日本アコモデーションファンド投資法人 2023年8月期決算概要

日本アコモデーションファンド投資法人
2023年8月期(第35期)決算動画説明書&質疑応答
○動画  https://www.net-presentations.com/3226/20231019/dk9fjakw/
○説明資料
https://www.naf-r.jp/file/ir_library_term-a03db50ce50daef1687da13e7193b91c3d4d7849.pdf
〇質疑応答
https://www.naf-r.jp/file/ir_library_term-1b316ad1930c0eda6c826a047f71799b3cdf468d.pdf
○説明者 株式会社三井不動産アコモデーションファンドマネジメント
      代表取締役社長 小島 浩史
○説明 
第35期の決算につきまして、資料に基づき説明致します。

最初に35期の決算のサマリーです。2頁をご覧下さい。35期の確定分配金は、34期決算発表時点において公表した予想を、315円上回る10,645円となりました。内部成長につきましては、稼働率は96.9%と予想を0.1ポイント上回りました。又、入替時の賃料変動率は+4.0%、更新時の賃料変動率は+0.3%となりました。外部成長に関しては、35期最終月の8月に1物件13億円で関西の寮社宅施設を譲渡し、36期に入ってから直ぐの9月1日に、3物件合計31億円でホテルを取得致しました。財務面では、期末時点の加重平均金利は、前期と同じ0.48%となり、長期有利子負債の平均残存年数も、前期と同じ4.7年でした。

次の決算の概要について説明致します。5頁をご覧下さい。35期の営業収益は、13,049百万円と予想に比べ581百万円の増収となりました。これは期中の稼働率が予想を0.1%上回ったことなどにより、賃貸収益が33百万円増加したことに加え、物件売却による利益を、548百万円計上したことによるものです。一方営業費用は、予想より29百万円少なく済み、、結果として営業利益は6,256百万円と、予想を611百万円上回りました。更に、営業外の収益と費用を加え、当期純利益は。予想を690百万円上回る5,892百万円となりました。尚、物件譲渡益548百万円のうち533百万円は、内部留保することとしました。

次の6頁が、一口当たり分配金の変動を、要因ごとに分析したものです。一番左側は35期の予想分配金である10,330円を示していますが、稼働率が予想を上回ったことなどにより、賃料平均、その他収益などが予想比増収となり、加えて、費用面では、テナント募集費用や水道光熱費を中心に、営業費用が予想に比べ減少したことで、既存物件では+188円、これに資産譲渡による譲渡益と内部留保額の差額の30円が加わり、更に、資産運用報酬の増加や、その他の項目での予想にはなかった保険金収益や、金利費用等を加味した結果、当期の一口当たり分配金は、予想を315円上回る10,645円となりました。

7頁をご覧下さい。次に、今期の稼働率について説明致します。上のグラフは、過去5カ年の月末稼働率の推移を示したものです。オレンジの太い線が、35期および36期中で公表済みである9月の稼働率です。前年の8月期である33期以降、全ての月で前年同月の実績を上回っていますが、今期もその傾向を維持しており、稼働水準の緩やかな切り上がりが続いています。 35期の期中平均稼働率96.9%となり、季節性の要因により前期の97.0%よりは低下していますが、予想での想定稼働率を0.1%、前年同期比でも0.4%夫々上回り、稼働率は着実な上昇トレンドにあると言えます。又、下のグラフでは、各期の月末稼働率の期中平均のトラックレコードを表示していますが、現在の稼働水準は、歴史的な高稼働が続いていた2018年2月期から、2020年2月期までの期間に差し掛かる前のこととほぼ同じであり、この先も社会経済活動が安定的に推移する中で、東京都区部への人工流入の回復を背景として、年間を通じた稼働水準の底上げが期待できる状況にあると考えております。

次の8頁は入替時の賃料動向の説明です。このデータは、テナント入替のあった住戸に関して。入替後の賃料と従前の賃料を比較し、その変動率を見ているものですが、従前より継続して示していますので、詳細は左上の表をご覧ください。下の図の黒い折れ線グラフが示す各期の変動率の値は、33期に反転して以降、今期も上昇トレンドを継続し4.0%となりました。右上の入替時賃料変動戸数比率の推移を示す棒グラフでも、オレンジ色の賃料上昇 戸数比率が順調に上昇し、今季は64.9%となりました。尚、賃料変動の中身については、次頁以降で詳しくご説明します。

