日本プロロジスリート投資法人 2022年11月期決算概要

日本プロロジスリート投資法人
2022年11月期(第20期)決算動画説明書&質疑応答
○動画   https://www.video-streaming.net/ir/3283/20_j/
○資料   
https://www.prologis-reit.co.jp/file/ir_library_term-a8f9c9e965f4c1d66633a90031c49bbc9948f4a9.pdf
○説明者  日本プロロジスリート投資法人 執行役員 兼
      プロロジス・リート・マネジメント株式会社 代表取締役社長 山口 哲
○説明 
2022年11月期決算説明に入らせて頂きます。
資料3頁をご覧下さい。当期の決算ハイライトについて5点あげております。1点目に、上場来10年間で12回の公募増資を実施し、ボラタイルなマーケット環境の中着実な外部成長を実現したこと。2点目に、安定的なポートフォリオ運営を継続し、好調な業績を確実に維持していること。3点目に、着実な賃料上昇により内部成長を実現させ、又、外部成長のドライバーとなるパイプライン物件は引き続き豊富であること。続いて業界トップクラスの強固な財務基盤を維持することで信用格付けが向上し、J-REIT最高水準の格付けとなったこと。最後にプロロジスグループを挙げて推進するESGでは、高水準の評価を維持し、KPIを達成しているという点です。それでは項目ごとに説明致します。
4頁をご覧下さい。公募増資を通じた外部成長についてです。本投資法人は、先月12月に第12回目となる公募増資を実施し、スポンサーパイプラインからご覧の、非常にクオリティの高い3物件を、合計434億円、平均NOI利回り4.4%という適正な価格で、取得しました。グローバル・オファリング、且つ、3度目となるグリーンエクイティ・オファリングで、マーケット環境を考え、規模を抑えた投資とし、着実に約250億円の新たなエクイティ資金を調達致しました。


5頁をご覧下さい。公募増資の効果を示しております。今回のオファリングにおいてもLTVは、現行の保守的な数字を維持したまま、一時効果調整後の一口当たり分配金が1.6%、NAVが0.3%上昇するAccretiveな増資を実現することが出来ました。
6頁をご覧下さい。当20期の業績、21期以降の業績予想です。当期のNOIは、平均稼働率が予想を若干下回ったものの、継続的な賃料増額改定の効果や適切なコストコントロールの結果、予想比+02%の20,891百万円の着地となりました。第21期から22期にかけてのNOIについては、新規取得した3物件による増収効果、着実な賃料増額改定の成果等により、力強く上昇致します。グルーバルで上昇する物価の影響がありながらも、本投資法人のポートフォリオ運営は、引き続き堅実、且つ、安定的に推移する見込みで、大きな懸念点はありません。更に、電気料金の請求方法、請求単価等について顧客の皆様と協議が進捗しており、Time-lagはあるものの、NOIは今後増加していくものと考えております。
次に一口当たり分配金です。7頁をご覧下さい。当20期は、こちらも予想を0.4%上回る4,927円の着地となりました。第21期から第22期にかけては、取得した3物件の増収効果等により上昇致します。予定されているリファイナンスによる金利上昇を見込みつつも、第21期が4,929円、第22期が4,962円となる見込みで、公募増資の際に申し上げた予想数値と変更はありません。

8頁をご覧下さい。次に安定的、且つ、着実に内部成長を実現しているポートフォリオの運営状況です。ポートフォリオの平均稼働率は、左上の折れ線グラフで示していますが、当期は97.8%、続き第21期、第22期は夫々97.9%、98.2%と予想しています。この水準は、本投資法人のポートフォリオ稼働率の上場からのTrack-Recordである97から98%内のレベルの合致し、かねてより申し上げている通り、現在のマーケット環境は健全な状況であることとも合致しているかと思います。賃貸借契約更改時における平均改定賃料変動率については、グラフ下の青地に白抜きの数字で記載していますが、当20期も+3.6%と、3%を大きく上回り、1年を通じた改定率も3.7%と高い改定率を達成しました。又、右側にグラフは、満了を迎えた契約の改定状況の打ち分けです。当20期においては、再契約率が80%台、又、80%を上回るスペースで賃料増額が達成できており、賃料上昇のモメンタムが継続しています。更に、21期においては、昨年末時点で既に78%が解決済みで、極めて順調なスタートを切っています。現在のレントギャップの解消とマーケット賃料の緩やかな上昇により、今後もポートフォリオの内部成長を継続させていきます。

