サンケイリアルエステート投資法人 2022年8月期決算概要
サンケイリアルエステート投資法人
2022年8月期(第7期)決算動画説明書
動画 https://www.net-presentations.com/2972/20221017/dsfdsh/
資料
https://www.s-reit.co.jp/file/ir_library_term-54753f8f9de8f798e34ee4508bb3bedea2564f7a.pdf
説明者 サンケイリアルエステート投資法人 執行役員 兼
株式会社サンケイビル・アセットマネジメント 代表取締役社長 太田 裕一
説明
これより第7期(2022年8月期)決算の概要について説明致します。
3頁をご覧下さい。最初に決算・運用ハイライトのアウトラインについて説明致します。
第7期は予想比、前期比ともに増収・増益となりました。第7期DPU、即ち、一口当たり
分配金は、3,158円と予想比、前期比ともに増配します。本年3月末に主要テナントの解約
を公表した品川シーサイドTSタワーのリーシングは、現空7フロア中2フロアにつき
成約しております。又、運用資産において電動マイクロモビリティのシアリングサービス
「LUUP」を導入しました。続いて今後の成長戦略について説明致します。成長戦略の基本
は、従来同様、DPUの持続的成長に叶う外部成長・内部成長を目指し、ポートフォリオ・
マトリクスを意識した分散投資を継続しつつ、内部成長余地の追求とテナント退去リスク
の低減を図ってまいりますが、現下の運用状況に鑑み、ポートフォリオ含み益を活用した
DPU安定化施策を実施してまいります。そして、これに加えて、スポンサー(サンケイ
ビル)による投資口の追加取得の検討が行われる見込みです。尚、サステナビリティ推進
体制の充実は、継続課題と努めており、情報開示の充実、具体的には投資法人HPの
リニューアルをもって取り組む次第です。又、そう遅くならないタイミングで、TCFD提言
への賛同も予定しております。
それでは、決算・運用ハイライトについて説明致します。5頁をご覧下さい。先ず、決算
ハイライトですが、第7期営業収益は予想比1.1%増、前期比9.0%増と増収、営業利益は
予想比0.6%増、前期比5.8%増と増益になりました。第7期DPUは、予想比+38円、
前期比+178円の3,158円と増配します。
6頁には第7期DPUのサマリーとして、要因分解したグラフを示しています。第7期DPU
は、3,158円、前期比6%増と増配します。第7期は賃貸収支の減収要因がありましたが、
品川シーサイトTSタワーにおける主要テナントからの解約違約金の収受があったため、
前期比増加しました。
7頁をご覧下さい。第7期実績と前期決算時に発表した予想との比較について、説明致し
ます。第7期は予想比増収・増益となりました。営業収益は予想比31百万円増の3,028
百万円、営業費用は予想比21百万円増の1,397百万円となりましたが、営業収益の増加が
営業費用の増加を上回り、営業利益は予想比9百万円増の1,630百万円となりました。又、
営業外費用は予想比△7百万円に抑えることが出来たことから、当期純利益は、予想比
17百万円増の1,475百万円となりました。主な差異要因は頁の右側に示しておりますが、
営業収益の増加は、水道光熱費収入の増加が主な要因です。一方、営業費用の増加は、水道
光熱費の増加が主な要因になりますが、修繕費が予想比12百万円ほど減少した結果、賃貸
事業費用は、予想比20百万円の増加に止まりました。
続きまして8頁をご覧下さい。第7期実績と前期実績との比較について説明致します。。
こちらも主な差異要因は表の右側に示しておりますが、第7期の営業収益は、前期比249
百万円ほど増加しましたが、これは品川シーサイドTSタワーにおける主要テナントからの
解約違約金の収受が主な要因です。又、賃貸事業費用は、前期比104百万円ほど増加し
ましたが、これは前期(第6期)に取得した4物件の固都税が、費用化されたことが主な
です。
次に第7期の運用ハイライトについて説明致します。9頁をご覧下さい。目下重点注力物件
である品川シーサイドTSタワーの運用状況についてご報告致します。先ず、契約状況に
ついて改めて触れさせて頂きますと、本物件に入居します主要テナントは、2022年3月
末日に、賃貸面積の1/3に相当する7フロアを即時解約し、これに伴い収受した解約違約金
は、第7期(2022年8月期)に計上しております。そして、2023年3月末日に、賃貸
面積の2/3に相当する14フロアを解約します。解約に伴う原状回復工事は、即時解約した7フロアとその後に解約する14フロアとでは扱いが異なっており、即時解約した7フロア
