いちごオフィスリート投資法人 2024年10月期決算概要

いちごオフィスリート投資法人
2024年10月期(第38期)決算動画説明書&質疑応答
○動画  https://www.youtube.com/watch?v=RPQMAFKAaDM
○説明資料
https://www.ichigo-office.co.jp/ir/news/p_news_file/file/IchigoOffice_20241216_Corporate_Presentation_JPN.pdf
○説明者 いちご投資顧問株式会社 代表取締役社長執行役員       岩井 裕志
                 副社長執行役員オフィスリート本部長 加茂 勇次
○説明
決算について報告させて頂きます。
決算説明資料の8頁をご覧下さい。2024年10月期の決算のハイライトでございます。当期につきましては、先ず、物件の取得が6物件、合計154億円を取得しております。こちらは、5月30日に第三者割当増資を行いまして取得したものでございます。物件については、東京都心部および福岡市に所在する中規模オフィス6物件でございます。成長余力のある物件と考えておりまして、取得時鑑定評価額が161.8億円もございましたが、当期末約5ヶ月間で2%弱の上昇、164.8億円に上昇しております。

更に資産譲渡を行っておりまして、いちご九段二丁目ビルでございます。こちらを20億円で譲渡しております。簿価が7.4億円、鑑定評価額が12億円、こちらを大幅に超える状況でございます。譲渡益10.5億円につきましては、全額分配をさせて頂きます。利益成長につきましては、NOIが期初予想比+80百万円、当期純利益で期初予想比+13百万円上振れすることができております。こちらにつきましては、心築CAPEXの効果によって、賃料単価をしっかりと伸ばすことができたことによって、収益が増加しているというところと、取得した6物件について、NOI期初予想比+5.1%で終えることができております。

財務につきましては、先ず、5月30日に行いました物件取得に伴いまして、第三者割当増資によって34億円、更に新規借入を行いまして85億円、計120億円を調達しております。更に期中のリファイナンスを41億円ほど行っております。一口当たり分配金につきましては 2,692円でございまして、期初予想比+9円となっております。一口当たりNAVにつきましても伸ばすことができておりまして、101,306円となっております。前期比+1.1%でございます。これによってポートフォリオの含み益が553億円でございまして、前期末から+25億円となっております。

続きまして9頁でございますが、決算の内訳でございます。先ず、営業収益につきましては、期初予想比+8百万円の上振れでございました。営業利益につきましては、期初予想比+13百万円、当期純利益も期初予想比13百万円で決算を締めることができております。内容を見ますと、賃貸事業収入が予想比37百万円ほど上振れすることができまして、更に賃貸事業収益につきましてもしっかりと減少することができまして、結果、NOIが期初予想比+80百万で締めることができております。

賃貸事業収入の増加につきましては、先ほど ハイライトでもありましたが、賃料単価をしっかりと上昇することができたというところと、フリーレントが予算と比べまして短縮できたことによる上振れでございます。一方で、表の下にありますが、稼働率は予算未達となっております。いちごオフィスの物件は、全体的にはリーシングが強い印象でしたが、CAPEXによるリーシングストップの期間があったということと、特定の物件においてリーシングの遅れが発生しているというところが原因でございます。こちらの対策については、又、後ほど説明させて頂けるかと思います。これによりまして、一口当たり分配金が2,692円ということで、期初予想比+9円ということでございます。

続きまして10頁でございますが、財務指標の推移でございます。直近3期の実績を並べさせて頂いておりますが、上の一口当たり分配金と1口当たりNAVにつきましては、しっかりと成長基調を維持できているという状況でございます。更にLTVにつきましては、私共は資産評価向上を活用してレバレッジを活用しておりますので、簿価LTVは上昇しておりますが、時価LTVのところで、しっかりとコントロールできているという状況でございます。

金利につきましても若干上昇しておりますが、借入期間の長期化と固定化比率の向上によって、金利をしっかりとコントロールできているという状況でございます。
続きまして資産評価のところ、11ページでございますが、いちごオフィスの一口当たりNAVの推移というところで、過去最高額を更新することができております。直近1年の成長率が3.8%でございまして、より長期的な目線でオフィス特化型に変換した以降は、年率4.2%の成長率ということで、しっかりと一口当たり資産価値を向上することができているという状況でございまして、今後も、こちらをしっかり伸ばしていくということを、戦略的にやっていきたいと思っております。

