日本ビルファンド投資法人 2022年12月期決算概要
日本ビルファンド投資法人
2022年12月期(第43期)決算動画説明書
○動画 https://www.irwebcasting.com/20230216/2/558552d6a9/mov/main/index.html
○資料
https://www.nbf-m.com/file/ir_library_term-d262f4597da781bbdf039fd1c7079f5172a41d14.pdf
○説明者 日本ビルファンドマネジメント株式会社 代表取締役社長 小野沢 英一郎
○説明
J-REIT業界においては、昨年12月の日銀の金融政策決定会合後から長期金利が上昇し、又、オフィスビルの賃貸マーケットにおける、今年の東京都心部を中心とした大量供給等の影響もあり、投資口価格は我々が思う価格より低迷しておりますが、NBFの強みを生かし、この難局を打開していきたいと考えておりますので、何卒宜しくお願い致します。
2022年12月期の決算の報告をさせて頂きます。
資料3頁、当期の決算ハイライトをご覧下さい。当期においては、予想通り期初に東陽町センタービルなど3物件を譲渡し、又、11月にはスポンサーである三井不動産から、豊洲ベイサイドクロスタワーの取得を完了しています。一口当たり分配金は、昨年8月に公表した業績予想の通り、11,500円となっており、次期2023年6月期、2023年12月期においても、夫々11,500円を予定しております。
5頁をご覧下さい。2つの棒グラフは、日本ビルファンドが投資主価値の向上に向けての重要な指標と考えている一口当たり分配金、一口当たりNAV(Net Asset Value)の直近3年間の推移を表しております。一口当たりの分配金については、前期において大阪のサンマリオンNBFタワーの譲渡益が大きかったことから減配のように見えますが、NAVは上昇しており、NBFとしては引き続き長期的な安定成長を目指していきたいと考えております。
それでは、6頁以降で決算実績を説明致します。
6頁では、各期の物件の移動を整理しています。当期も物件の入り繰りがありますので、後ほどご確認下さい。
次に7頁の損益計算書を説明致します。比較損益計算書の赤枠の中が当期2022年12月期の決算書の数字です。当期の営業収益は47,366百万円、前期比-4,848百万円、9.3%の減収。営業利益は21,596百万円、前期比-5,209百万円、19.4%の減益。当期純利益は20,288百万円、前期比-5,151百万円、20.2%の減益となりました。又、内部留保を727百万円積立て、分配金総額は19,561百万円、一口当たり分配金は11,500円となります。先ず、営業収益の減収4,848百万円の内訳ですが、ベースとなる不動産賃貸収入は、395百万円の増収です。内訳は、既存物件で113百万円の減収、入替え効果で508万円の増収となりました。その他賃貸事業収入で450百万円減収していますが、こちらは前期に解約した解約金の剥落と、夏場を含む空調費の増加等水光熱費の増加によるものです。更に、不動産等売却益が前期比4,794百万円の減益となっています。続いて営業費用361百万円の増加要因ですが、季節要因等による管理費や、原油高および円安による水道光熱費の増加や修繕費の先送り等が含まれております。結果として営業利益は、前期比5,209百万円の減益となりました。前期、当期とも譲渡益および内部留保の積立てが発生していますので、分かり辛いところがありますが、ポートフォリオの入替え、譲渡益を活用し、既存物件のマイナスをカバーした決算となっています。
続いて8頁で貸借対照表について簡単に説明いたします。左側の比較貸借対照表の赤枠が当期末の数字です。2022年12月末の資産合計は、前期末より10億円増加し、13,687億円となりました。先ず資産の部ですが、現・預金46億円の増加に加えて、1物件の取得および3物件譲渡に、資本的支出36億円、減価償却79億円の計上により、固定資産が33億円減しております。又、負債の部では、有利子負債が30億円増加し、純資産の部では未処分利益が51億円減少しております。結果、物件の取得資金を3物件の譲渡資金で補ったバランスシートになっております。
