日本アコモデーションファンド投資法人 2022年8月期決算概要

日本アコモデーションファンド投資法人
2022年8月期(第33期)決算動画説明書
動画   https://www.net-presentations.com/3226/20221020/dsnjid/
資料   
https://www.naf-r.jp/file/ir_library_term-41c83630b9064410c0f702850e36300761a81d89.pdf
説明者  株式会社三井不動産アコモデーションファンドマネジメント
代表取締役社長 小島 浩史
説明
日本アコモデーションファンド投資法人の第33期(2022年8月期)の決算概要について
資料に沿って説明致します。
2頁をご覧下さい。c第33期決算のサマリーです。第33期の確定分配金は、第32期決算
発表時点に公表した予想を289円上回る10,299円となりました。内部成長については、
稼働率は96.5%と、予想を0.2%上回りました。又、入替え時の賃料変動率は+2.1%、更新
時の賃料変動率は+0.1%となりました。外部成長については、4月に1物件24億円を
スポンサーから取得し、一方で7月に小規模なホスピタリティ施設を1物件売却する資産
入替えを行いました。財務面では、期末時点の加重平均金利は、0.51%から0.49%とき続き
低下する一方で、長期有利子負債の平均残存年数は、4.9年を維持しました。
次に決算の概要について説明致します。第33期の営業収益は12,434百万円と、予想に
比し186百万円の増収となりました。これは主に期中の稼働率が予想を0.2%上回ったこと
により、賃料及び付帯収益が増加したことと、7月に物件売却を行ったことによるものです。
一方営業費用は予想より43百万円少なくて済み、結果として営業利益は5,726百万円と、
予想を229百万円上回りました。更に営業外の費用と収益を加え、当期純利益は予想を525
百万円上回る5,292百万円となりました。尚、物件売却に関わる売却益については、ほぼ
全額の107百万円を内部留保しております。
次の6頁が、一口当たり分配金の変動を要因ごとに分析したものです。左側は第33期の
予想分配金である10,010円を示していますが、既存物件で稼働率と賃料、礼金、付帯収益
等が予想を上回ったことによる増収の一方で、費用面では水道光熱費の増加はあったもの
の、その他修繕費やテナント募集関係費の減少が大きく寄与し+248円、加えて登記取得し
た物件の新規稼働効果が+11円ありました。これに資産運用報酬の増加やその他の項目で
の費用制度を加味した結果、当期の一口当たりの分配金は、予想を289円上回る10,299円
となりました。
次に今期の稼働率について説明致します。7頁をご覧下さい。上のグラフは、過去4ヶ年の
月末稼働率の推移を示したものです。第33期はオレンジの太い線で示しておりますが、
1年前の2021年の、水色の線と比較すると、全ての期間を通じて、安定的に上回っており、
コロナ禍からの着実な回復が実感出来るものとなりました。又、下のグラフでは、過去の
トラックレコードを振り返ることが出来ます。第33期の期中平均稼働率96.5%という水準
は、前年同期比+0.3%であり、更に左に目を向けて頂きますと、同じ8月期比較では、
2016年や2017年と同水準となります。この時期は、マーケットがピークであった2018年
及び2019年の直前の時期であり、賃貸マーケットのファンダメンタルズが、徐々に高回転
を始めた時期でした。この先も、経済や人的活動がコロナ禍から順調に回復していけば、
稼働水準の緩やかな右肩上がりを、期待できる状況になるのではないかと感じております。
8頁では、入替え時の賃料動向について説明致します。このデータはテナント入替えの
あった住戸に関して、入替え後の賃料と従前の賃料を比較し、その変動率をみているもの
ですが、従前より継続してお示ししておりますので、詳細は左上の表をご覧下さい。
ここでのポイントとしては、下の図の黒い折れ線グラフが示す通り、第33期の入替え時の
賃料変動率は2.1%と前期の0.8%からV字回復していることです。この回復基調は、右上
の入替え時賃料変動戸数比率の推移を占めす棒グラフの、賃料上昇戸数比率の増加にも
