ラサールロジポート投資法人 2022年8月期決算概要
ラサールロジポート投資法人
2022年8月期(第13期)決算動画説明書&質疑応答
動画 https://www.irwebcasting.com/20221017/3/8264a5cbe8/mov/main/index.html
資料
https://lasalle-logiport.com/file/term-92c748be082814c899f95703f1b7de1d31b899ae.pdf
説明者 ラサールロジポート投資法人 執行役員 兼
ラサールREITアドバイザーズ株式会社 代表取締役社長 藤原 寿光
説明
2022年8月期(第13期)の決算説明を始めます。
決算説明資料の3頁をご覧下さい。今回も、運用ハイライトを5つに纏めております。
先ず1つ目に、当期のDPUは高稼働率の維持により予想を若干上回る着地となりました。
パイプラインは2,500億円を超えるまでの規模に拡大し、外部成長のポテンシャルを一層
強化することが出来ました。その中には、本投資法人独自のソーシング活動により優先
交渉権を新たに確保した5物件も含まれております。内部成長のモメンタムも継続して
おり、当期は定借物件で+10.4%の高い賃料増額率を実現しました。ESGについてもその
取り組みを着実に進めた結果、2022年のGRESBリアルエステイト評価において、2年
連続となる5—Starsを獲得しました。これらを中心に以下で説明致します。
4頁をご覧下さい。第13期の決算と第14期、第15期の業績予想を説明致します。先ず
第13期の一口当たり分配金DPUは3,079円となり、業績予想を21円、0.7%若干上回る
水準となりました。これには駐車場収入の上振れ、修繕費の減少やリーシング費用の期ずれなど雑多な要因が寄与しています。次に第14期については、第13期実績からほぼ横這い
の3,080円を予想しています。賃料増額や稼働率改善による内部成長で、+50円の押上げ
効果がある一方、修繕費の積み増しや投資法人費用の増加により、トータルでは、ほぼトン
トンになる見込みです。第15期については、賃料増額改定の成果を織り込む一方で、
リーシング費用が一時的に増加するので、それを補うために、一時的利益超過分配を行う
ことを想定しています。これにより第14期予想で12円減の3,068円を予想しています。
尚、リーシング費用についてですが、2024年2月期に満了を迎える賃貸借契約が前期より
も可成り多いので、これに応じたリーシング費用を想定したものです。
5頁は運用戦略です。ポートフォリオ戦略、アセット戦略、バリューアッド戦略の組み
合わせによって、年平均4%の巡航DPU成長を狙っていく方針に、変わりはありません。
足元の運用状況を振り返りますと、アセット戦略とバリューアッド戦略は順調に進展して
いるものの、2022年はボラティリティが高く、不透明な資本市場環境が続いたことが要因
で、ポートフォリオ戦略の遂行に課題があったと自己分析しています。本投資法人としては、
パイプラインも充実していますので、定期的に年1回は外部成長を図りたいという考えで
おりますが、それも資本コストを意識しつつ、適切なタイミング、適切な規模でというのが
大原則です。前回の公募増資から1年半が経過していますが、資本市場の環境を睨み
ながら、次の機会を見極めたいと考えております。
次に6頁をご覧下さい。パイプラインはスポンサーの開発案件10物件と、本投資法人が独自に取り組んでいる11物件で、合計21物件に拡大しました。金額にすると72,500億円を
超える規模となります。スポンサー開発案件のうち公表済みのものは5物件あります。
紹介しますと、AZ-COM Logistics Kyotoは、関西丸和ロジスティクス向けの専用施設と
して2022年9月に竣工済み。ロジポート加須は、昨年7月に竣工したマルチテナント型
施設で、97%の稼働率となっています。ロジポート神戸西は、昨年11月に竣工済みの
マルチテナント型施設で、既に100%の稼働を達成済みです。松戸物流センターは、今年
1月に竣工した楽天西友スーパー様向けの専用施設です。ロジポート名古屋は来年7月に
竣工予定の、延べ床面積107,000坪の超大型施設です。名古屋駅から4.8KMの至近距離に
位置するという抜群の立地条件もあり、テナントからの引合いも順調と聞いています。
それ以外にも守秘義務上、まだ公表できないものの開発途次を5件取得済みで、順次開発に着手する予定で、今後もパイプラインの増強が期待できます。本投資法人が独自で取り組んでいるバリューアッド案件では、前回の決算期から愛知県刈谷と犬山、埼玉県の鴻巣、
宮城県の岩沼、それに売り主の事情で現時点では非公表の1案件を加え、新たに合計5
物件の優先交渉権を確保することが出来ました。物件取得競争が激化するなか、外部事業者