は、テナントより原状回復工事等精算金を収受する金銭精算を行い、第8期に計上します。
そして、残る14フロアは、解約日までにテナントにて原状復帰工事実施の上、明け渡しと
なります。今次、解約に伴い発生した空室に対するリーシング活動は、本年2月に本物件に
専従特化できるリーシングマネジメント会社を選定、3月に同社の仲介担当者向け内覧会を
実施しました。内覧会では、本物件の訴求ポイント、リーシング上の課題、想定ターゲット
などについて忌憚のない意見を頂戴し、これをベースにリーシングマネジメント会社と
協働して、リーシング施策の策定、各種Toolの整備などを5月までに整えました。
リーシング会議は毎週開催しており、当社、共有持ち分を有するSPC関係者、スポンサー
ビル営業部、リーシングマネジメント会社等で構成され、小職も出席しております。これら
に並行してリーシングマネジメント会社、及び、スポンサーであるサンケイビルビル営業部
によるダイレクトアプローチを実施し、現在も継続しております。又、本年6月には、賃貸
仲介会社向け内覧会を開催し、マーケットに介在する仲介プレイヤー向けのリーシング
活動を展開しており、テナント案内実績は8月末までに14社、案内先の希望面積の累計は
約28,000坪となり、案内先は、現在もコンスタントに積み上がっております。この結果、
現空7フロア中2フロアを成約し、本年12月より契約が開始されます。本物件は、品川区
北品川・東品川に立地する近隣企業からの引合いが多く、複数フロアを検討する候補先が
多いのが、これまでの特徴です。尚、原状回復工事に合わせ、共用部においてバリュー
アップ工事も実施し、オフィスワーカーの快適性向上に資する改修に望みます。
10頁をご覧下さい。ESG関連の運用ハイライトになりますが、運用資産の一部において、
電動マイクロモビリティのシェアリングサービス「LUUP」導入しました。「LUUP」の
運用会社は、スポンサー(サンケイビル)も出資している先であり、掲載2物件のほか、
複数物件で導入を進めていきます。又、本年9月にオフィスビル2物件につきまして、DBJ
Green Building認証を再取得しています。
続きまして今後の業績予想について説明致します。11頁および12頁を合わせてご覧
下さい。11頁に掲載のグラフは、第8期、第9期の業績予想をDPUベースで要因分解
したものです。先ず、第8期(2023年2月期)の予想DPUは、第7期に計上した主要
テナントからの解約違約金収受という一時的要因が解消されますので、第7期比減少
しますが、予想DPUは本年4月に発表したものと変わらず2,239円を見込んでいます。
第8期には、即時解約した7フロアの原状回復工事費精算金を営業収益に計上しており
ますが、他方、同額の原状回復工事を費用計上する結果、賃貸事業収益は差し引き0と
見立てております。第9期(2023年8月期)の予想DPUは第8期比6.2%増の2,377円を
見込んでいます。第9期はポートフォリオ含み益を活用したDPU安定化施策の実施を想定
して組み立てており、現時点で決定した事項はありませんが、営業収益に不動産等売却益
570百万円を計上していることにご留意下さい。尚、現時点で、不動産等売却益の裏付けと
なる売却物件は特定しておらず、予算ではDPUを安定化させるための必要原資として
計上、予想DPUを算定しております。又、品川シーサイドTSタワーのリーシング状況を
含むポートフォリオ全体の運用状況によっては、DPU安定化施策のボリュームが変動する
可能性がありますが、今回発表の予想DPUを下回らないように心掛けてまいります。
従いまして、今後のD’PUは、第8期(2023年2月期)をボトムに、以降は回復路線に
戻していく流れを考えております。尚、サブアセットのホテル2件は、従来同様スポンサーコミットメントに基づく約定通りの履行がなされており、本投資法人への影響はなく、減収
リスクはないものとしています。
12頁には第8期および第9期の業績予想の内訳を示してりますので、別途ご高覧下さい。
それでは、今後の成長戦略等につきまして実績の報告も含め説明致します。14頁をご覧
下さい。本投資法人のポートフォリオは、コロナ禍においても高稼働率を維持してまいり
ましたが、品川シーサイドTSタワーの影響もあり、2022年8月末時点の稼働率は、94.2%
と低下しました。オフィスビルの平均賃料単価は、昨年9月の公募増資で取得した新規
4物件が、地域分散を働かせたことから低下しておりますが、内部成長余地の追及に努めて
おります。
続きまして15頁をご覧下さい。ページ上段掲載のグラフは、オフィスビルテナントの賃貸
面積ベースの賃料改定実績の推移を示しており、ページ下段は件数ベースになりますが、
