オリックス不動産投資法人 2022年8月期決算概要
オリックス不動産投資法人
2022年8月期(第41期)決算動画説明書
動画 https://www.net-presentations.com/8954/20221019/dsnjiJ/
資料 https://ssl4.eir-parts.net/doc/8954/ir_material_for_fiscal_ym/124744/00.pdf
説明者 オリックス・アセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 亀本 由高
説明
本投資法人(OJR)の現状と今後の業績予想などを中心に、資料に沿って説明致します。
先ず、4頁をご覧下さい。OJRのポートフォリオについて説明致します。下段左側の用途
比率をご覧下さい。OJR保有の過半がオフィス、特に中規模オフィスで構成されています。
続いて商業施設が15%、住宅が12%、物流施設が5%、ホテル等が13%を占めております。
7頁をご覧下さい。こちらで環境認識と実績、並びに、運営戦術を説明致します。先ず、
外部成長の環境認識としては、引き続き不動産取引における物件取得競争は厳しく、優良
物件を取得する機会は限定的であるものの、売却するには絶好の環境です。そのような環境
のなか、ポートフォリオの質の向上に主眼を置いた、物件入替えを実施しており、安定的な
需要が期待出来る、東京都心の住宅2物件の取得と、競争力に懸念があった東京都心の
オフィスの売却を公表しました。引き続き外部成長は、物件入替えを中心に考えています。
内部成長の環境認識としては、オフィスはコロナの落ち着きとともに、テナントの入退去の
動きが、回復してきております。又、飲食店を初めとした都市型商業施設は、経済活動の
再開により、人流は戻りつつありますが、飲食店の新規出店の動きは弱く、幅広い業種・
業態でリーシング活動を行っています。一方ホテルについては、経済活動やレジャー需要の
再開により、回復傾向にあると見込んでいます。費用の面では、円安や原油価格の高騰に
よる電力コストや、その他資材の高騰の影響を受けています。そういった中、稼働重視
のリーシングにより、2022年8月末の稼働率は、全体で97.5%、オフィスで96.4%に向上
させることが出来ました。引き続き稼働重視のリーシングにより、賃料収入の維持・向上を
図ってまいります。財務環境としましては、金利の上昇リスクが高まっているものの、金融
機関の融資姿勢に大きな変化は見られず、調達環境は良好です。引き続き財務の安定性に
重きを置いた運営を行ってまいります。又、物件売却資金を活用して増資、借入金の一部
返済をすることで、LTVを43.1%に低減させました。コミットメントラインは405億円、手元の現・預金は550億円超と、十分な流動性を引き続き確保しています。又、分配金の
安定性に資する内部留保は、決算発表時点で約43億円、一口当たりに換算すると1,554円
備えております。引き続き公表済みの分配金の下振れ、天災、売却損等による一時的な業績
の下振れ、及び、環境関連投資に活用する考えです。ESGに関しては、気候変動に伴う
リスクと機会を分析した、TCFDの2回目のシナリオ分析を行いましたので、後ほど説明
させて頂きます。又、2050年のカーボンニュートラル、2030年のCO2排出量削減目標を
達成するため、引き続き照明のLED化や、Green Building認証取得などの環境関連投資
を推進してまいります。
続いて賃料収入の前期比較について8頁をご覧下さい。こちらに用途ごとに、前期との
比較という形で、賃料収入が一口当たり分配金に与える影響を纏めております。先ず、一番
下の合計をご覧下さい。22年8月期は、前期比+156円、2023年2月期は+132円、23年
8月期は▲28円を見込んでおります。これらを用途ごとに見ますと、オフィスでは物件
売却に伴う賃料収入の減少を含めても、22年8月期は稼働が向上し+41円、23年2月期
は稼働が若干低下し、▲37円となります。一方で、23年8月は埋め戻しが進み、稼働と
しては向上する見込みですが、フリーレント、ダウンタイムの影響で賃料収入としては、
前期比▲49円を想定しています。因みに、22年2月期と23年8月期との比較では、売買
要因を除くと4円のプラスとなっています。足元、コロナの落ち着きとともに、テナントの
入退去の動きが、やや活発になって来ているとの感触を持っていますが、大きな問題とは
感じておらず、これまで通り稼働重視のリーシングを進めていきたいと考えております。
商業施設については、稼働が向上したことにより、概ね、プラスでの推移を予想しています。
住宅についても、売却による変動要因を除くと、概ねプラスで推移する見込みです。ホテル
については、大型テーマパークの業績回復により、22年8月期以降は、記載の通りプラス
で推移をする見込みです。第40期(22年2月期)と第43期(23年8月期)との比較を
示している一番右の合計欄をご覧ください。コロナの影響による賃料収入の減少の底と
なる第40期と第43期を比較しますと、苦しんでいたホテルの回復、次に都市型商業施設
の埋め戻しが寄与し、全体として+260円となる見込みで、総合型リートとして、ポート
