日本アコモデーションファンド投資法人 2024年2月期決算概要

日本アコモデーションファンド投資法人
2024年2月期(第36期)決算動画説明書&質疑応答
○動画  https://www.net-presentations.com/3226/20240417/rgfbyj54/
○説明資料
https://www.naf-r.jp/file/ir_library_term-e983f277cf936ebe8c46bd2c4d4af34607f2a594.pdf
〇質疑応答
https://www.naf-r.jp/file/ir_library_term-22a71bc342d04ddf1051abaaa1999cc627835ba9.pdf
○説明者 株式会社三井不動産アコモデーションファンドマネジメント
代表取締役社長 小島 浩史
○説明 
本投資法人の第36期の決算につきまして、資料に基づき説明致します。
最初に36期の決算のサマリーです。2頁をご覧ください。36期の確定分配金は、35期決算発表時点において公表した予想を、419円上回る11,459円となりました。内部成長につきましては、稼働率は97.1%と、予想を0.1ポイント下回ったものの、ほぼ想定通りとなりました。又、入替時の賃料変動率は+5.6%、更新時の賃料変動率は+0.5%となりました。外部成長に関しては、36期に入ってからすぐの9月1日に、3物件合計31億円でホテルを取得致しました。財務面では、期末時点の加重平均金利は0.49%、長期有利子負債の平均残存年数は4.4年となりました。

次に決算の概要について説明します。5頁をお開きください。36期の営業収益は、12,586百万円と、予想に比べ52百万円の増収となりました。一方、営業費用は、予想より127百万円少なくすみ、結果として、営業利益は6,170百万円と、予想を179百万円上回りました。更に、営業外の収益と費用を加え、当期純利益は、予想を210万円上回る5,769百万円となりました。詳細については、次頁の一口当たり分配金の変動要因とともに説明します。

6頁をご覧ください。一番左側は、36期予想分配金である11,040円を示していますが、賃料変動率が入替時、更新時ともに想定を上回ったことなどにより、賃料、礼金、その他収益などが予想比増収となり、費用面では、水道光熱費が予想より少なく済んだほか、解約料が想定よりも少なく、修繕費、テナント募集費用などが予想に比べ減少したことで、既存物件では+332円、又、新たに取得した資産の修繕費等が、想定ほど掛からなかったことによる費用の減に加えて、更に、その他の項目での、予想にはなかった保険金収入や金利費用等の正負を加味した結果、当期の一口当たり分配金は、予想を419円上回る11,459円となりました。

次に今期の稼働率について説明します。7頁をご覧下さい。頁の上のグラフは、過去4ヵ年の月末稼働率の推移を示したものです。オレンジの太い線の右半分が、36期および37期中で公表済みである3月の稼働率、前年の8月期である35期の6月以降は、97%前後を維持しており、稼働が高い水準で安定的に推移していることが分かります。又、賃貸住宅のリーシングの繁忙期に当たる、1月から3月頃にかけての動きですが、1、2月の成約は、例年に比べると比較的落ち着いた動きでしたが、3月以降は成約が進みましたので、ピークが後ろ倒しになっている印象があるものの、繁忙期のリーシング活動は、総じて順調であったと考えております。この先の我が国の経済と雇用の拡大が期待される中、特に東京都区部では、コロナ禍が収束した後、再び人口流入が加速していることを背景に、年間通じた稼働水準については、順調に推移するものと考えております。

次の8頁は入替時の賃料動向の説明です。このデータは、テナント入替のあった住戸に関して、入替後の賃料と従前の賃料を比較し、その変動率を見ているものですが、従前より継続して示していますので、詳細は左上の表をご覧ください。下の図の黒い折れ線グラフが示す各期の変動率の値は、33期に反転して以降、今期も上昇トレンドを継続し5.6%となりました。右上の入替時賃料変動戸数比率の推移を示す棒グラフでも、オレンジ色の賃料上昇戸数比率が順調に上昇し、今期は74.2%となりました。尚、賃料変動の中身については、次頁以降で詳しく説明致します。

9頁は入替時賃料変動率の、エリア別および住戸カテゴリー別の動向です。上段のエリア別分析では、全エリアで前期からの改善が確認できます。下段のカテゴリー別分析では、35期にプラス圏に回復したシングルタイプの賃料変動率が更に改善したうえ、コンパクトタイプの賃料変動率も改善、又、ファミリー、ラージといった広めの住戸タイプへの引き合いは、引き続き強く、賃料変動率は高位で推移しております。都心部における人口世帯動向に鑑みると、これらのタイプの賃貸住宅ストックの不足は、構造的な問題であることから、需給の引き締まりは継続すると考えられますので、この先も高水準の賃料変動率が続くと思われます。本投資法人としては、テナント入替による賃料上昇を、内部成長の重要なチャンスと認識し、引き続き個別物件でのマーケティングを徹底することによって、全体での賃料上昇幅を拡大していけるよう努める所存です。

