アドバンス・レジデンス投資法人
2023年7月期(第26期)決算動画説明書
○動画 https://www.net-presentations.com/3269/20230912/mvods203/
○説明資料 https://www.adr-reit.com/files/optionallink/00002816_file.pdf
○説明者 伊藤忠リート・マネジメント株式会社 執行役員 工藤 勲
○説明
2023年7月期アドバンス・レジデンス投資法人の決算の概要および9月12日に発表致しました公募増資の概要について説明致します。
先ずは、決算ハイライトです。4頁をご覧下さい。業績予想に対し当期純利益+945百万円、その結果、一口当たり純利益EPUは予想比+13.5%の5,732円、一口当たり分配金DPUは予想比+1.4%の5,850円と決定させて頂きました。資産の取得・売却は、1物件の取得、2物件の売却を行い、売却益840百万円を計上致しました。売却益は内部留保し、今後の安定分配の原資として活用をさせて頂きます。資産運用は、稼働率高位安定、入替賃料変動率+4%、賃貸住宅の運用状況は順調に推移をしております。資金調達は、127億円を金利0.72%で調達をし、金利の低減を行うことができました。占有部のリノベーション工事の賃料上昇率19.5%、計画を上回る高い水準で成約をしております。
それでは、夫々につき説明をしてまいります。
6頁をご覧下さい。分配金の詳細です、左側が当期予想との実績の比較、右側が前期実績との比較となります。先ずは、左側の予想対比です。中段の赤字をご覧下さい。予想調整後EPUは5,389円、この調整後EPUとは、会計上のEPU5,049円に、リノベーション工事償却方法を見直しによる一時的な営業損益のマイナスを補う、追加取り崩し額340円を加えた実運用上の数値となります。これに対して売却益を除く当期調整後EPUは5,431 円となり、+43円予想を上回りました。主な増加要因は、既存物件の収益の増加、金融費用の低減によるものです。この5,431円に負のれんの定額取り崩し242円、内部留保の取り崩し、当初137円から増額をした175円を加え、予想比+80円のDPU5,850円とさせて頂きました。次に右側の実績対比です。中段赤字部分をご覧下さい。前期実績EPU5,460円に対し、調整後EPUは-29円の5,431 円となりました。主な要因は、既存物件の修繕費用等および販管費の一時的要因である3年ごとに実証しております入居者アンケート等の増加となります。DPUについては、前期5,840円に対し当期5,850円と逓増分配をさせて頂きました。
8頁をご覧下さい。取得・売却実績です。取得は、大阪市内の全住戸がファミリータイプで築8年と、希少性の高い物件を取得致しました。売却は2物件の売却を行いました。レジディア麻布台は2期に分けて譲渡を致します。その結果、当期は売却益840百万円を計上、24年1月期には売却益870百万円を計上予定となっております。売却益は内部留保し、今後の安定分配の原資として活用させて頂きます。2物件の売却理由は次の通りです。レジディア麻布台は、当該物件を含む地域で再開発準備組合が結成されており、将来再開発事業が実施された場合、再開発期間中に収益の安定性が損なわれる恐れがあること、レジディア栄は本投資法人の名古屋エリアの物件の平均利回りを下回っていること、並びに、将来的な収益性を考慮し、売却を決定致しました。
9頁をご覧下さい。不動産売買マーケットです。引き続き賃貸住宅への投資意欲は旺盛で、売買マーケットは活況です。点線の折れ線グラフが、保有物件の継続鑑定評価における利回りを記載しております。ご覧の通り、利回りは低位で推移しているため、不動産価格は高値が継続しております。今後の外部成長、不動産金融市場の環境の変化による、不動産価格の動向は注意しつつも、現在の活況なマーケット下においては、スポンサーの開発物件を中心に厳選をして投資してまいります。
