日本ロジスティクスファンド投資法人
2023年1月期(第期)決算動画説明書&質疑応答
○動画  https://net-presentations.com/8967/20230315/3ndious/
○資料  https://ssl4.eir-parts.net/doc/8967/ir_material_for_fiscal_ym/132507/00.pdf
○説明者 日本ロジスティクスファンド投資法人 執行役員 兼
     三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社 代表取締役社長 亀岡 直弘
○説明 
2023年1月期の決算について説明致します。
3頁をご覧下さい。冒頭で少々時間を頂き、投資家の皆様に私から一言申し上げたいと思います。まず初めに、これは社長就任以降何度か申し上げていることではありますが、JLFでは、自律的、主体的な成長戦略を推進し、事業環境の変化に係わらず安定的な成長を追求できる体制を構築してきました。その一方で、足元の事業環境は、ご案内の通り、大きく変化しております。金利の上昇、インフレ、With Coronaへの段階的な移行、地政学的リスクの高まりなど、リートの運営においては、こういった変化に適切、且つ、効果的に対応していくことが、より一層重要になって来ていると認識しております。これまでは、低い金利が長く続いたことで、低コストで資金調達が可能な環境を生かし、公募増資を定期的に実施して、物件を買っていくという戦略が有効であったと思いますが、こういった戦略に依存した運用では厳しくなっていくと考えております。勿論、外部成長は、引続き重要な成長ドライバーであり、今後も物件パイプラインを拡充していくことは需要ですが、事業環境の急激な変化により、リート運用の複雑性が増し、パイプラインの拡大に偏重した一本足打法から、より多様な打ち手と、変化への耐性を備えた運用への変革が求められる局面に来ていると考えられます。JLFでは、先ず、継続的に行っていることとして、高い稼働率の維持、継続的な賃料増額による好調な内部成長、そして、MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数に組入れられるなど、着実に結果を出しているESGへの取組みというのがありますが、それに加えて、課題と位置付けてきた外部成長においても、物件パイプラインの拡充ペースを加速させるなど、成果を上げつつあります。更には、変化への耐性の確保として、テナント等々との戦略的な交渉を通じ、インフレに備えた賃貸借契約の条件変更、水道光熱費関連契約の見直しなどを進めており、又、財務においても、返済期限の分散や長期化、金利固定化など従来から進めてきたものも含めて、金利上昇への耐性強化を進めています。物件パイプラインにつきましても、取得時期を柔軟に調整して、投資主価値の向上に資するタイミングで取得することが出来るストラクチャーの構築することで、規模だけでなく質的な向上も進めています。これらの対応が可能な背景としては、先ほど申し上げましたように、以前から自律的、主体的な成長戦略を推進し、事業環境の変化に拘わらず、安定的な成長を追求できる体制を構築してきたということが、大きいと感じております。社長就任後最初の決算説明会でも申し上げた投資家ファーストの精神のもと、「Develop the Value」戦略の推進を通じて、この体制に更に磨きをかけ、今後も事業環境の変化に適切、且つ、効果的に対応し、一口当たり分配金・NAVの安定的な成長を実現してまいりますので、引続きご指導・ご支援の程を、宜しくお願い申し上げます。

それでは6頁をご覧下さい。本投資法人では、上場以来一口当たり分配金とNAVの安定と持続定期成長を追求してまいりました。1年前の2022年1月期の決算説明会にて説明した新成長戦略「Develop the Value」においても、この方針に変わりはなく、更なる投資主価値の向上を目指してまいります。DPUに関しては頁上段に記載の通り、再開発が完了し、2023年1月期の期初より100%稼働で収益貢献している浦安物流センターのOBRの効果や、継続的な賃料増額により、好調を維持している内部成長の効果により順調に成長し、2023年1月期の実績は、5,235円となりました。又、巡航DPUについては、インフレによるコスト増加や、金利上昇といった逆風が吹く中、柔軟な対応でこれらの影響を軽減するとともに、それを上回る賃料増額といった内部成長を継続することなどにより、前回の決算説明会で申し上げた5,130円から、40円アップの5,170円に増加しました。Develop the Value戦略の推進により、引続きDPUを安定的に成長させ、目標としている5,600円から5,700円の達成を目指してまいります。一方、表下段に記載の通り、一口当たりNAVに関しても、含み益に関しては業界最高水準の56.9%となるなど、着実に成長しております。

