投資法人みらい 2024年4月期決算概要
投資法人みらい
2024年4月期(第16期)決算動画説明書
○動画 https://www.net-presentations.com/3476/20240620/ndcqwf/
○説明資料 https://3476.jp/file/term-26ffbc91257ca150e17f9d42c6b578e265fe8c99.pdf
〇質疑応答 https://3476.jp/file/term-7e9f1f3dbc7e2f1d9d3e42fcf808d7821a3baadc.pdf
○説明者 投資法人みらい 執行役員 兼
三井物産・イデラパートナーズ株式会社 代表取締役社長 菅沼 通夫
○説明
投資法人みらいの第16期決算説明を始めさせて頂きます。本日は、第16期決算説明会資料のうち、冒頭のエグゼクティブサマリーを説明した後、Section1運用ハイライトの内容に沿って説明させて頂きます。第16期中には、みらい中期経営計画の達成に向けた着実な推進として、2年ぶりとなる公募増資を実行、インプライドキャップレートを上回る高い収益性の物件取得により、DPUの成長と資産規模の拡大を実現することができました。みらいの運営を支えて頂いている関係者の皆様、そして投資家の皆様に、改めて厚く御礼申し上げます。それでは説明に入らせて頂きます。
先ずは1頁目のエグゼクティブサマリーをご覧ください。第16期の税引前一口当たり当期純利益は、予想を83円上回る1,191円、一口当たり分配金は予想上では、一部内部留保を取り崩す前提にて1,150円を想定していましたが、業績上振れにより、内部留保の取り崩しを行わずとも1,150円を達成することができました。このため1,150円を上回る収益については、将来の備えとして内部留保に充当致します。この結果、内部留保の期末残高は188百万円となります。外部成長の面では、第16期中に、公募増資によって119億円の新規取得を実行、中計で掲げております賢守・共攻のテーマに沿った、且つ、インプライド・キャップレートを上回る収益性の高い物件の取得を完了しています。
又、今後の成長に向けては、パイプラインとして現状約220億円の物件を検討しております。ポートフォリオマネジメントとしては、湾岸オフィス2物件において、稼働率優先のリーシング活動により、空室の埋め戻しが順調に進んでいることから、オフィス全体の稼働率は97.2%と、高い水準を維持しております。又、ホテルにおいては、固定賃料型から変動賃料型に切り替えた2物件を含めて、インバウンド需要を取り込み、変動賃料は拡大しています。財務面では、金利上昇の環境下でも、平均調達金利は0.66%と、引き続きレンダーからの厚い支援に支えられながら、有利調達が実現できております。今後のリファイナンスでは、一部変動金利を導入する等、リスクとコストのバランスを踏まえた財務運営を維持していきます。ESGの取り組みとしては、PRI へ参加する等、着実な取り組み進化が図られております。
これ以降は、資料のSection1運用ハイライトに沿って、説明させて頂きます。先ずは中期経営計画の進捗状況です。
4頁目の中期経営計画の進捗をご覧ください。投資法人みらいでは、2022年6月に中期経営計画を発表して以降、賢守・共攻のコンセプトに沿って公募増資を伴う外部成長や、戦略的な物件入替の実行、およびアセットマネジメント力を発揮した内部成長の着実な進捗と、投資主価値の拡大を実現してきております。一口当たりの分配金は、第16期については、業績予想通りの1,150円、第17期は1,185円、続く第18期は1,210円と着実な成長を見込んでおり、ホテル変動賃料の更なる拡大、そしてフリーレント解消と稼働率改善によるオフィス賃料回復をドライバーとして、目標である1,300円の達成に向けて進捗しています。
一口あたりNAVは、第16期末時点で50,220円となり、中計開始時から1,550円、3.1%増加しています。今後もポートフォリオの価値向上や含み益を有する物件取得を通じて、目標である53,000円の達成を目指しています。最後に資産の規模ですが、第16期中に実行した公募増資により1,782億円となり、中計で目標としている2,000億円達成に向けて着実に進捗しています。今後も投資物件を厳選しながら投資主価値向上に繋がる外部成長により、目標達成を目指していきます。
