森トラスト・ホテルリート投資法人 2022年8月期決算概要

森トラスト・ホテルリート投資法人
2022年8月期(第13期)決算動画説明書
動画   https://www.net-presentations.com/3478/20221021/njiJsad/
資料   
http://mt-hotelreit.jp/file/ir_library_term-5fe73e1c00d9821e2ba402ade928dd800d5954d7.pdf
説明者  森トラスト・ホテルリート投資法人 執行役員 兼
森トラスト・アセットマネジメント株式会社 代表取締役最高執行責任者 兼
ホテルリート運用本部長 坂本 周
説明
新型コロナウイルスが流行し始めてから早2年半以上が経過し、その過程で変異株の流行
による感染が繰り返されて来ました。直近の第7波のピーク時においては、厳しい行動
制限があるにも拘わらず、過去最大の感染者数、死亡者数となったことは、皆様ご存じの
通りです。又、外国から日本への入国についても、これまで日本政府は、他の先進国と
比べても厳しい水際対策を取ってきましたが、それでも結果的に、米国、英国を上回る感染
者数が観察された時期もあり、その対策の効果に疑問の声が出ておりました。こうした状況
の中で、最近、国内での感染状況が落ち着きを見せ、諸外国の多くの国々で行動規制、水際
対策が大きく緩和され、更にこれらの国々で規制緩和後の感染が、必ずしも拡大していない
状況を踏まえ、日本政府は今月になって実効的な規制緩和に踏み出し、コロナ禍以前の状況
に回復していくことが、多くの投資家様に現実的に感じられる状況となりました。具体的に
は10月11日から入国者数の制限撤廃や、個人観光旅行の解禁など、コロナ対策の水際
措置が大幅に緩和されるとともに、国内では全国旅行支援がスタートしました。岸田首相
からは、大阪万博が開催される2025年とターゲットに、我が国の観光を持続可能な形で
復活させるために、新たな観光立国推進基本計画を、今年度末までに策定するように指示が
出ております。欧米、豪の先進国では一足先に海外旅行に関わる規制緩和が進み、その結果、
マリオットインターナショナルやヒルトンワールドワイドといったグローバルチェーン
ホテルにおいては、強力な行動規制を敷いている中国を含めた、ワールドワイドのデータに
も拘わらず、4月から6月までの第2四半期の段階で、既に、19年RevPAR比2~3%減の
レベルまで回復していることに鑑みると、今回の規制緩和により、いよいよ日本でも本格的
な回復を、現実的に織り込める環境になってきたと考えています。森トラスト・ホテル投資
法人のポートフォリオは、アッパークラスのインターナショナルブランドホテルを中心と
しているが故に、この水際規制の撤廃の効果を、より大きく受けると考えています。本日
現在では、まだ規制緩和が始まったばかりであるため、KPIの改善を具体的にお示し
出来る状況ではありませんが、例えば、10月11日の規制緩和が発表された9月26日前後
の外国人による新規予約数を比較した場合、9月26日以降の3週間での新規予約数は、
その前の3週間と比べ3割以上多くなっています。又、インバウンドによる集客増のみ
ならず、国内旅行に関しては、政府による全国旅行支援に加え、円安による日本からの
アウトバウンド旅行客が、国内旅行に回る効果さえ期待出来る状況ですので、この秋以降の業績回復を非常に期待しています。
それでは、森トラスト・ホテルリート第13期決算について説明致します。
先ず、決算概要につきまして6頁をご覧下さい。一口当たり分配金は2289円となり、今年
6月に公表しました業績予想に比べて100円のプラスとなっております。頁右側の上段に
第13期実績と予想の主な差異、前年同期である第11期実績との比較を載せております。
第13期に予想は、6月時点で期間中の各月の賃料実績を把握したうえで開示しているため、
不動産賃貸事業収益にかかる業績予想との差は、コートヤード2物件にかかる最低保証
賃料部分が主なものです。コートヤードについては、当期の賃料計算にかかる期間は5月
までですが、最低保証賃料の計算には、6月の賃料実績まで含める計算式となっており、
業績予想の段階では,まだ6月の実績が判明していなかったために、最低保証賃料の差異が若干出ております。最低保証賃料の計算ルール、対象期間については、本資料14頁に
