オリックス不動産投資法人 2024年2月期決算概要
オリックス不動産投資法人
2024年2月期(第44期)決算動画説明書
○動画 https://www.net-presentations.com/8954/20240419/jwdgd1dj/
○説明資料 https://ssl4.eir-parts.net/doc/8954/ir_material_for_fiscal_ym/154025/00.pdf
○説明者 オリックス・アセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 田中 充
○説明
オリックス不動産投資法人(OJR)の、本決算期における成果と併せ、基本的な方針、戦略について、キーメッセージとして取り纏めましたので、そちらから説明致します。
3頁をご覧ください。OJRは上場以来、ポートフォリオの収益性と安定性の向上、および財務面のコスト低減と安定性の向上を図り、結果、投資主価値の成長に向けて着実に取り組んでまいりました。投資主価値の成長は、我々が投資主の皆様から託された、最重要事項であると認識しております。具体的には、一口当たりの純資産NAVと分配金DPUの安定的な成長を実施してまいります。本決算では、一口当たり分配金は3,902円とさせて頂きます。前回決算時に発表しておりました予想分配金から2円増、前期実績比158円増の着地となっております。続きまして成長に向けた運用面の施策について説明させて頂きます。
取得・売却に関しては、ポートフォリオの質的な改善を目指し、前期以降、取得757億円、売却384億円の資産入替を行いました。こちらにつきましては、具体的な成果を含めまして、後ほど詳しく説明させて頂きます。次に既存物件の収益性向上に向けた取り組みについて説明致します。マクロ環境もここに来て、デフレ、コロナと言うネガティブ要因は、相当程度低下してきております。一方、円安により、建築資材を筆頭に、あらゆるものの価格が高騰しております。又、日本銀行が、17年ぶりに利上げに踏み切るなど、OJRを取り巻く環境は、長期に渡るデフレ危機を経て、インフレ基調へ変換しつつあると認識しております。
このような環境下、稼働率も継続的な向上に加え、テナント入替や契約更改時における、適切な賃料設定とコストコントロールの結果として、ポートフォリオ全体で、NOIを5億円強増加させることに成功しました。こちらは一口当たりの分配金に換算すると、約200円の効果となります。財務運営については、長期固定金利での調達を基本方針とし、規律ある財務運営を堅持してまいります。本日時点で、銀行借入、投資法人債の発行額は、合わせて約3,000億円の調達となっております。OJRを支えてくださっている金融機関の皆様には、この場をお借りして改めてお礼申し上げます。さて、足元では金利のある世界に戻りつつありますが、当面は新しい環境における次の居所を探るべく、不安定な状況が続くと見ております。対応策として、変動金利や中期の借入を活用し、金利上昇のインパクトに配慮した運営を行っていきます。
最後に サステナビリティについて説明します。OJRは、投資主価値の安定的な成長に向けて、サステナビリティを経営に積極的に取り入れてまいりました。結果、グローバル評価機関であるGRESBリアルエステスト評価において、最高位の5-Starsを3年連続で頂戴しております。今後についても、気候変動対策やサステナブルファイナンス調達など、設定している目標の達成に向けて着実に取り組んでいく方針です。
4頁をご覧ください。OJRは、投資主価値の安定的成長、具体的には、一口当たりの純資産NAVと分配金DPUの安定的な成長を追求してまいります。こちらに過去10年間の実績を示しておりますが、順調な成長を確認頂けるかと思います。分配金の巡航水準については、前期まで3,500円前後と伝えてまいりましたが、今後については、次のステージとして3,700円から安定成長を目指してまいります。
