積水ハウス・リート投資法人 2022年4月期決算概要

積水ハウス・リート投資法人
2022年4月期(第15期)決算説明動画配信説明書&質疑応答
動画  https://www.net-presentations.com/3309/20220617/dcboyas/
資料 
https://sekisuihouse-reit.co.jp/file/term-4bba3aa0cf23145c2c67904b8508a4e374e5469c.pdf
質疑応答(要約)
https://sekisuihouse-reit.co.jp/file/top-097d53c34f334c6fce5d798ff9fbbdd7014bc909.pdf
説明者  積水ハウス・アセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 阿部 亨
説明
決算内容につき説明させて頂きます。
資料の1頁目をご覧下さい。先ずは、エグゼクティブサマリーです。2022年4月第15期
の業績ですが、分配金は一口当たり1,698円で、公表予想値と変わらず、前期比で△105円
となりました。前期において計上した譲渡益が剥落したため前期比が大きくマイナスに
なりましたが、公表予想数値と同水準での着地になりました。2022年10月第16期、及び、
2023年4月期第17期の分配金は、夫々1,688円、1680円を予想しています。主に
オフィスビルにおいてテナントの減少、退去が発生していることが減益要因となるものの、
決算発表と同時に公表致しました資産入替えによる譲渡益の計上や、NOIの増加、内部
留保の活用により1,700円弱ですが、その水準を維持できる見込みです。次に成長戦略です
が、決算発表と同時に資産入替えと自己投資口の取得という2つの施策を公表しており
ます。資産入替えは、ホテル、ザ・リッツカールトン京都を230億円で譲渡するとともに、
住居2物件を127億円で取得しました。又、譲渡代金の一部を活用し、本投資法人初と
なります自己投資口の取得を実施致します。これらの施策については後程説明させて頂き
ます。ESGにつきましては、KPI達成についての取組みを着実に実行してまいりました。
グリーン認証割合については、保有物件において取得を進め、66%まで上昇致しました。
CO2排出原単位の削減については、主に住居206物件の共用部において、再生可能
エネルギー由来の電力を導入した効果で、2018年度比で45%程度まで削減が進む見込み
です。その他、本投資法人初となりますポジティブ・インパクト・ファイナンスによる
借入れの実施、MSCIジャパン、ESGセレクト・リーダーズ指数への組入れの実現と、
着実に前進させることが出来ました。
続いて2頁目をご覧下さい。こちらにはアセット別の運用状況を纏めております。先ず、
オフィスビルですが、期中平均稼働率は97.3%、期末の22年4月末時点の稼働率は、97.9%
となりました。東京2物件で空き区画が発生していますが、その一部については埋戻しを
進めました。大阪や名古屋を初めとした他の物件については稼働率100%を維持しており
まして、安定した運用を継続しております。次に住居についてですが、期中平均稼働率は、
96.5%、期末の4月末時点の稼働率も96.5%と、前期から引続き稼働重視の施策を実施した
こともあり、安定的に推移致しました。一方、稼働率重視の施策を実施した結果、賃料
変動率は、僅かではありますが、△0.1%程度とマイナスになりました。東京23区において、
シングルタイプの弱さは続いておりますが、全国主要都市が好調で、全国的にファミリー
タイプの需要が強い状況が続いており、これらの賃料は上昇しております。ホテルについて
は、国内観光需要はまん延防止等重点措置により、旅行需要が低迷致しました。解除され
ました3月下旬以降の週末は、回復傾向になったものの、インバウンド需要については、
引続き、ほぼ0の状況が続きました。本投資法人が保有する2つのホテルについては固定
賃料のみの収益計上となっております。
次の3頁では、これらアセット毎の運用実績を踏まえ、2022年4月期の決算概要を説明
致します。営業収益14,756百万円、営業利益7,625百万円、当期純利器6,745百万円、
