平和不動産リート投資法人 2024年11月期決算概要
平和不動産リート投資法人
2024年11月期(第46期)決算動画説明書
○動画 https://www.video-streaming.net/ir/8966/46_j/
○説明資料
https://www.heiwa-re.co.jp/file/ir_library_term-3f0931875d8d1ba8422702fc746730aef0fd1a5b.pdf
○説明者 平和不動産アセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 平野 正則
○説明
私達は今回3つの強化を打ち出しました。本日はこの話から始めてまいります。
3頁をご覧下さい。3つの強化は、資本効率を高め投資主価値を最大化する取り組みです。投資主還元の強化、内部成長の強化、資産回転型ビジネスの強化。先ず、投資主還元の強化におきましては、一時差異等調整積立金の取り崩しを、期当たり40円から200円へ拡大致します。一時差異等調整積立金は、内部留保のうち、合併により生じた負ののれんに由来するものでございます。今回の施策決定前の時点で、その残高は16億円ほどありました。これを早期に取り崩し、投資主還元に繋げるものでございます。期当たり200円の取り崩しにより、3年半で全て償還することと致します。
併せて3番目の強化に掲げる資産回転型 ビジネスによりまして、譲渡益の創出と更なる還元を強化してまいります。尚、3年半後には一時差異等調整積立金200円の取り崩しが終了致します。この資産回転型ビジネスの強化と内部成長によりこれを補っていく方針でございます。次は内部成長の評価です。NEXT VISIONⅡにおいてバリューアップ投資を着実に推進し、賃料収入の増加率は年率1.3%となりました。目標としていた年率1%成長を達成し、成長目標を年率2%へ引き上げるものでございます。最後は資産回転型ビジネスの強化です。
ここでは単に含み益を実現益に変えるだけではなく、バリューアッドの手法を活用致します。つまり、低収益物件を購入し、若しくは既存のアップサイドの見込める物件に対し、バリューアップ工事等により賃上げを図ります。併せて売却によりキャピタルゲインを積極的に取得していく手法です。今回、この3つの強化を推進していく背景には、J-REITマーケットの状況がございます。従前より更に高い次元で資本効率を高め、投資主価値を最大化していく必要があると判断したものでございます。私達は、2005年上場という歴史が育んだ潤沢な含み益を有しております。又、資産回転型ビジネスに適した好立地、分散型ポートフォリオを築いてまいりました。そして何よりも、物件入替やバリューアップ事業にいち早く取り組み、着実に実績を重ねてまいりました。私達が培ってきた経営資源をフルに活用してまいります。
4頁をご覧下さい。次に本決算期および来期以降の分配金についてです。2024年11月までの本決算期第46期は、前期より260円増額の3,640円とさせて頂きました。又、今走っております第47期の業績予想をここから110円増額の3,750円に、第48期を更に100円増額の3,850円とさせて頂きました。これは先ほど説明致しました3つの強化を具現化したものでございます。
5頁をご覧下さい。分配金の内訳について説明致します。従前は、本来EPUという言葉を使用しておりましたが、投資主還元を重要課題と位置づけたことにより、これを賃貸EPUと改めております。オフィス、レジデンスの内部成長が金融費用の増加を上回り、賃貸EPUは前期比+9円の上昇となりました。レジデンスの賃料収入が前期比でマイナスとなっておりますが、バリューアップ工事によるダウンタイムの拡大によるものです。賃料単価は着実に上昇しております。更に投資主還元の強化方針により、分配金は前期比+260円の3,640円とさせて頂きました。
6頁をご覧下さい。業績予想については、第47期、第48期ともに金融費用の増加を見込んでおります。一方で、既存物件の内部成長により、賃貸EPUは概ね横這いの予想としております。併せて投資主還元強化の方針継続により、第47期は前期比+110円の3,750円、第48期は前期比+100円の3,850円とさせて頂きました。尚、現時点では投資主還元については、内部留保の取り崩しを想定しておりますが、従来通り、物件売却による売却益を充当していく方針です。賃貸EPUに関しては、更なる賃上げの実現と、低く抑えられたLTV水準を活用しての外部成長により、これを引き上げてまいりたいと思います。