別途記載されておりますのが、第14期に計上される6月の営業実績に基づく月額賃料は、
当初予想より上振れた場合には、第13期に計上される最低保証賃料の額が減り、逆に月額
賃料が下振れした場合には、最低保証賃料の額が増えることから、当期13期につきまして
はこのような結果となりました。又、加えて、コートヤード東京につきましては、8月に
プレスリリースしております通り、1年前と同様、借入れに関わる契約に基づく財務制限
条項の解消を目的として、所有権の一部を森トラストに売却し、売却益として約46百万円
を計上しており、これにより、一口当たり分配金ベースで約90円のプラス効果が発生し
ました。
それでは続きまして、先ほど触れましたコートヤード東京の一部売却について、次の7頁
で説明致します。1年前にも同様の取組みを行っており,目的は財務制限条項抵触状態の
解消です。本投資法人では、固定賃料や最低保証賃料スキームが、1円たりとも減額される
ことなく、有効に機能しておりますので、実際の元利払い、所謂、アクチュアルでのDSCR
は、相当余裕がある状態ですが、レンダー様との契約上定められているストレスシナリオ
におけるDSCR基準に抵触しておりますので、この状態を解消したものです。解消のため
の手段は複数ありますが、投資家様を含めた関係者への説明という観点からも1年前と
同様の手段、即ち、売却益計上による当期営業利益の嵩上げという方法を取りました。前回
はこの目的のために持分5.5%の売却を要しましたが、今回は、この1年間の営業状況の
改善もあり、1%の売却で充分であったため、1%を鑑定評価額に基づき、スポンサーの森
トラストに売却しました。さて、本件売却による第14期以降の分配金への影響につき
ましては、売却時のプレスリリースでもご案内しましたが、コロナ禍発生前の巡航レベルの
分配金で試算した場合、分配金全体の約0.2%程度、1年前の5.5%の持分売却の累計でも、
1.3%に止まり、現実的な最低年間分配金水準として示しております、年間2,900円程度の
分配金は維持される見込みです。
8頁をご覧下さい。変動賃料の対象物件となっております4物件の営業状況について、
個別に説明致します。本ページでは変動賃料の対象となっております物件の各月の状況を
示しておりまして、左半分が前年同期である第11期、右半分が当期の第13期となって
おります。先ず、一番上のシャングリラにつきましては、右側に記載の第13期の賃料算出
基準期間は、昨年11月から今年の4月までとなり、賃料はホテル全体の売上高に連動して
算出されます。RevPARはある程度この賃料の額に連動するため、ここの賃料の推移を見て
頂くことにより、シャングリラの回復トレンドを推測することが可能です。RevPAR等の
KPIについては、サブテナントであるシャングリラさんの承諾が得られていないために、具体的な数字を開示していませんが、シャングリラ・アジア・リミテッドという当ホテルの
親会社が、今年の1月から6月までの上半期の業績を8月に開示しておりまして、それによりますと、RevPARは昨年上半期の$91から、今年は$171となり、80%以上上昇して
いることが示されています。これは、主に稼働率が23%から47%に改善したことによる
業績改善で、当該決算資料上は、客室単価は下がっていますが、これはこの資料上ドル建て
で換算し記載され、為替レートの強烈な変動の影響を受けているためであり、実際の日本
円ベースでは、客室単価も向上しておりますし、RevPARはもっと上昇しております。日本
国内では6月以降、観光目的での外国人の入国が認められましたが、パッケージツアー等
に限定されており、観光目的での個人旅行が認められておりませんでした。シャングリラの
ゲストはパッケージツアーで来るゲストは多くないと思われるため、レジャー客について
は、10月11日以降が本来の入国規制緩和と思われます。レジャー客の収入増加は、シャン
グリラに関しては、今月以降来年にかけて本格的に期待出来るものと考えています。
次の9頁では、前年同期比ではなく、第12期と第13期を並べて記載し、1年を通した
データをご確認頂けるようにしておりますが、これを見るとシャングリラについては、今期