一口当たりの当期純利益は1,522円、内部留保を取崩したことにより一口当たり分配金は
1,698円となりました。前期比ベースで見ますと、第14期に計上しました住居9物件の
譲渡による譲渡益の剥落が、大きな減益要因となりました。アセット別のNOIでは、
オフィスが、主に東京圏の物件における稼働低下の影響があるものの、赤坂ガーデンシティ
第2回取得部分が寄与したため、196百万円の増加となりました。住居では、既存の物件
では稼働重視の施策を実施し、新規契約が増加した結果、費用が増加したことを主因に、
△6百万円となりました。ホテルはほぼ横這いです。尚、表の右側にあります公表予想値
との比較では、販管費及び営業外費用の削減により予想を上回っての着地となりました。
5頁にお進みください。第16期、第17期の業績予想におけるアセット別運用状況の
見込み、想定について説明致します。オフィスについては、ガーデンシティ品川御殿山に
おいて大口テナントの減少等により5,439.30m2の空き区画が発生することが確定して
おります。赤坂ガーデンシティでは増床があるものの、退去テナントもあり、オフィス全体
では、ポートフォリオに占める割合で約6.5%の8,901.15m2の空き区画が生じる予定です。
これらは、引続きフリーレントの活用や区画の分割等、条件緩和を含めてリーシング活動を進めて行きたいと思います。住居については、第15期と同様稼働率を重視する施策を維持
する方針です。賃貸住宅市場については、全体としては更なる悪化が予想される状況には
ありませんが、中長期的には徐々に回復すると見込んでおります。物件毎の需要動向を
見ながら、賃料増額にも取組んでいく考えではおりますが、本格的な賃料上昇にはもう暫く
時間が必要と考えております。尚、相対的にパフォーマンスが落ちている東京23区
シングルタイプについても、人口動態は回復傾向にあること、又、有効求人倍率が上昇傾向
にあるため、今後徐々に需要が回復すると見ております。
続いて6頁です。2022年10月期(第16期)、2023年4月期(第17期)の業績予想です。
こちらについては、今回公表しました自己投資口の取得による影響は加味しておりません。
第16期は、今回公表しましたザ・リッツカールトン京都の譲渡益を計上することにより、
増益となる見込みです。一口当たり当期純利益は1,578円、加えて内部留保の取崩しとして
110円を加算し、一口当たり分配金は1,688円を見込んでおります。次に第17期ですが、第16期予想と比較して、2022年8月に取得予定の住居2物件が通期稼働することが
プラスになるものの、ザ・リッツカールトン京都の譲渡益が剥落することが主因となり、
減収・減益となる見込みです。一口当たり当期純利益は1,457円、内部留保等を取崩し
233円を加算し、一口当たり分配金は1,680円を見込んでおります。第16期、第17期の
アセット別NOIベースでは、第15期対比でオフィスビルは稼働率の低下を見込むこと
からマイナス、住居は第15期、第16期に取得した物件の通期稼働がありプラス、ホテル
はザ・リッツカールトン京都の賃料が剥落することからマイナスとなる見込みです、
続いて9頁をご覧下さい。こちらでは、今回決算発表と同時に公表致しました施策に
ついて概要を説明致します。先ず、コロナ禍において歩合賃料が0となり、NOI利回り
1.7%と収益性が低下しておりましたザ・リッツカールトン京都の譲渡を決定しました。
こちらの譲渡により、譲渡益613百万円を計上する予定です。一方譲渡代金を活用し、
安定した収益計上を期待できる資産として、住居2物件127億円の取得を決定致しました。
この資産入替により、資産規模は一旦縮小するものの、取得資産の鑑定利回りは4.9%で、
NOIの増加とポートフォリオNOI利回りの改善を見込んでおります。これらの結果、
譲渡益を除いた資産入替えによる収益改善効果として、一口当たりで第16期に3か月分の
寄与で、プラス5円、第17期はプラス9円を見込んでいます。又、自己投資口の取得に
よる一口当たり分配金への影響として、5月31日時点の本投資法人の投資口価格79,500円
で、上限である40億円まで取得した場合の試算値としては、第16期にプラス17円、
