ヒューリックリート投資法人 2024年2月期決算概要

ヒューリックリート投資法人
2024年2月期(第期)決算動画説明書
○動画  https://www.net-presentations.com/3295/20240419/gdyjfrrs43/
○説明資料
https://www.hulic-reit.co.jp/file/top-95cf09f5356b0ac6ccd8220cbb5947fe3b2c9ebe.pdf
〇質疑応答
https://www.hulic-reit.co.jp/file/news-cf8a58de0b56ed76163c3677d3b64ea7e390e1e1.pdf
○説明者 ヒューリックリート投資法人 執行役員 兼
     ヒューリックリートマネジメント株式会社 代表取締役社長 一寸木 和朗
○説明 
第20期(2024年2月期)決算について報告致します。
決算説明資料4頁、エグゼクティブサマリーをご覧ください。外部成長につきましては、20期以降も資産入替を継続し、ホテル2物件など127億円の取得の一方、オフィス41億円の譲渡により、資産規模は3,897億円となりました。ポートフォリオのクオリティや成長性の向上等を推進し、ポートフォリオに占めるホテルの比率は、8.8%に上昇しました。次に内部成長ですが、オフィス稼働率は高水準で推移しており、21期稼働率の新予想は99.1%を見込んでいます。賃料面でも、21期に入りテナント入替における賃料増額により、契約ベースでプラス推移しており、又、契約更改においても、着実に増額改定を継続しています。マーケット賃料の観点からも、保有物件の2割で上昇に転じるなど、エリアにより賃料反転の兆しも伺えるところです。財務戦略は、マイナス金利解除後も、当面緩和的な金融環境が継続するとの認識のもと、一部変動金利調達も併用し、固定金利による調達比率を96.2%としました。又、LTVは、物件入替を通じ45.4%とし、財務安定性を確保しています。

ESGでは、昨年よりCDP気候変動プログラムに参加するとともに、SBT認定への準備も進めています。これらを踏まえた分配金戦略ですが、20期実績は、外部成長面、内部成長面の取り組み施策の実行により、物件譲渡益を除いた調整後EPUで、予想対比+3%の増加となり、又、分配金も、これまで維持してきた3,480円水準を、3%上回る3,583円に増加となりました。同様に21期新予想においても、調整後EPU予想は、旧予想を2.2%上回る3,374円、分配金も3,580円と、3,480円水準を2.9%上回る見込みです。引き続き調整後EPU水準の継続的な増加を図りながら、分配金水準向上に向けて取り組んでいく方針です。

資料6頁は、分配金と調整後EPUの推移です。20期から21期にかけ、資料右上の資産入替を実施するなど、手元資金の活用等による物件取得や稼働率上昇等により、期を追うごとに、調整後EPU水準を引き上げています。同時に資産入替による譲渡益も、20期に4.1億円、21期に5.8億円計上することにより、20期分配金実績は3.583円に増加し、21期新予想も、ほぼ同水準の3,850円を見込んでいます。コロナ禍においては、想定と異なる収益減少等のリスクに備え、一口当たり分配金3,480円を上回る収益部分については、分配金の安定化を目的に、内部留保の積立、取り崩しに活用してきましたが、ポストコロナにおいて、そうしたリスクも相当程度低減したとの認識のもと、全額分配金に充当しています。
7頁以降で、分配金の増減要因について説明致します。先ず、20期分配金実績については、期中取得したホテル等3物件の外部成長により+52円、ホール・カンファレンス収益の上振れや、コスト削減等で計+51円となり、調整後EPUの増加が寄与する形で、予想対比+103円、3%の分配金増となりました。

8頁の21期分配金の新予想については、20期実績に対し、物件入替による期間収益や譲渡益の増加等により+82円、オフィスの空室埋め戻しやホテル変動賃料により+93円の一方で、原状回復費収入の剥落や公租公課の増等、計-178円を見込み、ほぼ横這いの3,580円としています。22期予想は、譲渡益等資産入替要因の剥落による-212円、ダウンタイム発生等内部成長要因で-90円、コスト要因等+70円により、調整後EPU水準で3,350円と見込んでいます。現段階においては、内部留保を130円取り崩す想定で、分配金を3,480円としていますが、今後実行する施策等に応じ、内部留保取り崩しの金額は、その要否も含め変動する想定です。

