福岡リート投資法人 2022年8月期決算概要

福岡リート投資法人
2022年8月期(第36期)決算動画説明書
動画    https://www.irwebcasting.com/20221020/1/9b55866127/mov/main/index.html
資料
https://www.fukuoka-reit.jp/file/ir_library_term-ec47a54d01cb263d9cd48e79cd62dc1608bd965f.pdf
説明者   福岡リート投資法人 執行役員 兼
     株式会社福岡リアルティ 代表取締役社長 古池 善司
説明
福岡リート投資法人の第36期(本年3月1日~8月末日)の決算について説明いたします。
先ず資料1頁目、エグゼクティブサマリーからです。最初に資料下段の分配金の推移に
ついてです。第36期の分配金実績は3,523円となり、予想比+23円の着地となりました。
グラフの通り、第32期の3,250円から着実に分配金を回復させ、第36期も継続して3,500
円を超える水準を維持しました。続く第37期予想は、分配金水準を引き続き維持し3,520
円、第38期予想は、第37期比+20円の3,540円とします。次に資料の左上、外部成長と
して、当期期初の3月1日に、博多筑紫通りセンタービルを4,320百万円で取得しました。
既存物件では、商業施設は全体的に売り上げが回復してきています。更に足元の水際対策の
緩和、全国旅行支援の開始等による売上げ増加にも期待しています。メイン物件となる
キャナルシティ博多においては、将来に向けた進化プロジェクトを実行フェーズに向け
始動しました。後ほどキャナルシティ博多のフューチャービジョンについて説明致します。
オフィスビルの期末稼働率は99.7%です。当期も賃料の増額改定が実現でき、月額430万
円の賃料収入増となりました。又、本年9月には東比恵ビジネスセンターで大口テナント
の退去がありましたが、早期埋め戻しと賃料増額に取組み、既に一部成約に至っています。
詳細は後ほど説明致します。次に、資料右上の財務運営ですが、記載の通り安定的な財務
基盤の維持に努めています。期末有利子負債残高は、839億円です。引き続き、返済期限の
分散等によるリファイナンスリスクの軽減に努めます。最後にその下、サステナビリティの
取組みです。本年9月にTCFD提言への賛同を行い、シナリオ分析に基づく財務的な影響
の検証を行っています。外部認証ではGRESBリアルエステート評価では、2年連続4—Stars、
開示評価では、ESG情報開示の取組みが評価され、最高レベルとなるAレベルとなり
ました。統合報告書などを通じて、今後も環境パフォーマンスデータの非財務情報の拡充を
進めてまいります。以上がエグゼクティブサマリーです。
次は資料2頁、分配金の推移について説明致します。第36期の分配金実績と第37期、
第38期の、分配金予想の変動要因を記載しています。主な変動要因として、第36期
前期比は新規に取得した筑紫通りセンタービルが収益寄与し、その他費用の増を吸収し
ました。予想比は、その他収入に含まれる賃料増額等や修繕費減によりプラスとなって
います。第36期予想は、キャナルシティ博多の収入源と、前期に後ろ倒しなった修繕費7増を久留米東櫛原SCの売却益でカバーします。又、東比恵ビジネスセンターのテナント
退去によるマイナス、その他収入は他の保有物件の営業収益等でプラス、結果、3,520円と
しています。第38期は,久留米東櫛原SCの売却益で、キャナルシティ博多の収入源、
修繕費増をカバーし、後ほど説明します。東比恵ビジネスセンターのリーシング進捗等の
プラスによって、第37期比20円増の3,540円としています。更に今後、分配金の成長
フェーズに向けた運営を行っていきます。
次に資料3頁、第36期損益計算書・分配金の前期比の資料です。営業損益の主な増減要因
は、右のオレンジ色の枠内に記載しています。①の営業収益は、前期比+171百万円となり
ました。そのうち新規に取得した博多筑紫通りビジネスセンターの収益寄与で、+133百万
円、残りは既存物件の収入増減によりプラスとなりました。商業施設のパークプレイス大分