7頁をご覧下さい。本投資法人では、Develop the Value戦略の推進を通じ、多様、且つ、独自のアプローチにて、運用の様々な面で優位性を確保しつつ、外部環境の変化にも対応できる体制の強化を図ることで、DPUや一口当たりNAVといった投資主価値の安定的な成長を目指しております。具体的な内容については、次頁以降で投資戦略、ポートフォリオ戦略、財務戦略、ESG戦略の夫々につき説明致します。
それでは先ず、投資戦略について説明致します。9頁をご覧下さい。JLFではスポンサーからの稼働物件の取得だけではなく、開発段階から関与することで割安な価格、相対的に高い利回りでの物件取得を可能とする事業パートナーとの共同開発や、OBR、再開発など多様、且つ、独自のアプローチにより、物件取得機会を創出するとともに、様々な取得手法を組み合わせることで、収益性とクオリティ、安定性の確保を両立することを、物件取得における基本方針としております。又、不動産売買市場の環境変化に応じて、これらの組み合わせ、注力分野等につき、自律的、主体的に変化させてきました。足元は、物件価格が引き続き高水準で推移していることを踏まえ、相対的に高い収益性が期待出来る、事業パートナーとの共同開発などの独自のアプローチを注力分野としていますが、今後の不動産売買市場における環境変化の可能性を踏まえ、注力分野、軸足の変更も意識しながら、パイプライン構築を進めております。
10頁をご覧下さい。こちらの頁には、パイプライン案件の一部を記載しておりますが、足元のパイプラインは約1,000億円となっており、半年前の、前回の決算説明会の時に申し上げた900億円弱から、パイプラインの積上げが着実に進展しております。同時に、取得時期も柔軟性も確保可能なブリッジスキームの構築を進めており、投資主価値の向上に資するタイミングでの取得を可能とするなど、資金調達環境等、外部環境の急激な変化に伴うリスクなどの備えも進めております。又、パイプラインの拡充に関しては、これまでも説明していますように、物件取得体制の強化と業務推進プロセスの変革を進めておりますが、表下段に記載の通り、パイプラインの更なる拡充に向けた情報取得件数や、検討案件数が増加するなど、体制強化の成果が現れてきており、一覧表に新たに追加した加須Ⅱ、成田、石狩などといったパイプライン案件の獲得にも繋がっています。

11頁をご覧下さい。注力分野である事業パートナーとの協同開発は、本投資法人が案件のソーシングや、リーシングといった開発プロセスに主体的に関与し、事業パートナーと新規に物件を開発することで、通常スポンサーやデベロッパーが享受する開発利益を、事業パートナーとJLFでシェアすることで、構造的に有利な利回りでの物件取得を可能とする、取組みになっております。右下に協同案件のパイプラインの利回り感について記載していますが、鑑定NOI利回りは、総じて4%台後半を確保しており、市場での取引利回りと比較して、高い利回りとなっております。又、実際の取得にあたっては、インプライド・キャップレート等の資本コストに十分配慮した利回りを確保する方針です。
12頁をご覧下さい。OBRについては、引続き8物件の候補物件があり、潜在的な床面積の増加余地は、ポートフォリオ全体の約11%となっております。2023年1月期末時点のポートフォリオ稼働率は100%であり、候補物件についても、いずれも100%稼働となっていますが、今後もテナントリレーション等の諸条件を考慮しつつ、投資主の価値向上の観点から、ベストなタイミングでのOBRの実施を検討してまいります。又、JLFでは、保有する全物件に関して、毎期キャッシュ・フローの安定性等の検証を行っております。足元売却を検討している物件はありませんが、検証の結果、売却を検討する際の考え方については、頁下段に記載の通りとなっております。
続いてポートフォリオ戦略について説明致します。