第17期に19円の効果が見込まれます。
それでは10頁をご覧下さい。譲渡を決定しましたザ・リッツカールトン京都についての
説明です。足元国内観光需要、インバウンド需要ともに回復の期待が高まっている状況と
認識しています。但し、この頁下段にお示ししたホテルの営業期間と収益の関係にあります
通り、本投資法人が受取る歩合賃料については、ホテルの営業期間と歩合賃料の発生時期に
タイムラグがあること、又、その決定が年に1回であることから、2023年4月までの歩合
賃料が0であることが確定しています。加えて直近の状況を考慮すると、少なくとも
2024年4月までは、歩合賃料の発生は難しいと判断をしております。そのなかで、譲渡益
6億円程度を計上した譲渡を行い、その譲渡代金を活用することで新たな資産の取得、及び、
自己投資口の取得により収益性の改善を図ることが、投資主の最大化に資すると判断を
させて頂きました。又、今回ホテル1棟を譲渡致しますが、本投資法人のポートフォリオ
構築方針に変更はありません。今後、旅行需要が本格的に回復し、適正な収益を得られると
判断出来る場合には、ザ・リッツカールトン京都の再取得を含め、改めて検討することに
したいと思います。尚、今回、スポンサーに譲渡することで、ザ・リッツカールトン京都に
ついて、スポンサーの売却時における優先交渉権は、引続き保持される状況です。
続いて11頁をご覧下さい。こちらは取得を決定した2物件の概要を記載しております。
2物件とも積水ハウスが開発した東京23区内に所在する物件です。プライムメゾン江古田
の杜については、江古田の杜プロジェクトの一部としてスポンサーである積水ハウスが
大規模開発した物件で、全622戸と、本投資法人が保有する住居の中で最も大きな物件と
なります。次の頁で詳しく説明させて頂きます。又、プライムメゾン早稲田通りについては、
東京メトロ早稲田駅から徒歩3分と、交通利便性が高く、近くには早稲田大学があるなど、
単身者、DINKSなど安定した需要があると見込んでおります。
では、次の12頁をご覧下さい。プライムメゾン江古田の杜についてです。プライムメゾン
江古田の杜は、本投資法人としては初の取得となるサービス付き高齢者向け住宅、有料老人
ホームといった、所謂シニアアセットを含む物件であり、子育て世代向け賃貸マンションで
あるプライムメゾン江古田の杜イースト/ウエスト、学生・単身者向け賃貸マンションで
あるマストワン江古田の杜、サービス付き高齢者向け住宅であるグランドマスト江古田の
杜、有料老人ホームであるニチイホーム江古田の杜の5つの建物で構成されています。
先ほど申し上げました通り、江古田の杜プロジェクトとして、積水ハウスが開発を行った
物件であり、多世代により育まれる持続可能な地域をつくるとのコンセプトのもと、開発
区域内には、総合東京病院がある他、リブインラボと呼ばれる公共スペースとレストラン、
学童クラブ、保育所などがありまして、子供から高齢者まで、幅広い世代が伸び伸びと安心
して暮らせる町づくりが行われています。又、ESGにも配慮し、樹齢の長い既存樹を
そのまま活用した緑の配置、遊歩道の設置、建物の屋上への太陽光発電パネルの設置、
中野区の防災備蓄倉庫の設置、その他にも井戸や竈ベンチなどの非常時に役立つ設備が
導入されています。更に、プライムメゾン江古田の杜イースト/ウエスト棟については、
全戸に家庭用燃料電池システムであるエネファームを導入しております。収益の面では、
シニアアセットであるグランドマスト江古田の杜については、マスターリース会社からの
固定賃料、ニチイホーム江古田の杜については、テナント1社との長期賃貸借契約の締結、
又、シングルタイプで構成されているマストワン江古田の杜については、2社のテナントに
より長期賃貸借契約を締結されており、安定した収益を見込んでおります。更に、プライム
メゾン江古田の杜イースト/ウエストにつきましても、ファミリータイプの賃貸マンションであり、足元、高稼働を維持していることから、こちらも安定した収益を見込めると判断
しております。
では、13頁です。こちらには、自己投資口の取得について記載をしております。下段の
投資口価格の推移に示している通り、昨年2021年11月以降、本投資法人の投資口価格は
