NTT都市開発リート投資法人 2022年4月期決算概要

NTT都市開発リート投資法人
2022年4月期(第39期)決算説明動画配信説明書、及び、質疑応答
動画  https://www.irwebcasting.com/20220616/4/3db39cd9a6/mov/main/index.html
資料 
http://nud-reit.co.jp/file/top_financial-0e913f824ca6c40d62eb70f6ba50a775231c4abf.pdf
質疑応答
http://nud-reit.co.jp/file/top_financial-5be68b34498c40b3f1ee027531da952184767521.pdf
説明者  NTT都市開発投資顧問株式会社 代表取締役社長 鳥越 穣
説明
2022年4月期第39期の決算説明を始めます。
資料2頁をご覧下さい。第39期を大きく振り返りますと、既に発表しておりました物件の
入替えを予定通り実施したうえで、更に増資によりLTVを引下げた効果を活かして、追加
の物件取得を行いました。又、リーシングが順調に進捗し、想定以上の稼働となった効果も
あり、DPUは当初計画を79円上回る4,054円で着地することが出来ました。第40期に
ついては、現時点では売却益を見込んでいません。DPUベースでは、2,730円と、第39期
の2,474円から大きく成長できる見込みです。それでは、項目毎に説明させて頂きます。
公募増資、外部成長については、期初に公募増資を行い、若干マーケットが不安定な状況
ではありましたが、広く投資家の皆様のご指示を頂き、順調に123億円の調達を行うこと
が出来ました。物件の入替えとしては、11月にスポンサーであるNTT都市開発より、東京
オペラシティビルを取得し、12月にスフィアタワー天王洲を外部へ売却をしました。更に、
3月にはNTT都市開発よりアーバンネット内幸町ビルを取得しました。この一連の入替え
によって、ポートフォリオの品質を引き上げるとともに、売却益を計上し、DPUを底上げ
することが出来ました。次に、内部成長についてですが、稼働率はオフィス、レジデンスと
ともに順調に回復し、期末では96.3%と前期末との比較で2.5%上昇しました。一方で、
賃料水準については、オフィス、レジデンスを合わせた全体では、前期から大きな変化が
ないという状況になっています。LTVについてはアーバンネット内幸町ビル取得後も、
45.5%と比較的低位に留まっており、仮に50%と上限とすると、約250億円の取得余力が
残る計算となります。分配金については、先ほどの説明のように、第39期は4,054円、
第40期、第41期については現時点で、2,730円、2,680円を見込んでいます。
それでは、3頁以降で各トピックについて詳しく説明させて頂きます。スフィアタワー
天王洲の売却と東京オペラシティビルの取得については、既に、先の決算等の説明の
内容とほぼ変更はありません。スフィアタワー天王洲については12月に約180億円で売却
し、約22億3千万円の売却益を計上しました。本物件については、昨今のオフィス市場の
状況を踏まえた、今後の修繕費用上昇のリスク等の理由から、ポートフォリオのリスク軽減
のため、売却の判断に至ったものです。東京オペラシティビルについては、NTT都市開発
より、220億円で取得しました。鑑定額を11億円下回り、NOI利回りも5.4%という
好条件での取得となりましたが、日本を代表する文化の発信拠点として、又、NTT東日本
本社の隣というロケーションを活かした、NTTグループのコア資産の一つとして付加価値
を高めていきたいと思います。アーバンネット内幸町ビルについては、3月にNTT都市
開発より56億円で取得したものですが、詳しくは次の4頁で説明致します。
本ビルは、2019年にNTT都市開発が建設したビルで、都営三田線内幸町駅から徒歩2分、
銀座線新橋駅から徒歩4分、他にもJR、都営浅草線、千代田線、ゆりかもめなどの利用
可能な高い利便性と、第一ホテルに隣接した格式のある環境を兼ね備えた、ロケーションに
なっています。又、近隣の内幸町一丁目では、NTTグループを初めとしたコンソーシアム