については、前期と比較して施設売上自体は回復しており、今後営業収益としての回復を
予定しています②の営業費用は、外注委託費や減価償却費の増加が主な要因となり、前期
比163百万円の増となりました。水光熱費の増は、テナントから収受する水光熱費収入増
と相殺となり、営業利益への影響は殆どありません。その他販管費や営業外費用を加え
まして、一口当たり分配金は2,523円となりました。
次の資料4頁、第36期に損益計算書・分配金の予想比の資料です。こちらも主な増減要因
は、右のオレンジ色の枠内に記載しています。①の営業収益は+22百万円。②の営業費用
は+8百万円となりました。オフィスビルや住居の賃料増額と、水光熱収支の上振れが
プラスに影響しています。当期純利益はプラス17百万円となりました。一口当たり分配金
は23円の予想比プラスです。
次の資料5頁、第37期の業績予想の説明です。主な差異要因は右のオレンジ色の枠内に
記載しています。①に記載の博多キャナルシティの賃料収入減や、③に記載の前期に後ろ
倒しとなったことによる修繕費のマイナス影響を、②の久留米東櫛原SCの売却益で吸収
します。久留米東櫛原SCの売却は、3期に亘って分割して行い、1回目に当たる当期は15%
の売却で、分配金の安定化を図ります。結果、一口当たり分配金は、前期とほぼ同水準で
ある3,520円を計画しています。
資料6頁、続く第38期の業績予想の説明です。主な差異要因は右側のグリーンの枠内に
記載しています。オフィス物件である東比恵ビジネスセンターにおいて、早期のリーシング
着手による契約前倒しと新規テナントの賃料増額による収入増を見込んでいます。又、前期
に続き2回目の売却益で、キャナルシティ博多にかかる収支上のマイナス影響をカバーし、
分配金の安定化を図ります。当期純利益は、第37期予想比+15百万円を見込みます。
結果、一口当たり分配金は、第37期比+20円の3,540円を計画しています。
次は資料7頁、外部成長の取組みについて説明致します。現在、福岡リートの資産規模は、
2022年8月末時点で、約2,063億円です。引き続き2,500億円を目指したソーシング活動
を強化していきます。スポンサーからの既存収益物件の取得に加え、開発段階からの協業に
より、オフィスビル、商業施設を中心に、サステナビリティに対応した高品質、高性能な
新築物件の取得を目指します。又、地域密着のソーシング力の強みを生かし、様々な
ソリューション提案を行い、良質な物件を獲得したいと考えます。外部からの取得において
もオフィスビル、物流施設に加え、安定感のある住居の取得も積極的に検討したいと考えて
います。
次は資料8頁、本年6月14日にプレスリリースしました資産取得についての説明です。
スポンサーの福岡地所と協業で、福岡市アイランドシティ港湾関連用地の公募案件に応募
し、優先交渉権を獲得した案件となります。土地の取得価格は8.082百万円。その土地に
福岡地所が物流施設を建設する予定です。我々は、底地を福岡地所に賃借します。取得の
意義は記載の通りですが、アイランドシティは、福岡市の成長を牽引する物流拠点として
更に発展し、福岡リートの投資タイプとしても、物流施設の拡充は重要であると考えます。
当エリアには、他にも物流施設を保有しており、高い稼働率を維持しています。取得日は
6年半後の2029年3月となります。
資料9頁をご覧下さい。前回第35期の決算でお伝えしました、東比恵ビジネスセンターの
リーシング進捗状況の説明です。第37期の9月30日に賃貸可能面積の35%、約1,450坪
の大口退去となりました。早期リーシング着手や、立地の良さ、ビルスペックの高さが評価
され、埋め戻しのペースは東証予想を上回っております。期末埋め戻し率は、前回予想の
50%を上回る62.3%です。ダウンタイムとフリーレントを合わせた、賃料収入が見込めない
期間の短縮が図れています。又、絶好の機会と考えていた賃料ギャップの解消も想定通り
実現し、物件の平均賃料単価12,000円台後半に対し、市場の賃料単価水準での成約ができ
ています。残りの区画についても、記載のリーシング候補先と交渉中であり、早期に100%
の埋め戻しをしたいと考えています。
