ユナイテッド・アーバン投資法人 2024年11月期決算概要

ユナイテッド・アーバン投資法人
2024年11月期(第42期)決算動画説明書
○動画  https://www.youtube.com/watch?v=_PCiU7fvKrI
○説明資料
https://www.united-reit.co.jp/file/ir_library_term-0941843a12a916101a363bff413e059e074949d8.pdf
〇質疑応答
https://www.united-reit.co.jp/file/ir_library_term-7474563255cabee952313c9fbf3de090ae865e57.pdf
○説明者 丸紅リートアドバイザーズ株式会社 代表取締役社長執行役員 馬躰 純一
○説明
2024年11月期(第42期)決算を説明致します。昨年の日本経済は、マイナス金利政策解除後金融政策の正常化が図られ、インフレ型経済への移行が進みました。これに伴い、設備投資の拡大や雇用の所得環境の改善が進み、加えてインバウンドの増加の影響もあり、緩やかな回復に向かいました。株式市場においても、日経平均株価が史上最高値を更新した後も順調に推移しておりますが、J-REITマーケットにおいては、投資口価格の低迷が続いています。本投資法人の投資口価格においても、依然として厳しい状況が続いておりますが、運用状況は堅調に推移しております。今後も持続的成長に向けて尽力致しますので、何卒宜しくお願い申し上げます。

それでは、先ず初めに、本投資法人の中期成長戦略の基本方針についてお伝えしたいと思います。資料3頁をご覧ください。本投資法人の成長戦略の目標は、投資主の価値を最大化することです。2025年から2027年の基本方針として、積極的な投資主還元を実践し、年間のDPU8,000円超とNAVの持続的向上を目指します。積極的な資産入替を加速し、売却益の還元とポートフォリオの質的向上を行います。又、インフレ環境下において、保有物件の賃料収入を3%から5%程度増額、ハンズオンマネジメントや効率的な運用管理を実践し、収益向上に努めます。キャッシュアロケーションとして強固な財務基盤を維持し、マーケットの状況を見ながら、物件取得、自己投資口の取得、借入金の返済など手元資金使途の判断を機動的に実施します。

それでは、基本方針の詳細について説明致します。先ず、資産入替えについてです。4頁へお進みください。今後3年間で資産規模の約10%にあたる600億円から900億円の資産入替を実行します。マーケット環境の変化により、収益に懸念のある物件や、築年が経過し今後の収益向上が見込みにくい物件の戦略的な資産入替を行い、ポートフォリオの質の向上を図るとともに、含み益のある物件の売却により売却益を還元して、DPUを引き上げていきます。売却代金については、DPU向上の観点から、物件取得や自己投資口取得などに充当致します。用途、地域を分散する形で11 物件、約800億円あるパイプラインを資産入替に活用しながら、ポートフォリオの収益の拡大を図り、年間のDPU8,000円超を目指していきます。

続きまして5頁にお進みください。収益向上に向けた内部成長戦略においては、これまで実践してきたハンズオンマネジメントの継続により、保有物件の賃料引き上げを行います。インバウンド需要の拡大により、ホテルの賃料収入増を成長ドライバーとして、オフィスを初め全用途においてインフレ環境下のもと、多様なリーシング手法により高稼働の維持、賃料の引き上げを行います。又、低収益物件から高収益物件への資産入替も実施することにより、賃料収入を年間3%から5%アップし、ポートフォリオの収益拡大を図ってまいります。

続きまして6頁にお進みください。財務戦略とキャッシュアロケーションについてです。手元資金の使途については、常に資本効率を重視し、物件取得、自己投資口の取得、借入金の期限前弁済を機動的に判断致します。昨年11月に実施しました自己投資口の取得については、投資口価格がP/NAV倍率0.8倍前半で常態化する状況に鑑み実施致しました。取得総額は時価総額の1%超にあたる50億円で、DPUの押し上げ効果として、期当たり+47円と十分な成果を得られました。物件取得においては、DPUの原資となるポートフォリオ償却後利回り、インプライドキャップレートを意識した検討を行います。又、借入金の期限前弁済についても、返済期限やLTVの水準等の財務状況を見定め、実施してまいります。