賃料改定実績の内訳を示しております。第7期に締結した賃料改定対象は5物件、
17テナント、賃貸面積は本投資法人の持ち分考慮後で約705坪でした。尚、第7期は、
現下のオフィス市況に鑑み、テナント退去リスクを増幅させる交渉を控えた結果、維持又は減額で着地しております。
続きまして16頁をご覧下さい。第7期の内部成長について事例をいくつか掲載しており
ます。先ず、リースアップ事例としまして宮崎台ガーデンオフィスは、昨年12月に空室が
発生し、稼働率は85.7%に低下しましたが、期中にリースアップを完了し、本年7月より
再び満室稼働になりました。又、付帯収入増加事例としてS-Gate赤坂では、スペース有効
利用や駐車場サブリース契約の変更により、付帯収入増加し、月額賃料ベースで+2.0%の
増収インパクトを生み出しております。尚、昨今の電力料金の上昇に関して、現状と対応を
報告致します。先ず、電気料金の現状ですが、現在5社から電力の供給を受けており、供給
困難のおそれのある電力会社はありません。但し、新規契約の受付は停止している模様で
あり、 契約更新時における値上げや、既存契約における燃料費調整単価が上昇している
状況です。電気料金上昇への対応は、かかる上昇をテナントへの請求単価に反映することに
ついて、テナントから了承を頂く取り組みを進めておりますが、概ね了承を頂いております。
又、セントラル空調で別途空調良を収受しているビルの一部においては、空調良の値上げを
行い、インパクトの軽減を図っております。第7期(2022年8月期)においても、予算
策定時に電気料金の上昇を一定程度織り込んでおり、水道光熱費収支は予想比△3百万円
に止まっており、第8期(2023年2月期)以降の予想も、現状を考量して策定しており
ます。
それでは今後の内部成長戦略について説明致します。17頁をご覧下さい。頁左上には
第8期(2023年2月期)および第9期(2023年8月期)の契約更改、更新のボリュームを現しつつ、本年8月末日時点の進捗状況を示しており、ボリュームとしては第8期が
賃貸面積全体の11%程度、第9期が賃貸面積全体の43%程度となっております。ポート
フォリオの想定稼働率は、ページ右上掲載の水準を想定しており、業績予想のベースにも
なっております。又、ページ下段には賃料ギャップの推移を示しておりますが、長引く
コロナ禍はオフィス市況に影響を及ぼし、縮小傾向に至らしめております。
続いて18頁をご覧下さい。ここでは目下重点注力案件である品川シーサイドTSタワーの
今後のリーシング施策について説明致します。先ず、これまでのリーシング活動から得た
知見として、候補店ナントの移転目的は、入居ビル内で増床を繰り返してきたフロアの集約、
複数拠点の集約ニーズ、不足する面積の確保といった賃借面積に関するニーズが顕著で
あり、それに加え立地改善、グレードアップ、利便性アップといった傾向が確認されました。
又、引合いや案内テナントは、本物件の近隣テナントからの移転ニーズが過半を占めており、
大型テナントの移転動機は、都心好立地の利便性を捨ててまでコスト削減を図るドラス
ティックなリストラ移転は少ないことを確認しました。これらの知見を踏まえ、今後の
リーシング施策として、頁右側に掲示する4点を主要施策として展開してまいります。
即ち、ターゲット企業の拡充、リーシング活動の効率化とスピードアップ、リーシング営業の総力展開、マーケットに介在する賃貸仲介会社への継続アプローチです。大半は既に実施
済みであり、その成果が待たれる状況ですが、早期リースアップに向け共有持ち分を
有するスポンサー共々、一体となって取り組んでまいる所存です。
19頁をご覧下さい。-当面の課題に注力しつつ、ポートフォリオの強化を目指す内部成長
戦略を展開してまいります。先ず、オフィス賃貸市場の現状認識と見通しですが、基本的に
は前期同様のスタンスです。集約移転は継続していますが、最近では拡張移転や大規模区画
で需要の戻りを感じる事例も、散見されております。又、テナントの状況は一部業種を除き、
企業業績は堅調・回復しておりますが、ロシアのウクライナ侵攻によるマクロ情勢や景況の
悪化、長引くコロナ禍の影響により、賃料負担能力が低下している企業、固定費圧縮ニーズ
が高まってきていると感じており、需給の本格的な改善があるまで、マーケット賃料は低下基調を見込みます。尚、テレワークは一定程度定着するも、業務の効率性や生産性、
コミュニケーション不全の懸念から、企業のオフィスセントリック、即ち、起点をオフィス
に置くことは根強いと考えますが、コロナ化を契機に働き方改革は進展し、オフィス立地、
ワークスタイルは多様化し、高アクセス、高機能化ビルへの選考が高まると考えます。
これらを総括しますと、コロナ禍を経験したことでオフィスに対する価値観は多様化し、
