アドバンス・レジデンス投資法人 2023年1月期決算概要

アドバンス・レジデンス投資法人
2023年1月期(第25期)決算説明および収益基盤強化等の新たな取り組み
1.2023年1月期(第25期)決算動画説明書
〇動画   https://www.net-presentations.com/3269/20230315/98y7bjhs/
〇資料  https://www.adr-reit.com/files/optionallink/00002687_file.pdf
〇説明者 伊藤忠リート・マネジメント株式会社 執行役員住宅事業本部長 工藤 勲
〇説明
第25期アドバンス・レジデンス投資法人の決算の報告を行います。
3頁をご覧下さい。決算ハイライトです。業績予測に対し当期純利益は+163百万円、その結果、一口当たり純利益EPUは予想比+118円の5,829円、一口当たり分配金DPUは予想比+115円の5,840円と決定させて頂きました。資産取得・売却については、2物件の取得、2物件の売却を行い、売却益510百万円を計上しました。資産運用は、稼働率が96.6%と高位安定で推移をし、入替賃料変動率も+2.5%と前期より上昇しました。資金調達ですが、0.69%の金利の低減を行うことが出来ました。サステナビリティの取組みについては、
GRESBリアルエステイト評価において、3年連続でセクターリーダーに選出され、住宅系J-REITとしては、初の4-Starsの評価を頂きました。
それでは夫々につき説明を致します。

5頁をご覧下さい。分配金の詳細です。左側が当期予側と実績の比較、右側が前期実績との比較です。先ずは予想対比です。売却益を除く予想EPU5,345円に対し+115円の5,460円です。主な増加要因は、既存物件の賃料、礼金等の収入の増加、および物件の取得によるものです。次に、右の実績対比です。前期実績5,406円に対し、物件の取得が寄与し+54円となりました。

7頁をご覧下さい。取得・売却実績についてです。取得については、今期23年2月に取得した物件と合わせて3件、6,420百万円、NOI利回りでは4.9%、エリアの分散を図りつつ、様々な住戸タイプの物件を取得しました。売却については2物件、1,660百万円で売却をし、売却益510百万円を計上致しました。売却益については、今後の安定分配の原資とし、一旦、内部留保させて頂きます。

9頁をご覧下さい。不動産売買マーケットです。引き続き不動産の売買マーケットは活況です。紺色の折れ線グラフが、保有物件の継続鑑定における利回りを掲載しております。今期も0.1ポイント低下しました。利回りの低下は、不動産価格の上昇を表しております。外部成長としては、今後の環境の変化には注視しつつも、現在はこのような環境下でもありますので、東京3区はスポンサーの開発案件を、その他のエリアは第三者から中心に、厳選して投資をしてまいります。

11頁は、ポートフォリオ全体の賃貸運営の実績です。先ずは上段、稼働率をご覧下さい。前期とほぼ同水準の96.6%と、高位安定で推移しております。中段が入替賃料変動率です。当期は+2.5%と、前期より0.9ポイント高い変動率となりました。タイプ別では、シングルタイプが-2.1%、コンパクトタイプが+2.1%、ファミリー&ラージタイプで+10.3%という結果でした。下段が募集関連収支です。こちらは、礼金から募集経費を差し引いたものを示しております。当期は0.7ヵ月と、前期、前年同期と比較で低減しております。

12頁は、エリア別賃貸マーケット動向です。各エリアとも、季節的な要因もあり、稼働率は多少変動しておりますが、概ね95%以上は維持しています。エリアの傾向としましては、福岡は好調を継続しております。札幌、仙台は順調に推移しております。名古屋は、供給増加の影響で、引き続き入替賃料変動率はマイナスとなっております。

13頁は、東京23区のシングルタイプの動向です。上段の折れ線グラフは、入替賃料変動率を記載しており、当期は-1.9%と前期から0.6ポイント改善致しました。右上のグラフは、2019年7月期から2020年7月期の賃貸マーケットの活況期に契約した人の状況です。2年間で28.3%から13.9%と、半数以上が入れ替わっていることが確認できるかと思います。この入れ替わりが進捗することで、シングルタイプの入替賃料変動率がプラスに転じる要因の一つと考えております。下段では、人口増減と着工数を記載しております。ご案内の通り、人口動向は2021年より良化をしておりますが、まだ、回復途上と言ったところです。この人口動向は、特に注視をしてまいります。

14頁は、入替・更新の賃料変動実績です。右側記載の住戸タイプ別をご覧下さい。シングルタイプのマイナスの主な要因は、契約比率の高い東京23区が牽引、又、下落率は名古屋が最も高くなっております。他方、ファミリー&ラージタイプは、どのエリアも順調に推移をしております。下段左側の更新については、+0.9%と前期より0.5ポイント上昇致しました。

