大江戸温泉リート投資法人 2022年5月期決算概要

大江戸温泉リート投資法人
2022年5月期(第12期)決算動画信説明書
動画  https://www.irwebcasting.com/20220721/1/05c00653a1/mov/main/index.html
資料 
https://oom-reit.com/file/ir_library_term-36b32fac50c19d1be6aef969c9121c9ba856770e.pdf
説明者  大江戸温泉リート投資法人 執行役員、
     大江戸温泉アセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 今西 文則
説明
大江戸温泉リート投資法人第12期の決算説明を始めさせて頂きます。
本投資法人を取り巻く外部環境は、コロナ禍が継続する中でテナントであるスポンサーの
状況は、このところ稼働は改善しつつありますが、まだまだコロナ前までは戻らない中で、
ホテルセクターにおける資金調達環境の厳しさも継続し、多くの人々が一時的と考えて
いた危機の長期化という状況の中で、尚も正念場が続いていると言えます。尚、今回は、
今年2月にスポンサーの株主が、ローンスターファンドに交代してから初めての決算説明
会の開催となります。後程、説明の中で申しますが、本投資法人が現在抱える課題、その
最大のものは、ホテル系セクターに対する厳しいクレジット環境の中での、借入金の条件
悪化への対処であると考えています。この課題については、ローンスターグループとも共有
し、その抜本的な解決に向けてどのような対策が可能か、更には、本投資法人のクレジット
を考える際に、最重要なテナントであるスポンサーの状況改善に向けた議論をしており
ます。即ち、コロナからの回復と成長の再開に向けた取組みにおいて、例えば、施設の
バリューアップに向けて、施設の賃貸人である投資法人としての立場から、どのような対応
がありうるのかなど、Win-Winの関係を前提とする様々な議論がスポンサーとの間で継続
しています。こうしたスポンサーとの協議結果も含め、本投資法人の抜本的な対策について
は、いずれ明確な戦略とプランを決定し、皆様にもお知らせしていくことになりますが、
まだ具体的にお話出来るところまで来ていないため、本日は、皆様には漠然とした話に
ならざるを得ず、大変恐縮出すが、何卒ご理解を賜れればと存じます。そうした状況の中で
今回は、業績予想の公表について、従来の2期間ではなく、1期間のみの発表とさせて頂き
ました。重ねて皆様のご理解を得られれば幸いです。
先ず、決算ハイライトから説明申し上げます。3頁をご覧下さい。重要な指標である一口
当たり分配金は、2022年5月期については、1,521円とさせて頂きました。これは前期比
ではマイナスですが、今年2月に公表しました予想に比べますと、鑑定費用やIR費用等の
経費が、当初予想比で減少したことや、借入金の手元資金による一部返済などによる融資
関連費用の減少により、92円の上振れとなりました。一方、2022年11月期の予想に
ついては、借入金のリファイナンスサイクルが喚起化したこと等による融資関連費用の増加などを見込み、前回予想に対して60円下方修正し、1,420円とさせて頂きました。冒頭
申し上げましたように、今後の取組みについての検討を、スポンサーも交えて行っている
ため、この予想、今回は予想を控えさせて頂いた2023年5月期に向けては、今後変化の
可能性がありますが、今回の発表にあたっては、現状のポートフォリオにおける賃貸収入、
ならびに、既存借入金のデットコストの想定などに基づいて作成しています。ご覧のように、
コロナ危機が始まった2020年以降、従前の分配金の水準から、かなり低下してきています
が、その要因は、端的に申し上げますと、変動賃料の剥落、並びに、借入金のコストの増加、
本年1月の長崎物件の売却ということになり、その減配の要因は、ほぼ全てコロナ禍の
影響によるものと言っても差し支えないかと思います。このように足元の状況は厳しい
ものの、中期的にはテナントの温泉ホテル事業のコロナからの回復と成長の再開とともに
本投資法人の資金調達環境の改善を図れれば、再びAUMの拡大とDPU増加への軌道に戻ることが出来ると考えており、環境の回復を待つだけではなく、主体的に可能なアクション
についても検討していきたいと考えております。
4頁をご覧下さい。一口当たり分配金の増減要因を、所謂、ウォーターフォールチャートで示し
