福岡リート投資法人 2022年2月期決算概要
福岡リート投資法人
2022年2月期(第35期)決算説明 動画配信説明書
動画 https://www.irwebcasting.com/20220415/1/fd5998c3fd/mov/main/index.html
資料
https://www.fukuoka-reit.jp/file/ir_library_term-89b421c3e953d2e68a26cd9351c40a175ac3e4e6.pdf
説明者 株式会社福岡リアルティ 代表取締役社長 古池 善司
説明
福岡リート第35期(2021年9月1日~2022年2月28日)の決算説明を始めます。
先ず、資料1頁目のサマリーから説明致します。最初に、資料下段の分配金の推移について
です。第35期の分配金実績は3,536円となり、予想比プラス1%の着地となりました。
第32期の3,250円から、着実に分配金を回復させることが出来ました。尚、36期、37期
の予想については、記載の通りいずれも3,500円としています。次に資料左上の既存物件の
概要です。福岡の物件では、2021年9月までの緊急事態宣言、2022年1月から3月の
蔓延防止等重点措置の影響を受けました。しかしアクティブ商業施設では、リニューアル
効果などもあり、想定を上回る収益を得られました。商業施設のメイン物件となるキャナル
シティ博多においては、現在、次世代のキャナルシティ博多に向けた検討を行っています。
今後、新コンセプトやロードマップを示していきたいと考えています。オフィスビルの期末
稼働率は100%です。引続き賃料の増額改定を実現しており、堅調に推移しています。後程
詳細は説明しますが、本年9月に大口テナントの退去を見込んでいます。早期の埋め戻しに注力してまいります。次に、資料右上の財務運営ですが、記載の通り安定的な財務基盤の
維持に努めています。金利上昇のリスクについては、今まで以上に見通しを注視し、
コントロールを行ってまいります。最後に、その下のESGへの取り組みです。本年4月に
各マテリアリティに対してKPI、目標を設定しました。目標達成に向けたロードマップを
着実に実行していきます。又、統合報告書などを通じて今後も環境パフォーマンスデータ
など非財務情報の拡充を進めてまいります。以上がサマリーになります。
次は2頁です。分配金の推移について説明します。第35期の分配金実績と、第36期、
第37期の分配金予想の変動要因を記載しています。大きな変動要因として、第35期の
資産の入替え、第36期に新規物件の取得、第37期の東比恵ビジネスセンターの退去など
があります。前回の決算で説明している通り、分配金は、3,500円を下限に運営を行って
いきます。
次は3頁です。第35期の損益計算書・分配金の前期比の資料です。営業損益の主な増減
要因は右のオレンジの欄に記載の通りです。営業収益は前期比マイナス208百万円と
なりました。そのうち半分の104百万円は、売却益の剥落によるものです。残りの
マイナスは、前期に行った資産入替えによる影響の天神西通りビジネスセンター底地の
収益79百万円、グランドビルの収益剥落マイナス263百万円が主な要因になります。
商業施設のパークプレイス大分や木の葉モール橋本については、前期に比較して収益が
回復し、合計でプラス50百万円になりました。営業費用は、外注委託費や修繕費の削減、
減価償却費の減少が主な要因となり、168百万円となりました。その他販管費の減少や営業
外費用の削減も寄与し、結果、一口当たり分配金は3,536円となりました。
次の4頁です。第35期の損益計算書・分配金の予想比の資料です。こちらも主な増減要因
は、右のオレンジの欄に記載の通りです。期初に想定していなかった蔓延防止等重点措置の
影響は受けたものの、歩合賃料が設定されている商業施設では賃料収入は回復しました。
修繕費の増加など費用増はあったものの、結果、営業利益はプラス29百万円になりました。
一口当たりの分配金は36円の予想比プラスです。
次の5頁です。第36期の業績予想の説明です。第36期は3月1日に取得した博多筑紫
通りセンターの収益寄与が主な変動要因となり、営業収益が前期比プラス149百万円と
なり、一方外注委託費や修繕費の増加により営業費用が前期比プラス167百万円となる
ため営業利益は前期比マイナス17百万円となりました。結果、一口当たり分配金は、
3,500円を予想しています。
次の6頁は第37期の業績予想の説明です。第37期はオフィス物件である東比恵ビジネス
センターにおいて大口のテナント退去が予定されています。そのマイナス影響を、
アクティブ商業の売上回復により一部カバーし、営業収益は第36期比マイナス58百万円
を見込んでいます。更に、水光熱費の減と修繕費の削減により営業収益のマイナスを吸収
