野村不動産マスターファンド投資法人 2025年2月期決算概要
野村不動産マスターファンド投資法人
2025年2月期(第19期)決算動画説明書&質疑応答
○動画
https://c-hotline.net/Viewer/Default/5254ba0500dbad324842857b5d919c181522
○説明資料
https://www.nre-mf.co.jp/file/top-financial-21ff4479fd471e8c03c5edb6da01be79c2bc60c4.pdf
〇質疑応答
https://www.nre-mf.co.jp/file/top-financial-7381b4483ffca55bb51ddd4839d2626a171bd72e.pdf
○説明者 野村不動産投資顧問株式会社
執行役員NMF運用グループ統括部長 増子 裕之
〇説明
野村不動産投資顧問の増子です。J-REIT市場は、金利の上昇局面でもあり、厳しい状況が続いております。そのような環境を踏まえ、本投資法人は、昨年2度に亘り自己投資口の取得を実施しておりますが、大きく状況は改善しておりません。一方で、賃貸マーケットは 総じて好調であり、内部成長に向けた環境も整ってきている中で、今回3年後の分配金成長目標を策定しておりますので、先ずはそちらから説明します。
4頁をご覧ください。半年前に投資主価値向上に向けた運用戦略をお示した中で、既存ポートフォリオの収益力を上げることに注力すると申し上げました。その方針は継続してまいりますが、今回は、具体的に分配金の定量目標を新たに設定致しました。最上段に記載の通り、今後3年間で、売却益等を除く巡航分配金を約5%成長させ、現時点で一口当たり3,381円の分配金を、3,530円から3,560円の水準まで引き上げます。又、物件売却は継続し、売却益は原則 4期に分けて分配する予定ですので、実質分配金は、3年間で8から9%の成長を目指します。尚、周知の通り、新宿野村ビルから野村不動産グループが退去予定であるため、26年8月期以降、一時的に巡航分配金は下がりますが、その影響分については内部留保を活用する予定です。
次の5頁で、目標達成に向けた成長シナリオを説明します。今後の1年間については、具体的に業績予想を策定しておりますので、26年8月期以降の成長方針を表に纏めています。オフィスは、今後、賃料成長がより鮮明になる見通しのもと、NOIを年間2億円増加させていきます。居住用施設は、現在の好調なマーケットが継続する想定で、こちらもNOIベースで年間200百万円の上昇を見込みます。残るセクターは、特性に合わせた改定を推進し、NOIを年間50百万円ほど上昇させていきます。いずれも、インフレによる一定程度の運営コスト上昇を見込み、全セクター合計で、年間4.5億円のNOI上昇を目指します。
尚、新宿野村ビルについては、野村不動産グループの退去により、一時的に巡航分配金が低下しますが、幸い賃貸マーケットは好調であり、早期リーシングを実現すべく努めてまいります。他方で、金利上昇を踏まえ、10年国債金利1.5%の前提で、年間2.5億円ずつ借入コストが上昇する想定をしておりますので、NOI上昇との差し引きは約2億円ということになります。続いて最下段は、資産入替および還元施策についてです。今後3年間で600から900億円の物件売却を継続し、ポートフォリオのインフレ耐性を高めるとともに、含み益の顕在化により、売却益を原則4期分割分配していきます。尚、手元資金の多寡にもよりますが、投資口価格水準がNAVに対して0.9倍未満が続く場合には、従来通り自己投資の取得も検討します。
それでは、25年2月期の運用実績に移りますので8頁をご覧ください。一口当たり分配金は右から2列目ですが、当初の業績予想を7円上回る3,453円の着地となりました。一番左の前期比では+3円となります。賃貸事業収入は、既存物件の賃料・共益費が全セクターで増収となり、42円のプラスとなりました。オフィスと商業については、リースアップや増額改定、物流セクターはフリーレント解消が主因となります。一方で賃貸事業費用においては、修繕費が増加するもののPM報酬や減価償却費の減少により、24円のプラスとなっています。その他支払利息等の増加により16円のマイナス、資産入替を通じた4円のマイナス、自己投資口取得による15円のプラスにより、紺色で示した巡航分配金は、3,381円と1.8%上昇しています。又、25年2月期におきましても、売却益を計上していますが、30億円を自己投資取得に充当しています。従いまして、右から3つ目の棒グラフになりますが、前期までの72円が加わり、実質分配金は3,453円となります。
11頁をご覧ください。この頁では資産入替を纏めています。直近の活動として、右側になりますが、成長余地が限定的である、地方を中心とした住宅9物件を売却する一方で、スポンサーから、キャッシュフローの成長が期待できる住宅2物件と、サービス付きオフィス1物件を取得しています。優良資産への入替を通じて、ポートフォリオにおけるインフレ体制の強化を進めていきます。