ここからの決算の具体的な内容につきましては、本部長の加茂から説明させて頂きます。
加茂でございます。宜しくお願いします。
先ず、12頁をご覧下さい。稼働率と賃料単価の推移になっております。見て頂ければお分かりの通り、都心6区は勿論ですが、全物件について、安定的に賃料単価が上昇しているのを見て頂けると思います。あと、フリーリーレントにつきましても、低下傾向で安定しているという状況です。我々いちごオフィスは、一定の安定した稼働率を維持しながら、しっかりと賃料単価を上げて、資産価値、NAVを上げることが基本戦略になっておりますので、こういった当社の戦略が、しっかりと実現できているということを見て頂けるかと思います。

続きまして13頁目、こちらは入れ替えです。入替ですので、テナントの方が退去された後の、新規リーシングの状況ということになります。基本的に、前期と変わらず約80%で増額の入れ替えを達成しております。増額率が高い物件としては、後ほど、又、説明させて頂きますが、心築CAPEXを投下した渋谷神山町ビルといったものが挙げられます。又、前期に比べて、減額での入替が大きく減少しています。前期は、減額入替が8件でした。今期は3件ということで、ここは非常に減少しています。

今期のこの減額入替についても、例えば、ビルの近隣での工事があり、その管理のためにどうしても必要ということで、ゼネコンの方が、結構相場を大きく超える賃料で入居頂いた区画とかが、入替のタイミングで落ちたとか、特殊事情が多くを占めておりますので、ここも非常に強い状況と言えるかと思っています。翌期となる2025年4月期も、現状で増額入替が大きく超過しているということで、こちらも非常に強い状況と思っております。引き続きしっかりと新規リーシングによる賃料単価の上昇を実現したいと思っています。

続きまして14頁目です。こちらは改定です。改定ですので、テナントが居て頂いた上での契約更新の賃料交渉という形になりますが、今期は、減額改定は1件のみという形です。前期は減額改定が0件、今期は1件のみという形です。増額改定割合も堅調に推移しているということで、この点も非常に強いマーケットの回復と、我々のリーシングの、我々AMの強さというところを示しているかと思います。
続きまして15頁目です。

昨年の11月に、スポンサーから投資法人債によって調達した3.5億円、心築CAPEX資金による投資効果、こちらのアップデートを説明させて頂ければと思います。前回の資料からRevisedした箇所をハイライトしていますので、ご確認頂ければと思います。先ず、ROIが大きく向上したものと致しまして、次の頁で説明させて頂いて予定のいちご渋谷神山町ビル、こちらがあげられます。こちらについては、セットアップオフィスのリーシングが成約しまして、投資効果が前回 13%ぐらいのROI想定でしたが、今回20%強という形で、非常に上がっているという状況です。一方で、前回の決算説明会において、この3.5億円の投資効果、全体の投資効果大体30%ぐらいですと説明させて頂きましたが、今回、ちょっと現状28%という形で、少しROIを低下させています。

この大きな要因は、後ほどご説明させ頂く予定の、いちご笹塚ビルのリーシングの進捗によるものでございます。こちらも後ほど説明致します。想定ROIが30%から28%と、若干低下しておりますが、この投資は、長期10年固定で1%の資金を調達して、投資を行って、効果を出すということなので、こうした低いコストの金利を使って非常に高い効果を出させるということで、引き続きその効果は変わらないと思っています。これらの実績を評価頂きまして、先般11月29日に発表させて頂きましたが、J-REITでは初となるCAPEX投資のためのファイナンス調達を行わせて頂きます。そちらについても後ほど説明させて頂きます。

続きまして16頁目ですが、こちらは心築の成果②ということで、渋谷神山町ビルのセットアップの実績でございます。我々が従前から取り組んでおりますセットアップオフィスが成約しまして、賃料単価につきましては、従前に比べて44%増加となっています。本物件、実はもう一区画で退去が予定されておりまして、そちらにも、本件と同じようなセットアップオフィスを当初予定しています。その区画への投資資金は、11月29日に発表させて頂きました、心築CAPEXのための調達資金から出すということで、こちらの効果についてもおいおい、又、説明会等でご案内させて頂ければと思いますので、ご期待頂ければと思います。

