ジャパンエクセレント投資法人 2024年12月期決算概要

ジャパンエクセレント投資法人
2024年12月期(第37期)決算動画説明書
○動画  
https://c-hotline.net/Viewer/Default/49886cc8c6207eab946a8e0a98ce9777b14a
○説明資料
https://www.excellent-reit.co.jp/file/ir_library_term-3434d01f689287f344248b72f95ccd1d3e4189ca.pdf
〇決算説明会資料の一部訂正について
https://www.excellent-reit.co.jp/file/ir_library_term_errata-d5a2868287e5c7687bd9cde209a55cea007e96e6.pdf
○説明者 ジャパンエクセレントアセットマネジメント株式会社
代表取締役社長 稲垣 修
○説明
決算説明資料に沿って今般のコーポレートアクション、37期決算、並びに今後の見通しについて説明致します。
資料5頁をご覧ください。今回はスポンサーサポートを引き出しながら、これまでにも増して、一歩踏み込んだコーポレートアクションを実施します。その内容と狙いについて説明致します。先ず、昨年12月に懸案であった川崎東口ビルを、92億円でスポンサーである日鉄興和不動産に譲渡しました。併せて、大阪興銀ビル(底地)を、こちらも日鉄興和不動産に譲渡しました。又、先週リリースさせて頂きましたが、JEI浜松町ビルを93億円にて譲渡、その入替資産として、アークヒルズフロントタワーを172億円にて取得の約定を締結しました。アークヒルズフロントタワーについては、2022年に匿名組合出資持分を52億円で取得しておりましたが、今般、当該持分を召喚し、信託受益権を100%、172億円で取得した形となります。併せて40億円相当の自己投資口取得・消却、並びに60億円の借入金返済を実施します。今回のコーポレートアクションの狙いは、ポートフォリオの質的改善と資本効率化です。

譲渡物件について説明致します。23頁をご覧ください。先ず川崎東口ビルについては、1棟借りによるテナント集中リスクがあり、又、築36年が経過、今後の工事費支出増加が見込まれ、且つ含み損を抱える状態が継続していました。これまでも譲渡を検討しておりましたが、借地のほか、敷地権利関係が複雑であることもあり、譲渡先探索は難航しておりました。検討の結果、今般、スポンサーのサポートを活用して、日鉄興和不動産に譲渡しました。これにより発生する譲渡損失への対応として、併せて大阪興銀ビル(底地)を借地権者である日鉄興和不動産に、鑑定評価額、今回は限定価格となりますが、これを上回る価格で譲渡し、その譲渡益で川崎東口ビルの譲渡損を減殺させることとしました。

尚、大阪興銀ビル(底地)は、固定地代でもあり今後の成長性には課題がありました。浜松町ビルについては、築後30年を経過し、今後の修繕・更新工事費の増加が見込まれることや、基準階約250坪の規模にも拘わらず分割ができないレイアウトであるために、空室発生時には埋め戻しに時間を要することなど課題があり、今般譲渡を決定致しました。この浜松町ビルの入替部分がアークヒルズフロントタワーとなります。

21頁をご覧ください。溜池山王駅と六本木一丁目駅の2駅徒歩4分に位置し、築14年、300坪超の整形フロアプレートで、解放感と眺望も魅力のオフィスビルです。個室、会議室を備えたシェアオフィス、WAW赤坂が内設されており、オフィスワーカーのフレキシブルが働き方もサポートできる特徴があります。稼働率は現状100%、浜松町と同じエリア1内物件の入替となり、ポートフォリオの質的改善に繋がるのと判断致しました。

再び5頁にお戻りください。以上の物件の譲渡・取得により生じる余剰資金約100億円を、自己投資口の取得・消却、並びに借入金の返済に活用します。自己投資口取得については、過去に2回、夫々20億円相当額を実施しておりますが、3回目となります今回は、更に倍の40億円、時価総額の2.5%相当の大規模な自己投資口取得を本日より開始、38期中に消却まで終える予定です。尚、今回も含め本投資法人の自己投資口取得は、累計で80億円、時価総額5%に達することになります。本投資法人の投資口価格は、一口当たりNAVを大きく下回る状態が続いています。