それではNBFの今後の運用方針について説明致します。11頁をご覧下さい。NBFの運用方針については従前と変わらず、一口当たり分配金の安定成長を主軸として運用していきます。一方、環境に大きな変化が起きている中では、内部・外部成長の達成の手段を機動的に、且つ、弾力的に用いながら、NBFの質的、量的増進と拡大を通じ、一層の安定実現を図りたいと思っております。その中で、現在のマ-ケット認識とNBFの取り得る戦略を4つに分けて説明したいと思います。先ず、賃貸マーケットの動向についてですが、ロシアのウクライナ侵攻等の影響を受けて、企業の意思決定の遅れや新しいオフィスの使い方の模索という動きが継続し、賃貸マーケットにおけるリーシング活動の動きは、依然として限定的な状況になっております。仲介会社の三鬼商事のデータにおいて、東京ビジネス地区の空室率は6%台が1年以上継続していますが、オフィス賃貸マーケットの回復は、当初の見込みより後ろ倒しになっています。2023年の大量供給による影響も考えられることから、賃貸マーケットの回復にはもう暫くかかるものと思っております。一方でNBFのリーシングにおいては、大規模な床の成約が見られるなど、企業の意思決定に再開の動きが出てまいりました。オフィスビルにおけるマーケットの回復は、テレワークの活用による働き方の変容等あるものの、企業業績の回復が想定される中、東京都心部を中心に、人材確保のためのオフィス移転等Post-Coronaの動きが増えていくと考えております。その中で、東京都心部を中心としたHigh-Spec-Officeへの選考は高まるものと考えております。このような環境の中で、NBFの内部成長については、経済活動の再開に合わせて、スポンサー三井不動産の営業力を生かした後継テナントの誘致を加速するとともに、需要の厚い東京都心部のポートフォリオとテナント分散を生かし、稼働率の安定を優先していきたいと考えております。NBFの稼働率は、当期95.9%を底に96%台に回復し、東京都都心部の大量供給のリーシングや二次空室等の対応が完了する2024年以降、巡航稼働率目標97%台を目指していきたいと考えております。
次に外部成長ですが、オフィスの売買マーケットは堅調に推移しています。日銀の金融政策の変更により、ベースレートは上がっていますが、依然として取引におけるCAP-Rateの上昇は見られておりません。このような環境の中、強固なスポンサーパイプラインを持つNBFとしては、資産の入替えを含めたポートフォリオの質の強化と、規模の成長を図っていく好機であると考えております。本業である不動産賃貸事業収益においては、引き続き内部成長から入替え含む外部成長に軸足を移しつつ、継続的な成長を図っていきたいと考えています。次にファイナンスです。先ず、現在のファイナンスの環境については、エクイティマーケットではNBFのP/NAVが1倍を割り、現状のポートフォリオは分配水準等NBFの実力と比較し、投資口価格が満足のいく水準ではありません。又、デットファイナンスにおいては、借入れ金利が従前よりも上昇しているため、今後の金利上昇を業績予想に織り込んではいますが、90%以上の有利子負債を固定金利で調達しており、返済期限の分散も図られているため、極端な支払金利の増加にはならないよう対応しています。今後のファイナンス方針については、引き続きLTV水準のコントロールとレンダーとの良好な関係を維持し、適切な資金調達を行っていきたいと考えています。最後に、内部留保・譲渡益の活用方針です。後ほど詳しく説明致しますが、現状の不動産賃貸収入だけでは、従前公表しているDPU11,500円の水準を維持することは難しい状況です。半年前の説明と同様に、物件の含み益を顕在化できるのであれば、当面の間DPU11,500円を下限として設定し、投資主への還元を強化したいと考えています。