次に17頁目が、いちご笹塚ビルのリーシング状況になります。先ほど岩井(社長)からも、稼働率が97%予測に対しまして、95.7%での着地ということで、同ビルのリーシングの遅れというところが、稼働率について、大体0.5%ぐらいのインパクトはあったという形です。こちらの状況につきまして、こういった形で、ある程度可視化させて頂いて説明させて頂ければと思っています。正に、今期のポートフォリオ全体の稼働率のインパクトもそれなりにあったということで、本件のリーシングは、我々にとっては非常に注力する課題と認識しておりますので、こういった形で進捗を示させて頂いております。先ず、前回の決算説明でも少し説明させて頂きましたが、改めて本物件の経緯を説明させて頂ければと思います。

本物件は、1階の一部と、あと3階から10階を借りていたテナントが退去致しました。退去面積は、大体1,150坪程度となっています。当然こういった大型テナントの退去では、稼働率は40%ぐらいまで下落するということになっていましたが、この退去されたテナントの賃料が、我々からすると非常に割安でしたので、我々としては、これは非常に大きなバリューアップ価値、心築のチャンス思いまして、心築CAPEX投資を行って、共用部リニューアルをしっかり実行したという形です。その結果、1階部分におきましては、賃料単価が従前から85%アップでの新規契約、3階から10階のうちの3フロア、これが大体400坪ぐらいになりますが、こちらにつきましては、賃料単価で26%アップでの新規リーシングをしたという形です。

あと、1階に長く入居されていた既存テナントが居られますが、56%の賃料増額という形で賃料改定にご同意頂いているということで、この時点で、稼働率が大体約70%になりまして、鑑定評価額は、この笹塚単体で16%程度上昇致しました。我々としては、特に、上層階の3フロア、この400坪が我々の想定以上の短いダウンタイムで、それなりに高い賃料増額率で成約したということがありましたの、ここは、あまり目線を下げずに、同じような賃料目線で、比較的早期にリースアップができると見込みを立てまして、今までもあまり単価は下げずにリーシングを行ってまいりました。今期もこの3フロア400坪が、前期につきましては早期にリーシングできましたが、今期も同じく400坪ぐらいはリーシングが進捗する見込みという想定を立てまして、笹塚については、今期末で大体90%ぐらいの稼働率となっておりました。

しかし、結果として、前期からリーシングの積み増しがなかったということで、現地と同じく稼働率が約70%の状況という形になっています。この状況を踏まえまして、今回改めて社内で検証しまして、当初3フロアは、ここは非常にダウンタイムが短く、非常に高単価で成約ができましたが、この同じ段階での早期に新規リースアップというのは、少し難しいかもしれないということで、新たなリーシング戦略を立てさせて頂きまして、25年4月、今走っている期ですが、しっかりとした稼働率の上昇、早期リースアップを目指した施策を進めていきたいと思っています。右側にリーシング戦略と書いてありますが、具体的にリーシングマネジメント業務の会社に委託ですとか、あとは、賃料条件の一部緩和、こちらも想定しています。

これによって心築CAPEXの想定ROIが、 前期末の決算発表では、笹塚36.8%と説明させて頂きましたが、20.6%に下振れという形の修正をさせて頂いています。次の決算発表の時には、しっかりと進捗をお示しできるように、リーシングの方を頑張ってまいりたいと思います

続きまして18頁目です。こちらは、5月に第三者割当増資による資金調達によって取得した、6 物件のリースの進捗になります。非常に順調に、しっかりとリーシングが進捗しているということを見て頂けるかと思います。特に、博多明治通りビルについては、非常に高い賃料単価増でのリーシングにて成約しております。先ほど説明しました通り、これらによって、取得6物件のNOIが期初予想に対して5.1%の成長という見込みになっています。併せて、博多明治通りビルについては、現在空室の約240坪程度に、同じく従前の賃料単価を大幅に上回る水準での申込みを受領していまして、これを取り込めると稼働率は100%が見えている状態です。