フォリオ全体でマネジ出来ていることが、お分り頂けるかと思います。これらを前提とした
分配金について、9頁で説明致します。22年8月期の実績については、前回の決算発表時
における予想より172円増加し、3,852円となりました。主な上振れ要因は、違約金等の
一時収入や、賃料収入の増加、費用の減少です。23年2月期は、前回の決算発表時に
おける予想と同額の3,900円を想定しております。前の頁でお示ししました通り賃料収入
事態は、前期比でプラスとなるものの、円安や原油高に伴う水光熱日収支の悪化により、
売却損益と内部留保充当額を除いた分配金は、前期比で▲45円の微減となります。続いて
23年8月期は、前の頁でお示しした賃料収入の減少や、水光熱費の高騰継続を見込み、
売却損益と内部留保充当額を除いた分配金は、23年2月期と比べ▲43円の微減となります
が、築地のオフィス売却益計上等で3,700円を想定しております。これらの想定分配金を
下回る場合は、内部留保の活用を検討致します。
詳細の分配金推移については、次の10頁を参照下さい。
続きまして、内部成長について説明を致します。12頁をご覧下さい。先ず、オフィスに
ついてです。上段の稼働率について、稼働重視のリーシングにより、22年8月末時点で
96.4%と、ほぼ前回想定の通りとなりました。繰り返しになりますが、23年2月期の
テナントの入退去の動きは、コロナの落ち着きとともに活発化しており、その影響で、稼働
がやや低下するも、埋め戻しを進め、23年8月期に稼働が向上する想定です。下段の折れ
線グラフは、テナント入替えに伴う賃料の増減率ですが。稼働重視のリーシングを行いつつ
も、22年8月期は+6%となりました。
次に13頁をご覧下さい。こちらはオフィスにおける既存テナントの賃料更改状況です。
上段棒グラフは、契約更新時の賃料改定状況を面積で示しており、下段折れ線グラフは、
賃料の増減率を示しています。全体的には、賃料ギャップはマイナスになっていると認識
しておりますが、22年8月期はダイレクトPMによる粘り強い交渉により、首都圏近郊や
地方都市において増額に成功し、前期並みの増額面積および賃料増減率を、維持することが
出来ました。傾向としては、増額面積は減少傾向ですが、今の感触では減額面積については
限定的だと考えております。
次に14頁をご覧下さい。こちらはオフィスにおけるテナント分析です。左側のテナント
分散状況の通り、OJRのオフィステナントは900社以上と分散しており、1テナント
当たりの平均賃貸面積は約130坪、大口のテナントでも、ポートフォリオ全体に占める
割合は2%未満となっております。従って、テナント1社の退去が業績に与えるインパクト
は、大きくはありません。テナント業種の分類は、右側の円グラフの通り分散が図られて
おります
それでは次に商業施設について15頁をご覧下さい。商業施設の郊外型と都市型の賃料割合
は、左の円グラフの通り約半分ずつとなっています。右側上段の折れ線グラフをご覧下さい。
グレーの線は商業施設全体の稼働率を示しており、22年8月末の稼働率は98.3%と大きく
向上しました。主な要因は、郊外型商業施設のインターヴィレッジ大曲にて埋め戻しが完了
したことによるものです。黄色の線は、コロナの影響を大きく受けている都市型商業施設の
稼働率を現しており、稼働重視、業種・業態に拘らないリーシングにより埋め戻しが進み、
前回想定を上回る87.2%となりました。残りの空室部分は、主に、下の円グラフの都市型
商業施設の空室想定部分になり、リーシング強化物件として、引き続き幅広い業種での埋め
戻しを進めてまいります。
次の16頁で、リーシング強化物件を紹介しています。Joule Shibuyaとaune幕張は、
稼働が大きく低下し、低下稼働が長引いている状況です。又、aune有楽町とaune池袋は、
飲食店の退去後、入退去がありつつも、美容医療やアパレルで埋め戻しを進めている状況
です。引き続き区画分割の検討や、業種・業態を問わないリーシングにより、埋め戻しを
図ってまいります。
次に住宅について17頁をご覧下さい。先ず、22年8月期末の稼働率については、92.9%と
前期より低下しましたが、これはサービスアパートメントとして一括賃貸をしていた
テナントの退去を受け、2022年3月にホテルから住宅に用途変更をして、運用を開始し
ましたクロスレジデンス白金高輪によるもので、この特殊要因を除くと稼働率は94.6%と、
前期とほぼ同じ水準となりました。入替えにおける賃料増減率については、エリア、物件、
面積ごとに、賃料設定を慎重に見極めたリーシングを行ったことで、入替え時の賃料増減率
が+0.4%となり、全てのエリアにおいて改善しました。特に、東京都心6区、シングル
タイプにおいては▲3.8%と、前回の▲6.3%より2.5ポイントマイナス幅が縮小しました。
今後は、稼働率の更なる向上を図ってまいります。
次に、物流施設について18頁をご覧下さい。今回改めて、保有物件を紹介しております。
現在、5物件を保有しており、いずれも収益性が高く、物流施設として利便性の高い立地で
あり、安定して運用出来ております。
ホテル等について19頁をご覧下さい。今回の分配金の想定には、ホテルポートフォリオの
