星野リゾート・リート 2022年4月期決算概要

星野リゾート・リート投資法人
2022年4月期(第18期)決算動画信説明書
動画  https://www.net-presentations.com/3287/20220719/svdiascd/
資料  https://ssl4.eir-parts.net/doc/3287/ir_material_for_fiscal_ym/121084/00.pdf
説明者 星野リゾート・リート投資法人 執行役員 兼株式会社星野リゾート・アセットマネジメント 代表取締役社長 秋本 憲二 説明


決算説明に入ります。4頁の目次をご覧下さい。先ず、最初に決算のハイライト、2番目に
直近行いました公募増資の内容、それから決算概要、それから3つ目に今後の業績予想、
そして最後に今後の運用戦略と言う順番で、お話をさせて頂きます。
6頁をご覧下さい。一口当たり分配金の実績および今後の業績予想です。第18期実績は
7,195円の分配金を決定させて頂きました。下の図の通り、星野リゾート以外の運営物件を
中心に、売上連動物件が2021年9月まで、利益連動物件は2021年5月までのコロナ禍に
よる減収の影響を受けた期間です。昨年の12月予想時と比べますと、大きな乖離なく着地
しました。続いて、2期の業績予想を発表致しました。第19期予想が7,607円、第20期
8,331円の分配金を見込んでおります。第19期につきましては、公募増資に関わる一時
費用を計上しております。第20期につきましては、公募増資による外部成長が本格的に
貢献して、第19期に対して改善をしております。
7頁をご覧下さい。決算の概要です。左は損益計算書です。第18期実績営業収益は5,438
百万円、一口当たり分配金は7,195円とさせて頂きました。その他の指標、NOI利回りが
4.9%、LTVが35.5%、一口当たりNAVは537,090円、対前期比で増加となりました。
右上をご覧下さい。営業収益の主な内訳です。固定賃料、変動賃料、夫々分けて記載して
おりますけれども、賃料全体に占める固定賃料の割合は84.4%でした。営業費用の前回予想
比較、分配金の増減内訳についてはご覧の通りです。
続いて、直近行いました公募増資の内容、決算の概要について説明致します。9頁をご覧
下さい。7月1日、公募増資で星のや沖縄を取得致しました。これは、本投資法人が中期的
目標として掲げる、資産規模3,000億円、星野リゾートグループ運営比率50%超を視野に
入れて、成長フェイズを加速する取組みでございます。下段の2つのグラフをご覧頂け
ます通り、本投資法人の現状、エクイティ市場およびデット市場から高い評価を頂いており
ます。今回の公募増資は、エクイティ市場、デット市場双方における高い評価の背景とした、
高効率の資金調達によって投資主価値の向上に資する、外部成長を狙ったものでござい
ます。コロナ禍において沖縄エリアは業績が不調でした。今も苦戦しています。これは、
飛行機で行かなければならない遠い観光地のため、感染リスクが高いと思われたこと、
それから、行政から来ないで欲しいという情報発信が頻繁に出されたこと、これが不調の
大きな要因だと思います。一方で、アフターコロナを見据えた時には、沖縄の需要が一気に
戻ると我々は予測しています。星のや沖縄は、この土地の素晴らしい環境に依存すること
なく、これまで紹介されてこなかった沖縄での滞在、そして、日本のビーチリゾートでの
過ごし方を演出していきたいと考えて、DBJ共同ファンドで時間をかけて開発してきた
壮大なスケールのリゾートです。アフターコロナに向けて外資が出揃う沖縄本島でNo.1を
目指し、一切の妥協をせずに作り上げた星のや沖縄を取得するのは、割安に取得できる
今こそベストなタイミングと考え、公募増資に踏み切りました。
続いて10頁をご覧下さい。その他コロナ禍においての、積極的な取組みを紹介させて頂き
ます。下の方の物件の行をご覧下さい。2020年11月に界遠州を取得しました。そして、
2021年6月に第三者割当増資によって界長門を取得致しました。同月6月に新しい取り
組みとして資産入替えを行いました。グランドハイアットを取得しております。そして昨年
の12月の第8回公募増資で、界霧島、界別府を取得しました。そして、先ほど説明しま