との相対取引、中規模物流施設への投資対象拡大、主要都市圏への投資エリア拡大という
戦略で、ソーシング活動を強化してきたわけですが、その成果が順調に積み上がってきたと
考えております。
次に7頁をご覧下さい。これらのバリューアッド案件は、現在ブリッジファンドで運用中
です。リースアップ案件については、今年から来年にかけてテナント誘致が完了し、早期に
本投資法人で取得可能な状況になるものと期待しています。現在のところ、愛西、刈谷、
犬山の3案件で、いずれも中部エリアの案件ですが、既にテナントが100%決まって
います。開発案件については、大阪住之江の案件は、現在建設工事が進行中で、来年3月に
竣工の予定です。残りの3案件は、今後着工を迎え、2024年に順次竣工の予定となって
います。
次に8頁をご覧下さい。内部成長です。頁左側、期中平均稼働率については、第13期の
実績は98.9%となり、引き続き高稼働を維持しています。第14期は再契約の目途もほぼ
立っているとのことから99.3%も稼働率を見込んでいます。これは、倉庫区画も満床で、
空きが全くない状況です。第15期は再契約の状況を踏まえ、一定のダウンタイムを織り
込んで、98.4%と予想しています。頁中央には、契約交渉の状況を纏めていますが、第14期
に満了を迎える区画では、再契約やテナント入替えで、既に87%が内定済みです。第15期
も30%が内定済みとなっており、順調に進捗しています。頁右側、賃料増減率については、
第13期には+10.4%の増額率を達成しました。新規供給増加の影響を懸念する向きもあり
ますが、既存物件の増額のトレンドに変化は感じられません。賃料ギャップは物件ごとに
まちまちではありますが、5%から10%程度あると思っています。引き続き現行の賃貸借
契約が満了を迎え、再契約やテナント入替えをするタイミングを捉えて、賃料増額を実現
出来ると考えています。今後2期の賃料改定についても、現在までに内定済みの契約に
ついて、第14期は+6.1%、第15期は+3.5%の増額率を確保しています。
9頁をご覧下さい。この頁では資本的支出を通じたNOI向上の取組みについて事例を
いくつか紹介しています。頁左側は、倉庫区画の空調工事や照明のLED化など、物件の
快適性や省エネ性能の向上に、本投資法人が追加投資する対価として賃料増額を達成した
事例です。こういった取り組みによって、賃料交渉が難しい普通借家契約での増額を実現
したり、或いは、市場水準を超える+αの賃料増額を達成したりしています。頁右側は、
未消化容積率を活用した増築プロジェクトの事例です。前回の決算説明会では、ロジポート
北柏で、冷凍冷蔵庫の増築を検討中と報告致しました。その後、館内の基幹テナントから
入居意向書を受領してお入り、現在ゼネコンの選定など詳細をつめているところです。
竣工は、2024年5月を予定しております。
次に10頁をご覧下さい。こちらは財務戦略ですが、第13期には期日の到来する借入れは
ありませんでしたので、財務状況に大きな変化はありません。第14期においては、来年
2月に151億円のリファイナンスを控えています。金融機関の融資姿勢に変化は見られ
ませんが、金利上昇の圧力のある環境ではありますので、財務の安定性に留意しつつ、
リファイナンスに取り組んでいきたいと考えています。
次に11頁をご覧下さい。ESGの取組みです。今年度のGRESBリアルエステイト評価で、
2年連続となり5—Starsを獲得しました。環境、社会、ガバナンスの夫々の取組みを一層
深めることによってERSGにおけるリーディングポジションを維持することが出来ました。
本投資法人では、各種の環境認証の中でも、建物の省エネルギー性能を評価するBELSの
認証を重視しています。今回、川崎ベイでBELSの最高の評価である5—Starsを取得し、
これをもって本投資法人の保有物件は、全てBELSの認証を取得しました。底地を除く
全18物件のうち、13物件が最高評価の5—Starsを取得しており、本投資法人のポート
フォリオの省エネルギー性能の高さを示すことが出来ました。又、川崎ベイでは、本投資
法人として初めてとなるZEBの最高評価を取得しました。ZEBというのは、ネット・
ゼロ・エネルギー・ビルの略称で、建物の省エネ化と太陽光発電による創エネでエネルギー
を100%削減、即ち、ネットゼロを達成したことを示す第三者認証です。これらの取組みを
通じてCO2排出量原単位の削減が着実に進んでいます。2021年の実績値では、基準年の
2017年から31.5%の削減となり、当初掲げていた2030年までに30%削減という目標を
達成しました。これを受け、更に意欲的な削減目標を、新たに設定したい、考えています。
12頁をご覧下さい。最後に、ポートフォリオの運用状況について、2つご報告をしておき