五反田ウエストビルも、85.4%のままとなっておりますが、空室区画120坪程度に、こちらも従前賃料を大幅に上回る賃料単価で申込みを受領しておりまして、こちらを取り込むと稼働率は、この五反田についても100%になる見込みです。こちらのあとですが、天神ノースビルでは、心築CAPEXによるバリューアップも着実に進んでいるということで、6物件の取得に際しては、我々の方としてもビジネスプランをご提示させて頂いて、しっかりした厳選した投資を行っていますということで、取得時に説明させて頂きましたが、その説明させて頂いた通り、しっかりと進捗しているという形で見て頂ければと思います。
続きまして19頁目、こちらは資産譲渡になっております。

今期発表した資産譲渡でございまして、いちご四谷四丁目ビルの売却でございます。本物件は、賃貸可能面積の大体18%ぐらいが住宅価格になっていまして、しかも、住宅価格については、法令上の制限からオフィスコンバージョンも難しいという形で、あとエレベーター導線もオフィスと住宅で一緒ということで、この住宅区画のリーシングは苦戦しておりました。稼働率も大体80%強、正に、この住宅価格の部分のリーシングが進まない状態が長期間続いていましたが、我々からすると心築余地、バリューアップ余地が限られている物件について、しっかりと隣地所有者の方と仲介会社を通さずに直接交渉を行って、鑑定価格の1.7倍という非常に高い水準で売却させて頂いたという形になっています。こちらにつきましても、しっかりと 我々の売却についての成果と思っております。

続きまして20頁目です。こちらは、サステナブル運用の取り組みということで、今期いちごオフィスは、運用する全ての物件の、消費電力の再生エネルギー化への切り替えを達成しています。従前は、当社がその電力契約をコントロールできる完全所有物件については、再生可能エネルギーの切り替えを行っていましたが、区分所有とか共有物件、こちらについては他の権利者の方もおりますので、電力契約を我々だけではコントロールできないという形であったため、再生エネルギー化ができておりませんでした。

今回、それらの物件についても、いちごグループの発電所が創出した環境価値が付与されている非化石証書、これをトラッキング付き非化石証書と言いますが、こちらを購入してその環境価値でオフセットするということで、この実質的に再エネ化を達成しています。こちらも、正に我々グループで生み出した、環境価値を使ったこういった達成ということで、我々グループだからこそできる取り組みであると思っております。資料に記載の通り、全保有物件について、こういった形で再生エネルギーが達成できているのは、J-REITの中で我々いちごオフィスといちごホテルのみと思っております。
続きまして21頁目以降は、いちごオフィスの今後の成長に向けた取り組みということで説明させてください。

先ず、22頁目ですが、こちらは、我々の主要な KPIとしているトータルリターンの実績になります。直近1年の実績では、東証リート指数と東証リートオフィス指数をアウトパフォームはしておりますが、絶対値としては-2.1%ということで、目標としている8%以上には全く届いていない状況ということで、我々としては、非常に大きな課題感を持っております。こういった状況を踏まえて、今後我々として、どういった運用戦略を取っていくかというところについては。次頁以降で説明させて頂ければと思います。

23頁目、今後の運用戦略を纏めさせて頂いておりますが、先ず、今後の運用戦略を説明する前に、我々としてはいちごオフィスの置かれている現状認識について説明させて頂ければと思います。いちごオフィスの置かれている状況としては、リートマーケット全体というところも当然ありますが、我々も投資口価格は低迷しおり、又、P/NAV割れの状況が継続しているという形で、当然投資口価格が低迷しておりますので、インプライドキャップレートは、非常に高止まりしているという状況となっています。

その反面、実物不動産売買市場は、引き続き堅調だと思っておりまして、一時期はそのオフィスへの投資をちょっと慎重に考えていた海外不動産ファンドもいましたが、彼らも市場に戻ってきているということで、不動産価格を見ますと、リート市場におけるその投資口価格を通した評価と、実際の売買不動産市場における評価では、結構ギャップが存在していると思っています。従いまして、今のマーケットで、我々のそのインプライドキャップを超える利回りで、競争力の高い物件を取得するのはやや難しい状況だというのは、現状認識として認識せざるを得ないと思っています。

