ヘルスケア&メディカル投資法人 2022年1月期決算概要

ヘルスケア&メディカル投資法人
2022年1月期(第14期)決算説明 動画配信説明書
動画 https://www.video-streaming.net/ir/3455/2022_01_14/
資料 
http://www.hcm3455.co.jp/file/term-50de6860d1aca3e525b55293e62ddb786ae2a72a.pdf
説明者 ヘルスケアアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 吉岡 靖二 説明
HCM(ヘルスケア&メディカル投資法人)は、2015年3月に上場して以来、優良な
オペレーターが運営するヘルスケア施設に継続的に投資し、その安定的な運用に注力して
います。今般2019年2月以来の公募増資を実施し、新たに10物件を取得して、資産規模
は784億円に拡大します。本日はHCMの2022年1月期、第14期の決算、並びに、
第15期、第16期の業績予想に加えて、今回の公募増資の概要、そして今後の外部成長や
ESGへの取り組みについてご説明します。
資料の3頁をご覧下さい。第14期、2022年1月期のハイライトです。
先ず、業績面です。前期に取得した優良老人ホーム、ニチイホーム西国分寺の賃料収入が
通期で寄与した一方で、減価償却費用等の賃貸事業費用が増加しました。その結果、一口
当たり分配金は3,244円と前期より22円減少しましたが、昨年9月に公表済みの予想値
からはプラス8円の着地となりました。又、一口当たりNAVは、124,814円と約3,900円
上昇しました。財務面では、有利子負債331.5億円のうち、70億円についてソーシャル
ローンによるリファイナンスを実施しました。LTVは前期末から0.1ポイント上昇し、
48.2%、平均残存期間は2.9年となりました。又、JCRの長期発行体格付けはシングルA
で、昨年7月の見通しの安定的から、ポジティブに好転しています。次に運用状況です。
当期中に物件の新たな取得、譲渡はなく、期末時点の資産規模は690億円、一方、既存
37物件の約半数で鑑定評価額が上昇した結果、含み益は69億円に拡大しました。新型
コロナウイルス感染症の影響は引き続き限定的です。ポートフォリオの稼働率は100%を
維持し、当期においてもコロナを理由にした賃料減免や支払い猶予は一切ありません
でした。
続いて今回の公募増資について説明致します。4頁をご覧下さい。
新規発行口数は、第3者割当分も含めて、48,499口、発行価格は124,764円で、総額
約58億4,000万円のエクイティ資金を調達致しました。ストメントハイライトは3点。
1点目はJ-REIT唯一の専業リートとしてコロナ禍においても堅調な運用実績と安定的な
Cash-Flowを確保していること。2点目は、HCMの強みである幅広いネットワークと
スポンサーサポートを活用して、良質な物件を取得し、又、パイプラインも着実に積み
上がっていること。3点目は、三井住友銀行をバックとした盤石な財務基盤の構築、そして、
ESGへの取り組みを通じた高齢社会への貢献と、中長期的な投資主価値の向上です。
ロードショーでは、これら3点について、投資家様から一定のご理解、ご評価を頂けたもの
と考えております。新たに取得する資産は、有料老人ホーム、及び、サービス付き高齢者
住宅の10物件で、取得価格は合計114億円、平均鑑定NOI利回りは5.2%で、1月末時点
のImplied Cap Rate5%を上回っております。又、オペレーターとの賃貸借契約の平均残存
年数は約20年で、長期安定的な収入が見込まれています。公募増資による効果ですが、
先ず、資産規模が784億円に拡大、経済的な効果としては2022年7月期の一口当たり
分配金が、昨年9月に公表済みの予想値から109円増加し、又、一口当たりNAVも
2022年1月末対比1,438円上昇する見込みです。尚、LTVについては、2022年1月対比
と変わらず48.2%となる見込みです。
