ヘルスケア&メディカル投資法人 2024年1月期決算概要

ヘルスケア&メディカル投資法人
2024年1月期(第18期)決算動画説明書
○動画  https://www.video-streaming.net/ir/3455/2024_01_18/
○説明資料
https://hcm3455.co.jp/file/term-a495e50564b61b9a06a382e6b24db28cbfbc0e71.pdf
○説明者 ヘルスケアアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 吉岡 靖二
○説明 
HMCはJ-REIT唯一のヘルスケア専業リートとして、2015年3月の上場来、厳選したオペレーターが運営する高齢者施設や病院不動産に継続的に投資し、その安定的な運用に注力しています。本日はHMCの2024年1月期(第18期)の決算、並びに、第19期、第20期の業績予想、そして足元のマーケット環境に即した運用戦略や、ESGの取り組み状況についてご説明させて頂きます。

資料の2頁をご覧ください。第18期のハイライトです。先ず、業績面です。当期中に新たな資産の取得や売却はなく、営業収益は横這い。一方、費用面では減価償却費などの賃貸事業費用が増加しましたが、想定外の大きな支出は特段ございませんでした。この結果、一口当たり分配金は、3,235円と前期比では減少したものの、予想通りの着地となりました。又、一口当たりNAVは135,954円で、6期連続の上昇となりました。財務状況ですが、期末に既存の借入金72.5億円のリファイナンスを実施しました。長期金利の上昇傾向が続く中、本件リファイナンスに際しては、借入金の長期固定化および返済期限の分散というこれまでの基本方針を継続しました。尚、JCRの長期発行体格付けは、A+で変更ございません。次にポートフォリオの運用状況です。期末時点の資産規模は、48物件792億円です。当期中の増減はありませんでした。一方で鑑定評価額の上昇に伴い、含み益は115億円、含み益率は14.7%に拡大しました。又、ポートフォリオの稼働率は、今期中も100%を維持し、テナントの解約や賃料の減額、支払い猶予は一切ありませんでした。

3頁です。第19期の期初に、既存のパイプラインの中から北海道と大阪の高齢者施設、合わせて5物件を取得致しました。各物件の概要につきましては、後ほど改めて説明致しますが、取得価格は総額23.9億円で鑑定評価額の約95%、平均鑑定NOI利回りは5.5%で、既存ポートフォリオと同水準です。尚、取得資金は新規借入金で賄いました。本件、追加取得によるHMCのポートフォリオは、53 物件816億円に拡大しました。又、オペレーターは新たに東証グロース市場に上場のサンウェルズが加わり、全部で17社となりました。

7頁をご覧ください。決算の中身をもう少し詳しく見てまいります。A列が前期、第17期の実績、B列が昨年9月に公表した第18期の予想、そして、その右のC 列が第18期の実績値です。第18期はポートフォリオに変化はなく、トップラインの営業収益は2,438百万円と横這い、費用面では減価償却費やエンジニアリングレポートの更新等に関わる調査費が増加したほか、一部の施設で設備機器の更新に伴い除却損を計上しましたが、全体では計画の範囲内に収まりました。これらの結果、当期純利益は1,049百万円、一口当たり分配金は予想と変わらず3,235円とさせて頂きました。

8頁は第18期の分配金の増減をブレイクダウンしたものです。第17期実績比では、保険金収入の剥落や固定資産の除却損といった要因を除くと、減価償却費と調査費、営業日数の違いによる支払い利息の増加が、分配金減少の主な要因と言えます。

9頁です。B列が昨年9月に公表済みの第19期の前回業績予想、C列が今回公表する新しい予想値です。先ず営業収益ですが、期初に取得した物件からの賃料収入が寄与し、前期比75百万円の増収を計画。一方、費用面では、資産規模の拡大に伴い、賃貸事業費用が増加するほか、新規の長期借入および既存の短期借入の長期化により、金融コストが増加します。これらの結果、当期純利益はほぼ横這い、一口当たり分配金は、前期と同額の3,235円を計画しています。D列は、今回新たに公表する第20期の業績予想となります。あくまで新たな資産の取得や売却がないという前提で、営業収益は横這い、費用面では減価償却費や資産運用報酬の増加に加えて、当期に開催予定の投資主総会に関わる費用や支払い利息等の増加を見込んでいます。これらの結果、一口当たり分配金は、現時点では3,175円を予想しています。

次の10頁は、第19期並びに第20期の予想分配金の増減のブレイクダウンです。投資主総会関連費用等の一時的な支出を除くと、減価償却費および金融コストの増加が、分配金を押し下げる要因となっています。当社としては、物件の組入れによるトップライン収益の増強、金利環境に即した柔軟な資金調達、そして各種経費の更なる見直し等により、分配金の引き上げを目指してまいります。

11頁です。グラフの通り一口当たりNAVは、順調に推移しています。引き続き中長期的に安定的な分配と、NAVの伸長を目指してまいります。
次に運用状況です。

13頁はポートフォリオハイライトです。こちらには第18期末、つまり2024年1月末時点と、5 物件取得後の3月末時点の主なデータを示しています。3月末時点の資産規模は53物件816億円に拡大、平均鑑定NOI利回りは5.5%、3大都市圏比率は81.4%と引き続き高い水準を維持しています。