9頁をご覧下さい。顧客へソリューションを提供し、顧客とともに成長するプロロジスならではの事例を一つ紹介させて頂きます。こちらは、本投資法人のBTS物件における初めてのリテナント事例です。BTS施設のプロロジスパーク尼崎Ⅲにおいて、MonotaRO様は、約5倍の拠点拡大を計画。先月に本投資法人が取得したプロロジスパーク猪名川1に約193,000m2となる大型契約で移転されました。プロロジスパーク尼崎3の後継テナント誘致を進める中、関東、関西の拠点を利用頂いているリピートカスタマーより、関西拠点であるプロロジスパーク大阪4から、約4倍の拠点拡大のニーズを一早くお聞きし、様々な調整を行ったうえで、プロロジスパーク尼崎3への移転を実現することが出来ました。この一連の取引において、プロロジスのインハウスチームとの協働によって三社Win-Winの取引を実現しました。MonotaRO様にとっては、プロロジスパーク尼崎3の後継カスタマーへの引継ぎによって、撤去工事費の削減と撤去工事期間の短縮による運営施設の不稼働期間の短縮を達成しました。後継カスタマーにとっては、新拠点における設備投資の削減と設備工事期間短縮による早期稼働が可能となりました。そして、本投資法人としては、初のBTS物件におけるリテナントに際して、ダウンタイムなく、賃料面でもしっかり内部成長が実現出来ました。又、プロロジス猪名川1の、早期リースアップを達成することで、外部成長を後押しする点でも有意義な取引となりました。このように各顧客が真に必要とする事項を理解し、見極め、全取引関係者がWin-Winとなる取引が出来るのは、広い視野を持ち、各関係者の真のニーズを理解できるプロロジスグループならではのことで、誰にも真似できないプロロジスグループの特徴だと思います。

10頁をご覧下さい。こちらは、本投資法人の豊富なパイプラインです。本投資法人は、昨年12月にスポンサーから3物件を取得し、又、同時に、新たにスポンサーが開発中のプロロジスパーク八千代1とプロロジスパーク古河4の優先交渉権を取得しました。結果、公募増資直後でありながら、優先交渉権取得済み物件は、現時点で4物件あります。加えて、スポンサーが開発中、若しくは、計画を具体化させている物件が7物件あり、パイプラインの合計は11物件、約2,200億円規模と引き続き力強いものとなっています。これらのパイプラインの裏付けにより、本投資法人は、引き続き年間500億円から600億円の外部成長を継続できる機会を、確実に確保できています。金融環境等を見極めつつ、適切なタイミングと規模で本投資法人の継続的な外部成長に繋げていきたいと考えています。

11頁をご覧下さい。引き続き業界トップクラスを維持している財務基盤についてです。当20期中においては、本投資法人の強固な財務基盤が高く評価され、JCRよりの格付けがJ-REIT61銘柄中で最高であるAA+(安定的)に向上しました。本投資法人の資金調達力、コスト競争力が更に強化されることになります。本投資法人の簿価LTVは、37.8%と極めてConservativeなレベルを維持しており、これを50%まで引き上げた場合の取得余力は、約1,900億円まで拡大しており、将来の外部環境に左右されず、成長を継続しうる体力を、しっかり確保しています。又、鑑定評価ベースのLTVは、28.2%と30%を下回る水準であり、借入金の98.4%は長期固定金利、平均負債コストは0.64%という低水準、有利子負債の返済期限も、下のグラフの通り、長期に亘り分散が効いています。昨年末の日銀の金融政策の修正によって、金利動向が不安定な局面にありますが、本投資法人は、他の投資法人と比較して、LTVが低く、負債の長期固定化を高いレベルで推進してきており、調達手段の多様化も継続させ、安定的な運営を行っていけます。
12頁をご覧下さい。5点目に、ESG関連です。本投資法人では、ESGの取組みに常に注力しており、ご覧の通り各指標で高評価を頂き、リーディングポジションを堅持しています。適格グリーンプロジェクト比率は、ポートフォリオの98.2%に達し、GRESBでは最高位の5—Starsを8年連続で取得、多くのESG指標に組み入れられていますがDow Jones Sustainability World IndexにはJ-REITで唯一組み入れられています。

