オリックス不動産投資法人 2023年8月期決算概要
オリックス不動産投資法人
2023年8月期(第43期)決算動画説明書
○動画 https://www.net-presentations.com/8954/20231019/fk86dag/
○説明資料
https://ssl4.eir-parts.net/doc/8954/ir_material_for_fiscal_ym/142914/00.pdf
○説明者 オリックス・アセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 田中 充
○説明
オリックス不動産投資法人、略してOJIの2023年8月期第43期決算概要を、資料に沿って説明致します。
5頁をご覧下さい。先ず、OJRのポートフォリオにつきまして説明致します。下段左側の円グラフ、用途比率をご覧下さい。OJRの保有資産の過半がオフィス、特に中規模オフィスで構成されております。続いて、商業施設が15%、住宅が11%、物流施設が5%、ホテル等が12%を占めております。
8頁をご覧下さい。環境認識と実績、並びに、運営戦術を説明致します。先ず、外部成長の環境認識ですが、不動産取引市場においては、依然として高値での取引が続いており、優良物件を取得する機会は、限定的な状況でありますが、外部成長を推進するにあたり、アクイジションチームの体制整備を実施し、選別した売却と機動的な厳選投資に努めました。今期も、ポートフォリオの質の向上に主眼を置いた物件入替により、OJRの強みを生かすことができる、札幌の中規模オフィスと福岡の住宅を取得する一方、収益の改善が見込めず、懸案物件であったホテル日航姫路の売却を行いました。内部成長の環境認識としては、オフィスにおけるテナント需要は回復傾向にありますが、特に、東京都心部では大量供給の影響もあり、賃料は弱含みの傾向が続いております。
都市型商業施設では、飲食店からの引き合いは増加しておりますが、大型区画への出店意欲は限定的な状況です。住宅については、都心のシングルタイプにおける賃料下落に底打ち感が見られます。ホテルについては、国内の旺盛な宿泊需要に加え、インバウンド需要も期待できる環境になってきましたが、今後は、人件費等のコスト上昇や人員不足に伴う運営面に課題が残ります。又、全用途における費用面で水光熱費等の物件管理コストの上昇傾向が継続しており、これらの要因は予算に織り込んでおります。そのような状況の中、23年8月末の稼働率は、稼働重視のリーシングを進め、オフィスや都市型商業施設においては若干の改善となり、住宅においては前年同期比で大幅に改善させることができました。今後も稼働重視の更新は継続しつつ、賃料収入の維持・向上を図ってまいります。又、ホテルについては好調な業績を反映し、変動賃料が増加しております。財務環境としては、国内外で金利の上昇が見られますが、金融機関の融資姿勢に大きな変化は見られません。
今期もサステナブルファイナンスの取り組みを推進し、調達比率を約18%に向上させることができました。又、コミットメントラインは405億円、手元の現預金480億円あまりと、十分な流動性を確保しております。資金コストに配慮し、財務の安定性に重きを置いた運営を行ってまいります。分配金の安定性に資する内部留保については、ホテル日航姫路の売却損に充当したことにより、決算発表時点で約17億円、一口当たりに換算すると646円となります。公表済みの分配金の一時的な業績の下振れ等に備え、今後も可能な限り積み増していく予定です。ESGに関しては、持続可能な社会の実現に向けた運用の重要性が高まってきており、2050年ネットゼロに向けても対応力が問われるようになってきております。OJRでは、温室効果ガス排出量削減に関する長期目標を新たに設定し、その道のりとなる2030年の中期目標を強化するとともに、目標達成に向けた移行ロードマップを策定致しました。投資主価値の長期的な安定成長を目指し、ESGの取り組みを着実に実行してまいります。
9頁をご覧下さい。分配金について説明致します。23年8月期の実績につきましては、全用途の賃料収入が増加したことで、売却相当額等を除いた分配金は3,636円と、半年前予想を大きく上回りました。又、ホテル日航姫路の売却損に、内部留保を充当することにより、分配金は半年前想定を維持しております。
24年2月期は半年前予想より80円増加した3,900円を想定しております。増加の要因は、 主にオフィスホテルを中心に全用途の賃料収入が増加し、売却相当額等を除いた分配金が7%向上したことによるものです。24年8月期は、前期と比べて売却益の剥落、水光熱費の増加、ホテル等の賃料収入の減少により、分配金は3,530円を想定しておりますが、売却 相当額等を除いた分配金は、43期、44期の半年前予想の水準を上回る見込みです。これらの想定分配金が下回る場合は、内部留保の活用を検討致します。詳細の分配金の推移につきましては、10頁に記載しておりますので、後ほどご参照下さい。
