日本リート投資法人 2022年6月期決算概要

日本リート投資法人
2022年6月期(第20期)決算動画信説明書
動画  https://www.video-streaming.net/ir/3296/2022_06_20/
資料 
https://www.nippon-reit.com/file/term_errata_list-b4772c396dfeb4c864720dcc5361bca4a04bbba3.pdf
説明者 日本リート投資法人 執行役員 兼 
双日リートアドバイザーズ株式会社 代表取締役社長 杉田 俊夫 
説明
2022年6月期(第20期)の決算説明と第21期、第22期の業績予想、そして今後の成長
戦略について説明致します。
3頁は、第20期の決算ハイライトです。業績は記載の通り一口当たり分配金は、予想対比
239円アップの8,825円での着地となりました。外部成長ですが、昨年8月に実施した
第5回資産入替の一環として、今年1月にオフィス1物件を売却した結果、現時点での
資産規模は、106物件、2,547億円となっています。そして、現時点のパイプラインは、
ブリッジファンドとスポンサーである双日のウエアハウジングを合わせ、10物件、91億円。
内部成長ですが、全体の稼働率は98.0%。オフィスの稼働率は98.3%と引続き高稼働を
維持出来ました。そして、第20期のネット月額賃料改定実績ですが、オフィスと住宅の
契約更新等テナント入替えを合わせて、ネットで82万円、年換算で990万円の増額となり
ました。後程、改めて説明しますが、オフィスについては引続き新型コロナの影響が続いて
おり、ネットでマイナスでしたが、住宅の増額がカバーした結果、一口当たり分配金換算で
11円のアップとなりました。又、賃料以外の収益力であるエンジニアリング・
マネジメントによるNOI向上見込み額は、年換算で2,125万円、一口当たり分配金換算で
23円アップの実績となりました。ESGに関しては、ここに記載の各種施策を推進すると
ともに、昨年作成したESGレポートの改訂版を発行しました。そして、第21期、第22期
の業績予想ですが、第21期の一口当たり予想分配金は8,259円、第22期の予想分配金は
8,260円となります。引続き、新型コロナの影響が続いておりますが、一部、100坪を
超える区画においても、想定したダウンタイムやフリーレント期間を下回るリーシングが
出来ている区画もあり、不動産売却益を除く巡航ベースCash-Flowにおいて、底打ち、
改善の兆しが出てきたと見ています。電気料金の値上げによる収益の圧迫もありますが、
テナントへの請求単価アップによる回収を含め、巡航ベースでのトップラインの上昇を
見込んでいるものです。
4頁をご覧下さい。決算の実績と業績予想について要点を申し上げます。詳細については、
25頁から27頁に掲載しておりますので後程ご確認ください。
先ず、第20期の実績です。当期純利益は、3,970百万円、第19期との比較では、1,365
百万円の減少となりました。右側に主な変動要因を記載しています。第20期は、第19期
比較で不動産売却益が1,477百万円減少したことが、主な減少要因ですが、修繕費用などの
賃貸事業費用や、控除対象外消費税等その他営業費用の減少等によって、減額幅が縮小した
ものです。又、前回公表の予想対比においては、トップラインが予想対比やや増加したこと
に加え、修繕費やリーシング費用、更には固都税など営業費減少等によって、当期純利益は
107百万円の超過達成となりました。
5頁をご覧下さい。第21期、第22期の業績予想について説明します。第21期の当期
純利益は3,716百万円を予想しています。第20期との比較においては、当期純利益が254
百万円の減少となります。第21期については、第20期比較において賃貸事業収入が増加
する一方で、不動産売却益の剥落で営業収益が約1億円減少することに加え、電気料金
値上がりに伴う水道光熱費の増加や、修繕費の増加等で営業費が約106百万円増加します。
更に支払い利息の増加等で営業外収支が約47百万円のマイナスとなることが主な要因
です。結果、一口当たり分配金は8,259円の予想となり、前回予想対比では100円の上方
修正となります。そして第22期の当期純利益は3,716百万円を予想しています。第21期
予想との比較では、当期純利益ほぼ横ばいで、微増となります。要因としては、電気料金の
値上がり、固都税の上昇、リーシング費用の増加等費用の増加が見込まれる一方で、一部
区画におけるFree-Rent終了に伴うCash-Flowの改善や、テナントへの電気料金請求単価
アップ等によって収益も増加するため第21期対比ほぼ横這いの着地を見込んでいます。
結果、現時点での予想分配金は、8,260円としています。
6頁をご覧下さい。投資主価値である一口当たり分配金とNAVの推移です。上段の折れ線