します。結果、一口当たり分配金は、第36期同様に3,500円を予想しています。
次の頁は、3月30日にプレスリリースをしました東比恵ビジネスセンターのリーシング
方針の説明です。当物件の賃貸可能面積の35%、約1,400坪の解約ということで埋め戻し
の懸念など、ご心配をおかけしていますが、我々としては賃料ギャップを縮小する絶好の
機会だと考えております。現在の賃料単価は12,000円後半ですが、市場の賃料単価は
15,000~16,000円という数字です。問う物件は市営地下鉄の東比恵駅に直結しており、福岡空港、JR博多駅まで一駅です。福岡都市高速のインターチェンジにも近接しているなど
優れた交通利便性を備えています。又、このエリアで比較的大きな床を希望するニーズが
あり、既に引合いも出てきています。4月から本格的なリーシング活動を行っていきます。
先ずは、賃料ギャップの縮小を優先しますが、実際のテナントニーズを把握しながら、埋め
戻しの戦術を考えていきます。
次は8頁です。外部成長の取り組みについて説明します。現在、福岡リートの資産規模は、
2022年3月1日時点で約2,063億円です。引続き2,500億円を目指したソーシング活動を
強化していきます。スポンサーからの既存収益物件の取得に加え、開発段階からの協働に
より、オフィスビル、物流施設を中心に、高品質、高性能の新築物件の取得を目指します。
又、地域密着のソーシング力の強みを生かし、様々なSolution提案を行い良質な物件を
獲得したいと考えております。外部からの取得においてもオフィスビル、物流施設に加え、
安定感のある住居の取得も積極的に検討したいと考えています。
9頁をご覧下さい。第36期期初に取得した博多筑紫通りセンタービルについてです。
予定通り、3月1日に取得を完了しています。契約締結時以前に解約通知書を受領した
テナントの解約もありましたが、リーシングに注力した結果、取得完了前にテナントを確保
することが出来ました。又、賃料も、約30%アップすることで、計画通り内部成長も実現
しています。今後は、早期に稼働率100%を目指していきます。
次の10頁へお進み下さい。ここからはアセットタイプ別の運用状況を説明します。先ず、
福岡のオフィスマーケットについてです。2021年は多くの供給があり、約2万2千坪の
貸室面積が増加しましたが、空室率の上昇は軽微な水準に留まり、足元の2022年3月時点
で4.9%です。東京都心部の空室率は6.37%で、横這い傾向にあります。右に、東京と福岡
のオフィスビルの空室率の推移を示していますが、直近の東京の空室率に比べると、福岡の
上昇率は緩やかです。本投資法人の保有オフィスビルは、空室率の低さから、マーケット
内での競争力の高さがお分かり頂けると思います。
11頁をご覧下さい。オフィスマーケットを支える需要ですが、福岡市が企業誘致を積極的
にサポートしており、2020年も年間50社の外国、外資系企業や、コールセンターなどの
企業が進出しています。福岡のオフィスマーケットの特徴の一つに、比較的大きな床を使用
するコールセンターの需要があることです。又、香港から誘致した企業と国内企業が戦略的
パートナーシップを締結し、本格的な企業活動が開始される見込みです。資料右側の開業率
ですが、福岡市が3年連続で日本一となっています。その理由としては、福岡市が国家戦略
特区の枠組みを活かして、様々なスタートアップ支援を行っていることが理由であると
考えられます。
12頁をご覧下さい。福岡リートが保有するオフィスビル9物件の、第35期の加重平均
稼働率は、99.9%と引続き非常に高い稼働率を誇っています。第35期では3物件で退去が
発生したものの、ダウンタイムもなく埋め戻しが出来ました。第36期の退去予定に対する
リーシングもほぼ内定しています。第37期には、先程説明しました通り、東比恵ビジネス
センターで大口のテナント退去が発生しますが、賃料ギャップ縮小を優先しつつ、早期
リーシングを目指します。又、CBREの賃料査定によれば、保有物件の賃料ギャップは、
約20%あります。右下のグラフの通り、継続して賃料増額改定にも取り組み、賃料単価
増額を実現していきます。
次は13頁をご覧下さい。商業施設の強化戦略について説明します。記載の商業施設では、
アフターコロナの需要回復局面における集客増、競争力強化を目的に、リニューアルを中心
とした前向き投資を実施しました。パークプレイス大分は、20周年の企画として、
3階シャングリラゾーン、約680坪の大規模リニューアルを実施し、ファミリー層の集客
強化の為に、テーマ設定をした子供目線の遊び場を新設します。今月22日にオープンを
予定しています。生活必需品を多く揃える地域密着型の木の葉モール橋本は、コロナ禍に
おいても堅調な物販ゾーン、橋本マルシェの拡大リニューアルを実施し、9店舗の新店を
