NTT都市開発リート投資法人 2024年10月期決算概要

NTT都市開発リート投資法人
2024年10月期(第44期)決算動画説明書&質疑応答
○動画  
https://c-hotline.net/Viewer/Default/49283de436924225493a8c1ee3148cad06a3
○説明資料
https://nud-reit.co.jp/file/ir_library_term-032be8dde103cea1f05751dbf580472eb73d69d2.pdf
〇質疑応答
https://nud-reit.co.jp/file/top_financial-4a3d9cfc1862867d6334ce82395c06785312e415.pdf
○説明者 NTT都市開発投資顧問株式会社 代表取締役社長 鳥越 穣
○説明 
NTT都市開発リート投資法人の2024年10月期(第44期)決算について説明します。先ず、資料2頁をご覧ください。当期の分配金は、前期に取得した資産の通期稼働などにより、前期から91円増えた2,939円となりました。外部成長については、物件の売買と自己投資口取得を発表しており、後程詳しく説明します。内部成長では、オフィスの入替が通常より多かったものの、結果として稼働率は概ね横這いでした。レジデンスは、引き続き好調を維持しています。財務面ではLTVが47.8%とやや高めの数字ではありますが、現在の環境を踏まえ、当面は高めの水準を維持しようと思っています。分配金の44期の実績は、2,939円と対前期比較では取得物件の通期稼働により、又、対計画比較では、修繕費の減少や原状回復費の受け入れなどによりいずれも上回ることができました。45期から47期まで大規模修繕工事が集中する関係で、45期のEPUは2,582円と減少しますが、新橋などの売却益を計上するため、DPUでは3,010円となる予定です。46期は 現段階ではEPUで2,629円、DPUで3,110円という予想をしております。

それでは3頁から今回の物件売買と自己投資口の取得について説明します。現在、J-REITの株価が低迷し、当リートの株価もNAV倍率が0.8倍前後まで下がっています。一方でオフィスマーケットは回復傾向の中で物件特性による二極化が進んでおり、当リートのオフィスポートフォリオも全体的には好調なものの、一部に不調が目立つ物件もあるという状況でした。更に45期から47期に大規模修繕工事が集中するという計画の中で、含み益が大きくなっているという状況も併せて考慮した結果、以下の施策を取ることとしました。

今回の施策の目的は、投資主の価値の最大化であり、これを短期、長期、両方の時間軸で考え、ポイントをポートフォリオクオリティの向上と投資主還元、資本効率化の促進の2つに設定しました。この観点から、先ず、第一に、ポートフォリオクオリティの改善のため、リーシングリスクや修繕費増大のリスクが大きくなっているランディック第2新橋ビルとNTT クレド岡山ビルを売却、次に、この売却資金を活かして自己投資口を取得、又、売却の副次効果として含み益を顕在化、最後に、最近あまり取得できていなかったレジデンス物件を取得することとしました。

4頁でこの施策の数字の構造と効果を説明します。今回、ランディック第2新橋ビルとNTTクレド岡山ビルの売却により、合わせて133億円のキャッシュが入ります。この使い道として、先ず自己投資口取得ですが、35億円の自己投資口を取得し、LTV比率を48%程度で維持しようとすると32億円の負債を返済する必要があり、合計67億円のキャッシュを使うことになります。次に、売却益から内部留保分を除いた配当相当額が21億円、レジデンスの取得で40億円というのが主な使い道です。この施策の第1の効果は、ポートフォリオ クオリティの向上です。

築年数に加え、天井高などのビルスペックの低さ、視認性などの問題からリーシング力が低下し、稼働率が40%に低下していたランリック第2新橋ビルと、岡山の商圏の変化や修繕費の増加から、収益性が低下していたNTTクレド岡山ビルを売却することにより、ポートフォリオの健全性は大幅に高まります。この施策によるオフィス稼働率の押上げ効果は1.9%となります。又、オフィスとレジデンスを入れ替えることで、低下傾向だったレジデンス比率が26.3%から28.2%へ上昇します。第2の効果は、含み益の投資主への還元で、全体で31億円の売却益のうち、10億円を内部留保した残りの21億円を3期に亘り分配します。この効果により、大規模修繕工事が集中する45期から47期までの間も、分配金を高い水準で維持することができます。第3の効果は、資本の効率化で、35億円の自己投資口の取得は44期末の株価を踏まえると、発行済み投資口の約2.2%にあたり、DPUの押し上げ効果は60円程度となる計算です。

5頁は、今回の物件入替の概要とその位置付けです。ランディック第2新橋ビルは、外部の売却先も含めて売却条件を確認し、その結果を踏まえスポンサーとの入替取引を実施することとしました。NTTクレド岡山ビルについては、共同保有者のスポンサーと連携して入札を実施し、外部への売却を決定しました。ランディック第2新橋ビルとの入替で、スポンサーから取得するのがウエリスアイビー旗の台、ウエリスアイビー門戸厄神というレジデンス2物件です。右のマトリックスで、今回の取引対象物件をマッピングしています。ランディック第2新橋は、稼働率が落ちきる前の実績で、45期以降は更に下へシフトする見込みです。再リースにより稼働率を上げるには、賃料を大幅に引き下げる必要があり、その場合でもあまり大きな収益性の改善は見込めません。

