三菱地所物流リート投資法人 2024年2月期決算概要
三菱地所物流リート投資法人
2024年2月期(第15期)決算動画説明書&質疑応答
○動画 https://www.youtube.com/watch?v=P0CTn61lBSY
○説明資料
https://mel-reit.co.jp/file/ir_library_term-0bc64221e153deb5dc393663d72d1d56ea63bc35.pdf
○説明者 三菱地所物流リート投資法人 執行役員 兼
三菱地所投資顧問株式会社 執行役員物流リート部長 高梨 憲
○説明
三菱地所物流リート投資法人の2024年2月期第15期の決算説明会にご参加頂き、誠に有難うございます。それでは、決算説明資料に沿って説明致します。
3頁をご覧ください。先ずは、運用ハイライトですが、ポイントは4点ございます。1点目の当期第15期の決算ですが、11期連続の増収・増益・増配で着地致しました。主に昨年取得した資産の収益寄与や内部成長により、分配金は、前期比3.2%プラスの8,083円となりました。2点目は、本投資法人初の戦略的な物件入替の実施です。比較的償却後利回りが低く、又、築15年が経過し、今後の修繕コスト等の増加が見込まれる仙台の物件を、2期に亘り合計100億円で売却し、一方で、MJIA独自リーシングにより、相対的に償却後利回りの高い、一宮の物件を 58億円で取得致します。これにより2期に亘り売却益を還元し、分配金の底上げとなることに加え、投資口価格が軟調に推移する難しいマーケット環境においても、ポートフォリオの収益性向上、質的向上を実現致しました。
加えて、この売却資金の残額は、今後の外部環境に応じて、成長投資や投資主還元に活用する方針です。3点目は内部成長の継続です。本投資法人のポートフォリオは、引き続き高稼働を維持し、13期連続の賃料増額改定を実現する見込みであり、第15期は、契約満了区画の全てで賃料増額を達成し、増額率は5.4%となりました。続く第16期についても、現時点の契約締結分の増加率は、6%程度を想定しています。このように力強い内部成長が継続しており、今後も分配金成長への寄与が期待できると考えています。最後に、ESGでは初参加のCDP気候変動プログラムにて、最高位であるAリスト企業に認定されたほか、TCFD定性分析を更に進め、定量分析を実施致しました。
続きまして4頁では、一口当たり分配金の実績と予想について説明致します。第15期に関しましては、昨年9月に取得した2物件の収益寄与、既存物件の内部成長を主因とするNOI増加等で、前期比+251円の8,083円となりました。第16期および第17期の想定DPUは、売却益の還元を背景とする増配を想定しています。尚、一時的な収益変動等を排除した巡航分配金については、昨年のLTV活用による2 物件取得や、内部成長の継続および今回の資産入替等の効果により、+4.6%の8,196円に向上する見込みです。
6頁をご覧ください。外部環境認識と成長戦略を示しております、先ずは、物流不動産の売買市場ですが、金利上昇はあるものの、売買キャップレートは低位で推移しています。外部成長戦略は、ハイブリッド戦略にて良質なパイプラインを積み上げ、ブリッジを活用しつつ、好機を捉えた物件取得を推進していきます。又、今回のような好条件での物件売却を含む、継続的なポートフォリオの質的向上も行ってまいります。物流不動産の賃貸市場に関しましては、建築費高騰を背景に、2023年をピークに供給は減少見込みであり、需給環境の好転が期待されております。内部成長戦略では、レントギャップを活用した賃料増額、加えて、LED化や自家消費型太陽光発電の設置等の、MJIA独自の取り組みによる内部成長を目指してまいります。最後にファイナンス環境ですが、マイナス金利解除が実施されたものの、日銀は、当面緩和を継続するスタンスであり、急激な金利水準の上昇は考えにくいという認識です。一方、米国では、早期利下げ観測が後退していることなど、先行きに注視は必要です。その中、財務戦略では、固定金利比率を85%以上とし、安定性を維持しつつ、一部に変動金利も組み込みながら、コストコントロールを図りたいと考えています。又、今回の売却資金による手元資金の活用や、従前通り資本コストを意識した資金調達を継続したいと考えています。