5頁は新規取得資産の一覧です。主要スポンサーのNECキャピタルを初め7社から
首都圏、近畿圏、そしてHCMとして初めて北海道札幌市のヘルスケア施設を取得します。
6頁をご覧下さい。新規オペレーターは3社です。そのうちノアコンツェルは、サービス
付き高齢者向け住宅の運営業者としては北海道最大手で、定期巡回、随時対応型訪問介護
看護による24時間対応の介護サービスや天然温泉付き大浴場等の充実した設備、
リーズナブルな料金設定が特徴です。シニアライフサポートは外食事業を展開する
ゼンショーホールディングス傘下、又、明昭は東京都足立区を中心に13の病院を運営する
苑田会グループの介護事業社です。3社とも全国で事業展開するNational Operatorでは
ありませんが、各地域において安定した実績と信用力を有する会社です。尚、各資産の詳細
につきましては、29頁以降のAppendix①をご参照頂ければ幸いです。
それでは決算の中身をもう少し詳しくご説明致します。
8頁は第14期末時点の主な指標を示しております。HCMが保有する37物件の鑑定
評価額の合計が前期末比9億円増加しました。約半数の物件でCAP RATEが見直され、
10ベーシスから20ベーシス低下したためです。これにより、含み益は13億円増えて、
69億円となりました。
9頁です。A列が前期13期の実績値、B列が昨年9月に公表した第13期の予想値、
C列が14期の実績値です。先ず、第14期の営業収益ですが、昨年3月取得したニチイ
ホーム西国分寺の賃料収入が通期で寄与し、計画通りプラス700万円の増収となりました。
一方で、営業費用については減価償却費や修繕費等が前期比増加しましたが、全体では計画
を下回りました。この結果、当期純利益は9億1,300万円、一口当たり分配金は、前回予想
から8円積み増して、3,244円と致しました。
10頁をご覧下さい。C列が大15期の今回の予想値で、その隣のB列は昨年9月に公表
した当初予想値です。第15期の営業収入は、前期比2億9,000万円増収の23億7,100万円を計画しています。一方費用面では、新規取得物件に関わる減価償却費や管理業務費、又、
新規借り入れに伴い、支払利息が増加します。この結果、当期純利益は10億9,200万円、
一口当たり分配金は前期比プラス103円、昨年9月の当初予想値からは109円増えて、
3,347円を見込んでいます。今年の1月公募増資ローンチ(Launch)のタイミングで公表
した前回予想値からは変更はございません。D列の第16期については、前期に取得した
資産からの賃料収入が通期で寄与する一方で、総資産の拡大に伴い資産運用報酬が増加、又、
当期に開催予定の投資主総会の費用が発生する見込みです。この結果、当期純利益は、
10億6,900万円、一口当たり分配金は、1月に公表済みの通り3,286円を見込んでいます。
続いて11頁、財務状況です。第14期末、2022年1月期末の有利子負債は、20億円の
ソーシャルボンドを含めて総額331.5億円、今回の公募増資に合わせて3月30日に物件
取得資金としてソーシャルローン55億円の借り入れを行う結果、3月末での有利子負債の総額は、386.5億円に増加します。平均残存年数は2.9年、又、総資産LTVは48.2%で、
目途としている50%まで引き上げた場合の借入金の調達余力は28億円となります。
借入先は全部で14行です。引き続き三井住友銀行を中心とした強固なBank Formationの
もと、安定した財務基盤を構築してまいります。
12頁をご覧下さい。コロナ禍においても分配金は安定的に推移し、一口当たりNAVも伸長
しています。
13頁です。上場来のポートフォリオの含み益と含み益率の推移です。順調に拡大しており
14期末時点の含み益は69億円、含み益率は10.5%です。
次の14頁は、2019年1月以降の投資口価格の推移です。コロナ禍においても東証リート
指数、及び、東証リート住宅指数を概ねOutperformしております。ただ、今年に入って
からはマーケットが非常に不安定で、HCMの投資口価格も公募増資発表後、一時13万円