ております。2022年5月期では、長崎の売却を主因とする営業収益の減少と金融コストの増加に対して、不動産売却益に加え、減価償却費や経費の低減により、ある程度リカバリー
をしたという結果となっています。又、2022年11月期については、売却した長崎物件の
賃料の剥落が6ヶ月フル寄与となること、並びに、不動産売却益の剥落、借入金の短期化に
伴うリファイナンス関連コストの増加などが、主な要因となっています。
次に5頁をご覧下さい。ここで、新株主の登場によって進行しつつある事柄と、本投資法人
の課題の解決や、今後の成長にも影響するいくつかのポイントについて、検討の大枠も混ぜ
て説明を致します。ご案内のように、本年2月にローンスターファンドが、スポンサーで
ある大江戸温泉物語グループの100%株主となり、その後スポンサーレベルでは、新株主の
下で、当面の収支計画の見直しや、中長期計画、今後行っていくべきアクション等について、
足固めの守りと、前向きの攻めの両面での検討が進んでいます。本投資法人の全ての保有施設のテナントでもあるスポンサーの業況とクレジットの向上は、投資法人の借入金のリファイナンスの条件改善や、中長期的な財務の安定性強化に向けての最大の要素であると言えます。先ず、新株主への交代に伴い、スポンサーは増資により資本を増強し、負債の圧縮を行いました。コロナ禍が始まって以降過去2年間、厳しい稼働状況を余儀なくされましたが、スポンサーではレンダーの協力を受け、追加の借入金等で対応してまいりました。そうしたこともあり、増加した借入金を圧縮し、増資が行われたことは、これまでのコロナによる負担を、新株主が吸収したとも考えられ、負債比率を引下げ、財務の健全化に一定の
寄与がなされたことは、私共、投資法人側としてもポジティブに捉えています。そして、
スポンサーでは、新たな資金調達の枠組みの基、アフターコロナに向けた施設のバリュー
アップや、コロナ禍で止まっていた新規出店を再開するために、投資も想定しているとの
ことです。一方でコロナ禍は3月以降も継続し、依然として中期的な感染拡大も見られ、
最近では第7波といった声も聞かれます。こうした中、毎月の開示でお知らせしています
ように、足元の稼働は回復基調であることは間違いないものの、スポンサーの第一四半期に
あたる3月から5月は、依然厳しい状況であったことも事実です。そうした状況の基、
コロナの今後の動向も見通しし難い中、本投資法人としては着実に、且つ、早期のテナント
業績の回復を期待しつつ、ポートフォリオ物件も含むバリューアップ投資など、テナントの
前向きなアクション計画が出現し、再成長に向けた歩みが促進されるよう賃貸人の立場で
協議を継続しています。スポンサーとの大きな協議のテーマは、本投資法人の課題の解決
に向けた能動的な対策についてです。現状における投資法人の最大の課題は、金融コストの
低減と、財務の安定化に向けた借入金利ファイナンスへの対応であり、リスク対応と前向き
投資のための手元資金の拡充を、どう図るかということと考えています。又、繰り返しに
なりますが、本投資法人のクレジットの のためには、テナントであるスポンサー自身の早期の業績向上と、前向きなアクションの再開が重要で、それは同時に中長期的な賃料収入の
確保に向けての重要な要素ともなります。現時点で、検討、協議の内容についての具体的な
ことを、申し上げられる段階に至っておりませんが、可能性としてはポートフォリオの物件
移動を伴うようなアクションや、短期、並びに、中長期に亘る賃料の在り方、変動賃料の
位置付けの再検討を含む、賃料体系についてのテーマなど、聖域なく議論の対象となります。
この頁中段に記載しておりますのは、スポンサーが計画、検討中であるアフターコロナに
向けての前向きの施策です。先ほども申し上げましたが、既存施設での更新投資と収益性
向上のためのバリューアップ投資、そして新規出店の再開が見込まれます。そして、賃料の
在り方という点については、当面のコロナ禍と、その回復期を踏まえて、施設収益の安定的
な成長を促しうる賃料体系の在り方として、変動賃料をどう活用するか、環境悪化の際の
テナントの支払い能力と好調時のアップサイド、この両面を想定した、固定賃料と変動賃料
の構成の在り方と言ったこともテーマとなります。勿論、高い固定賃料割合は、本投資法人の安定性を支える特徴であり強みです。一方で、今回のコロナ禍のように長期化する危機に
際して、テナントの柔軟で前向きなアクションを可能にする対応力、並びに、支払い能力と
いう観点からは議論が必要ですし、今後の再成長の過程における、賃料アップサイドの強化
ということも、視野に入れた議論が必要だと考えています。こうした、検討、協議について