12頁と13頁に当期に取得した豊洲ベイサイドクロスタワーと、この2023年3月に取得予定の飯田橋グラン・ブルームの概要を掲載しています。繰り返しになりますが、豊洲ベイサイドクロスタワーは、昨年の11月に147億円で取得し、今年の3月に216億円で追加取得する予定です。又、飯田橋グラン・ブルームは、今回3回目の追加取得で、トータルの投資額は1,389億円になります。13頁に豊洲ベイサイドクロスタワーを掲載していますが、こちらもスポンサーである三井不動産からの取得です。鑑定NOI利回りは3.5%ですが、
actualのNOI利回りは3.7%であり、豊洲駅直結の築浅物件としては、良い買い物が出来たと思っております。
14頁に直近の入替えの状況を載せております。左下に記載していますが、今年の1月に新川崎三井ビルの譲渡を完了しております。こちらの物件は、現状の利回りは高いのですが、築33年と、今後のCAPEX等Cash-Flowに影響が出ると試算し、譲渡を決定しました。今後は、含み損物件の処理は終わりましたので、このように、将来のCash-Flow増大に貢献をしない可能性のある物件の入替えが中心になると考えています。
15頁をご覧下さい。続いて内部成長の説明です。期中平均稼働率と入退去率のグラフをご覧下さい。上の赤い折れ線グラフがポートフォリオの期中平均稼働率、下の棒グラフは、各期6ヶ月間の入居あるいは退去したテナントのポートフォリオ全体に対する面積割合を示しています。先ず棒グラフをご覧下さい。入居退去の状況について説明致します。当期の退去率は、大型テナント退去などにより2.6%となる一方、入居率は2.2%となり、結果、期中稼働率の平均は95.9%となりました。次期2023年6月期には、大型テナント退去は一巡しましたが、入居率・退去率とも保守的に1.6%とし、期中平均稼働率は96.1%と見込んでいます。又、2期先に2023年12月期は、入居が退去を上回りますが、96.1%と横ばいを見込んでいます。NBFとしては、今年の大量供給の影響もあり、稼働率を優先としたリーシング活動を実行していきたいと考えております。
続いて16頁で既存物件の賃貸収入の推移について説明致します。黄色い折れ線グラフは、既存物件の賃貸収入の前期比変動率を表しており、棒グラフは、それを2つの要素に分解したものです。青色の棒グラフは、継続入居テナントの賃料改定による収益変動を表しています。賃料改定については、当期においても個別に契約安定を目的とした賃料減額対応を行ったケースもありますが、増額改定を応諾頂く事例もあり、トータルではプラス・マイナスゼロとなっております。婚外の業績予想においては、賃料改定効果は若干のマイナスとしていますが、ビルごとに稼働率を優先課題とし、メリハリをつけた契約改定協議を進めていく方針です。一方、緑色の棒グラフは、テナントの入れ替わりによる影響等賃料改定以外の全ての要素が含まれております。今回の業績予想では、新規テナント入居時のフリーレントを、実績値より長めに見込んでおり、既存物件の不動産賃貸収入は、2023年6月期に増加するものの、2期先の2023年12月期は減収を想定致しました。
17頁をご覧下さい。当期末の財務の状況です。意義上野ファイナンスデータにありますように、期末のLTVは42.2%、長期金利固定比率は91.5%、平均調達金利は0.44%、平均残存年数は5.56年と引き続き保守的に運用しており、その下にあります通り、借入れ余力は約960億円となっております。又、17頁の下の表は、返済期限の分散を表すグラフで、併せて金利水準を棒グラフの上に記載しております。今後の金利上昇による調達コストの増加も懸念されますが、NBFは返済期限を分散し、長期固定金利での調達ターゲットを90%以上とすることにより、一度に支払金利の増加にならないよう金利上昇リスクもヘッジしております。
18頁をご覧下さい。当期は330億円を調達しておりますが、平均年限8.7年、平均調達金利は0.62%となっています。又、グリーンファイナンスにも積極的に取組み、現時点での残高は400億円です。
