながらパーマネント化を検討していきます。このブリッジローンは、一時的な短期変動借入ですので、財務指標は当該ブリッジローンを含む場合と含まない場合の、2つ数値を並列して記載しています。

15頁をご覧下さい。手元資金の保有状況をアップデートしています。先ず、手元資金の残高ですが、8月末時点108億円に加えて、今回の入替取引によって新たに37億円の積み増しを予定しています。この合計140億円は、現時点で公表済みである各種出資などの案件において、今後支出を予定している金額を除いているものです。右側には、今後の手元資金の活用方針を纏めています。資料には、①から④と記載していますが、この順番は優先順位ではなく、並列したメニューとご理解下さい。前期および昨日公表致しました内容には、既に①ブリッジファンドへの出資と②間接投資や出資が既に実行済みであり、③の設備投資については過去から恒常的に行っているものです。直近の投資口価格動向を踏まえ、④の自己投資口取得の資金使途も選択肢に加えて具体的に検討しています。資本市場の環境動向に合わせて、キャッシュの使い道を機敏に変えていきたいと考えていますので、①から④をある程度継続性を持って行っていくことを目指していきます。

16頁をご覧下さい。最後にESGの取り組みを紹介します。GRESBの評価に加えて、今期のトピックとしては、オフサイトPPAの取り組みを取り上げています。本投資法人では、温室効果ガスの削減において、エネルギーヒエラルキーの優先順位に従った取り組みを推進していますが、日頃の物件運営の改善やエネルギー効率化のほか、昨年よりロジポート川崎ベイにて、オンサイトの再生可能エネルギー発電の取り組みとして、自家消費型の太陽光発電の稼働が開始しています。その次のステップとして、保有物件の敷地内で発電した再生可能エネルギー由来の電力を、他の保有物件に供給するオフサイトPPAスキームを進めています。具体的には、ロジポート新守谷と柏湘南の屋根に新たに太陽光発電設備を設置し、発電した電力をロジポート相模原、北柏および東扇島A、B、Cの5物件に託送供給する仕組みを準備しています。2物件に設置するパネルの容量は4.3 MWで、年間約370万KWHのCO2排出量削減が見込まれるともに、より安価な電気の供給源を確保することで電気代削減にも貢献します。例えば、2022年の年間発電量に基づけば、年間約42百万円、各期21百万円の費用削減効果が見込めると試算されます。
決算説明は以上となります。ご清聴有難うございました。

<質疑応答>
Q:冒頭に、公募増資を踏まえて次の一定を考える貴重な機会になったというお話はありました。今回、同時に物件入替、ブリッジファンドの柔軟性確保、それから、新しく自己投資口取得に対して具体的にしっかり検討していくというのを出されましたが、これらの政策について、もし今回の考える機会がなければ、少しずつ小出しにやっていこうかなと思っていたのを、次の成長を見せるために一気に出してきて、より強調したかったという気持ちが強いのかということと、あとは、自己投資口取得の具体的検討というのもありましたので、より資本市場環境、資本コストとか、マーケットのセンチメントをしっかり読み取っていきたいとより感じたのか、今回の増資後の次の一手を考える貴重な機会というところについてで、今一度、お話ししてないような具体的な気持ちとかその辺をお伺いできればと思います。

A:仰られたように、今夏増資をしなかった場合においては、今回、多分、本当の意味での投資家の声っていうのが、我々として感じ取れてなかった部分もあるのではないかと思っています。逆に、公募増資のロードショーになると、皆さん、実際の案件になりますので、より正直に意見を言って頂けると感じまして、そのご意見が、我々にとっては、改めて次の戦力を考えるために非常に重要なものだったというと、振り返ってみると感じております。正に、その公募増資が終わった瞬間から、今の資本市場の環境を踏まえてどうするべきかを、次の週に社内で検討し始めまして、一早く今回の入替のような取引はできないかと、具体的には物件を並べて、今までは売却に対して弊社は多少消極的だった部分もあると思います候補になるかというものを、改めて運用部、投資部全員でリストアップして考えて、すぐ動き出し、今回増資後4ヶ月という短期間ではありましたけれども、次の決算発表ではなんとしても何か施策を打ちたいという思いで、4ヵ月間動いてまいりました。この成果が、今回公表したものですので、この機動性というか、リカバリーショットを打つための真剣度合いっていうのは、やはり、公募増資で大きく弊社が感じたところがありますので、もうそれが一番の理由になります。気持ちの変化としては、そうこうしているうちに、この4ヶ月においても、我々の投信口価格はどんどん下落していって、今回、その入替取引で、当然等価交換することもできたと思いますが、ここは今後の環境の変化に合わせて、資金を調達しておくべきではないかと、しかも公募増資に頼らない形でどうにか調達する手段はないかということで、今回、間接投資で交換物件を2物件取得していますけれど、そこの工夫とかを同時に考えて、新たなドライパウダーを確保して、その使い方については、今時点では決めずに、正に今回の決算発表の反応および今後の投資家の方々とのミーティングを通じ、且つ、その間にも更に環境変化すると思いますので、そこで最適な使い方は何なのかを吟味していきたいと考えています。