ポートフォリオの質的改善により生じる手元資金を活用して自己投資口の取得・消却を行うことは、中長期的な投資主価値の向上に繋がるものと考えております。長期金利が上昇しておりますキャップレートについては、足元は低位推移していますが、今後反転上昇するリスクは徐々に高まっていると考えます。このような局面では、特にエリア競争力や築年数等で課題のある物件、今回で申し上げれば川崎東口と浜松町ですが、先行してキャップレートが上昇する可能性があります。中長期的な視点に立った ポートフォリオの質的改善を鑑みれば、例え、本投資法人として一時的なサイズダウンに繋がったとしても、将来的な収益性の低下や含み損の拡大、リスクを抱える課題物件の譲渡は引き続き検討していくべきと考えております。そして、ポートフォリオの安定性に軸足を置きつつ、収益力の更なる向上に向けた内部成長の取り組みにつきましても、強力に推進していく方針です。

一連のコーポレートアクションの効果について説明致します。
6頁をご覧ください。先ず資産入替によるポートフォリオの変化です。資産規模は2,889億円から2,851億円にサイズダウンすることになりますが、ポートフォリオ全体では、築年数が22年から20.8年と若返りが進みます。又、本投資法人の課題、テナント集中リスクの低減効果として、大口テナント10社による視野が26.5%から23.3%へ低下し、加えて償却後NOIについては、3.4%から3.65%へと 改善することとなります。表面的な単年度数値もさることながら、ポートフォリオの質的改善が進むことにより、将来キャッシュフローの安定性と成長性は確実に高まるものと評価しております。

又、40億円相当の自己投資の取得・消却により、約66円のEPU押し上げ効果が想定されます。分配金の推移について説明致します。37期2,770円、38期並びに39期については、夫々3,000円、2,800円と予想しております。このグラフではEPUについて説明させてください。薄いブルーの棒グラフがEPU、譲渡益 を含まない一口当たりの当期純利益となります。38期、39期のEPU予想値に、今回のコーポレートアクションによる物件の入替を反映させておりますが、自己投資口の取得は消却株数が未定ですので、この薄いブルーの棒グラフには織り込んでいません。 その前提で申し上げますと、38期EPUは2,685円、39期EPUは2,624円と予想しております。尚、自己投資口取得・消却が計画通りに完遂したと仮定すると、39期EPUは稼働率98%前提で2,690円となります。このEPUを内部成長、賃料増額とコスト抑制で着実に引き上げていきたいと考えております。

続きまして37期決算実績について説明致します。9頁をご覧ください。前回予想との比較では、一連のコーポレートアクションに伴う譲渡益・譲渡損の計上が、大きな変動要因となっています。分配金については、前回予想通りの2,770円とさせて頂きます。尚、37期末時点の内部留保残高は1,506百万円、DPU換算で1,139円となります。

続きまして14頁をご覧ください。今後の分配金予想について説明致します。先ず、38期予想ですが、期中にアークを取得することで+82円、本郷、大阪(底地)、川崎東口の譲渡影響が+390円となります。内部成長の内訳をご覧頂きますと、プラス・マイナスありますが、このうち一番上の賃貸事業収入の+59円が、既存ビルの入退去および賃料改定による収入増となります。39期予想につきましても、アークが通期寄与をすることで+117円、本郷と浜松町の譲渡影響が-161円となります。内部成長の内訳の一番上+45円、こちらが既存ビルの入退去および賃料改定による収入増となります。

運用状況について説明致します。17頁をご覧下さい。先ず稼働率です。1年前に1,700坪の大口退去の申し入れがありましたが、こちらは埋め戻しが完了致しました。結果として、 37期末の稼働率は99%と、昨年8月時点予想を上回っています。左下のグラフですが、38期、39期の退去面積は、夫々2,000坪程度を想定しております。3年前に期当たり6,000から7,000坪の退去が続いた苦しい時期もありましたが、2,000から3,000坪、このレベルは本投資法人として巡航水準とご理解ください。