続きまして、今回実施するMJロジパーク仙台1とMJロジパーク一宮1の資産入替について説明致します。7頁をご覧下さい。売却する仙台に関しましては、売買市場の好機を捉え、鑑定評価額を27%上回る100億円にて、2期に亘り売却する予定です。又、取得する一宮は、鑑定評価額の14%ディスカウントとなる、58億円で取得する予定です。入替による効果と致しましては、1点目が収益性の向上です。両物件を比較しますと、築年数は13年ほど若く、償却後鑑定NOI利回りは、仙台が3.2%、一宮が3.8%と0.6%高い物件の入替となります。2点目が売却益の還元です。27億円の売却益を2期に亘り計上し、一口当たり、期当たり2,700円程度の増配効果を見込みます。3点目が手元資金の確保です。資産入替後の手元資金は30億円程度であり、マーケット環境や資本コストを考慮した、機動的な活用方法を検討致します。
続いて2024年8月1日に取得予定のMJパーク一宮1の概要について説明致します。8頁をご覧ください。本物件は、名古屋市内への近接性に加え、複数の高速道路、幹線道路が利用可能で、広域圏へのアクセスが可能な好立地に位置しており、競争力が高い物件であると考えています。又、本物件は、我々独自のプログラムであるPDPによる開発型案件であり、小田急不動産様の物流施設開発をサポートすることにより、鑑定NOI利回り4.9%と、魅力ある利回りでの取得を実現しております。
続きまして、直近の外部成長戦略の、継続的な取り組みについて説明致します。9頁をご覧ください。昨年から公募増資が難しい環境が続いていますが、低水準なLTVの活用や物件入替により外部成長を継続し、分配金成長を実現しながら、資産規模目標3,000億円に向けて着実に成長しています。
次のページはパイプラインについてです。10頁をご覧ください。今回の決算発表に合わせて、PDP1物件をパイプラインに追加しており、合計で14 物件約80万平方メートルのパイプラインを確保しています。金額ベースで1,600億円程度となり、これらを活用しマーケット環境等を見極めつつ、適切なタイミングと規模で、継続的な外部成長を実現してまいります。
続きまして内部成長戦略です。11頁をご覧ください。先ず、上段の賃料改定状況の推移では、第15期も、満了を迎えた全ての区画で賃料増額が実現でき、5.4%のプラスで着地しています。足元の第16期においても、契約締結済みおよび条件合意済みの区画を合わせると、約9割の区画で交渉が完了しており、契約締結分では+6%の増額率となる見込みで、増額トレンドは、引き続き継続しております。右下記載の通り、過去3年間においては、賃料増額により、年間で1%以上の分配金向上に寄与しており、力強い内部成長を継続できております。又、左下の独自の施策として、グリーンリース契約の新規締結による賃料増額の実現など、内部成長も引き続きハイブリッドで積み上げております。
続いて12頁では、インフレ体制と長期安定性を備えた、ポートフォリオについて説明致します。ポートフォリオの面積ベースで53%を占めるBTS、底地、シングルテナント型の物件は、長期的な安定収益に資するものと捉え、平均残存年数が10年以上の長期契約が多くを占めておりますので、ポートフォリオ全体の安定性に重きを置きながらも、賃料改定情報を組み込むことでインフレ対応を目指していきます。又、47%を占めるマルチテナント型施設では、契約期間が短く、平均残存年数も3年となっておりますので、契約更新のタイミングで、レントギャップを捉えた賃料増額を目指してまいります。下段は、面積ベースの契約残存年数ごとの内訳です。賃料改定可能条項や残存5年以内の、比較的短期の契約を合わせますと、ポートフォリオ全体で、概ね7割がインフレへの対応が可能であると考えており、今後もインフレを意識した内部成長を目指してまいります。
続いて13頁では財務戦略について説明致します。引き続き三菱地所グループの高い信用力を生かし、安定した財務運営を行っています。負債の残存年数は5.1年、平均調達金利0.56%と、J-REIT平均と比較すると、良好な経済条件で調達を実現しており、金利上昇による影響を受けにくい財務を構築しています。又、右下記載の通り、2022年に実行したサステナビリティ・リンク・ローンにおいて、スプレッドインセンティブが付与されており、金利コスト低減を実現しております。期末時点のLTVは40.2%と、引き続き低水準を維持しています。先ほど6頁でも申し上げましたが、金利水準の動向を考慮し、固定金利比率85%以上を維持しつつ、一部変動金利も組み込みながらコストコントロールを図っています。
