日本ビルファンド投資法人 2021年12月期決算概要

日本ビルファンド投資法人

2021年12月期(第11期)決算説明 動画配信説明書

動画 https://www.irwebcasting.com/20220216/3/9c11c0be00/mov/main/index.html

資料 

https://www.nbf-E8%AA%AC%E6%98%8E%E4%BC%9A%E8%B3%87%E6%96%99.pdf

説明者 日本ビルファンドマネジメント株式会社

     代表取締役社長 田邉 義幸

説明

皆さんこんにちは。日本ビルファンドマネジメントの田邉でございます。

ひと月前に、新規の物件取得と公募増資による日本ビルファンド投資法人の新たな成長に

ついて説明をさせて頂いたところではありますが、その発射台となる2021年12月期の

決算が固まりましたので、ご報告させて頂きます。前回と同様Web-Siteを通じての説明

とさせて頂きますので、宜しくお願い致します。

先ず、資料の3頁、当期の決算ハイライトをご覧下さい。当期の決算では、予定通り

飯田橋グラン・ブルームの取得を完了し、又、御茶ノ水、中野坂上、ウニックスの3物件の

売却を実施したことにより、増収、増益、増配の決算で終えることが出来ました。

一口当たり分配金にしましても、11,848円と前期比で164円のプラス、今年1月の

公表よりも348円のプラスとなりました。次期2022年6月期、2022年12月期に

つきましては、夫々13,000円、11,500円を予定しています。

5頁をご覧下さい。2つの棒グラフは、日本ビルファンド投資法人が投資主価値の向上に向けての重要な指標と考えております一口当たり分配金、及び一口当たりNet Asset Valueの

