KDX不動産投資法人 2023年10月期決算概要

KDX不動産投資法人
2023年10月期(第37期)決算動画説明書
○動画  https://www.net-presentations.com/8972/20231215/fsk4r8go/
○説明資料 
https://www.kdx-reit.com/file/top-fe19966531c9adb65f579447854c4d23fafa53d8.pdf
○説明者 KDX不動産投資法人 執行役員 桃井 洋聡
○説明 
KDXは、既に発表の通り11月1日付で、当社が運用を受託する3投資法人の3投資法人の合併が成立し、新しい運用体制がスタートしています。これからご説明させて頂く2023年10月期の決算の内容、直近の状況につきましては、合併前の各投資法人のものとなりますが、2024年4月期以降の予想や取り組みにつきましては、新投資法人のものとなります。この点ご留意を頂きますようお願い致します。

では決算説明資料の4頁をご覧下さい。各投資法人の決算サマリーですが、夫々詳細につきましては後述させて頂きます。先ず、KDOですが、オフィスの稼働率は、ほぼ横這いで 堅調に推移し、引き続き賃料増額改定にも成功しており、当期においては有価証券売却益を計上するなど、分配金の底上げ要因となりました。次にKDRですが、こちらは賃貸事業が高まる繁忙期ではなかったものの、稼働率はオフィス同様に高水準を維持しており、都市部への人口回帰が継続していることもあって、シングルを含む全てのタイプで新規賃料や更新賃料が増加しました。最後にKRRですが、合併を視野に入れ、スポンサーとの間で行われた資産入替により、生活密着型商業施設1物件を 9月に取得しています。個人消費の回復とともに売上歩合賃料は増加し、新規契約更改時の月額賃料の上限額も、2年ぶりにプラスとなりました。金利や物価の動向次第で賃料が変更する、金利 CPI連動契約の比率も上昇しており、インフレ対応力の向上を目指して着実に歩みを進めています。

続いて 5頁目、KDOの決算概要です。C列は23年10月期の実績であり、当期は有価証券売却益として548百万円を計上しましたが、4月期に計上した1,168百万円の不動産等売却益が剥落します。こうした事情から、もともと減収・減益決算を予想していましたが、電気料金の請求方式の見直しや燃料調整費の低下等により、水道光熱費収支の改善が進んだことに加え、会議需要の回復とともにホール運営収入が伸びたことなので、予想対比では123百万円の増益となりました。前期における売却益の多くを圧縮積立金に繰り入れたことや、当期に発生した有価証券売却益が全額分配されることなどにより、当期の一口当たり分配金は、前期比98円の増額となる7,745円となりました。
1枚飛ばして頂いて7頁、KDRの決算概要です。消滅投資法人となるため通常期とは異なり、期間3ヶ月の変則決算となります。マーケット環境は引き続き良好で、賃料共益費収入は予想値で伸びましたが、一方の費用項目も相応に増加したことなどから、合併交付金としてお支払いをする3ヶ月分の一口当たり分配金は、予想比で同額となる、2,070円となりました。

続いて8頁、KRRの決算概要です。こちらもKDRと同様ですが、期間7ヶ月の変則決算となります。電気受給契約の見直しによる電気使用量の引下げや、請求方式の変更、燃料調整費の低下などが寄与し、合併交付金としてお支払いをする7ヶ月分の一口当たり分配金は、予想比で56円増額となる7,716円となりました。
11頁では合併の狙いについて記載をしています。

12頁では、合併による成果の一端を紹介しています。先ず、市場プレゼンスと安定性向上ということで350 物件、1兆円を超えるポートフォリオを有し、J-REITの中で最も分散の効いた安定したポートフォリオを構築することができました。10月には MSCI のIndexeにも組み入れられ、投資口の流動性向上が期待されます。又、3投資法人がこれまで投資運用を行っていた中規模オフィスビル、居住用施設および生活密着型商業施設に加え、限定的な投資にとどまっていた物流施設や宿泊施設にも、積極的な投資が可能となりました。柔軟性を増した投資運用戦略を具現化するため、11月1日付で新規投資可能物件の取得を含む資産入替を行い、資産規模は96億円増加しています。合併により想定される負ののれん発生益は172億円、LTVは42.5%まで低下することが見込まれ、財務基盤を更に強固なものとするとともに、今後の外部成長に向けた基盤づくりや、安定的に分配金をお支払いすることが可能な体制を構築することができました。サステナビリティについては、投資口価格のパフォーマンスや、主要なサステナビリティ指標であるGRESB評価との連動性を高めた報酬体系の導入、独立監督役員の拡充および役員の女性比率の引き上げを行うなど、積極的に取り組みを強化しています。

13頁では本投資法人の内容がご覧頂けますが、1,200億円を超える含み益を有しており、ポートフォリオの健全性は保たれています。尚、一口当たりNAVの金額は約18万円と想定しています。