7割に当たる、テーマパークのオフィシャルホテルでありますホテルユニバーサルポート
(HUP)と東京ベイ舞浜ホテルファーストリゾート(舞浜)において、足元の国内宿泊
需要の回復の継続を想定しています。HUPに関しては、引き続き底堅い需要を確認して
おります。23年2月期に受領する変動賃料は、本年4月から9月までの半年間のホテル
売上を基に計算されますが、この間のホテル売上高が、コロナ前と比較して74%まで回復
をし、前回想定より変動賃料が、54百万円増加する見込みです。23年8月期は、23年4月
に、定期建物賃貸借契約の期限を迎えるため、現在、テナントと契約内容の交渉中であり、
業績予想上は、23年2月期の賃料と同額を、一旦想定しております。
続いて20頁をご覧下さい。舞浜に関しまして、前回決算発表において、2022年4月から
固定賃料を旧契約の約半分にし、3ヶ月ごとのホテル売上に応じた、変量賃料を受領する
契約変更を発表しました。又、23年2月期以降、旧契約での賃料一時減額対応分を、
約4年半の期間で受領を致します。舞浜においても業績回復を見込み、23年2月期は、
ホテルの売上高が、コロナ前と比較して61%まで回復する想定です。更に、23年8月期の
賃料は、ホテル売上が、コロナ前と比較して87%まで回復する想定をしており、ほぼ固定
賃料であった旧契約よりも、受領賃料が増加する見込みです。尚、ホテルの業績予想に
ついては、今回新たに発表された政府の観光支援事業の影響は、織り込んでおりません。
続いて内部成長です。23頁をご覧下さい。2019年以降、ポートフォリオの質向上に向けた
物件入替えを推進しております。今期発表の売却物件は、将来的な競争力に懸念があり
ました東京都内の築地のオフィスで、取得2物件は、中長期的に安定した需要が期待でき
る東京都心で、交通利便性の高い、築浅のマンションです。
取得物件の詳細は、後ほど24頁、25頁をご覧ください。
続いて財務戦略について28頁をご覧下さい。財務の安定性に重きを置いており、コストに
配慮しつつ、返済期限の分散化を図ってまいりした。上段折れ線グラフの通り、平均残存
年数を維持しつつ、調達金利を低減させております。又、下段の棒グラフの通り、返済期限
が分散されていることも確認頂けると思います。
29頁の上段グラフには、LTVの推移とLTV50%までの借入れ余力を記載しております。
将来の機動的な物件取得のため、引き続き借入れ余力を維持していく方針です。又、下段
左側の一番下に示しておりますように、202年8月期末の現・預金は、550億円を確保して
おり、今後の機動的な物件取得や有事への備えとして、その重要性を認識しております。
又、30頁に示しておりますが、調達先金融機関様とは良好な関係が築かれており、引き
続き、借換え等丁寧にご対応頂いております。
最後に、今回のESGの取組みについて紹介させて頂きます。
32頁をご覧下さい。外部の評価としては、昨年に引き続き本年もGRESBの最高位5—Stars
を取得し、今回はアジアにおける総合型のセクターリーダーに、初めて選出されました。又、
この度2回目のTCFDシナリオ分析を発表しましたので、紹介いたします。
36頁をご覧下さい。1回目のシナリオ分析は、2020年に環境省の事業にOGRが選出され、
環境省の支援の下、昨年の決算説明会資料や、ESGレポート等で発表しましたが、その時
に課題認識した事項について、2回目のシナリオ分析にて検討、分析の深掘りを行いました。
尚、前回からの変更、追加部分については、赤字で記載しております。内容は多岐に亘り
ますので、ここではポイントだけ申し上げます。
大きな変更点として、38頁をご覧下さい。想定シナリオについては、前回4℃と2℃の
シナリオから、4℃と1.5℃~2℃のシナリオに変更しました。
44頁をご覧下さい。ポイントとなる1.5℃~2℃のシナリオでは、環境認証を取得して
いない物件の賃料下落と炭素税の影響が大きいです。しかし、環境認証の追加取得による
賃料減少の回避や、再生可能エネルギーを導入することによる炭素税、電気代負担の削減等
により、減益インパクトを圧縮し、現状と同水準を保つイメージとなります。
45頁をご覧下さい。TCFDのシナリオ分析に加え、今回、CRREMというToolを活用
して、保有物件の移行リスクを2つのシナリオで分析しております。詳細は後ほど資料を
ご覧頂ければと存じます。引き続き気候変動がもたらす影響については、分析範囲の拡大、
並びに、精緻化を進めてまいります。
最後に、今後の成長戦略ですが、外部成長においては、引き続き物件入替えを中心に推進
してまいります。なた、内部成長においては、引き続き稼働重視のリーシング等による賃料
収入の増加を図ってまいります。売買市場が今後どうなっていくか、見通し難いところでは
ありますが、当面は入替えに注力し、ポートフォリオの質向上による賃料収入の下振れ
リスクの低減を図ってまいります。又、入替えと併せ、売却検討物件については、この環境
下で確実に実行していきたいと考えております。
以上、2022年8月期(第41期)の決算報告ならびに今後の運営方針の説明と、させて
頂きます。
ご清聴、誠に有難うございました。