直近3年間の推移を表しております。両指標とも前期比プラスでの落着とすることが

出来ました。引き続き、長期的な安定成長を目指してまいりたいと考えております。

それでは6頁以降で、当期の決算実績を説明させて頂きます。

6頁は各期の物件の移動状況を整理して有りますので、これについては後程ご確認を

お願いします。

次に7頁で損益決算書をご説明させて頂きます。

比較損益計算書の赤枠の中が当期、2021年12月期当期の決算数字となります。

当期の営業収益は503億3,400万円、前期比41億2,100万円、8.9%の増収です。

営業利益は203億400万円、前期比2億2,500万円、1.0%の増益。

当期純利益では、217億2,700万円と前期比で3億円、1.4%の増益となりました。

これに、内部留保を21億4,800万円積み立て、分配金総額は195億7,800万円、

一口当たり分配金は、前期比164円増の、11,848円となります。

では、頁右側の増減要因の説明をさせて頂きます。

先ず、営業収益の増収、41億2,100万円の内訳ですが、ベースとなる不動産賃貸収入は、

6億9,000万円の減収です。内訳は既存物件で8億7,400万円の減収、入れ替え効果で

1億8,400万円の増収となりました。その他賃貸収入で3億3,500万円増収していますが、

こちらは、水光熱費等の季節要因によるものです。これに不動産等売却益が、前期比で

44億7,600万円加わり、営業収益は大きく増加をしています。

営業費用38億9,500万円増加の要因ですが、こちらもNBF御茶ノ水ビルの売却による

不動産売却損32億3,500万円の影響が大きいわけですが、加えて季節要因による

水光熱費の他、記載をしております各要因によるプラス・マイナスが含まれております。

結果として、営業利益は前期比2億2,500万円の増益となりました。

物件売却益、売却損と、それに伴う圧縮積立金の組み入れ、取り崩しが発生しております

ので、分り難いところではありますが、ポートフォリオの入れ替え効果を含め、増収、増益、

増配の決算となっております。

続いて8頁で、貸借対照表について、簡単にご説明します。

左側の比較BSの赤枠が当期末の数字となっています。

2021年12月末の資産合計は、前期末より0.1%増の、1兆3,068億となりました。

先ず、資産の部ですが、

2物件の取得、及び3物件の売却により、固定資産が198億円増加しています。

又、現・預金が180億円減少しておりますが、これは新規の物件取得資金に充当した

ことによります。純資産の部ですが、前期の圧縮積立金21億円の増加により、純資産では、

24億円増加致しました。

以上が、バランスシートのご説明になります。

それではNBFの今後の運用方針についてご説明をさせて頂きます。

11頁をご覧下さい。左側で内部成長、右側で外部成長を纏めております。

先ず、賃貸マーケットの動向についてですが、2020年からの新型コロナウイルス感染症の

影響を受けて、企業の意思決定の遅れや、新しいオフィスの使い方の模索という動きが生じ、

賃貸マーケットにおけるリーシング活動は、一時的に停滞をしておりました。仲介会社の

三木商事のデータによると、2022年1月末時点の東京ビジネス地区の空室率は、6.26%と

底打ち感は出てきましたが、オフィス賃貸マーケットの回復は当初の見込みより、

1年程度後ろ倒しになっており、今後の見通しについても、オミクロン株の感染状況等を

考慮し、本格的な回復にはもう少し時間が掛かる前提で計画を立てております。一方で、

昨年後半からのワクチン接種率の向上により、オフィスへの出社の再開、企業業績の回復に

伴う経済の活性化も始まっており、NBFにおいても、大規模な床のリーシングが決まる

など、企業の意思決定に、再開の動きが出てまいりました。

23年の東京都心部におけるオフィスビルの大量供給のご指摘もございますが、供給よりも

経済活動の再開による需要の回復が進むことの方が、大きな課題と認識しております。

新型コロナウイルスの影響が収束していく過程で、東京都心部を中心に、新しい働き方の

コアとなるオフィス床の確保や、移転の動きは再開されると考えております。その中で、

都心部を中心としたハイスッペクオフィスへの選好はより高まるものと

考えています。このような環境の中で、NBFの内部成長につきましては、経済活動の

再開に合わせて、スポンサー三井不動産の営業力を生かした後継テナントの誘致を

加速させるとともに、需要の厚い東京都心部のポートフォリオとテナント分散を生かし、

稼働率の安定を確保していきたいと考えております。

NBFの稼働率としては、2022年6月期を底として、巡航水準としては97%台の稼働率を

目指していきます。又、不動産賃貸収益について、稼働率から遅れること1期、

2022年12月期には底を打つとみていますが、暫くの間は、この後ご説明します外部成長に軸足を移す方針です。

次に外部成長ですが、オフィスの売買マーケットは堅調に推移しています。これは、良好な

金融環境、日本のクレジットボラティリティの低さを背景に、外資系ファンドを中心とした

国内外の多様なプレイヤーが、投資意欲を高めていることによると考えております。

このような環境の中、強固なパイプラインを持つNBFとしては、資産の入れ替えを

含めたポートフォリオの強化と質の向上を図っていく好機だと捉えています。

NBFとしては、内部成長から、入れ替えを含む外部成長に軸足を移しつつ、継続的な