14頁では ポートフォリオの分散状況を示しています。用途別は勿論ですが、保有資産の立地や取得価格、入居テナントの占有率など、いずれも高い水準で分散が進んでいる、或いは、細分化されているため、収益の変動リスクは相対的に抑えられており、数多くのJ-REITの中でも差別化のポイントとなる我々の強みである自負しています。

17頁は、KDXRとしては初回決算となる2024年4月期と10月期の予想です。A列が2024年4月期になりますが、当期は、オフィスビル2物件の売却益と匿名組合出資持分の売却益を合わせて、2,053百万円を計上し、営業収益は38,232百万円と予想しています。又、合併に伴い、KDRとKRR時価純資産額と合併対価との差額として、負ののれん発生益17,271百万円を、特別利益として計上する想定としていることから、当期純利益は31,794百万円と見込んでいます。負ののれん発生益のうち671百万円は、当期の分配金に充当し、残り166億円を一時差異等調整積立金、所謂、RTA として内部留保に組み入れますが、別に圧縮積立金550百万円の取り崩しを想定しているため、A列の内部留保の組入れ額は、ネットで16,050百万円となります。この結果、一口当たり分配金は、従来予想と同額の3,800円となる見込みです。尚、RTA については、24年10月期以降、毎期定額以上を取り崩しながら、分配金安定化のための原資として活用する方針です。続いてB列が次の期となる2024年10月期の予想です。当期の営業収益は36,210百万円となり、前期比2,022百万円の減収を見込んでいますが、これは前期計上した売却益の剥落が主な要因で、前期に計上する合併報酬や合併関連費用の支払いがなくなることから、営業費用が大きく改善することで、特別利益の影響を除いた当期純利益は14,976百万円となり、前期と比べ453百万円上回る想定としています。

当期の一口当たり分配金は、RTAと圧縮積立金等767百万円を取り崩すことで、前期と同水準の3,800円となる見込みで、18頁には、24年4月期から10月期にかけての一口当たり分配金の変動要因が記載してあります。24年10月期にかけては、オフィスビルの退去率を保守的に見込んだことや商業施設における一部テナントとの減額改定の影響による賃料共益費収入の減収集インパクト一定程度織り込んでいます。今後巡航水準としての一口当たり分配金4,000円を目指す中で、各種施策を駆使して成長を図る方針に変わりはありませんが、内部留保の活用や売却益による底上げなど、分配金の安定化にも配慮していきたいと考えています。

19頁では安定化に向けた当面の分配金マネジメントの考え方について説明します。今回の合併により想定される、負ののれん発生益は17,200百万円です。24年4月期においては、約600百万円を分配金として充当する予定で、残額はRTA として166億円、一口当たりでは約4,000円相当を内部留保として計上する見込みです。毎期1%以上を取り崩す必要がありますので、期当たり40円以上を分配金に充当していく方針です。これとは別に、24年4月期末の想定で47億円の圧縮積立金がありますので、RTA と合わせて一時的な収入の減少や費用の増加などで分配金が大きく変動する可能性がある場合などには、これらの内部留保を積極的に活用しながら、分配金の安定化を図ります。

21頁ではスポンサーとの間で行った資産の入替と、23年10月期に一部売却した匿名組合出資持分の残余分の譲渡についてです。KRRで投資してきた生活密着型商業施設に加え、KDRのポートフォリオサイズの観点からは、投資することが難しかった大規模タワーマンションと、合併により積極投資が可能となった物流、宿泊施設を取得する一方で、オフィスビル2物件を譲渡し、1,505百万円の売却益を計上します。匿名組合出資持分の譲渡による売却益548百万円を合わせた売却益の合計は2,053百万円となり、一口当たり分配金への寄与は495円となる見込みです。

次に22頁では、現在のポートフォリオに占める用途別の構成比率と当面の方針、足元のパイプラインの状況について示しています。先ず、宿泊施設については、現在のウェイトはあまり高くはありませんが、継続的な観光需要の増加とインフレ耐性を有する点に着目して、成長資産と位置づけ、今後積極的に取得をしていきたいと考えています。引き続き他の用途 資産もアップサイドが期待できるものや、安定的なキャッシュフローが期待できるものを中心に取得をしていきたいと考えていますが、含み益を有するものの大部分がオフィスビルのため、これについては今後資産入替による外部成長や、売却益の確保を検討する際には優先的に検討対象となり得るものと捉えています。尚、パイプラインは新たに2物件を加え、900億円超まで積み上げています。これらの物件については様々な状況を考慮しながら、なるべく早期に取得をして成長戦略を実現していきたいと考えています。