した今回の公募増資で星のや沖縄を取得しております。コロナ禍において絶好調であった
界4物件、そしてアフターコロナを見据えて、九州のゲートウエイである福岡に、グランド
ハイアット福岡を取得しました。更に星のや沖縄を取得しました。右下にコロナ禍における
私共の取組み、4期連続の物件取得を実施出来ました。そして3期連続のエクイティ・
ファイナンスが実施出来ました。補足ですが、2021年3月EPRA Nareitに組入れされ
ました。このIndex入りしたことによって、主に海外のパッシブ安定投資家の投資が
増えて、投資口価格の安定性が高まったと考えております。コロナ禍においてIndexを
果たしたこと、そして、2度公募増資を実施できたことは、大きな成果であったと考えて
おります。
それでは11頁をご覧下さい。今回の星のや沖縄、そして昨年12月に取得の界霧島、
界別府とも、星野リゾートと日本政策投資銀行様との共同ファンドからの取得です。この
共同ファンドを、DBJ共同ファンドと私どもは呼んでおります。左の図をご覧下さい。
おさらいになりますが、ホテル事業は所有、運営、開発の3つの役割に分けられます。我々
の場合、本投資法人が所有の役割を担って、星野リゾートが運営を担当しています。そして、
最近目立っている動きは、星野リゾートブランドの優良物件を開発して、世の中に出して
いき、我々リートに供給する動きです。この開発を担っているのがDBJ共同ファンドです。
本投資法人の基本戦略は、この3社の新しいシナジー効果によって、成長をSpeed-up
させていくことです。左下にある通り、DBJ共同ファンドを通じて、9物件の星野リゾート
ブランドの施設が開発済み、又は、開発中です。今後も継続的にDBJ共同ファンドで、
星野リゾートブランドの施設開発が積み上がり、豊富な取得機会が得られる予定ですので、
中期目標である資産規模3,000億円の蓋然性が、高まってきている状況です。
続いて12頁をご覧下さい。今回取得しました星のや沖縄の説明です。那覇空港から車で
60分、沖縄の原風景ともいえる自然が残る中部読谷村に、2020年7月、星のや沖縄は開業
しました。星のや沖縄のテーマは、「グスクの居館に滞在する」です。グスクとは琉球時代
の城のことです。右の写真にある星のや沖縄のグスクウォールは、正しく琉球時代のグスク
の城壁を思わせます。門を一度くぐれば、畑が広がり、海岸線に沿うように建物が見え、
ホッと心が落ち着きます。左下の表をご覧下さい。総客室数は100室、取得価格は
12,210百万円、優良な星野リゾートブランドの築浅物件を、鑑定に対しマイナス8%で
取得出来ました。償却後利回りは4.4%で、我々の取得目線である4%を上回っています。
続いて13頁をご覧下さい。下のエリアマップをご覧頂きたいと思います。星のや沖縄は、
白浜の海岸が続く広大な敷地に、壮大なスケール感で開発されました。海沿いで暮らして
いるかのように滞在して頂く、全く新しいリゾートホテルです。波の音が聞こえる部屋、海
を眺めているだけの充実した時間、土間ダイニングで食べ、退屈したら歩き、泳ぎ、そして
寝る。そんな毎日を過ごしているうちに、沖縄のビーチに長く住んでいるかのように感じてしまう、正にグスクの居館で海と共に暮らす、そんなリゾートを目指しています。
続いて14頁をご覧下さい。この頁では、主にソフトについてお話しさせて頂きます。沖縄
観光の最大の弱点は、夏依存であることです。沖縄には四季があり、冬と言う泳げない
シーズンがあります。ハワイやグアムやアジアのビーチリゾート地のように、常夏ではない
というところが沖縄の、海のリゾートとしての弱さです。ですので、沖縄を、年間通して
稼働させるためには、自然観光や文化観光に振っていく必要があります。星のや沖縄では
自然の魅力や文化的な魅力を打ち出して、通年型のリゾートを目指しています。海と畑、
水陸両方の楽しみがある星のや沖縄、目の前の海で楽しむことは勿論、施設内で広がる
畑での催しや道場での鍛錬など、沖縄で暮らしているような感覚になる通年の滞在に、
スパイスを加える体験を数多くご用意しております。詳しくはHPをご覧頂きたいと思い
ます。
15頁をご覧下さい。沖縄県を取り巻くマクロ環境を、簡単に説明致します。観光県として
