日本アコモデーションファンド投資法人 2024年8月期決算概要

日本アコモデーションファンド投資法人
2024年8月期(第11期)決算動画説明書
○動画  https://www.net-presentations.com/3226/20241017/asfyjt342/
○説明資料
https://www.naf-r.jp/file/ir_library_term-350346c98e47cb305c7f07ccae25d1778b42bef5.pdf
〇質疑応答
https://www.naf-r.jp/file/ir_library_term-908903bc2a3c35fcc830f9dffcebc4ba29da6af3.pdf
○説明者 株式会社三井不動産アコモデーションファンドマネジメント
代表取締役社長 小島 浩史
○説明 
本投資法人の第37期の決算につきまして、資料に基づき説明致します。

最初に37期の決算のサマリーです。2頁をご覧ください。37期の確定分配金は、36期決算発表時点において公表した予想を、204円上回る11,064円となりました。内部成長につきましては、稼働率は96.8%、入替の賃料変動率は+5.7%、更新時の賃料変動率は+0.4%と、いずれも高い稼働率と賃料変動率を合わせて達成することができました。外部成長に関しましては、38期に入りまして、10月1日に、660百万円でホテル1物件を取得致しました。財務面では、期末時点の加重平均金利は0.49%、長期有利子負債の平均残存年数は4.3年となりました。

5頁をお開きください。次に決算の概要について説明致します。頁左をご覧ください。37期実績としては、営業収益は12,703百万円と8百万円の予想比減となりました。一方、営業費用は、予想より89百万円少なく済み、結果として営業利益は、5,991百万円と予想を81百万円上回りました。更に、営業外の収益と費用を加え、当期純利益は、予想を102百万円上回る5,570百万円となりました。詳細については、次頁の一口当たり分配金の変動要因とともに説明致します。

6頁をご覧ください。一番左側は37期の予想分配金である10,860円を示していますが、予想と比べて賃料・礼金等増収、その他収益は減収となり、費用面では、原状回復費とテナント募集費用、およびその他の費用夫々の増減を合計し、既存物件として+133円、又、その他の項目で、予想にはなかった保険金収入や支払利息等の削減を加味した結果、今期の一口当たり分配金は、予想を204円上回る11,064円となりました。

次に今期の稼働率につきまして説明致します。7頁の上のグラフは、過去4ヵ年の稼働率の推移を示したものです。左半分のオレンジの太い線が、37期および38期中で公表済みである9月末の稼働率となります。例年8月期は、春のテナントの入れ替わり時期を含む期ですが、今期もリーシング活動を順調に進めることができました。その結果、稼働率低下も限定的となり、足元まで高い水準で稼働率は安定的に推移しています。この先も、我が国の経済が緩やかに拡大することが期待される中、特に東京都区部では有効求人倍率も増加、人口流入が拡大していることを踏まえると、引き続き高い水準の稼働率が継続できると考えております。

次の8頁は入替時の賃料動向の説明です。このデータは、テナント入替のあった住戸に関して、入替後の賃料と従前の賃料を比較し、その変動率を見ていくものですが、詳細は左上の表をご覧ください。下段の黒の折れ線グラフは、各期の変動率を示して居ますが、引き続き今期も上昇トレンドが継続し、5.7%となりました。右上の入替時賃料変動戸数比率の推移を示す棒グラフでも、オレンジ色の賃料上昇戸数比率が順調に上昇し、今期は77.7%となりました。尚、賃料変動の中身については、次頁以降で詳しく説明致します。

9頁は、入替時賃料変動率の、エリア別および住戸カテゴリー別の動向です。上段のエリア別分析では、引き続き東京23区において力強い改善が確認できます。下段のカテゴリー別では、ファミリー・ラージといった広めの住戸タイプについては、引き続き引き合いが強く、多少の上下はあるものの、賃料変動率は高位で推移しています。又、シングルタイプおよびコンパクトタイプの賃料変動率も上昇しています。これらのタイプの賃貸住宅ストックの不足は、都心部における人口世帯動向に鑑みると構造的な問題であり、需給のタイトな状況は継続し、この先も賃料変動率の上昇は続くものと考えられます。

投資法人のポートフォリオの特性としては、東京23区の投資比率が高く、又、カテゴリー別では、都心部に保有しているファミリー・ラージタイプの賃料変動率が高水準で推移し、これに加えてポートフォリオの多くを占めるシングル・コンパクトの賃料変動率の状況が期待されることから、今後も右肩上がりの収益の成長が見込めるものと考えています。引き続き個別物件の丁寧なマーケティングと戦略的なリーシングを徹底し、賃料のアップサイドを追求してまいりたいと思います。