11頁をご覧下さい。内部運用指標の推移です。賃貸住宅の運用は順調に推移しております。当期のポイントは、シングルタイプの入替賃料の回復です。都市部への人口流入の回復により、需要が喚起されたことが主な要因だと考えております。先ずは上段、稼働率です。前期とほぼ同水準の96.5%と高位安定、中段が入替賃料変動率です。当期は、+4%と前期より高い変動率となりました。又、シングルタイプは、20年1月期以来3年半ぶりにプラスとなり、入替賃料変動率は+1.1%となりました。下段が募集関連収支です。当期は0.6ヶ月と継続して低減することができております。
13頁をご覧下さい。賃貸マーケットの概要です。東京23区は、シングルタイプの回復もあり、全般に順調に推移しております。名古屋は、引き続き供給増加の影響で、入替賃料変動率はマイナスが継続、その他のエリアは、稼働率は多少変動しておりますが、95%以上の水準で推移をしております。賃料変動率は、概ねプラス 2%から5%と、各都市においても賃料上昇が図れていることが確認頂けるかと思います。
14頁は賃料坪単価の推移と賃料ギャップについてです。左上段のグラフをご覧下さい。入替および更新時の賃料改定の結果、当期は、賃料坪単価が0.63%上昇致しました。この結果、右上に記載しております賃料ギャップは+3.4%となり、一口当たりでは。277円の上昇余地があります。この賃料ギャップは、当期成約賃料水準で、全ての住居が入れ替わった場合におけるポートフォリオに与える影響をお示ししております。下段は、今後の賃貸住宅の動向についてです。足元のシングルタイプの回復の要因は、都市部への人口流入の回復により、需要が喚起されたことによるものと考えております。今後、賃金上昇が継続していくことで、賃料負担力は増加をし、賃料の更なる上昇に繋がるものと期待をしております。
16頁をご覧下さい。収益基盤強化等の新たな取り組みについてです。前期に発表しました収益基盤強化等の新たな取り組み、専有部リノベーション工事と減価償却方法の見直しについて、改めてご案内致します。先ずは、専用部分リノベーション工事についてです。本工事は、ライフサイクルコストの一環として行うものでもありますが、東京23区を中心に、約8,000戸を13年程度の期間をかけて実施していく計画となっております。占有部リノベーション工事は、工事における資本的支出部分の償却が、会計上は12年で行われるため、その間の減価償却費の金額が大きくなり、想定の賃料上昇額では、償却期間中は営業損益のマイナス要因となります。これが赤い丸枠で囲っている取り崩し対象としている部分です。しかし、実際の運用においては、想定賃料を超える賃料で募集をし、成約をさせていき、全体でこの部分の営業損益がマイナスにならないような運用を目指してまいります。次に、左下図の減価償却方法の見直しについてです。この変更の意図は、償却の年限をより実態に合わせるというものです。左側Beforeに記載の通り、従前の償却方法は、建物の躯体設備等の区分なく、一律に建物の法定耐用年数46年で償却をしておりました。それが赤い棒グラフの部分です。その後、大規模修繕工事および専有部リノベーション工事の資本的支出の部分は、建物の躯体設備ごとに区分をして償却をしておりました。ベージュ色の棒グラフがこの部分に該当致します。旧アドバンス・レジデンス投資法人2005年の新規上場に際し、この償却方法は、監査法人の妥当性の承認を得て採用しております。これを、今回新たに決定した占有部リノベーション工事の継続的修繕工事計画を契機に、監査法人と協議をし、物件の構築物の区分ごとに耐用年数を見積もり、償却をする方法に変更することを承認頂きました。右側Afterに記載の通り、既に取得済みの物件についても、建物の躯体設備ごとに区分して償却する方法に変更を致します。それを表しているのが、右側の赤い棒グラフとなります。この結果、設備など躯体の法定対応年数46年より短い償却物は、一定期間償却額が増加し、会計上のEPU、DPUを減少させてしまう事象を起こします。よって、一時的に増加をする償却額の超過部分は、利益超過分配ではなく負のれんの取り崩しによる、あくまでも利益配当としてDPUを従前と同水準にするというものであります。これが赤い枠で囲っている取り崩し対象としている部分です。