よりニーズに叶ったオフィスビルが選別されるようになり、加えて大都市圏での今後の
大量供給により、市況の不透明感は増しており、競争力なきオフィスビルは、淘汰される
可能性があると整理します。本投資法人のポートフォリオは、テナント分散に課題はあるも、
プライム立地、高機能、職住近接のオフィスビルをバランスよく保有しているという強みが
あります。とはいえ目先は、品川シーサイドTSタワーのリースアップが当面の課題になり
ますが、今次空室発生を将来の成長機会捉え、マルチテナント化の推進とバリューアップ
工事を実施するとともに、内部成長戦略の基本指針である戦略的リーシングと合わせ、
ポートフォリオの強化に鋭意努めてまいります。そして、これに加えて、第8期(2023年
2月期)に、DPU安定化施策を本格検討し、第9期(2023年8月期)に実施を見込んで
おります。尚、仮に資産入替え実施する場合、今次発表の第9期業績予想を修正することに
なりますが、ポートフォリオクオリティの維持・向上とポートフォリオ収益の安定化に叶う
ことを目指します。
続きまして、外部成長について説明致します。22頁をご覧下さい。掲載のポートフォリオ
マトリクスは第3期(2020年8月期)より掲載しておりますが、縦軸にCAP-Rate、横軸
をエリアにしたバブルチャートであり、バブルの大きさは取得価格の大きさを示しており
ます。本投資法人は、このポートフォリオマトリクスを俯瞰し、エリアと利回りのバランス
を意識した分散投資を、外部成長戦略の基本指針として実践、継続しております。そして
分散投資を推進するにあたり、本投資法人はスポンサー開発案件を中心とするコア投資と
スポンサーの強力なソーシング力を最大活用した分散投資をもって、ポートフォリオの
収益性と安定性の両立を目指していきます。
23頁および24頁は、物件パイプラインをイメージして頂くために、スポンサーが手掛けて
いる開発案件をいくつか掲載しております。
23頁は本投資法人の投資対象であるサブアセットのうち、物流施設に着目したもので、
スポンサーが近年開発した案件を抜粋、掲載しております。又、スポンサーブランディング
戦略の一環として展開しているSANKEILOGIシリーズは、本年3月に竣工したSANKEI
LOGI柏の葉を皮切りに、本年8月にSANKEILOGI厚木、本年9月にSANKEILOGI
摂津と順次竣工しており、以降も掲載表の計画が進んでおります。尚、24頁にもいくつか
掲載しております。最近では福岡市における中規模オフィスビルの開発もあります。別途
ご覧下さい。
次に財務戦略です。27頁をご覧下さい。頁左側上段の財務ハイライトは、本年9月5日
時点のものになりますが、長期負債比率は80.9%、固定金利比率は、本年9月5日実施の
借換え実施前の88.2%から100%、平均残存期間は3年と低下させない取組みを行っており
ます。又、平均調達金利は0.46%と平均残存年数との見合いにおいて、低コストの調達が
出来ていると考えております。そして、メガバンクを中心とするレンダーフォーメーション
を踏襲しつつ、安定的な財務基盤の維持・向上を目指します。
尚、第7期は本年5月にcommitmentベースになりますが、極度額15億円の極度ローン
基本契約を締結し、資金調達に機動性を確保してります。又、本年6月にSDFRへの対応
を済ませ、投資法人HPに開示。そして返済期限を迎える借入金のリファイナンスは
マチュリティラダーの分散と長期化を旨に、掲載グラフのような取組みを継続しており、
今後も同様の方針で進めてまいります。
最後にESGへの取組みとしていくつか触れさせて頂きます。31頁をご覧下さい。本投資
法人はGRESBリアルエステイト評価への参加の継続を表明していますが、評価結果は
近日プレスリリースにて公表させて頂きます。又、運用資産においてテナント入替え時に
LED照明化を随時推進しています。過去には東洋パークビル、第7期にはブリーゼタワー
にて実施しており、第8期には大森パークビルにて実施を予定しております。今後の
取組みは、冒頭、今後の運用戦略の頁で述べさせて頂いた通りです。
尚、32頁にはこれまでの取組みを掲載しております。別途ご高覧頂ければ幸甚です。
以上を持ちまして、サンケイリアルエステート投資法人第7期の決算説明を終了させて
頂きます。
今後の運用においては、品川シーサイドTSタワーのリーシング状況を見据えながら、
DPU安定化施策を実施していく所存です。その意味では、今期をボトムに止めたいと考え
ております。皆様におかれましては、今後の展開を見守って頂きつつ、ご支援、ご鞭撻を
賜りましたら幸甚です。何卒宜しく申し上げます。
本日は、ご清聴頂き、誠に有難うございました。