表れており、今期の賃料上昇比率は51.0%と、前期の43.3%からの回復となりました。尚、
賃料変動の中身については、次頁以降で詳しく説明致します。
9頁は入替え時賃料変動率のエリア別および住戸カテゴリー別の動向です。上段のエリア別、
の分析では、全エリアにおいて改善が確認出来ます。その中で過去3期マイナス成長で
あった地方主要都市がプラス成長に復活しています。下段のカテゴリー分析では、引き続き
シングルタイプのマイナスは継続していますが、その他のカテゴリーはいずれも堅調さを
保っています。本投資法人としては、引き続きテナント入替えによる賃料上昇を内部成長の
重要なチャンスと認識し、個別物件でのマーケットを徹底することによって、全体での賃料
上昇幅を拡大していけるよう努める所存です。尚、審議売るタイプの見通しについて、予め
申し上げますと、回復の足取りを実感し始めておりますので、今後1年から1年半の間には
プラス圏へ回復できるとみています。
次の10頁では、全カテゴリーを通じた今後の入替え時の賃料変動率の見通しについて、
説明致します。第33期にV字回復となった入替え時賃料変動率ですが、時期以降も緩やか
な回復基調を継続できると考えています。そもそも第33期がV字回復した要因ですが、
これは、コロナ禍により切り下がった賃料の水準が、足元では徐々に上昇し始めていること
が挙げられると思います。単純な成約単価等での説明が難しいため、本投資法人が、
プロパティ・マネジメント会社との間で使用している全賃貸住戸の成約目標賃料、ここでは
ターゲット賃料と呼んでいますが、これを用いて説明します。ターゲット賃料は運用会社と
プリパティ・マネジメント会社とで、毎期のスタートに先立ち協議して決めていますが、
合理的な幅の中にある、成約可能賃料の中央値のイメージです。従い、具体的な成約賃料が、
これをどれだけ上回ったか、或いは下回った
かという点に、その時々の市況の強弱が表れると言えます。図表2の通り、第33期は、
ターゲット賃料を上回る戸数の割合が、前期比3割程度増加し49.8%となる一方で、下回
る戸数の割合が、前期比約4割減の27.7%と過去3期とは異なりマーケットの改善傾向を
窺わせるものとなりました。これを賃料のベースで見たものが、ターゲット賃料に対する
具体的な成約賃料の乖離率で図表3になります。第33期は成約賃料全体では、ターゲット
賃料比+1.2%と4期ぶりの超過成約となりました。以上のようにマーケットで成約出来る
賃料は順調に切り上がってきており、マーケット状況が継続すれば、この先の見通しは、
明るいものになると考えております。これに加え、従前から説明していた高い賃料で入った
テナントの入れ替わりが一巡していることも、今後の賃料変動率を下支えする要因になり
ます。第33期の実績である入替え前テナントの契約開始年別の入替え時賃料変動率を確認
したところ、入替え前のテナントが2019年に契約を開始している場合の入替え時賃料変動率のみが-0.4%となっております。そこで、下押し圧力となっている2019年に契約した
テナントにフォーカスし解約の進捗状況を見たのが図表4です。濃いオレンジ色は既に
退去したテナントの割合で、第33期終了時点では63%まで進捗しています。更にこの先の
解約予想割合は、毎期5%程度と小さくなりますので、解約による賃料下押し圧力は徐々に
軽微なものになると予想出来ます。
次の11頁は更新時の賃料動向です。こちらも従前よりお示ししているデータですので、
詳細は割愛しますが、第33期の更新による変動率は0.1%と、前期比で縮小となりました。
尚、通常テナントとの更新協議は、期間満了の6か月ほど前に開始している関係で、第33
期の実績は、ほぼ前期の更新交渉の結果となります。前期までは市況全体にコロナ禍の影響が残っていたこともあり、更新優先の保守的な運営に舵を切っていました。具体的には更新協議開始時の提示賃料を据置きで行う住戸の割合を高くしていました。第33期以降は、
順次この保守的な基準から通常期の基準に戻していますので、時期以降は、緩やかに賃料
上昇提示を行う住戸数が増え、変動率も反転すると期待をしております。
次の12頁は賃料単価の動向です。こちらも従前よりお示ししているデータで、第33期に