ここからは中計の3つの目標について、個別に状況を説明致します。
5頁目の一口当たり分配金をご覧ください。先ずは一口当たり分配金です。冒頭のエグゼクティブサマリーでも説明しました通り、第16期はホテルの変動賃料の上振れ等が寄与した結果、当初想定しておりました総額80百万円の内部留保の取り崩しを行わずとも、予想分配金である1,150円を投資家の皆様にお渡しできることになりました。又、1,150円を超過する部分については、内部留保として積立、将来の分配金安定化への備えとさせて頂く所存です。これにより、内部留保の総額は188百万円となり、一定額の備えを確保することができました。今後の予想としましては、内部留保取り崩しを伴わない実力ベースであるEPUベースで、第17期は1,185円、第18期は1,210円と分配金の継続的な成長を見込んでおり、ポートフォリオの収益性改善が着実に進んでいくことがご確認頂けます。
6頁目の一口当たりNAVをご覧ください。一口当たりNAVは、中計発表時の50,670円から、複数回の物件入替と含み益のある物件取得の結果、第16期末では1,550円増加の52,220円となっており、本中計の目標値である53,000円に迫っています。第16期末は、期中公募増資に伴う希薄化により、第15期末からは若干の下げとなりましたが、含み益の大きい物件取得により、ポートフォリオ全体の含み益は着実に増加していることがご覧頂けるかと存じます。
7頁目の資産規模をご覧ください。2年ぶりとなりました昨年の第5回公募増資では、安定した賃料収入が見込める浜松市のオフィスビルと、コロナ収束後の人流回復やインバウンド効果にて集客が拡大している、大阪心斎橋の都市型商業施設、又、安定した出張需要やインバウンド事業を見込める名古屋、広島のホテル3物件、合計5物件119億円の物件を取得致しました。5物件の平均の鑑定NOI利回りは 4.8%であり、インプライド・キャプレート4.4%を上回る高い収益性の物件取得となっております。中計目標である 2,000億円にはあと一歩ですので、今後も優良物件の取得を通じて目標達成を目指してまいります。
ここからは足元のインフレ、金利上昇のマーケット環境を踏まえた資産サイドのポートフォリオ運用、負債サイドのファイナンス戦略、最後に外部成長に向けたエクイティ戦略について説明致します。
8頁目の市場環境の変化と運用戦略をご覧ください。資産サイドのポートフォリオですが、ホテル変動賃料とオフィスを含む残存 2年以内の短期の契約が51.5%と過半数であり、これらの賃料アップに取り組んでいくとともに、物件運用においては、みらいのアセマネ力を発揮することで費用削減、もしくは、上昇幅の抑制に注力してまいります。負債サイドでは、短期的に金利変動の影響を受ける変動金利借入と、残存2年以内借り入れが全体の35.9%であり、金利上昇リスクを留意しつつ、借り換えに際して一部変動金利での調達を行うことで、コストコントロールを行ってまいります。最後にエクイティサイドでは、金利上昇によってボラタイルな状況の投資口価格を従来以上に慎重に注視しながら、インプライド・キャップレートを上回る物件取得と公募増資を通じて外部成長を目指してまいります。
次の頁からは、資産サイド、負債サイド、エクイティサイド、夫々の取り組み戦略を少し詳しく説明させて頂きます。
9頁目の金利上昇リスクへの対応をご覧ください。この頁では先ほどご覧頂きましたバランスシートのうち、ALMの観点からの資産サイドの収益拡大と、負債サイドの借入コストコントロールについて説明申し上げます。みらいの現在のAUMは1,782億円、年間賃料103億円のうち、ホテル等の変動賃料型契約が全体の6.1%、そして経営更改までの一時貸借残存期間が2年以内である契約、これにはオフィスの普通借家契約が含まれておりますが、これらが全体の45.3%で、この51.5%が短期でアップサイト余地のある契約と認識しております。