ただ一方で、当社の運用区、それから当然心築CAPEXの効果もありまして 我々の資産価値であるNAVは順調に成長しております。先ほどの説明通り、直近1年間でもナビが3.8%成長していますが、残念ながらこのNAVの成長、含み益の拡大が投資口価格に反映されてないということで、これによって我々が分配金利回りと、理論株価として俺が捉えている一口当たりNAVの成長率から算出される、我々が理論トータルリターンと言っている数値ですけども、こちらと先ほど説明しました実績トータルリターンの間に、今、非常に大きなギャップがあるという状況でございます。このギャップを埋めていかなくてはいけないという形になると思いますが、先ほど説明した現在の状況では、その中では、今この非常に堅調な実物不動産の売買市場で、拡大した含み益をしっかり利益として実現して、売却による資金調達を行うということが、先ず、重要ではないかと思っています。

当然この売却によって利益を作り出し、あと資金回収をするという形になるので、この売却によって回収した資金は何に使うかということになりますが、先ほど説明しました通り、今の環境下でインプライドキャップを超える利回りでの物件取得というのは、なかなか難しいというところがございますので、無理なB/Sの拡大は、逆に投資主価値の棄損ということにもなりかねないと思っています。よって、このB/Sの積極的な拡大が、投資主価値の最大化に資するということになる環境下までは、この売却による回収資金は、投信主還元の方に重点的に配分する戦略としたいと思っています。

先ほど説明しました通り 借入というのは、低い コストで調達した資金によって、CAPEXをかけてバリューを上げ、それを、今のこの非常に流動性の高いマーケットで機動的に売却をして、利益を創出して、資金を回収する、その資金は、積極的なバイバックを含めた投資主還元の方に重点的にアロケーションして、新規の投資については、色々と知恵を絞りながら厳選して行いたいと思っています。この政策をずうっと続けるって言う訳では当然なくて、B/Sを拡大すべきという局面になった時には方針を変えて、又、しっかりと物件を取得して、又、ダイレクトに取得をして、規模の拡大を行っていきたいと思います。

続きまして24頁、11月29日に発表させて頂いた心築CAPEXのファイナンスの調達になります。この心築CAPEXの資金については、従前の決算説明会において、我々としては スポンサーからシード資金を調達し、昨年11月に調達した3.5億円ですが、そこでしっかりとトラックレコードを示して、将来的な外部の金融機関、レンダーからの調達を目指していくという方針ですと説明させて頂いていました。今回、その説明通りメインバンクであるSMBCから、10億円の資金枠を頂戴することに成功しています。

過去に、所謂LCC、物件の設備の更新資金、純粋な設備更新資金を、投資法人債という形で調達した例はあると認識しておりますけども、本件のように、物件のバリューアップのためのCAPEX資金を、資金使途で借入れ調達するという取り組みは、J-REIT初ではないかと思っております。これが成功したのも、やはり、この前の 3.5億円だけではなく、今まで我々が取り組んできた心築バリューアップの成果をしっかりと銀行の方に評価頂いたという形になっておりますので、この資金を最大限に活用して、運用資産の資産価値の最大化を図っていきたいと思っています。本件のリリースで、渋谷イーストビルについてのセットアップの工事のファサード等公開させて頂きましたけれども、こちらについても、既に非常に高い賃料単価の上昇での引き合いを受けているという形でございます。

続きまして25頁目です。こちらは11月29日に発表させて頂いた、戦略的譲渡3物件の売却になります。本物件のポイントは、競争力、収益力が低下して、我々としては、おそらくこの収益の回復にかなりの時間を要するだろうというのが予想されました、フチュール和泉をしっかりと売却したということで、それによっていちごオフィスのポートフォリオの正常化を果たしたというところがポイントかなと思っています。フチュール和泉は、見て頂ければ分かりますが、現在においても多額の含み損を抱えておりまして、あと加えて、メインテナントからも退去通知も受領しています。

この退去確認区画について、今のマーケットでリーシングをするのはかなり難しい状況だろう、難航するだろう、時間かかるだろうと思います。その場合に、やはり本物件を保有し続けた場合の期中収益のマイナスインパクトを考慮しますと、他の物件と合わせてでも売却を行って、ポートフォリオの将来リスクを低減させることが重要だと我々は判断致しまして、今回の売却を決定しています。本件売却における譲渡益は、39期に全額分配させて頂く予定です。