14頁は継続鑑定評価の概要です。第18期末時点の鑑定評価額の合計は895億円、前期末時点と比較して、同じ48 物件で7億円上昇致しました。個々に見てみますと、48物件中15 物件で上昇した一方、12 物件で下落しました。下落した大きな要因は、茲許の物価上昇を反映して、修繕費やCAPEX等が見直しされたことによるものです。尚、CAP-Rateは16物件で10ベーシス低下し、一方で上昇した物件は0、全物件の平均は4.6%となりました。

15頁です。鑑定評価額の上昇に伴い、ポートフォリオの含み益は着実に拡大しています。第18期末時点の含み益は115億円で、含み益率は14.7%となりました。
16頁をご覧ください。HMCの大きな特徴の1つは、その長期安定的なキャッシュフローです。私どもは、木目細やかな事業デュー・デリジェンスおよび継続的なモニタリングを通じて、オペレーター 並びに施設の運営状況をしっかりと見極め、安定的なポートフォリオの構築に努めています。事業デュ-・デリジェンスに際しては、オペレーターの業歴・業用や財務内容、事業モデルはもとより、コンプライアンス面の取り組み、人材の採用・育成方針、ICT化をはじめ業務の効率化に向けた施策などについても、経営陣や施設長らとの定期的な面談を通じて確認しています。

当社では社内に専門部署を設置、こうした事業デュー・デリジェンスやモニタリングのほか、ヘルスケア業界の調査分析などを行っています。HCMが現在保有する物件のオペレーターは、全部で17社です。シェア別では、スポンサーのシップヘルスケアグループのグリーンライフおよびグリーンライフ東日本が、合わせて23.2%でトップ、これに業界大手の損保ケアやベネッセスタイルケアが続きます、医療法人共和会はHCMの中核物件の一つ、千里中央病院のオペレーターです。HCMが対象としているのは、必ずしも全国展開している有名大手ばかりではありません。規模が小さくても、しっかりとしたビジョンを持ち 特徴あるビジネスモデルを持って 地域で高いプレゼンスを発揮しているオペレーターは少なくありません。そのような優良なオペレーターを見出し、紹介することも専業リートとしてのHCMの役割と考えています。HCMはオペレーターとの間で、原則、賃料固定、長期の賃貸者契約を結んでいます。2024年3月時点でオペレーターとの契約は、全て固定金利で、契約の平均残存期間は11.8年、契約期間が2025年9月までに到来するのは、まどか南浦和と損保ケア損保の家狭山の2 施設です。両施設とも安定稼働しており、現時点では現契約の規定に従い、3年間の自動更新となる見込みです。

又、17頁の通り、実際の賃貸面積を賃貸可能面積で割り算した稼働率は、上場来、概ね100%を維持、個々の施設の入居率も、平均90%前後で安定的に推移しています。尚、茲許の急激な物価上昇によるオペレーターの業績への影響についてですが、現状、HCMのポートフォリオにおいて、事業収支や賃料負担力も含めて、特段懸念が生じているオペレーターや施設はございません。

続いて19頁、財務状況です。先ず、環境認識ですが、日本銀行による金融政策の見直しに伴い、足元、長期金利の上昇傾向が続いています。一方で、レンダーの融資姿勢に今のところ大きな変化は見られません。当社としては、金利動向に留意しながら、原則として、長期固定と返済期限の分散を通じた、中長期的な財務の健全性を確保しつつ、一方で分配金への影響も考慮しながら、バランスのとれた財務運営を継続していく方針です。

LTVについては、引き続き50%を目処にコントロールします。又、スポンサーの三井住友銀行を中心としたバンクフォーメーションを維持しつつ、借入先の分散も検討してまいります。直近の取り組み状況ですが、第18期末に既存借入金72.5億円のリファイナンス、続いて第19期の期初に、物件取得資金として25億円の新規借り入れを行いました。いずれもソーシャルローンによる調達で、長期固定化、期限の分散といった従来の方針を継続しました。又、この3月の期限が到来する短期借入金20億円については、長期に乗り換えた上で。金利の固定化を図る予定です。これらの結果、3月末時点の有利子負債は総額416.5億円、平均残存期間は3.4年、LTVは総資産ベースで50.1%、時価ベースで44%となる見込みです。

20頁をご覧下さい。銀行団に新たにあおぞら銀行が加わり、借入先は全部で16社となりました。
次は外部成長の取り組みです。22頁をご覧ください。HCM はこれまで3度の公募増資を経て、そして、この度新たに5物件を取得した結果、53 物件816億円まで拡大しました。ここで、新たに取得した物件について簡単に説明致します。

23頁および24頁に記載の、ノアガーデンA館とB館、別邸とブルームビューは、北海道最大手のノアコンツェルが運営する、住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅です。4物件は同一敷地内にあって、夫々が廊下で接続され、定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所、訪問看護ステーション、デイサービスとともに、実質的に一体運営されています。24時間対応の介護・看護サービス、リーズナブルな料金設定および設備面では、天然温泉付きの大浴場が特徴です。本年 2月1日付で、スポンサー等が組成したヘルスケアファンドから、4 物件合わせて17億円で取得しました。