次の10頁は、36期の入替時賃料変動率の構造を分析したものです。左上のグラフは、東京23区内の物件の入替時における、賃料変動率と賃料変動額を各区別に分けてプロットしたものです。グラフ内の円の大きさは、各区別での本投資法人の賃貸住宅の投資比率を表しており、投資率が5%以上である上位6区の円を、オレンジ色で表示しています。ご覧のように、本投資法人の投資利率の高い各区では、相対的に高い賃料変動率となっていることが分かります。これらの賃料変動率の高い各区は、右上の表にあるように、2020年以降の人口増加率が他の区に比較して高く、都心部における高い利便性を背景に、居住ニーズが高まっているエリアと言えます。

こうした都心エリアにおいて大川端賃貸棟とパークアクシス豊洲、芝浦アイランドエアタワーといった、希少性の高いファミリータイプ中心の大規模物件が投資額の上位となっている点は、現在の運用環境において本投資法人に有利に働いていると考えております。又、左下の表は、入替時賃料変動率をカテゴリーごとに寄与度で分けた上で、全体の入替時賃料変動率がピークであったコロナ禍前の28期と、その後の32期以降の各期で比較したものですが、32期以降ではファミリー、ラージタイプの寄与度が高まっているほか、シングルタイプも着実に回復して、36期ではしっかりとプラスに寄与しています。又、現在もコロナ禍前の28期当時と同様に、コンパクトタイプが全体の牽引役であることがわかります。東京23区の投資率の高さ、コンパクト、シングルが中心であるうえに、特に都心エリアにおいて一定程度ファミリー、ラージタイプを保有しているという、本投資法人のポートフォリオ特性に鑑みると、今後においても堅実な収益の成長が見込めるものと考えております。

次の11頁は、更新時の賃料動向です。36期の更新による変動率は0.5%となり、コロナ禍前のピークであった0.6%に近づいてきました。賃料上昇基調の中で、次期以降も緩やかな改善を期待するものです。

次の12頁は、賃料単価の動向です。上段のグラフの通り、着実な賃料の成長が継続しております。下段の表で示すエリア別の分析でも、前期に続き、全エリアでの前期比上昇が確認されています。

次の13頁は外部成長の状況です。36期に入り、9月1日にスマイルホテル3物件を合計 31億円、NIO利回り平均5.6%で取得しております。尚、37期末の想定LTVは51.3%、LTV55%までの取得余力は約270億円となります。

続いて14頁で、スポンサーパイプラインについて説明します。現在、スポンサーの開発したパークアクシスシリーズは、東京23区を中心として41 物件、4,363戸が竣工済み、リーシング中です。総額で約1,500億円規模と見込まれます。右下に、スポンサーが開発したパークアクシスシリーズの供給実績を示しています。ここにあるように、スポンサーは近年、物件開発後に暫くの間物件を保有し、その後ゆっくりと売却を進めるケースが多いので、結果としてパイプラインが積み上がっています。売買マーケットは、過熱気味の状態が続いていますが、この潤沢なスポンサーパイプラインを生かし、外部成長の機会を探っていきたいと考えております。

次に資本的支出について説明します。15頁をご覧下さい。頁の左上にありますように、本投資法人の保有する物件の平均築年数は、17.2年となっています。36期の資本的支出は、資産価値、並びに、競争力の維持向上のため、大川端賃貸棟の設備更新工事やその他保有資産の大規模改修工事等を行った結果、938百万円となりました。36期を含み、これからの2~3年程度については、同様の工事が続くため、資本的支出の減価償却費に占める割合は、当面50%を超える水準となります。又、大川端賃貸棟を中心に、引き続きバリューアップ投資を、毎期1.2億円の規模で実施する計画ですが、こちらは下段の図表で示している通り、着実にトップラインの成長に寄与するものであると考えています。本投資法人と致しましては、これからもポートフォリオの資産価値の維持・向上を通じて、稼働率、賃料の上昇を図り、着実な成長に繋げてまいりたいと考えています。

次の16頁は、サステナビリティに関する取り組みです。毎年参加しているGRESBリアルエステイト評価については、2024年において3-Starsを維持できるよう、引き続き取り組んでまいります。又、サステナビリティに関するその他の取り組みとして、資産運用会社において、36期に地方創生応援税制、所謂、企業版ふるさと納税を利用して、沖縄県恩納村と佐賀県みやき町に夫々寄付を行いました。今後も企業市民として、地方自治体が進める環境、社会活動への貢献に取り組んでまいります。これらも含め、本投資法人と致しましては、この先も2030年までの定量目標の達成を中心に、サステナブルな経営を一層推進してまいりたいと考えております。

