ケネディクス商業リート投資法人 2023年3月期決算概要

ケネディクス商業リート投資法人
2023年3月期(第16期)決算動画説明書
○動画  https://www.net-presentations.com/3453/20230518/an9367a/
○資料  
https://www.krr-reit.com/file/top-cbb88b1344d7e38beff326784314bfa37f5273f0.pdf
○説明者 ケネディクス商業リート投資法人 執行役員 兼
     ケネディクス不動産投資顧問株式会社 COO 兼 商業リート本部長 渡辺 萌
○説明 
決算説明を行います。
3頁をご覧下さい。今回の決算発表のサマリーとして、足元の状況を纏めています。第15期はコロナ禍からの経済活動正常化への動きが見られた一方で、国内の水道光熱費を含む物上昇、海外のインフレやその引締めのための急激な金利上昇なども重なり、不透明な事業環境が続きました。そのような環境の中、当リートでは着実に歩みを進めてきました。先ず、外部成長ですが、期初の2022年10月に、1年半ぶりに大6回の公募増資を実施しました。これらを通じた物件取得により、第16期末の資産規模は2,700億円となり、テナント数も600社と、当リートの特徴である分散が効いて安定したポートフォリオの構築が進んでいます。内部成長の点では、原料価格変動による業績への影響を軽減するためテナントへの電気料金請求方式および電力会社との需給契約を見直しました。又、昨年3月にコンバージョンを前提として取得したキテラプラザ青葉台の工事が完了し、今年の3月にNSCとしてリニューアルオープンしています。これらの施策の結果、第16期の分配金は6,514円となり、従前の水準に回復しました。今後の持続的成長に向けたパイプラインも拡充しており、市場環境を慎重に見据えたうえでの厳選投資や、消費需要の回復の取り込みによって、更なる成長を図るべく施策に注力してまいります。以上が今回の決算報告の概要となります。これらの点についてこの後説明してまいります。

4頁をご覧下さい。ポートフォリオの概要です。当リートは2015年の上場以来、8年間で6回の公募増資を経て、70物件、資産規模2,700億円まで成長しています。ポートフォリオの大半は、生活密着型商業施設で構成されており、その9割近くに需要の安定した食品スーパーなどの食品関連テナントが入居しています。ポートフォリオの利回りは、鑑定NOIで5.2%、償却後NOIで4.2%であり、稼働率は青葉台のリニューアルオープンや内部成長によって、前期から0.2ポイント上昇し、99.5%となっています。
5頁をご覧下さい。当リートではこれまでも環境の変化に対応し、公募増資を通じた物件取得に加えて資産入替えを行い、ポートフォリオの収益性や安定性の強化に努めてまいりました。具体的には生活密着型商業施設としては、比較的e-Commerceやコロナの影響を受けたテナントが多い代官山アドレス・ディセを売却し、食品スーパーを中心とするNSCや物流施設を取得してきました。又、第14期に取得したキテラプラザ青葉台は、元はコロナ禍でテナントが撤退したスポーツクラブ施設を、Conversionによって日常的に利用されるNSCとして再生させた物件です。

6頁では分配金およびNAVの水準の推移を示しています。上段の一口当たり分配金は、新型コロナ発生前の第11期までは6500円近辺で推移してきました。第12期から第14期までは、代官山アドレス・ディセの3分割売却による売却益などで分配金が押し上げられ、7,000円となっています。第15期以降は、電力価格高騰の業績への影響から減少する見込みとしていましたが、各種施策による影響緩和により、第16期では予想値の6,360円を2.4%上回る6,514円となり、第17期も前期公表の数値から改善する見込みとなっています。含み益は、下段のNAV数値の推移の下に記載していますが、第16期末で200億円を超える水準まで増加しています。

7頁をご覧下さい。一口当たりの分配金を変動要因ごとに分解したものです。第16期においては公募増資を通じた新規物件の取得に加えて、既存物件の賃料収入増などの内部成長などによりNOIが増加しました。又、電力価格高騰による収支悪化への影響を、各種の取組みによって期初想定より120円ほど低い163円に抑えることが出来たことで、第16期分配金は、先ほどの通り6,514円となりました。現在進行中の第17期においては、リニューアルオープンしたキテラタプラザ青葉台などによりNOIが増加することに加え、取組み効果の通期寄与によって水光熱費が前期比で115円改善することで6,570円の分配金を予想しています。第18期は水光熱費において、現在実施されている激変緩和措置の終了などの影響を織り込んでいますが、それを、それ以外のNOIの増加でカバーすることで、前期比10円増の6,580円を見込んでおり、これが現在の巡航分配金の水準となっています。