14頁をご覧下さい。テナントとの再契約交渉については、引続き好調を維持しており、頁左側に期ごとの賃料変動率、右側に直近の事例を記載しておりますが、しっかりと賃料増額が出来ております。引き続き既存の契約賃料とマーケット賃料とのレントギャップがあることから、今後も周辺の賃貸市場、そしてテナントの動向等をしっかりと分析し、戦略的なテナント交渉を行うことで、目標としている中長期での平均3%から4%以上の賃料増額を、しっかりと達成するだけでなく、継続的に目標以上の高い賃料増額を獲得できるよう、差し契約交渉を進めてまいります。
15頁をご覧下さい。2023年1月期末のポートフォリオ稼働率は100%で、稼働率に関しては、引続き高水準を維持しております。又、契約満期の分散化を進めており、テナント退去が集中するようなリスクの低減を図っております。2021年1月期から2023年7月期の再契約率は、90.3%と高水準ですが、一方で、退去となった場合のリテナント対応においても、テナントの使用状況や拠点戦略等を把握し、退去の可能性を早期に把握することや、効果的な後継テナントのリーシングを通じ、平均ダウンタイム0.2ヵ月と、スムーズなリテナントを実現しているうえ、リテナント前後の賃料比較において、4.2%の賃料増額にも成功しております。
16頁をご覧下さい。戦略的なテナント交渉を通じた賃料増額等の成長、そして安定性の確保の加え、JLFではインフレの対応も進めております。先ず、競争力の高い物件に関しては、契約期間の短期化を推進することで、再契約に伴う賃料増額の機会の確保を進めております。加えて、一部物件におけるCPI連動条項の導入、普通借家契約の定期借家契約への切替えといった賃料増額機会の獲得、又、修繕費をテナント負担とすることによる、経費増加リスクの回避など、テナント交渉を通じて各種インフレ対応策を進めております。

17頁をご覧下さい。足元の燃料費の高騰は、電気代の上昇として程度の差はありながらも、多くのリートの運用に影響を与えていますが、一方で、前回の決算説明会においてJLFでは、電気代の上昇が相対的に軽微であると説明しました。その後、テナントとの契約の切替え等により、更なる影響の低減を進めております。JLFの保有物件、全52物件のうち37物件、使用電力量ベースで65%のテナントが電力会社と直接契約しており、JLFが電力会社と直接契約を締結している物件は15件、使用電気量ベースで35%のテナントのみとなっております。この点は、前回と同様です。JLFが電力会社と契約している物件のうち、物件全体、若しくは、専有部でパススルーでテナントに繋いでいる物件があるため、電気代上昇の影響を受けるのは5物件ですが、この5物件のうち一部のテナントとの電気料金の支払い契約を変更、若しくは、変更を予定しており、その結果、使用電力量ベースで見た場合の、JLFが影響を受ける割合としては、2023年1月期末の13%が、2024年1月期末には2.3%まで減少する予定です。計画上は電気料金の高騰の継続を見込んでおりますが、JLFのコスト負担としては、2023年1月実績の29百万円から、2024年1月期に21百万円まで、約28%減少することを見込んでいます。電気代上昇によって影響を受ける割合は、そもそも限定的ではありますが、影響を受ける部分に関しても様々な対応を行い、引き続きコスト負担の抑制を図ってまいります。

次に財務戦略について説明致します。
19頁をご覧下さい。LTVについては、引続き健全な水準にコントロールし、格付けや安定的な財務基盤の維持に努めてまいります。又、有利子負債の調達先については、頁右下の円グラフにある通り、多様な資金属性の金融機関から借入れを行うことで、資金調達環境の急変に対応する耐性を高めております。
続いて20頁をご覧下さい。加えてJLFでは、引続き返済期限の分散を図ったうえで、有利子負債の平均調達年限および高水準での固定金利比率の維持に努めることで、金利上昇への耐性を確保しております。期ごとの平均借換額は約65億円で、有利子負債額の5.4%程度となっており、仮に急激な金利の上昇や調達環境の悪化という状況に直面した場合でも、返済期限の分散により、一度に影響を受ける比率を下げ、相対的に影響を軽減しています。又、足元の固定金利比率は100%で、金利上昇への耐性が高い状態となっておりますが、今後の新規借入れ、借換えにおいては借入コストの低減にも配慮をし、少なくとも現時点では、変動金利の方が金利上昇幅が相対的に小さいことから、状況次第では変動金利による調達も検討してまいります。但し、変動金利による借入れに関しては、手元資金で即時返済可能な範囲とし、急激な金利上昇時にはすぐに返済できる範囲で借り入れる方針です。
21頁をご覧下さい。公募増資の実施については、以前より申し上げている通りNAV倍率に加え、金利の動向やキャピタルマーケットの環境も考慮し、投資主価値の向上に繋がる良いDealになるようであれば、今後も検討してまいります。なた、NAV倍率が1倍から大幅に低下した場合には、効果的なタイミングを見極め、手元資金を活用した自己投資口の取得についても適宜検討してまいります。
次にESG戦略について説明致します。

