福岡リート投資法人 2023年2月期決算概要

福岡リート投資法人
2023年2月期(第37期)決算動画説明書および質疑応答
○動画  https://www.irwebcasting.com/20230417/1/60b43cc54a/mov/main/index.html
○資料
https://www.fukuoka-reit.jp/file/ir_library_term-d9e80c697c1cc4540ba43c3e29b53b5280226c8c.pdf
〇質疑応答要旨
https://www.fukuoka-reit.jp/file/ir_library_term_errata-3d0f932769033fb326dca3252ea248c5d9656728.pdf
○説明者 福岡リート投資法人 執行役員 兼
     株式会社福岡リアルティ 代表取締役社長 古池 善司
○説明 
福岡リート投資法人の第37期(2022年9月1日~2023年2月28日)の決算について説明致します。
先ず、資料1頁目、エグゼクティブサマリーからです。最初に、資料下段の分配金の推移についてです。第37期(2023年2月期)の分配金実績は、3,580円、予想比+60円の着地となりました。キャナルシティ博多のインバウンド需要の回復が、予想より強かったため、賃料収入が上振れたことが主な要因です。グラフの通り、今期も分配金を着実に回復させることができ、続く第38期は、第37期+20円の3,600円、第39期も同様の3,600円としています。次に資料左上、外部成長についてです。本年3月28日に、熊本イーストフロントビルを取得しました。又、4月に住居物件のアクシオン別府駅前プレミアム、9月に新築オフィスビルの博多FDビジネスセンターといずれも福岡市内の物件取得を予定しております。この、新規3物件の取得により、福岡リートの資産規模は2,230億円となります。又、投資タイプ別ポートフォリオの商業比率は50%以下に低下する見込みで、総合型リートとしてポートフォリオの分散を図っていきます。次に資料右上の内部成長についてです。商業施設は、全体的に売上が回復しています。特にメイン物件となるキャナルシティ博多においては、昨年10月から政府の旅行支援策による国内需要の回復、並びに、水際対策緩和による、特に韓国からのインバウンドが回復基調にあり、施設の売上は昨年同期比+27.8%となっています。又、本年3月27日に福岡市営地下鉄七隈線の延伸により新駅となる櫛田神社前駅が開業し、キャナルシティ博多への利便性が更に向上しています。前回の決算でも説明しましたキャナルシティ博多のリニューアル計画フーチャービジョンの進捗は、後ほど詳細を説明致します。その下、オフィスビル期末稼働率は、98.8%です。当期もテナント入替および契約更新に伴う賃料の増額改定が実現でき、期当たり23百万円の賃料収入増加を見込んでいます。又、昨年9月には、東比恵ビジネスセンターで大口テナントの退去がありましたが、僧居てより早い、約2か月間で埋め戻しを完了し、又、市場賃料までの引き上げを実現することができました。次に財務運営ですが、記載の通り、安定的な財務基盤の維持に努めています。期末の有利子負債残高は839億円です。引き続き、返済期限の分散などによる、リファイナンスリスクの軽減に努めます。金利上昇に伴う調達コストの増加のリスクについては、調達期間や固定・変動比率の調整により対応していく方針です。最後にその下のサステナビリティの取組みです。外部認証では、GRESBの2年連続4-Stars、開示評価では、ESG情報開示の取組みが評価され、最高位となるAレベルです。又、保有物件のグリーンビル認証取得率は、2%向上し80%となりました。以上がエグゼクティブサマリーです。

次は資料2頁です。分配金の推移について説明します。第37期の分配金実績と第38期、第39期の分配金予想の変動要因を記載しています。主な変動要因として、第37期、前期比は、東比恵ビジネスセンターの大口退去の影響や、修繕費などのコスト増をアクティブ商業の回復と久留米東櫛原SC売却益によりカバーし、分配金は前期比+57円となりました。予想比は、特に韓国を中心としたインバウンドの回復による、キャナルシティ博多の賃貸事業収入が増加し、分配金は予想比+60円となりました。下段の第38期予想は、キャナルシティ博多のリニューアル工事期間の賃料ダウンタイムによる賃料収入減、修繕費増を、久留米東櫛原SCの売却益でカバーします。又、東比恵ビジネスセンターの埋め戻し、新規物件取得の収益寄与により、分配金は前期比+20円の3,600円としています。第39期は、物件売却益の減を、キャナルシティ博多の収入増。修繕費減と新規物件の収益貢献でカバーし、分配金は3,600円を維持します。