魅力あふれる沖縄県の訪問客数は、コロナ禍以前はハワイに並ぶ多さを誇っていました。
コロナ禍収束後の旅行先としての根強い人気も窺えます。又、その観光資源、それと3時間
から4時間圏内の商圏を考慮しますと、ハワイを超えるポテンシャルが有って、沖縄県の
観光需要の中長期的な成長が期待されると、私共は考えております。右下のグラフをご覧
下さい。星のや沖縄の開業以来の運営実績です。コロナ禍は厳しい状況が続いて来ました。
そしてようやく本格的にマーケッティング活動が出来るタイミングになってまいりました。
今後の需要の増に期待が出来る状況でございます。
16頁をご覧下さい。観光業界を取り巻く環境ということで、このコロナ禍で星野リゾート
が気付いたことを、紹介させて頂きます。コロナ禍を経て気付いた点、先ず1つ目ですけれ
ども、旅は現代人になくてはならぬものとの気付きです。コロナ危機が始まった当初、観光
は悪だと見られておりました。ただ、実際には、政府からの制限要請が出ている最中は激減
するものの、感染が収まるとともに旅行者は勢いよく戻ってきました。これは、想像以上に、
旅は人生の一部として確立した役割があって、不要不急とは真逆と言う結果を意味して
います。元々、旅の効能には、ストレスの解消や非日常体験、家族とのコミュニケーション
が挙げられ、人生を彩る行事として、日常生活に根を下ろしておりますが、特に、感染症に
対する恐怖、不安、リスク疲れなど、精神的な閉塞感が大きいコロナ禍での旅の効能は、
それらを癒すという大きな役割を担っているということが分りました。2つ目は、遠くに
行かなくても旅の効能は変わらないという気付きです。星野リゾートが提唱したマイクロ
ツーリズムは、地元の人が近場で過ごす旅です。これは、三蜜回避が叫ばれていたコロナ禍
と相性がとても良いわけです。実際に、海外ばかり行っていた人達が仕方なく訪れた旅館や
リゾートに魅了された例が、数多く見られました。このコロナ禍で、マイクロツーリズム
需要の多さと大切さを、改めて実感しました。自宅から車で1時間から2時間で来られる
お客様に、何度もご利用頂きました。お客様はこのコロナ禍で日本の慣行を見直し、新たな
魅力を発見したのではないかと感じています。この2つの気付きから、旅は人間の欲求
そのものに根差しており、遠くへ行かなくても欲求は満たされることが、推察されます。
こうして考えますと、アフターコロナにおいては、観光需要は直ぐに元通りになるだろうし、
満たされなかった需要の反動も来るものと考えております。
17頁をご覧下さい。運営実績のサマリーです。コロナ禍前、コロナ禍の直近2年間の推移
を比較しております。左が星野グループの運営物件群です。コロナ禍においてマイクロツーリズムの需要を上手く取り込めました。特に、リゾナーレ、界およびBEBが好調に推移し
ため、RevPARは前年比プラスの6.6%、コロナ前と比較しましてもプラスの4.7%と力強い
実績を残しました。傾向としては、稼働率は下げているもののADRを大きく上げてRevPAR
が上昇したという傾向です。右は星野リゾートグループ以外の運営物件です。RevPARが、
各ブランドとも対前年比で回復傾向を見せ始めております。前年比プラスの15.6%と上昇
して来ております。今後の需要の復活に期待がされるところです。
続いて18頁です。2020年1月から2022年4月までの星野グループ運営物件の運営実績
をグラフで示しております。コロナ前の2019年対比RevPARの平均変化率でグラフを
作成致しました。マイクロツーリズムの需要の獲得に成功し、緊急事態宣言下においても
堅調な運営実績を記録したことが、このグラフからわかります。オミクロン株か拡大した中
でも、引続き界、リゾナーレ、これらが好調だったことから、星野リゾートグループ運営
物件の合計の、2021年10月以降のRevPARは、全ての月で2019年実績を上回って推移しました。個別に見てみますと、北海道にあるOMO7旭川、沖縄エリアの離島にある
星のや武富島は、コロナ禍において苦戦が続きました。ただ、この2施設についても、足元
7月、8月においては好調に予約を獲得できています。今後の復活が期待されるところです。
続いて19頁をご覧下さい。こちらは星野リゾートグループ以外の運営物件群です。2021年