続きまして、これらの取り組みを踏まえた分配方針についてです。7頁をお進みください。分配方針についてですが、2023年12月からのDPU実績は、前年比+14.6%の7,566円と大幅アップとなりました。今後の3年間においては、資産入替を加速させ、ポートフォリオの収益向上と含み益の顕在化により、売却益を還元致します。保有物件の収益向上にも継続的に取り組み、キャッシュアロケーションによる資本効率化と、今回の中期成長戦略と基本方針を執行し、年間のDPU8,000円超を継続する方針です。以上が中期成長戦略の基本方針です。これらの取り組みを通じて、投資主価値の向上と投資主への還元を最大化していきたいと考えています。

それでは、資料に沿って2024年11月期決算内容を説明致します。8頁をご覧ください。2024年11月期のDPUは3,937円となり、前期比、6ヶ月前予想比ともに、プラスでの着地となりました。当期においては、3 物件240.6億円の資産取得と、1物件190億円の資産譲渡による資産入替を実施し、ポートフォリオの質的向上と築年数を改善させながら、資産規模の拡大を図るとともに、970百万円の売却益を実現しました。内部成長においては、ホテルの業績拡大が牽引役となり。オフィスビルの高稼働を生かし、賃貸事業利益を押し上げる結果となりました。自己投資口を約31億円取得し、DPUを29円押し上げることとなりました。今後も、ポートフォリオの収益性の向上により、DPUの成長を継続してまいります。

9頁にお進みください。2024年11月期DPUの前期比増減の主な差異要因となります。2024年11月期のDPUは、過去最高の3,937円、前期比+38円、+8.5%となりました。大きな増減として、頁中央に記載の川崎東芝ビル、利益増減として賃貸事業利益+203円、売却益+104円の合計+307円で、全売却益+313円のうち208円は、一旦内部留保の上、2025年5月期と11月期に104円ずつ分配する予定です。その他として、左から2列目にある新規取得物件利益寄与は+122円、左から3列目売却物件利益増減では、前期に売却した物件の売却益と期間利益の剥落により-69円、右から3列目既存物件利益増減として▲51円、主な内訳は賃料共益費で▲25円。要因としては、オフィスの増収+16円、年次で収受する変動賃料の剥落による影響等で、商業施設で▲32円、ホテルで▲10円となっています。右から2列目に記載がある販管費・営業外損益他では、支払い利息の増加▲27円の影響が大きく、▲31円となりました。尚、自己投資口取得効果は+29円となりました。

次に10頁にお進みください。2025年5月期、11月期の業績予想における前期比増減の主な差異要因を説明します。2025年5月期のDPUは過去最高を更新し4,000円、前期比+63円、+1.6%を想定しております。川崎東芝ビルの売却に伴う期間利益の剥落がありましたが、ジョイパーク泉ヶ丘の譲渡に伴う売却益とホテル、商業施設の変動賃料の増加等が貢献する見込みです。具体的には、頁左から3列目にある川崎東芝ビル利益増減として、売却益、賃貸事業利益の剥落で▲387円、新規取得物件利益寄与+78円、既存物件利益増減+222円、売却物件利益増減では、ジョイパーク泉ヶ丘の売却益等で+188円を想定しています。

尚、既存物件利益増減+222円の主な内訳は、賃料共益費で+247円、これは年次で収受する変動賃料の影響とホテルの好調な業績が寄与し商業施設+29円、ホテル+184円となります。その他、販管費・営業外損益他では、支払い利息の増加▲27円の影響が大きく▲56円となり、自己投資口取得効果は+18円となります。2025年11月期のDPUは3,650円、前期比-350円、▲8.8%となります。ジョイパーク泉ヶ丘の売却益と年次で収受するホテルの変動賃料の剥落によるものですが、今後資産入替効果や内部留保の取り崩しなどにより、DPUの嵩上げを図ってまいります。増減要因として最も大きいのは、売却物件利益増減▲191円で、新規取得物件利益寄与+20円、ホテルの年次の変動賃料の剥落など既存物件利益増減▲99円、金利上昇を織り込んだ販管費・営業外損益他▲80円となっております。