次の10頁は更新時の賃料動向です。37期の更新時の変動率は0.4%となります。更新時の賃料変動率は、入替時の変動率と比べ低位に留まりますが、一方で、更新の場合、空室期間、即ち、ダウンタイムの発生がないことに加え、更新料を当該決算期において収益計上できることから、本投資法人における収益の安定性に、大きく貢献するものとなっています。尚、入替時と同様に、賃料上昇基調の中では更新時の賃料改定も、内部成長の重要なチャンスとなりますので、引き続き賃料上昇幅を拡大していけるよう努める所存です。

次に11頁をご覧下さい。上段のグラフの通り、着実な賃料の成長が継続していることをご確認頂けると思います。下段の表で示す分析でも、前期に続き全エリアでの前期比上昇が確認されております。
次の12頁は外部成長の状況です。38期となりますが、10月1日に、くれたけイン旭川を660百万円で取得しました。これは運用会社の独自ルートによる物件取得で、好機を逃すことなく、優良なホテルを有利な条件で取得することができたと考えています。本物件は、JR旭川駅から徒歩8分、駅からの大通りは、金融機関も含めたオフィスリッチとなっており、官庁街にも近く、加えて繁華街も最寄りという絶好のロケーションに位置しており、ビジネス需要をメインに、観光需要も取り込むことができ、ホテルとして極めて希少性の高い物件です。

加えて、本物件の想定NOI利回りは7.1%、賃貸借契約も長期固定賃料と、高い利回りとキャッシュフローの安定性を両立させており、本投資法人における分配金成長とポートフォリオの安定性向上に寄与するものと考えています。尚、これを含め38期末時点の想定LTVは51.1%、LTV55%までの取得余力は約280億円となっています。

続いて13頁でスポンサーパイプラインについて説明致します。現在、スポンサーの開発したパークアクシスシリーズは、東京23区を中心として43 物件、 4,496戸が竣工済み・リーシング中です。総額で約1,600億円規模と見込まれます。売買マーケットは、過熱気味の状態が続いていることを視野に入れ、この潤沢なスポンサーパイプラインを生かし、次なる外部成長の機会を探っていきたいと考えております。
14頁をご覧下さい。次に資本的支出について説明致します。

頁の左上にありますように、本投資法人の保有する物件の平均築年数は、17.7年となっております。37期の資本的酒出は、資産価値および物件競争力の維持・向上のため、大川端賃貸棟の設備系工事やその他保有物件の大規模修繕工事等を行った結果、1,183百万円となりました。今後、2~3年においては、同程度の工事が続くと想定していますが、資本的支出の減価償却費に占める割合は、50から60%程度にコントロールし、効率的キャッシュマネジメントを継続する方針です。

一方で、本投資法人の旗艦物件である大川端賃貸棟については、従来から専有部のバリューアップ投資を行っています。下段の図表で示しております通り、かかる投資は、確実かつ相応のリターンの投資効果が見込まれ、本投資法人のトップラインの成長に着実に寄与するものと考えております。引き続き、毎期120百万円程度の規模で取り組んでいきたいと考えています。本投資法人の保有物件は、ロケーションに優れ、元々のクオリティが高いことから、適切なタイミングで大規模修繕工事、設備更新工事等の、必要十分のメンテナンスを継続することにより、物件競争力を維持・向上させてきました。引き続きこのようなメンテナンス工事と大川端賃貸棟のバリューアップ工事を効率的に実施することにより、ポートフォリオの稼働率、賃料のアップサイドを追求し、着実な成長に繋げてまいりたいと考えています。

次の15頁はサステナビリティに関する取り組みです。2030年までの定量目標に向けた進捗状況については、先ず、頁左上段をご覧ください。37期において、Green Building認証の取得比率については、9物件、35.6%まで進捗致しました。又、CO2の排出量削減につきましては、頁右中段に記載の通り、非化石証書の購入による削減を進めました。引き続き目標達成に向けて、着実に取り組んでまいります。頁右下段をご覧下さい。38期においては、スポンサーグループ会社の三井不動産レジデンシャルが、本投資法人の投資口4,000口を第三者から取得致しました。所謂、セイムボート出資が拡大し、スポンサーグループのコミットメント強化に繋がるものと考えています。引き続きESGおよびサステナビリティへの取り組みを最重要な経営課題の一つとして、着実に推進してまいりたいと思います。

次に財務の状況です。16頁をご覧下さい。37期末の有利子負債は合計1,660億円、総資産に対するLTVは51.0%となりました。又、鑑定評価額に対するLTVは、鑑定評価額の増加により、32.9%と前期から低下し、財務内容が改善しました。その他の指標に関しても、引き続き安定した水準を維持しています。コミットメントラインは、頁下段左に記載の3行から50億円ずつの合計150億円と変わらず、格付けも、R&IからはAAマイナス、 S&PからはAプラスと変更はありません。