24頁は内部成長のサマリーです。保有オフィスビルの稼働は安定し、足元では賃料の増額改定も進捗しています。賃貸住宅市場も良好な状況が続いていますので、オフィスビルと居住用施設の内部成長は、当面継続するものと考えています。又、商業施設については、アクティブ運用の一環として未消化容積の活用を具体的に検討している案件もあり、賃料収入の増加が期待できます。ヘルスケア施設や物流施設は安定的なキャッシュフローが特徴で、今後については、ヘルスケア施設でのタイミングを捉えたイノベーションによる賃料増額の実現や、物流施設におけるCPI 連動型契約への切り替え等インフレ対応力の改善にも取り組んでいきたいと考えています。 又、保有している宿泊施設は全て固定賃料契約のため、今後、変動賃料契約が組み込まれた物件の取得などを通じて、観光需要増大の果実を享受していきたいと考えています。

25頁以降は各用途別の運用状況となり、先ずはオフィスビルの状況です。23年10月期末の稼働率は、退去率が3%を切り98.2%で着地しました。今走っている24年4月期も退去率は低く、引き続き高い稼働率で推移することを見込んでいます。フリーレント期間については、募集する物件の立地やグレードなどに左右される側面もあるため、数字にばらつきはありますが、大きな傾向感としてはこれまでと変わらず一進一退というところです。

26頁はリーシング注力物件の状況です。23年10月期の課題物件は、いずれも目処が立ちました。24年4月以降に空室が発生する各物件についても、ポートフォリオ全体で見れば大きなインパクトはありませんが、柔軟かつ戦略的なリーシング活動のもと、早期の埋め戻しを図りたいと思います。

27頁は賃料改定の動向です。当期の賃料増加額は、契約更改時の粘り強い交渉により、同額件数および面積割合は前期と比べ減少したものの、同額率が伸びた結果、ほぼ横這いを維持しており、減額改定分を除いた純増額もプラスを確保しています。24年4月期以降の増額改定も順調に積み上がっていますので、この傾向は当分維持できるものと考えています。

28頁ではテナント入替時の賃料増減額の状況と、レントキャップの動向について示しています。入替時の増減額は、退去したテナントのレントギャップの状況次第で、新規テナントの賃料は増加となることもあれば減少となることもあります。右上のマーケット賃料の動向にもある通り、保有物件の大部分では、マーケット賃料が横這いとなっている状況下では、これまでと大きく傾向感は変わらず、テナント入替時の賃料純増額は 0付近の水準で引き続き推移するものと考えています。レントギャップの動向は、毎期、一定程度増額改定ができていることやテナント入替により、今後も縮小傾向が続いていくものと思われます。

29頁からは居住用施設に関するデータです。ここからはKDRの決算期である1月期および7月期との対比となり、23年10月期の対象期間は3ヶ月間で、先ず、稼働率についてですが、分譲価格の高止まりや都市部への人口回帰等を背景とし、全体的に安定して推移しており、賃貸需要が高まる繁忙期ではなかったものの、期中平均稼働率は96.9%と高水準を維持しました。

30頁では新規賃料の動向についてご説明します。引き続き良好なマーケット環境のもと、新規契約時には積極的に賃料単価を引き上げており、足元では60%以上の契約で賃料が上昇しています。タイプ別の増減率を見ると、やはり分譲価格の高騰などで持ち家が持てない層の需要が大きく牽引しており、ファミリータイプでは+8.9%と高い上昇率となっています。又、昨年までマイナス圏で推移していたシングルタイプについても、都市部への人口回帰の流れを受け、前期に引き続き+1.8%上昇トレンドが続いていることが確認できます。

31頁では継続賃料の動向についてです。更新時における賃料増額交渉のハードルが高い居住用施設においても、コンスタントに増額改定が実施できています。シングルタイプの増加率も前期を上回る0.4%となり、上昇トレンドに転じています。簡単ではありませんが、稼働率やマーケット賃料の水準を睨みながら、改定時にはしっかりと賃料増額に向けた交渉を行っていきます。

32頁からは商業施設に関するデータとなります。ここからはKRRの決算日である3月期および9月期との対比となる23年10月期の対象期間は7ヶ月です。当期については退去テナントが一定数いたものの、23年10月期末の稼働率は99.5%と、引き続き安定した運営が続いています。又、新規契約時および契約更改時の月額賃料は+71万円となり、2年ぶりに増加に転じました。24年4月期以降も、一定数のテナントが定期借家契約の満了を迎えますので、個人消費回復の恩恵を受け、業績好調なテナントを中心に、月額賃料を引上げ、再契約ができるよう最善を尽くしたいと思います。