による歴史的な再開発が進んでおり、地域としての価値が更に向上していくことが期待
されます。本ビルは27階建てですが、18階から27階まではホテルとして運用され、
第三者による区分所有となっています。今回の購入対象は17階までのオフィスです。
本リートが購入したのは、このうち12%であり、残りの88%分は引続きNTT都市開発が
保有しています。
続きまして5頁です。近年の物件入替えのポートフォリオへの影響について説明致します。
NTTグループの資産流動化、積極的なリートの活用と言った状況の変化を受け、近年
本リートの資産の入替えも積極化しています。2020年以降、510億円の資産を取得し、
282億円の資産の売却をしましたが、都心のSクラスビルやNTTグループと関係の深い
物件を取得することで、ポートフォリオの若返りや、リスクの軽減を進めるとともに、合計
55億円程の売却益を計上し、分配金の押し上げや、内部留保の積み増しを行うことが
出来ました。
6頁をご覧下さい。資産規模の推移を示しておりますが、今回の一連の入替えの結果、資産
規模は2,726億円となっております。
7頁はポートフォリオの状況です。今回の一連の入替えの結果、都心5区の構成比が71.5%
に上昇し、平均築年数が23.1年に若返るなど、ポートフォリオのクオリティと安定性を
高めております。
ここからは、外部成長についての説明を致します。8頁ではオフィスの稼働状況をお示し
していますが、左のグラフにある通り、第37期に発生した退去スペースを第39期で大幅
に取り返した結果、第38期を底として、第39期末までに96.2%とかなり高い水準まで
戻しております。但し、フリーレントの長期化の影響もあり、キャッスベースでの本格的
な回復は、第39期末からとなっており、通期での収支への貢献は、第40期以降にずれ
込んでいます。第37期の落込みと第39期の回復の中で、一番大きな要素としてアーバン
ネット五反田NNビルがあり、従来もそのように説明してまいりましたので、それに関わる詳しい経緯を次の9頁でお話致します。

アーバンネット五反田ビルは、2021年3月までは左図のように、100%で稼働しており
ましたが、75%ほどの床をご利用になっていたNTTデータの関連会社が、3月末をもって
退去して、24.4%の稼働率に低下しました。該当のテナント様からは、事前のご相談もあり、
条件面のご配慮も頂き、早期に後継テナントの営業を開始したのですが、折からのコロナ
まん延の影響が、このエリアに強く出たこともあり、なかなか営業が進捗しませんでした。
しかし、所謂、第5波を超えた2021年の秋口から市場の状況が徐々に好転し、PMである
NTTバリューサポートとの連携強化の効果もあり、資料上、通信建設会社と表記されて
いる株式会社ミライト様を初め、複数のテナントの入居が決まり、2022年4月には92.4%
まで稼働を回復することが出来ました。
10頁ではオフィス賃料の動向について説明致します。左図がテナント入替え時の賃料増減で、第39期を見ると、一見減少が大きいように見えますが、ここには先ほど説明しました
アーバンネット五反田NNビルの契約分が入っておりまして、先に退去したNTTグループ
のテナントについては、3月の退去を前提に、退去前の短期間かなり高い賃料でのご契約を
頂いたという特殊事情があり、こことの比較でみると減少になってしまうということで、
この影響を抜けば、増加と減少はほぼ拮抗し、実質の賃料水準は従来と大きく変わることは
無く、全体では横這いという状況にあります。
次に11頁では、更新時の賃料の改定状況を説明致します。市場環境は、エリアによっては
引続き厳しいところもあり、一部では減賃要請を頂いているテナントもありますが、全体的
には何とか踏み止まっています。しかし、一方で値上げもなかなか難しい環境となっている
ため、こちらも全体では横這いという状況です。
12頁では賃料ギャップと周辺相場について説明致します。第38期までは私共の坪単価が、
当初の上昇から維持へという傾向であったのに対して、周辺相場が当初の維持から低下へ
転じていたため、賃料ギャップは縮小し、第38期でほぼ無くなってしまいました。第39期