資料10頁は、福岡のオフィスマーケットについてです。左のグラフの通り2021年以降
多くの新築ビルが供給されていますが、空室率の上昇は軽微な水準に止まり、足元の2022
年9月時点での福岡の空室率は、5.08%です。東京都心部の空室率は6.49%で、依然高い
水準で推移しています。右に、東京と福岡のオフィスビルの空室率の推移を示していますが、
直近の東京の空室率に比べると福岡の上昇率は緩やかです。又、福岡リートの保有オフィス
ビルは、空室率の低さからマーケット内の競争力の高さが、ご理解頂けると思います。
資料11頁をご覧下さい。オフィスビル稼働率の実績と予想です。福岡リートが保有する
オフィスビルの、天神西通りビジネスセンター底地を除いた10物件の第36期の加重平均
稼働率は、99.6%と引き続き高い稼働率を誇っています。第37期には、先ほどの説明の
ように、東比恵ビジネスセンターで、大口テナントの退去が発生し、博多筑紫通センター
ビルでも一部退去が発生しますが、賃料ギャップ縮小と、早期埋め戻し完了を目指します。
又、CBREの査定資料によれば、保有物件の賃料ギャップは、17.7%あります。右下の
グラフの通り、継続して賃料増額改定にも取組みます。
資料12頁は、商業施設の状況について説明致します。資料下段の表の通り、全体として
商業施設の売上は、回復基調にあります。我々がアクティブ商業と呼ぶ歩合賃料が期待でき
る記載の商業施設では、需要回復局面における集客増、競争力強化を目的に、集客イベント
やリニューアルを実施しています。実施している施策は、中長期的にも内部成長に寄与する
ものと考えています。今後見込まれる水際対策の緩和や全国旅行支援の実施等需要回復の
機会を捉え、更なる売上回復を目指していきます。
13頁では、キャナルシティ博多の取組みを説明致します。キャナルシティ博多を取り巻く
環境は、大きく変化しています。1996年にオープンし、当時の「エンタメと独自性の追求」、
2002年頃から「国内最大級の旗艦店を積極的に誘致」、2012年頃から「インバウンドが
求める商業施設」と変遷してきました。足元では、新型コロナウイルス感染の影響を大きく
受けています。インバウンド需要の剥落と約25年が経過したこのタイミングに、キャナル
シティ博多のフューチャービジョンを描きました。これは、当社を中心にスポンサーやPM
会社と一体となり、キャナルシティ博多の進化プロジェクトを推進したものです。これから
は、「福岡・アジアのミックスカルチャーを生み出す職と游が融合した人々の豊かな暮らし
の場」をテーマに、資料の右側に記載の通り、キャナルシティ博多のこれからについて、
段階的な進化に取組んでいく方針です。
14頁では、コンセプトについて説明しています。人々が文化に触れ、体感し、活動する
ため、つなぐ、つくる、そだてる、の価値を一貫して提供していきます。又、Creative、Food、
Sport & Healthcareの観点から、創造し発信していく独自のCultureを、キャナルシティ
博多として実現したいと考えております。これにより、集客や売上の回復に繋げていきます。
このキャナルシティ博多のフューチャービジョンに共感頂き、出店合意に達している新規
テナントもあります。契約上の守秘義務などがあり、現時点ではお伝え出来ませんが、開示
出来る環境になり次第、順次内容をお知らせしたいと思います。
15頁では資産譲渡について説明致します。プレスリリースを行いました商業施設の久留米
東櫛原SCの資産譲渡です。譲渡理由は頁右側に記載の3点です。1点目は、含み益の実現
と分配金水準の安定化、2点目は、商業施設の投資比率の引下げ、3点目は、譲渡資金の
活用です。先程説明しました、キャナルシティ博多の進化プロジェクトのスタートに向けた
内部成長と、3期に亘って分割して売却することによる、分配金の安定化の両立を図るもの
です。この判断は、中長期的時にも短期的にも、安定した収益を投資主の皆様に提供する
ことで、最善の利益に資するものであると考えます。
資料16頁は、その他アセットの、物流施設についてです。福岡の物流マーケットは非常に
良好で、2019年から2021年まで空室率0%です。CBREのレポートによれば、2022年