17頁は、期末時点の加重平均金利と長期有利子の平均残存年数の推移です。37期は、3月に日銀がマイナス金利解除とイールドカーブコントロールを撤廃したことに始まり、金融政策が大きく変わる環境下の財務運営となりましたが、本投資法人のファイナンスにおける影響は限定的であり、必要な資金調達ができたと考えています。引き続き平均借入コスト のコントロールに努め、調達年限の柔軟化や、一部変動金利のミックス等も考慮に入れ、38期以降の調達に臨みたいと考えています。その上で、今後も米国の利下げや日銀の政策金利の変更など、先行き不透明なマーケット環境が続く中、中長期の財務の安定性を重視した財務運営を行ってまいる所存です。

次は鑑定評価です。18頁をご覧ください。今期末時点の鑑定評価に基づくポートフォリオ全体の含み益は、1,780億円、一口当たりのNAVは、646,000円となっております。鑑定評価における直接還元利回りは引き続き低下し、今期は3.4%となっております。

19頁をご覧ください。38期、39期の業績予想です。先ず、賃貸マーケットの見通しですが、引き続き東京都区部を中心に、堅調なマーケットが継続するものと見込んでいます。東京都区部の賃貸住宅における需要としては、2024年においても、人口流入の拡大が継続しているものの、今はコロナ禍前のピーク時の水準には至っておらず、日本経済の緩やかな 拡大を前提とすると、人口流入は今後も続くものと考えられます。

一方で、分譲マンションは、価格の高騰、販売個数の減少が継続し、賃貸マンションに関しても、開発用地の価格は高止まり、建築価格の高騰も続いているため、この先の供給については、減少傾向になる蓋然性が高いことを踏まえると、賃貸住宅をめぐる需給ギャップは、今後も拡大することが想定されます。又、テナントサイド においては、多種多様な商品の物価上昇、インフレマインドへの転換および人手不足を背景とした、新卒社員の初任給の引き上げ、ベースアップ等が、所謂、賃金と物価の好循環として実現されることによって、今後、中長期的に賃貸住宅の持続的な賃料上昇を後押しする、プラスの要因となることが期待されます。

賃貸住宅のテナントの特徴として、仕事や家庭用のライフイベントなどを理由に、一定程度の入替は定期的に発生するため、高水準にある稼働率の環境においても、これらの入替時に 賃料の着実な増額は実現可能と見込んでいます。一方において、国内外の金融マーケットの不確実性の増大、各国の中央銀行の金融政策の転換、政治上のイベントの影響、地政学リスクの拡大など、不断に変化する不透明な環境にも、十分に留意する必要があると考えています。

これらの前提の下、38期および39期の業績予想における稼働率は、38期は季節性を考慮して、37期を0.3ポイント上回る97.1%と、前年同期と同じ稼働率を見込んでおります。又、翌39期は、前年同期の37期と同じ96.8%と予想しています。尚、12頁で説明致しました物件取得は、業績予想に折り込み済み。それ以外の物件取得・譲渡については、現時点で確定したものはないことから、業績予想の前提として見込んでおりません。38期、39期の業績予想については、20頁の一口当たり分配金の変動要因とともに説明致します。

38期は、テナント入替の少ない期であり、礼金等の一時金収入が減少するため減収となりますが、一方で、原状回復費やリーシング費用などが前期よりも大きく減少するため、既存物件では、これらの要因により前期に比べ305円の増益となります。その上で38期取得物件の期中稼働および運用報酬とその、他の効果を加味して、一口当たり分配金は、11,340円と見込んでいます。39期については、テナントの入替が多い期となりますので、既存物件で増収ではあるものの、原状回復費やリーシング費用が増加することにより、294円の減益となります。その上で、運用報酬とその他の効果を加味して、一口当たり分配金は、10,900円と予想しております。

最後に22頁は、LTVの推移と分配金のトラックレコードです。本投資法人のポートフォリオの物件力による、高稼働率の継続と賃料変動率の上昇、並びに、スポンサーパイプラインおよび運用会社の独自ルートによる着実な物件取得により、これまで安定的な分配金成長を実現してまいりました。前期36期は、季節要因に加えて、テナントの入替戸数が例年より減少したことにより、過去最高の分配金を計上することができました。これに比べ、今期37期は、テナントの入れ替わり時期に該当するため減配となったものの、稼働率およびダウンタイムのコントロールと賃料変動率のバランスを最適化することに注力し、奇数期としては過去最高の分配金を計上致しました。

賃貸住宅のマーケットは、引き続き東京都区部を中心に、需給環境は堅調に推移するもの見込んでおり、今後も高水準の稼働率と賃料のアップサイドの追求により、内部成長に最大限努めるとともに、スポンサーパイプラインおよび運用会社の独自ルートを活用した外部成長にも取り組んでいきたいと考えています。このような内部成長と外部成長を実現することにより、継続的な分配金成長と投資主価値の最大化を目指し、本投資法人の上に尽力してまいります。
私からの説明は以上です。ご清聴、有難うございました。