18頁をご覧下さい。占有部リノベーション工事の実績です。先ずは、左上の工事実施状況の枠内をご覧下さい。こちらが当期のリノベーション工事の実績です。工事実施件数100件 うち成約戸数は66戸、賃料変動率は19.5%と、想定値12.7%を大きく上回り、順調に進捗しております。今後の工事計画は、右上の棒グラフをご覧下さい。随時増やし、25年1月期に想定値の1期当たりの実施戸数300戸に向けて推進してまいります。
19頁に、リノベーション工事の取り組み事例2 物件を掲載させて頂いております。工事範囲は、キッチン、洗面所などの水回り設備および建具などの交換を行っております。又、設備機器の交換だけではなく、デザイン性、機能性も重視し、長期的に競争力のある商品作りに取り組んでまいります。
12頁の下段グラフをご覧下さい。賃料変動額の推移です。当期賃料変動額は、合計で月額1,441万円のプラスになっております。コロナ禍前の約80%の水準まで回復しております。青い棒グラフが通常の入れ替え時の変動額850万円、黒い棒グラフが更新時の変動額 337万円、赤い棒グラフがリノベーション工事を実施した住戸の入れ替え時の変動額250万円を記載しております。リノベーション工事の登記の制約件数は88戸、これは 当期工事実施分に加え、当期以前に工事完了した住戸も含まれております。その賃料上昇額は月額250万円となります。
18頁に記載しておりますが、当面の想定値では1期当たり 300個を予定しており、今後 リノベーション住戸成約の一層の増加が見込めます。このリノベーション工事の推進が、ポートフォリオにおける更なる賃料収入の増加に貢献できるものと、我々は考えております。 21頁をご覧下さい。資金調達です。上段のグラフをご覧下さい。赤い折れ線グラフの通り、 調達金利が上昇している中、当期の支払い金利1.04%に対し、調達金利は0.72%と金利の低減を図ることができました。今後は、金融費用、調達年数等のバランスを勘案しながら、 安定的な財務基盤を維持しつつ、金利上昇への対応は柔軟に行ってまいります。右下が総資産LTVの水準となります。当期末では49.5%となっており、LTV50%までの借り入れ余力46億円となります。
22頁は、財務体制についてです。長期固定化、分散化を財務戦略の基本としております。その結果、上段中央の借入平均残存年数4.8年、上段右の固定化比率98%となっております。又、下段のグラフにあります通り、1期あたりの返済は、上限150億円としております。この結果、借り換えによる金利上昇時の影響を、軽微に抑える体制となっております。
24頁をご覧下さい。サステナビリティへの評価です。下段赤字で記載しております2030年までのスコープ1、2におけるCO2排出量削減目標が、科学的な根拠に基づくものであるとしてSBT認定を受けております。スコープ1、2全体では 削減率 97.6%、スコープ2は100%を達成致しました。
28頁をご覧下さい。9月12日に発表致しました公募増資の概要について報告致します。今回の公募増資資金は、取得金額225億円、スポンサー開発9物件を含む合計11物件、平均 NOI利回り4.4%の物件取得資金とさせて頂きます。一般賃貸住宅に63%、NOI利回り 4.2%、キャッシュフローの安定に貢献するドミトリータイプに37%、NOI利回り4.7%となります。今回の公募増資により、総資産LTVは49.5%から48.2%への低下を想定しており、総資産LTV50%までのその取得余力は176億円程度となる見込みで、EPU上昇余地は+100円程度です。又、一口当たりのNAVは+0.4%の想定となります。
