日本アコモデーションファンド投資法人 2023年2月期決算概要

日本アコモデーションファンド投資法人
2023年2月期(第34期)決算動画説明書&質疑応答
○動画  https://www.net-presentations.com/3226/20230419/bcnkskd/
○資料
https://www.naf-r.jp/file/ir_library_term-1a53fe7c9a84cb245514c97f9ac9637b9f58e1bf.pdf
〇質疑応答
https://www.naf-r.jp/file/ir_library_term-7f879957480d8ee3d9f76f0caf5c821610999e06.pdf
○説明者 株式会社三井不動産アコモデーションファンドマネジメント
代表取締役社長 小島 浩史
○説明 
日本アコモデーションファンド投資法人の第34期決算につきまして、資料に基づき説明致します。
2頁をご覧下さい。最初に、34期決算のサマリーです。34期の確定分配金は、33期決算発表時点において公表した予想を、268円上回る10,778円となりました。内部成長については、稼働率は97.0%と予想を0.2ポイント上回りました。又、入替時の賃料変動率は+3.5%、更新時の賃料変動率は+0.1%となりました。尚、外部成長に関しては、今期は物件取得はありませんでした。財務面では、期末時点の加重平均金利は、0.49%から0.48%へと引き続き低下する一方で、長期有利子負債の残存年数は、4.9年から4.7年に若干縮小しました。
5頁をご覧下さい。決算の概要について説明します。34期の営業収益は、12,344百万円と、予想に比べ79百万円の増収となりました。これは主に、期中の稼働率が予想を0.2%上回ったことにより、賃料および付帯収益が増加したことによるものです。一方、営業費用は、予想より31百万円少なく済み、結果として営業利益は5,835百万円と、予想を110百万円上回りました。更に営業外の収益と費用を加え、当期純利益は予想を134百万円上回る5,426百万円となりました。

次の6頁は、一口当たり分配金の変動を、要因ごとに分析したものです。左が34期の予想分配金である10,510円を示していますが、稼働率と賃料、礼金、付帯収益等が予想を上回ったことによる増収に加え、費用面では、水道光熱費の増加があったものの、テナント募集関係費の減少が大きく寄与したことで、費用は予想に比べ減少し、既存物件では+203円、これに資産運用報酬の増加や、その他の項目での費用セーブを加味した結果、当期の一口当たり分配金は、予想を268円上回る10,778円となりました。
7頁をご覧下さい。今期の稼働率について説明致します。上のグラフは、過去4ヶ年の月末稼働率の推移を示したものです。オレンジの太い線の右半分が、34期および35期中で公表済みである今年3月の稼働率ですが、前期から引き続き、全ての期間を通じて1年前の水色の線を上回っており、ポストコロナにおける市況の回復が、強い足取りで実感できるものとなりました。又、下のグラフでは、各期の月末平均稼働率のトラックレコードを表示していますが、34期は、コロナ前に記録した97%台へ、3年ぶりに回復しております。この先も社会、経済活動の正常化が進み、又、東京都心部への人口流入が加速することが見込まれますので、年間を通じた稼働水準の底上げが、緩やかに期待できる状況にあると考えております。

8頁をご覧下さい。入替時の賃料動向の説明です。このデータは、テナント入替のあった住戸に関して、入替後の賃料と従前の賃料を比較し、その変動率を見ているものですが、従前より継続して示しておりますので、詳細は左上の表をご覧下さい。下の図の黒い折れ線グラフが示す各期の変動率の値は、前期にV字回復が確認されましたが、今期も上昇トレンドは継続し、3.5%となりました。右上の、入替時変動戸数比率の推移を示す棒グラフでも、オレンジ色の賃料上昇戸数比率の増加は継続し、今期は60.3%まで上昇しました。尚、変量変動の中身については、次頁以降で詳しく説明致します。