成長を図っていきたいと考えています。

次の頁以降で、NBFの入れ替え戦略についてご説明をさせて頂きます。

12頁をご覧下さい。

NBFはポートフォリオの競争力強化の観点から、昨年の3月以降、総額で約3,000億円の

資産の入れ替え進めてまいりました。

左側の上段が、取得物件の概要。下段が、譲渡8物件の概要となります。資料の中央に

合計欄を設けておりますので、そちらをご覧下さい。

取得金額の合計が1,740億円、譲渡金額の合計が1,240億円と、大規模な入れ替えの中で、

500億円規模でのアセットサイズの成長も図りました。又、資産の入れ替えについては、

ポートフォリオの競争力強化という観点から、NOIの実額、NOI利回り、エリア、

環境性能と様々な要素を踏まえて実行しております。本取り組み前後の指標の変化に

ついては、NOIの実額が年間で31億円上昇し、NOI利回りも譲渡物件の平均3.3%に対し、

取得物件の平均は、3.9%と大きく改善致しました。又、働き方改革が進む中、アクセスの

良い都心の物件や、共用スペースが充実した物件が選ばれる傾向にありますが。

ポートフォリオ全体としても、新しい働き方との親和性を一段高いものにすることが

出来たと考えております。

更に、環境性能におけるCO2排出量原単位も改善するなど、あらゆる面で

ポートフォリオのクオリティの向上を実現しています。尚、資料の右下にありますが、

財務面ではLTVが41.6%となり、運用の目途としていますLTV46%までの借りれ余力は

1,090億円に拡大致します。

それでは、今回の取得物件について説明をさせて頂きます。

先ず13頁ですが、中之島三井ビルディングです。

こちらは、三井不動産の大阪における旗艦物件となります。取得価格は440億円となり、

NBFにおいても地方、特に、大阪エリアの旗艦物件として、競争力のある物件が取得

できたと考えております。写真にもありますように、2019年に大規模なリニューアルを

行い、コミュニティスペースやコ・ワーキングスペースを複数揃え、多様な

ワークスタイルをサポートできる物件となっております。

次に14頁、飯田橋グラン・ブルームの追加取得を掲載しております。

こちらは、昨年9月の取得に引き続き2回目の取得となります。今回も同じく三井不動産

からの取得となりますが、この取得によってNBFの持ち分は58.55%となり、

メジャーシェアを得ることが出来ました。又、取得価格の合計も1,138億円と、NBFの

ポートフォリオにおいて、新宿三井ビルディングに続く2番目の大きさとなり、NBFを

代表する物件となります。

続きまして内部成長のご説明です。

15頁の期中平均稼働率と入居率・退去率のグラフをご覧下さい。

上の赤い折れ線がポートフォリオの期中平均稼働率、下の棒グラフは、各期6ヶ月間の

入居、或は退去したテナントのポートフォリオ全体の面積割合を表しています。

先ず、棒グラフの方をご覧下さい。入居・退去の状況について説明させて頂きます。

当期の退去率は、大型テナントの退去などにより3.3%となる一方、入居率は、新型コロナ

の影響で、企業の意思決定に時間を要していることもあり、2.4%に留まりました。結果、

期中の平均稼働率は、前期より1.4%マイナスの96.4%となりました。

次期2022年6月期には、比較的大型のテナント退去が予定されていることもあり、

退去率は4.6%と高めの見込みとなっています。

一方、退去の先行に伴い、入居面積の4.7%に増加していますが、この中には昨年後半に

決定した大型テナントの稼働開始が含まれております。

又、2023年の大量供給に向けての新規供給のリーシングが始まることが想定されますが、

賃貸マーケットの需給は、供給の上昇よりも需要の状況に左右される要素が大きく、

NBFの保有する物件については、オフィスに期待されるニーズが多様化していくなかに

おいても選ばれるオフィスであるというふうに自信を持っております。NBFの

ポートフォリオの稼働率については、2022年6月期の96%を底として回復し、

2022年12月期には96.7%、その後は巡航稼働率として97%台での運用を目指して

いきます。

続いて16頁で既存物件の賃貸収入の推移についてご説明をさせて頂きます。

黄色い折れ線グラフは既存物件だけの賃貸収入の前期比変動率を表しており、棒グラフは

それを2つの要素に分解したものです。青色の棒グラフは継続入居テナントの賃料改定に

よる収益変動を表しています。賃料改定については、当期においても同額改定を応諾頂く

件数が多いものの、個別に契約安定を目的とした減額改定の対応を行ったケースもあり、

トータルでは若干のマイナスとしていますが、今回の業績予想においても、増額改定の

効果は、ほぼゼロ、若干のマイナスとしておりますが、ビルごとにメリハリをつけた

契約改定協議を進めていく方針です。一方、緑色の棒グラフの方は、テナントの

入れ替わりによる影響等、賃料改定以外の全ての要素が含まれています。今回の

業績予想では、次期2022年6月期まで稼働率の低下を織り込んでいる影響に加え、

新規テナントの入居時に、フリーレントを従前より長めに見込んでおり、既存物件の

不動産賃料収入は、2期先、2022年12月期までの減少を想定致しました。

次に17頁をご覧下さい。こちらにCAPEXと修繕費を合計した工事費の推移について

グラフ化をしおります。修繕費の増減や、CAPEXの金額については、ご質問を受ける