23頁をご覧下さい。ESGについては引き続き多くの進展がありましたが、ここではポイントのみ紹介させて頂きます。詳細については本資料のAppendixやWEB-Siteに掲載しておりますサステナビリティレポートを参照下さい。第三者評価についてはMSCI ESG格付けで、J-REIT最高位となるAAを獲得し、昨年12月より、MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数に採用されました。又、GRESBに関しては、2021年に続き2022年の評価においても、2年連続となる5—Starsの評価となりました。引き続きESGの進捗の目安として、外部機関からの評価、格付けを意識した対応を行ってまいりたいと思います。グリーンビルディング認証については、52物件中41物件で取得し、ポートフォリオレベルでの取得比率についても順調に向上し、2022年度末の目標として設定した75%以上となる78.6%となりました。GHG排出量については、2030年までの削減目標がパリ協定に整合していることに関してSBT認定を取得しています。又、2050年までにネット0とする目標も設定しています。ESGについては、引続きリート運用上の重要課題と位置付け、取組みを強化してまいります。

続いて2023年1月期の実績および2023年7月期、2024年1月期の業績予想について説明致します。
25頁をご覧下さい。2023年1月期に実績について説明致します。当期は、OBR後の浦安物流センターが、期初より100%稼働で貢献したほか、前期に取得した久喜物流センター、板橋物流センターが通期で収益に寄与するなど、外部成長効果と引き続き好調な賃料増額に伴う内部成長効果等で、収益・利益とも大きく増加しました。営業収益は、前期比450百万円増加kの10,160百万円、NOIは前期比360百万円増加の8,310百万円、当期純利益は前期比26百万円増加の4,889百万円とんかり、一口当たり分配金については、前期比280円増加の5,235円となりました。
26頁をご覧下さい。2023年7月業績政予想の説明です。当期は引き続き賃料増額に伴い、営業収益が増加する一方、浦安、久喜、板橋において、固都税の費用化が始まるなど、費用も増加する見込みです。営業収益は、前期比6千万円増加の1,021千万円、NOIは前期比12千万円減少の819千万円、当期純利益は前期比10千万円減少の479千万円となり、一口当たり分配金は前期比105円減少の5,130円を予想しております。

27頁をご覧下さい。続いて2024年1月期の業績予想の説明になります。当期は引き続き賃料増額に伴い、営業収益が増加するなどの影響で、営業収益は前期比12千万円増加の1,033千万円、NOIは前期比3千万円増加の823千万円、当期純利益は4千万円増加の483千万円となり、一口当たり分配金は前期比40円増加の5,170円を予想しております。尚、巡航DPUについては、この2024年1月期と同額の5,170円と設定しています。主として好調を維持している賃料増額などの内部成長効果等により、前回まで巡航DPUとして設定していた5,130円から40円増加しています。又、期末稼働率は、2023年7月期、2024年1月期ともに100%を予想しています。

冒頭申し上げました通り、足元、リート運用を取り巻く環境は大きく変化しており、従来のパイプライン拡充の一本足打法の運用から、より多様な打ち手と変化への耐性を備えた運用への変革が、求められてきていると認識しております。JLFでは以前より、自律的、主体的な成長戦略を推進し、事業環境の変化に拘わらず、安定的な成長を追求できる体制を構築してきており、足元、こうした取り組みが強みを発揮する局面になって来ていると考えております。社長就任以来申し上げている、投資家ファーストの精神のもと、Develop the Value戦略を着実に推進することを通じ、事業環境尾の変化に、適切、且つ、効果的に対応し、一口当たり分配金、NAVの安定的な成長を実現するとともに、DPUの当面の目標である5,600円から5,700円を早期に達成したいと考えておりますので、引続き宜しくお願い致します。ご清聴、有難うございました。