又、13頁に記載のように、本投資法人ではプロロジスグループとともに、ESGに関わる需要課題、マテリアリティを特定し、独自にKPIを設定、グループで目標達成を目指しています。2022年を目標設定としていた2つのKPIにおいては、太陽光発電システムの導入における合計発電出力目標45MWであったところを、52.7MWと大幅に達成、又、LED導入促進における導入比率目標80%であったところを、82%と達成致しました。新たな目標の設定についても、野心的に議論を行っており、確定次第ご案内致します。
15頁をご覧下さい。物流不動産マーケットの動向について触れさせて頂きます。近年、先進的物流施設の新規供給量は、非常に多くなっていますが、それでもまだそのストックは、日本の物流不動産市場全体の6%程度と低い水準に止まっています。

16頁では、首都圏および近畿圏における大型マルチテナント型物流施設の空室率と、需給動向を示しております。物流不動産マーケットにおいては、物流効率化需要、EC需要に代表される需要は引き続き旺盛で、需要量は継続して大きいものの、供給量も多く、特に首都圏で、は2022年に供給量が過去最大を記録しています。その結果、2022年第三四半期末の空室率は、首都圏で5.2%、近畿圏では1.7%となりました。しかしながら、築1年以上の既存物件の空室率は、首都圏で1.7%、近畿圏では0.9%と依然低い水準にあります。本投資法人を含め安定稼働に入った物流特化型リートのポートフォリオ稼働率は、堅調に推移しており、空室率上昇の要因は、一部の新規開発物件に限定されているとも言えるかと思います。一方、需給バランスの緩和や、建設工事費の高騰を背景として、首都圏の供給は2023年に一旦のピークを迎える見通しとなっています。堅調な需要によって新規開発物件のプレリースがどのようなペースで進捗していくか、マーケットを注視していく所存です。

17頁をご覧下さい。上段の2つのグラフが示している通り、コロナ禍において日本もECの普及が進み、その普及率は8.8%に達しましたが、その比率は諸外国と比較すると、まだまだ上昇余地がある数字となっています。左下のグラフの通り、EC企業の賃借面積は年々増加傾向にあり、引き続き物流施設の主要な需要となっております。又、EC市場のみならず、物流業界における労働力不足や、新たなテクノロジー利用の流れから、ソフト面、ハード面の両面において、顧客の物流施設への要求水準は年々高まっています。このようなニーズに適用できる大型の先進的物流施設への需要は、引き続き非常に強く、これを追い風に本投資法人は、今後とも力強く成長出来ると考えています。
20頁をご覧下さい。最後に、上場10年を迎えるにあたり、10年間を振り返り今後の展望をお話しさせて頂きます。資産規模は5倍に、鑑定評価額合計は1兆円を超え1.6倍と成長し、上位5物件比率は、上場時70%を超えていたものが20%を下回り、上位20テナント比率は52%と分散も進みました。大きく成長する中、簿価LTVは5.6ポイント下落させ、40%を切る保守的、且つ、環境変化に関する耐性力のある高い水準となり、取得余力も10倍に、そして、Cap-Rateが下落する中、我々のポートフォリオ全体のNOI利回りは、5.1%と非常に魅力的な水準となっています。大きく成長し、分散効果を進展させ、財務基盤も強固となり、今後の成長余力も大きいことから、格付けもR-REIT業界最高水準の評価を頂けているものと自負しています。