25頁に記載のPDハウス東大阪は、パーキンソン病のケアに特化した住宅型老人ホームです。オペレーターのサンウェルズは、パーキンソン病専門ホームTDハウスを中心に、首都圏、近畿圏そして地元の石川県になどで、38 施設を展開している介護事業者で、東証グロース市場に上場しています。本施設は訪問介護事業所と訪問看護ステーションを併設し、又、大規模な機能回復訓練室を設置しています。専門医監修によるリハリビプログラムの提供、神経内科専門の医師による訪問診療、服薬管理を始めとする24時間体制の訪問看護といった、パーキンソン病のケアに特化した設備使用と、木目細やかなサービスが特徴です。2022年7月の開設以来、順調に入居が進み、現在90%以上の高い入居率となっています。本物件は、デベロッパーによる開発の出口を捉え、スポンサー以外のウェアハウジング機能を活用して、7億円で取得致しました。

26頁です。現在のヘルスケア不動産の投資市場ですが、国内外のファンドや一般の事業会社等の新規参入もあり、投資事業は旺盛です。CAP-Rateは、依然として低下傾向で、過熱感のある状況が続いています。そうした状況下、当社はこれまで通り多様なスポンサーサポート、並びに、広範なネットワークを活用して、優良なパイプラインの拡充に努めてまいります。あくまで中長期的な収益力や分配金の持続的な成長を重視し、投資目線や利回り目線をいたずらに引き下げるようなことは考えていません。他方、投資対象としては、例えば賃貸住宅や商業店舗など、ヘルスケア関連以外のテナントも入った複合施設や、医薬品等の研究開発設備を備えたライフサイエンス施設なども、広義のヘルスケア関連施設として、柔軟に取得を検討してまいります。

又、ただ単に、マーケットから物件を直接取得するのは容易ではないという環境認識の下、外部のリース会社やデベロッパーとの共同、ブリッジファンドへの匿名組合出資の活用と、取得手段の多様化を図ってまいります。具体的な取り組みとしては、今般、手元資金を活用して、新たに開発された有料老人ホームを裏付け資産とする、匿名組合出資持分を、HCMとして初めて取得しました。HCM としては、当該物件の優先交渉権を獲得するとともに、匿名組合出資者としてのリターンが見込まれます。現状4%程度の利回りを想定しています。HCMが有するパイプラインの規模は、約300億円に上ります。現状、調達環境や物件の稼働状況に留意しつつ、適時・適切なタイミングでの組み入れを目指してまいります。尚、HCMでは、第16期に初めて資産の入れ替えを実施しました。資産規模の拡大を優先しつつ、経年劣化やCAPEXの増大等により、収益性の低下が懸念される資産については、今後も戦略的な入替を検討してまいります。

次にESGの取り組みです。30頁をご覧ください。当社はESG委員会を設置し、全社を挙げてESGの取り組みを推進する体制を構築しています。HCMは投資理念に掲げている通り、社会インフラとも言えるヘルスケア施設の整備拡充を支援し、国民一人一人が安心して、生き生きと生活できる社会の実現を目指しています。ESGやSDGsとは親和性が高いと考えています。

31頁は最近のトピックスです。環境面では、当社では2022年度からGRESBに参加しています。2年目となる昨年度は、リアルエステイト評価で2-Stars、又、開示評価では、2年連続で最上位のAレベルを獲得致しました。又、気候変動関連では、本年1月にTCFD提言に基づく開示を実施致しました。次にソーシャル面です。HTM は、ポジティブな社会的成果を生み出すインパクト投資を行っています。そのためソーシャルファイナンス・フレームワークを制定し、JCRから最上位の総合評価であるSocial-1を取得済みです。今回のリファイナンス、並びに新規借入も、全てソーシャルローンにて調達致しました。有利子負債の総額に占めるソーシャルファイナンスの割合は、現状100%です。尚、調達した資金の運用状況については、他のESGの取り組み状況とともに、毎年12月に発行するインパクトレポートに開示していますので、是非ご覧頂ければ幸いです。ガバナンス 面では、当社では自立的なコンプライアンス意識の醸成を目的として、定期的にコンプライアンス勉強会を実施しています。これには、私自身や常勤取締役を含む全役職員が参加しています。今年度は、これまでインサイダー取引規制や利害関係者取引の留意点、顧客情報・個人情報等の管理などをテーマに19回開催しました。

本日の私からの説明は以上になります。不動産価格の高止まりや長期金利の上昇、介護業界におけるM&Aと再編など、HCMを取り巻く環境は大きく変化しつつあります。私どもとしては、これからも専業リートならではの目利き力を生かした、優良なヘルスケア施設への投資を通じて、トップライン収益の増強を図るとともに、コスト面の見直しも随時行いながら、安定的な分配金を目指してまいります。
今後ともご指導・ご鞭撻を賜りたく宜しくお願い申し上げます。本日はご視聴、誠に有難うございました。