質疑応答
Q:一口当たり分配金5,600円から5,700円を目指すとのことですが、足元の環境を踏まえて、7頁でお話頂いた戦略の中で、先ずはどこに注力していくことになりそうか伺いたい。外部成長が厳しいので内部成長に注力するとか、内部成長がそこまで大きくないので外部成長に注力するとか、足元はどこに力を入れようとされているのか確認させて頂きたい。
A:当面のDPU目標5,600円から5,700円の達成に向けて、どこに注力していくのとのご質問ですが、昨年の2月にこの目標を設定まして、2年から3年でこの目標を達成していきたいと申し上げていました。その際に、内部成長と外部成長の割合はどのように考えているのかという問いかけに対して、内部成長で2割から3割、残りが外部成長と答えております。やはり、外部成長の比率が大きいということですが、この考え方、方針に、今のところは変更ありません。20%程度を内部成長で達成するということに対しては、14頁に記載しているように、期ごとの平均で、3%から4%以上の賃料増額を目指すという方針を掲げており、これをしっかりと達成していけば、2割から3割を内部成長でというところは、十分にクリアーできると思っております。後ほど3~4%以上の賃料増額が現実的なのかどうかは説明させて頂きますが、十分可能と思っております。後は、外部成長ですが、こちらは環境の変化によって複数のシナリオが考えられると思っておりますが、その中でも、500億円程度の物件を、POを2回ほどして買っていくというのが、メインシナリオかなと考えております。パイプラインに関しては、先ほど申し上げましたように、1,000億円弱というところでして、この中には開発段階から関与しているものもありますので、まだ竣工していないものも含まれてはおりますが、例えば、建築コストとか、ブリッジ期間中のブリッジコスト、こういったものに関しては基本的に握れておりまして、又、リーシングのプランもマーケットレンジと比べて無理なバリエーションはしないでやっており、500億円の物件の確保についても自信を持っておりますので、内部成長で2~3割、残りを外部成長というシナリオは、今のところ変える必要はないと考えております。例えば、今後、投資口価格の水準によって資金調達が難しい場合ですが、先ず、パイプラインで持っている物件に関しては、ブリッジスキームを長めに構築していますので、3年から5年のブリッジの中で、我々が買いたいタイミングで買うことが出来るというストラクチャーになっておりますので、資金調達が良いタイミングで買っていきたいと思っていますし、ブリッジによる簿価下げも含めてやっていきたいと思っていますが、資金調達が難しい場合ですが、例えば、手元資金だけで買っていくとすると、増資による希薄化が生じないので、買う物件の規模が先ほど話した500億円と比べると半分ほどでも、5,600円~5,700円にはミートするかなと思っており、その規模の物件取得であれば、手元のキャッシュであるとか、減価償却見合いでリートの中に溜まっていくキャッシュが年間30億円ぐらいありますが、こういったものの積み重ね、それからレバを少し使っていくとか、こういったものの組み合わせで十分達成可能と思っています。更に、投資口価格の水準が悪くて、先ほど申し上げました1倍を著しく下回って推移する場合は、効果的なタイミングで自己投資口の取得も検討していく、ということを申し上げましたが、そういった事態になった場合、一定のレベルで自己投資口の取得をすると、手元の現金は使ってしまいますが、一方で、口数が減りますので、更に取得する物件の数が少なくて済む、金額が少なくて済むということになります。そうすると残った現金と、多少レバを使うことで5,600円から5,700円の達成は出来ると思っており、シナリオがいくつかありますが、シナリオに合わせた対応を行うことで、当初想定していた3年から4年での、当面の目標の達成というのは出来るのではないかと考えております。