13頁をご覧下さい。NEXT VISIONⅡにつきましては、3つの強化を盛り込むことにより、NEXT VISIONⅡ+として上方修正しております。先ず。分配金についてですが、投資主還元強化により、目標としていた3,800円は再来期に達成させる方針と致しました。4,200円の目標を新たに掲げております。資産規模につきましては、従前からの3,000億円の目標を据え置いております。内部成長については、既存のオフィス、レジデンスの新規、継続を合わせた賃料上昇は、ポートフォリオ全体に対し年率1.3%となりました。このため、年率2%を新たな目標としております。尚、バリューアップ投資に関わる平均ROIは14.4%となり、目標とする10%をクリア致しました。格付けおよびESGについては、目標の変更はございません。
17頁をご覧下さい。ここでNEXT VISIONⅡの内部成長を生むバリューアップ事例について紹介致します。セットアップオフィスについては、HF岩本町ツインサカエビル、HF浜松町ビルディングに加え、HF岩本町ツインビル、HF池袋ビルディングへと対象ビルを拡大しております。従業員満足度を高めたいというニーズと、建築費高騰によりますテナント内装工事の難易度が、セットアップオフィスの需要の源泉となっております。
18頁をご覧下さい。レジデンスのおいては、期当たり30戸を目標にバリューアップ工事に取り組んでおります。500万円前後の投下資金を持ちまして、キッチン、バス、トイレ、洗面の水回りと床、壁、天井をバリューアップしております。投下費用を抑えることで、ROIの向上を実現しております。
ここまでは、バリューアップの対象を空室専有部とした、短期回収型の事例をご紹介致しました。
次にオフィスの中長期回収型の事例を案内致します。19頁をご覧下さい。一昨年の公募増資で取得し、エントランスや各階水回り等共用部をリニューアル致しました。HF名古屋錦ビルディングです。引き続き賃上げによるCash-Flowの向上に努めてまいります。
ここからは、外部成長、内部成長、財務についてです。
21頁をご覧下さい。ポートフォリオの推移を、含み損益率とNOI利回りを切り口にグラフに表しております。今後は、バリューアッドの手法による資産回転型ビジネスを強化してまいります。Cash-Flowをバリューアップ工事と賃上げにより向上させ、含み益の拡大を図ります。物件によっては、これを売却することにより、キャピタルゲインの獲得を目指すものでございます。売却候補となる物件については、従来からの中・小型のレジデンスに加え、セットアップオフィス化等による収益向上を実現した中小型オフィス、若しくは買主サイドで収益向上を織り込んでプライシングされた物件等となります。購入候補となる物件に関しましては、オフィス、レジデンスともに賃料ギャップのある物件、若しくはバリューアップ工事等により、賃料ギャップの創出が可能となる物件を従前以上に健闘してまいります。
22頁をご覧下さい。ここでは期中の売買物件を案内しております。取得物件は、6月の公募増資によるものですので詳細は割愛を致します。尚、売却物件からは、約10億円の譲渡益を計上しております。
23頁をご覧下さい。平和不動産の販売用不動産について案内しております。平和不動産の説明資料を抜粋したものですが、ポートフォリオの入替の過程で物件売却益を獲得していくという方針が打ち出されています。尚、継続しております普通借地権開発につきましても、押上において開発プロジェクトが進行中であることを申し添えます。
ここからは内部成長、先ずは、オフィスの運用状況についてです。27頁をご覧下さい。平和不動産リート投資法人の運用状況の説明の前に、オフィス市況全体について触れておきたいと思います。私達が運用する中小型のオフィスは、従前より堅調な運用状況にございます。一方でオフィス市況全体としては、ここへ来て需給が大きく改善したと考えております。理由は 3点ございます。1つ目は、コロナ期間中の在宅勤務等による床面積圧縮の反動、2つ目は、人材の流動化や人手不足に対応しての働き方改革の推進による社員の労働環境改善、最後に建築費高騰を受けた供給調整が顕著となりました。
これにより、立地に劣る一部 物件を除き、オフィス運営は堅調に推移すると考えております。このオフィス市況全体の流れを受け、平和不動産リート投資法人の運用するオフィスにおきましては、賃上げの環境が整ったと考えております。本決算期の期中平均稼働率は98.7%、期末稼働率は98.9%となりました。フリーレントの水準も2.9ヶ月と減少し、良好なリーシング環境を有しております。