資料3頁、外部成長の取り組み方針について説明致します。現在福岡リートの資産規模は、2023年2月末時点で約2,060億円です。当期決算後に取得を完了したオフィスビル1件、
今後取得を予定している住居、オフィスビルの計3件取得後の資産規模は、2,230億円となります。資産規模については、先ず、2,500億円を達成し、その先は3,000億円を目指します。スポンサーから物件取得に加え、地域密着のソーシング力の強みを生かした外部からの取得により、オフィスビル、物流施設、住居を中心に、サステナビリティに対応した物件取得を目指します。又、新規3物件の取得により、投資タイプ別ポートフォリオの商業比率は、当面の目標としていた50%以下の48.9%となる見込みです。今後も総合型リートとしてリスクリターンのバランスを考慮した、最適なポートフォリオを形成すべく取組んでいく方針です。

資料4頁、5頁は資産取得についての説明です。
4頁の2物件は、ともに外部からの取得物件となります。資料左側の熊本イーストフロントビルは、3月28日に1,450百万円で取得しました。福岡県外でのオフィスビルの取得は初めてです。熊本は、今後TSMC関連企業などの集積が進み、ビジネスの活性化が期待されますので、大変注視をしているエリアです。市電を利用して、官庁や金融機関等が集積する中心部からも、アクセス良好な場所に立地しています。基準階面積は128坪と、物件周辺では比較的大きなフロアを持つ、マーケットニーズと合致したオフィスビルです。頁右側のアクシオン別府駅前プレミアムは、4月27日に約152億円で取得予定です。本年3月に博多駅まで延伸が完了した福岡市営地下鉄七隈線別府駅徒歩2分の場所に立地し、今後住宅街として、より人気が高まることが期待できるエリアへの投資です。地下鉄の利用により天神南駅まで10分、博多駅まで14分と都心へのアクセスに優れ、分譲仕様のハイグレードな設備水準で、競合物件に対して高い競争力を持っています。

5頁をご覧下さい。スポンサーである福岡地所とのパイプラインを活用した物件です。博多FDビジネスセンターは、9月1日に145億円で取得予定です。福岡では、天神、博多に次ぐビジネスエリアである呉服町エリアにおいて、希少性の高い大型区画を持つハイスペックな新築オフィスビルです。又、換気性能、又、BCP対応、耐震性など福岡では最先端の設備を備えています。建設デザインは、クリスタルをイメージしたガラスカーテンウォールの外壁と、上層階に行くほど床が広くなるユニークな建築で、当該エリアのランドマークとなるデザイン性の高いオフィスビルです。資料右下の通り、3物件の加重平均NOI利回りは、4.2%です。新規3物件の取得により、福岡リートのポートフォリオは、更に充実し、将来に亘り安定した収益を確保できるものと考えています。

資料6頁は、福岡のオフィスマーケットの動向についてです。左のグラフの通り2023年3月に大規模な新築ビルが供給されたことで、3月時点の空室率は前期比+0.79%の5.89%と上昇しています。一方で、既存ビルの空室率は、4.28%と依然低い水準で推移しています。資料右上のオレンジの枠内に、202年3月時点での平均賃料を記載していますが、福岡の平均賃料は前年同月比+1.8%で、引続き上昇しています。これは、福岡のオフィスマーケットの底堅さを示していると思います。又、福岡リートの保有オフィスビルは、空室率の低さから、マーケット内での競争力の高さがお分り頂けると思います。