おいても、過去3年間継続保有している物件の稼働賃料単価を時系列でみていくものです。
上段のグラフが示す通り、稼働賃料単価の上昇が継続しており、又、その上昇率は少し
大きなものとなりました。下の表は、エリアごとの稼働賃料坪単価の変化率ですが、地方圏
のマイナス賃料は続いています。尚、9頁上段で説明しました入替え時賃料変動率と相違
する状況ですが、こちらは稼働している住戸の状況により影響が出ていると考えられます。
具体的には、地方主要都市物件のなかで、相対的に単価が高い物件において、テナントの
解約が重なったことにより、期末に稼働率が低下したことが原因です。尚、これは個別物件
における一時的な解約の集中によるものなので、当該エリアのマーケットとして弱含み
とまでは考えていません。
次は外部成長についての説明です。13頁は、物件の入替えについて説明しています。
第33期に入り、4月にスポンサーからパークアクシス菊川を取得しています。又、7月
には、京都市外のホスピタリティ施設を1物件売却しました。この物件入替えにより、
第34期末の想定LTVは51.6%となり、LTV55%までの取得余力は、約250億円となり
ます。
14頁はパイプラインの状況です。スポンサーの開発したパークアクシスシリーズは。東京
23区を中心として36物件3,762戸が竣工済み、リーシング中です。総額で、約1,300億円
規模と見込まれます。右下にスポンサーが開発したパークアクシスシリーズの供給実績を
示しています。ここにあるように、スポンサーは近年、物件開発後に暫くの間物件を保有し、
その後ゆっくりと売却を進めるといったケースが多いので、結果としてパイプラインが
積み上がっています。売買マーケットは過熱気味の状況が続いていますが、この潤沢な
スポンサーパイプラインを生かし、外部成長の機会を探っていきたいと考えています。
次に資本的支出について説明致します。15頁の左上にありますように、当社の保有する
物件の平均築年数は15.7年となっておりますが、計画的な修繕の実施により、一時的な
資本支出の増加が生じないように、計画的な資産維持に努めています。このうち、築20年
以上は大川端賃貸棟1棟を示しております。大川端賃貸棟は、築33年を経ていますが、
定期的に更新投資をすることで、商品性能を維持・更新するとともに、空室が発生した際
には、必要時応じ専有部のバリューアップ工事を実施することで、賃料の増収を図っており
ます。右上に、資本的支出の見通しを示しています。大川端賃貸棟については、今後専有部バリューアップ工事と共有部の修繕で、合計2億円程度を支出する予定です。又、その他の
物件については、機械式駐車場の集中的な修繕等を進める計画にしており、その他のものを
含め3億円から4億円を支出する計画ですが、資本的支出の減価償却に占める割合は、
工事時期の分散を図りながら、概ね3割程度でコントロールしていきたいと考えています。
次の16頁で、サステナビリティに関する取組みについて説明致します。例年参加している
GRESBリアルエステイトについてです。2022年の評価では、前年の3—Starsから2—Stars
へランクダウンとなってしまいました。これに関しては、Eの環境パフォーマンスに
おいて、相対的順位が下がってしまったことが原因であります。SやGの項目では、高い
評価を取得出来ておりますので、環境パフォーマンスでは、引き続き電力使用量の計測範囲
の拡大に努めるなど、効果的な得点アップを目指し、3—Starsへの復帰を狙いたいと思い
ます。
次は財務の状況です。第33期末の有利子負債は、合計1,695億円。総資産に対するLTVは
51.6%、鑑定評価額に対するLTVは36.0%となりました。その他の指標に関しても、
引き続き高い水準をいししています。コミットメントラインは、ここに記載の3行から
50億円ずつの150億円と変わらず、格付けもR&IからAA-、S&PからはA+と、変更は
ありません。
18頁は期末時点の加重平均金利と長期有利子負債の平均残存年数の推移です。今後の金利情勢には、引き続き注意が必要な状況となっておりますが、第33期におきましては、政府
日銀による緩和的金融政策の計画もあり、借入金利の低減を実現しております。下のグラフ