一口当たりNAVを下回った水準を継続しており、割安な状況が続いております。このよう
な中で、住居2物件の取得に加え、譲渡代金の活用について検討を重ねてきた結果、自己
投資口の取得、償却による一口当たりNAV、一口当たり分配金の増加が、投資主価値の
向上に資すると判断し、本投資法人として初めて、自己投資口の取得を決定しました。
先ほども説明しましたように、5月31日時点の投資口価格79,500円による、自己投資口
価格の取得を前提とした試算では、第16期、第17期の合計で36円の押上げ効果があると
見込んでおります。
次に14頁です。こちらでは、今回公表しました資産入替えを考慮した後のポートフォリオ
を記載しております。ザ・リッツカールトン京都を売却したことで、ホテルアセットの比率
は低下し、オフィスビル・住居の比率が上昇しておりますが、先ほどもお伝えしたように、
ポートフォリオ構築方針の中長期的比率の目標に変更はありません。
15頁をご覧下さい。第15期末のNAVは、一口当たり87,809円と、前期から1,486円
増加を致しました。NAV増加の主要因である鑑定評価額については、次の16頁に記載を
しておりますのでご覧下さい。
第15期末の鑑定評価額の総額は6,479億円と、前期比で424億円となりました。内訳を
見ますと、第15期に取得した住居2物件、及び、赤坂ガーデンシティの第2回取得に伴う
増加分が367億円ありますが、それ以外の既存物件だけで見ても、前期比で74億円含み益
が増加しております。主に、住居においてキャップレートが低下したことにより、鑑定評価
価額が上昇しました。
18頁にまいります。ここからオフィスビルの運用状況について説明を致します。全体の
稼働率は、前期末の97.4%から97.9%と若干の改善をしております。下段に新規契約と
更新契約の状況を記載しておりますが、第15期の新規区画合計2,009.52m2の内訳は、
品川御殿山で1,189.94m2、赤坂ガーデンシティで819.58m2の成約があり、埋め戻しを
行っています。一方で、第16期に生じる退去2,093.49m2、及び、減床3,345.81m2は、
ガーデンシティ品川御殿山になります。賃料増減率については、東京圏においては足元の
リーシング状況からも下押しの圧力がかかっている状態で、第15期では5.4%減となって
おります。
19頁をご覧下さい。各オフィスビルの状況について説明します。先ずは、ガーデンシティ
品川御殿山の運用状況についてです。本物件については、空き区画のうち1,189.94m2を
3月に埋め戻し、残り526.92m2をリーシングしておりましたが、7月に1件の退去、8月
に1件の減床が確定しておりまして、既存の空き区画と合わせると5,966.22m2について
空きが出て、リーシングを行っていくという状況になります。
続いて20頁、赤坂ガーデンシティです。赤坂ガーデンシティでは第15期に819.58m2の
空き区画が発生しましたが、退去分と同じ面積の埋戻しを第15期中に完了しております。
第17期に1,211.77m2の退去を予定しておりますが、既存テナントからの館内移動、増床
ニーズもあり、579.48m2の増床も確定しております。先ほど説明したガーデンシティ品川
御殿山も赤坂ガーデンシティも、既存テナントの皆様からの満足度は高く、環境性能にも
優れており、CASBEE不動産評価認証ではSランクを取得しております。内覧についても
継続的にご覧頂いており、引続き物件のグレードの高さ等訴求しましてリーシングを進め
てまいります。
次の21頁には、大阪圏、名古屋圏、御殿山SHビルの運用状況を記載しておりますが、
足元懸念はなく100%の稼働を維持している状況です。本町ガーデンシティにつきましては、
本年の5月に積水ハウスと賃料固定型マスターリース契約を同条件で、新たに2年間の
契約で更新しております。
続いて22頁です。レントギャップですが、オフィスマーケットの弱含みにより、前期と
比較して、東京圏はプラス幅を拡大、大阪圏は僅かに縮小しているという状況です。東京圏
については、先ほど説明しました通りですが、大阪圏については増賃の可能性があると
