日本ビルファンド投資法人 2023年6月期決算概要
日本ビルファンド投資法人
2023年6月期(第44期)決算動画説明書
○動画 https://www.irwebcasting.com/20230816/1/5842356043/mov/main/index.html
○説明資料
https://www.nbf-m.com/file/ir_library_term-b6f836a92c3bd989b8109932666a47860b7e0492.pdf
○説明者 日本ビルファンドマネジメント株式会社 代表取締役社長 小野沢 英一郎
○説明
2023年6月期の決算の報告を始めます。
資料の3頁、当期の決算ハイライトをご覧下さい。当期においては、予定通り3月に飯田橋グランブルームと豊洲ベイサイドクロスタワーを、スポンサーである三井不動産から追加取得し、1月に新川崎三井ビルディングの譲渡を完了しております。決算の数字自体は減収減益になっていますが、主な要因としては前期に計上した売却益の剥落や、2022年に取得した物件の公租公課発生によるコストの増加等、一時的な要素も含まれておりますので、後ほど詳しくご説明させて頂きますが、今回の決算で一番お伝えしたかったことは、一番下の稼働率です。これまで、巡航稼働率の目標を早期に97%台にすると説明してまいりましたが、これに向けて進めてまいりました運用努力の成果が実り、当期の期中平均稼働率は前期の95.9%から97%と大きく改善致しました。又、業績予想の前提においても、97%台の継続を見通せる状況となっております。当期の一口当たり分配金は、2月に公表しました業績予想の通り11,500円としております。次期2023年12月期、2024年6月期においても、 夫々11,500円を予定しております。
5頁をご覧下さい。2つの棒グラフは、NBFが投資価値の向上に向けて重要な手法と考えている、一口当たりの分配金および一口当たりのNet Asset Valueの直近3年間の推移を表しております。
それでは、6頁以降で決算実績を説明させて頂きます。この頁では、各期の物件の移動状況を整理しております。当期も物件の入り繰りありますので、こちらの内容については後ほどご確認下さい。
次に7頁の当期の損益計算書を説明致します。比較損益計算書の赤枠の中が、当期2023年6月期の決算数字です。当期の営業収益は47,030百万円、前期比-336百万円。営業利益は20,640百万円、前期比-956百万円。当期純利益は19,335百万円、前期比-953百万円となりました。又、内部留保を225百万円取り崩し、分配金総額は19,561百万円。一口当たりの分配金は、11,500円です。では、頁右側の増減要因を説明致します。先ず、営業収益の336百万円減収の内訳ですが、ベースとなる不動産賃貸収入は、386百万円の増収です。内訳は、入替ですが、これは売却が今年の1月、取得が3月と売却が先行したことによる賃料収入ベースでは、103百万円の減収となりました。一方、既存物件では489百万円と大きく増収となりました。その他、賃貸事業収入で410百万円減収しておりますが、 こちらは、前期に計上した解約金の剥落と夏場を含まない期で水道光熱費が減収したことによる影響です。更に、当期は、不動産等売却益を1,800百万円計上しておりますが、前期比では-312百万円となっております。 続いて、営業費用620百万円の増加要因ですが、一番大きいのは公租公課の396百万円の増加です。これは2022年に取得した新規物件と、評価替えによる増加が反映されております。又、修繕費の増加や水道光熱費の増加が含まれております。水道光熱費については、当期がコスト負担のピークとなる見込みです。結果として営業利益は前期比-956百万円となりました。内訳としては、既存物件において賃料収入は大きく増収となっていますが、水道光熱費や公租公課の負担増、解約金の剥落等により、724百万円のマイナスとなっております。前期、当期とも、譲渡益および内部留保の積立てや取り崩しが発生しておりますので、分かりづらいところはありますが、ポートフォリオの入替、譲渡益を活用し、既存物件の減益をカバーした決算となっております。