33頁では商業施設におけるインフレ対応の状況について説明します。先ず、月額賃料が金利や消費者物価指数、即ち、CPI に連動した賃貸借契約の割合は、賃料ベースで9%を超えるところまで到達しました。売上歩合賃料の割合についても、物販系テナントの売上増加を背景に2.8%まで上昇し、売上歩合賃料は278百万円となりました。当面は固定賃料の割合にも配慮しながら、新規契約や更新時には歩合賃料を積極的に導入していきたいと考えています。金利やCPI に賃料を連動させる契約への切り替えは、テナント交渉のハードルが高いと認識していますが、先ずは、対話をしっかりと行いながら、理解を得るべく交渉を重ねていきたいと思います。

34頁はヘルスケア・物流・宿泊施設の状況です。いずれも長期契約が主体で、残存期間が10年以上の契約が48%以上を占めていますので、長期にわたり安定的なキャッシュフローが期待されます。次のページにも紹介がありますが、ヘルスケア施設でも入居者満足度の向上につながるようなリニューアル工事を実施することで、賃料増加に結びつくケースもありますので、工夫を重ねながらの収益性向上にも取り組みます。宿泊施設については、現状、都内と横浜所在のホテル3物件のみとなりますが、観光需要の回復とともに、客室単価や稼働率の改善が進んでいます。本投資法人では、宿泊施設を成長資産と位置づけ、今後積極的に取得していきたいと考えています。

35頁ではアクティブ運用の実例を紹介しています。いずれのケースのおいても、運用会社のノウハウを駆使して、物件競争力や収益力の引き上げを実現しています。足元では未消化容積の活用に向け具体的な交渉に着手している案件もありますので、こうした取り組みを通じた内部成長性の掘り起こしにも積極的にチャレンジしていきます。

37頁からは財務の状況です。合併による効果の一つですが、LTVは前期末の水準を下回る 42.5%となり、LTV45%を基準とした場合の取得余力は、540億円に拡充しています。今後金利が上昇していく可能性がありますが、現状、長期負債比率と固定金利比率を高い水準で維持していますので、借入年限の短縮化や変動金利借入を増やすなど工夫をしながら、借入金利の上昇に対応していきたいと思います。尚、38社に上る金融機関との関係性は極めて良好で、盤石な支援体制が構築されているものと捉えています。

次に38頁では、本投資法人の借り入れスプレッドの見通しについて示しています。合併により、本投資法人の信用力は向上し、今後、借入スプレッドの低下も期待ができます。又、合併によりKDOが存続投資法人となったことから、従来KDOより借入れスプレッドが高かったKDR、KRRによる借入金を借り換える際には、新投資法人の信用力をベースに借入スプレッドが決定するため、金利コストの削減も期待ができます。あくまで試算値にはなりますが、各期で合計1,300万円以上の削減効果が期待できます。この削減効果は毎期積み上がっていくものとなりますので、しっかりとこれを実現しながら、分配金水準の底上げにつなげていきたいと思います。

40頁からサステナビリティの取り組み状況です。先ずは環境についてです。合併によりポートフォリオの構成が変化したため、従来の目標を見直し、現状に合わせた新たな目標を設定しました。外部認証取得率60%以上とすることや、GHG排出量の2030年度での42%削減、MSCI、ESGレーティングの格上げが柱となります。SBTi 認定についても まして得をしていましたが、削減目標での取得に向け 申請をしています。SBT認定についてもKDOで取得をしていましたが、新たな削減目標での取得に向け申請をしています。尚、削減目標の水準は、合併前の3リートの目標水準と比較しても高いハードルとなっており、より環境経営を意識した内容としています。

次に41頁では社会への取り組みです。ダイバーシティや公平性、包括性に配慮するDEIの推進を目的に、ウェブサイトにおいて視覚、動作等でお困りの症状などをお持ちの方向けに、ご自身の症状に合わせて画面表示が可能となるシステムを導入しました。こちらはJ-REITでは初の取り組みとなります。本投資法人では、従業員も含めたステークホルダーの皆様へ配慮を含め、サステナブルな社会の実現を目指して、先進的、且つ、積極的な取り組みを推進していきます。

42頁ではガバナンスの取り組みについて説明します。本投資法人では、運用報酬体系を見直し、投資口価格のパフォーマンスやサステナビリティ指標に連動させた報酬制度を新たに導入しました。又、他の上場リートの運営経験を持つ、独立監督役員1名を新たに選任し、監督体制を強化するとともに、女性役員比率を40%に引き上げ、ダイバーシティの推進にも取り組んでいます。今後も環境変化に対応した報酬体系やガバナンス体制の見直しを適切に行いながら、皆様に信頼される運用体制を構築していきます。

以上がKDXRとしての決算説明となります。今後は、合併により得られた投資運用戦略の柔軟性を活用し、外部成長や内部成長、財務コストの削減などに取り組み、投資主利益に資する運用を心がけてまいりたいと考えていますので、引き続きのご支援をお願い申し上げます。