グラフで示している一口当たりNAVについては、今回も多くの物件において鑑定価格が
売買市場の実態を反映したことを受け、前期比4.5%上昇し413,510円となりました。
一方で、棒グラフで実績と予想を示している一口当たり分配金については、ただ今実績と
予想で説明しましたように、引続き新型コロナの影響による目先低迷状態を予想しますが、
トップラインの上昇の兆しも見えている状況です。業績予想の作成にあたっては、前期同様
に、とりわけ、基準階面積100坪を超える物件については、ダウンタイムとFree-Rentの
前提を長め、保守的に設定していることもあり、第21期、第22期では底打ち、反転に
期待したいところです。そして中期的には、この新型コロナの収束を機に、巡航一口当たり
分配金9,000円台を見据えた成長を目指したいと思っております。
8頁をご覧下さい。第20期末現在のポートフォリオ概要をパイチャートで示しています。
冒頭で示しましたように、期中に実施したオフィス1物件売却後のポートフォリオの姿
です。従前比較、オフィスから住宅へ若干シフトしておりますが、右側の地域別割合を含め、
引続き、都心のオフィス中心のポートフォリオとなっています。後程パイプラインをお示し
しますが、本来であれば、歴史的に収益の高い中規模オフィスへの投資を増やしたいところ
ですが、現状、オフィスの取得環境が厳しいことと、賃料の安定性という点を勘案した場合、
もう少しだけオフィスから住宅へ割合をシフトすることも、一つの選択肢と考えています。
又、9頁で物件、並びに、テナントの分散状況を示していますが、引続きリスク耐性の強い
ポートフォリオであることを示しています。この分散がなければ、かかる状況下での
リーシングには、今以上に苦戦を強いられていたと思っています。
続きまして、第20期の運用状況についてお話しします。11頁をご覧下さい。
コロナ禍の状況を踏まえた環境認識と運用戦略について説明します。先ず、売買マーケット
の環境認識ですが、世界的に金利上昇トレンドに移行する中、本邦不動産の安定した利回り
と良好な資金調達環境を背景に、国内外投資家の取得意欲は旺盛であり、不動産取引価格は
高値圏で推移しています。その環境を踏まえた外部成長戦略としては、引続きポートフォ
リオ・リファイニング戦略の継続によって、タイムリーな含み益の具現化を図るとともに、
規律を順守したパイプラインの積み上げにも引続き取組んでいき、公募増資を視野に
入れた外部成長を目指してまいります。次に賃貸マーケットの環境認識ですが、オフィスの
賃貸マーケットに関しては、全体的に新型コロナの影響の継続による空室率上昇傾向と、
賃料の緩やかな下落傾向がもう暫く続くことが予想されます。中規模オフィスにおいては、
テナントの業績悪化による退去率上昇はピークアウトし、埋戻しが堅調に推移する中、今後
の動向を注視したいところです。住宅に関しては、東京経済圏への転入超過が継続しており、
法人需要、ワンルーム需要は回復傾向にあるため、賃料は安定的に推移すると見ています。
又、商業施設に関しても、引続き注視は必要ながら、消費者動向は回復しており、稼働は
順調です。これらを踏まえた内部成長戦略としては、オフィスについては各種施策による
高稼働率の維持と、Free-Rent Minimizeによる賃料稼働率のアップを目指すとともに、
オフィス、住宅、商業ともに、投資効率の高い戦略的バリューアップによって、賃料増額と
テナント満足度の向上を目指します。又、電気料金の値上げに対しては、テナント請求単価
の見直しと節電対応に注力します。そして、財務戦略としては、コスト上昇を極力抑えつつ、
借入れの長期固定化と調達手法の多様化を図る方針であり、ESGについては、持続可能な
社会の実現に向けた貢献、取り組みを継続する方針ですが、第21期はTCFDへの賛同を
予定しています。
では12頁をご覧下さい。上場来の外部成長のトラックレコードを示しております。
当リートが機動的、且つ、タイムリーな投資を通じて投資主価値の最大化を図るために、
公募増資や資産入替によって外部成長を遂げて来ましたが、今、説明しましたように、昨今
の経済、異常環境下での外部成長戦略としては、パイプラインや新たな物件を活用した資産
入替の継続と、公募増資を見据えた外部成長に向け、スポンサーとの連携や様々なルートを
活用したパイプラインの積み上げにも注力する方針です。
13頁をご覧下さい。ここでは上段に、第19期と第20期に亘って実施した第5回資産入替
と下段に現在のパイプラインの状況を示しております。資産の入替えは、毎年行っている
全物件の定期健康診断であるヒアリングプロジェクトの結果に基づき、収益力や内部成長
余力、優等性の低下した物件を売却し、競合・優位性のある物件に入替えることで、ポート
フォリオの安定性強化を図る方針としていますが、目指すところは中長期的な投資主価値