続いて19頁で継続鑑定評価について説明致します。当期の継続鑑定評価は、左上の表にあります通り、その総額は16,838億円となり、含み益は54億円増加の3,390億円となりました。物件ごとの状況については左下の表にありますが、CAP-Rateは32物件で低下、39物件で現状維持となり、更にCAP-Rateは低下しています。鑑定評価額自体は11物件で減少していますが、今後の工事費を見積もったCash-Flow等の調整によるものです。今回の継続鑑定評価は、現状の取引事例からCAP-Rateの低下傾向を反映したものと思われます。又、先ほども説明しました通り、金利上昇局面ではありますが、様々なPlayersによる活況な売買が継続していることが、要因と思われます。
続いて21頁で業績予想を説明致します。濃い赤枠が2023年6月期、右側オレンジ枠が2023年12月期の業績予想です。先程、内部成長でも説明しましたように、次期2023年6月期には、入居テナントのダウンタイム後の賃料の発生等により、不動産賃貸収入が増収となりますが、2期先については既存物件では不動産賃貸収入が減少し、内部成長はマイナスになる見込みです。又、コスト面では、水道光熱費の増加を、一口当たり400円程度を織り込んでおります。現在のテナントへの転嫁は専有部の7割程度ですが、更なる転嫁についても交渉を開始しております。一方で、不動産売買マーケットの活況は継続しており、次期においては、新川崎三井ビルディングの譲渡益18億円を活用したいと考えております。今回は、譲渡益および内部留保の活用により、分配金の下限を維持することとし、2023年6月期、2023年12月期とも11,500円の予定としております。分配金の増減内訳については22頁に図解しておりますので、ご確認下さい。
次に23頁をご覧下さい。前回、内部留保および譲渡益の活用方針として、皆様にDPUの下限を11,500円として、安定分配に努める旨説明をさせて頂きました。当期2022年12月期も譲渡益を計上したことから、内部留保の残高は約139億円になる見込みです。NBFとしては、今後も資産の入替えを行い、ポートフォリオのクオリティを上げる一方、含み益の顕在化も行い、投資主の皆様に還元していきたいと考えております。今回の業績予想では、譲渡益を除く不動産賃貸ベースのEPUは、約10,000円程度です。賃貸マーケットの大量供給では、二次空室の問題も孕んでおり、又、電気コストの上昇も課題となっていますが、一方で、売買マーケットは堅調に推移しており、含み益の顕在化による物件の譲渡益の計上が出来る当面の間は、DPU11,500円を守っていきたいと考えております。従いまして、2023年6月期、2023年12月期の2期の予想についても、11,500円を下限とし、業績予想とさせて頂きました。先程運用方針の頁でも説明致しましたが、NBFの強みを戦略に織り込み、稼働率の向上による賃貸収益の拡大や、譲渡益、内部留保を活用しつつ、DPUを安定的に11,500円の水準以上に持っていけるように運用していく方針です。
最後に、NBFのESGへの取組みについて説明致します。少し飛びますが、41頁に当期の取組みのハイライトを載せております。当期においては、TCFDで推奨されているシナリオ分析を公表しました。その他KPIの進捗ですが、2022年の結果は、第三者補償の確認作業を受けた後に、次回の決算説明資料で公表できると思っています。
最後になりますが、今回の業績予想では、Post-Coronaのオフィスの使い方等を保守的に織り込んでおります。金利の上昇は既に見込んでいますが、その他の要因が収まれば、不動産賃貸収益の改善が図れるものと認識しています。NBFにおいては、事業会社の好調な決算に基づく立地改善や、拡張移転等の動きが活発になるまでの間、稼働率を優先課題として取り組んでいきます。難しい事業環境がもう暫く続くことになりますが、これまで報告しました通り、NBFが持つポートフォリオの強靭さは、一時的な混乱も、長期的なマーケットの変化に対しても、十分に対応していけるものと確信しております。NBFとしては、あらゆる引き出しを活用し、投資主の皆様の期待に応えていきたいと考えております。
私からの説明は以上です。本日は有難うございました。