次に財務の状況です。17頁に示している通り、36期末の有利子負債は、合計1,675億円と変わらず、又、総資産に対するLTVも、51.2%と変更ありません。又、鑑定評価額に対するLTVは、鑑定評価額の増加により、33.7%と前期から0.5ポイント低下し、財務内容が改善しました。その他の指標に関しても、引き続き安定した水準を維持しています。コミットメントラインは、ここに記載の3行から、50億円ずつの合計150億円と変わらず、格付けもR&IからAA-、S&PからはA+と変更はありません。

18頁は期末時点の加重平均金利と、長期有利子負債の平均残存年数の推移です。36期は欧米主要各国で金利水準が高止まりし、本邦においても、長期金利が超低金利政策当時に比べると、やや上昇した中での財務運営となりましたが、リファレンスにおける影響を最小化しながら、必要な資金調達ができたと考えています。この先も、ある程度の金利上昇が想定されますが、平均借入コストの急激な増加を招かないよう、調達年限の柔軟化や固定・変動の金利ミックスを考慮に入れて、37期以降の調達に臨みたいと考えています。その上で、これまで通り、中長期の財務の安定性はしっかりと堅持しながら、今後の財務運営を行っていく所存です。

次は鑑定評価です。19頁をご覧ください。今期末時点の鑑定評価に基づく、ポートフォリオ全体の含み益は1,696億円、一口当たりのNAVは627千円となりました。鑑定評価における直接還元利回りは、売買市場の過熱感を反映して引き続き低下し、今期は3.48%となっております。

次は37期、38期の業績予想です。先ず、賃貸マーケットの見通しです。足元でのリーシングの状況は、近年における賃貸市況の最盛期であった2018年から2019年に差し掛かる前の状況に似通っていると考えています。この時期も解約料が通常年に比べ少なかったで、じわじわと稼働率が上昇しましたが、この先も同じような状況になっていくと考えられます。その背景としては、東京都区部への人口流入量の増加と、住宅の供給量の減少が挙げられます。2023年に見られた東京都区部への人口流入量の増加は、2024年に入ってからも継続しており、この傾向は更に続くものと考えられます。

一方で、価格の高騰などもあって、分譲マンションの販売戸数が少ない中、増加する需要を補うほどには、賃貸住宅は供給されていないとみられることなどから、賃貸住宅を巡る需給ギャップは、今後も拡大することが予想されます。従って、既に高水準にある稼働率ですが、今後も押し上げ圧力が働くとともに、仕事や家庭上のライフサイクルイベントなどを理由に、一定程度のテナント入替を定期的に発生するため、これらの入替を通じて賃料も着実に増額していくものと考えます。これに加え、日本経済全体が本格的に賃金と物価の好循環に入れば、今後、中長期的にも稼働率、並びに。賃料変動率について、数年ベースでの継続的な底上げが可能であると想定します。

尚、次期以降の稼働率については、37期は、季節性により36期より低下して97.0%とみられますが、これは前年同期を0.1%上回る予想です。又、翌38期は、前年同期の36期と同じ97.1%と予想しています。尚、今後の物件取得・譲渡については、現時点で確定したものはありませんので、業績予想には織り込んでおりません。37期、38期の業績予想については、21頁の一口当たり分配金の変動要因とともに説明致します。37期については、テナントの入替が多い期となりますので、既存物件で増収ではあるものの、原状回復費やリーシング費用が増加することにより、439円の減益となります。

その上で、運用報酬とその他の効果を加味して、一口当たり分配金は10,860円と予想しております。38期は、テナント入替の少ない期であり、礼金等の一時金収入が減少するため減収となりますが、一方で、原状回復費やリーシングの費用などが、前期よりも大きく減少するため、既存物件では、これらの要因により前期に比べ387円の増益となります。その上で運用報酬とその他の効果を加味して、一口当たりの予想分配金は、11,210円となります。

最後に22.頁は、LTVの推移と分配金のトラックレコードです。本投資法人のポートフォリオの物件力による、既存物件の収益も底堅さ、および、これまでのスポンサーパイプラインからの着実な物件取得により、ここまで安定的な分配金成長を実現してまいりました。説明の通り、本投資法人の運用資産の運用状況は、賃貸住宅を中心、この先は堅調なファンダメンタルズの下支えにより、最盛期にも似通った成長が期待できる状況になってきたと考えています。一方で、金融資本市場の今後の動きには、引き続き不安要素もありますが、その不確実性を定量化することは容易ではないので、金融環境の激変はないとの前提のもと、年間平均の分配金水準は、11,000円程度を安定的に出せる地力はついてきていると考えます。 これに加え、更なる成長が実現できるよう、鋭意、内部成長および外部成長の努力を行ってまいりたいと考えております。
私からの説明は以上です。ご清聴有難うございました。