これに対して負債サイドでは、全体の有利子負債919億円のうち変動金利での借入が14.7%、今後2年以内に償還期限が到来する借入が21.2%、合計35.9%相当の借入が、短期間で金利変動の影響を受ける借入と認識しています。資産規模1,782億円の51.5%相当が、短期間でアップサイド余地のある資産、有利子負債919億円の35.9%に相当する借入が、短期間でダウンサイドリスクのある借入でということであり、想定以上の金利上昇があった場合でも、賃料アップサイドを目指すことで、金利上昇を補いうるポートフォリオが構築できていることがご確認頂けるかと思います。
右側の表では、金利が業績予想の前提水準以上に上昇した場合の、賃料アップサイトによるDPUへの感応度をお示ししております。縦軸は変動金利借入と残存2年以内の借入を合計した、短期的に金利上昇リスクのある借入を座標として、業績予想上の借入金利の前提からの更なる金利上昇度合いを表しており、横軸にアップサイド余地のある変動および残存2年以内の賃貸借契約の賃料の上昇率、これを示すことでDPUへの影響をマトリックスで表現しております。
次に10頁目の賃貸借事業費用のインフレ対応をご覧ください。こちらでは先ほどのバランスシートのうち、資産サイドの物件運用費用削減と抑制に関する具体的な取り組みを説明致します。左側のグラフは、経費率と各費用項目の内訳を示しております。第16期の経費率実績が32.2%、恒常的ではない修繕費等の工事計画による差異もございますが、インフレの影響がより顕在化してくる第18期では33.1%を見込んでおり、インフレ下でも経費上昇率がある程度コントロールされております。
費用項目別に見ていきますと、外注委託費では、PM/BM会社の一部から、人件費増加による増額要望の動きが見られる状況ではありますが、品川シーサイドパークタワーでは粘り強い交渉と調整により、BM契約の仕様見直しで、10%を超えるコスト削減を実現するなど、みらいのアセマネ力が、コスト削減実績に繋がっております。水道光熱費では、専用部のみならず、一部物件では共用部についてもテナント転嫁が進んでおり、足元のネット収支はプラスとなっております。又、電力消費量が大きい品川シーサイドパークタワーでは、スポンサーである三井物産から電力供給を受けることで、約2%の電力料金削減を、更に川崎テックスセンターでも電力会社の切り替えにより、約12%の歩幅削減が見込まれております。
又、公租公課では、3年に1度の評価替えの時期を迎えていますが、土地の評価額上昇を、建物の経年による減価が相殺し、税額の上昇は限定的な範囲にとどまる見込みです。又、全体に占める割合は少ないものの、損害保険料についても、金利上昇や昨今の多発する自然災害、保険事故発生等の影響により、保険料の値上がりが想定されております。9月に長期契約の期限が到来するポートフォリオ全体の損害保険更改に向けては、三井物産グループの保険代理店との連携により、細かな付保条件の見直しを通じたコスト上昇の抑制を協議しておりますが、業績予想上は一定割合の上昇を見込んでおります。
11頁目の当面のポートフォリオ構築戦略をご覧ください。当面のポートフォリオ構築戦略としては、アセットタイプごとの割合に加えて、契約形態も含めた各々のキャッシュフロー特性にも着目した上で、最良となるアセットミックスを実現して方針です。具体的にはアセットタイプによる分類だけではなく、先のALM戦略でも説明しました変動賃料と残存2年以内契約の物件割合を増やすことで、キャッシュフローのアップサイド余地引き上げを目指してまいりたいと思います。現ポートフォリオでは、この2つに分類される契約の割合が、全体の51.5%であり、この割合を50%台中盤まで引き上げていくことで、よりインフレへの対応が可能なポートフォリオを構築していきます。
12頁目のパイプライン検討状況をご覧ください。先に説明しました通り、物件のキャッシュフロー特性を考慮しながら物件探索を進めてきており、現状では約220億円のパイプラインを検討しております。内訳としましては、賃料アップサイドが期待できる残存2年以内のオフィスや変動賃料型ホテルに加えて、キャッシュフローは、安定資産となる長期契約のオフィスや固定賃料型のホテルで構成されており、変動賃料と残存2年以内の契約物件の割合が63%と、アップサイド余地を有するアセットが過半数となっております。又、これらパイプラインは三井物産グループとイデラキャピタルの両スポンサーのブリッジ機能等のサポートも活用しながら案件積み上げがなされております。