を割り込みましたが、現状は14万円台まで回復しています。
15頁です。公募増資と通じた時価総額の拡大と流動性の向上によりグローバルな不動産
投資指数であるEPRA Nareit Global Indexへの組入れの蓋然性が高まってきました。
第15期以降の組み入れを企図し、英文の年次報告書の開示等の準備を進めています。
続いてポートフォリオの運用状況です。
17頁をご覧下さい。第14期末時点、並びに、公募増資による資産取得後のポートフォリオ
の状況を記載しています。公募増資後の3月末時点の資産規模は47物件、784億円に拡大、
3大都市圏比率は82.8%と引き続き80%以上の高い水準です。ポートフォリオの稼働率が、99.9%と100%を切りますが、これは既存の愛広苑壱番館ビル内のエンドテナントで、HCM
が直接賃貸していた先の1社が退去し、2月1日以降空室が生じたためです。オペレーター
につきましては、新たに3社が加わり、全部で16社となり分散が進みました。円グラフ
で示しているように、シェア別では、主要スポンサーのシップヘルスケアグループの
グルーンライフ、及び、グリーンライフ東日本が合わせて24.1%でトップ、これに業界大手
のSOMPOケアとベネッセスタイルケアが続きます。
18頁をご覧下さい。私共は、極め細やかなデュー・デリジェンス、並びに、継続的な
モニタリングを通じて、オペレーター、及びに、施設の運営状況をしっかりと見極め、
安定的なポートフォリオの構築に努めています。事業デュー・デリジェンスに関しては、
オペレーターの業歴、業容や財務内容はもとより、各施設の施設長や本社の幹部の方との
面談を通じて、事業モデル、コンプライアンス体制、虐待防止への取り組み状況、人員の
確保と育成方針などOperationalな部分もしっかりと精査しています。この事業デュー・
デリジェンスを初め、ヘルスケア分野の知見が求められる業務を行う専門部署として、昨年
10月に、ヘルスケア業務推進部を新設しました。私どもの強みであるヘルスケア分野の
知見を集約し、更なる専門性の蓄積と、資産運用力の向上を図ってまいります。HCMは、
こうして厳選したオペレーターとの間で、原則、賃料固定、長期の賃貸借契約を締結して
います。公募増資による新規資産の取得が完了する3月末時点で、賃貸借契約は、全て賃料
固定、又、平均残存年数は13.1年になる見込みです。尚、第20期末、2025年1月末までに、契約期限が到来する物件は2施設、2023年3月期限のニチイホーム西国分寺と、
翌2024年3月期限のグランダ鶴間・大和で、いずれも契約が延長、更新されるものと
考えております。
19頁です。HCMの稼働率と、各ヘルスケア施設の平均入居率の推移を示しています。病院
を除く各ヘルスケア施設の平均入居率は、足元のコロナ禍においても90%以上を維持して
います。又、HCMは、通常オペレーターに物件を、一括マスターリースしており、実際の
賃貸面積を賃貸可能面積で割った物件の稼働率は、各施設の入居率如何にかかわらず、上場
来、概ね100%を維持しています。
さてここからは、投資口価値向上への取り組みです。具体的にはポートフォリオの拡大強化、
ESGへの取り組み状況についてご説明致します。
21頁をご覧下さい。今回の公募増資により、HCMの資産規模は784億円に拡大し、中期
目標として掲げる資産規模1,000億円達成が視野に入ってきました。
22頁は、HCMが上場来取り組んでいる、良質な案件が集まる仕組みの構図です。
スポンサー8社の、介護医療、ファンド運営、金融の各分野での専門的な機能やノウハウ、
サポート会社4社とのパイプラインサポート契約に規定されたウエアハウジング機能と
優先交渉権、本資産運用会社も含めて有するオペレーターやデベロッパーとの幅広い
ネットワークを通じた多様な物件情報、これらを積極的に活用することで、パイプラインの
拡大・強化に注力しています。
23頁です。パイプラインの状況ですが、今回の公募増資でHCMに95億円を組み入れた
後でも、総額200億円を超えるパイプラインが積み上がっています。右側の物件はその