又、クレド岡山ビルは、このマップ上はかなり上に位置しますが、今後は修繕費の増大から、徐々に下方へシフトする見込みです。今回取得するレジデンス物件は比較的右上で、利回りとクオリティで良好なバランスが取れています。今回の施策で主な課題物件の処理は進みますが、今後もポートフォリオのクオリティ改善のため、入替の検討を当面売却に重点を置きながら進めていきます。

6頁は今回取得する物件の説明です。取得する物件は、大田区旗の台、西宮市の門戸厄神にある築浅の学生寮で、運営は学生情報センターとなります。ウエリスアイビー旗の台は、沿線の東京科学大学や昭和大学などに学生が分散しているのに対して、ウイルスアイビー門戸厄神は、近接の関西学院大学の学生が90%に及ぶなど特徴は異なりますが、どちらも地域で高い評価を受け、高い稼働率を維持しているという点で共通しています。

7頁は自己投資口の取得とLTVの説明です。今回の自己投資口取得は上限が35億円で、時価総額の2.2%程度に当たります。取得期間は2024年12月17日から最長 2025年4月10日までとなります。LTVについては45%から50%のレンジで運用する方針で、これ自体に変更はありません。ただ、これまでの実績としては、その中でも比較的低めの水準で運用することが多かったのですが、当面公募増資が難しく、大型の物件取得の予定もないという状況や金融機関との良好な関係を考慮し、暫くは47%から48%という相対的に高めの水準を維持しようと思います。

8頁は今後のDPUの考え方です。44期は先ほどご説明した通り、取得物件の通期稼働に加え、一部物件での原状回復費の受け入れなどもあり2,939円となりました。これに対し45期は、大規模修繕工事の集中、今回売却する物件の逸失利益、原状回復費の剥落などがあり、EPUでは2,582円と大幅に低下します。しかし、これに新橋などの売却益が加わるため、DPUでは3,010円を確保します。又、この数字には、今回の自己投資口取得の効果が含まれておらず、この取得が順調に進めば60円程度のDPUの押し上げ効果が期待できます。

46期はクレド岡山の売却損がない反面、5億円程度の内部留保する影響で売却益は481円となります。これにEPUの2,629円を合わせて、DPUは3,110円となる計画で、これに 自己投資口取得の効果が加わるのは45期と同様です。47期の計画はまだ作成していませんが、大規模修繕工事の集中が続くこと、売却益が発生することなどの条件については、46期と大きな変化はありません。48期は大規模修繕工事の集中が終了しEPUが回復する一方、売却益の計上は予定していません。全体で見ると、今回の一連の施策で、大規模修繕工事の集中によるEPUの一時的な低下を売却益でカバーし、DPUを高水準に維持するとともに、ポートフォリオのクオリティの改善ができると考えています。尚、今後もクオリティ改善のための売却などは引き続き検討し、実現した場合には、その売却資金を原資とした更なる自己投資口の取得も環境に応じて進めていきます。

9頁は資産規模の推移、10頁はポートフォリオの状況ですが、44期末時点では前期に対し 大きな変化はありませんので、説明は割愛させて頂きます。
11頁からは内部成長で、先ず、オフィスの稼働状況です。44期は、リーシング自体は順調に進んでおり、入居も多かったのですが退去も多かったため、44期末の稼働率は96.3%とやや下がりました。11月には新橋の大口テナントが退去し、稼働率は更に低下しますが、この年末の入居の進捗もあり、稼働率は回復、更に上昇する見込みです。

12頁はオフィスの賃料です。44期の入替時の賃料ネット上限率は、-5%程度と前期とあまり変わらないのですが、先ほど説明しました通り、44期は入替のボリュームが通常よりも大きかったため、賃料の減少額はやや大きくなっています。更新時の賃料動向に大きな変化はありません。

13頁は周辺相場と賃料ギャップです。42期くらいまでは6%程度のオーバーレントとなっていましたが、周辺相場の上昇もあり、賃料ギャップはかなり縮小してきました。現在のオフィス市場を考慮すると今後もこの傾向は続きそうですが、そうなると、今後アンダーレント気味になってくることが予想されます。

14頁は割愛して、15頁はオフィステナントの状況です。前期と比較し、2位のNTTファシリティーズが大きく賃貸面積を減らしています。これは、NTTファシリティーズが、一部事業をNTTグループ内の別会社である、NTTアノードエナジーに移管したことに伴い、オフィス契約の一部を同社に切り替えたことによるものです。契約条件などに変化はなく、当リートの運用に実質的な影響は殆どないと考えています。
16頁からはレジデンスの説明です。レジデンスの稼働については、引き続き堅調に推移しており、入退去に関わるネット増減はややプラスで、44期末の稼働率は96.6%でした。

