ジャパンリアルエステイト投資法人 2022年3月期決算概要

ジャパンリアルエステイト投資法人
2022年3月期(第41期)決算説明 動画配信説明書及び質疑応答
動画 https://www.irwebcasting.com/20220517/1/bb3975f891/mov/main/index.html
資料 https://www.j-re.co.jp/file/term-acb743d0569ee362ee3e465a3dff9fecf3fd0165.pdf
Q&A
https://www.j-re.co.jp/file/term-21ded1abb5cea9aa995ce8d84628a1d4fde1e841.pdf
説明者 ジャパンリアルエステイトアセットマネジメント株式会社
代表取締役社長 小島 正二郎
説明
決算の内容を説明致します。
私にとって初めての決算説明ですので、具体的な内容に入る前に、一つ申し上げておきたい
と思います。大筋の運用方針に関して、前任の時代から大きく変更するつもりはないという
ことです。長期的な視点、つまり、長期的な観点で投資主価値を維持して、向上させていく
ということを念頭に置いて運用していきたいと考えています。投資家の皆様から、安定的な
運用を期待されているということは十分に理解していますので、その期待に沿った運用を
継続していく所存です。どうぞ宜しくお願い致します。
それでは、資料に沿って説明をしてまいります。
先ず決算ハイライトです。3頁をご覧下さい。分配金サマリーです。
当期の一口当たり分配金は11,400円となりました。これは前期比で44円の増加で、予想
額通りの着地となりました。16期連続での増配を達成しています。この先2期分の業績
予想についても表示しております。下の棒グラフを参照願います。2022年9月期が11,500円、
2023年3月期が11,000円としています。今後も分配金が安定して推移するように努めて
まいります。この来期以降の予想額については、後程詳しく説明致します。
次に4頁をご覧下さい。運用ハイライトを説明致します。先ず、内部成長についてです。
期末入居率は前期96.5%でしたが、今期は97.0%と改善しています。又、テナントの入替に
よる賃料月額も12百万円の増加となっています。尚、足元で得ている賃料は、若干ですが
マーケット賃料よりも低い状況です。つまり賃料ギャップがマイナスだということです。
こうした背景のもと賃料改定は4百万円のプラスを実現出来ております。左下の外部成長
については別の頁で説明致します。右上の財務戦略ですが、大きな変動はありませんで、
豊洲フロントの取得に伴って250億円を借入れ、当期末時点のLTVは一時的に43.5%に
なっています。ただ、5月末の晴海センターの譲渡があり、この資金を使って250億円の
借入金返済を予定していますので、これに伴って今月の末の時点では42.0%まで低下する
見込みです。リファイナンスによる借入金利の低下も続いておりまして、平均利率は0.9%
となっています。右下のBoxは、ESGへの取り組みです。2020年に発表しましたCO2
排出量削減目標を見直しまして、新たによりChallengingな目標を策定しました。又、
マテリアリティを策定しまして、着実にESGの取り組みを推進していくために、優先して
取り組むべき事項をピックアップして明示しています。又、大同生命新潟ビルで、JRE
投資法人として2物件目となるZEB認証を取得しています。それから3本目となる
サステナビリティ・リンク・ローンによる資金調達も実施しています。
続いて5頁をご覧下さい。ここでは、現時点における事業環境と今後の見通し、それに
対する我々の取組み姿勢を説明したいと思います。先ず、左側のBoxですが、現状の
オフィスマーケットでは、空室率の上昇はやや落ち着いてきていますが、需給面においては
引続き軟化傾向であり、そのうえでJREのポートフォリオにおいても、今後比較的大口の
解約が予定されており、これに伴い一時的に空室率の上昇を見込んでおります。こうした
足元に状況に対する我対応運用方針について、短期的な方策と長期的な戦略に分けて説明
します。先ず短期的な方策ですが、3点挙げたいと思います。1点目としては大型の空室
とか、或いは、エリアの需給バランス等の事情によりリーシングが難航している物件とか、
こういったものについては、フリーレントの設定とか賃料単価などの条件面については
比較的柔軟なリーシング方針をとって、先ずは入居率を高めていきたいと考えております。
2点目ですが、物件の売却益です。JREでは従来から戦略的なポートフォリオの入替えを
行ってきていますが、これによって売却益が発生すれば、分配金に充当することが出来ます。
そして、3点目が内部留保の取り崩しです。こういった方策を活用して、足元のソフトな
市況による分配金の影響を出来るだけ緩和していきたいと考えています。次に中期的な