次に資産入替について説明します。11頁をご覧ください。2025年5月期の資産入替についてです。中期成長戦略にありますように、今後3年間は資産入替を加速させていきます。資産譲渡では、収益懸念のある物件を売却することで、ポートフォリオの収益向上と質的改善を図ります。又、テナント入替により、収益が向上したタイミングで譲渡することによる最大化を実現致します。ジョイパーク泉ヶ丘においては、メインテナントの入替を実行し、物件収益の最大化を図ったタイミングで譲渡を決定、鑑定評価額および帳簿価額を上回る54億円で売却し、売却益560百万円を見込んでいます。物件取得においては、高利回り物件やインフレ環境下において、変動賃料による収入増が見込める物件の取得を目指した結果、商業施設2物件とヘルスケア施設1物件取得価格合計56億円、想定NOI利回り4.6%の取得となります。総合型リートの方針の下分散投資を実施し、DPUの原資となる償却後利回り、インプライドキャップレートを意識しながら、複数のアセットタイプの物件を取得することができました。

資料4頁に示した取得パイプラインや、資産運用会社の情報ネットワーク、スポンサー機能を活用し、資産規模の拡大を図ってまいります。今回の資産入替では、平均築年数が24年から15年へと若返り、NOI利回りは3.8%から4.6%、償却後利回りは1.4%から4.2%と、ポートフォリオの質的向上を見込んでいます。このような戦略的な資産入替を通じて、含み益を顕在化させ、中長期的な業績悪化懸念を払拭し、ポートフォリオの収益力強化、質的改善を図り、持続的な成長による投資主価値の向上と、売却益の還元を今後も図ってまいります。

続いて用途毎の内部成長について説明します。資料12頁をご覧ください。ホテルの運用状況についてです。左上段のグラフの通り、2024年11月期のRevPARは、ADRの上昇を主因に過去最高での着地となり、前期+12.7%、6ヶ月前予想比+5.6%の11,462円となりました。地方エリアの国際線の回復と、インバウンドの旺盛な宿泊需要による影響が大きく貢献することとなりました。今後もADRの上昇に伴い、RevPARの改善は継続することを見込んでいます。右上段のグラフは、変動賃料型ホテルの地域別RevPARを、コロナ禍前水準を100として示したグラフとなります。

2024年11月期では、国内旅行客の増加に加え 国際線の回復もあり、沖縄エリアのRevPARが大幅に上昇し、コロナ禍前の水準まで回復しました。今後、下段にあります日本のインバウンド政策により、 国際線定期便が更に回復することにより、沖縄などの地方エリアにおける宿泊需要が増加し、結果としてRevPARが上昇し、収益貢献に繋がることを期待しております。又、今後のRevPAR予想につきましては、沖縄エリアの上昇に加え、2025年4月開催の大阪関西万博により、大阪圏のRevPARが上昇することを併せて期待しております。

13頁は、ホテルのタイプ別賃料収入と変動賃料型ホテルの売上構成についてです。頁左側のグラフにある通り、RevPARの上昇に伴い、年間ベースの賃料は過去最高を更新しました。今後の予想につきましても、東京所在のホテルの変動賃料増に加え、大阪、沖縄を含む地方エリアの賃料上昇を想定し、過去最高を更新する見込みです。頁右側のグラフは変動賃料型ホテルの年間売上構成ですが、年間の売り上げはコロナ禍前の水準を上回り、宿泊部門の伸びに加え、料飲部門の需要回復が売上全体を牽引しました。今後宿泊部門の伸びと料飲部門の更なる回復により、ホテル全体の売り上げGOPが改善し、収益貢献が期待されます。