の方が、少し賃料が減っています。2月期と8月期の、各期間に含まれる営業月の質的な差
もありますが、前回の決算説明会でも申し上げた通り、第12期に含まれる昨年8月および
9月の賃料算出基準月の収入は、昨年の東京オリンピックのキャンセル料等生じた特殊な
ものであり、RevPARベースでいえば、第11期、第12期、第13期と、徐々にではあり
ますが、沈むことなく回復を継続していることを加えさせて頂きます。
それでは次にヒルトン小田原の業績について説明致します。10頁をご覧下さい。頁右下に
参考として表で記載しておりますように、第13期の賃料算出基準となるホテル営業期間は、
2021年の1年間となります。今年4月の第12期決算説明会の時点で、当期の第13期賃料
が確定しておりましたので公表致しましたが、同様に、現時点で翌第14期の賃料も確定し
ておりますので、第13期賃料と併せてここに記載しました。第14期は2022年1月から
3月のまん防期間を含んでいるにも拘わらず、月額賃料30百万円を回復しました。因みに
本物件のコロナ前の営業状況に基づく賃料は、33百万円程度でした。頁左下のグラフを
ご覧下さい。2019年以降、月ごとのホテルの売上高を棒グラフで示しておりまして、青の
棒が2019年、水色が2020年、緑が2021年、そして赤が2022年の売上高となります。
青の棒と赤の棒を比べて頂きますと、まだ青の2019年レベルには届かないものの、今年に
入り、ずっと回復状況が継続していることがわかります。これには、今年4月に開始された
旅行支援策である神奈川旅割が貢献しています。その結果、宿泊部門だけでいうと、2022年RevPARは、2019年レベルをほぼ回復しており、6月以降は、毎月2019年実績を
上回っております。一般宴会を含む料飲部門は、最近でも2割近くピーク時よりも売上が
下がっています。新しい施策として、レストランの屋外テラスにおいてBBQが楽しめる
ガーデンテラスBBQを7月27日からオープンしました。これにより日帰り客を取り込む
とともに、宿泊者の食事の選択肢を増やすことで、館内での滞在完結に貢献し、料飲部門を
回復させていきたいと考えています。
続きましてコートヤード東京です。11頁をご覧下さい。コートヤード東京の第13期の賃料
算出基準期間は、昨年12月からの半年間になります。この期間中、当初はオミクロン株の
感染拡大、更にはまん防期間となったこともあり、変動賃料はほとんど発生しない状況と
なりました。その結果、最低保証賃料スキームの発動により、森トラストから237百万円
の賃料を追加で受領しております。まん防が明けて、海外からの入国者数の上限緩和が進む
につれ、5月以降変動賃料が発生する状況となってきました。10月11日から全国旅行支援
が始まり、環境としては追い風となりますが、当ホテルにおいてはそれ以上に、外国人の
入国にかかるストレス緩和による、海外からのビジネス客増加に期待をしております。元々
当ホテルの顧客セグメントは、80%がインバウンド客で、ビジネス客が中心でした。この頁
の上の表に、今年の3月から9月までの、当ホテルの宿泊実績における外国人比率を、
参考情報として記載していますが、夏休み期間となる8月を除いては、急ピッチで外国人
割合が増えています。前回の決算説明会において、今年前半の実績で、10%程度の外国人
割合と申し上げていましたが、前月の9月には50%を超えてきており、10月は17日まで
の途中経過ですが、60%を超える水準となっています。又、外国人宿泊者数の2019年との
比較でも、4月には10%程度であったところ、9月には46%程度まで回復してきました。
コロナ禍発生以降は、ほぼなくなったインバウンド需要を埋めるために、営業体制の国内へ
の振り分けなどの施策を取ってきましたが、今後は海外旅行者を中心とした、顧客属性に
移行していきますので、月を追うごとに、当ホテルの本来のプロファイルに戻ることを想定して、マネジメントを行っていきます。
最後にコートヤード新大阪です。12頁をご覧下さい。当ホテルもコートヤード東京同様、
第13期は、昨年12から今年5月までのホテル営業実績が反映される期間となります。
下のグラフをご覧下さい。コロナ禍発生以降、当ホテルは毎月の変動賃料を殆ど発生しない
状況となりましたが、下のグラフで赤の棒フラフを見て頂くとお分りの通り、まん坊解除後