Q:足元のリーシング環境に変化はあるのか伺いたい。常々、大量供給の話が出て来ておりますが、一方で賃料の変動率については6.3%のプラスで、モメンタムとしては特に変わりがないと、数字上はそうなりますが、実際のリーシング環境に変化があるのか、ないのか伺いたいと思います。
A:リーシングの環境ですが、ポートフォリオレベルでのレントギャップで言うと、引続き一桁後半あるかなと思っており、確かに今、CBREとか色んなデータを出されている会社の資料を見ますと、空室率は首都圏でも上がって来ているというデータはありますが、新築物件と既存物件の賃料差はありますし、我々のポートフォリオで言ってもレントギャップはあるということなので、これを解消していくということで、先ほど申し上げた3~4%以上の賃料増額は可能と考えております。(30頁物流施設の需給バランスを参照して)全体で言いますと、近畿と九州は2022年末現在で、非常に良い状態にあり、ここから空室率は多少上がっていきますが、絶対水準としてはまだまだ良好と思っております。中部に関しては、元々あまり良くないのですが、例えば、2023年末の空室予想をCBREが出しておりますが、1年前は20%以上、半年前は16%、直近では14%と数字としては良くありませんが、改善傾向にあるということで、CBRE曰く、底堅い需要が想像以上にあったと仰っています。我々としては中部圏の域内GDPに対して、物流施設のストックが圧倒的に少ない、GDPの規模で言うと近畿圏とそんなに変わらないのですが、ストックの量で言うと3倍位違うということがあるので、こういった需要が顕在化するんではないかと想定はしていたのですが、そういったものが徐々に数字に表れてきているのかなと思っています。これが中部圏の状況です。首都圏に関しては、数字は悪くなっていまして、例えば23年末で言うと、半年前にCBREの予想で空室率が6.2%と言われていたのが、9%近くまで悪くなっており、ここは明らかに環境としては悪化としていると思っています。今の状況としては、需要は底堅いのですが、供給が多すぎるということでして、空室率が上がっております。特にテナントからすると選択肢が増えているので、そんなに急いで決める必要がないということになりますが、どちらかというと、価格とスペック、立地のバランスの中で、良いものから埋まっていくということかと思っております。エリア別で言うと、圏央道とかの外側の方が、空室率が上がっていて、湾岸とか外環とか中心部に近いものの方が良くて、首都圏の中でもエリアによるバラツキが結構出て来ているという状況ではないか理解しています。今年の2023年が供給のピークということで、25年ごろになると底堅い需要が徐々に消化していき、埋まってくるのではないかというのが、CBREを初めとしたマーケット情報を集めている方達が、結構言われているところでして、やはり、底堅い需要の背景には、e-Commerceとか、最近ではメーカーが直接e-Commerceを始めるとか、食品スーパーとかも需要として出て来ていると言われております。賃料の推移で言うと、全体感としては、まだ横這い、若しくは向上しているところが多いかなと思っておりますが、首都圏では湾岸はまだ強く上がっておりますが、圏央道に関しては横這いとか、先行き少し弱含みと見られており、エリアごとの強弱を見ながらやっていくマーケットなのかなと思っております。我々に関しては、ポートフォリオレベルでレントギャップがあって、これをしっかり解消していくということで、目標の3%から4%以上という賃料増額は、無理なく達成できるのではないかと考えております。

Q:外部成長に関して、資料で環境を踏まえた外部成長の軸足の変更という説明があって、赤字で強調されていますが、これに関して、もう少し詳しく説明をお願いします。
A:元々、スポンサーが作ったものをどんどん買っていくというやり方が、リートの中で型としてあって、我々もスポンサーから買っている訳ですが、それだけではなく、色んなやり方をしています。それを組み合わせの中でやっていくというのが、我々の特徴であり、強みであると認識しています。足元は、特に物件価格が高いということですし、まだ続いておりますので、事業パートナーとの協同開発に一番注力して、パイプラインを積上げておりますが、今後金利の上昇とか色んな事業環境の変化によって、物件の価格が下がっていくようなことがあれば、必ずしも事業パートナーとの協同開発に注力する必要はなくて、フレキシブルに変えていけばよいのかなと思っており、そうしたフレキシビリティを持ってやることは強みの一つでもありますので、躊躇なくほかのところへ軸足を動かします、ということをここでは書いております。