取得物件の紹介に移ります。12頁をご覧下さい。いずれも東京23区内にする賃貸住宅です。プラウドフラット浅草トレサージュは、1 LDK 以上が3割超、プラウドフラット日暮里は2 LDK が半数を占めており、多様な顧客ニーズに対応できる商品性を有する物件です 好調な賃貸住宅マーケットを生かし、キャッシュフローを引き上げていきます。
13 頁は、スポンサーがPMO に続き、ブランド開発を進めているH¹Oをご紹介します。スタートアップ企業、各種プロジェクト用分室、地方・海外企業の拠点、フリーランスなど、少人数で働く方のニーズに対応できるクオリティースモールオフィスです。サービスの具体的内容としては、有人受付サービスの他、生体認証セキュリティや共用ラウンジを有するなど、ウエルビーイングな環境を提供する新時代のオフィスであることから、高稼働を維持しております。又、テナントにとっては、賃貸スペースを効率化できるほか、初期コストや ランニングコストを抑えられるといった利点があり、需要は拡大基調です。契約形態は、原則2年間の定期借家契約を締結する方針であり、インフレに適用できる物件であることがお分かり頂けると思います。
次は 各セクターの運用状況について説明します。
先ずはオフィスです。15頁をご覧下さい。テナント需要は旺盛であり、25年2月期末の稼働率が97.9%となり、25年8月期末も同水準を想定しています。左下は、テナント入替による賃料増減です。25年2月期は全体で+3.7%となりました。一部、新宿野村ビルで好条件テナントの退去による入替が生じており、過去からのトレンドという意味では、新宿野村ビルを除く+7.9%が参考になるかと思います。又、右下の賃料改定におきましても、25年2月期は+1.9%と、回復基調が鮮明になっており、月額賃料が7,084千円増加しています。
次の16頁で今期のリーシング進捗を紹介します。今までは、地方のオフィスが賃料増額を牽引しておりましたが、PMも含む東京圏でのオフィスにおいても、賃料改善傾向が強まってきています。他方でテナントニーズは多様化してきています。従来であれば、オフィスを移転する際に、時間をかけて各社のニーズに見合った設計を行い、入居工事を経て移転するといった流れでしたが、近年の工事費の高まりや機動的な事業展開により、セットアップオフィスへのニーズが徐々に増えてきています。我々としても、ターゲット層の拡張や賃料単価の上昇などを目的として、MNF芝公園ビルにてセットアップオフィスを導入し、大幅な賃料増額を実現することができました。今後も、投資効率を意識しながら、適宜・適切に取り組んでいきます。
17頁では新宿野村ビルについて述べます。今年の8月に、野村不動産グループがブルーフロント芝浦S棟に移転します。本投資法人の持分相当で、約2,500坪が解約となる予定です。退去後は、貸室整備工事と同時並行でリーシングを進めていきますが、26年8月以降 リースアップ完了までは、一時的に収益影響を受けることになります。現時点においては、26年8月期で約8億円、 27年2月期で約4億円を想定しており、その影響分は内部留保を活用致します。下段ではリーシング戦略を示しています。面積体としては、小規模からフロア単位までバリエーションを増やし、貸室仕様においても様々なテナントニーズに対応する形で、幅広いターゲット層に対し、スピード感と収益性を追求したリーシングを推進します。
18頁をご覧ください。物流は引き続き満床稼働です。右上の賃料改定において、25年2月期は対象テナントが少なく、+3.2%となりました。右下は、25年8月期に契約満了を迎えるテナントとの再契約状況です。相模原大野台ロジスティクスセンターにて、CPI連動条項により+8.7%で賃料改定予定であり、ランドポート八王子においても、4テナントで増額改定を実現しています。物流マーケットは、新規供給の影響で、エリアによる強弱があるものの、既存物件にとっては良好な環境が持続している認識です。
19頁は住宅です。左上のグラフで示しております通り、25年2月期の入替賃料増減率は、+9.9%となり、前期に続いて月額10百万円を超える賃料増額を実現しています。又、右上の改定時賃料増減率につきましても、25年2月期はプラス 3.0%と大幅に上昇し 月額520万円を超える 賃料増額につなげることができました。本投資法人は、24年7月よりPMに対し、賃料増額時のインセンティブ報酬を設定しており 右下に記載の通り、増額改定割合が6割まで上昇しています。
新規マーケット賃料の上昇により、移転を躊躇する テナントも散見されることから今後は 従来 以上に賃料改定に注力していきます。
20頁をご覧下さい。従前から本投資法人は投資効率を踏まえ、ファミリーやコンパクトタイプなどに厳選してバリューアップ工事を推進しています。25年2月期は、13件のバリューアップ工事を実施し、37.2%の賃料増額を実現しています。左下では、昨年6月に取得したプライムアーバン西日暮里の入替実績を示しています。全室65平米前後のファミリータイプとなりますが、バリューアップ工事を実施し、+95.3%の賃料増額を実現しています。
21頁をご覧ください。あらゆる内部成長機会を模索し、共用部の付加価値向上を推進しています。左側では、居住者へのアンケートを経て、1階集会室を、子供も遊べるラウンジとワークスペースである個室ブースにリニューアルしました。右側では、1階エントランスの壁を内装式の石張りに変え高級感を演出するとともに、宅配ボックスを新設しました。両案件共に、共用部のリニューアルを契機に、契約期間中での改定交渉を行い、賃料増額に繋げています。今後も潜在能力を有する物件に限定し、同様の取り組みを順次推進していきます。