続いて8頁で貸借対照表について簡単に説明致します。左側の比較貸借対照表の赤枠が当期末の数字です。2023年6月末の資産合計は、前期末より171億円増加し、1兆3,859億円となりました。先ず、資産の部ですが、現預金は61億円の減少、固定資産は2物件の取得および1物件の譲渡に資本的支出51億円、減価償却費78億円の計上により、234億円増加しております。又、負債の部では有利子負債が170億円増加し、純資産の部では未処分利益が9億円減少しております。結果、固定資産の増加を有利子負債の増加と現預金の取り崩しで補ったバランスシートとなっております。
それでは、NBF の今後の運用方針について説明致します。
11頁をご覧下さい。NBFの資産運用の方針につきましては、従前と変わらず、一口当たり分配金の安定成長を主軸として運用してまいります。一方で、不動産マーケット、金融マーケットの環境に大きな影響、変化が起きている中では、内部成長、外部成長達成の手段を機動的に、且つ、弾力的に用いながら、金融市場にも留意しつつ、NBFの質的、量的増進と拡大を通じ、一層の成長を図っていきたいと考えております。その中で、現在のマーケット認識とNBFの取りうる戦略を4つに分けて説明したいと思います。先ず、賃貸マーケットの動向についてですが、アフターコロナの中、日本企業の出社率の高さからもお分かりのように、企業のオフィス回帰の動きや、立地改善、又、新規雇用による上昇等、ハイスペックオフィスに対するテナントニーズは、底堅い状況が継続しております。一方で、高価格帯の新規供給されたビルにおいては、エリアや交通利便性等のオフィスに対するテナントの見方の厳しさから、ビルによってはリーシングに苦戦している話も聞いており、ビルごとにかなりな温度差があると認識しております。総括致しますと、本年のオフィス供給量の多さから、俗に2023年問題と言われている市況について一切の慢心はございませんが、コロナ後の業績回復を試みるオフィスユーザーの需要が堅調である点、ポジティブな面が出ているのもまた事実です。その中でNBFの戦略としては、稼働率優先のリーシングに努めた結果、当期の稼働率は、目標としていた97%台へ回復しております。
次に外部成長ですが、オフィスの売買マーケットは堅調に推移しております。日銀のYCC、イールド・カーブ・コントロールの修正により、従前よりベースレートは上がっておりますが、依然として取引におけるキャップレートの上昇は見られておりません。このような環境の中、強固なスポンサーパイプラインを持つNBFとしては、資産の入替を含めたポートフォリオの質の強化と、規模の成長を図っていく好機だと考えております。本業である不動産賃貸収入においては、賃料収入の改善が進むまでの間は、入替を含む外部成長との両輪で継続的な成長を図っていきたいと考えております。次に、ファイナンスです。先ず、現在のファイナンスの環境については、NBFの成長ストーリーをお示しできるのであれば、エクイティファイナンスは十分実施できる環境だと認識しております。又、この後、財務戦略でも説明致しますが、長期金利は従前よりも上昇し、又、今後のリファイナンスは低金利の借入および投資法人債の借り換えが伴ってまいりますので、従来のような長期固定金利での借り換えでは支払い金利のコスト増加になってしまいます。NBFとしては、約6,000億円の有利子負債を返済期限の分散に留意しつつ、長期変動金利借入を活用し、調達機関等を調整しながら支払い金利の抑制に努めてまいります。最後に、内部留保、譲渡益の活用方針です。後ほど詳しく説明致しますが、現状の不動産賃貸収入だけでは、従来公表しているDPU 11,500円の水準を維持することは難しい状況です。従来の説明と同様に、物件の含み益を顕在化できる間はDPU11,500円を下限とし、投資主の皆様への還元を強化したいと考えております。それでは、これから各成長戦略について説明致します。