はまだ少々時間を要する見込みであり、現時点では抽象的な説明になり申し訳ありません
が、危機乗り切りと中長期的な投資主価値の向上、この一点に依拠して鋭意検討を進めて
まいります。
次に6頁をご覧下さい。私共が保有する大江戸温泉物語の施設も含め、ホテル業界における稼働率は、2021年春以降、小さい波を繰り返しながらも着実に回復基調にあります。
とは申せ、まだまだコロナ前の水準には届かず、更に、こうした回復には、県民割などの
公的な補助金政策、キャンペーン等のサポートがあり、自立的な本格回復にはまだまだ
力不足ということも出来ます。ただ、他のホテル業態との比較では、グラフにあります
ように、安、近、短で、国内近隣需要を捉える大江戸温泉物語の施設は、比較的優位に回復
を遂げつつあると思っています。足元ではこれから夏休みシーズンを迎え、コロナ前の水準
の稼働率も期待できる状況となってきており、業界全体では、漸くインバウンドの再開と
いうこともあり、ファンダメンタルズは、コロナ禍3年目にして何とか改善しつつあると
考えています。
次の7頁には、コロナ禍に突入して以降のADRとRevPARの推移をグラフにしており
ます。稼働率は大きく落ちたわけですが、ADRは比較的確保できていることが確認頂ける
と思います。これは決して値下げに依存した集客ではなく、固定客からご信頼を得ている
品質とイメージを維持しつつ、更には県民割等のキャンペーンのサポートもあって、比較的
客単価を維持して来たためであると分析しております。尚、業界全体として、足元夏場に
掛かり、又、拡大しているコロナの検査陽性者数の問題、言われている第7波のことが気に
かかります。しかし、これは、私の個人的見解ですが、重篤化するリスクや死亡リスクは
相当低下してきており、これまでのところ政府なども、極端な報道制限等の実施は必要ない、
との見方が大勢ですので、人々のw/Coronaに対する適用ということもあり、人流の改善
傾向は続くのではないかと思います。
8頁をご覧下さい。先ほどから、財務における課題が当面の最大のものであるとお話しして
まいりました。長引くコロナ禍において、シンジケートローンにおける一部レンダー様から
のリファイナンスが難しく、主力先であるSMBC様などのサポートを得ながらも、昨年11
月には全借入れを自発的に有担保化、更に本年1月には長崎物件を売却し、借入金残高の
圧縮を行ってきました。特に2021年以降は、ホテル系セクター全般に対するクレジット
環境がより厳しなっていることや、特に本投資法人にとっては、テナントでありスポンサー
である大江戸温泉物語グループの株主交代があり、市場でその噂が出た時期以降、不透明感
が増したという事情もあったかと思います。更に、今後、新株主の元での新たな政策が
具体化するまでの不安感なども、要因の一つとなりうることは致し方なく、当面はリスクを
認識しつつ対応することは必要と考えます。勿論、スポンサーにおいては、新株主の元で、
アフターコロナに向けた様々な前向きの取組みが進んでいますし、本投資法人との協議も
進行中であることは既に説明した通りです。主要としては、短期化した借入金のDuration、
増加した融資関連コストなどご覧の通りですが、LTVは大きく低下し、前期末では帳簿
価格ベースで34.2%、時価ベースでは30%を割り、29.6%となっています。いずれにせよ、
当面の最大の課題が、財務面の改善であると思っています。
9頁により詳しく財務のトピックを掲載しています。左上には負債の平均残存期間とアップ
フロントフィーを含めた、借入金のオールインコストをグラフにしております。このオール
インコストの上昇に加えて下段にありますように、前期以降、リファイナンスサイクルの
短期化もあって、融資関連費用を含めた総コストの、借入金平均残高に対する比率、所謂、
実効レートとでも言える指標が、上昇していることが分ります。又、右上は長期借入金比率
ですが、これは、1年以内返済予定の分も含んでおりますので、実質的には今後1年以内に
全借入についてリファイナンス時期が到来致します。ただ、敢えて申しますと、このデット
コストについてはDPU減少の大きな要素ではありますが、コロナ危機により発生したもの
であって、それが回復を見せれば、早期に従前のレベルに復帰するとは、大いに期待できる
ことであり、見方を変えれば、今後のアップサイドになりうると考えています。因みに、
レンダー様との約束である財務コベナンツにも余裕はあります。今後は新株主迎えた
スポンサー、並びに、主力銀行様を初めとするベンダー様のサポートを受けつつ、早期の