9頁は、入替時賃料変動率のエリア別および住戸カテゴリー別の動向です。上段のエリア別分析では、全エリアで前期からの改善が確認できます。下段のカテゴリー別分析では、31期から34期まで、過去4期にわたりマイナスが続いていたシングルタイプがプラス圏に戻り、その他のカテゴリーを含めて、全てのカテゴリーで前期に比べ上昇しました。中でもファミリー、ラージといった広めの住戸タイプへの引き合いは、引き続き強いのですが、昨今の都心部における人口世帯動態の中で、これらのタイプの賃貸住宅ストックの不足が構造的な問題であることから、需給の引き締まりは継続すると考えられますので、 この先も賃料変動率の上昇が続くと思います。本投資法人としては、テナント入替による賃料上昇を内部成長の重要なチャンスと認識し、引き続き個別物件でのマーケティングを徹底することによって、全体での賃料上昇幅を拡大していけるよう努める所存です。

次の10頁は更新時の賃料動向です。35期の更新による変動率は0.3%となりました。次期以降も緩やかな改善を期待するものです。

次の11頁は稼働賃料単価の動向です。上段のグラフの通り、着実な賃料の成長が継続しております。下段の表で示すエリア別の分析でも、前期に続き全エリアでの前期比上昇が確認されています。
次の12頁では外部成長の状況を説明致します。35期から36期にかけて資産の入替を行いました。35期には、8月4日付で兵庫県芦屋市のドーミー芦屋を1,304百万円で譲渡致しました。これにより譲渡益548百万円を計上し、含み益を実現しました。そして、現在進んでおります36期に入り、9月1日にスマイルホテル3物件を、合計31億円、NOI利回り 平均5.6%で取得致しました。この資産入替により、資産規模拡大とNOIの増加を実現し、加えて、ホスピタリティ施設の築年数を若返らせながら、マスターリース契約の残存期間の長期化も果たしました。尚、今回取得した3つのホテルのマスターリース契約が、100%固定賃料であることは、安定的な収益の確保を目指す本投資法人として、高く評価できるポイントです。

続いて13頁でスポンサーパイプラインについて説明致します。現在、スポンサーの開発したパークアクシスシリーズは、東京23区を中心として39 物件4,080戸が竣工済み、リーシング中です。総額で約1,400億円規模と見込まれます。右下に、スポンサーが開発したパークアクシスシリーズの供給実績を示しています。ここにあるように、スポンサーは近年、物件開発後に暫くの間物件を保有し、その後ゆっくりと売却を進めるケースが多いので、結果として、パイプラインが積み上がっています。売買マーケットは、過熱気味の状況が続いていますが、この潤沢なスポンサーパイプラインを生かし、外部成長の機会を探っていきたいと考えております。

14頁をご覧下さい。次に、資本的支出について説明致します。頁の左上にありますように、保有する物件の平均築年数は16.7年となっております。これまでの資本的支出については 各期における支出額を平準化させながら、計画的な資産価値の維持に努めてまいりましたか、36期以降の概ね2年間程度は、大川端賃貸棟以外の賃貸住宅やホスピタリティ施設の一部において、大規模修繕、外壁補修、機械式駐車場設備の更新等の工事を集中的に行う計画としています。これにより資本的支出の減価償却費に占める割合は、50%を超える水準となります。又、大川端賃貸棟を中心に、引き続きバリューアップ投資を毎期1.2億円の規模で実施する計画ですが、こちらは下段の図表で示しております通り、着実にトップラインの成長に寄与するものであると考えております。尚、今説明しました規模での資本的支出を実施したとしても、既存保有資産の一部で償却が終了することによる効果も見込めるため、減価償却費全体では増えることなく、長期的には低減していく見通しであることは、前期の決算説明時に説明しました通りです。いずれにしましても、分配金への影響は出さないように資本的支出をコントロールしていきたいと考えています。

次の15頁は、サステナビリティに関する取り組みです。毎年参加しているGRESBリアルエステイト評価の2023年版が先日公表されましたが、前期の2-Strasから3—Starsへの復帰が果たせたことが今期のトピックスです。この要因としては、従前からの地道な活動の中で、TCFDへの賛同および情報開示や、賃貸住宅専有部のエネルギー使用量のカバー率向上の取り組みなどが評価されるものと認識しております。本投資法人としては、この先も2030年までの定量目標の達成を中心に、サステナブルな経営を一層推進してまいりたいと考えています。

次に財務の状況です。16頁に示しております通り、35 期末の有利子負債は合計1,675億円と、一部借入金の期日返済により前期から10億円減少し、総資産に対するLTV は51.2%と、同じく0.3ポイント低下しました。又、鑑定評価額に対するLTVは、有利子負債の減少と鑑定評価額の増加により、34.2%と前期から1.0 ポイント低下し、財務内容が改善しました。その他の指標に関しても、引き続き安定した水準を維持しています。コミットメントラインは、ここに記載の3行から、50億円ずつの合計150億円と変わらず。格付けもR&I からAA-、S&PからはA+と変更はありません。