先ず、外部成長について12頁をご覧下さい。当期の外部成長は、冒頭で説明しました通り、飯田橋グランブルームと豊洲ベイサイドクロスタワーの2 物件とも3月末に追加取得し、 新川崎三井ビルディングの売却も、1月に引き渡しを完了しております。こちらについては、前回説明していますので、後ほどご確認をお願い致します。又、頁の右下ですが、来年の3月には、パナソニック東京汐留ビルを売却し、19億円ほどの譲渡益を計上する予定です。外部成長は、売買マーケットの活況が続いておりますが、ポートフォリオ向上のため入替については継続していく方針です。
続きまして内部成長の説明です。13頁の期中平均稼働率と入退去率のグラフをご覧下さい。上の赤い折れ線がポートフォリオの期中平均稼働率、下の棒グラフは各期6ヶ月間の入居、或いは、退去したテナントのポートフォリオ全体に対する面積割合を示しております。 先ず、棒グラフをご覧下さい。入居・退去の状況について説明致します。当期の退去率は1.7%となる一方、入居率は2.9%となり、結果、期中平均稼働率は97%となりました。当期については、コロナが5類に移行する前から出社率の増加によるテナントのオフィス回帰、 立地改善や新規採用等による増床と、ポジティブな動きが現れ始めております。半年前に説明致しましたが、稼働率優先のリーシング戦略を取ったことにより、当期の期中平均稼働率は前期の95.9%から当期の97%と大きく改善致しました。稼働率を上げることにより、巡航稼働率を97%台で維持できるようになれば、次の頁で説明する不動産賃貸収入も、プラスに転じてくると考えております。
続いて 14頁で既存物件の賃貸収入の推移について説明致します。黄色い折れ線グラフは、既存物件の賃貸収入の前期比変動率を表しており、棒グラフはそれを2つの要素に分解したものです。青色の棒グラフは、継続入居テナントの賃料改定による収益変動を表しております。賃料改定については、コロナ以降も引き続き増額改定に応じて頂いているテナントもおられますが、NBFとしては稼働率優先の戦略から、引き続き入居頂くために、既存賃料の方がマーケット賃料よりも高いテナントについては減額改定をすることにより、慰留を図る等の対応していく方針であり、青色の賃料改定の影響はマイナスとなっております。
一方、緑色の棒グラフの方は、テナントの入れ替わりによる影響と、賃料改定以外の全ての要素が含まれております。当期においては、前回の説明会でも説明致しましたが、過去に入居頂いたテナントの賃料発生により、大きくプラスに転じております。今後においては、NBFのポートフォリオは巡航稼働率の97%台を見通せる状況となってまいりましたので、新規供給物件のリーシングが順調に推移すれば、2024年の下期には、既存物件の賃料収入がプラスに転じてくると見ております。
財務について15頁にお進み下さい。当期末の財務の状況です。左上のファイナンスデータの表にあります通り、期末のLTVは42.9%、長期固定金利比率は90.6%、平均調達金利は0.4%、平均残存年数は5.70年と、引き続き保守的に運用しており、その下にあります通り、借入余力は約800億円となっております。当期の有利子残高5,945億円のうち、グリーンファイナンスの残高は、630億円となっております。又、右の表になりますが、当期の長期借入金は総額690億円、平均借入期間は7年、平均調達金利は0.55%になっています。
16頁で今後のデットファイナンス戦略を説明させて頂きます。今後の調達金利の上昇による支払い金利のコストの増加を抑制するために、NBFが目指す3つの重要な指標を掲げております。現状、期間10年の借り入れを固定金利で調達した場合、YCC の修正もあり、1%程度の金利を見込まなければなりません。一方で、返済期限の分散の棒グラフの上に記載している金利は、返済を迎える有利子負債の平均金利を示しております。2024年以降は、過去に借り入れした低金利の有利子負債の返済期限を迎えますので、従来と同様に、同じ期間10年程度の固定金利で調達してしまいますと、コストの増加につながってしまいます。NBF としては、約6,000億円の有利子負債の返済期限の分散を最優先とし、長期固定金利比率のターゲットを、90%から80%にすることにより、長期変動金利借入の割合を増やし、金利上昇のリスクヘッジを図ってまいります。結果として、現状の有利子負債全体の平均調達金利の上昇は、0.4%から0.5%程度に控え、調達期間も分散させることにより、有利子負債全体の平均残存年数も5年程度に短縮しますが、デッドファイナンスのリスクを最小限に抑え、支払い金利の抑制を図っていきたいと考えております。