次の17頁は賃料改定動向です。左側の入替時においては、今期はネットの増減率がプラス7.5%、金額での影響は月額340万円となりました。今までと大きな変化はなく、全般に好調なリーシングを維持しています。右のグラフは更新時の賃料改定動向ですが、こちらは 前期とほぼ変化はありません。

18頁がレジデンスの賃料分析で、左上が平均坪単価の推移です。42期から43期にかけて少し減少していますが、これは単価が相対的に低い、ガーデン板橋氷川町の取得影響によるものです。これを除けば、前頁で説明した賃料改定の効果などにより、44期も含め継続的な単価の上昇ができています。

19頁は修繕費などの状況です。44期については、修繕費が759百万円と前期と同程度の水準ですが、計画と比較すると100百万円程度減少しました。これは主として会計処理上、損益で計画していたものが、建設勘定となった科目の振替などの要因によるものです。一方で設備投資は1,130百万円と、計画を200百万円ほど上回っています。これは先ほどの科目の振替に加え、分配金のところで説明した、原状回復費の受け入れに対応した工事の影響などによるものです。45期は外壁修繕や照明のLED化といった大規模修繕工事を実施予定のため、修繕費は1,075百万円に増える見込みです。

20頁以降は財務状況についてです。金利については、基準金利の上昇などの影響があり、平均金利が0.75%と少し上昇しています。LTVは47.8%で、先ほど説明した通り、当面は この辺りの水準を維持するつもりです。

2頁は借入金の返済スケジュールです。返済期限が平準化され、リスクをコントロールしている状況に変化はありません。尚、今回、コミットメントラインを設定しておりますが、これは発動しない限り無償という前提で、万が一のリスク管理のために設定したもので、基本的には発動することはないものと考えています。

22頁は有利子負債、格付けの状況です。借入先の状況や格付け等に変化はありませんので 説明は割愛致します。
23頁は含み益の状況です。含み益は721億円と、前期に対し30億円増加しており、内訳としては、オフィスで20億円、レジデンスで10億円の増加です。レジデンスの増加は、主として全般的な査定賃料の上昇によるものですが、オフィスは、ランディック第2新橋ビルが、従来の継続使用から再有効利用へ評価の前提を切り替えたことによる影響や、一部 物件のERの再取得による修繕費の見立ての減少などが主な要因です。

24頁は鑑定の状況です。44期では、キャップレートが概ね変更がなく、上昇物件はゼロ、低下物件はアーバンネット中野だけとなりました。査定賃料は、レジデンスを中心に28物件が上昇となっています。
25頁から分配金について説明します。先ず、25頁上段が43期から44期実績への推移です。EPUは2,848円から2,939円と91円増加しています。外部成長が+224円と主な要因で、前期末に取得したグランパークやガーデン板橋などの通期稼働が主な要因です。内部成長はレジデンスの修繕費の増加がありましたが、新橋や高田馬場で原状回復費の受け入れもあり、トータルでは-39円となっています。又、前期末の物件取得による有利子負債 増加の影響が通期で効いており、支払い利息の増加が-58円となっています。下段が44期予想と実績との比較です。EPUの予想は2,810円でしたが、実績としては2,939円と129円増やした結果となりました。これは主として内部成長によるもので、計上科目の変更などによる修繕費の減少が全体で61円、原状回復費収入の受け入れが+32円などとなります。

26頁が45期、46期の分配金のご説明です。先ず、上の図が44期から45期への推移です。EPUは、44期2,939円から45期の2,582円と357円減少しています。外部成長では、ランディック第2新橋ビルの影響が61円で、これは主に11月の大口テナント退去の影響と2月の33%分の売却による逸失収益です。内部成長の大幅な減少は、説明してきた修繕費の増加や前期の原状回復費収入の剥落などによるものです。このEPUに新橋の売却益と岡山の売却損の通算428円を加えて、分配金は3,010円となります。下の図が45期から46期への説明です。

EPUは45期の2,582円から46期2,629円と47円増加する見込みです。これは稼働率の上昇による賃料などの増加が主な要因で、このEPUに圧縮積立金控除後の売却益481円を加えて、分配金は3,110円となります。尚、この45期の分配金等の予想には、自己投資口取得による押し上げ効果は含まれておらず、取得が予定通り順調に進捗すれば、夫々60円程度の効果が期待されます。

27頁が業績予想の前提となっている稼働の計画です。オフィスの44期末の稼働率は96.3%ですが、11月の新橋の大口テナントの退去で一旦95.4%に低下し、その後リーシングの進捗と2月の新橋の第1回目の売却などの効果で、45 期末には97.9%に上昇する計画です。レジデンスの稼働率は44期末で96.6%であり、45期以降も概ねこの水準を維持する計画となっています。
今回の私からの説明は以上となります。ご質問、ご意見などございましたら、弊社IR担当までご遠慮なくご連絡下さい。本日はご視聴有難うございました