9頁は、入替時賃料変動率の、エリア別および住戸カテゴリー別の動向です。上段のエリア別分析では、東京圏を中心に前期からの改善が確認できます。下段のカテゴリー分析では、引続きシングルタイプのみ、僅かにマイナスが続いていますが、全てのカテゴリーで上昇しており、賃貸住宅の市況は確実に回復していると言えます。尚シングルタイプについては、前期の説明時に、2023年秋から2024年春ごろにプラス圏に回復できるとの見通しを示しましたが、現状のリーシング状況は、その時点より更に強い足取りで推移していることから、現在進行している35期中でのプラス圏への回帰も、期待出来る状況にあると考えております。本投資法人としては、引続きテナント入替による賃料上昇を、内部成長の重要なチャンスと認識し、個別物件でのマーケッティングを徹底することによって、全体での賃料上昇幅を拡大していけるよう努める所存です。先程もお話しした通り、コロナ禍以降の唯一の懸案事項であったシングルタイプの需給バランスの悪化も、この繁忙期においては、ほぼ募集条件を変更することなく順調に成約出来ましたので、他のカテゴリーの順調さも相俟って、今後の内部成長を加速させる準備が整ってきたと見ております。

次の10頁は更新時の賃料動向です。34期の、更新による変動率は0.1%となりました。小数点以下第1位までの表記では、前期と同じですが、実勢にはわずかながら上昇しており、前期での底打ちが確認されましたので、次期以降は緩やかな改善が期待出来る状況です。
次の11頁は、稼働賃料単価の状況です。上段のグラフの通り、緩やかながら順調に賃料の上昇が続いております。
12頁はスポンサーパイプラインについての説明です。現在スポンサーの開発したパークアクシスシリーズは、東京23区を中心として36物件、3,823戸が竣工済み、リーシング中です。総額で1,300億規模と見込まれます。右下にスポンサーが開発したパークアクシスシリーズの供給実績を示しています。ここにあるように、スポンサーは近年、物件開発後に暫くの間物件を保有し、その後ゆっくりと売却を進めるケースが多いので、結果としてパイプラインが積み上がっています。売買マーケットは、過熱気味の状態が続いていますが、この潤沢なパイプラインを生かし、外部成長の機会を探っていきたいと考えております。

13頁をご覧下さい。資本的支出について説明致します。13頁の左上にありますように、本投資法人の保有する物件の築年数は、16.2年となっております。これまでの資本的支出については、各期における支出額を平準化させながら、計画的な資産価値の維持に努めてまいりましたが、36期以降の2年間程度は、大川端賃貸棟以外の賃貸住宅や、ホスピタリティ施設の一部において、大規模修繕、外壁補修、機械式設備の更新等の交渉を集中的に行う企画としています。これにより、資本的支出の減価償却に占める割合は、50%を超える水準となりますが、40期以降は40%台に戻る予定となっております。又、大川端賃貸棟を中心に、引続きValue-up投資を、毎期1.2億円の規模で実施する計画ですが、こちらは次の頁でも説明しますが、着実にトップラインの成長に寄与するものであると考えております。尚、今説明しました規模での資本的支出により、今後の各期で新たに新規投資に伴う減価償却が発生しますが、既存保有資産の一部で、償却が終了する効果も見込めるため、減価償却費全体では増えることなく、長期的には低減していく見通しです。従いまして、分配金への大きな影響は出さないように、コントロールが出来ると考えております。

14頁は大川端賃貸棟でのValue-up投資の概要です。今期も、ご覧の写真のようなフルイノベーションを古い住戸で行ったうえで、グラフのように、着実に賃料上昇の成果に結びついております。
15頁をご覧下さい。サステナビリティに関する取組みです。本投資法人および資産運用会社のESGに対する取り組み状況について、より分かり易く皆様にご理解頂けるよう、先日本投資法人のWeb-SiteにESGの特設サイトを開設しました。又、今年も引き続きGRESBリアルエステイト評価に参加する予定です。現在2-Starsの評価を頂いておりますが、グリーンビルディング認証の取得や、建物のエネルギー消費量の計測範囲の拡大などにより、これまで以上の評価を頂けるよう取組む所存です。又、本投資法人として掲げている2030年までの定量目標の達成に向けて、この1年間も着実な前進が出来るよう努めてまいります。
16頁をご覧下さい。財務の状況です。34期末の有利子負債は合計1,685億円、総資産に対するLTVは51.5%、鑑定評価額に対するLTVは、35.2%となりました。その他の指標に対しても、引続き安定した水準を維持しています。コミットメントラインは、ここに記載の3行から、50億円ずつの合計150億円と変わらず、格付けもR&IからAA-、S&AからはA+と変更はありません。