16頁をご覧下さい。賃料坪単価の推移とギャップの推移です。左上のグラフをご覧下さい。当期は賃料坪単価が、0.47%上昇致しました。その要因は、中段に記載の通り、エリア別では東京23区、タイプ別ではファミリー&ラージタイプが牽引しております。これらの結果として、右上に記載の通り、賃料ギャップは+2.1%となっております。
18頁は、資金調達についてです。上段に記載の通り、当期の調達金利は0.69%、6.8年と、
金利の低減、年限の長期化を図ることが出来ました。こちらに記載の赤い折れ線グラフの通り、調達金利は上昇しております。今後は金融費用、調達年限等のバランスを勘案しながら、安定的な財務基盤を維持しつつ、対応してまいります。右下が総資産LTVの水準となります。当期末では、49.3%となっております。

21頁をご覧下さい。サステナビリティの評価です。左上に記載の通り、GRESBリアルエステイト評価において、3年連増でセクターリーダーに選出されました。又、住宅系のリートとしては初の4-Starsの評価を頂きました。その要因は、右上記載の環境パフォーマンスデータに対する第三者保証の取得、および、左下記載のCO2排出量のScope1-2削減実績と考えております。又、この度、2030年までのScope1-2におけるCo2排出量削減目標が、科学的な根拠に基づくものとし、SBT認定を取得することが出来ました。

22頁は、サステナビリティの取組みについてです。23年3月に運用会社にてESGレポートを発行しました。今後も継続して様々な取組みを推進してまいります。
最後に業績予想です。33頁をご覧下さい。右上に記載しています予想DPUは、2022年9月予想の、今期5,725円に対し+45円の5,770円、翌期5,780円としました。その前提となる想定稼働率は96.4%としております。先ずは左下の、紺色の棒グラフをご覧下さい。当期の売却益を除くEPUは5,460円でした。今期は、物件取得の効果+44円、他方で既存物件では賃料収入の増加はあるものの、修繕、水光熱費用の増加で-33円、販管費等の増加で-82円となり、その結果中央記載のグレーの棒グラフ、税期比-71円の5,389円としております。この販管費には、一過性、季節要因が含まれており、その影響は35円程度となります。次にインベーション工事の拡大、償却方法の見直しの影響が-340円、その結果、右から2つ目の紺色の棒グラフに記載の通り、EPUは5,049円となります。この340円は、負のれん変動額追加取り崩しで充当致します。こちらの詳細は、別途説明しております
「収益基盤強化等の新たな取組み」を是非ご覧下さい。更に、負のれん定額取崩し242円、内部留保の取崩し137円を加え、DPUは5,770円としております。翌期もほぼ同水準としております。右下グレーのボックスは、物件売却益による内部留保の残額を記載しております。翌期取り崩し後は、218円となります。この内部留保は、今後の進捗状況を見ながら、追加の取崩し対応を検討してまいります。
説明は以上となります。ご視聴頂き、誠に有難うございました。

2.収益基盤強化等の新たな取組み
〇動画  https://www.net-presentations.com/3269/20230315R/cdffr567yu/
〇資料  https://www.net-presentations.com/3269/20230315R/cdffr567yu/data/00.pdf
〇説明者 伊藤忠リート・マネジメント株式会社 取締役副社長執行役員 高野 剛
〇説明
アドバンス・レジデンス投資法人の長期安定的な利益分配の実現という基本方針に基づき、今般収益基盤強化等の新たな取組みを決定しましたので報告致します。
2頁をご覧下さい。収益基盤強化等の新たな取組みの具体的施策として3点を決定致しました。1点目、専有部リノベーション工事の拡大推進です。投資法人の資産たる建物の専有設備は、基本的の経年劣化により競争力は低下をし、収益も減少してきますので、計画的にリノベーション工事を施すことにより、逆に収益を増大させることを目指します。2点目は、償却方法の見直しです。現在の会計処理方針では、今後大規模修繕が増えていく中、既存の資産の償却も続くことで、償却額が増加するため、既存の資産の償却方法を見直し、逆に減少させていくことを実施致します。3点目は、負ののれんの定額取崩しに加え、変動額追加取崩しの実施です。今申し上げた2点の具体的な取組みによる弊害として、取組み推進に伴い、一定期間において営業損益において、マイナス要因の発生が想定されますので、現在の負ののれんの定額取崩しに加え、これら取組みによる営業損益のマイナス要因を相殺する負ののれんの追加変動額追加取崩しを実施致します。