10月の緊急事態宣言解除以降需要の回復傾向が見られました。2021年12月にはANA
クラウンプラザ3物件、そしてロードサイド22物件では、2019年のRevPARと同水準
まで回復しました。オミクロン株の急拡大によって、回復スピードは一時的に鈍化したもの
の、ロードサイド22物件のおいては車移動のビジネス需要などが下支えとなって、底堅く
推移しました。都市にあるホテルは、コロナ禍で最も苦戦しています。アフターコロナに
向けて、日本人による国内旅行は都市支部に戻ってくると思っていますが、本格的な回復は
インバウンドの戻りにかかってくるのではないかと考えております。
続いて20頁をご覧下さい。不動産鑑定の評価額のサマリーです。星野リゾート運営物件は
リゾナーレおよび界の好調な運営実績が評価され、対前期比プラスとなりました。又、星野
リゾート以外の運営物件は、長引くコロナ禍の影響が織り込まれながらも、ロードサイド
型22物件等の運営実績が評価され、対前期比の下落幅は限定的なものとなりました。尚、
CAP-Rateはいずれの物件も、変動はございませんでした。
21頁は財務のハイライトです。左上の表をご覧下さい。2022年4月および5月に、ホテル
リートとしてコロナ禍以降最長到達年限となる、7.5年のリファイナンスを実施しました。
更に、直近の公募増資の新規借り入れにおいては、全参加行が最長到達年限7.5年となる
借入れに参加し、有利子負債の長期固定化および返済期限の分散化に寄与致しました。又、
本公募投資後もLTVは36.3%で、安全性の高い財務運営を継続しています。同時に物件
取得の機動性を発揮するにあたっては、125億円の取得余力を確保して居ます。
22頁をご覧下さい。レンダーフォーメーション、それから格付け等の状況はご覧の通り
です。
23頁をご覧下さい。ESGのハイライトです。左上からご説明致します。気候変動の対策と
して、2021年11月にTCFDの提言に賛同し、本年シナリオ分析を行いました。地球環境
の変化への対策には、ゲームチェンジャーとなる偉大なテクノロジーの発明や進化の時期
を迎えるまで時間がかかると言われています。私共は、そうしたテクノロジーが開発される
までの間、省エネと、省エネのみならず食品ロスの低減や、地球規模での経済活性化、
生態系の維持などに取り組み、地球上の炭素循環全体を適切な状態にリカバーしていこう
と考えております。本投資法人の事業が、持続可能な活動が出来るようにするためには、
オペレーターとの具体的な合意をもって、カーボンニュートラルに向けて具体的な計画を
進めて行くことが、優先課題とも考えております。
続いてMSCI、格付けについてです。MSCI ESG格付けですが、2022年4月に従前の評価
のBから、2ランクアップとなるBBBを獲得しました。これは、人材開発およびグリーン
ビルディング認証の評価改善が、ランクアップに寄与したものと考えております。続いて
GRESBです。2021年は、リアルエステイト評価3スター、GRESB開示評価Aレベルを
取得致しました。続いて、本公募増資において目論見書の電子化を実施致しました。ESGの
ハイライトは以上でございます。
続いて業績予想の項目に移ります。25頁をご覧下さい。一口当たり分配金の推移を図で
表しております。7月13日で上場から9年が経過致しました。第14期までは、一度も
分配金を下げることなく、安定的に成長して来れました。ただ、2021年10月期、第15期
に初めて分配金が減りました。その後、16期、17期、18期とコロナ禍の影響を受けて、
ご覧の通り、大きく分配金が減少してしまいました。今後については、第19期、第20期、
ご覧のような分配金を見込んでおります。第17期をボトムに、それ以降3期連続で回復の
状況を示しております。一方で、インバウンドの完全な戻りは2025年と、我々は少し保守
的な見込みをしておりますが、分配金の水準がコロナ前に戻るのは、何もしないのであれば
2025年から2026年頃になってしまうのは、従前よりのご説明の通りです。しかし、我々
は、昨今の取組みで示していますように、今後も豊富なパイプラインを活かした外部成長、それから星野リゾートの運営手法を活かしたリブランド、そして魅力投資による内部成長