オープンしました。又、サンリブシティ小倉は、2021年6月から9月のリニューアルに
より、リニューアル後5ヵ月間の売上は、約17%アップしました。実施している施策は、
中長期的にも内部成長に寄与するものと考えています。
14頁をご覧下さい。次世代のキャナルシティ博多に向けた現在の取り組みについて説明
します。キャナルシティ博多と取り巻く環境は大きく変化しています。1996年にオープン
し、当初、エンタメと独自性の追求からアジアの顔となる商業施設へ、2013年頃からは
インバウンドが求める商業施設へと変遷していきました。但し、足元、新型コロナウイルス
の影響を大きく受けています。インバウンドの回復時期が不透明な状況を踏まえて、当社
を中心に、スポンサーやPM会社と一体になり、次世代のキャナルシティ博多に向けた
プロジェクトを推進しています。この資料の通り、キャナルシティ博多を大きく変化
させるべく新たな体験価値、買い物体験、飲食エリアの刷新、新たなコミュニティの場、
魅力の創出を実現させていきます。現時点では、お伝えできる情報は少ないですが、来期
以降、具体的な内容を説明したいと思います。
15頁では、その他アセットの物流施設について説明しています。福岡の物流マーケットは
非常に良好で、2019年から2021年まで空室率0%です。CBREのレポートによれば、
2022年以降、大型の供給により空室率の上昇が見込まれていますが、2017年の水準よりも
低い水準で収まる見通しです。今後も、福岡近郊、佐賀県鳥栖エリアなど、物流事情は非常
に強い状況が続くとされており、大型供給が続くも賃料単価は上昇を見込んでいます。福岡
リートが保有する物流施設は、現在4物件ですが、いずれも100%稼働です。
16頁をご覧下さい。その他アセット、住居・ホテルの状況です。
住居については5物件平均で、第35期は96.7%と引続き高い稼働率を維持しており、非常
に安定しています。又、入替え時の新規募集賃料の増額にも継続的に取り組んでいます。
ホテルの保有は、いずれも宿泊特化型です。第35期については、蔓延防止等重点措置の
影響を受けて、非常に厳しい状況が続きました。今後、Go to Campaignなどが再開
されれば回復傾向に向かうと期待しています。尚、ホテルフォルツ大分については、現在
大分県の新型コロナウイルスの宿泊療養施設となっています。ワシントンホテルは配管
工事を行っておりましたが、4月にリニューアルオープンとなります。
17頁をご覧下さい。ここからは財務運営についてです。先ず、第35期、第36期の実績
からです。左上に記載の通り、70億円のコミットメントラインの期間を1年間延長し、
3年間の期間維持を行いました。引続き財務基盤の安定化と機動的な資金調達の手段を確保
しています。又、本年3月に博多筑紫通りセンタービルの取得資金としてみずほ信託銀行
から期間10年の長期化借入れを10億円、ローンスプレッドは0.3%にて調達しました。
みずほ信託銀行とは新規の取引開始となります。
次の18頁をご覧下さい。財務状況です。期中の平均金利は0.67%、平均残存年数は5.2年
です。証券会社のレポートによれば、J-REIT全体の平均残存年数は3.9年ですので、福岡
リートは期間の長い借入れを行っていることになります。これは、将来の金利上昇リスクを
低減し、返済期限の分散を行いながら、なるべく期間の長い借入れで、且つ、低利で調達を
行なう方針を堅持しているからです。又、LTVは41.5%と低い水準を維持しています。
LTVを活用したデットによる物件取得も、問題なく出来ると考えています。尚、格付けに
ついては引続きJCRからAAマイナスの格付けを維持しています。
19頁をご覧下さい。鑑定評価額についてです。全物件で含み益を保持しており、第35期末
総額で約428億円です。前期末より約20億円増加しました。今後前向きなCAPEX投資や
環境の悪化によるリーシングの不調により、既存物件の収益だけでは分配金の下限と
考えている3,500円の維持が、困難な状況に陥った場合においても、含み益の顕在化を
分配金戦略のオプションとして検討が出来ると考えています。
20頁、最後にサステナビリティへの取り組みについてです。サステナビリティへの取り
組みは、経営の重要課題と位置付けています。本年4月に各マテリアリティに対してKPI
と目標を設定しました。詳細は、本頁に記載の通りですが、今後、実績の進捗も開示を
行っていきます。前期の決算説明でも申し上げた通り、特にEについては今後注目される
項目であり、ロードマップに沿って着実にKPIの達成に向かっていきたいと考えています。
又、TCFDについては提言への賛同について準備を進めています。サステナビリティへの
取り組みは、今後も不動産投資における重要な判断要素になると考えておりますので、投資家の皆様と意見交換をさせて頂きながら進めて行ければと考えています。