戦略です。中期的にはマーケット水準を上回る価値を実現していきたいと考えています。
ここでも3点挙げたいと思います。先ず第1に、これは必ずしも戦略ということではない
かもしれませんが、本来JREのポートフォリオの質というのは、相対的に高いと自負して
います。従い、一時的な空室率の上昇局面を乗り越えることが出来れば、夫々のビルの高い
競争力が効いてくるはずです。つまり、今後も質の高いポートフォリオを維持していくこと
です。2点目としては戦略的なポートフォリオの入替え。これについては次の頁でも説明
しますが、入居者に選ばれるオフィスという観点で、戦略的なポートフォリオの入替えを
継続していきます。尚、この選ばれるオフィスというのは従来から、近・浅・大と言われて
おります。駅から近い、築浅の大型ビルという尺度が一般的です。今後もこれは大きく
変わらないはずですが、所謂、ポストコロナにおける働き方の変化、と言ったものを考え
合わせると、少し特徴の変化が起こってくるかもしれません。そういった時代の変化も
踏まえたポートフォリオ戦略というものを、常に意識していきたいと思います。3点目と
してはESGです。JREのESGに対する取り組みが進歩的であることは、皆さん既に
ご存じと思います。私は、今後もESGの観点がオフィスの選択において、一層重要に
なってくると考えています。従って、この点には引き続き力を入れていくつもりであり、
それによってJREがオフィスリートとして、ベンチマークをアウトパフォームしていく
ことに繋がると考えています。ESGについては後程改めて詳しく説明致します。
次の6頁では最近の外部成長、ポートフォリオの入替えを纏めています。当期は1物件の
売却、3物件の取得を行っています。加えて今月末に、晴海センタービルを売却することが
決定しました。取得する豊洲フロント、グランフロント大阪、大手町ファイナンシャル
シティノースタワー3物件の合計取得価格は528億円です。これに対して売却する晴海
センタービルと名古屋御園ビルの譲渡価格の合計は269億円です。これらの入替えに
よって、右側に記載の通り46億円の売却益、築年数の若返り、資産規模242億円の拡大、
そして年間961百万円のNOIの増加というものを見込んでいます。各物件の詳細について
は後程の頁で説明致します。
8頁決算概要がありますが、損益については分配金増減の頁で説明致しますので、この頁は
飛ばさせて頂きます。
9頁をご覧下さい。ここには今期のB/Sを記載していますが、ここでは内部留保だけを触れ
たいと思います。右下にある(参考)と書いてある短い表をご覧下さい。期末留保残額に
ついてですが、名古屋御園ビルの売却益を一部圧縮して繰り入れたことにより、388百万円
増加しまして、残高が真ん中の数字の56億円となっています。これを一口当たりに直し
ますと、4,076円の残高に相当します。
次に10頁に参ります。表の一番下をご覧下さい。2022年3月末入居率は97.0%でした。
2022年9月末の入居率は94.2%を見込んでいます。これは、先ほども説明しましたように、
比較的大口のテナントの退去が、いくつか想定されていることが主な要因ですが、これに
対しては、機動的、且つ、柔軟なリーシング戦略によって、出来るだけ早期に埋め戻しを
図っていきたいと思っています。
次に11頁をご覧下さい。この頁では、少し時間をかけて分配金の増減要因を丁寧に説明
してまいります。今期2022年3月期の決算ですが、1番左と2番目の緑色の棒グラフの
比較になりますが、2021年9月期と比較して既存ビルの賃料共益費は42円の減と若干の
減少ですが、ほぼ同水準でした。その他賃貸事業収益については、解約違約金、原状回復費
相当額の一時的な収入増、水道光熱費の収入増がありプラス231円、賃貸事業費用は管理
業務費、水道光熱費、修繕費が増加して504円の減少となっています。ここでは修繕費の
増加が大きな要因になっていますが、これは、前期の修繕費が非常に少なかった為に反動で
大きな差異として現れている側面が強く出ています。従いまして、正常の状態に戻りつつ
あるということになります。又、水道光熱費は、収入、費用とともに増加しておりますが、
この期の後半、つまり、年明け以降のエネルギー価格上昇の影響を受けたことが、主な要因
です。外部成長は、新規に取得したグランフロント大阪、大手町ファイナンシャルシティ
ノースタワーが寄与しまして、174円の増加となっています。名古屋御園ビルの売却に
ついて内部留保などを除いた紺色の部分の552円を分配金に上乗せして、2022年3月期の
分配金は11,400円となっています。次に2022年9月期の予想について説明します。
これは左から2番目と3番目の棒グラフの比較になります。先ず、既存ビルの賃料共益費
は、先ほども説明しましたように、比較的大口のテナントの退去がいくつか見込まれており、
777円の減少となっています。その他賃貸事業収益は、水道光熱費の収入増を引続き織り