資料7頁をご覧下さい。東比恵ビジネスセンターのリーシング状況の説明です。第37期の昨年9月に賃貸可能面積の35%、約1,450坪の大口退去となりました。早期リーシング着手や、立地の良さ、ビルスペックの高さなどが評価され、約2ヵ月間で埋め戻しが完了しました。又、リーシングによりテナントの分散も図ることができ、絶好の機会と考えていた賃料ギャップの解消も想定通り実現し、物件の平均賃料単価12,000円台後半に対し、市場の単価水準での成約ができています。これにより巡航ベースでは、期あたり13百万円の賃料収入増の内部成長が実現できます。

次の8頁は、オフィスビルの稼働実績と予想の説明です。福岡リートが保有するオフィスビルの天神西通りビジネスセンタービル(底地)を除いた10物件の、第37期の加重平均稼働率は98.7%と、引続き高い稼働率を誇っています。先程説明した通り東比恵ビジネスセンターの大口退去の埋め戻しも完了し、今後も高稼働の維持が見込まれます。又、CBREの査定資料によれば、保有物件の賃料ギャップは13.3%あります。右下のグラフの通り、今後も継続して賃料増額改定にも取組みます。
次の9頁は、メイン物件のキャナルシティ博多の取組みについてです。資料左上の通り、昨年、2022年10月以降全国旅行支援や、水際対策の緩和などにより、広域集客やインバウンドが回復傾向にあります。2018年の売り上げ水準と比較し、施設の売上が戻りつつあることが確認できます。資料左下のインバウンドの状況ですが、特に、韓国のインバウンドの回復が顕著です。しかしながら中国の入国者は、依然として低い水準であり、今後中国のインバウンドが回復した際には、更に施設の売上が増加することが期待できます。又、延伸開業した地下鉄七隈線の新駅、櫛田神社前駅は、キャナルシティ博多の横に隣接していますので、福岡市の城南区、早良区、西区の住宅地や、博多駅からキャナルシティへのアクセスは格段に向上しました。右下のデータの通り、延伸新駅の開業に伴い、施設の来場者が増加しています。

10頁をご覧下さい。キャナルシティ博多のリニューアル計画、フューチャービジョンの取組みについてです。1st Stepとして、本年秋に九州最大規模の総合スポーツショップALPEN Fukuokaが、サウスビル1階から3階にオープンします。これは昨年4月に東京新宿にオープンしたALPEN Tokyoに続く、西日本初のALPEN Groupの旗艦店となります。ALPEN Fukuokaの開業により、地域のスポーツカルチャーの裾野を広げ、新しい発見や、好きなことへ挑戦する機会を提供する場作りができると考えています。又、2nd Stepとして、 グランドビル地下1階の、飲食ゾーンの全面リニューアルを計画しています。現時点では詳細は検討中ですが、店舗ごとに壁を立てずに、高級レストランの料理を手軽に食べることが出来るネオビストロ・酒場ゾーンや予約必須の有名店が集積したガストロノミーゾーンを検討しています。キャナルシティ博多が、福岡とアジア各国の食が融合した新しい食文化の発信地となるように、既にリーシングも着手しています。又、キャナルシティ博多のイーストビルは、スポンサーの福岡地所の所有ですが、資料右下の通り、今後の再開発計画を既に公表しています。このように施設全体として、これからキャナルシティ博多は、福岡、アジアのMixed Cultureを生み出す、食・住・游が融合した人々の豊かな暮らしの場へ進化していきます。

次の資料11頁は、その他アセット(物流施設)の状況です。福岡の物流マーケットは非常に良好で、2019年から2022年まで空室率は低い水準で推移しています。CREのレポートによれば、2022年以降の大型の供給により、若干空室率の上昇が見込まれていますが、新規需要も底堅く推移する見込みです。今後も福岡近郊、佐賀県鳥栖エリアは、需要が非常に強い状況が続くと予想されており、大型供給が続くも、賃料単価は上昇を見込んでいます。今後、福岡リート保有物件においても、契約更改の際、賃料増額を実現していく方針です。福岡リートが保有する物流施設は現在4物件ですが、いずれも100%稼働です。