詳細について説明致します。1点目の専有部リノベーション工事の拡大推進についてです。
4頁をご覧下さい。これは、過去12年間のリノベーション工事の実績です。2005年11月にエンジニアリング事業の専門部署を設置以降、2013年8月には、J-REIT運用会社としては初の1級建築士事務所登録をし、在籍1級建築士5名を中心とした、能動的なフルリノベーション、Value-up工事を行ってまいりました。実績としては12年間で、総工事件数586戸で、これは期あたり24戸の工事実施件数になります。これによってリノベーション後の賃料は平均で20.2%上昇し、その後のリテナント賃料も、平均では前賃料を下回ることなく推移しております。今後の専有部リノベーション工事の拡大推進には、この知見を生かしてまいります。

5頁は専有部リノベーション工事の計画です。工事対象は、原則東京23区のパススルー11,693戸の70%程度にあたる約8,000戸です。タイプは、シングルタイプを中心に計画しています。工事件数は、従前の期あたり24戸から減価償却費を上限とする期あたり12億円、戸数ベースでは期あたり300戸程度まで拡大します。これは、工事対象8,000戸、全てを行うのに、13年程度掛かる計算となりますが、期間を長くすることで、リノベーション後の経年劣化の分散には寄与してまいります。又、本工事はライフサイクルコストの一環として行うものではありますが、ハードルレートは12.7%アップと想定しており、経年劣化による賃料下落を考慮した場合、より賃料上昇が図れると考えます。
次に償却方法の見直しについてです。7頁をご覧下さい。現在の会計方針では物件取得時の付帯および付属設備、機械および装置の減価償却は、建物の法定耐用年数に準じて、一律に償却されております。しかし、本質的には、施設・設備等は建物よりもその償却年数は短く、又、その付属設備等の中でも、区分によって償却年数には違いがあります。現在では、これらが一律に償却されていますので、実質的には付属設備等の償却が終わっているにも拘わらず、会計上は減価償却が継続する形となり、更に、定期的な大規模修繕工事費用が、これらに加算され、減価償却費を増大させております。よって、この償却方法を見直すことにより、実質的な価値の減少と会計的な価値の減少を一致させてまいります。但し、この見直しにより、付属設備等の償却年数が短縮され、償却額が増大しますので、見直し後一定期間は減価償却費が現在よりは増加致します。しかし、この部分は、この後説明させて頂きます負ののれんの変動額追加取崩しで、相殺することを企図しています。
次に、負ののれん(一時差異等調整積立金)追加取崩しについてです。9頁をご覧下さい。収益基盤強化等の新たな取組みについての、具体的施策としての専有部リノベーション工事の拡大推進、償却方法の見直しは、想定パラメーターの計画上は、そのいずれも会計上は、一定期間の営業損益のマイナス要因を発生させます。専有部リノベーション工事は、工事金額の償却が、会計上は12年で行われるため、減価償却の金額が大きくなり、想定のハードルレートによる賃料上昇では、償却期間中は営業損益のマイナス要因となります。但し、実際のオペレーションにおいては、ハードルレート、想定賃料を超えるターゲットレート、募集賃料で募集をし、成約をしますので、実績としては全体でこの部分の営業損益がマイナスにならないような運用を目指してまいります。又、償却方法の見直しは、設備の償却年数が短縮され、償却額が増大するので、見直し後、一定期間は減価償却費が現在より増加をし、営業損益のマイナス要因となります。よって、これらの一時的営業損益のマイナス要因を、負ののれんの変動額追加取崩しとして相殺をしていきます。

10頁をご覧下さい。負ののれんの変動額の追加取崩しの概念図です。現在の定額取崩しは、そのまま継続し、加えて、新たな具体的施策における一時的営業損益のマイナス部分を変動額として、新たに追加取崩しを行います。尚、変動額の追加取崩し額は、営業損益のマイナス要因における相殺としての取崩しのほか、逓増部分への寄与部としても行ってまいります。
11頁をご覧下さい。最後に、分配金の概念図です。今回の取組みにおける一時的なEPUの減少は、負ののれん、RTAを追加で取崩すことで埋めますが、更にEPUが逓増分配となるような負ののれん、RTAを活用した追加分配をしてまいります。但し、本件取組み以外の通常運用でのEPUの減少があれば、その部分はDPUが減少致しますので、それらは、基本的には発生させないように内部成長、外部成長、外部売却等を通じて、EPUの維持・向上に努めてまいります。尚、負ののれんで維持する分配金の下限水準は、引続き期あたり5,000円と致します。又、長期的には、EPUのみでDPUの水準を超えていくことを目指していきます。
説明は以上です。