続きまして26頁、今後のサステナビリティに向けた取り組みを記載しております。先ほど説明しました通り、運用している全物件について、消費電力を再生エネルギー化することは 達成したところがございますので、今後はここに記載の点を新たな目標設定にしたいと思っています。こちらの施策についても、今後しっかりと取り組んでいきたいと思っております。内容についてはご確認頂ければと思います。
次に27頁目、パイプラインです。こちらはスポンサーパイプラインとなっておりまして、現状で17 物件、757億円のパイプラインです。前回の決算説明時において、パイプラインは14物件、650億円という形でしたので、100億円程度将来パイプラインがしっかりと拡大している形です。先ほど説明しました通り、今のマーケット環境下において、B/Sをどう 拡大していくかについては知恵を絞らなくてはいけないと思いますし、検討が必要だと思っておりますが、中長期的には、これらのパイプラインをしっかりと組み入れていきたいと思っているところでございます。

続きまして28頁目、こちらは25年4月期の予測になっております。25年4月は、今のところ今期と比較して、譲渡益の減少が見込まれると言うことで、分配金は320円の減少で2,368円の見込みとなっています。この予測ですが、今のマーケット環境ですので、気になるところとしては、ファイナンスの前提ですが、この39期につきましては70億円ぐらいのラダーと言いますか、返済の予定がありますが、このうち大体9割ぐらいを変動金利で調達する想定での収支となっています。予想稼働率が96.5%を見込んでいます。

この96.5%の稼働率の見込みですが、ここ最近、開示しました予想稼働率に対して未達が続いていますので、この数字の蓋然性どうなのかと思われる方もおられると思いますが、現時点で退去通知を受領している区画の面積が、大体1,700坪ぐらいですが、仮に今期並みにリーシングができた場合、38期の新規リーシングの面積が大体2,150坪ぐらいですので、ネットすると450坪ぐらいの稼働面積が増加していることになります。その場合、稼働率ベースで大体0.5%程度の増加ということで、現状95.7%に対して0.5%を加えますと 96.2%の稼働率となります。96.5%となりますと、これに対してもう少しの積み増しという形になりますので、ここはしっかり達成していきたいと思います。

あと、先ほど説明しました通り、博多明治通りビルとか五反田ウエストビルに関して、今大体350坪程度に申し込みを受領しておりますので、こちらは100%稼働が見えているというところです。あと従前来、リーシングに時間が掛かっておりましたいちご元麻布ビルについても、申し込みを受領しているということがありますので、こちらの96.5%の稼働については、当然笹塚のリーシングもしっかりやらせて頂いて、しっかりと達成していきたいと思っています。又、先ほどの運用戦略でもお伝えしました通り、機動的な物件売却は、引き続き検討しておりますので、そういったところも検討していきたいと思っております。
続きまして29頁目、こちらが25年10月の予測です。こちらについては、今回調達した心築CAPEXファイナンスによる投資効果が出てくる、という見込みを立てております。具体的には、先ほどお伝えした渋谷イーストビルのリーシング等が見込まれます。

売却による運用物件の減少等がございますが、それを加味してもNOIは大きく成長して、大体60億円ぐらいで、巡航EPUは25年4月対比で5%超成長して、2,060円程度を見込んでいます。一口当たり分配金は、今のところ物件売却を予定しておりませんので、まあ25年4月期対比で241円の減少ということで 2,127円を見込んでいます。この40期につきましては、現状55億円ぐらいの返済のラダーがありますが、こちらのリファイナンスは、全て変動金利の調達方法を想定しています。ただ、40期については、少し先になりますので、足元の金利環境と見ながら、変動での調達という形でやっておりますが、場合によっては固定化 も検討するなど、足元のマーケット見ながら柔軟に検討していきたいと思っているところです。