12頁をご覧下さい。その他アセット(住居・ホテル)の状況です。住居については、5物件平均で、第37期は97.3%と引き続き高い稼働率を維持しており、非常に安定しています。又、入替時の新規募集賃料の増額にも、継続的に取り組んでいます。今回、新規取得を予定しているアクシオン別府駅前プレミアムが所在している福岡市城南区は、人口および世帯数も堅調に推移しているエリアです。最寄り駅であり福岡市営地下鉄七隈線別府駅は、延伸によりアクセスが更に良くなり、今後も住宅エリアとしての成長が期待できます。所有するホテルは、いずれも宿泊特化型です。ティサージホテル那覇では、約3年ぶりに歩合賃料が発生するなど、ホテルについても需要が回復しています。
次の頁から税務運営についてです。

13頁をご覧下さい。足元の基準金利の上昇に伴い、調達コストの悪化が懸念されますが、返済期限の分散を維持しつつ、調達期間や固定・変動比率の調整により、コストコントロールを図る方針です。今後、リファイナンスや新規借入れの際は、従来7年から10年で調達していた期間を短縮することや、一部変動借入れを行うことにより、分配金への影響を可能な限り小さくしていきたいと思います。

資料14頁をご覧下さい。下段のLTVの推移ですが、新規物件の取得により、一時的にLTVは上昇する見込みですが、上限として設定している50%までは余力があり、今後の運用の中で巡航水準に収束させる方針です。

次の15頁は、鑑定評価についてです。キャナルシティ博多のみが、簿価が鑑定評価額を上回る結果となりましたが、第37期末での含み益は前期より35億円増加し、465億円です。
資料16頁をご覧下さい。サステナビリティへの取組みについてです。サステナビリティへの取組みは、経営の重要課題に位置付けています。環境の取組みとしては、保有する住居2物件において、CASBEE不動産評価認証Aランクを取得したことなどにより、グリーンビル取得認証率は80%と上昇しました。TCFDについては、シナリオ分析に基づく財務的な影響の定性的な検証結果を次の頁に記載しております。現在、定量的な検証も進めており、完了次第改めてお示ししたいと考えています。又、社会への取組みは、福岡県SDGs制度への登録を行いました。SDGsへの貢献を「見える化」する制度です。サステナビリティへの取組みは、今後も、不動産投資における重要な要素となると考えておりますので、投資家の皆様とは意見交換を行いながら進めていければと考えております。

以上を踏まえまして18頁から21頁は、福岡リートの第37期の損益計算書・分配金の実績と、第38期、第39期の損益計算書・分配金の予想値の資料です。
先ず18頁は、第37期の前期比の資料です。営業損益の主な増減要因は、右のオレンジ色の枠内に記載しています。売却益を除く営業収益は、前期比91百万円の増となりました。その内訳は、東比恵ビジネスセンターの大口退去の影響を、アクティブ商業の収入増127百万円でカバーできたということです。売却益は、久留米東櫛原SCの分割売却によるものです。営業費用は、水光熱費と前期より後ろ倒しになったことによる修繕費のコスト増が主な要因となり、前期比164百万円の増となりました。結果、一口当たり分配金は、前期比+57円の3,580円となりました。

19頁は、第37期の予想との比較資料です。こちらも、主な増減要因は、右側の黄色の枠内に記載しています。営業収益は121百万円増、営業費用は76百万円の増となりました。修繕費はコスト増となりましたが、来場者増加に伴うキャナルシティ博多の収入増により、一口当たり分配金は予想比+60円となりました。
資料20頁は、第38期の業績予想の説明です。主な差異要因は、右側の緑色の枠内に記載しています。キャナルシティ博多の賃料収入の減少や各種コスト増加を、久留米東櫛原SCの売却益と新規取得物件の収益貢献、東比恵ビジネスセンターの回復によりカバーします。結果、一口当たり分配金は、前期比+20円の3,600円を計画します。
次の資料21頁は、第39期の業績予想の説明です。主な差異要因は、同じく右側の緑の枠内に記載しています。久留米東櫛原SCの売却益が、第38期比大きく減少しますが、新規取得物件の収益寄与と、リニューアルの一部完了に伴うキャナルシティ博多の回復により、カバーします。結果一口当たり分配金は、第38期と同様の3,600円を計画しています。
第37期(2023年2月期)の決算説明は以上となります。
ご清聴有難うございました。