13頁目のアセットタイプ別の投資戦略および市場見通しをご覧ください。ここからはアセットタイプごとの市況見通しと投資戦略について説明致します。先ずオフィスですが、市場の見通しとして、最近まで懸念されていた首都圏の空室率はピークアウトしてきており、大阪、名古屋、福岡のような大都市圏の稼働率も安定的に推移しております。今後のオフィスマーケットを見通す上で参考になりますのが、下段右端にあります日銀短観業況判断とオフィス稼働率の相関図です。資料に表れている通り、オフィス稼働率は、大企業の短観業況判断指数に後行して改善される傾向にありますので、現在の短観業況判断の改善が今後の稼働率上昇につながることを期待しております。
投資対象としては、みらいの主力である幅広いテナント事業に対応可能な中規模、ミドルクラス賃料帯のオフィス、エリアとしては、首都圏のみならず、底堅い事業に対して供給が極めて限定的である、地方中核都市のオフィスを中心に、契約形態としては、インフレに合わせた賃料引き上げが可能な、短期契約主体の物件をメインに検討を進めています。
14頁目をご覧ください。次に商業施設です。市場見通しとして、主要な都心商業エリアでは、高級ブランド店舗やRe-use店等、コロナ禍明けの市場の正常化と旺盛なインバウンド需要に恩恵を受ける業態が出店を増やしており、国内主要都市のハイストリートの空室率が改善傾向にあります。
又、小売業態全体ではインフレの恩恵も受けて、売上高は増額傾向にあるなど、セクターとしては総じてポジティブなトレンドが続いております。これをもとに投資戦略としては、前回の公募増資の際に取得した心斎橋の物件のような、都市型商業施設を積極的に検討するとともに、物件の利回り水準によっては、固定賃料物件をターゲットとしてまいります。最後にホテルです。市場見通しとしては、国内およびインバウンドの観光需要が旺盛であることは言わずもがなでございますが、昨今の建築コストの上昇から、みらいの主たる投資対象であるバジェット型ホテルは、新規供給も限定的と思われ、需給の面でも引き締まった状況が継続すると考えられます。投資戦略としては、アップサイドが狙える変動賃料型ホテルに引き続き注目しながら、固定賃料型も契約更改時の変動賃料型への切り替え可能性なども考慮し、割安に取得できる案件があれば検討していきます。
15頁の運用状況オフィスをご覧ください。ここからはみらいのアセットタイプごとの運用状況を説明致します。先ずは大規模オフィス4 物件についてですが 左上の表の通りいずれの物件ともに、高い稼働率を維持しております。湾岸エリアに所在する品川シーサイドパークタワーは、当期第16期末である4月末時点での稼働率は100%でしたが、前回第15期の決算説明でも報告しました通り、5月に主要テナントの1社であるメルセデスベンツ社が退去したことを主要因として、一時的に稼働率が低下しております。
しかしながら、小分割対応も伴いつつ、稼働率優先でのリーシング活動により、埋め戻しは順調に進んでおり、第17期末となる2024年10月末時点の稼働率は、95.2%を想定しております。足元では具体的なテナント候補先数社との協議が進みつつあり、これら候補先と契約に至りますと、稼働率は100%に近い水準を見据えることができるまで進捗しております。同じく天王洲にある東京フロントテラスでは、今年の7月に一旦100%に近い水準まで埋め戻しが進む等、リーシングは着実な結果を出しております。又、両物件ともに、稼働率は周辺物件の平均稼働率を上回って推移をしており、みらいの優れたリーシング力の表れと言えると思います。又、小分割対応も伴いながらリーシングを進めた結果、テナント分散も着実に進んでおります。参考までに 両物件の入居テナントの属性ですが、業種は様々でありますが、移転もとは城南地区が殆どであり、前向きな拡張移転が多いことが特徴であります。