Q:自社株買いについてですが、今の株価だとかなりのインパクトを出せると思いますが、今回実行しなかった理由について説明頂きたいのと、資料の中に、今後の成長を妨げない範囲での実施と書いてありますが、これはあまり大規模にやらないということなのか、何回もやらないということなのかその意図についてご説明頂きたい。
A:自社株買いを何故同時に発表しなかったというところについては、弊社としては、今回の入替取引および住之江の取引等々による株価の反応を見たかったというのがあります。正直、これを行ってどういった株価の折り込みがなされるのかを、先ず、吟味してから自社株買いについては、そのあとでも機動的には発表できますので、そこを段階的に出していくというのが戦略でした。なので、今後投資口価格がどう動くのか、我々の個別の案件の取組みがマクロの大波に呑まれることも想定して、それに応じてどれぐらいの規模を買っているかとかを、定量的に、今、正に検討しているところです。資料に記載している成長を妨げない範囲というのは、先ずは、今回、余剰キャッシュ37億円、今回、入替の取引で新しく 調達しているものがあります。これは、今まで貯めてきた資金とは別で、今回新しく調達したものですので、先ずこれを使うこととする、従って、残りの部分は引き続き成長投資は考えるのですが、先ず、一義的にはこの37億円使う規模を頭として考えていると。ざっくり暗算すると時価総額に対して、1%ちょい、1.2から1.4%とか、それぐらいの規模なので、過去の自社株買いの事例を見ても、これぐらいのボリューム感としては、今の我々の時価総額対比ではちょうどいいというような形で、今回、その待機資金の金額も決めております。ご質問に戻ると、成長妨げないというのはそういう趣旨という風にご理解頂ければと思います。

Q:借入コストですが、過去1年で平均金利5ペーシス上がっており、今後は DPU のインパクトも考慮しながら、上昇ペースをコントロールしていくということだと思いますが、大体、賃料の増額改定とか、その他のコスト上昇を踏まえると、どれぐらいのデッドコストの上昇ペースというのを目線というか、ターゲットにして変動化とか短期化等に取り組んでいかれるのか、デットコストの上昇ペースのターゲットに関してお聞かせお願いします。
A:借入コストの上昇ペースですが、先ず、こちらについては、基本的には金利上昇リスクを意識した運営、どっちに転ぶか分かりませんが、両シナリオを想定した運営をしていかなければいけないので、そうすると、長期固定化比率を維持したいというのが基本線となります。ただそうすると、昨今のスワップ市場等々を見ると、デッドコストは上がってしまうというのは避けられないというのがありますので、ここをどういうふうに吸収していくかというのがあります。で、今回8月のリファイナンスで、当然2017年のベースレートに比べれば上がっていますし、昨今に比べても上がっていますが、業績予想で前提としている借入のコストに比べてのインパクトという意味では、DPU換算して10円にも満たないところです。よって、この部分というのは、ある意味吸収可能というふうに思っていますので、この範囲において、今後長期固定化を維持しつつ、もし、ここが大きくDPUへのインパクを与えるような、それぐらいの金利上昇があった場合においては、変動化もしくは短期化の選択肢も考えつつというのがありますが、基本的には、インパクトはそれぐらい軽微であるところをご理解頂ければと思っております。

Q:流山B棟ですが、37.5%を段階的に売却していきますが、残りはそのまま持ち続けるというか、それとも、状況次第では残りの部分も資金調達のために、更に売却するようなことも準備というか、心つもりとしてあるのかお聞かせ願います。
A:流山B棟の今後の考え方ですけれども、資料にも記載している通り、今後も戦略的に物件入替を行っていくと考えておりますので、もし残りの部分について、例えば他の物件と交換するものがあるとか、取引条件が揃った場合においては、追加段階的に持分を減らしていくことも検討したいとは思っております。今回は2物件、具体的に売主の方から交換するということで条件が合意できたので、こういった形になりましたけれども、追加でそのような機会があれば、当然考えていきたいと思っております。
 
Q:追加で伺いたいのですが、37.5%を今回交換で売却して、残りを売却する場合に別の人に売却するというのは、やりにくいとかそういうことはないのでしょうか。同じ相手先と取引するというのが前提になるのか、それとも別の人に売却しても問題ないのでしょうか。
A:価格が合意を見るのであれば、別に売り先に拘ってはいませんが、現実的には、やはりこの物件を取得されている方に売却するというのが、一番取引条件でも良いものが出てくるとは考えております。よって、現実的には、その方との話し合いというのが前提になるかなと思います。