の向上ということであり、マーケットの変調を捉え、その時々で最適と判断する手法を機動
的に追求しています。そして、現時点のパイプラインは下段に示している通り、2本の
ブリッジファンドで保有する9物件82億円と、スポンサーウエアハウジングの1物件
7億円、合わせて10物件91億円の規模となります。先ほども、ポートフォリオのところで
触れましたが、10物件中9物件が住宅ですが、引き続き今後の成長を見据え、オフィスを
含め更なるパイプラインの積上げに取組んでいるところです。
次に運用状況について説明致します。14頁をご覧下さい。先ず、稼働率とFree-Rent期間
の推移です。冒頭、ハイライトでも申し上げましたが、第20期末の稼働率は98.0%でした。
うちオフィスは98.3%と高稼働を維持しています。今後、第22期にかけて、全体的にほぼ
横這いから、若干稼働低下を予想しています。そして、右側にはオフィスの契約稼働率、
賃料稼働率、Free-Rent期間の推移を示していますが、ご覧のように、新型コロナの影響に
より、第20期Free-Rent実績は、第19期同等の2.9カ月となり、賃料稼働率は第20期末
で94.3%まで低下しましたが、今後賃料稼働率は回復に向かうと見ています。想定としては
前回同様に、基準階面積100坪を超える物件におけるダウンタイムとFree-Rent期間に
ついて、又、100坪未満の物件においてはダウンタイムについて、従来比保守的な前提を
置いて算出していますが、既に埋戻しが決まっている解約予告区画もあり、賃料稼働率は
回復に向かう見込みです。
15頁をご覧下さい。テナント入退去状況およびテナント入替時の月額賃料増減と入退去
理由です。左のグラフがオフィスにおける入退去面積と退去率です。退去率は第18期で
ピークアウトした後、従前の状態に戻りつつありますが、第22期については契約更新対象
面積が大きく、従来通り、そのうち15%が退去する前提としていることに加え、現時点で、
比較的大きな区画の解約予告を複数受領しているため、第20期並みに上昇する予想とする
ものです。そして、この入退去のタイミングにおけるオフィス賃料の増減については、右側
上段に示している通り、第20期はネットで719千円の減額となります。引続き新型コロナ
の影響を受けていますが、第19期との比較においては、減額が減り、増額が増える形で、
ネット減額幅は縮小しています。又、下段に、入退去の理由を示していますが、ポジティブ
な理由が増えた半面、ネガティブな理由もあります。個々の事情により背景は異なるものの、
全体的には動きが活発になって来たと思われます。
16頁をご覧下さい。オフィスにおける賃料増額改定実績および月額賃料増減額・率の推移
です。左側のグラフは直近5期の月額賃料増減の推移です。第20期実績は、減額もあり
ましたが、ネットで523千円の増額となり、第19期比較で改善しました。今回、久々に
契約更新時の減額改定が1件ありましたが、背景としては、当該テナントに、その大阪本社
から経費削減のために移転せよとの指示が出たことに対し、テナント自身は留まりたい
意向が強く、結果、賃料引き下げで決着したものです。ただ、引き下げ後でも、マーケット
賃料よりも高い単価設定となっている状況です。そして、右側上段の円グラフは、紺色の
部分が増額改定面積割合で、グレイの部分が据置き更新面積割合、引続き濃いグレイの④の
交渉を見送った部分が85%ありますが、残りの交渉対象のうち増額となった割合が増えて
おり、回復の兆しが見えております。尚、交渉を見送った約6割がマーケット賃料より高い
テナントですが、これらを含めて次回正常化時点での交渉となります。
17頁をご覧下さい。オフィスにおける賃料増減額・率の合計とレントギャップの推移です。
左側上段のグラフは、15頁のテナント入替、16頁の契約更新、夫々における改定部分に
対する月額賃料の増減額とその増減率を示しています。増減額を合わせて195千円の減額、
増減率-0.08%と僅かにマイナスとなりましたが改善傾向が見られます。そして、右側上段
のグラフで示しているレントギャップですが、第20期末の状況は、当リートのオフィス
平均坪単価については、坪単価の低いオフィス売却に伴い16,282円に上昇した一方で、
マーケット賃料については更に調整が進み、全体のマーケット賃料は16,447円となり
ました。結果、レントギャップのマイナス幅は1.01%へと1.6%縮まりました。このように、
レントギャップが縮小してきていますが、依然としてマイナス圏にあり、下段のグラフで
示しているように、レントギャップのマイナス幅が10%以上あるテナントも相当数いる
ため、そういったテナントを中心に、引続きレントギャップの解消による賃料増額を目指し
てまいります。
18頁をご覧下さい。住宅の入退去状況および月額賃料増減とエリア別稼働率の推移です。
左側上段のグラフは、住宅における入退去面積です。住宅の割合が増えたことで入退去面積