考えられるテナントさんもおられますので、しっかりと交渉を実施してまいりたいと思います
続いて住居の運用状況を説明致します。23頁をご覧下さい。住居ポートフォリオにおいて
は、稼働率が4月末時点で96.5%、期中においても平均96.5%と、安定的に推移を致し
ました。地域別の内訳を見ますと、全国主要都市が98.2%と好調をキープする一方、東京
23区は、一時94%台で推移するなど、引続き相対的に弱い状況が続いております。下段の
グラフは東京23区の部屋タイプ別の稼働率の推移になります。ファミリーラージタイプの
稼働は好調を維持しております。一方、シングルタイプについては稼働率が94%を下回る
場面もありまして、回復に時間がかかっている状況です。しかし、賃貸住宅市場については
底打ち感があると感じておりまして、東京23区シングルタイプのパフォーマンスは、人口
動態の足元の回復傾向や有効求人倍率の上昇により、今後、緩やかな回復が期待できるの
ではないかと考えております。
続いては24頁です。住居ポートフォリオ全体の新規契約、更新契約の状況を記載して
おります。賃料変動率は、コロナ禍以降も新規契約、更新契約ともにプラスを維持して
きましたが、第15期は新規契約が僅かにマイナス、更新契約はプラスという結果になり
ました。新規契約における賃料変動率の低下、そして礼金取得率の低下は、コロナ禍以降の
賃貸住宅市場の変化が影響したものと考えております。稼働率重視の施策の効果も一定
程度ありますが、稼働について底入れから回復と向かう動きが出始めております。一方、
賃料変動率については、回復というにはまだ早く、もう暫く時間がかかると考えております。
引続き稼働率を重視しつつ、リノベーションなどにより資産価値を向上させて、稼働率の
維持向上と賃料増額の2つを目指していきたいと考えております。
25頁はホテルの運用状況になります。第15期は、保有している2つのホテルともに、
引続き固定賃料のみの収益計上となりました。第16期には、ザ・リッツカールトン京都
の譲渡を予定し、譲渡益613百万円の計上を見込んでおります。又、セントレジスト大阪
については、収益連動賃料は未発生となっておりますが、固定賃料の割合が大きい物件です
ので、本投資法人の収益に対するコロナ禍の影響は軽微な状況です。
次は26頁、資産価値向上への取組みについてです。収益力向上に向けて、特に23区、
シングルタイプの稼働率、及び、賃料の維持向上を企図し、各種リノベーションなどを実施
しております。プライムメゾン本郷では、広めのワンルームに稼働間仕切りを設置すること
で、在宅ワークの影響を受けたプラス1部屋のニーズを受けて、リプランニング未実施の
同タイプの部屋と比較した場合、月8千円の賃料増額が出来ております。又、エスティ
メゾン白金台では、リノベーションにより月8万円の賃料増加が出来たケースもあります。
内部成長が難しい環境ではありますが、引続き物件の収益力向上施策、アイデアを出し、
実施し、内部成長に努めてまいります。
続いて28頁、財務の状況に移らせて頂きます。財務基盤については、安定的な状態を維持
しております。当期末のLTVは45.5%であり、仮に47%まで上昇させた場合の物件取得
余力は、168億円程度となっております。引続き良好なクレジットを活かし、安定的、且つ、
強固な財務基盤を維持していく方針です。又、5月末に本投資法人として初めて行いました
ポジティブ・インパクト・ファイナンスによる借入れを行っておりますが、後程紹介させて
頂きます。
続いて31頁、成長戦略に移らせて頂きます。前期にお伝えしておりますが、分配金目標と
して1,700円程度の維持に努めていきたいと考えております。23年4月期第17期までは、
内部留保を活用して、分配金水準の安定化を図る予定ですが、第18期以降は内部留保の
取崩しが無くなりますので、それまでに、先ずは空き区画が出ているオフィスの早期
リーシングアップ、そして住居、特に東京23区シングルタイプの稼働率の改善が必要と
認識をしております。そして取得余力の活用や、投資口価格回復後の公募増資での新たな
資産の取得により、収益基盤を強化し、更にポートフォリオの質的向上を目的とした資産
入替えによる譲渡益計上についても、引続き検討してまいります。いずれの施策についても