たいと思います。1つ目は、ロジポート流山に入居する日本ロジスティクス社の民事再生
手続き開始についてです。新聞報道などでご存じの通り、同社は8月30日に民事再生法の
適用を申請し、9月1日に再生手続き開始が決定されました。この場合、法律上テナント側
に、賃貸借契約の解除か継続かを選択する権利が生じます。本投資法人との賃貸借契約に
ついては、先方から継続意向の書面を受領しています。契約継続の場合は、当然従来通りの
賃料の支払い義務がテナントにあり、実際10月分の賃料は約定通りに入金されました。
これらを踏まえて、本投資法人への影響は限定的と現時点では見ており、業績予想も現行
契約の継続を前提としています。2つ目は電気料金上昇の影響についてです。電気料金上昇
は燃料費の高騰が原因となっている訳ですが、結論から言いますと、こちらも影響は限定的
です。保有物件での電力使用量のうち、本投資法人の負担となるのは、マルチテナント型
物件の共用部の電気代のみです。これは、マルチテナント型物件における電力使用量の15%
程度です。テナント専有部の電気代は、電気使用量に応じてテナントから回収しており、
燃料費の増加分は、テナント各社にご負担をお願いしております。シングルテナント物件で
は、テナントが電力会社と直接契約しているため、本投資法人に影響はありません。
決算説明は以上となります。
ご清聴、有難うございました。
質疑応答
Q:5頁にある年平均4%のDPU成長ですが、ポートフォリオ戦略が課題とのことでした。
株価もそうですが、基本的には物件価格も資本コストになるとの前提でいうと、資本
入替えの可能性があるようであれば、売却の余地も含め教えて頂きたい。
A:ポートフォリオ戦略で、物件入替えを検討するかとの質問ですが、物件入替えは、これまで排除したことはなく、常に可能性としては念頭に置いています。ただ、ここ数年は
環境も良かったので、入替えというよりは外部成長でDPUを伸ばしていくというよう
な運用を行ってきました。足元、株価の水準はピーク時からするとやや軟調になって
いるのは事実ですが、我々としてはがPBRが1倍を超えて増資できる環境になれば
引き続き外部成長がメインになると考えています。状況によっては当然物件の入替え、
パイプラインは豊富ですので、正に2018年にやったように、アップサイドのない物件
を売却して、アップサイドのある物件を買うとか、そうしたことは選択肢として、常に
あると思っています。ただ、現時点で具体的に検討しているかというと、まだその段階
ではないと思っています。
Q:7頁のバリューアッド投資のラインアップですが、このあたりはスポンサーがやって
いるとのことかもしれませんが、2022年、2023年の案件で、内定済み、リーシング中
とありますが、リースアップのスピードは、当初想定より早かったのか、賃料の水準
とかも含めて、当初予想よりも良かった、悪かった、苦戦したのか、良好に進めたのか
肌感覚的なもので結構ですので教えて頂きたい。
A.バリューアッド戦略のリースアップのスピード、賃料の水準についての質問ですが、
エリアごとに異なってはいますが、肌感覚としては、概ね、想定通りか、想定を上回る
ところでリースアップも賃料水準も、達成できているのではないかと考えています。
特に、今リースアップ案件が順調に進んでいる中物件の3案件ですが、中物件は
かなり供給ラッシュで、マ-ケットの動向を気にされている投資家の方も多いとは
思いますが、その意味では竣工前に順調に想定賃料を上回る水準で決まっています
ので、思っていた以上に順調に進んだと考えています。
Q:積み上がったパイプラインで、バリュ-アップ型パイプラインの優先度について取得の
優先度を伺いしたい。
A:バリューアッドのパイプラインについて、我々が優先交渉権があるかとの質問ですが、
6頁、7頁に記載のバリューアッド案件は、スポンサー側ではなく、本資産運用会社
独自にソーシングしている案件ですので、我々に優先権があります。スポンサー側の
積み上げという意味では、スポンサー側は、大型、超大型物流施設の開発に特化して
おり、我々独自の動きとしては、中規模案件を中心にバリューアッド案件、リース
アップ型とか開発案件をソーシングしてくるとか、そういった棲み分けをしており
ます。独自の動きについては本投資法人が優先交渉権をもっているという立て付け
です。
Q:今回、2期先の予想で、一時的利益超過分配金を織り込んでおられるが、これは、
ダウンタイムを含めたリーシングのコストがかかり、それを埋めるためとの説明が
あり、これが2期先の稼働率をやや保守的に見ているところと思っていますが、これ
が上振れ、或いは、外部成長などできた場合には元通りになるのか、減価償却30%と
いうところに戻るのかについて、コメントを伺いたい。
A:2期先の業績予想についてですが、稼働の見積もりと利益超過分配は別個の問題であり、