を積極的に、継続的に狙ってまいります。それによって、想定より早期に巡航ベースの分配
金に戻すことを図ってまいります。現状のポートフォリオの実力を見てまいりますと、
コロナがなければ、恐らく14,000円の分配金の実力があるのではなかろうかと、私共は
見込んでおります。これらに、外部成長、内部成長を加えまして、プラスαで1,000円位を
上乗せできるような取組みを、今後も進めて行きたいと考えております。
続いて26頁をご覧下さい。今後2期の業績予想を、少し詳しく示しております。ただ、
引続きコロナ禍の影響を受ける期になってまいります。再び、増収増益の正のスパイラルに
持って行けるように、今後取り組んでいきたいと考えております。
27頁をご覧下さい。賃料を少し詳しく示しております。ご覧頂けます通り、星野リゾート
運営物件以外については、ロードサイド型ホテル22物件およびソルヴィータホテル那覇
以外は、変動賃料がまだ出ていない状況が続いています。
次の28頁につきましては、賃料形態、こちらの説明は割愛させて頂きます。
続いて今後の運用戦略になります。スポンサーの代表の星野から、星野リゾートの現状と
今後の見通しについてメッセージが届いておりますので、冒頭、ご覧頂きたいと思います。

<Quote>
今日も、最近の星野リゾートの状況と、コロナ禍が終わりつつある中で、私達が感じている
点を、少し皆様にお伝えしたいと思っています。今年で108年を迎えました星野リゾート
は今、国内外に58の施設を運営しています。コロナ禍において、都市におけるホテルの
運営を任せて頂くケースが増えておりまして、出来る限り私共の力を発揮できるところは、
頑張っていきたいと思っています。コロナ推移です。コロナ禍において売上、取扱高は
落ちていますが、運営施設は増えているというのが近況です。これが2020年4月から今日
までの、予約の推移です。青が予約獲得数、毎日の数字です。赤がキャンセル数。予約から
キャンセルを引いた純増減が灰色のグラフです。色々ありました。Go To、Go Toの
キャンセルとか。その後、色んな発表がある中でも、比較的安定してきておりまして、今
見て頂くと、予約がどんどん戻ってきている状態が、お分かり頂けると思います。この2年
半の経過を見て、私が発見したことがあるので、ちょっと皆様にご報告ですが、実は、平均
したら上がっているように見えますが、その背景には、非常に好調な施設と、全然戻って
いない施設、この2つのタイプ、全部で4つのタイプがあるのですが、この4つのタイプ
(①都市、②飛行機で行く観光地、③都市周辺の観光地、④温泉地)によってコロナ禍に
おける大きな差が出ましたし、今でもまだ存在しています。①都市にある施設が、コロナ禍
において一番回復が難しかったし、マイクロツーリズムの作戦が取りにくかったし、今でも
戻ってきていないのがお分かり頂けると思います。価格はあまり下げていないので、本当に
純粋に、2019年と比べることが出来ているのですが、インバウンドは相当都市に来ており
ましたので、国内だけで見るとそこそこ戻っては来ているのですが、インバウンドが戻って
来ないことには都市のマーケットは回復しないということが、お分かり頂けると思います。
②飛行機で行く観光地が次の、不調な方から2番目のカテゴリーになります。価格は
そこそこ維持しているのですが、沖縄に離島のようなケース、北海道もそうですが、稼働は
十分に戻りきっていないというのが、お分かり頂けると思います。③東京周辺の観光地、
軽井沢、那須、八ヶ岳、熱海、箱根、こういったところは、稼働が完全に戻ってきており
まして、この表は5月の数字ですが、他の月を見ても殆ど稼働が戻ってきておりまして、
業績は回復しているようです。そして④温泉地は絶好調です。単価も維持でき、場合に
よっては以前より高い単価を取れているところもありますし、稼働も2019年比でプラスに
なっているところも、私共の界では殆どです。これを見ていて私は、なんでこういうことが起こっているのだろうかと考えてきたのですが、私の仮説はこんな感じです。2019年の
観光消費額は27.9兆円ありました。インバウンド(4.8兆円)+国内市場(22兆円)+