17頁は、期末時点の加重平均金利と、長期有利子負債の平均残存年数の推移です。35期は、欧米主要各国で金利上昇が続き、本邦においても、長期金利が徐々に上昇する中での財務運営となりましたが、リファイナンスにおける影響を最小化しながら、必要な資金調達ができたと考えています。この先もある程度の金利上昇が想定されますが、平均借入コストの急激な増加を招かないように、調達年限の柔軟化や固定・変動の金利ミックス等を考慮に入れて、36期以降の調達に臨みたいと考えています。その上で、これまで通り中長期の財務の安定性はしっかりと堅持しながら、今後の財務運営を行ってまいる所存です。

18頁をご覧下さい。次は鑑定評価です。今期末時点の鑑定評価に基づくポートフォリオ全体の含み益は1,622億円、一口当たりのNAVは613,000円となっております。鑑定評価における直接還元利回りは、売買市場の過熱感を反映して引き続き低下し、今期は3.5%となっております。

19頁をご覧下さい。次は36期、37期の業績予想です。先ず、賃貸マーケットの見通しです。足元でのリーシングの状況は、近年における賃貸市況の最盛期であった2018年から2019年に差し掛かる前の状況に近寄っていると考えている。この時期も解約が通常年に比べ少なかったことで、じわじわと稼働率が上昇しましたが、この先も同じような状況になっていくと考えられます。その一番の要因は、2023年に入ってから底堅く推移している東京都区部への人口流入量の増加です。2023年は、1月以降 8月まで全ての月で転入超過となっていますが、これはコロナ禍以降の影響が残っていた2022年までとは様変わり、非常に力強い動きと言えます。東京都区部への流入者の大半は、単身世帯と考えられますので、これが9頁説明しましたシングルタイプの賃料変動率のプラス転換につながったと認識しています。シングルタイプ以外のカテゴリーは、従前からの力強い動きを継続しておりますので、この先は、全てのカテゴリーで底堅く賃料上昇が継続すると考えています。そのような見立ての中で、稼働率についての通年ベースでの緩やかな底上げ可能であると想定します。次期以降の稼働率については、36期は、テナント入替の少ない期となりますので、期中平均稼働率は97.2%まで上昇するものと見ています。これは前年同期を0.2%上回る予想です。そして翌37期は、季節性により36期より低下して97.0%と見立てますが、これも前年同期を0.1%上回る予想です。尚、今後の物件取得・譲渡については、現時点で確定したものはありませんので、業績予想には織り込んでおりません。36期、37期の業績予想については、20頁の一口当たり分配金の変動要因とともに説明致します。

20頁をご覧下さい。36期は、テナント入れ替えの少ない期であり、礼金等の一時金収入が減少するため減収となりますか、一方で、原状回復費やリーシングの費用などが前期よりも大きく減少するため、既存物件ではこれらの要因により、前期に比べ341円の増益となります。これに加え、36期の期首に取得したホテル3物件の増益効果が133円加わります。その上で、運用報酬とその他効果を加味して、一人当たり予想分配金は11,040円となります。続く37期については、テナントの入替が多い期となりますので、既存物件で増収ではあるものの、原状回復費やリーシング費用が増加することにより、251円の減益となります。その上で、運用報酬とその他の効果を加味して、一口当たり分配金は10,700円と予想しております。尚、37期において金融費用が36期に比べ大きく見えるのは、36期のリファイナンスが期の後半に集中していることにより、予想上見込む金利上昇分の影響が限定的であるのに対して、37期は期を通じてリファイナンスが分散して発生するため、その影響が大きくなることによります。

最後に21頁はLTVの推移と分配金のトラックレコードです。本投資法人のポートフォリオの物件力による既存物件の収益の底堅さ、およびこれまでのスポンサーパイプラインからの着実な物件取得により、ここまで安定的な分配金成長を実現してまいりました。説明の通り、本投資法人の運用資産の運用状況は、賃貸住宅を中心にコロナ禍による低迷からほぼ 脱出を果たし、この先は堅調なファンダメンタルズの下支えにより、最盛期に似通った成長が期待できる状況になってきたと考えています。一方で、金融資本市場の昨今の動きには不安要素もありますが、その不確実性を定量化することは容易ではないので、金融環境の激変 はないとの前提のもと、年間平均の分配金水準は10,700円以上を安定的に出せる地力はついてきていると考えます。これに加え、更なる成長が実現できるよう鋭意内部成長および外部成長の努力を行ってまいりたいと考えております。
私からのご説明は以上です。ご清聴有難うございました。