8頁は電力価格高途への対応の説明です。先ず、ポートフォリオにおける請求方式の内訳ですが、今年の4月末現在、当リートが電力会社と契約しているものは17物件で、全体の約45%で、その内の約6割が固定と変動の単価併用方式、残りの4割が変動単価方式のみという構成になっています。第16期に実施した施策の1つ目が、テナントへの請求方式および単価の見直しです。前期末時点では、調達コストの変動が請求単価に反映されない完全固定単価方式の割合が、全体の12%程度、物件数で4物件あり、これが電気料金の収支ギャップに大きな影響を与えていました。期中のテナントとの見直しを経て、この方式は4月末時点では全て固定・変動単価併用方式に変更されて、無くなっています。請求額算出に変動単価の要素を加える今回の見直しによって、先ず、収入面に電力価格変動による影響を反映できるようになりました。2つ目が電力会社との契約の切替えです。こちらは最終保証供給契約など、市場連動型になっていた5物件について、地域電力会社による固定単価型の一般的な契約に切り替えました。これにより、費用面でも市場変動の影響を受け難くなりました。これらの施策による効果に加えて、足元の電力価格の落ち着きなどによって、第16期の電気料金収支は、15期末時点の予想値から53百万円改善しました。又、第17期は見直しの効果が通期で寄与することから、合計で144百万円改善すると予想しています。今後もテナントや電力会社とは、条件改善を目指して都度交渉を進めてまいりますが、全般的な対応が一巡したことから、今後は太陽光パネルの設置などの省エネ施策もより一層進め、更なる収支改善と重要施策であるESGへの取組みを並行して進めます。

9頁は第16期の損益計算書の概要です。中央の黄色の線で囲んである列が第16期実績、そこから2つ右の列が昨年11月に開示した予想との差額になります。第16期において賃貸事業収入は8,530百万円となり、予想を38百万円上回りました。これはコロナの収束に向けて消費需要が回復したことで、売上歩合賃料が増加したこと、又、契約の満期を迎えたテナントの再契約率が高かったことから、予想上見込んでいたダウンタイムが不要となったことなどが要因です。同じく需要の回復により、その他賃貸事業収入の催事収入も上振れしています。水道光熱費は前頁で説明しました通り、電気料金を中心としてネット収支で55百万円改善しました。その結果当期純利益は期初予想を97百万円上回る3,922百万円となり、一口当たり分配金も154円プラスの6,514円となりました。

10頁の第17期予想は、先ほどの分配金の変動要因で説明した通りです。頁右の第18期では、営業収益・費用ともに第17期と比較して80百万円程度減少する予想となっていますが、これは第18期が夏場を含まない時期であることから、電力使用量が減少することを収支ともに見込んでいることによるものです。以上が今回の決算発表のサマリーとなります。
それでは2つ目のパートの2023年3月期の運用状況の説明に移ります。
12頁は賃貸借契約の概要です。左上の円グラフが残存貸借期間の構成です。平均残存期間が8.8年と、引き続き安定したものとなっています。2~5年の区分に、マルチテナント型物件に入る大型テナントの解約期限が到来するものが複数ありますが、こちらについてはこのタイミングで賃料増額に繋げられるよう、テナント入替も含め、物件NOI増加の為の検討を進めています。左下の賃料が金利やCPIに連動した賃貸借契約ですが、16期末時点では賃料ベースで全体の8.2%を占めています。第16期には、2物件で賃料改定のタイミングが到来しました。これらは賃貸借契約に定められた計算式で改定され、賃料が増加しています。又、今年3月にはマルチテナント型物件で初めて、CPI連動の賃貸借契約を当該物件のテナントと締結しました。これにより17期以降の比率は9.5%に上昇します。

13頁は賃料動向の概要です。左上の新規賃料・公開の動向のグラフですが第16期においては、同条件の件数割合が高いことが特徴となっています。又、右下のグラフで示しているように、第16期では賃貸借契約の満期を迎えた95%以上のテナントが再契約を行っており、現状の生活密着型施設における強い定着性を示しています。これにより、当初見込んでいたダウンタイム期間が不要となり、賃料収入増加に繋がっています。