12頁をご覧下さい。内部成長について説明致します。先ず、オフィスについて上段折れ線グラフの稼働率の推移について、23年8月末で97.2%、前回想定をわずかに上回ることができました。コロナ禍で相次いだテナント退去は落ち着き、オフィス需要は回復傾向にありますが、東京都心部でのオフィス大量供給の影響を勘案し、一定程度の待機を織り込んだ前提で97%程度を維持する想定です。下段の折れ線グラフは、テナント入替に伴う賃料の増減率を示しています。23年8月期は-12%となりました。この大きなマイナスの主要因は、オフィス1階の来店型の1区画において、全テナントの賃料が、現在の市場賃料を大幅に上回っていたことによるもので、この1件の入替を除くと-1%となります。稼働重視のリーシングによって、増減率のマイナスは続いておりますが、マイナスの下落幅自体は小さくなっております。
次に13頁をご覧下さい。こちらは、オフィスにおける既存テナントの賃料更改状況です。上段棒グラフは、契約更新時の賃料更改状況を面積で示しています。市場賃料が下がっている東京都心部での増額更改は厳しい環境ですが、首都圏近郊や地方においては、増額更改を実現しております。又、東京都心部において、市場賃料より高いテナントとの減額更改により、減額面積は微増となりました。下段折れ線グラフは、契約更新時の賃料の増減率を示ししており、23年8月期は0%となりました。今後も引き続き同額更改が中心となる見込みです。
次に14頁をご覧下さい。こちらは、オフィスのテナント分析です。左側のテナント分散状況の通り、OJRのオフィステナントは900社を超えており、 1テナントあたりの平均賃貸面積は約130坪、1物件当たり支払い賃料額が最大のテナントでも、ポートフォリオ全体に占める賃料割合は2%未満となっています。従いまして、テナント1社の退去は、業績に与えるインパクトは低減されております。テナント業種の分類は、右側の円グラフに示しておりますように、特定の業種への集中は見られません。
次に、商業施設につきまして15頁をご覧下さい。商業施設における郊外型と都市型の賃料 割合は、左の円グラフの通り、およそ半分ずつとなっております。右側上段の折れ線グラフをご覧下さい。黄色の線は、都市型商業施設の稼働率を示しております。コロナ禍の影響を大きく受け、退去が相次いで発生して以降、稼働重視、業種に拘らないリーシングを継続し、23年8月末は、前回想定を大きく上回る92.6%となりました。殆どの物件において、コロナ禍の影響から回復させることができ、残るリーシング強化物件は、下段のJouLe SHIBUYAとaune京都三条となります。下段右側の円グラフをご覧下さい。24年8月末時点の都市型商業施設の空室想定は、月額賃料1,500万円となり、そのうち9割が、先ほど申し上げ2物件で占められています。現在、幅広い業種で引き合いは増加しており、着実に埋め戻しを進めてまいります。
次に住宅について16頁をご覧下さい。先ず、左下のオレンジ色の折れ線グラフをご覧下さい。23年8月末の稼働率は96.2%と、季節要因もあり半年前からは若干低下しましたが、 前年同期比では大きく向上致しました。左上の棒グラフは、入替における賃料変動割合を、又、赤色の折れ線グラフは、賃料増減率を示しています。22年2月期を底に、徐々に増額の入替の割合が増え、又、賃料増減率も改善が継続し、23年8月期においては+2.6%となりました。右上のエリア・広さ別の賃料増限率をご覧下さい。ご注目頂きたいのが、コロナ禍で苦戦していたシングルタイプにおいて、平均で1.4%とプラスに転じました。これは全てのエリアにおいて、前期比で改善したことによるものです。特に、東京都心6区において、赤い吹き出しの通り、前期比で+0.9ポイントと、3期連続でマイナス幅が改善致しました。今後も、稼働重視の方針を継続しつつ、物件ごとに賃料水準の引き上げを図ってまいります。
次に、物流施設について、17頁をご覧下さい。現在、合計5物件を保有しており、いずれも物流施設として利便性の高い立地であり、収益性が高く、安定した運用ができております。又、複数物件のテナントの契約更改や入替において、いずれも賃料増額を達成致しました。次に、ホテル等につきまして18頁をご覧下さい。ホテルポートフォリオの7割を占める、テーマパークのオフィシャルホテルであるホテルユニバーサルポート、略して「HUP」と、東京ベイ舞浜ホテルファーストリゾート、略して「舞浜」においては、旺盛な宿泊需要を捉え、戦略的な客室改装と、平均客室単価を重視した販売戦略が功を奏し、OJRが受領する賃料は、コロナ前を上回る想定です。HUPについては、24年2月期は新契約のもとで、旺盛な宿泊需要が継続していること、およびコロナ下で客室改装を実施したことで、平均客室単価をコロナ前より上昇させることができ、コロナ前および前回想定の賃料のいずれも大きく上回る見込みです。客室改装の効果については、右の棒グラフをご覧下さい。稼働率と平均客室単価について、コロナ前の2019年と今年の、夫々4月から8月の期間を対比したものです。右側の客室単価のうち、グレーの棒グラフは改装していないスタンダードルームで、コロナ後の宿泊需要の回復により、コロナ前比138%となっております。右端の2つの紫の棒グラフは、コロナ禍の休館期間などを活用し、スタンダードルームやキャラクタールームの改装を行った客室を表しており、夫々コロナ前比157%、406%と大幅な伸長が見られます。需要回復に加えて、戦略的な改装は功を奏したものと認識しております。又、左側の表に戻りますが、24年8月期は、リベンジ需要の一巡やコスト上昇等を勘案しておりますが、コロナ前および参考として示しています鑑定評価書の巡航の賃料を上回る想定です。