回復を図るべく努力をしてまいります。
10頁には、借入先別の構成と借入金の明細を記載しております。今後の課題としては、
更なる借入金の分散、新規レンダーの獲得ということになります。その点では、5月末に、
大垣共立銀行様に、新たにレンダーとして加わって頂きました。地方に展開する私どもに
とって有力な地域金融機関様との融資取引のスタートは、借入先の多様化という点も含め、
有り難い成果の一つです。
11頁をご覧下さい。先ほどLTVとコベナンツについて触れましたが、この頁にLTVと
DSCRの推移を、IPO以降の長期の時系列で記載させて頂きました。LTVは、時価ベースでは、前期末で30%を割る水準となり、DSCRもコロナ危機下にあっても、これまでの
ところ4倍以上を維持しております。
以上でハイライトのパーツを終わりまして、13頁から決算および予想のご説明を致します。
先ほど申し上げましたように、2022年5月期の一口当たり分配金は、2月に修正公表した
予想に比べて92円上振れ、1,521円で着地致しました。前期比増減で申しますと、トップ
ラインについては、賃料は、第一賃料、第2賃料とも前期比低下したのは、1月に売却した
長崎物件の賃料収入の欠落によるものです。変動賃料については、前期に引き続き発生基準
に満たなかったため、0(Zero)となっております。その結果、賃貸事業損益は前期比
マイナス54百万円となりました。又、長崎の売却益として16百万円を計上しています。
販管費では、システム関連費用やIR関連費用が、予想より少なく済んだこともあり、営業
利益は前期比34百万円の減少、予想に対しては14百万円改善しました。5月末の
リファイナンスが確定し、金融関連費用が予想より若干改善したことで、経常利益は予想比
ではプラス21百万円、前期比では38百万円減の354百万円で着地しております。尚、
資本的支出は、予想よりは削減しましたが、IPOから5年が経過したことに伴う、一部
物件のERの再取得による是正行為の発生で、207百万円と前期比では約60百万円の増加
となりました。
次に14頁をご覧下さい。先ほどお話ししましたように、課題解決のための抜本的対策や
スポンサーとの協議を継続しており、業績予想についても、今後決定される施策によっては
変動の可能性があるものの、ここでの予想はそうしたことを織り込まず、現時点での諸条件
を前提とした予想となります。前期比では、本年1月に売却した長崎物件の賃料収入の
減が、6ヶ月間のフル寄与となること、並びに、売却益が剥落することで、営業収益で35
百万円のマイナス、賃貸事業利益段階では18百万円の減少を見込んでおります。尚、変動賃料は計算対象期間が、昨年9月から本年8月までの12ヶ月間であり、昨年から本年前半
におけるコロナの影響により、発生はなしと想定しております。2月に公表した予想との比較では、一部物件での熱交換機等の更新投資に伴う除却損の影響で、賃貸事業損益では
約180万円の低下となります。この結果、営業利益は前期比で約34百万円の減少となり
ます。更に、経常利益段階では、金融関係費用について予想値の前提に比べて、本年5月の
リファイナンスで3ヵ月の短期ポーションが出来たため、リファイナンスサイクルが短期
化したことによる融資関連費用の増加等を反映して、前回予想から14百万円下方修正させ
て頂きました。この結果、誠に遺憾ながら、一口当たり分配金の予想は、本年2月の予想を
60円下方修正し、1,420円とさせて頂きました。資本的支出は、前期より約36百万円の減
で、172百万円を想定しております。
次に16頁をご覧下さい。ここからは、回復と成長に向けた戦略などについてお話致します。
この回復に向けたイメージチャートは、前回の説明会資料でもお見せしましたが、現時点は
県民割やGo Toによるキャンペーンの後押しもあり、国内客の本格的な回復のスタート
時点にあるとイメージしております。又、徐々にではありますが、インバウンドの回復の
兆しも見えてまいりました。足元では、コロナの第7派と言った話もありますが、先程私の
個人的見解としてお話ししましたように、今のところ政府も、極端な外出自粛と言った、
賃料抑制の対策は取らないのではないかと予想し、全体としての回復の流れは、継続するの
ではないかと期待しています。大江戸モデルは近隣からのお客の集客が中心であり、手頃で、
気軽にリピート出来る施設というのが強みですので、先程お目にかけた稼働率のグラフで
も、他のホテル業種よりは比較的優位にあり、強みを発揮しつつあると言えるのではないかと考えています。