スポンサーグループからのパイプラインが重要になりますし、178億円程度ある含み益を
活用して、取組んでまいりたいと考えております。
次の32頁では、パイプラインサポートについて記載しております。積水ハウスにおける
賃貸住宅プライムメゾンシリーズの開発状況と都市再開発状況などについてです。パイプ
ラインの総額は、約2,600億円となります。又、この2,600億円に含まれておりませんが、
積水不動産各社からの物件取得機会もあります。不動産マーケットは引続き高騰して
おりまして、利回り水準から見ても第三者からの物件取得は、非常に難しい環境が続いて
おりますので、スポンサーサポートを最大限活用し、引続き外部成長機会を追求してまいり
ます。
最後にESGについて説明致します。こちらでは、ESGに関する主な取組みをご紹介させて
頂きます。重要なマテリアリティの一つ、環境性能に優れた不動産への投資の目標KPIを
前期に見直しをし、ポートフォリオのグリーン認証割合70%以上の目標念を2030年度
から、2022年度へと大幅な前倒しを決定しております。本日時点の進捗に関しましては、
矢印内に記載の通り、ポートフォリオ全体の66%までグリーン認証を取得することが出来、
前期末比で8.8%上昇しました。最近の取得状況としては、資料の下半分に記載の通り、
CASBEE不動産評価の取得が3物件、DBJ Green Building認証が新たに10物件取得を
しております。CASBEE不動産取得に関しては、保有するオフィス物件7物件のうち、
6物件にて取得済みで、全てに最上位のSランクを獲得しております。DBJ Green
Building認証に関しても、保有する住居111物件のうち半数以上の55物件で5段階中の
3段階目の3星にあたります「非常に優れた環境、社会への配慮がなされた建物」以上の
評価を得ることが出来ております。
2つ目の取組みとして取上げておりますのは、ポートフォリオのCO2排出原単位の削減
です。こちらの目標KPIも昨年見直しを行っており、2030年度までに2018年度比で20%
CO2排出量削減という目標から50%削減と、こちらも削減幅を大幅に引き上げております。
これに向けて、当期の大きな取組みとして保有しております住居111物件のうち106物件
の共用部において、CO2排出量が実質的0となります、再生可能エネルギー由来の電力
プランに切換えを実施致しました。それに加え昨年9月にも、オフィスビルの本町南
ガーデンシティも同様に切換えを実施しておりまして、住居物件を含めこの導入施策に
より試算値としてCO2排出量、及び、CO2排出原単位が減少していることが、右下の
グラフで見て頂けるかと思います。あくまで試算値ではありますが、この導入により
ポートフォリオ全体のCO2排出原単位が、2018年度比で約45%削減できると見込まれて
おります。
最後のご紹介ですが、本投資法人初のポジティブ・インパクト・ファイナンスよる借入れを、
5月末に実施しました。リート市場でも事例が少ないポジティブ・インパクト・
ファイナンスですが、これは国連環境計画・金融イニシアティブが提唱するポジティブ・
インパクト金融原則に基づき、企業活動が環境・社会・経済に及ぼすポジティブと
ネガティブな影響を包括的に分析・評価し、当該活動の継続的な支援を目的とした融資を
意味しております。表中に記載しております本投資法人が掲げているマテリアリティの中
から、SDGsの目標達成に対し、インパクトを与える主な活動で評価を得た内容が記載
されております。このような評価に伴い、今回60億円の借入れを実施し、短期借入金の
期限前返済に充当させて頂きました。これからも、ESGを経営の最重課題の一つとして
位置付けまして、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、企業価値の向上に努めて
まいります。
ご説明は以上でございます。
最後になりますが、引続き不動産マーケットは、先行きが不透明な状況が続くかとは思い
ますが、本投資法人はスポンサーグループと連携し、安定的な運用を目指してまいります
ので、引続き皆様方からのご支援を宜しくお願い申し上げます。
ご清聴、有難うございました。