でもこの傾向は継続し、周辺相場の低下に対し、当リートは相対的に賃料を維持できたため、
第39期では逆に3%程度のオーバーレントという状況になっています。図の中で、
本リートの単価、周辺相場ともに若干上昇しているように見えるのは、単価の安いスフィア
を売却し、単価の高い東京オペラシティを購入した影響によるものです。現在は、稼働が
かなり高い水準まで回復していますし、全体では無理に価格を下げて、テナントを取りに
行く必要は感じておりませんが、一部のエリアによっては、柔軟な価格設定に必要も出て
くる可能性があると考えています。
次にオフィステナントの状況を14頁でお話ししますが、アーバンネット五反田NNに
ご入居になったミライト様や、東京オペラシティを一部お使いのNTT東日本様が上位
10社に入り、一方で売却したスフィアタワー天王洲にご入居されていたソフトバンク様が
外れています。ここまでで、一旦オフィスの説明を終わり、15頁よりレジデンスのご説明
をさせて頂きます。
15頁で稼働率の状況をお示しします。レジデンスのマーケットについては、オフィスほど
ではありませんが、単身向けのスモールサイズの部屋を中心に、コロナの影響を受けて
いました。しかし、昨年の秋ごろより徐々に回復傾向にあり、積極的な営業の効果もあって、
第39期は平均稼働率が前期の94.4%から、95.8%へ上昇しました。又、稼働率とCash-flow
稼働率との差は、もともとオフィスに比べて大きなものでありませんでしたが、期末時点で
0.7ポイントの差であり、前期末の1.4ポイントと比較してやや縮小しています。
16頁は賃料の説明です。レジデンスの入替えの賃料は、コロナの影響のため減少する
ケースが増加した時期もあったのですが、第38期を底に回復し、第39期ではファミリー
タイプのワイド物件を中心に、増加するケースが減少するケースを大きく上回っています。
ただ、ネットでは、月額2百万円程度の大きさなので、今のところ、収支全体に直ぐに
大きな影響を与えるというものではありません。
次の17頁では更新時の賃料について示しておりますが、可能な範囲でお願いはしている
ものの、全体では、概ね据置きという状況に変化がありません。
18頁は修繕費などの状況です。第39期は修繕費として821百万円となっております。
当期においては、先ほど説明したスフィアタワーの売却と、それに伴う売却益の計上が
見込まれていたため、分配金の平準化の観点から、当期における積極的な修繕工事の前倒し
を行ったという要因も含まれております。
19頁より財務状況について説明致します。左図の平均金利については、大きな変化は
ございません。右図のLTVについては、今回の増資の結果、内幸町の取得後の第39期末
においても、45.5%と比較的低い水準になっており、仮に50%までを取得余力として計算
すると、約250億円の取得余力ということになります。現在も、スポンサーとの間で今後
の資産取得の議論を行っておりますが、その規模や時期は未定であり、NUDからの資産
売却の可能性も含め、レバレッジの活用や、POの必要性について検討していく予定です。
20頁は借入金の返済スケデュールです。第40期で145億円、第41期で176億円と、
比較的大きな金額の返済が予定されています。金融市場全体では、金利が上昇傾向では
ありますが、NUDとしては、既に金融機関と相談を始めており、皆さま、積極的な融資の
姿勢に変化はありません。今後の金利動向次第ではありますが、今のところは仕上がりと
して、借り換えの対象となる現存の借入金と同様の金利水準で、借り換えられるものと
見込んでおります。
1頁飛ばして、22頁は含み益の推移です。第39期末では651億円と、前期より68億円
増加しました。これは、主にキャップレートの低下によるもので、特定の物件に偏るもの
ではなく、保有物件全般で発生しているものです。
ここまで、外部成長や内部成長、財部の状況について説明してまいりましたが、総括の意味
も込めまして、これより分配金について説明を致します。
先ず、24頁上段が、第38期実績から第39期実績への推移です。分配金の金額としては、売却益増加の効果で3,130円から4,054円と大幅に増加しておりますが、EPUは2,512円