29頁は、取得予定資産の一覧です。先ずは、上段の地図をご覧下さい。エリアは東京23区に8 物件、川崎市に1 物件、そして福岡市に2 物件となります。下段記載の1から7番の7 物件が一般賃貸住宅、8から11番の4 物件がドミトリータイプの物件となります。又、1から9番の9 物件がスポンサーの開発物件となっております。一般賃貸住宅のうち1番白金高輪、3番小石川、5番御茶ノ水、7番千駄木、これらはコンパクトファミリータイプの住戸が中心となります。 2番目黒、4番品川シーサイド、6番三軒茶屋、これらはシングルタイプの住戸が中心となります。次に、ドミトリータイプの 物件です。物件番号8番下北沢は、社会人向けのシェアハウスとなります。9番武蔵小杉は。今回取得規模では最大となる国際学生ドミトリーとなります。福岡市の2物件は、九州大学の学生をターゲットにした10番九大学研都市、九州産業大学の学生をターゲットにした11番九産大前 となります。
30頁をご覧下さい。物件取得後のポートフォリオの変化についてです。今回の公募増資における物件の取得は2期に跨ります。2023年9月に7 物件104億円、24年4月に4物件120億円を取得します。これら11物件、取得後の物件数は287 物件、資産規模は4,940億円、賃貸可能戸数は23,000戸ほどになります。
31頁は、スポンサーパイプラインの状況です。今回、取得後の伊藤忠グループ開発物件のスポンサーパイプラインは、東京23区を中心に20 物件、想定規模400億円程度となります。これらの物件の取得を通じ、投資法人の外部成長に繋げてまいります。
34頁をご覧下さい。一口当たり分配金予想の推移です。先ずは、右上に記載しております 予想DPUは、24年1月期5,870円、24年7月期5,890円と逓増分配を計画しております。次に、左から2つ目の棒グラフが当期実績です。赤字記載の調整後EPUは5,431円でした。繰り返しとなりますが、この調整後EPUとは、会計上の売却益を除くEPU5,125円、 リノベーション工事償却方法の見直しによる、一時的な営業損益のマイナスを補う追加取り崩し額 306円を加えた、実運用上の数値となります。24年1月期の調整後EPUは、中央の棒グラフに記載の当期調整後EPU-135円の5,296円を想定しております。 これは売却益を除くEPU4,935円に、追加取り崩し額の360円を加えた金額となります。調整後EPU-135円の内訳としては、既存資産の影響が-33円、その主な内訳は修繕積立金の一時的な影響-17円、および金融コスト等の増加-16円となります。取得予定資産の影響が+81円、公募増資による希薄化の影響が-184円となります。物件の取得が2期に跨ることで、 公募増資による希薄化が調整後EPUを押し下げます。その部分はグレーにてハイライト内に記載の、夫々24年1月期339円、24年7月期283円を内部留保している売却益を取り崩すことで、逓増分配を計画しております。尚、各期中の運用状況において、調整後EPUが上振れする部分は、増配とさせて頂きます。公募増資の効果は、今回の物件取得による収益がフルに寄与する時期は25年1月以降となりますので、その点について案内致します。右側の公募増資の効果をご覧下さい。取得予定資産のみでの収益の効果としては、EPUは+1.2%の+62円となる見込みです。尚、24年7月期時点、左から3つ目のグラフに記載の売却益の取り崩し額は、一口当たり283円ですが、物件取得の収益がフルに寄与する25年1月以降は、この金額は当然に、これよりは減少いたしてまいります。これに加え、中央に記載しております今回公募増資によるLTVの低下により、総資産LTV50%までの取得余力の活用により、一口当たり+100円程度、23年7月期の賃料ギャップ3.4%、一口当たり+280円程度となります。この賃料ギャップの解消には、入居者の入れ替わりには4年程度かかると想定すると、1年あたり一口あたり70円程度になります。計算上では3年程度で売却益の取り崩し額283円は、その後の運用により補うことができると思料しております。従いまして、配当金額の内訳としては、 基本的には調整後EPUと20年以上続く負のれんの定額取り崩し額のみで、DPUの逓増分配を目指してまいります。私からの説明は、以上となります。最後までご視聴頂き、誠に有難うございました。