5頁をご覧ください。先ず、巡航水準の分配金が3,500円から3,700円へと、増加した背景について説明致します。ここに示しておりますように、OJRでは、昨年来ポートフォリオの戦略的な入替を推進してまいりました。環境認識として、不動産取引市場におきましては、キャップレートは低位安定しており、依然として高値での取引が続いております。結果、優良物件を取得する機会は限定的な状況でありますが、OJRでは、外部成長を推進するにあたり、アクイジションチームの体制・整備を実施し、選別した売却と機動的な厳選投資に努めてまいりました。ここでは1年間の実績を示しております。取得面では、今後長期の収益貢献が期待できる競争力のある物件を、合計757億円13物件について厳選投資しました。一方で、成長融資が乏しい物件については、売却することにより、全体としてポートフォリオの質的な向上を図りました。結果、配当の源泉となる賃貸NOIは、年換算ベースで17億円の大幅な積み上げに成功しております。他の指標でも、賃貸NOIは3.2%から3.9%、築年は約30年から16年と大幅な改善を図りました。一方、減損リスクを抱えていたホテル日航姫路、賃料下落リスクに直面していたシーフォートスクエアについては、選別の上売却し、当面のダウンサイドリスクの軽減を図っております。
6頁をご覧ください。このような一連の取り組みの成果として、今期の分配金は3,902円と、前期比158円の増益決算となりました。主な要因について、4つに分けて説明します。先ず、新規取得物件からの貢献ですが、前期取得した札幌22スクエアや新横浜スクエアビルなどの利益寄与で、90円の底上げを計りました。一方、売却したラウンドクロス芝大門など、利益消失が6円となっております。そして、こちらが最大の貢献となりますが、既存物件の内部成長による増加が206円となりました。最後に、販管費の増加により、52円の減少となっております。又、前期末に示しておりました今期の予想分配金額3,900円には、売却益からの分配金233円を含んでおりましたが、説明させて頂きました新規取得物件の利益寄与や、既存物件の内部成長により、3,900円を上回る分配が可能となりましたので、今期発生した売却益については、内部留保させて頂きます。
7頁をご覧ください。次に今後の予想分配金について説明します。先ほど説明しましたように、今後の分配金については、3,700円からの安定的な成長を目指してまいります。その上で、24年8月期3,720円、25年2月期3,760円としております。今期の分配金3,902円からの減少について、補足させて頂きます。24年8月期の取得資産からの利益寄与、既存物件の賃料増加が続きますが、政府の政策変更により、水光熱費収支が悪化することによるものです。具体的には、この春先から電気・ガス料金の激変緩和措置が終了されることに加え、再エネの付加金の増加が設定されました。いずれにつきましても、OJRにおいても、大手シンクタンク同様、引き続き経済活動に配慮した政策が実施されると見ておりましたが、先般の変更アナウンスを受けて、その影響を予想に反映させたものです。
8頁をご覧ください。続いて、先に示しました一口当たり分配金につきまして、財務諸表ベースの情報で示しております。尚、今期から用途ごとの財務諸表についても開示させて頂きますので、ご活用頂ければ幸いです。本日は、詳細の説明は割愛させて頂きますが、1点のみ補足させて頂きます。先ほど説明しましたように、昨年來OJRは、更なる成長に向け資金を物件取得に振り向けてきました。その成果として、年換算ベースのNOIで17億円、一口当たり分配金換算で。一口当たり300円程度の底上げに成功しております。結果、現預金残高は、前期484億円から3月末時点で約280億円となっております。余剰資金については、常時、自己投資口買いを通じた還元という選択肢も含めて検討おりますが、昨年来、OJRは、投資主価値の向上を目指し、余剰資金を成長資金として使用させて頂いております。投資主の皆様方におかれましては、改めましてご理解のほど宜しくお願い申し上げます。
10頁をご覧ください。こちらでは、先ほど示しました分配金について、追加的な施策や外部環境の変化により、どのような影響が出てくるのかを示しております。例えば、手元資金を活用して50億円の物件を取得した場合、約25円の分配金増となる一方、外部借入を行って100億円の物件を取得した場合は、借入コストが付加されることで、こちらも同様の約25円の分配金増となります。その他につきましても、夫々分配金にして数十円の影響となっております。投資主の皆様におかれましては、アップサイド、ダウンサイド、見方は様々かと思いますが、個別で見ると変動要因は限定的であるとご理解頂ければ幸いです。
12頁をご覧ください。ここからは、既存物件の稼働率や賃料を中心に、内部成長率について、用途ごとにポイントを説明してまいります。