分けてご理解頂ければと思います。リーシング費用の増加に関して利益超過分配で
カバ-しているという点については、2024年2月期に満期を迎える契約に関しての
ことですので、基本的には1年先、定借の場合は1年前からテナント様に通知を出し
て、そこから再契約の交渉を開始することになりますので、それを見込んでリーシング
費用を積み増しているところです。具体的に言うと、通常期に比べると2倍位の面積
が満了を迎えますので、それに対応したリーシング費用の積み増しという形になって
います。その一方で、2期先、2023年8月期の稼働の見積もりについては、今現在
まだ30%の内定状況で、2期先というのはこんなものでしょうが、いまだ未定のところ
があり、こちらについては一定のダウンタイムを見込んでおります。これまでも、結果
として上振れしてきましたので、今の需給の逼迫具合からすると上振れする余地は
十分あるのではないかと考えております。
Q:公募増資に対する考え方をお聞かせ願いたい。パイプラインは積み上がっているとの
ことですが、足元の物流リートの投資環境はボラタイルであり、プライマリーは上手く
いかない案件が増えてきているという印象があります。その中でどのような条件が
揃えば増資を検討するフェーズに入っていくのか。先ほどプレミアム増資ができれば
とのコメントがありましたが、増資に関してきっかけになるようなものがあれば、
コメントを頂きたい。
A:どのような条件があれば公募増資を検討するのかという難しい質問ですが、プレミアム
増資が大前提ですが、我々の巡航4%という目標を掲げる中で、資本コストと物件の
取得利回りに一定のスプレッドがないとなかなか4%に乗ってきません。手元にある
パイプラインの物件の利回りとその時々の株価に含まれた資本コスト、この辺りを
見極めて、DPUの成長が、投資家の期待に沿えるかというところが判断基準になる
のではないかと考えています。
Q:今説明のあったところですが、改めて確認させて頂くと、従前23年2月期の業績予想
は、契約満了が多いので、リーシング費用が多くなってくるという説明だったと思い
ますが、今回はそのようになっておらず、23年8月期で見ているコストも大きくなら
ない可能性があるとの理解でよいのか。
A:リーシング費用ですが、契約の大量満期があるのは2024年2月期ですので、そこまで
の1年間に再契約し、リーシング費用が生じるということになります。23年2月期、
23年8月期、24年2月期と3期に分かれる可能性があり、予算上は前倒しで計上する
ようにしています。その意味では、前回の決算説明会では2023年2月期にリーシング
費用を上乗せしていましたが、内定状況はそこまで進んでいないので、そっくりその
まま8月期にスライドする形になっています。といっても、期限は限られており、
2期先、或いは、3期先のどこかに計上するということになるので、タイミングは
どうなるか分かりませんが、総額としてはそのくらいが生じ得ると、ご理解頂ければと
思います。
Q:パイプラインの物件に関して、従来の説明でも、すぐに取得対象になるような物件が
6~700億あるとのことでしたが、これらは問題なくブリッジとかウエアハウジングを
続けられるという理解で良いのか、或いは、どこかの時点で買わなくてはならなくなる
ということはないのか。
A:パイプライン物件ですが、スポンサー側のパイプライン物件は、スポンサー側の開発
ファンドで進めているのもあれば、今後ブリッジファンドに移そうとしているのも
あります。ブリッジファンド期限は5年あり、期限を迎えて買わなくてはならない
状況に追い込まれるというようなことは、現時点では想定していないというか、時間的
余裕がありますので。その意味では市場を睨みながら、適切なタイミングで公募増資
していく時間的な余裕はあると、ご理解頂きたいと思います。
Q:物流施設の賃貸市場ですが、需給で、マーケット賃料のモメンタムが落ちてきている
というようなことはないのか、ご意見を伺いたい。
A:賃貸市場についてですが、既存物件については引き続き高い賃料増額を達成しており、
こちらはモメンタムに変化はないと見ています。一方で、開発側については、大量供給
があるということで懸念される向きもあるとは思います。ただ、我々が把握している
限りでは、スポンサー側の開発案件においては、当初想定していた事業計画通りか、
それを上回るような賃料水準を確保できると聞いており、今の段階ではモメンタムが
特段弱まっているということは聞いておらず、引き続き需要は強いのではないかと
思っています。ただ、プレイヤーの裾野も広がってきて、エリアも広がっており、
2極化というか、立地の良い物件かどうか、実績のあるプレイヤーかそうでないかで
差が出てくる、というのは今後考えられるのかなと見ております。