21頁に記載の通り、我々が上場来、常に重きを置いてきた、一時効果調整後の一口当たり分配金と、一口当たりNAVの成長に関しては、年平均成長率で夫々、4.3%、10.0%と安定的、且つ、継続的に成長してきました。投資口価格も上場来、Indexを大きくOutperformし、時価総額は6.5倍と流動性を大きく増し、投資主価値の向上を達成してきました。
22頁をご覧下さい。日本に賃貸型物流不動産マーケットを誕生させ、今日のように大きなマーケットに成長させたスポンサーのプロロジスグループ、そして、J-REITにおける物流セクターを大きく成長させた我々日本プロロジスリート投資法人、常に時代に先駆け機能性、防災性、環境性能、利便性といった付加価値を物流施設に組み入れ、我々投資法人は、プロロジスグループとともに成長してきました。更なる先を見据えた時に、高まるESG経営の要請、不確実性の増大等が考えられます。我々は、スポンサープロロジスとともに、物流不動産に今後も革新的な付加価値をもたらし、ステークホルダーの皆様とともに進化し、自身のProfessionalismに磨きをかけて、業界で唯一無二の存在になるべく、今後も進んでいく所存です。

本日の私からの説明は以上です。
グルーバルで生じているインフレ圧力に加え、物流不動産マーケットの需給動向、更には、金利、株式マーケットの動向等、金融環境に変化が見受けられます。コストアップを超える賃料やその他の収益アップ、更に、的確なコストコントロールによる内部成長を進め、スポンサーパイプラインでの外部成長を継続、今後の環境変化によって生じる可能性のある他の外部成長機会も、今後注意深く探っていきたいと考えています。引き続き投資主の着実な拡大を目指した、安定した業務運営を継続したいと考えております。皆様方には引き続きご指導、ご支援を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
本日は、ご清聴有難うございました。

質疑応答
Q:9頁で、今回具体的な拡張ニーズを捉えた事例を示されておりますが、現状プロロジスのポートフォリオで、同じような拡張ニーズを持たれているようなテナントは結構おられるのか、若しくは、御社のポートフォリオにはないが他のところからの拡張ニーズは引き続き強いものなのか、事例をお話しできるのであればお聞かせ頂きたい。要は、需要は引き続き拡大しているのかをお聞きしたい。
A:需要の強さ、拡張ニーズについての質問と思いますが、現時点において、私共のポートフォリオで拡張ニーズがあるかについては、何時、何処でというような具体的なのものはありません。ただ、潜在的に、規模の大小は別として、そのようなニーズをお持ちの顧客は結構居られると、営業サイド、PMサイドからは聞いております。又、外のニーズですが、プロロジスサイドでは、新規開発案件でリーシング活動を行っておりますが、先の物件に関しても、例えば、2年後に出来上がる物件に関しても、大型のニーズについて相談を受けていると聞いておりますので、供給が多い中でも、需要は減退をしているということではなく、大型を初めとして、中小の需要もしっかりとあるという状況が、我々のポートフォリオの中、プロロジスの新規開発の中、外の話であると感じております。

Q:8頁の賃料の増額モメンタムは決して衰えていないとのことで、直近+3.6%の増減率を確保したとのことでしたが、これからについてはどのような見通しを持たれているのか。具体的には2023年5月期に関しても、90%のテナント部分が賃料増額に応じられるとのことですが、足元のマーケットで供給が多いという部分はありますが、テナント側から見ても賃料増額を受け入れるのが許容される雰囲気なのか、賃料モメンタムについて伺いたい。
A:賃料増額のモメンタムですが、供給が多いのですが、供給サイドも建設コストも上がっておりますし、土地の値段も高い状況と認識しており、それに合わせた賃料設定、募集賃料が出てきており、新規供給の物件が、マーケット賃料が上がるモメンタムを作ってくれている状況は、今でもあると認識をしており、顧客が賃料増が普通と認識されているかどうかですが、賃料増額交渉はいつの時代でも、どんな時にでも厳しいものでして、PMサイドがしっかりと根気強くやってもらっておりますが、言葉として正解かどうかは分かりませんが、CPIも含めて上昇しており、マーケット賃料も上がっているし、又、新規案件から聞こえてくる価格もそれなりに高いというところで、理解はされていると思います。それが、OKよ言うわけではありませんが、パーセンテージが示している通り、80%を超える、今成約しているところでは90%というところが、増額が出来ている状況にあります。