海外旅行(1.2兆円)+海外で支払う消費(プラスα)がありますが、コロナ禍において
私達は、インバウンドを失っても、海外旅行組が国内に戻ってくるので、ここを狙って
いこう、マイクロツーリズムで狙っていこうというのが、私共の作戦だった訳です。そして、
それがそこそこ上手く働いて、今の業績に繋がっていますが、コロナが終わりつつある中で、
インバウンドが戻ってくるというステージに入っています。ということは、インバウンドが
戻ってくるということは、逆に言うと、海外旅行も復活するということになります。なので、私達がコロナ禍で狙っていた範囲が、単に移動するということを予想しています
よって、コロナ禍ほど温泉地の単価アップ、稼働アップは続かないのではないかと思って
います。国内に来ていた売り上げが、インバウンドの部分に戻るということになります。
インバウンドは都市部ですので、温泉地、都市周辺の観光地の売上げが、都市に移るのと
言う現象が起きるのではないかと思っています。国内消費における、「海外旅行組+海外で
の消費」の部分の寄与が想像以上に大きかったと感じています。元々は、インバウンド
4.8兆円に対して、海外組+海外での消費は3兆円ぐらいと予想していたのですが、もしか
すると4.8兆円と同等、若しくは、大きな数字があったのではないか思われます。これは
国の数字では把握できていないことなので、正確には分りませんが、肌感覚としては、相当
な額ではなかったのか。そうでなければ、都市周辺の観光地、温泉地の高稼働、高単価を
説明しきれないと思っています。そして、インバウンドが、2019年比で言うと、アウト
バウンドに置き換わった状況になるのですが、2019年と今の違いは、円安が加わって
います。円安の効果を考えると、インバウンドは若干プラスに働きますし、日本人の海外
旅行にとっては高く感じます。これは、国内にとって若干プラスとなります。ということで
2023年から2024年にかけての私の想像は、マーケットが戻ってくるわけではなくて、アウトバウンドのマーケットの戻りが、円安によって遅れるために国内における旅行事業、菅観光事業にとっては良い状態が続くのではないかと思っています。ただ、注意すべきところ
は、コロナ禍においては、③都市周辺の観光地、④温泉地がアウトバンドの大きな需要を
受けてきて好調だったのが、①都市、②飛行機で行く観光地にシフトしてきますので、
①、②がプラスになるのですが、③、④は少し気を付ける必要があり、良いニュースばかり
ではないということだと思っています。そして、星野リゾートは、2019年、まだまだ都市
で稼ぐだけの都市ホテルを持っていなかったのですが、このコロナ禍で、多くの施設を運営
を任させるようになりました。なので、①、②が戻ってくる時には、そのベネフィットを、
しっかりと業績に繋げて行くことが出来るのではないかと思っています。以上です。
<Unquote>

ご視聴有難うございました。
30頁をご覧下さい。星野リゾートの取組みですが、星野リゾートはアフターコロナに
向かうに連れて、先程、代表の星野が申していましたように、都市、飛行機で行く観光地の
需要が進むと考えており、戦略的に新規運益施設の展開を進めています。一方、昨今の円安
傾向が継続すれば、インバウンド需要の増加、アウトバンド層の国内旅行シフトが起こって、
国内旅行市場に好影響をもたらすものと考えています。
31頁をご覧下さい。星野リゾートグループは、コロナ禍においてマイクロツーリズムや
三蜜回避滞在、地域連携プロジェクト等の取組みを、いち早く実施することで業績を維持・
向上させ、その危機対応能力、需要創出力の高さを示してきたと考えております。コロナ禍
おいて、星野リゾートグループは、多くの開発案件を進捗させ、事業拡大のスピードを加速
させて来ています。左のマップをご覧下さい。2020年から2022年にかけての開業施設の
一覧です。コロナ禍で絶好調であった界が7施設、それからアフターコロナを見据えて、
都市観光のOMOが9施設、これらを中心に開業が進んで来ています。右下をご覧下さい。
コロナ禍2020年から2022年の開業の状況を纏めたものですが、施設数で22施設の開業
(実績、予定も含んでおります)、部屋数で換算しますと2,577室を増室する見込みです。