17頁は、期末時点の加重平均金利と長期有利子負債の平均残存年数の推移です。昨今、国内外で金融環境の不透明感が高まっており、今後の財務運営には注意が必要であると考えておりますが、34期においては、リファイナンスにおける調達年限を柔軟に対応する等により、引続き平均借入コストの低減を実現致しました。今期のリファイナンスの詳細は、下段グラフの右側の内容の通りです。引き続き金融情勢を注視しながら、調達コストの節減と中長期の財務の安定性の、両方のバランスを意識した財務運営に努めていくつもりです。
18頁は、鑑定評価です。今期末時点の鑑定評価に基づくポートフォリオ全体の含み益は、1,515億円、一口当たりのNAVは591,000円となっております。鑑定評価における直接還元利回りは、売買市場の過熱感を反映して引き続き低下し、今期は3.62%となっております。

19頁をご覧下さい。35期、36期の業績予想です。先ず、賃貸マーケットの見通しです。足元の成約状況は、コロナ禍以前の状況にほぼ戻ったとの認識です。又、解約量については、コロナ禍直前の需給がタイトであった2019年頃の水準程度で、少なめに推移すると見ております。今後、日本経済は緩やかに回復するとともに、大企業を中心とした賃金引上げの効果もあって、賃貸マーケットのついても、当面は堅調に推移するものと期待されます。具体的な需給面の動向については、引き続き広い住戸や、部屋数の多い住戸の人気は、底堅く継続すると考えられます。この背景には、近年の住宅価格高騰から、賃貸住宅を選考する一定層の存在があることで、従前以上に需給が引き締まっている状況があると考えられます。一方で、シングルについては、コロナ禍により一旦は需給バランスが緩みましたが、足元では徐々にこの状況が解消され、正常化に向かっています。これは、東京圏を中心とする経済・雇用の回復により、都心部への若年層の流入が戻っていることと、大きく関連しており、この回復基調が継続すれば、早晩シングルタイプの住戸においても、入替時賃料変動率のプラス転換が実現できると考えられます。そのような見立ての中で、稼働率についても、緩やかな底上げが可能であると想定します。次期以降の稼働率については、35期は季節性により、前期から低下し、96.8%と想定していますが、これは前年同期と比べると0.3%向上する見立てです。そして、翌36期は、前年同期の34期と同じ97.0%を予想しています。尚、今後の物件取得・売却については、現時点で確定したものはありませんので、業績予想には織り込んでおりません。

20頁をご覧下さい。35期、36期の業績予想については、一口当たり分配金の変動要因とともに説明致します。35期は、テナント入替の多い期であり、原状回復費やリーシング費用が前期より増えるために、既存物件では前期に比し285円の減益となり、これに運用報酬の減少、金融費用を含む費用の増加を加味して、一口当たり予想分配金は10,330円となります。尚、水道光熱費は、前期比で76円の増加を見込んでおりますが、これは電力料金における燃料調整費の上昇可能性を織り込んだものです。続く36期については、テナントの入替が少ない期となりますので、既存物件で334円の増益などを見込んでおり、一口当たり分配金は10,660円と予想しております。尚、水道光熱費は、36期も35期と同様の基準で見ておりますので、ここでの増減要因はありません。

21頁をご覧下さい。最後にLTVの推移と分配金のトラックレコードです。本投資法人のポートフォリオの物件力による、既存物件の収益の底堅さおよびこれまでのパイプラインからの着実な物件取得により、コロナ禍においても安定的な分配金の実績を積上げてきました。説明の通り、賃貸住宅市場のコロナ禍からの復調は、より確かな足取りとなり、今後もさらに進むものと考えられます。一方で、資本市場の昨今の動きには、不安要素もありますが、その不確実性を定量化することは容易ではないので、金融環境の激変はないとの前提の元、年間平均の分配水準は、10,500円前後を安定的に出せる地力はついてきていると考えます。これに加え、更なる成長が実現できるよう、鋭意内部成長および外部成長の努力を行ってまいりたいと考えております。
私からの説明は以上です。ご清聴、有難うございました。