以上を持ちまして、いちごオフィス第38期の決算発表および今後の戦略についての説明とさせて頂ければと思います。有難うございました。

<質疑応答>
Q:全体の戦略についてないんですけれども ちょっと今回説明を伺った印象だと従来の方針を転換されて積極的な自己投資口取得も含めた還元評価を検討していくという内容だったと思います であの今回自己投資口取得を発表されてないのはどういった理由 なのかということをご説明頂ければと思います。LTV水準との絡みで今後どうしていくのかも伺いたいのですが、今簿価ベースで50%をちょっと超えて、時価ベースで45%弱という状況だと思いますが、この水準は自己投資口取得の障害にならないのかどうか、又、LTVをあげないでやっていくとすると、デット返済と並行してやっていくような形にもなるかと思いますが、そういう形でやっていくという理解よろしいでしょうか。
A:バイバックを、なぜ今回発表していないかというと、偏に、バイバックをやるのであれば、やはりある程度の規模感が必要であろうと思っています。前回、2021年1月に15億円ほどバイバックさせて頂き、15億円で発行済み投資口の1.2%ほどのバイバックでしたが、それ以降多くの銘柄で、結構積積極的にバイバックをやっておりますので、やるのであればある程度の規模でやらないと、小出しに、細かくやってもあまり効果がないのではないかと思っております。そのうえで、我々の手元の資金繰り等を勘案した時に、一定の売却をしたうえで、ある程度の規模のバイバックという方が効果的ではないのかということで、今回は発表していないという形です。売却がしっかりとできた時に一定の規模でやりたいというのが一つ。LTVの水準ですが、バイバックの障害にならないかというところでいくと、我々はあくまで、先ほどの説明でもありましたように時価LTVを重視しております。この時価LTVは、正に鑑定ベースということになっており、物件売却に伴って一定の含み益を出すというところはありますが、我々のCAPEX投資によりバリューを上げることによって、時価LTVはバイバックをしながらでも、しっかりとコントロールできるのではないかと思っているところです。従い、今のところ時価LTVは、資産価値を上げるというところでコントロールしていく前提ですので、あまり、デットの返済みたいなところは、そこまで積極的には考えていないというところでございます。

Q:デッドファイナンスに関して伺いますが、業績予想の前提の説明で39期が全体の7割が変動での調達の前提、40期が全部変動での調達の前提とのことだったと思いますが、変動の調達だと利上げがあるとコストが上がると思いますが、政策金利の引き上げというのはどのような前提で作られているのか教えて頂ければと思います。今後の方針として、変動 調達のリスクと、それに対する見返りをどのように考えられているのかに関して、もう少し踏み込んでご説明頂ければ思います。
A:変動金利のところですが、25年4月期は、70%ではなく90%が変動金利によるリファイナンスを考えております。ここは、悩ましい問題ですが、現状スワップコストが5年で50basisかかり、7年だともっとという形になるので、今のマーケットでいくと、当然金利の上昇局面はあるのですけれども、一定の変動金利を入れて行った方が、我々としては好ましいのではないかと思っています。ここのコントロールですが、今の固定金利比率は97%ですが、25年4月期は9割ぐらいを変動金利でリファイナンスした想定ですと、金利の固定化比率は92%ぐらいの想定です。10月期は、全部を変動金利でリファイナンスする想定ですが、それで固定化比率は87%と想定しています。この固定化比率を、どれくらいでコントロールするのが良いかは、色々と議論がありますが、我々としては80%台の後半、9割近くというところが固定化されているのであれば、そこはそこまでのリスク要因としては、高くないのではないかと思っていますので、その想定をしています。ただ、先ほど説明しました通り、足元の金利状況をウオッチさせて頂き、必要であれば固定に変えるという方策も、取っていきたいと思っているところでございます。

Q:今出されている業績予想は、0.25%の政策金利での予想ということですか、それとも、利上げというのは前提とされておりますでしょうか。
A:若干上げています。5から10basis上げているそうです。