込んではいますが、解約違約金、原状回復費相当額が、前期からの反動減によって減少する
ということで164円の減になる見込みです。賃貸事業費用は、水道光熱費の増加と原状
回復費の減少など見込んで、168円減としています。外部成長ですが、3月末に新規取得し
た豊洲フロントの通期稼働がプラスに寄与しますが、5月末に売却予定の晴海センタービル
の賃貸利益が剥落し、更に、グランフロント大阪、大手町ファイナンシャルシティノース
タワーの固都税発生による費用増加などを差し引いて、38円の増加を見込んでいます。
晴海センタービルの売却益については、内部留保などを除いた1,566円を分配金に上乗せ
して、2022年9月期の分配金は11,500円とする想定です。最後に、2023年3月期の予想
について説明します。右の2本の棒グラフの説明になります。既存ビルの賃料共益費に
ついては、引続き前期の大口テナント退去の通期寄与もあり、144円の減を見込んでいます。
賃貸事業費用については、修繕費の増加が影響しまして144円の減。外部成長は、晴海
センタービルの売却の通期影響により43円の減少となる見込みです。そこに内部留保から
1,389円を取崩して上乗せし、2023年3月期の分配金は11,000円の想定としています。
この内部留保の取崩し額についてですが、2期先のことでもあり、この期に物件の売却が
発生するようであれば、内部留保をさほど取崩さずにすむ可能性もあります。この辺りは
見通しが若干流動的な想定である点を、ご承知頂きたいと思っております。
外部成長について説明を致します。13頁、14頁は、夫々グランフロント大阪、大手町
ファイナンシャルシティノースタワーの説明がありますが、これら2物件の取得について
は前期に説明しましたので、割愛を致します。
15頁をご覧下さい。2022年3月に豊洲フロントの24%相当分を225億円で三菱地所より
購入しました。皆様ご存じのように豊洲は、湾岸エリアの中でもオフィスなどのビジネス
施設に加えて、商業とか住宅も含めた多様な都市機能が集積している地区です。その中でも
本物件は、豊洲駅から連絡通路が敷地内まで伸びており、雨に濡れずに建物に入れるという
利便性の高いビルになっております。
次に売却物件についてです。16頁をご覧下さい。左側の名古屋御園ビルの売却は前期に
説明しましたが、今月末に右側にあります晴海センタービルを売却することを決定致し
ました。鑑定評価額よりも33億円高い価格での売却となります。晴海センタービルの売却
と、先ほど説明しました豊洲フロントの取得というのは、金額的にはほぼ同規模になります。
JREのポートフォリオには、晴海エリアに他に晴海フロントという物件がありますので、
今回の入替えによって、湾岸エリア内での立地分散化というものが、上手く図れたのでは
ないかと考えています。
続きまして内部成長です。18頁をご覧下さい。先ず、左上の入居率の推移をご覧下さい。
2022年3月末の入居率は97.0%という数字です。グラフの端が少しだけ上がっていますが、
これは前期末に比べて0.5%の改善になります。右上のテナント入替え率のグラフですが、
解約と埋め戻しの増加によって上昇しています。一方で、下のグラフの折れ線をご覧頂き
ますと、これは賃料単価の変化率を表しているものですが、2020年3月期をピークに減少
傾向が続いていましたが、当期の数字は91.9%と100%割れになってしまっています。
これは返室された賃料単価に比べて、新たに貸し付けたスペースの賃料単価が低くなって
いることを意味しますが、補足しますと、この期に関しては返室されたスペースが都心の、
比較的単価の高い物件が多かったのに対して、貸し付けられたスペースが地方物件、言い
換えますと、単価がもともと低い物件が多かったと言うようなこともあり、非常に低下率が
低く表れておりますので、この点も考量してご覧頂ければと思います。
続きまして19頁、賃料改定の状況です。左上の賃料改定の推移をご覧下さい。増額の賃料
改定は、2年前から徐々に減少しているということが、ご覧頂けると思いますが、今期も
全体での増額は維持しております。右上の増減額割合をご覧頂いてもお分かりのように、
減額割合は少数に留まっておりますが、緑の増額の割合は徐々に減少していて、グレイの
据置きの割合が多くなってきているということがお分かり頂けると思います。
続きまして20頁、ここでは月額賃料の前期比増減の要因分析をしております。先ほどから
説明しておりますように、軟化しつつある賃貸マーケットの環境下ですが、テナント入替え
で12百万円の増加、これは左側の緑とオレンジの長い縦棒で示されております。それから
真ん中の背の低いグラフで表示されておりますが、賃料改定で4百万円の増加を実現して
おります。右側は外部成長ですが、取得と譲渡のネットとして121百万円の増加となって
います。尚、今までの内部成長の説明の際の数値に関しては、18頁の入居率の数字を