続きまして10頁以降は運用実績です。資産規模の推移は、資産入替の継続により、足元66 物件3,897億円、LTVは45.4%としています。物件のクオリティや成長性等の向上を目指した入替を実施した結果、ポートフォリオ構成は、11頁左上の通り、ホテルが19 期末対比2.8%増の8.8%に上昇し、オフィスが同程度減の63.9%に低下しました。資料中央のTCPは、駅近比率、都心6区比率において、J-REIT全体実績を大きく上回っており、立地、通勤利便性等、改善ニーズの高まりを受け、稼働の改善に寄与しているものと考えています。
12頁は、コロナ禍以降の資産入替の実績です。13期以降、資産入替の継続により、資料中段記載の譲渡益を毎期計上し、累計50億円の譲渡益は、分配金実績への上乗せとともに、内部留保を通じて分配金の安定化にも寄与しています。21期初にも、ヒューリック東日本橋ビルを譲渡しましたが、これは競争力維持のための資本的支出の増加が見込まれることに加え、周辺の賃貸市場、売買市場の動向等を勘案し、現時点での譲渡が得策と判断したことによるものです。その結果、鑑定価格を大きく上回る譲渡価格により、585百万円の譲渡益を計上しました。これら資産入替効果として、資料右下のNOI利回りの改善とともに、築年数の大幅低下を図っており、ポートフォリオの収益性とクオリティの向上に繋がっています。

13頁以降で、前期の取得物件について説明します。先ず、相鉄フレッサイン東京六本木は、準共有持分50%を追加取得し、完全保有となりました。本物件は、東京メトロ日比谷線六本木駅徒歩1分の好立地に所在し、ダブルルームを主軸とする、全21室の宿泊特化型ホテルです。インバウンドのレジャー客を中心に、コロナ禍前を大幅に上回る運営状況に改善し、21期に変動賃料の計上を見込んでいます。

続いて14頁のヒューリック雷門ビルは、2012年に開業したスポンサー直営ホテルの第1弾で、THE GATE HOTEL雷門です。浅草寺雷門に至近の好立地に所在し、東京メトロ銀座線浅草駅からも徒歩2分です。全134室のダブルやツインを主体とするシティホテルタイプで、稼働率は、コロナ前近辺に回復し、ADRはコロナ前を上回って改善しています。15頁はヒューリック駒込ビルで、みずほ銀行駒込支店が入居しています。最寄駅徒歩2分、白山通りと不忍通りの交差点角地に立地、周辺エリアは、大和郷とも呼ばれる閑静な住宅街を構成しています。2012年竣工の築浅ビルで、1棟全てが銀行店舗として利用されており、みずほ証券のプラネットブースも併設されています。視認性の高い好立地型物件として、周辺住民向けの来店型事務所や、店舗としての賃貸事業も見込まれます。

16頁以降で、内部成長の実績について説明致します。先ずは、オフィスの稼働状況ですが、左側青い棒クラブの20期入居面積は、予想を上回ったことにより、右側青い折れ線グラフの20期末オフィス契約稼働率は、99.3%まで上昇し、予想を0.6ポイント上回りました。今後の予想についても、左側グレーの棒グラフの退去面積は、21期、22期とも夫々賃貸可能面積の1%程度と想定しており、稼働率は、右側中段表の22期平均で98.2%と、前期、20期平均並みと見込んでいます。

17頁は、オフィスの賃料動向です。テナント入替における賃料増減については、20期はネット-7.9%となっていますが、退去入替面積も減少しており、収益影響も限定的です。マーケット賃料の改善等も背景に、増額入替事例も増加傾向にあり、21期に入り契約ベースにおいて8.3%のプラスで推移しています。又、右側の賃料改定について、プラスが継続しており、20期は4.4%の増額率、21期も従来に比べ比較的大きな面積で増額実績を継続しています。

18頁は、オフィスマーケットの賃料動向です。資料左上、保有物件のマーケット賃料の推移を見ますと、20期末で2割の物件が濃いブルーの上昇に転じ、8割の物件が薄いブルーの据え置きとなりました。マーケット賃料の下げ止まり感とともに、エリアにより、賃料上昇の兆しも見て取れる状況です。左下の賃料ギャップについては、一部でマーケット賃料の上昇はありましたが、グレー部分のテナント賃料が、マーケットレンジを上回る賃料ギャッププラスの物件割合が、引き続き半分程度を占めており、マイナス先は1割強となっています。コロナ禍以降の賃料ギャップの推移については、右上の折れ線グラフで、マイナスを上、プラスを下に反転表示しています。グレーの折れ線のマーケット賃料水準の低下に従い、ブルーの賃料ギャップはプラスに転じましたが、17期の+7.3%を底に、僅かながら改善傾向にあります。賃料更改に際しては、こうしたマーケット賃料動向も踏まえつつ、賃料ギャップマイナス先を中心に、増額改定の申し入れを続けており、増額実績に繋げています。

次に19頁は、オフィスの賃料増額等への取り組みです。麹町ビル、神田町ビルのテナント入替において、麹町は館内増床により、神田橋は外部リーシングでの内装承継等により、夫々ダウンタイムなく埋め戻し、5%超の賃料増額を実現しています。又、神谷町ビルでは、契約更改に際しLED照明への切り替えを訴求し、増額改定に至りましたが、テナント満足度の向上を図りつつ、賃料増額に取り組んでいます。