28頁をご覧下さい。次に賃料改定についてですが、改定額、率ともに大幅に増加し、翌期以降も更なる拡大の見通しです。オフィスの賃上げが順調に推移していることに加え、原宿や神戸旧居留地といった代表的な商業立地の店舗賃料の上昇が寄与をしております。本決算期におけるオフィスポートフォリオ全体に対する賃料増額率は、0.99%と前期から倍増しております。前期から通算した賃料増額率は、年率で1.39%となりました。賃料ギャップは、賃料増額改定の進展により大きく縮小致しました。今後の課題は明確です。更なる賃料増額によるギャップの縮小、賃料ギャップのある物件の新規取得、バリューアップ工事による賃料ギャップの創出でございます。
29頁をご覧下さい。昨年6月の公募増資により取得した、進和江坂ビルの賃料改定状況です。1階エントランスや各階共用部のフルリニューアル後の取得のため、53.7%という極めて高い賃料ギャップを抱えた状態で取得致しました。その後半年間で、多くのテナントからご理解を頂くこととなりました。全体の65%のテナントからの平均増額改定率は32.1%、賃料ギャップは24.7ポイントを解消することとなりました。普通賃貸借2年契約のテナントとの協議でしたが、満足頂けるリニューアルによって、契約期間にも拘わらず早期に増額改定できることを確認させて頂きました。テナントに満足頂けるビル運営に努め、建物一つ一つが持つポテンシャルを最大限に引き出してまいります。尚、本物件のPM業務は平和不動産プロパティマネジメント株式会社が担当しており、私から感謝状を贈呈しております。
31頁をご覧下さい。続いてレジデンスの状況についてです。稼働率ですが、期中平均稼働率は96.7%、期末稼働率は96.4%となりました。バリューアップ工事期間を含むため、ダウンタイムに影響が出ております。東京23区およびファミリータイプの稼働率が若干落ちているのも、バリューアップの推進によるものでございます。
32頁をご覧下さい。賃料改定状況ですが、増額改定傾向が拡大をしております。レジデンスにおいては、本決算期におけるポートフォリオ全体の賃料が0.64%引き上げられております。前期から通算した年間の賃料増額率は1.21%となります。又、マーケットの好調を受け、礼金取得率が高い水準で推移しております。将来の賃上げにつながります賃料ギャップも拡大をしています。オフィス同様に、収益向上余地のある物件取得、これに努めてまいります。
33頁をご覧下さい。含み損益の状況です。物件譲渡によります実現利益10億円を計上致しましたが、含み益額は14億円増加し600億円、含み損益率25.9%となりました。資産の入替を除いたCash-Flowは賃料増額改定が牽引し、前期比+58百万円と大幅に増加をしております。賃料増額によります含み益の拡大と、資産回転型ビジネスの推進によります投資主還元の双方を進めてまいります。
34頁をご覧下さい。続いて財務についてです。借入金の残存年数と金利固定化比率は、前期比同水準を維持しております。公募増資により、鑑定LTVは39.1%まで引き下げられました。借入余力を活用し、Cash-Flowの成長余地のある物件を厳選取得してまいります。
36頁をご覧下さい。ここからはESGの取り組みについてです。GRESB評価において、3-Starsに復帰を致しました。又、グリーンビル認証の取得率を2.3%に向上させ、環境面でもお客様に選ばれる運営を進めてまいります。運用会社において昨年は、バリューアップコンテストを開催いたしました。今年新たに社長賞を創設しております。投資運用部門からは、進和江坂ビルの賃料増額に対し、業務企画部門からは女性の活躍を推進するエルボシ認定の取得に対しこれを授与しております。社員の活躍を後押しし、投資法人のパフォーマンス向上に繋げてまいります。今回、社員インタビューのコーナーを設けました。物件のバリューアップを牽引するメンバー達のコメントを掲載しておりますので、お時間がございましたら是非ご覧ください。
最後に今回の決算説明資料の表紙をご覧ください。今回私達は3つの強化を打ち出しました。この計画の策定に当たりましては、私達が上場以来積み重ねてきたものを振り返ることから始めました。私達の強みはどこにあるのか、好立地に分散されたポートフォリオ、ポートフォリオが有する大きな含み益、合併時の負ののれんに由来する一時差異等調整積立金、一時差異等調整積立金を含めた内部留保の状況、15期連続となる資産入替と含み益の顕在化、そして昨年からスタートさせたバリューアップ工事と賃上げ、これらの私達の強みを3つの強化に繋げてまいります。投資主還元の強化、内部成長の強化、資産回転型ビジネスの強化、これら3つの強化は突然にして生まれたものではございません。今までの私達の歩みのその先にあるものです。私達は、今後も着実に一歩、一歩、歩みを進めてまいります。引き続き平和不動産リート投資法人、並びに平和不動産アセットマネジメントを宜しくお願い申し上げます。