足元稼働率も高く、又、退去面積もそれほど大きくありませんので、38期、39期については多少稼働が下がったとしても、強気交渉を進めるという前提で計画を策定しております。尚、38期末稼働率は98.8%の計画ですが、おかげさまで順調にリーシングが進んでおりまして、既に、今現時点で、計画上振れがほぼ確実といった状況です。

18頁をご覧ください。賃料改定時の増額交渉の状況について説明致します。37期より改定時増額交渉のギアを1段上げ、合意先に加えて未合意のアタック先を計画に折り込み 増額交渉を進めてまいりました。アタック先というのは、マイナスギャップ先は全先、プラスギャップ先についても可能性がある先は全て対象としております。37期においては当初計画比8割強の先、この左側の棒グラフでは青の部分の、3,050坪の増額改定に成功しております。

又、38期については周辺相場の上昇を受けて、アタック先を期初計画より、更に1.4倍強の7,130坪に引き上げておりますが、この2月の段階で既に5,400坪の増額交渉に成功しており、確かな手応えを感じ始めております。尚、現在早め、早めということで交渉を40期改定先まで広げ、進めております。増額改定率ですが、37期については+6.1%の実績となっています。マーケット賃料が上昇していることと、賃料引上げの交渉テーブルについてくれるテナントも増えてきていることから、目線を更に引上げて交渉している状況です。

19頁に賃料ギャップの状況を纏めておりますのでご覧ください。現在の賃料ギャップは+0.7%と、半年前のご説明時の+3%より低下しています。こういった背景も踏まえ、38期改定交渉にあたってはアタック先を増やしました。又、40期はマイナスギャップ先が多いこともあり、交渉余地は十分あると考えております。

続きまして工事実績について説明致します。20頁をご覧ください。従前より減価償却費内に工事費を抑え、簿価を逓増しないようにマネジメントしております。目先は2027年末までに蛍光灯の製造と輸出入が禁止されることもあり、テナントの要望も強いLED化対応を優先していることに加え、どのビルに優先的にCAPEXを掛けるかという中長期的修繕計画のブラッシュアップを行っております。

財務戦略について説明致します。25頁をご覧ください。上段37期でございますが、投資法 人債とローンで138億円の調達を実施しております。投資法人債については、7月に48億円、10月に38億円の10年債を、1.7%前後のレートで発行しております。いずれも10年国債利回りが1%を下回ったタイミングで、レート競争力のある調達ができたものと考えております。又、ローンについては、シンジケートローンのバイラテ化を実施するなど、金利上昇によるコスト増加を抑制する取り組みを積み重ねてきております。

従前は金利の上昇 圧力がそれほど高くなかったことから、短期変動金利を活用した金融コスト抑制を進めておりましたが、昨年、日銀のYCC撤廃、マイナス金利解除を受け、37期においては固定金利比率を進め、比率を78.4%と10ポイント引き上げております。金利のある世界になって長期金利は大きく変動していくことが想定されます。引き続きマーケット環境を注視しながら柔軟、且つ機動的に対応していきたいと考えております。

ESGへの取り組みについて説明致します。27頁をご覧ください。Green Buildingの認証の取得については継続的に取り組んでおり、2024年12月末時点において認証取得物件数は27物件、賃貸可能の面積の88.3%となっています。このような本投資法人のサステナビリティへの取り組みは、2024年のGRESBリアルエステイト評価において10年連続でグリーンスターを取得し、GRESB Ratingでは4-Starsという評価を受けています。

決算の説明は以上となります。最後になりますが、既存の投資家には、安心して、長く投資して頂けるように、又、新たな投資家にどんどんご参加頂けるように、運用会社として投資主価値の最大化に向け、内部成長の推進とポートフォリオの質的改善、そしてこれらを受けた財務戦略、資本政策の着実な実践に全力で取り組んでいくとともに、投資家、アナリストとの対話を、今まで以上に密に進めていきたいと考えております。どうぞ引き続き宜しくお願い申し上げます。