14頁では運用に対する各種項目を纏めています。左上のポートフォリオ稼働率ですが、第16期末は99.5%となっています。キテラプラザ青葉台のConversion期間中は、当該物件の稼働率をゼロとしていたため一旦下がっていましたが、3月に開業したことから従前水準まで回復しています。頁左下には金利・CPI連動の賃貸借契約について記載しています。当期では2物件の賃料改定のタイミングを迎え、2%の増加となりました。又、マルチテナント物件のテナントとの間で、当リート初となるCPI連動型の契約を締結しています。CPIや金利に連動する賃貸借契約は、国内ではまだ一般的とは言い難いところはありますが、インフレ対応の観点からも、新規契約や更新のタイミングなどを捉えて、引き続き導入のチャンスを窺っていきます。頁右が売上歩合賃料です。2022年10月の公募増資を通じて、売上歩合賃料比率の高いイーアス春日井を取得したこともあって、第16期における歩合賃料の額は228百万円、全体に占める割合は3.1%まで上昇しました。歩合賃料の額は、イーアス春日井を除いた分でも151百万円となり、コロナ発生直前の第10期の水準まで回復しています。上の業種別の比率を見ても、サービス系が16%となっており、物販系が9割以上を占めていたコロナ禍の状況から比率を上げています。尚、従前説明資料に含めていたコロナによる賃料減額対応は完全に終了していますので、今回からは記載しておりません。

15頁で、当リートのポートフォリオ全体とショッピングセンター協会の販売統計による売上高推移を比べています。当リートのポートフォリオ売上は、コロナ禍でも安定して2019年同月比で総じて100%を上回る水準で推移しました。コロナ収束が見えてきた2023年3月期においても、6ヶ月間全ての月が100%を上回っています。これは右下に記載の通り、ポートフォリオの大きな割合が、日常的に使用される来店頻度の高い業種で占められていることが大きいと考えています。尚、これまで載せておりました業種別の売上推移については、Appendixの45頁を参照ください。

16頁と17頁は財務の状況の説明です。
16頁の右上グラフで示している調達コストについては、市場金利の上昇があったものの、返済期限の分散を意識し、コスト面も配慮した形での資金調達を行っており、平均調達コストは引き続き下がっています。又、左上のハイライトの表にあります通り、長期負債比率、固定金利比率は、いずれも90%台後半の高い水準にあることから、今後も金利市場の環境に応じた調整を行っていく余地はあるものと考えています。2022年から取り組んでいるグリーンファイナンスでは、第16期末時点で、全調達額の16%にあたる合計208億円を調達しています。右下のGreen Criteriaを満たす適格資産は、環境認証の取得が進んだことにより、資産取得額の約6割の1,615億円、23物件となっており、今後も機会を捉えて、グリーンファイナンスによる調達を積極的に推し進めていく所存です。

17頁の上は、返済期限の分散状況ですが、最大でも1期あたり130億円程度の、長期に亘って分散された形となっています。借入先の金融機関は合計20社で、強固なレンダーフォーメーションを構築しています。今後もしっかりと状況を共有して、引き続き安定した関係を構築してまいります。2023年3月期の運用状況に関する説明は以上となります。
28頁からは3点目となる成長戦略とESGの取組みについての説明です。

19頁をご覧下さい。当リートでは上場来、e-Commerceへの体制などを考慮し、安定したCash-Flowの源泉となる生活密着型商業施設へ投資を行うことで成長してきました。その過程においては、商業施設と物流施設の垣根の低下も進んだことから、e-Commerceの需要を取り込む消費地配送型物流施設も投資対象に加えています。先ほどの運用状況でも説明しましたとおり、これらの施設の安定性は、コロナ禍において十分発揮されました。当リートでは、今後もこの安定性をベースとしつつ、コロナ禍以降の消費回復を、売上歩合賃料の増加やAM・PM一体の運用体制で培ってきた、積極的な物件運営ノウハウを生かして、物件価値の向上に繋げていく所存です。
20頁は外部成長についての説明です。右上円グラフの通り、当リートがこれまで取得した3,000億円を超える物件のうち、スポンサー及びサポート会社からの取得割合は、全体の3/4を占めています。パイプラインの一部を右下に例示していますが、現在のパイプラインの規模としては、これらの物件を含む確度の高いもので合計約460億円、その内訳は、商業施設が約6割、物流施設が約4割という割合です。スポンサーがブルク物件をソーシングして確保したことから、確度の高いパイプラインの規模が、前期と比べて大幅に拡充されました。左下の図の通り、スポンサーおよび各サポート会社からは、物件供給だけでなく各種項目で幅広いサポートを得られており、これらの機能を活用して、更なる成長を目指します。