Q:先ほど物件パイプラインの紹介がありましたが、足元、金利の上昇もある中で、且つ、物件の売却をされる方々も、一部増えているという気がしないでもないのですが、取得のCap-Rateについては、これから多少高めの利回りで買えるような機会は出てきそうなのか、或いは、Cap-Rateの上昇までは見え辛いということなのか、取得利回り目線、若しくは、最近の売買事例を横から見てどのように感じておられるのかお聞きしたい。
A:Cap-Rateに関してですが、「今トレンドとしてこうです」としっかり言えるような状況ではなく、少し不透明な状況と思いますが、今まで我々の鑑定評価も年間0.1%ぐらい下がってきたという状況ですが、金融政策の修正・変更というところで、今までと同じように下がるかというと、そうではないだろうと思います。反転しますかというと、まだそこまでは見切れておりません。Risk Free Rateと今の物流のCap-Rateの間には健全なYield Spreadがあるのかなあと見ておりますが、ただ、プレゼンテーションの最後に申し上げましたが、今後の環境変化において何か良い取引が出来るような機会があるのではないかと言おうことに関しては、今年やるのか、来年やるのか分かりませんが、期待を込めて注視していきたいと思っています。直近の売買はそれほどある訳ではないのですが、聞こえてくる話というのは12月の前にビッドが行われて、こんなところが優先交渉権だよというような話であったり、その前に決済をしたような事例でいきますと、まだ低いCap-RateでのOfferがあったり、取引があったり、というところかなと思っており、上昇するというようなEvidenceみたいなものが見えているかというと、そうではないという状況と思っております。ただ、色々な変化が起こりえる状況と思っており、注視てみていきたいと思っております。

Q:増賃部分に関してですが、終わった期で賃料変動率が3.7%上昇ということですが、一方で、直近の日本国内のCPIの状況を見ると、ちょうどコアが+3.7%ということで、インフレ率とほぼ、ほぼフラットな状況と理解しておりますが、従来から言われておりますように、インフレ連動の賃料導入の見通しについては、今後どのように考えておられるのか、確認させて下さい。
A:CPI連動についてですが、資料の31頁をご覧下さい。現状として、我々として考えていますのは、2年か3年か前からプロロジスグループでは、7年を超える賃貸借期間の契約においては、5年ごとにCPIを基準とした賃料増額改定を協議しますと、基本的には賃貸人の方からオファーが出来て、原則としてはアップサイドオンリーというような文言を入れるということにしており、そのような対応を現在やっております。先ず1つの考え方としては、契約期間は7年ですが残存期間は2.2年ということでして、基本的には7年以下、5年とか3年とかいうものが多いのですが、そういったものについては定借が終わった時点で、CPI、マーケット賃料を含めスクラッチで交渉して、そこにおいては将来の物価変動に対応が可能ということで、今も行っている状況です。短めの契約に関しては、そのような条項が無くても定借が終わった時点で、経済環境を踏まえた賃料増額改定が可能で、今も実行できているという状況です。契約が7年超のところでは、2,3年前からやり始めておりますが、CPI等を参照として増額交渉が出来るのが27%です。1%が段階賃料となっておりますが、これは交渉の段階で色々ありますが、賃貸借期間の中で、賃料が段階的に上がっていくというような交渉が出来たものもありますが、ポートフォリオ全体では81%が将来の物価変動に対応することは可能です。2,3年前からCPIをベースとした協議が出来ることになっております。CPIの完全連動に関してですが、完全連動としますと、当然上も下もある訳で、アップサイドオンリーにしたいものの、日本においてはこれまでに下がることもあり、上がったとしてもさほど大きくなく、完全連動が果たして良いのかというのが悩ましいところと思っております。我々としては、CPIを基準に増額改定の交渉を行い、合意して、上げていく。そこにはアップサイドオンリーがあって、その下値はしっかりと抑えておくという形で進めております。