一部です。上段のニチイホーム稲毛は大手企業の資産売却ニーズをタイムリーに捉えた
事例で、現在はスポンサーのNECキャピタルが保有しています。当施設はニチイケアパレスが前オペレーターから事業を譲り受け、本年3月1日に住宅型有料老人ホームとして
新規オープン致しました。下段のサニーライフ東久留米は、大手デベロッパーによる介護
付き有料老人ホームの新規開発案件です。開発後に速やかに不動産を売却して、資金回収を
図りたいという、当該デベロッパーのニーズに対応したもので、こちらはサポート会社の
リサ・パートナーが組成したブリッジファンドが保有しています。オペレーターの新規開設
意欲は、大都市圏を中心に旺盛で、コロナ禍でも変わっていません。高齢者向け施設の開発
は、従来は、地権者が土地を保有するための有活案件が主流でしたが、最近では、施設の
大型化と建築費の高騰が進む中、このような売買を前提とした開発が増えてきており、
私どもにとって有力な投資機会になっています。
24頁、病院不動産への取り組みです。HCMは病院不動産を取得、運用している唯一の
J-REITです。私どものターゲットとする病院は、経営の安定した病院で、この点、事業
再生型のファンドとは異なります。病院不動産の多くは医療機関が自己保有していますが、
不動産を売却することへの抵抗感が依然として強く、又、現状では、新型コロナウイルス
感染症への対応に集中されていることもあり、高齢者施設と比べると流動化は進んで
いません。私どもとしては、引き続き医療関連のセミナーや学会にも積極的に参加しながら、
病院関係者に対して、金融機関からの借り入れに代わる、有効な資金調達の手段になりうる
こと、又、本業の医療への専念といった観点からリート活用のメリットが大いにあることを
丁寧に説明し、優良な病院案件の実現に繋げたいと考えております。尚、HCMは病院
本体だけではなく、健診センター等の関連施設や、複数のクリニックが集積した医療モール
なども投資対象としています。多用途の複合型施設を含め前広に検討してまいります。
25頁はESGへの取り組みです。HCMは、国民一人一人が生き生きと生活出来る社会の
実現を投資起点として掲げています。社内外の様々なステークホルダーと協働しながら
ESGに資する資産運用を実践することで、高齢社会における社会的課題の解決の一助に
貢献するとともに、HCMの中長期的な投資主価値の向上を目指してまいります。
27頁は、ESGのうち、HCMと親和性の高いS、ソーシャルへの取り組みを示しており
ます。右上は、HCMがICTを活用したシステム投資を実施した事例です。EGAO Linkと
呼ばれるシステムで、具体的にはスマートフォーンから入居者のベッドの状況をリアル
タイムで把握でき、又、ナースコールや介護記録の作成にも対応したものです。この
システムを導入した施設では、介護職員の業務負担が大幅に削減され、オペレーションの
改善とサービスの向上に繋がりました。こうした介護医療業界が抱える課題の解決に
向けた取り組み等につきましては、毎年1回インパクトレポートにて開示しています。尚、
HCMは、2022年度からのGRESB参加を計画しており、本資産運用会社では、ESG
委員会の設置や、各種規定、ポリシーの制定など社内体制の整備を進めています。又、
HCMが保有するヘルスケア施設の省エネルギー、温室効果ガスの削減、水使用量の3項目
に関しては、オペレーターに協力頂き、データの把握率は床面積ベースで概ね8割程度を
カバー出来る見込みです。
本日の私からの説明は以上になります。国民の約3割が高齢者という超高齢者社会に
おいて、ヘルスケア施設の需要は、景気動向等に左右されえることなく、今後も着実に拡大
していく見込みです。HCMは強力なスポンサーサポートのもと、ヘルスケア投資市場の
先導者として、更なるポートフォリオの拡大と運用資産の向上、並びに、投資主価値の向上
の実現を目指してまいります。今後とも、ご指導、ご鞭撻を賜りたく宜しくお願い申し上げます。本日は、ご視聴有難うございました。