次の16頁目をご覧ください。続いて中規模オフィスの状況です。先ず、BizMiiX淀屋橋ですが、時間はかかりながらも稼働率は順調に改善しており、4月末時点稼働率はコンバージョン以降で、最高の稼働率に達しました。この傾向に合わせて収益性も改善傾向であり、今後契約期限を迎えるテナントとは、賃上げ交渉を行うことで更なる収益改善を目指していきます。広島の中規模オフィスで愛媛ビルでは、全体の24%を賃借するテナントにて、3、4階の合計344坪の解約がありましたが、埋め戻しのリーシングは順調に進んでおり、3階は国内大手企業の支店から入居申し込みを受領済みです。当該候補先テナントの賃料水準は、入替前より+14%の収益改善の見込みであり、その他大阪難波の中規模オフィスでありますTCAビルでも、取得時以降順調に賃上げが実現するなど、地方中核都市の中規模オフィスでは、賃料アップが着実に進んでいることがご理解頂けます。
17頁をご覧ください。続きまして商業施設です。左側の表で、同セクターの全物件について賃料形態別とロケーション別で分類しています。ミ・ナーラは売上連動の割合が40%弱と高水準であり、結婚式場のTHINGS青山とイオン葛西店は、施設売上が一定水準を超えた際には売上変動賃料が発生する契約となっております。渋谷ワールドイーストビルを初めとする都市型商業施設4物件については、テナントの平均残存期間が2.4年と、短期的に賃上げが狙える状況にあります。個別物件のトピックスですが、渋谷ワールドイーストビルと昨年取得したMIキューブ心斎橋は、人流回復もあり順調に賃上げが実現できております。アップサイドが期待されるTHINGS青山では、2月から4月までの3ヶ月間の売り上げが、売上連動賃料が発生する水準を超過して推移しており、イオン葛西店ではリニューアル後の売上が好調のため、第16期に売上連動事業が発生するなど、都心型商業施設以外の物件でも、好調に推移していることがご確認頂けます。
続きまして18頁をご覧ください。ミ・ナーラのパフォーマンス状況です。第16期は11月から4月までの半年間であり、夏場のハイシーズンを含む5月から10月までと比較すると、賃料収入は抑え目になる傾向にありますが、左上の折れ線グラフでお示ししている通り、それでも再リニューアルを行った2020年から前年同月比の月額賃料は、安定的に上昇傾向にあります。第16期の賃料収入全体に占める変動賃料の比率は、38.5%となりました。又、下段の表の通り、第16期実績は、月額賃料、NOI、そして施設売上高のいずれも前年同期比を上回って推移するなど、再リニューアル後の着実な改善が見て取れます。今後のアップサイドとしては、施設をオープン時より低廉な賃料で入居している、大型テナントの入替によるアップサイドを進めてきます。
19頁をご覧ください。こちらでホテルの状況について説明致します。皆様ご認識の通り、国内のホテルセクターはインバウンド需要や国内需要の盛り上がりにより活況を呈しており、みらいの物件においても高いパフォーマンスを見せております。左側の表ではみらいの運用物件を賃料形態およびキャッシュフロー特性別に分類しております。全15物件のうち8 物件、AUMベースで48%が固定賃料型の物件で、残り7物件、AUMベースで約52%が変動賃料を含む契約形態の物件であり、既にみらいのホテルポートフォリオは、一定のアップサイドが享受できる状況にあります。今後2027年までに契約期限を迎える固定賃料物件4物件については、当該物件エリアのマーケット動向なども勘案、アップサイドを狙えるエリアの物件については、変動賃料を含む契約への切り替えも検討してまいりたいと思います。
次の20頁では、変動賃料物件である5物件のパフォーマンスおよび個別物件の状況を説明致します。24年3月に大阪天王寺、京都烏丸五条のホテルについて、スマイルホテルでオペレーターチェンジを実施、同時に賃料形態を変動賃料型に変更しています。左上のグラフにあります通り、変動賃料物件のRevPARは着実に改善傾向にあり、それに歩調を合わせて下段のグラフの通り、変動賃料も増加傾向にあります。個別物件の状況ですが、RevPAR実績がコロナ前水準に達した博多駅前や名古屋栄、リブランド初月に変動賃料が発生した大阪、京都、そしてアップサイド賃料が発生した新潟など、総じて好調な運営がなされております。変動賃料物件で唯一回復が遅れている那覇ですが、今年2月には春節効果により変動賃料が発生しており、直行便の更なる回復とそれによるインバウンド需要が回復することで、コロナ前水準に回復することが十分可能と考えております。