Q:確認になりますが、リファイナンス時の長期化と固定化の維持の背景についてですが、先ほどのお話では、B/Sの左側のアセットリターンに利用ができる余地があったので、この決定ができたというふうに理解していますが、この理解で良いのか。他のリートですと、逆に、短期で、変動で回している人達が多いのですが、その辺りの考え方についてお聞かせ願います。
A:我々の場合、平均借入年限が7.5年になっており、これに対してアセットサイドの賃貸借契約は、それに比べて短い状況になっており、残存で考えても同じことが言えると思いますので、こちらの方が内部成長の部分が、今後のデッドコストの上昇分を十分に吸収できる、というような仕組みになっているというふうに考えており、それを前提に、長期固定化、これはどちらかというと我々のバランスシート側の理由ではありますが、実は、ご理解の通りです。今の話はマクロ的に金利上昇をどう見るかというところとは別のところで、我々の個別のところですけれども、マクロの方は誰がどっちに転ぶか、今、読めない状というところであり、我々として何ができるかということになりますと、両方に備えるしかないので、そのような財政運営方針を考えております

Q:ブリッジファンドのリターンが上がる可能性について言及頂ければと思います。お話を聞いていますと、出資の部分で、今の裏付けアセットのファンダメンタルズが良好なので、それを踏まえると、今投資している出資の部分がより高いリターンを生み出す可能性があるのかなと思い聞いていましたが、それについてどのように思われるかお聞きします。不動産を買えれば良いと思いますが、もし、買えない環境が続いて、フリーキャッシュが溜って、ドライパウダーとおっしゃっていましたけども、その運用先にはなると思いますが、ブリッジファンドのリターンが上がる可能性について教えて頂ければと思います。
A:ブリッジのリターンですが、こちらも目的別によって、どうできるかと言うことがありまして、10頁に示しておりますのが大きく分けての種類ですが、真ん中の2つが、多分、今、言われたところだと思いますが、ブリッジファンドの方は、やはり、外部成長の柔軟性を確保するというところが目的になりますので、出資のリターンというのはおそらく変わらないと思います。と言いますのは、その等価収益が出た場合には、物件の簿価下げに使うというような仕組みになっておりますので、ここは出資に対するリターンは一定とご理解下さい。他方、稼働物件の間接投資ですが、こちらの部分については アップサイドがあれば投資法人が享受できるという形になっております

Q:今の質問の続きのようになるのですが、10頁に各ファンド宛の投資の金額とか資産規模の記載がありますが、夫々、各SPC宛の投資目線とか、或いは、ポートフォリオに占める投資の割合とか、エクイティでホールドするということに関して、上限を想定されているのかというところ、又、投資目線に関してはIIRとか、或いは、利回りとか、社内でHurdle Rateのようなものがあれば、教えて頂ける範囲で教えて頂きたい。
A:出資の件ですが、Amountの上限について明確に上限があるかというところでは、我々の社内では設定したいのですが、1つの目線としては、B/Sの5%というのがあり、これは、どちらかといえばレンダーとの協議とか、或いは、社内でリスク管理をする中で、これぐらいが一つの目線としては良いのではないかというような目安というのを持っております。リターンについては、当然高い方が良いのですが、リートとしては、やはりマイナー出資しかできないというところになりますと、こういったブリッジファンドのリスクとか、物件の種類とか、そのような条件を見た上で、資金調達がどれぐらいの、要は他のエクイティーホルダーの資金調達の目線、リターンの目線がどれぐらいかというところに、我々も合わせていくというのが基本線になります。それが、あまりにも低くて、社内的にそれが良いのか悪いのかというところは当然ありますが、やはり、我々の目的としては、ブリッジファンドの場合においては、外部成長戦略の柔軟性確保というところで、そっちの方に重きがあると、例えば簿価下げにするとか、何か追加物件があった場合にはそこで取得できるとか、そっちの方が目的の主眼なります、リターンというよりも。今回発表した安定稼働物件の間接投資、こちらについては、やはりリターンが重要になってきます。これは、何か明確にリターン目線を持つというよりは、今回の考え方としては、流山B棟の売却によるNOIの減少、これをどうやって補うかというところがあって、ポートフォリオの収益性が落ちないリターンはいくつなのかというところを逆算して、今回はリターンを決めたというのがあります。 勿論これは、今回の案件に限ったことになるかもしれませんが、1つの考え方としてはそういう目線で見ているとご理解頂ければと思います。

Q:13頁に、CPI連動賃料導入に関しての記載がありますが、今回、大阪ベイで20年の長期契約で、5年ごとにCPI連動ということですが、交渉している中、足元物価が上昇している局面で、こうしたCPI連動を導入することに対して、どの程度のハードルがあるのか、こういった契約形態を導入することに対して、マーケットもそれなりに、テナントサイドも認知が進んでいるということなのか、或いは、相当のHard Negotiationで、稀有な例として、成功事例として、漸く掴み取れたということなのか、感覚みたいなところをお伺いしたい。
A:CPI のハードルですけれども、こちらは簡単ではありません。今回、ロジポート大阪ベイのテナントについては、大型の設備投資を行うというのが先ずあって、テナントさんの要望として長期の契約が良いと、長期というか、もう超長期の20年の契約というところがありましたので、そうであれば、我々としても物価上昇対策を取らざるを得ないというところで、このCPI連動という条項を交渉として勝ち取った、というのが経緯なので、そういったバックグラウンドがある場合においては、導入できると思いますが、これが、どんな契約でもすんなり行くかというところは、現実問題として、そうではないと見ております。
以上でございます。有難うございました。