除いては、全てグランフロント大阪を除いている点にご注意を願います。この物件は、複数
のオーナーによる共有物件であり、全オーナーからの開示承諾を得られていないため、
このような扱いにしています。もしこの物件のデータが数値に反映出来たとすれば、全体の
月額賃料は、プラスに影響しますので念のために付言させて頂きます。
22頁をご覧下さい。査定賃料、賃料ギャップの推移についての説明です。左側の3つの
グラフは、ポートフォリオ内の各ビルの査定賃料の変化を表しています。対象物件64件中
27物件で据置き、37物件で下落となっています。特に都心5区で下落傾向の物件が多いと
いうことがお分かり頂けると思います。これに伴いまして、右側のグラフで説明しており
ますように、賃料ギャップも縮小傾向にあります。改めて説明しますと、賃料ギャップと
言うのは、実際の賃料収入額から査定収入額を引いた数値ですので、賃料ギャップが
マイナスということは、まだ増額改定の余地が残っていることを示しているわけですが、
ご覧頂いてわかるようにその乖離率はマイナス3.3%と非常に小さい数字になっています。
言い換えると、増額の賃料改定は以前に比べると難しくなってきているということです。
環境としては、寧ろ、引き留めを含めた入居率重視のリーシングが、重要な局面であろうと
いうふうに考えております。
続きまして財務戦略です。25頁をご覧下さい。ご存じの通り日本では引続き低金利が
続いておりますので、リファイナンスによる金利コストの低減と言うものが継続して
います。そして、下のグラフでご確認頂けますように、返済期日も十分に分散された状態を
保っております。
26頁をご覧下さい。LTVも非常に低い水準を保っておりますので、右下にあるように、
引続き高い格付けを維持しています。尚、上のグラフの濃い緑の折れ線グラフはLTVの
水準を示しておりますが、最終が43.5%になっております。これは、決算ハイライトの頁
でも説明しましたように、この5月末に晴海センター譲渡分の資金を使って、借入金を
返済しますので、それによって今月末には42.0%まで低下する見込みです。
30頁までお進み下さい。ポートフォリオの概況です。ポートフォリオの物件の鑑定評価額
ですが、含み益が前期に比し253億円増加しまして、当期末で含み益率は31.6%となって
います。これは、売買マーケットの市況が反映されて、多くのビルで査定CAP-Rateが低く
なったことが主な要因です。
最後はESGです。32頁をご覧下さい。冒頭でも少し触れましたが2020年に発表しました
CO2排出量削減目標、これは当初より早く達成される見込みになりましたので、2022年
3月に新しい目標を策定しました。当初の目標ではCO2排出量原単位で2030年度に35%
削減するとのことでしたが、新たな目標では排出総量を2030年度には80%削減、そして
2050年度に実質0 (Zero)と設定しています。尚、この目標は国際的な共同イニシアティブ
であるSBTiに申請済みです。併せて右側ですが、再エネ電力のRE100については2,030
年度に90%導入を、更に2050年には100%導入を目指しています。
次の33頁をご覧下さい。今後優先して取り組むべきESGの重要課題を明確化するために
マテリアリティを策定しました。この策定にあたっては、有識者からもご意見や助言を頂
いて纏めています。ESGと言うと、とかくEの環境にフォーカスが当たりがちですが、
ご覧頂けますようにこのマテリアリティでは、Sのソーシャル、Gのガバナンスについても
具体的なKPIとともに方針、目標を設定しています。
次の34頁では具体的な事例の紹介です。大同生命新潟ビルでZEB、ZEBとはNet Zero
Energy Buildingの略称ですが、ZEBの認証の一つであるZEB Readyを取得しました。
これはJREの東五反田一丁目ビルディングに続きまして、JREのポートフォリオにおいて
は2棟目の取得となります。今後もKPIの達成に向けてZEB化の取り組みを継続して
いきたいと考えています。それからページの下にありますように、2021年11月に3本目
となるサステナビリティ・リンク・ローン(SLL)による資金調達を実施しています。今後
もタイミングを計りながらSLL、或いは、グリーンボンド等資金調達面でもESGの取り
組みを進めてまいりたいと思います。
最後に37頁をご覧下さい。前任の梅田の時代に続いて来ましたゴルフコースを舞台にした
イラストですが、この頁はどうなるのかという声をお聞きしまして、それを踏まえて今回は、
締めくくりとしてこのような図柄にしました。このイラストが示唆することは特にあり
ませんが、敢えて申し上げるとすれば、グータッチで右の梅田からバトンを受けた私が
ゴルフウエアではないというところだと思います。それ以上の意味は特に含めており
ませんので悪しからずご容赦頂きたいと思います。
私からの説明は以上です。ご清聴、有難うございました。