21頁目の財務戦略、負債ポートフォリオをご覧ください。個々では、負債サイド、借入状況について説明致します。左側の財務ハイライトに示しております通り、みらいの現在の有利子負債残高は919億円であり、総資産LTVは49%、鑑定総額に対するLTVは45.2%となっております。今後も総資産LTVの上限を50%にて運営していく方針です。尚、借入全体に占める固定金利の比率は、現在85.3%ですが、金利動向を注視しつつ、今後のリファイナンスに際しては、この割合は柔軟に考えていきたいと思います。一方でみらいに対する金融機関からの融資姿勢については、従来から変化はなく、引き続き厚い支援を頂ける状況であります。このことは、右側の折れ線グラフの通り、第12期以降の調達機関別の平均スプレッド水準に大きな変化がないことにも表れております。このような安定した財務運営も反映され、第16期中にJCR格付は、従来のA+安定的からA+ポジティブに見通しの変更がされました。今後とも着実な課題解決と、ポートフォリオの分散効果を伴う外部成長を進めていくことで、AA格を目指してまいります。
22頁目の財務戦略の資本政策、外部成長をご覧ください。最後はエクイティサイド、公募増資の取り組み方針です。みらいは第16期までに5回の公募増資を行っており、全てインプライド・キャップレートを上回る物件取得を伴うものであります。中期計画の目標として掲げております、AUM2,000億円の到達を目指すことは先に説明の通りですが、頁左下にありますインプライド・キャップレートを含む4つの検討ポイントを念頭におきつつ、投資主の価値向上に繋がる公募増資と外部成長により、目標の達成を目指してまいります。
23頁目の中期経営計画の一口当たり分配金目標をご覧ください。この頁では、ここまで説明してまいりました外部成長を含む、ポートフォリオ運営戦略を実施することを通じた、中期経営計画の一口あたり分配金目標の、1,300円達成の道筋をお示しております。先ず、ホテルの変動賃料がコロナ前の水準に回復した場合に、約30円の増加に見込まれ、大規模オフィスのフリーレント解消と稼働率向上により、約60円の底上げ効果が期待されます 。最大の論点であるオフィス市況の回復については、注視する必要がありますが、現行のポートフォリオの内部成長のみで1,300円を達成可能な状況であり、更には投資主価値向上に資する公募増資による物件取得効果も併せて、DPU引き上げを進めてまいります。
24頁ESGの取り組みをご覧ください。2024年4月には三井物産・イデラパートナーズの親会社である三井物産アセットマネジメント・ホールディングスが、グループ4社を代表してPRIに参加、更には地域社会貢献イベント再開や環境配慮の設備導入と、ESG推進においても着実な進捗が見られます。
以上が第16期決算説明となります。大規模オフィスでは稼働率優先の積極的なリーシング活動により、主要テナント退去後の埋め戻しの目処がつき、ホテルや商業施設などでは賃料改善と賃上げが実現、更にはみらいのアセマネ力を発揮しつつ、物価上昇基調の中でも、費用の削減、抑制対応を行うことにより、第16期は内部留保の取り崩しを行わずに、従来予想通りの分配金を投資家の皆様にお渡しできることになりました。今後もインフレ基調が継続することが見込まれ、又、金利の動向も注視すべき状況ではありますが、これまでの説明の通り、みらいのポートフォリオは、一定の賃料アップサイドが期待できる構成となっており、更に今回説明しましたみらいなりのALMを推進しつつ、投資主価値の最大化を目指してまいる所存です。投資家の皆様、関係者の皆様におかれましては、引き続きご支援を賜りますよう、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
本日はご清聴頂きまして、誠に有難うございました。