次に17頁は外部成長に関して纏めています。先ず、当面の課題は、本投資法人の資金調達
環境の改善であり、ファイナンス面を視野に入れる必要がありますが、それを前提とした
外部成長ということについて、投資対象となる案件、パイプライン物件についてお話し致し
ます。先ず、スポンサーにおいては、近年の新規オープン施設を中心として、多くの潜在的
投資対象が存在し、数も増えつつあります。又、スポンサーの新株主の元では、既存施設に
対する更新投資や、安全強化の対策、収益性向上のためのバリューアップ投資などが検討
されているほか、新規出店の投資再開という方針も聞いておりますので、ますますパイプ
ラインとしては充実していくものと期待しています。更に、本投資法人のもう一つの重要
課題である、ポートフォリオ分散に必要なマーケットからの物件取得、これについても引続
きソーシング活動を積極的に行っており、当面は外部のプレイヤーとのコラボレーション
によるブリッジスキームの活用などが中心ですが、来るべき外部成長の再開に向けて投資
対象は十分に見込める状況になります。こうしたスポンサー以外の物件に対する投資を、
相対的に増やしていきつつ、将来的にポートフォリオをバランスの取れた形で拡大して
いくことについては、スポンサー側の理解も得ており、今後は、温泉という特徴を活かし
つつも、多様化を図っていくことが長期的な目標となります。
18頁をご覧下さい。内部成長についての基本的な考え方はこれまで通りですが、これから、
新たに検討していく可能性のあることについて、いくつか申し上げますと、先ず、変動賃料
の活用ということがあります。本投資法人の強みと安定性を支えるものは固定賃料であり、
これまでもそうでしたし、基本的に今後も固定賃料は、賃料収入の柱として安定性を支える
ものとなります。一方で、長引くコロナ禍を経験し、それから、これから紆余曲折があると
しても、基本的に回復、再成長へと向かうホテル業界や、温泉業界のトレンドは間違いなく、
そうした中でのアップサイドの享受を、より多く実現できるような変動賃料の活用ということに、これまでより、少し比重を置いていきたいと考えています。一般的な意味で、
テナントサイドからは、コロナ危機を経験し、費用の固定化を防ぐための変動賃料化の要求
も強まってきています。長期の賃貸借を前提とする私共の投資対象においては、長期に亘るテナントの成長と安定をサポートしつつ、賃料収入の確実な確保と、アップサイドの実現を
期待できる賃料体系が必要であり、安定化と成長要素というバランスの加え、オペレーター
の、収益構造の健全性も大切であると考えています。こうした観点も踏まえて、今後新規で
取得する物件については特にですが、柔軟な思考の元で、テナントとは協議をしていきたい
と思います。尚、中段の囲みに記載しましたように、今後のマーケット需要の回復は、
大いに期待でき、現行の変動賃料の復活も、少しタイムラグはあるものの期待は出来ます。
そして、中期的にはポートフォリオの多様化や規模拡大が前提とはなりますが、
インバウンド需要の取込みや、多様な用途のアップサイドの実現に向けて、取り組んでいき
たいと考えています。一番下の囲みの記載は、保有施設のバリューアップのポテンシャルに
ついて触れています。投資法人としての内部資金を、こうした成長投資に振り向けるために
は、繰り返しにはなりますが、当面の資金調達環境の改善が、先ず必要ながら、テナントは、
独自のバリューアップ投資について計画・検討しており、本投資法人も、賃貸人の立場で
コラボしていきたいと思っています。
19頁は、財務戦略について基本方針を纏めています。基本的な方針としては、LTV40%を
目安とすることなど、これまでと変更はございません。一方で、当面の方針としては、
これまで厳しい借入金のリファイナンス環境に対応し、リスクを軽減するためにLTVは
引下げてまいりましたが、この先も、こうしたリスクの解消に目途が付くまでは、更にLTV
の低下は必要かもしれません。これは、拡大する将来のデットキャパシティを活かした、新たな内部成長への基盤を固めるということかと思います。具体的には、自発的とはいえ
有担保化した借入金の無担保化、借入期間の長期化とコストの削減、これらは今後の成長の大前提となるだけでなく、DPU改善のドライバーともなる要素です。
20頁には、これまでも記載してまいりました本投資法人の投資対象について、記載して
おります。温泉・温浴施設をコアとするユニークさ、もの消費から、こと消費の流れに
沿った成長ポテンシャルの高いマーケットの投資する余暇活用型施設への特化と言う点は本投資法人の特長であり、特に中長期的に発揮される強みになると考えております。一方で