から2,472円と、逆に少し減少しております。その内訳としては、物件入替えの外部成長と
しては320円増加しているのですが、内部成長は132円の減少、更にPOに伴う希薄化
などもあり、合計では40円の減少となっています。ご説明した通り第39期においては、
稼働はオフィス、レジデンスともに回復しているのですが、オフィスでは収入への反映が
第40期以降になるため、賃料全体ではあまり増加せず、一方で、修繕費については、先程
説明しましたように、修繕工事の前倒しの効果もあり膨らんでおり、内部成長全体では減少
というのが内訳です。24頁下段が、第39期予想と実績との比較です。予想は3,975円で
したが、実績としては4,054円と、少し増やした結果とすることが出来ました。主な理由と
しては、取得した東京オペラシティの修繕費が、取得時の見積もりより少なかったことと、
稼働の回復も想定より少し早かったことなどが挙げられます。尚、アーバンライフ内幸町
ビルにつきましては、取得時期が3月末であったこともあり、第39期への影響は軽微な
ものとなっております。
25頁は、第40期、第41期の分配金の説明です。今回は、第40期は2,730円、第41期は
2,680円という計画ですが、先ず、上の図が第39期から第40期への推移です。第39期の
EPU2,472円を発射台とし、外部成長として内幸町がありますが、オペラシティの固都税
効果の剥落があり、外部成長全体としては76円のマイナスとなります。一方で稼働率上昇
に伴う賃料収入の増加、修繕工事の前期への前倒し効果も含めた修繕費の減少など、内部
成長は261円の増加で、売却益を含まないEPUとして2,730円の見込みとなります。下の
図が、第40期から第41への説明です。稼働率上昇による賃料収入の押上げ効果は、
第41期も残りますが、一方で修繕費の増加もあり、内部成長としては、マイナス64円で、
第41期の見込みとして2,680円となります。
26頁が、業績予想の前提となっている稼働の計画です。これまでの埋め戻し努力の結果、
第39期末でオフィスが96.2%、レジデンスが96.6%とかなり高い水準まで回復することが
出来ました。マーケットは全体的に改善傾向であり、外国人の再入国などプラス材料もあり
ますが、一方で、オフィス市場では、一部のエリアで回復が遅れるなど、不安定要因もあり、
今後の上昇余地は限定的で、全体としては、概ね現状レベルの水準で推移するものと想定
しております。
27頁は、今まで説明してきた数字を纏めたものです。説明は割愛させて頂きます。
27頁以降は、」ESGに関わるものですが、ここでは本投資法人の資産運用会社であるNTT
都市開発投資顧問開発会社が、TCFD提言への賛同を表明しており、これをお伝えさせて
頂きます。TCFDの中では、排出温暖化ガスの削減目標やモニタリングについて回答を
求められており、NTTはグループとして、2040年度までに、温暖化ガスの排出量を実質0
にするということを目標に掲げていることから、当リートとしても、排出温暖化ガスの
モニタリングや目標設定を検討しておりました。しかし、ウクライナ危機を背景とした
エネルギー不足と価格の高騰という新しい環境変化の中で、排出温暖化ガスの削減という大きな方向性自体に変化はないものの、その具体的な道筋については、環境変化の方向性を
見定めながら、こう少し検討の時間を頂戴したいと考えております。
以上が、本期決算に関する私からの説明です。
本日は時間の制約もあり、説明が行き届かない点もあったかと思います。ご質問、
ご意見などございましたら、弊社IR担当までご遠慮なく申し付け下さい。
新体制となりましても、スポンサーであるNTT都市開発を初めとするNTTグループとの
連携を基軸とし、投資家にとって長期的、安定的な価値をご提供していくという、本リート
の基本方針には何ら変更はございません。不動産価格の高止まりと賃料水準の停滞という
リートとしては、なかなか厳しい環境が続いておりますが、本リートの価値を向上して
いけるよう精一杯努力してまいりますので、どうか皆様からの引続きのご支援を賜ります
よう宜しくお願い致します。本日は、ご視聴有難うございました。