Q:26頁に業績予想が記載されており、右端に前期比比較が載っておりますが、拝見しますとデットコストの増加が2期連続で織り込まれているという状況だと思いますが、直近の借入れの利率を拝見しますと固定のSwap-Rateが従来とは大分膨らんできているようなイメージがありますので、話して頂ける範囲で、業績予想における金利上昇のイメージについてお聞かせ願いたい。
A:金利の動向は、目下足元では、皆さん気にされているところですが、私共としても今後の動向については予断を許さないものと考えておりますが、現実問題として国債利回りではなくSwap-Rateを見ると、1年ぐらい前からどんどん上がって来ていました。昨年の前半で300億円程度のリファイナンスがありましたが、上昇するSwap-Rateの環境下でやったわけで、結果的に非常に丁寧なリファイナンス交渉、色んなストラクチャリングをすることでデットコストをコントロールすることに成功しています。今後についても同様に、丁寧なやり方でやれば、基本的にデットコストのインパクトを最小限に抑えることが出来るのではないかと考えております。具体的には細かくトランチングしたり、年限分散して、私達は金利を変動にシフトしたりとかには、どちらかと言えば消極的ですが、今まで通り固く、固定金利で金利上昇リスクはヘッジしながらいきたいと思っております。そうした手法を組み合わせることによって、インパクトを最小限に押させることが出来ると思っております。今後の金利の見通しですが、メディアの報道には多少の誇張が入っていると思っておりまして、例えばですが、アベノミクスが導入される前の2012年とか2011年ぐらいの10年国債の利回りを遡ってみますと、最大値が1.2%、大体1%を切るようなところで推移していたのですが、安部さんがアベノミクスを始める前からそんな状態でしたので、上がることがあったとしても、国債の利回りは精々その程度までだろうなと、思っておりました。今、日銀の政策により、10年物の国債の利回りは0.5%でキャップを掛けられていますが、Yield Curveを線形補間すると、大体私達が見たところマーケットが示している適正値というのは、0.7%から0.8%ぐらいのところまで既に理論値は上がって来ており、そういう意味では、今後更に上がったとしても、そんなにすごく上がることはないのではないかと思っております。日本の人口動態とかマクロ経済環境を考えると、著しい高金利環境というのは考えられないと考えております。

Q:舞洲3、習志野5の2物件に関して、2022年5月期から纏まった空室があるかなと思っておりまして、ちょっとダウンタイムが長い印象を受けておりまして、この2物件に関して見通しについて教えて頂きたい。
A:空室になってから、継続的に色んな需要の話は頂いておりますが、各物件の現在の空室にぴったりと合うサイズとか、私達が望むタイミングなどが、なかなか合致するものがなくて、リーシングに当初の想定より時間が掛かっておりますが、今期中に穴を埋めて、安定稼働に持っていけるように、今動いています。実際、11月時点の稼働率が示すところから、一部契約締結に向けて動いているところもありますので、継続してリーシングに注力しております。

Q:LTVのスタンスについてお聞かせ頂きたい。資金調達の状況によっては、借入金によって新規物件を取得することになろうかと思いますが、どのような市場環境となった場合にLTVの水準を上げていくのか。一方、今後の金利上昇を踏まえますと、借入金を増やすことはNegativeに効いてくることもありますので、その辺りの考えをお聞かせ頂ければと思います。
A:従来の保守的な財務戦略を大切にしていきたいと考えています。現在簿価LTV38%で、多少ののり代は有ると考えています。坂下の時代からLTVは40%以内のところでコントロールしてまいりますと申し上げておりますので、多少ののり代は有りますが、それを著しく引き上げるようなことは、今の環境下では適切ではないという風に考えております。パイプラインも豊富にある訳ですが、環境の変化によっては第三者物件、ポートフォリオ、そういったところにもAcquisitionのチャンスはあると思いますので、寧ろ、LTVを使ってでも機動的に我々が動くという局面は、そうした魅力的な機会がパイプライン以外から出てくる時が最優先なのかと考えています。私たちの財務方針は、今までとそれほどの変化はないとご理解頂ければと思います。