22頁は商業セクターです。25年2月期末における商業セクター 全体の稼働率 は99.7%まで改善しました これは中座くいだおれビルのテナントとの契約が開始されたためです。左下の入替時賃料増減は中座くいだおれビルの稼働を含み、36.9%の賃料増額を、右下では底地13物件の増額改定を含み 14.1%の診療 増額を実現しています いずれも 特殊要因を含みますが それを除いても 増額幅は拡大傾向です。
23頁は中座くいだおれビルです。ついに3月26日にリニューアルオープンを迎えることができました。
外壁には、全長約6.5mのアイコニックな「くいだおれ太郎」の立体造形看板を、エントランス上部には、8m×5.5mの大型LEDビジョンを設置し、太郎の世界観と賑わいを演出しています。テナントとして5階には、もともと大阪で著名なナイトクラブであるジラフジャパンが出店し、時間帯ごとにクロスリアリティ体験、ショークラブといった異なる文化を楽しめる複合エンタメ施設が誕生し、6階には吉本興業の新業態であるレストランシアターが出店しています。道頓堀エリアに不足していたエンターテイメント性を補完し、国内外の観光客および地元住民の来場が期待されます。正に4月からは、大阪関西 万博が開幕しており、更に2030年には大阪IR施設の開業が予定されているため、本投資法人としては、ユニバーサル・シティウォーク大阪を含め、大阪の物件が有するポテンシャルを磨き続けます。尚、中座くいだおれビルは、右下に記載の通り26年2月期から収益貢献する見込みです。
24頁をご覧ください。左側は、札幌のシンボル物件であるnORBESAです。観覧車のプロモーションを強化し続け、観覧車収入は年間166百万円と、前年比70%増を実現しました。その他にも、外壁や1階エントランスのリニューアルにより、施設の魅力を高めた結果、賃料引き上げやイベントホールの活性化が進展し、鑑定価格が前期比で10億円上昇しました。右下では、GEMSやnORBESAにおいて、契約期間が相対的に長いテナントに対し、CPI乃至は売上連動条項を5テナントに導入しており、将来に備えた交渉を推進しています。
25頁をご覧下さい。このページでは、変動賃料を導入している6 物件の、ホテルの運営状況を示しています。夫々個別事情があるものの、インバウンド需要の増加等により、RevPARが前年同期比で大きく上振れしています。昨年の訪日外客数は約3,700万人と伸長しましたが、政府は2030年に訪日外客数6,000万人を目標に掲げており、今後も国内外の高位・安定した観光需要を期待しています。
27頁をご覧ください。鑑定評価額については上昇が継続し、含み益は前期比+53億円の、2,734億円まで拡大しています。右上の表をご覧頂きますと、過半の物件で鑑定評価額が上昇しています。一方で、右下の継続鑑定における平均鑑定 キャップレートは、概ね横這いで推移しています。
29頁は財務活動です。25年2月期は約230億円のリファイナンスを行いましたが、変動 借入比率や借入年限の調整により、金利上昇影響を抑えています。加えて、前期に続き25年2月期は、投資家需要を踏まえ、5年と7年の合計65億円の投資法人債を起債し、直接金融による資金調達を推進しました。今後のリファイナンスにおきましても、固定比率70%を目安に借り換えを推進し、金利上昇に柔軟に対応していきます。
31頁は業績予想です。結論から申し上げますと、25年8月期は、前期比+102円の3,555円、26年2月期は+23円の3,578円と予想しており、いずれも過去最高の分配金となります。紺色部分の巡航分配金につきましても、25年8月期は前期費+1.4%の3,430円、26年2月期が前期比+1.0%の3 ,466円と、着実に内部成長を実現しています。又、右上の表に記載の通り、25年8月期において、プライムアーバン泉ほか8 物件の売却により、売却益を計上する予定ですが、一口当たり53円を4期に分割、分配致します。
続いてESGの取り組みについて紹介します。34頁をご覧下さい。 環境分野においては 温室効果ガスの削減状況をアップデートしています 設備更新による省エネは勿論のこと 左下に記載の通り再生可能エネルギーの調達割合も引き上げていきます。
35頁は社会面の取り組みです。左上ではセクターを問わない形で、経営層向けのテナント 交流イベントを開催し、コミュニティ形成の場を提供しました。右側では、PM担当者のモチベーション向上や運用会社における知見の共有を目的として、PM会社の報奨制度を実施しました。初回は、nORBESAを担当するJLLリテイルマネジメントが受賞しています。 他にも称賛すべき取り組みが多く選考は難航しましたが、今後AM・PM間の関係強化が深まり、資産価値の向上に繋がることを期待しています。
最後となりますが、運用状況は総じて好調に推移しています。冒頭に申し上げた通り、今後は有言実行の形で内部成長を追求していきますので、引き続きご支援のほど宜しくお願い申し上げます。ご清聴、誠に有難うございました。