自体も増えていますが、下段の稼働率が示すように、相対的に安定した稼働を保っています。
一時期、新型コロナの影響を受け、稼働が下がった地域もありましたが、今では順調に回復
しているのが見て取れると思います。そして、右側上段のグラフは、住宅のテナント入替時
と契約更新時の月額賃料改定実績です。テナント入替時については、引続きタワーコート
北品川を中心に、東京、大阪、名古屋の主だった増額が寄与しており、ネットで672千円
の増額となりました。又、今期から物件を選定の上、契約更新時における賃料増額改定の
取組みにも注力をしており、今期は348千円の増額となりましたので、合わせて102万円
の月額賃料増額となったことで、オフィスのマイナスをカバーしました。引続き安定を担保
する住宅においても成長を追求することで、少しでも安定成長を実現していきたいと考え
ています。
19頁はエンジニアリング・マネジメントについてです。エンジニアリング・マネジメント
については、毎回説明している通り第20期のNOI向上に繋がる実績は、年間NOIベース
で2,125万円のバリューアップと、そこに記載の通り、一口当たり分配金換算で約23円
増加に繋がる施策を実施しました。賃料増額が低迷している中において、収益下支えの一助
となり、且つ、テナントの満足度の向上等によって、間接的に内部成長に寄与するとの
エンジニアリング・マネジメントは、一つの重要な戦略となっています。引続き収益への
直接的な効果として、一口当たり分配金を毎期20円程度押し上げ、同時に、テナントを
引き付ける施策を打っていく方針です。
20頁をご覧下さい。エンジニアリング・マネジメントの実績です。このエンジニアリング・
マネジメントは、2015年12月期(第7期)から実施、継続している施策ですが、ここで
第7期から第20期までの主な施策を掲載しておりますので、後程ご確認頂ければと思い
ます。
続いて財務運営について説明致します。21頁をご覧下さい。左側上段は、有利子負債の
状況です。第20期末時点の有利子負債残高は132,620百万円となり、長期比率は100%、
固定金利比率は96.9%となっております。左側下段はLTV推移ですが、第20期末時点で
の総資産LTVは48.2%でした。引続き45%から50%のレンジでコントロールしていき
ます。又、時価ベースLTVは39.8%となります。右側には借入先の一覧を示していますが、
ご覧の通り、三菱UFJファイナンシャルグループを中心とする各金融機関様から盤石な
サポートを頂戴しております。引続きグリーンボンドを含め、調達手法の多様化と健全な
財務体質の維持・向上へ取組んでまいりたいと思います。
22頁をご覧下さい。左側上段は第20期に実行したリファイナンスの概要です。収益と
コストのバランスを見ながら、徐々に長期固定を図っていくという方針に基づいて、期日が
到来した借入金33億円について長期化を図っています。右側上段にありますように、
オールインコストは第20期末現在0.95%です。平均調達年数は若干長期化しましたが、リファイナンス金額が少なかったため、平均残存期間については少し下がりました。引続き
全体収益とのバランスを図りつつ、マネジしていきたいと考えています。下段のグラフは
マテュリティラダーです。ご覧のように、期日分散を効かせた状態を維持しつつ、長期化に
取組んでいることがお分かり頂けると思います。又、左側中段に格付けの状況を示しており
ますが、昨年7月にワンノッチ格上のA+となっており、次なるAAに向けTrack Records
を積んでいきたいと思います。
23頁をご覧下さい。サステナビリティに関する取組みです。当リートはESGの視点を取り
入れたサステナビリティ上のマテリアルを特定し、目標達成に向けて施策を実施していま
す。環境負荷となるCO2の削減や保有物件の省エネ、認証を進め、グリーンファイナンス・フレームワーク第三者評価を取得し、テナント満足度向上の諸施策を立案・実施するなど
して、GRESBリアルエステイトでも高い評価を得ております。ESGへの取組みの詳細は
56頁以降に記載しておりますが、サステナビリティ・レポートの改訂版の開示により
投資家の皆様にお伝えし、持続可能な社会形成のために当リートは、引続き必要な責任と
役割をはたしてまいります。
私からの説明は以上となります。
今般の新型コロナの問題は依然として蔓延状況が継続している中、我々を取り巻く環境は
依然として厳しさが続いておりますが、賃貸市況においては回復の兆しが出ています。
この新型コロナの問題が一日も早く収束することを祈念しつつ、社会におけるJ-REITに
課せられた使命を果たすとともに、これまで同様に規律を持った運用に取組むことで、
投資主価値の維持・向上を継続してまいる所存ですので、引続き日本リート投資法人に
対するご支援を賜りたく何卒宜しくお願い申し上げます。
ご清聴ありがとうございました。