Q:スポンサー側の年間の開発規模ですが、今、金利の上昇とか、コロナ禍収束に伴うECの市場に対して成長率が鈍化するのではないか等々のはなしがあるが、今後この規模感が縮小していく可能性があるのかについてお話を伺いたい。
A:物流施設の需要に関しては、予てよりあります物流の効率化、ECの需要があります。ECは言われる通り、コロナ禍の2年間で大きく成長してきたと思います。数字で言えば、例えば、コロナ禍で売上の成長率が20%あったとすれば、コロナ禍前では10%程度。After Coronaでは、以前に戻り10%程度の水準かなと思っております。この10%は、売上の母数としては売り上げの総数が大きくなったところの10%という数字であり、今見ても、将来的な床の需要は、ECの方からも多く出てきており、ここで大きく減退するようなものではないと思いますし、プレゼンでも少し触れましたが人手不足があり、それに端を発するような自動化、それに資するような大型の先進的物流施設の需要はしっかりとあり、それにミートするような形での開発のペースというのは、プロロジスは基本的にコロナ禍ですごく成長している時に1,000億円、2,000億円やるんだというようなことはやってなかったと思いますが、500億円から600億円の我々の外部成長機会が出来るレベルの大物は、安定的に行っていく計画と聞いておりますし、今までのトラックレコードを見ても、おこなっていけると思います。我々が最近取得しました神戸の物件とか猪名川というのも、どちらかというと土地の段階から結構長い時間をかけて土地作りとかを行ってきていますので、少し早めの土地の手当てなどを順番に、パイプラインに載っていないところから、土地に関しては競争に晒される前に手を付けて、継続的に、安定的にマーケットに供給が出来る、顧客に提供が出来るスタンスでプロロジスは進んでおりますので、需要の鈍化はありませんが、新規開発のペースが鈍化して行くということは、今のところはないのかなと思っています。

Q:2,200億円のパイプラインについてですが、リーシングの状況に変化はありますでしょうか。竣工が先の物件もありますが、多くの早期組入れが可能な物件があり、他社との競合物件の関係でリーシングに時間が掛かっているような物件が出てきていないか確認をお願いします。
A:リーシング状況ですが、これらはプロロジスの保有物件であり、我々の方から細かく言及できないものがありますが、プロロジスで公表しているのは、猪名川1は100%ですし、草加も100%と公表しております。開発中のものでも、BTSのつくば3は、1社の専用センターですので契約が決まっている状況です。八千代1と古河4ですが、八千代1は昨年後半に出来たものでありますが、数字は公表されていませんが、基本的に全体感としてプロロジスの物件については、順調に進んでいると申し上げさせて頂きます。マーケットがタイトな状況の時には、竣工時には全て決まっていることもありましたが、猪名川もそうですし、草加もそうでしたが、通常のビジネスモデルは、出来上がって1年間をかけて90%以上の安定稼働に持っていくというように、プロロジスは考えて、やってきております。この考え方よりも若干早めのペースで、八千代1は進んでいきそうなリーシング状況になっていると聞いており、順調に進んでいるとご理解頂ければ宜しいのではないかと思います。草加、猪名川1は非常に大きな物件であり、我々としての取得機会は十分に備わっていると思っています。

Q:これら2,200億円に関しては、建設コストとか色々と固まっていると思いますが、先ほどもスポンサーの開発の話がありましたが、この後入ってくるようなパイプラインの話は、一連の建設コストの上昇とか、資材の高騰とか諸々のところで、価格としては上がってくる可能性があるのか。その場合でも、賃料に転嫁できるので利回り的にはあまり落ちない程度で、パイプラインの積み上げが出来るのか、先の見通しとして伺えれば幸いです。
A:今後の開発着工の物件については、言われる通り工事費は上がっており、プロロジスとしては、今までの長い歴史の中での付き合いもありますし、色んな工夫が出来ますので、マーケットで言われている分が全てという訳ではありませんが、当然上がって来ています。それらを上手く、デットコストではありませんが、工夫をしながら仕上げていくことになると思います。1つベーシックなことで申し上げますと、工事費が上がっているので、価格が上がるというものではなく、当然ながら鑑定評価の収益価格というのがあり、工事費が上がることで高くなる、というものではなく、適正な賃料を取って、適正なコストで計算をしたCash-Flow、NOI利回りをもって我々は取得しますので、工事費が上がっているから、我々の取得価格は上がらなければならないとかは思っていませんので、そこはご心配頂かなくてもよろしいのではないかと思います。