Q:事業パートナーとの協同開発において、開発コストの上昇とか、資材価格の高騰とかの影響で、利回りが下振れしていくリスクに関してはどのように考えておられるのか。
A:10頁に記載している既存の協同案件については、建築コスト等は固定されていますので、ここから更に悪化数することはありません。11頁の利回りについても、基本的には確保している状況です。今後の案件の仕込みにおいては、当然土地代の上昇とか、建設コストの上昇というのは、影響を受けると考えております。土地代に関しては、現状でも、相対的に競争が少ない案件を中心に取組んでいるということがあります。どうしても、デベロッパーであれば、同じことをするんであれば規模が大きい方が利益も大きいという発想なのか、大きな物件が多いと思いますが、我々は、大きなものもやることもありますが、割と中規模の案件でも幅広く対象にしていますので、こういった部分で、競争が少ない土地にフォーカスすることで、土地代の上昇を一定程度回避している状況です。建築コストについては、ゼネコンに値段を聞いても、以前と比べると高い水準で帰ってきますので、なかなか難しいところがありますが、ここに関しては、物件の競争力に影響を与えない範囲でのコストダウンをどこまでできるか、工夫の世界なのかと思っています。あとは、元々事業パートナーとの協同開発の仕組み上の優位性として、開発利益に相当する部分をパートナーと我々でシェアして割安に買えるというところがありますので、ある種クッションという部分が、まだ十分生きているということで、コスト上昇を吸収していくということで、引続き案件化はできるのではないかと思っております。インフレしていくということになると、当然賃料についても上がっていくことが予想されますが、今のところ、案件を組成する段階のアンダーライティングにおいては、賃料はあまり無理して上昇していく前提で見積もることはしないで、今のマーケットレンジの中でやっています。一方で、リーシングに関しては、先ほど申し上げましたように、今、需給環境は首都圏でも悪化していて、今年がピークで、時間が掛かっている案件も出て来ているというのが、足元のFactとしてあるのではと思っておりますが、底堅い需要があるので、ある程度時間をかけると埋まっていくだろうと言われておりますので、先ほど申し上げたブリッジスキームを柔軟に組むことで、リーシングにかける時間に関しては、ある程度余裕を持って組むとか、そういった部分での工夫をしているところです。環境が変われば、先ほどの軸足の変化ではありませんが、その環境に合わせて、我々が競争力を発揮できるところに軸足を移していくことを、勿論、考えていきますが、当面は、まだ、この分野で十分戦えると考えております。

Q:リーシングに関して足元の状況を伺いたいのですが、既存物件から新築に移る二次空室の発生はあまり見られないとのことだが、実際に見られないのか、或いは、新地は高いので移れていないのか、二次空室の状況についてご意見を伺いたい。
A:リーシングの状況としては、言われましたように、既存物件の賃料と新築で募集している賃料とでは、結構ギャップがありまして、10~15%程度は差があるのではないかと考えております。例えば、移転する時には、一般論ではありますが、1,000坪程度を借りている場合、移転コストが2~3百万円かかると言われており、物流会社としては、これを半年で回収するとすれば、賃料で言えば3~5百円/坪ぐらい安くないと回収できないといった中、実際には、新しいところに移ると賃料が上がってしまうというのがあり、経済的にPayするかというと、余程企業体力があり、余裕があれば出来るでしょうが、そうでないと、それなりに重い決断になるのではないかと思います。昨今の物流施設には、ご案内の通り、沢山の方が働いておられ、パートタイムの方も多いのですが、あんまり遠くに移転してしますと辞めてしまい、採用を一からやり直しという状態になってしまいます。大体、車で30分圏内と言われておりますが、色んな意味で、結構ハードルが高いというのが、実情ではないかと思っています。実際我々が運用している物件に関しても、二次空室というのはリスクとして心配してはいません。勿論、直近でいくつか出た退去に関しては、先方の拠点集約とか、拠点戦略に依るものなので、影響が全く0(ゼロ)という訳ではないのですが、最近の首都圏の空室率が上がっていることを理由にしたものは、あまり脅威に感じていませんで、二次空室というのは全体で見てもそんなに多くないと思っております。寧ろ、競合しているというと新築同士です。例えば、都心に近いが賃料が高いものと、ちょっと都心からは離れるが賃料が安くてスペックが良いというような物件が競合するとか、そういった新築同士の近隣の物件、若しくは、近いエリア間での競争の方が、足元では聞こえてきていると思います。

これにて質疑応答を終了致します。有難うございました。