は、長期有利子負債の返済期限分散の状況です。オレンジで囲ったところが、今期調達した
ものです。右上にありますように、今期は120億円、平均金利0.63%、平均約定年数7.0年
の借入れを返済し、新たに130億円を0.36%、平均約定年数7.1年で調達しました。
次は鑑定評価です。今期末時点の鑑定評価に基づく、ポートフォリオ全体の含み益は、
1,424億円、一口当たりのNAVは572千円となっています。鑑定評価における直接還元
利回りは、売買市場の過熱感を反映して引き続き低下し、今期は3.68%となっております。
次は、第34期、第35期の業績予想です。先ず、賃貸マーケットの見通しです。足元での
成約状況は、コロナ禍以前の状況に、概ね戻っております。又、解約料についてはコロナ禍
直前の需給がタイトだった時よりは多いものの、その前の2015年、2016年の水準で落ち
着いて来ており、今後大きな経済環境の変化等が起きない限りは、賃貸マーケットにも大き
な混乱は起きないと考えております。一方で、需給面については、広い住戸や部屋数の多い
住戸の人気は継続する一方で、賃料については市場の既存のストックや新規供給量の多さ、
も相俟って、需給バランスの回復には今暫く時間がかかると思います。当社物件については
コロナ禍直前の賃料上昇期に契約したシングルのテナントについては、入替え時の賃料の
マイナスが見込まれ、それを他のタイプのプラスで賄うという構図は、もう少し継続すると
考えています。又、稼働率についても、市場全体でのシングルの飽和感の解消には、ある
程度の時間を要するとの見方から、緩やかな回復ペースとなる想定です。翌期以降の想定
稼働率については、第34期は前年同期と同じ96.8%ですが、これは半年前に立てた予想に
対しては0.5ポイント上がっています。又、第35期は季節性を考慮し、第33期と同じ96.5%
を想定しています。名祖、今後の物件取得、売却については、現時点で確定したものはあり
ませんので、業績予想には織り込んでおりません。その結果、第34期の営業収益は、
12,265百万円と169百万円の減収ながら、季節性の要因により営業費用の縮減が寄与し、
営業利益は5,724百万円と2百万円の微減益、当期純利益は5,291百万円と前期同額を
計画しております。尚、第33期にありました物件売却による内部留保は、第34期には
予定しておりませんので、一口当たり分配金は10,510円と、第33期に比べ211円の増配
を予想しております。第35期は、営業収益は12,369百万円と第34期に比し103百万円
の増収となりますが、テナント入替えの多い費用増加の期となりますので、営業利益は、
5,555百万円と168百万円の減益、当期純利益は5,100百万円と191百万円の減益、一口
当たり分配金は10,130円と、第34期に比べ380円の減配を予想しております。
次は、業績予想の内訳について、一口当たり分配金の要因ごとに説明致します。第34期は
入替えの少ない期であり、原状回復工事の費用が前期よりも軽くなるため、既存物件では
前期に比べ216円のプラスとなり、一口当たり予想分配金は10,510円となります。尚、
巷間話題となっております電気料金の値上がりに関しては、本予想上では、コスト上昇の
可能性の最大値で見込んでおり、前期比での影響額は93円としております。第35期に
ついては、再び入替えが多い期となりますので、既存物件におけるマイナス278円を
見込んでおり、一口当たり分配金は10130円と予想しております。
22頁をご覧下さい。最後にLTVの推移と分配金のトラックレコードです。本投資法人の
ポートフォリオの物件力による既存物件の収益の底堅さ、及び、これまでのスポンサー
パイプラインからの着実な物件取得により、新型コロナウイルス感染症の発生以降も、
分配金の実績に陰りを見せることなく運営をしてまいりました。今後、賃貸住宅市場の
コロナ禍からの復調がより着実に進むとの見立てのうえで、年間平均の分配金水準は、
13,000円程度を安定的に行える地力は付いてきていると考えますので、更なる上積みを
加えられますよう内部成長および外部成長をバランスよく実現していきたいと考えて
います。
私からの説明は以上です。ご清聴、有難うございました。