Q:文章で、資本コストを意識して、と書いてありますが、御社にとっての資本コストというのは、基本的な質問で大変恐縮ですが、インプライドキャップレートということでよろしいでしょうか。スポンサーグループで、この間の第三者割当を含めて、発行済で37%を抑えられているわけですけども、こうしたことが、資本コストの認識について、影響を与えるかどうかということについて教えてください。
A:資本コストですが、資本コストの把握は結構難しいと思っています。先ず、一つは、投資法人としてはインプライドキャップと思っていますので、インプライドキャップの意識というところと、株主資本コストというかエクイティの資本コストという意味ではROEとか分配金周りとか色んな指標があると思っていますが、先ず、一義的にはインプライドキャップかなと思っています。ですので、厳選投資をどのような形でやっていくかについては、なかなか知恵を絞らないといけないと思いますが、例えば、ブリッジビークルみたいなところに出資して、出資金リターンをある程度高めていって、こういった資本コストを超える投資をしていくとか、そういったところが今今中ではあり得るのかなと思っています。ですので、そこのところは、私どもとしても悩みながらやっていきたいなというところが、現状でございます。あと、スポンサーグループの保有割合が資本コストに与える影響ですが、バイバック等することによって、ある程度相対的な比率が上がっていくとか、色んな要素があると思いますが、誘導性の観点で投資口への影響とかもあり、それによってインプライドキャップへの影響があるかもしれませんが、現状においてはスポンサーグループが多くを保有していることによって、我々の資本コストを非常に上げるという影響ではないかなと思っております。

Q:金利についてですが、先ほど御社から総資産LTVよりも鑑定LTVを重視しているという話もあった一方で、御社の場合は既発の法人債を発行されていると思いますが、総資産LTVよりも鑑定LTVを重視したとしても、既発ものの債権のスプレッドに影響はないのかどうかお教え願います。又、御社は固定化比率が高いと思いますが、この状況下で変動化比率を高めに行ったというその背景と言いますか、結局ベース金利が良く分からなくなっているからかも知れませんが、何か背景があればお教えください。
A:固定化比率を、今、このタイミングでなぜ下げにいくのかということですが、説明申し上げましたように、我々は非常に高い固定化比率ですので、今コストを下げることを重視していきたいというところです。先ほど説明しましたが、25年10月期を、仮に全て変動金利でリファイナンスをしましても、又、87%ぐらいの固定化比率ということなので、他社比較においても十分な固定化比率ではないかと思っています。リファイナンスのラダーも段階的になっておりますので、ここらへんもコントロールは可能かなと思っております。あと、既発の法人債への影響についてですが、そこは我々が認識している限りは、影響は殆どないものと思っているところでございます。

Q:15頁のところで、ビルのセットアップ化によって結構高い賃料増額ができたとの話でしたが、テナントの特徴とかありますでしょうか。神山町とか含めて、元々渋谷なのでITが強いとかスタートアップが強いとか、そういうところがあるかと思いますが、先週あたりも日経新聞に、セットアップの需要が結構高まっているんで、リジャースとかウィワークあたりから、結構来ているような事例もありますみたいなトーンだったかと思いますが、今回賃料が上がった要因について補足があれば伺いたい。
A:先ず、渋谷神山町のテナント属性ですが、今回のリーシングに関しては、衣料メーカーでした。ですので、ITとかスタートアップというところではありませんが、渋谷という立地とか人の採用です。人の採用はどの企業も死活問題として考えておられ、その意味で、こういったオフィスを選んで頂いたというところが大きいかと思います。ただ、全般的にスタートアップとかIT企業にこういったオフィスが受け入れられ易いといったところがありますので、従前から説明していますが、そういったエリアの物件に積極的にCAPEXをかけて、セットアップオフィス化を図っていきたいと思っています。

Q:25頁の物件の売却ですが、外部売却のところで商業施設の売却等ありましたが、四谷の事例だと隣地のところなので相対で少し高めにという話があったのですが、今回、鑑定評価から見ると高く売れている形になっておりますが、買い手側としてはどのような属性なのか、どのようなその後の利用を狙って購入したのか、買主の事情なので細かいところは分からないかもしれませんが、こんな感じかなあと言うところがあって、鑑定評価額よりも高く売れたという事例があれば紹介頂きたい。
A:売却の属性ですが、取得された方は不動産会社で、取得された方のビジネスプランというところまでは把握しておりませんが、従前来、開示もさせて頂いていますけれども、フチュール和泉がなかなかバリューが付きにくい状態だというところを、都内の2物件を買えるのであればということで、買って頂いたという認識でおります。
それでは、質疑応答はこの辺りで終了させて頂きます。
以上を持ちまして、いちごオフィスリート投資法人の、2024年10月期Web決算説明会を終了させて頂きます。