続いて17頁で継続鑑定評価について説明致します。当期の継続鑑定評価は、左上の表にあります通り、その総額が1兆7113億円となり、含み益は42億円増加の3,433億円となりました。物件ごとの状況については、左下の後ろに表にあります通り、キャップレートは15 物件で低下、505物件で現状維持となり、全体的には横這いとなっております。鑑定評価額自体は13物件で減少しておりますが、今後の工事費を見積もったキャッシュフロー等の調整によるものです。
続いて19頁で業績予想を説明致します。濃い赤枠が2023年12月期、右側オレンジ枠が2024年6月期の業績予想です。赤枠の22023年12月期の欄をご確認下さい。営業収益は454億円、営業利益は187億円、当期純利益は174億円となっております。2023年12月期は、不動産等売却益が剥落しますので、減収減益のように見えますが、売却益を除くとほぼ横這いの予想です。右の増減要因、上段の不動産賃貸収入では、既存物件は、先ほど説明しました通り減収を見込んでいますが、入替では当期取得をしました物件の通期稼働により、 既存分をカバーしております。又、コスト面では、建物管理費等の増加を見込んでおりますが、水道光熱費の収支では改善する見込みです。次に2期先2024年6月期の欄をご確認下さい。営業収益は468億円、営業利益は205億円、当期純利益は191億円を見込んでおります。2期先は、パナソニック東京汐留ビルの売却益を見込んでいることから、増収増益となります。現在、新たな物件の取得を織り込んでいない予想ですので、不動産賃貸収入は、弱めの予想となっております。又、当期取得した物件の公租公課や、支払金利等の上昇も織り込んでおります。当期実績から2期先予想までの稼働率の上昇、賃料の発生、売却益や一過性のコストの増減等の入り繰りもありますが、一口当たり分配金については、11,500円を下限として公表致しました。分配金の増減内容については、20頁に図解しておりますのでご確認下さい。
次に21頁をご覧下さい。内部留保および譲渡益の活用方針として、繰り返しになりますが、DPUの下限を11,500円として安定分配に努める旨を説明させて頂きました。当期2023年6月期は内部留保を2億円取り崩し、残高は136億円になる見込みです。今回の予想では、 パナソニック東京汐留以外の物件の取得、譲渡による入替については織り込んでおりませんが、今後も物件の入替、および稼働率の維持向上による不動産賃貸収入の増加、含み益の顕在化により、投資主の皆様への還元を図っていく方針です。続いてNBF のESGへの取り組みについて説明致します。少し飛びますが、39頁に当期の取り組みのハイライトを載せております。当期においては、温室効果ガス排出量削減目標をKPIに加えました。又、 SBT認定を取得しております。最後になりますが、ポストコロナの動きの中、日本企業の出社率の高さからもお分かりの通り、クオリティの高いオフィスビルのニーズは底堅い状況です。NBF の戦略として、先ず、稼働率を高めることを優先的に実行してまいりました。又、賃料については、今後のマーケットの回復により上げられるベースは、確保できたと考えております。金利コスト増加への対処も、NBF ならではの戦略を打ち立てることができました。その他の要因が収束すれば、不動産賃貸収入ベースの利益、所謂、EPUの改善が図れるものと認識しております。難しい事業環境がもうしばらくは続くことになりますが、 先行きが見通せる状況にもなってきております。これまでご報告した通り、NBFの持つポートフォリオの強靭さは、一時的な混乱も長期的なマーケットの変化に対しても十分に対応していけるものと確信しております。NBFとしてはあらゆる引き出しを活用し、投資主の皆様に期待に応えていきたいと考えております。私からの説明は以上です。
本日は有難うございました。