13頁をご覧ください。先ず、オフィスから説明します。三鬼商事によると、都心5区の空室率は、コロナ前1%台で推移していましたが、コロナ禍で6%台まで上昇後、ここに来て5%台で推移しております。一方OJRは、小回りの利く中規模オフィスの特性を生かし、高稼働を維持しております。今期改善した主な要因は、先般のポートフォリオの戦略的な入替によるものです。一方賃料は、テナント事業の回復により底堅く推移しております。OJRのポートフォリオは、概ね、毎期貸床の数%の入替がありますが、今期オフィス全体では増額の入替に成功しました。又、賃料更改においても、同様に今期は増額更改に成功しております。今後予定されている2025年東京都心部の、大量供給による影響を注視してはおりますが、引き続き物件ごとに賃料水準の引き上げを、狙っていきたいと考えております。
14頁をご覧ください。ここで改めてOJRの分散されたオフィスポートフォリオについて、定量的に確認頂きたいと思います。足元のOJRのテナントは900社を超えており、1テナント当たりの平均賃貸面積は、約130坪となっております。結果、物件当たり賃料は、最大のテナントでも2%未満となっております。又、業種も多岐に亘っておりますので、OJRの約半分を占めるオフィスポートフォリオは、非常に分散していることを、改めてご理解頂けるかと思います。
15頁をご覧ください。続いて商業施設ですが、OJRの商業施設は、オフィス同様に、底地を除いて中小型物件によって構成されています。又、都市型商業施設と郊外型商業施設で、約半分ずつの分散したポートフォリオとなっており、コロナ禍に苦戦した新型商業施設も、テナント業種の分散を図りつつ、稼働率の向上を図ってまいりました。今後については、インフレ局面を意識した、アップサイドを志向した運用、具体的には、賃料増額や契約期間の短期化などの施策を進めてまいります。
16頁をご覧ください。次に住宅ですが、稼働率は今期末96.3%と高稼働を維持しております。賃貸住宅市場は、分譲住宅の価格高騰、大都市での賃貸需要増を受け、好調に推移しております。実際OJRの入替においても、22年2月期を底に、毎期増額での入替に成功しており、今期末の増減率は3.1%となっております。今後も稼働重視の方針を継続しつつ、物件ごとに賃料水準の引き上げを図っています。
17頁をご覧ください。物流施設は現在5物件を保有しております。いずれも物流施設として利便性の高い立地にあり、収益性も高く、安定した運用ができております。又、複数物件のテナントにおいて、近年の契約更改における入替において、いずれも賃料増額を達成致しました。
18頁をご覧ください。ホテルポートフォリオの7割を占める、テーマパークのオフィシャルホテルであるホテルユニバーサルコート、略してHUPと、東京ベイ舞浜ホテルファーストリゾート、略して舞浜におきましては、いずれも好調に推移しております。旺盛な宿泊事業を背景に、OJRが受領する賃料は、コロナ前を上回る想定です。HUPにつきましては、24年2月期は、コロナ明けのリベンジ消費もあり、新契約のもとで、旺盛な宿泊需要が継続していることに加え、コロナ禍で客室改装を実施したことで、平均客室単価はコロナ前を上回る水準となっております。結果、GOPは過去最高水準を更新しました。24年8月期も、今期の好調を維持し、秋のハロウィン需要を追加的に織り込むことで、過去最高GOPを上回る見込みです。そして25年2月期は、需要の落ち着きや改装に伴う一部客室売り止めなどの影響で、前期比12%減となりますが、前年同期比で5%の減少にとどまり、依然として高水準のGOPを見込んでいます。
19頁をご覧ください。舞浜に関しましても、今期は HUP同様に、コロナ禍のリベンジ需要や秋の追加的な需要により、売上高は前期比13%増加しました。24年8月期および25年2月期については、HUP同様に、需要の落ち着きを見込んでおりますが、売上高は、コロナ前の水準である年間約70億円を想定しております。
改めてキーメッセージの3頁をご覧ください。
最後になりますが、国際的な地政学リスクやアメリカ大統領選挙に伴う政治リスクなど、不透明な社会情勢ではありますが、長らく続いたデフレ期を経て、我が国においてもインフレ基調への転換が進みつつあります。こうした環境下、総合型リートのパイオニアとして、次のステージに向けた成長戦略を描き、着実に実行していくことこそ、我々に与えられた使命であると認識しております。今後もOJRの持続的成長に向け尽力してまいりますので、変わらぬご支援を、何卒宜しくお願い申し上げます。
以上、2024年2月(第44期)決算報告、並びに、運営方針の説明とさせて頂きます。
ご清聴、有難うございました。