の3月以降、毎月変動賃料が発生する程度には回復してきております。しかしながら、赤い
折れ線グラフで表示される2022年のRevPARと、青色のグラフで表示される2019年を
見て頂くと、コロナ禍前の状況には遠く及ばず、その結果、コートヤード東京同様第13期の
今後についてですが、大阪マーケットは、元々厳しいマーケットではあるものの、2025年
の大阪万博までには、元の水準に戻ると考えています。コートヤード大阪はレジャー客が
多く、又、日本人ゲストも多いことなど、コートヤード東京と顧客プロファイルが異なり
ます。又、部屋数も倍以上ありますので、取るべき営業戦略が異なってきます。多様な営業
チャンネルを効率的に用いて、顧客を取り込んでいかなくてはなりません。9月はブロック
割の大阪いらっしゃいキャンペーンの効果もあり、2019年RevPAR比で、50%以上まで
回復しました。国内レジャー客獲得には、政府の旅行支援策の活用は極めて重要です。今後
は、インバウンド客を取り込むため、コロナ禍発生以降中断しておりましたB to B営業も
再開します。海外レジャー客による本格的な回復は年末以降で、来年春の春節が、大きく
回復するタイミングと考えています。更に、来年春以降の引合いが活発化してきている、
欧米客のツアーオペレーターへの営業も再開し、幅広くインバウンド客の取り込みに注力
していきたいと思います。海外からの個人客については、MARRIOTT.COMからの集客が効果的ですが、個人旅行が本格化するのはX’mas休暇以降だと考えており、2023年の本格
回復に向けて営業施策を打っていく所存です。尚、足元の状況では、外国人比率は9月実績
で12%程度、10月1日から17日の実績で17%となり、徐々にですが増えてきており、
その殆どがビジネス需要です。10月11日からの緩和では、レジャー客の個人利用がより
促進されますので、今後より一層外国人比率が増してくるものと考えております。
次に鑑定評価について説明致します。13頁をご覧下さい。鑑定評価については、5物件
合計の当期末評価額は1,234億円となっており、所有物件の合計値としては、前期末とほぼ
同額となりました。CAP-Rateにつきましては、直接還元法、TCF法とも、前期末から変化
はありません。評価額に変化があった物件について補足しますと、シャングリラについては、
固都税算出上の土地価格が時点申請により変わり、税額が減少したため、不動産評価額は
1億円の増額となりました。ヒルトン小田原は、足元の状況が改善していることから、その
影響を受けて1.5億円評価額が上昇しております。コートヤード東京については、持分1%
を売却した分が評価額に反映されているだけで、評価そのものについては変更がなく、単純
に1%分減額されています。
続きまして、第14期の業績予想について説明致します。14頁をご覧下さい。第14期の
業績につきましては未定とさせて頂き、最低保証賃料スキームに基づく賃料補填まで含め、
第14期の収益状況がほぼ見えてまいります今年12月中を目途として、業績予想を発表
させて頂き宇予定です。
続きまして15頁で財務の状況を説明致します。デット調達の基本方針は、従来と殆ど
変わりませんが、リファイナンスのタイミングで、七十七銀行様に新規レンダーとして加
わって頂いており、返済期限の来た短期借入金のうち、5億円を長期に振り替えました。
これでレンダー数は10社となります。有利子負債借入金に変化はありません。
最後にESGに関して」、若干説明致します。25頁をご覧下さい。当期の取組みとしては、
前期の説明会で申し上げておりました気候変動関連リスクおよび機会に関する4項目に
ついて開示を行いました。又、2022年GRESBリアルエステイト評価を取得し、昨年同様
Ratingについては3—Stars、開示評価についてはA評価を得ました。今後もGR&ESBに
ついては、評価とコストのバランスを取りながら、評価取得を継続していきたいと考えて
います。先期の第12期の取組みにおいて、昨年末にサステナビリティレポートを作成して、
投資法人のHPにて開示しました。当期は7月に最新版を発行し、今後毎年7月に改訂版
を発行することと致しました。
決算説明会としての報告は以上です。
(最後に坂本執行役員退任の挨拶および後任の相沢氏の紹介)