ことが多いので、こちらのページを新たに作成致しました。

期によるバラつきは、緑色の貸付整備等の工事の影響が大きいことが、お分かり頂けるかと

思います。これはテナント退去時の原状回復工事を、NBF側で解約金と受領したうえで

実施し、会計上は両建てになっているものが多く含まれています。加えて、LED工事や、

テナントの退去時のタイミングで、Value-up工事を積極的に行ったことによるものです。

2022年6月期は、品川、渋谷の稼働時期に合わせた原状回復、貸付整備工事が含まれて

おりますので、100億円を超える水準となりますが、その後は、各期60億円程度の

工事金額に落ち着く予定です。

続いて18頁にお進み下さい。当期末の財務の状況についてです。

当期は、有利子負債の残高に変動はありませんでした。

右上のファイナンスデータにある通り、期末のLTVは42.1%、長期固定金利比率は95.1%、

平均調達金利は0.47%、平均残存年数は5.76年と、引き続き保守的に運用をしております。

又、下の棒グラフは、期限の分散を表すグラフでありますが、今後の各年の返済予定金額と

その金利水準を棒グラフの上に表しております。今期の調達により、マテュリティラダーも

一層平準化しましたし、当面は借り換えによる金利コスト削減も継続する見通しです。

続いて、19頁で継続鑑定評価についてご説明致します。当期の継続鑑定評価では、左上の

表にあります通り、その総額が1兆5,882億円となり、含み益としても、170億円増加の

3,144億円となりました。物件ごとの状況については、左下の表になりますが、

キャップレートでは1物件で低下、72物件で現状維持と、ほぼ横ばいです。

鑑定評価額自体は13物件で減少していますが、これは工事費を見積もった将来の

Cash-flowの微調整によるものです。

続いて、21頁で業績予想についてご説明をさせて頂きます。

濃い赤枠が2022年6月期、右側オレンジ枠が2022年12月期の業績予想となります。

先ほど、内部成長のところでご説明させて頂いた通り、両2期とも既存物件では、賃貸収入の減少と、内部成長はマイナスになる見込みです。一方で不動産売買マーケットの活況は

継続しており、物件の入れ替えに伴う譲渡益については、今の状況が継続している間は、

内部成長の減少を補うために活用していきたいと考えています。

今回は売却益の1部を分配することとし、2022年6月期は13,000円、2022年12月期は、

11,500円を予定しております。分配金の内訳につきましては、22頁に図解をして

おりますので、ご確認をお願い致します。

次に23頁をご覧下さい。内部留保、及び譲渡益の活用方針についてご説明をさせて

頂きます。

物件入れ替えのところでもご説明致しましたが、今回8物件の売却に伴い、

2022年12月までに約140億円の内部留保を積み立てることになります。NBFとしては、

積み立てた内部留保、及び今後の譲渡益については、安定したDPU、NBFの成長のために、積極的に活用していきます。

先ず、当面の分配方針ですが、一口当たり分配金の下限を、不動産賃貸マーケットが

落ち着き、成長局面を迎えるまでの当面の間、目標DPUを11,500円とし、譲渡益を除く

DPUが11,500円に満たない場合は、内部留保の取り崩しや、譲渡益を活用し分配して

いきます。又、中・長期的には、Value-up工事や、ESG工事も積極的に行い、

ポートフォリオのクオリティの強化を目指しておりますが、その際の配当原資としても

活用していきたいと考えております。今後、具体的なプロジェクトの進捗状況に合わせ、

次のステージにおける新たな配当水準目標についても、取り纏まり次第報告させて

頂きたいと思います。

次にNBFのESGへの取り組みについてご説明させて下さい。

資料の方は少し飛びますが、40頁、41頁に、今期のハイライトを乗せています。

41頁に、今回新たな取り組みとして、マテリアリティを設定しました。又、環境面で

KPIとしては、CO2排出削減目標を、2013年度対比で、2030年までに40%まで削減する

という従前の目標を、国の基準と同様46%まで引き上げました。水使用量のKPIに

ついては、2019年対比で2030年までに5%の削減を、リサイクル率については、65%と

高い水準を維持することを目標に掲げました。そのほかグリーンビルディング認証に

ついては、新規で取得する物件も含め100%取得することを、グリーンフィナンスに

ついては、年間100億円以上調達することを、新たなKPIとして設定しております。

最後になりますが、新型コロナウイルスによる影響に関しては、3回目のワクチン接種が

進捗し、蔓延防止等措置が解除される中で、企業活動が早期に正常化することを期待して

おります。

NBFとしては、予定されているテナントの退去が一段落し、後継テナントのリーシングが

従前のように開始する中で、稼働率については2022年の上期が底、不動産賃貸収入に

ついては2022年下期を底に、回復に向かうと見ています。難しい事業環境が、もう少し

続くかと思いますが、これまでご報告した通り、NBFの持つポートフォリオの強靭さは、

一時的な混乱も、長期的なマーケットの変化に対しても、十分に対応出来るものと確信を

しております。NBFとしては、今までにも増して、あらゆる引き出しを活用し、投資主の

皆様の期待に応えて行きたいと考えております。

私からの説明は以上になります。本日は有り難うございました。