以降大型の供給により、若干の空室率の上昇が見込まれていますが、2017年の水準よりも、
低い水準で収まる見通しです。今後も福岡近郊、佐賀県鳥栖エリアは、需要が非常に強い
状況が続くと予想されており、大型供給が続くも、賃料単価は上昇を見込んでいます。福岡
リートが保有する物流施設は、現在4物件ですが、いずれも100%稼働です。先ほど説明
しました通り、2029年3月に、福岡市東区にあるアイランドシティに、物流用地を取得
予定です。大消費地の福岡中心部に近く、競争優位性が高い立地だと判断しています。
次の資料17頁は、その他アセット、住居・ホテルの状況です。住居については5物件平均
で、第36期は96.8%と、引き続き高い稼働率を維持しており、非常に安定しています。又、
入替え時の新規募集賃料の増額にも継続して取組んでいます。ホテルの保有は、いずれも
宿泊特化型です。前期と比較して回復傾向にあるものの、依然厳しい状況が続いています、
直近では、オンハンドの予約状況も回復してきており、こちらもインバウンドを含めた旅行
需要の回復に期待をしています。
次の頁をご覧下さい。ここからは財務運営について説明致します。
18頁は、第36期調達実績についてです。左上に記載の通り、新規調達10億円。グリーン
ローンによる16億円のリファイナンス、サステナビリティ・リンク・ローンによる49億
円のリファイナンスを実行しましたサステナビリティ・リンク・ローンは、J-REIT初の
シンジケーション方式による調達です。スポンサー金融機関の日本政策投資銀行、西日本
シティ銀行、福岡銀行が連携し、福岡リート投資法人、福岡リアルティが一体となって、
環境への配慮を通じたサステナビリティの推進に取組んでいくものです。又、右上に記載の通り、コミットメントラインを期間1年間延長し、3年間の期間維持を行いました。
引き続き財務基盤の安定化と、機動的な資金調達手段を確保しています。
資料19頁をご覧下さい。財務状況です。左上のグラフの通り、期中の平均金利は0.66%、
平均残存年数は5.4年です。証券会社のレポ-トによれば、J-REIT全体の平均残存年数は
4.3年ですので、福岡リートは期間の長い借入れを行っていることになります。これは、
将来の金利上昇リスクを低減し、返済期限の分散を行いながら、なるべき期間の長い借入れ
で、且つ、低金利での調達を行う方針を堅持しているからです。又、LTVは41.7%と低い
水準を維持していますので、LTVを活用したデットによる物件取得も、問題なくできると
考えています。サステナビリティファイナンス比率は、当期で10%を超えました。今後も
ESGへの配慮を通じた資金調達に取組んでいくことで、割合が高まっていくものだと考えています。尚、格付けについては、引き続きJCRからAA-の格付けを維持しています。
資料20頁をご覧下さい。鑑定評価額についてです。一部の物件においてCAPEX工事を
行いましたので、簿価が鑑定評価額を上回る結果となりました。しかしながら、殆どの物件
で含み益を保持しており、第36期末含み益総額は、約430億円です。今後も、中長期的に、
投資主の皆様の最善の利益を優先に、含み益の顕在化による、分配金水準の安定化を図る
ことが出来ると考えています。
21頁、サステナビリティへの取組みについてです。サステナビリティへの取組みは、経営
の重要課題に位置付けています。環境の取組みとしては、本年9月にTCFD提言への
賛同を表明しました。併せて気候変動、レジリエンスポリシーの制定とシナリオ分析に
基づく財務的な影響の検証を行いました。
次の頁で検証結果を記載しています。ご確認頂けると幸いです。
又、社会の取組みは、福岡市Well-Being & SDGs登録制度においてマスター登録を行い
ました。働く人の仕事に対する満足度の把握や、魅力ある職場に対して、福岡市が評価する
ものです。サステナビリティへの取組みは、今後も不動産投資における重要な判断要素と
考えていますので、投資家の皆様とは、意見交換をさせてもらいながら、進めていければと
考えています。
第36期(2022年8月期)の決算説明は以上となります。
ご清聴、有難うございました。