21頁からは内部成長の説明です。
21頁は昨年10月に取得した当リート最大物件となるイーアス春日井の状況です。この物件は、右のポテンシャルに記載の通り、ポートフォリオ全体と比べてサービス系テナントおよび売上歩合賃料の割合が高いという特徴を有しています。この特徴を通じて、コロナ収束後の消費回復を、賃料の増加という形で業績に取り込むことを期待して取得しました。取得後の状況ですが、中段右で示す通り、変動賃料の金額は、昨年12月以降需要の回復を受けて前年を上回る形で順調に推移しています。又、各種コストの見直しを行い、BMコストを削減して、NOIを向上させました。更にこの物件では、太陽光パネルの設置計画を進めています。記載している写真の左側の屋根にパネルを設置して、来年の春の稼働を開始する見込みです。これにより、ESGとしての取組みを強化するとともに、物件の収益力を更に高めることができると考えています。

22頁では当リート初のConversion Project完了の紹介です。このキテラプラザ青葉台は、元々スポートクラブとして利用されていた施設を、好立地に着目して1年近い期間をかけて大規模改修を行い、利用者の日常生活を支えるNSCとして再生させたものです。今年の3月に食品スーパーのOKを核テナントとして営業を開始しており、売上高等順調な滑り出しを見せています。今後は更に稼働率を上げて、分配金に寄与することを想定しています。このような手法による物件取得は、当リートの資産規模が成長し、分散の効いたポートフォリオになったからこそ可能になりました。今後も、今回のProjectで培ったノウハウによって、物件取得の間口が広がるものと考えています。

23頁は未消化容積を活用した増築です。当リートでは、これまで駐車場が広い郊外型NSCの敷地内に増築を行い、物件の収益力を高めて来ました。このウニクス伊那においても、2件目となる飲食店B棟の増築工事が第16期に完了しました。この増築において物件NOIが上昇し、鑑定価格も増加しています。更に、右下の棒グラフで示している通り、この飲食店B棟で、マクドナルドが昨年の12月に営業を開始して以来、施設全体の売上高および来店客数が、ともに前年と比べ7%以上増加するなど、他のテナントへの相乗効果も出ています。当リートの特徴でもあるAM・PMが一体となった運用体制と生かし、取得後も物件に積極的に手を加えていくことで、価値を最大化できるよう引き続き注力してまいります。
24頁以降はESG施策に関する説明です。代表的な取組みをこの頁に一覧として纏めています。環境欄右の温室効果ガス削減に関する中長期的目標では、今回2050年の目標を、従前のカーボンニュートラルからネットゼロに文言を更新しています。これはこの目標に対する当リートの強いコミットを示すものです。又、社会の欄の右側に記載の、従業員向けの持投資口制度では、当リートの前期決算発表のタイミングから社員の申し込みを受け付けており、既に多数の従業員が申し込んでいます。このような取組みを通じて、今後も投資主の皆様とケネディクスや当リートの従業員が、同じ目線となるよう図っていく所存です。

以上が当期の決算説明をなります。新型コロナによる制約から人々の行動はほぼ通常の形に戻ってきています。一方で金利の上昇やインフレといった課題も生じ、その点では、斑で不透明な状況が続いています。そのような中でも、当リートは物件取得に工夫を重ね、取得後も手を入れていくことで物件価値の向上に努めています。安定した収益性を有するポートフォリオの元で、コロナ後の消費回復を取り込むことが可能となる物件の運営も行い、電力価格においても、価格変動の影響を受け難い体制作りを進めました。これからも生活密着型商業施設と消費地配送型物流施設を通じて、生活インフラとしての役割を果たすべく各施策を推し進めて、当リートの価値の最大化に努めてまいります。引き続きご支援の程を宜しくお願い申し上げます。
ご視聴、有難うございました。