続いて19頁をご覧下さい。舞浜に関しては、旺盛な宿泊需要により、宿泊部門の売上高はコロナ前を上回りますが、料飲部門が回復途上であることにより、ホテル全体の売上高は、コロナ前の9割で推移する想定です。受領する賃料は、旧契約での賃料一時減額対応の回収分を除いても、コロナ前を上回る見込みです。
続いて外部成長について22頁をご覧下さい。2019年以降のポートフォリオの質向上に向けた、物件入替の実績となります。毎期着実に入替を実施していることがお分かり頂けると思います。
次に25頁をご覧下さい。ホテル日航姫路について、取得後の環境変化やコロナ禍の影響を受け、ホテル運営会社と共同して改善を図ってまいりましたが、収益改善が見込めず、分配金への貢献がないこと、鑑定評価額の著しい低下により、減損リスクを抱えていたことから、不動産取引市場が好調な環境で売却することで、売却損を極小化し、保有を継続するよりも 売却することによって、ポートフォリオの質向上を図ることが、中長期的な投資主価値にとっての最善策であると判断し、売却致しました。
次に26頁をご覧下さい。左側のグラフは、OJRの保有物件を対象として、横軸に償却後利回り、縦軸に含み損益をもとにプロットしたものです。円の大きさが取得金額を表しております。左下の収益貢献が少なく、含み損を抱えていたホテル日航姫路の売却により、利回り、 含み損益の観点で、ポートフォリオの質が向上したことがお分かり頂けると思います。又、 右側の円グラフに示しております通り、OJRの保有物件のうち、保有年数10年を超えるものが、取得金額合計でおよそ半分を占めており、これらの含み損益は、23年8月末時点で1,424億円となります。売却により売却益が出た場合は、10年超長期保有資産の買い替えによる圧縮記帳を実施し、可能な限り内部留保の積立を行うことで、今後の分配金の一時的な変動要因に柔軟に対処するための備えとする方針は、これまでと変わらず継続致します。又、今後の物件売却において、売却損が発生する場合は、内部留保の活用や売却すべき物件で売却益が出る物件と組み合わせるなど、分配金への影響に配慮した方法を検討致します。
続いて財務戦略について29頁をご覧下さい。財務の安定性に重きを置いており、コストに配慮しつつ返済期限の分散化を図ってまいりました。上段の表をご覧下さい。金利が上昇している環境を受け、固定金利の借入の一部を変動金利で借り換えを行ったり、一部の借入期間を短くしたりするなど、借入コストに配慮した調達を行いました。決算発表日時点の平均残存年数は4年を維持し、平均調達金利は0.56%となります。現状の固定金利比率は93%となっており、十分に安定した財務基盤を築けております。又、下段の棒グラフの通り、返済期限の分散を図っているため、金利の上昇による影響を最小限に抑えられており、分配金に急激に大きな影響を与えないものと考えております。引き続き長期、固定、分散の方針を維持しながら、コストにも配慮した調達を目指してまいります。
34頁をご覧下さい。最後に今回のESGの取り組みにつきまして紹介致します。外部機関の評価としては、GRESBの最高位5-Starsを3年連続で取得し、CDP においては、A-評価を獲得しております。又、資金調達におけるESGの取り組みを前進させるべく、本投資法人においては初めてとなる、サステナビリティ・リンク・ローンによる借り入れを行いました。ORJでは、2020年および2021年に、TCFD提言に沿ったシナリオ分析を実施し、気候変動リスクの評価を進めてまいりました。この度、次のステップとして、2050年ネットゼロの実現に向けた長期目標を新たに策定し、更に、2030年に向けた中期目標を強化致しました。
その目標達成に向けた移行ロードマップを掲載しております。移行ロードマップは、ステークホルダーの皆様との対話で頂戴した意見を参考に策定致しました。詳細は、本資料のほか、OJRのホームページに掲載しておりますESGレポートをご覧下さい。
最後に、改めて今後の成長に向けて纏めさせて頂きますと、外部成長においては、物件入替を中心に推進し、ポートフォリオの質向上による賃料収入の下振れリスクの低減を図ります。特に、売却については、引き続きこの環境下で確実に実行してまいりたいと考えております。 内部成長については、稼働重視のリーシングにより、稼働率の維持・向上に努め、賃料収入の増加を図ってまいります。今後もESGを経営の基盤に置き、総合型リートの強みを生かした柔軟な戦略を駆使することで、投資主価値の安定的成長を目指す所存です。
以上、2023年8月期(第43期)決算報告、並びに、運営方針の説明とさせて頂きます。
清聴有難うございました。