Q:先ほどの話では。順調に賃料増額か実現できているとのことでしたが、今走っている期と来期は、大体同水準と見ておいてよいのか、3%後半から4%ぐらいは実現できると見ておいてよいのか。
A:第21期、第22期の賃料増額については、断定的に申し上げることはできませんが、常に申し上げているのは、3%は死守したい、時には3%レベルという言い方をしているかもしれませんが、その水準間で足元の第21,22期は出来るかなというふうには思っています。6ヶ月でデータを取りますので、今回は、3.6、3.7とほぼイーブンでしたが、第21期、22期と6ヶ月で切りますので、ある期は高く、ある期は3フラットとか3を切ることもあるかもしれませんが、基本的には1年間で3%を上回る、出来れば同じようなレベル、3.5%、3%台の中盤ぐらいのレベル間の数字を達成出来たらなあと思っておりまして、恐らくトレンドというか、色んなエンドが来る、リースの物件であるとか、リース個別の需要のシチュエーションありますので、基本的には第19期、20期の去年のレベル間と、トレンド間としては変わりがないのではないかと考えておりますので、そのレベル間で我々も業績の予想を出しているというところです。

Q:取得目線についてですが、昨年末の日銀の政策決定会合で、金利状況は変わりつつありますが、マーケットのCap-Rateは変わっていないというのは、そうなんだろうと思いますが、今後、今年、来年と御社が物件取得する際のCap-Rate目線が変わって来る可能性があるのかないのか、ちょっと様子見なのか、場合によっては様子見で、物件取得のペースが後ろ倒しになる可能性はあるのかどうか。
A:マーケットキャップに注視をしなくてはいけないと思っております。ここでの目線感と言いますと、我々の今回のCap-Rateの鑑定評価は、Cap-Rateでいきますと鑑定NOI Yieldが4.1%ですので、新たに取得する物件が、我々の今のポートフォリオと同じクオリティ、立地ということいきますと、4%の前半レベルのCap-Rateの水準になると思っております。様子を見て、外部成長が止まるのかということについては、ある一定のところで判断していかなくてはいけないと思っており、結論的には、様子を見なくてはいけないので外部成長を少しスローダウンさせてやっていこうという考えは、今のところはありません。今までもそうでしたが、1物件、2物件、3物件、出来ればポートフォリオの形でもって、Cap-RateのMarket Trendも全体感というケースもありますし、物流で、今どちらかと言いますと、トップというよりも、少し郊外部分がプライムのエリアに近づくと言うか、幅が狭くなってきているというようなトレンドもありますので、物件個別、エリア個別によってCap-Trendは異なってきますので、そのようなところを見ながら、買える物件をどのタイミングで買うかは慎重に考えて、やっていきたいと思っておりまして、それがために止まって少し外部成長を止めようか、というような計画は今のところありません。

Q:資金調達の工夫の部分についてですが、もう少し詳しく工夫の部分についての説明をお願いします。
A:先ほど、トランチングという言葉を使いましたが、それは、凝ったストラクチャードファイナンスを意味しているのではなく、単純に年限を分散させて各年限の元本を小さくすると、金利スワップを取る時にNotional Amountが小さい方が、CompetitiveなRateが取れますので、そのような工夫をするかもしれないと、そのようなことを申し上げたまでです。J-REITという性格上、SimpleなVehicleですし、あまり凝ったスキームを持ち込んで、投資家の皆様がリスクを判断できないようなことをやるというのは、今のところあまりイメージしておりません。よっぽどそれが有利な条件を導き出せるものであれば別ですが、それほど凝ったやり方をやるつもりは、今のところありません。

Q:銀行からの資金調達ですが、取引関係を重視しながら、ある程度借入残高を尊重しながらやっていくというスタンスなのか、或いは、銀行から見れば行儀が悪いということになるかもしれませんが、背に腹は代えられなくなってきたら、ビッドみたいな形で、グレイドが低いところから優先的に調達するとかは検討されているのか。
A:ここにはレンダーの皆様も参加されていますが、お察しされているとは思いますが、プロロジスのカルチャーとしてそれほどアグレッシブな財務戦略を取るつもりはなく、より長期的にレンダーの皆様と私達がWin-Winの関係になれるような交渉を行わせて頂きたいと思います。当然、お金に関する交渉ですので、そこには常に緊張感はありますが、それをもって、私共がそれまでの長期的な関係性を無視してビッドを行うとかは、今のところは考えておりません。

以上を持ちまして決算説明会を終了させて頂きます。