32頁をご覧下さい。それから、星野リゾートではアフターコロナを見据えて、スモール
マスマーケッティングの展開を始めております。当たり前のことですが、ホテルの稼働は
需給関係で決定されます。需要が供給より大きければ稼働が上がり、小さければ下がります。
とてもシンプルは仕組みです。この仕組みの中で仕事をしていますと、自社のホテルの稼働
を、地域の需給関係に依存しすぎることなく、自施設だけの需給関係を自らコントロール
する力を持ちたくなってきます。星野リゾートは2021年を皮切りに、大規模リゾート
ホテルの再生、温泉旅館の再生を担うことで成長してきましたけれども、それは、需要が
ないところに、魅力想像を通じて自ら需要を作って、自施設の需要関係を改善するという
取組みです。そして今、運営施設数が56と増え、スケールを活かした新しい方法でグループ内施設への需要を作り出そうとし始めています。それがスモールマスマーケッティング
です。スモールマスとは特殊なニーズを持ったセグメントであるが、ニッチ市場よりも、
大きな規模を持つセグメントを差しています。夫々のスモールマスセグメントに、その
ニーズに応えるユニークなサービスを提供するホテルチェーンとして認知してもらえる
ことが、重要となってまいります。ここでは、6つほどの需要を記載していますが、星野
リゾートはスケールを活かして、スモールマスセグメントへのブランド力強化を開始して
います。その特徴は、夫々の取組みを、市場全体に情報提供する必要はなく、夫々の
セグメントだけに訴求して、その中でブランド力を高めていくということです。ペット同伴
市場に対しては、ペットフレンドリーホテルとしてホテルリゾートを認知して頂く、そして
ミレニアム世代に対しては、自分を向いているブランドとして星野リゾートを認知して
頂くとこういった具合です。このようにスモールマスセグメントへのブランディングを
展開し、各セグメントでの市場シェアを高める力が自社施設需要をコントロールする運営
力に結び付いていくと考えています。
33頁をご覧下さい。本投資法人の目指す姿です。日本の観光産業の成長の果実を享受し、
投資主の価値の最大化を図る観光立国リートを目指しています。具体的には、5つに纏めて
記載をさせて頂きました。先ず一番上、資産規模については、中期的に3,000億円以上を
目指してまいります。物件構成につきましては、オペレーターの星野リゾート比率50%超
を目指してまいります。内部成長は、オペレーターとの協働による成長を目指してまいり
ます。財務基盤は、長期の安定性と取得機動性の両立を図ってまいります。ESGの取組み
として、長期的な投資主価値の向上を目指してまいります。
34頁をご覧下さい。資産規模の推移について図で表しております。先ほど申し上げた
ように、上場以降9年が経過しました。この間、コロナ禍での2回の公募増資を含めて、
合計で9回の公募増資を実施して、150億円の投資規模でスタートしたものが1,890億円、約12倍を超える資産規模に成長することが出来ました。今後は更に3,000億円を目指して
取り組んでまいりたいと思います。
3頁をご覧下さい。ポートフォリオの構成です。長期的に安定したCash—Flowが見込まれ
る星野リゾート運営物件の構成比率を、50%超にすることが当面の目標です。このパイ
チャートの内円ですがこれは賃借人の構成を表しております。観光業界にとって、大きな
打撃の事態となったコロナ禍においても、賃料減免、支払猶予をすることなく、賃料を支払
い続けた星野リゾートが、賃借人の84.8%占めていて、これも私共の強みでございます。
36頁は、スポンサーパイプラインの一覧です。一番右の第三者所有施設を除いて、取得
可能性のあるものを簡易的に試算しますと、合計で1,472億円となります。つまりは、中期
的に、1,472億円を超えるパイプラインが積み上がりつつあります。これらを適宜取得する
ことにより、資産規模3,000億円の達成を、目指してまいりたいと考えております。
次の頁以降、ESGへの取組みを詳しく記載しております。お時間のある時にご覧頂ければ、幸いです。
最後になりますが、今後も投資主の皆様が、日本の観光産業の成長の果実を享受できるよう、
本投資法人は、成長を続けてまいりたいと思います。引き続き宜しくお願い致します。