続いて20頁は商業施設の状況です。コロナ後の営業回復は、立地や業態により差はあるものの、回復基調が続いています。HULIC & New SHIBUYAとSHINBASHIについて資料右下のテナント売上推移を見ました。昨年5月の5類移行前後から、2019年同月実績を上回ってきたことが見て取れます。こうした売上回復動向も踏まえ、21期には、一部テナントとの再契約にあたり、賃料増額も実現しています。商業施設についても、所在エリアや物件の競争力に応じ、今後の内部成長も期待されるものと考えています。

21頁は、ホテルの運営状況です。折れ線グラフは、コロナ前2019年の各指標の実績を100とし、2024年2月までの運営実績を指数化した推移です。資料上段2023年9月以降、20期の平均で、ブルーの折れ線のADR は大幅に上昇し、グレーの稼働率も100を回復、オレンジのRevPARベースで136まで改善しています。その結果、21期に計上される変動賃料は約60百万円、2019年実績を大幅に上回る見込みです。変動賃料増加には、期中のホテル追加取得も寄与しており、今後、期初から高いパフォーマンスが継続すれば、23期には 更なる収益寄与も期待されるところです。又、下段は同じく売上連動型のホール・カンファレンスの運営状況です。ホテル同様、コロナ前3年間の稼働実績に対し、着実に稼働率を回復しており、利用料の値上げ効果もあり、収益ベースでコロナ前を上回る90百万円となりました。

続きまして22頁は財務の状況です。20期は、金融政策動向を見据えながら、マイナス金利解除後も、緩和的な金融環境が継続されるとの見通しのもと、一部変動金利での借り換えも行い、固定金利比率は96.2%となりました。3月のマイナス金利解除に伴い、短期金利は若干上昇しましたが、経済物価見通し等を踏まえると、早期に利上げが継続される可能性は低いと見ています。調達コストの抑制と、金利上昇リスクを見極めながら、変動金利調達の活用も含め慎重に運営していく所存です。

23頁の鑑定評価については、資料右上、キャップレートは、オフィス等9物件で低下し、58物件で横這いとなりました。この結果、20期末の含み損益は、+723億円に増加し、含み損益率も+18.8%となりました。売買マーケットでの高値圏の取引状況は継続していますが、市場動向を引き続き注視しながら運用を継続していきます。
25頁以降はESG対応です。ESGへの取り組み状況に対する外部評価は、2023年もGRESBで最高位の5-Stars、MSCIのESG格付けもA格を維持しています。又、昨年は、CDP気候変動プログラムに初参加したほか、現在SBT認定取得に向けた準備を進めています。

26頁は環境関連のKPIの実績です。昨年2030年目標を引き上げたところですが、エネルギー消費量の削減-30%、GHG排出量削減-42%の目標に対し、再生可能エネルギー由来の電力導入を図るなど、着実に取り組みを進めており、2050年にはネット0(Zero)を目指しています。

以上を踏まえまして、29頁以降で今後の戦略について説明致します。20期は、これまで掲げてきた調整後EPU向上施策を着実に実行することにより、20期の調整後EPU実績は、予想対比+3%の成長を遂げ、21期も旧予想対比+2.2%増を見込んでいます。又、分配金については、これまで18期以降の予想実績において、3,480円水準を維持してきましたが、調整後EPUの向上とともに、20期実績において+3%の3,583円、21期新予想においても+2.9%の3,580円に増額することとなりました。又、2期先の22期は、現時点では内部留保の取り崩しにより、予想分配金を3,480円としていますが、今後の調整後EPU向上への取り組みにより、着実な改善を図っていきます。具体的な取り組みについては、手元資金の一部の活用や、LTV1%相当の借り入れによる物件取得、オフィス稼働率の1%改善等で、計130円のEPU改善効果を試算しており、これらを順次実行していくことで、調整後EPUベースでの3,480円水準が視野に入ることになります。更には22期中の来年1月から、長期保有資産の買替特例の利用も可能となり、物件入替を通じた譲渡益活用による分配金戦略も柔軟に行えることとなります。

30頁は、具体的な外部成長施策としてのポートフォリオ戦略です。ポストコロナへの移行とともに、ポートフォリオ戦略の主軸も、安定性重視から成長性等の向上に転換を図っており、前期はホテルの保有比率を2.8%引き上げ、同程度オフィスの保有比率を引き下げました。今後においても、ポートフォリオのクオリティや、成長性向上等を目指した、外部成長戦略を継続する方針です。具体的な取得方針としては、東京コマーシャルプロパティについては、オフィスや商業施設の物件特性や、将来の成長性等を個別に勘案した上での、厳選投資方針です。又、次世代アセット・プラスについては、引き続き成長性期待アセットとしてのホテルや、収益性確保としての優良老人ホームに厳選投資していく方針です。取得資金については、手元資金や借入金の活用とともに、資産入替を継続する想定で、個別物件の相対的な競争力や収益性等を勘案しながら、物件譲渡も検討していきます。こうしたポートフォリオ戦略を念頭に、引き続き資産入替を含む外部成長、内部成長の諸施策を推進し、調整後EPUの向上を着実に進めながら、分配金水準の成長を目指してまいります。
以上で私からの説明を終わります。