今回のコロナ禍を経験しつつあるなか、あまりにセクター特化していることの集中リスク
といったことも、思い知らされているというのが実感であり、今後は基本的な特徴や強みを
損なわない範囲で、投資対象の拡大ということも、視野に入れることも必要であると考えるに至っております。これはアフターコロナを見据えていく中での、本投資法人の大きな課題
の一つであり、金融商品としての一定以上の規模、具体的には上場時価総額ということに
なりますが、これを達成するためにも、ある程度対象を拡大したポートフォリオ工程が必要
ではないかとも考えています。
22頁から24頁にかけては、これまでも掲載してきましたマーケット統計やアンケート
調査の結果です。今後アフターコロナが訪れた時に、どのようにこれらの指標が変化して
いくのかは、大変興味深いところです。
22から23頁は、ご参考までにということで飛ばさせて頂き、24頁をご覧下さい。
先ず、大きなトレンドである日本国内、並びに、海外も含めた消費生活におけるサービス
商品、言い変えれば、こと消費への比重の増大は、コロナ禍を経ても変わらず、寧ろ
コロナ禍で抑圧されてきた消費者のニーズが、今後浮き出してくる可能性もあります。勿論、
このところのインフレのように、消費者の生活が厳しさを増しているのも事実ですが、
そうした中で、所謂、安・近・短の大江戸モデルのような気軽なレジャーというものは、
支持される余地があるのではないかと考えます。勿論、コロナ禍にあっても、堅調を維持
しているラグジュアリーな富裕層向けのレジャーも強いとは思っています。ここで1点、
特に申し上げたいのは、右上のチャートです。これは令和3年9月の内閣府による調査の
結果ですが、現在の生活におけるレジャー・余暇生活に対する満足度についての調査で、
不満、やや不満が合わせて半数を超えています。このことは、レジャー施設の供給側から
見て、まだまだ多様なニーズに対する改善の余地も大きいこと、それは即ち、成長の余地ということになるのではないかと思います。コロナ後では、夫々のライフスタイルにおける
変化もあるとは思いますが、こうした基本的なニーズは、引続き持続するのではないかと
考えます。後半は、少し長期的な路線からポテンシャルといったことを中心に、話させて
頂きましたが、やはり、当面の課題はコロナの乗り切りです。こうした中、一旦しゃがんだ
のち、中長期的な回復と成長を実現するために、努力していきたいと思いますので、どうぞ
皆様のご理解とご協力をお願い致します。尚、前回までは本編で触れておりましたいくつかの資料を、今回はAppendixに組入れております。少しだけ触れさせて頂きます。
28頁にはポートフォリオの一覧を付けております。長崎の物件売却により取得価格総額は
344億円となりました。これに対する期末の鑑定評価総額は約378億円であり、ポート-
フォリオ全体のNOI 利回りは、12期の実績を年換算して6.7%、減価償却後では4.2%と
なっております。
次に飛びまして、30頁には鑑定評価の一覧があります。一部の変動要素について説明致し
ますと、レオマ、あたみ、土肥、あわらの4件についてはIPOから5年が過ぎております
ので、順次ERを取り直すこととなり、その結果、長期更新修繕計画の見直しを行ったこと
で、それが鑑定評価に反映されたものです。尚、あたみについては、増加額が大きいですが、
温泉を汲み上げる源泉地の持分、正確には鉱泉地の持分ですが、これをテナントである
大江戸温泉物語から取得したことによって、全体の評価が上がったという要素も含んで
います。その結果、5月末の帳簿価格との比較では、所謂、含み益が53億円となっており
ます。この含み益を換算した本投資法人の期末現在のNAVは、111,000円です。
ここまでご清聴有り難うございました。
最後に、今回の説明会は、コロナ禍の収束が、今だ、不透明な中、スポンサーに新株主を
迎えて、今後の施策につき色々検討中ということもあり、業績予想も含めて皆様には、
ご不満もあることと拝察致します。このところの分配金の低下基調に関しても、改めて
お詫びを申し上げます。今後、新たな計画等が固まりましたら、改めてご報告をさせて
頂ければと思っております。前回の説明会でも、コロナ乗り切りの正念場と申し上げた記憶
がありますが、マーケット環境は、徐々にではありますが回復を見せており、あと暫くの
辛抱ではないかと、自らに言い聞かせております。どうぞ皆様には状況をご理科頂き、
見守って頂ければ大変幸いでございます。本日は、有難うございました。