14頁はオフィスの運用状況です。多様なリーシング手法を追求することにより、高稼働を継続しております。東京都心部のオフィスマーケットでは、大型の新築物件が供給され、一部の物件ではリーシングに苦戦が見られたものの、本投資法人のオフィスポートフォリオ は、左のバーチャートの通り機動的なリーシングにより、2024年11月期末の稼働率は 98.7%と、引き続き高稼働を維持しております。2025年5月期、11月期の各期末におきましても、一部物件で大型テナント退去があるものの、既存テナントの増床ニーズなどを捉えて、97%を超える高稼働が継続できる見通しです。頁右側、オフィスの賃料改定、並びに賃料ギャップを示しております。賃料改定のグラフにありますように、2024年11月期は高稼働を活かし、前期を上回る賃料の増額改定をすることができました。

緻密なマーケット 環境分析、賃料査定に基づいた契約条件交渉や増床ニーズを捉え、多くの物件で入替、更新時の増額改定ができました。賃料ギャップに記載の通り、賃料ギャップの大きな地方物件に加えて、首都圏でも個別テナント毎に賃料交渉を行い、大幅な賃料増額改定も実施しました。

15頁は商業施設の運用状況です。2024年11月期末の稼働率は99.5%と、大型テナント退去時のダウンタイムの短縮により、高稼働を維持しております。2025年5月期に、一部物件で大型テナントの退去を見込んでいますが、翌期には入居面積が回復する見込みで高稼働を継続致します。頁右側には、大型テナントの入替物件と大型テナント退去時の運用方針について記載しております。イトーヨーカドー尾張旭においては、旧テナントから新テナントへの地位継承により、ダウンタイムなくリテナントを完了することができました。今後は新テナントのロピアを核テナントとしたリニューアルオープンを予定しています。心斎橋OPA本館につきましては、1棟貸しの現テナントの退去が決定致しました。心斎橋エリアの立地ポテンシャルは、インバウンドの増加や御堂筋の歩道の拡幅整備により大きく向上しています。テナント退去後の運用方針として、土地、建物の譲渡交換や建物のみの譲渡などを想定しており、リテナントによる継続運用より投資効率が高いと判断しています。今後 テナント退去までに、中長期的な観点で収益の最大化を図るべく方針を決定致します。

16頁は住居の運用状況です。首都圏物件やファミリータイプを中心に、高稼働で安定的に運用できています。入替時の賃料改定は8.7%の増額改定ができており、中でもファミリータイプについては、近年の分譲マンション価格の高騰の広がりから賃貸需要が高まっており、賃料は増額傾向にあります。今後もこの傾向が継続する見込みです。頁右側の住戸タイプ別のパイチャートにもありますように、住宅のポートフォリオは、幅広い需要層の獲得が可能で、今後も住宅の安定運用を見込んでおります。

続いて財務運営についてです。17頁にお進みください。頁左上段に記載の通り、2024年11月期では194億円を調達しました。市中金利が上昇基調にある中、コストの抑制を意識しながら、短期の借入れや変動金利による借入れも一定程度組み入れましたが、当期の調達コストは前期比において多少上昇する水準となりました。金利上昇の影響については、頁右下段に記載の通り、2025年5月期、11月期の各期1回の利上げを見込んでいます。今後も 柔軟な資金調達により、金融コストの抑制を図り、安定した財務基盤を維持してまいります。

最後の18頁、19頁に気候変動への取り組みを纏めております。18頁にありますように、2023年6月に温室効果ガスGHGの排出量削減に関する新目標を設定、これまで新目標達成に向けた対応策を検討・推進するとともに、TCFD提言に沿った財務影響における定量分析を行っています。定量分析の主な内容は19頁の通りとなります。又、2024年12月に、内部炭素価格(インターナルカーボンプライス)の設定を行いました。これにより追加性のある再生可能エネルギーの導入を促進し、GHG排出量の更なる削減を推進致します。今後も新目標の達成、財務影響を低減させる取り組みを推進してまいります。その他ESGに関する取り組みにつきましては、補足説明資料51頁から62頁を合わせてご覧ください。
説明は以上となります。決算、業績予想、運用状況の詳細は、補足説明資料に纏めておりますので、併せてご確認ください。ご清聴、誠に有難うございました。