最後にESGについて説明致しますので、15頁をご覧ください。左上段のCDP気候変動プログラムに初参加し、事業戦略、GHG排出削減の取り組み、リスクマネジメントプロセス等を総合的に評価され、最高評価のAリストに認定されました。又、2021年に実施した、気候変動リスクに関する定性分析から更に高度化させ、TCFD定量分析を実施致しました。
説明は以上となります。ご清聴有難うございました。
<質疑応答>
Q:今回初の物件入替をされたということで、売却益計上の収益性の向上が図られたということではありますが、プレゼン資料に書いてはありますけれど、仮に今みたいな投資口価格水準が、もう少し続くということであれば、積極的に今回のような物件入替を、継続的に実施していく意向等はあるのか。単発なのか、継続的なのか、資本市場環境にもよるでしょうが、その辺をお伺いできればと思います。
A:入替を、今後も継続的に実施するのかというご質問でございますが、先ず、大前提と致しまして、当投資法人は、まだ中規模でありますので、中長期的には資産規模は徐々に拡大していきたいという考えがございます。ただ、その中で、現在はご指摘があったように、エクイティコストが高く、デットコストも増加傾向にある一方で、不動産の売買キャップレートは低位な状況でございますので、含み益を顕在化するという意味では非常に良い環境であるというふうに認識しております。実際に仙台も、鑑定評価以上で売却できておりますので、含み益以上の、大幅に上回る売却益を達成することができております。又、単純の売却では、売却益一過性ということになりますので、その売却した資産以上の収益が確保できる物件に入れ替えるということが、必要であると考えております。今後行うかどうか、常にこういった検討は続けてまいりたいと考えておりますので、是々非々でチャンスがあればぜひやりたいということで、考えているということでございます。
Q:今回入替対応ということではありましたけれども、売却資金を活用した自己投資口の取得、物件取得の代わりに自分買おうというような考え方について、お伺いできればと思います。
A:売却資金を活用した投資口、自己投資口の取得の可能性というご質問でございますが、私どもの投資口価格が、仮にP/NAVで0.9を下回るような、非常に低い水準になれば、自己投資口の取得というのは、非常に有効な手段であると考えておりますので、そちらもマーケットの状況を見ながら、臨機応変に考えていきたいと考えております。
Q:リーシング自体、稼働率も高稼働を維持して、賃料増額も継続しているという状況ではあるのですが、一方で、他のリートにおいて、一部大口テナントの退去等も見受けられる事例もありますが、仮に、大口テナント等で退去をするようなことが、もしあったと仮定した時に、リーシングとしては比較的円滑に埋められるような環境だと認識なのか、そこはやっぱり物件によるかなということなのか、リーシング環境をどう感じているかお伺いできればと思います。
A:退去があった場合、あと貸しがうまくいくのかというご質問についてですけれども、実際に私共のポートフォリオでも、一部退去区画というものがありますけれども、幸い館内増床によって、速やかに消化されているという状況が続いております。又、最近、首都圏を中心に新築の物件が非常に多いという状況でございますが、新築物件の特徴としましては、やはり、非常にアスキングレートが高いという状況でございます。一方で、私共の抱えているポートフォリオの物件は、賃料の競争力という意味では発揮できる状況にございますので、あと貸しについては比較的短期間、ダウンタイムは少なく見積もった上で、可能である状態が続いていると考えております。
Q:説明で、手元資金の使途ということで、 物件取得、それから、自社株買い、設備投資、デット返済とありますが、自社株買いにも絡んできますが、この4つをどういう基準で決めていくか、DPUへのインパクトとか、それから、デットコストの削減とか、4つの使途を決めていくにあたっての基準というのがあれば説明頂ければと思います。
A:手元資金の使い方、その使うオプションの決め方についての質問ですが、先ず、自己投資口の取得については、先程の質問の回答でも申しあげた通り、P/NAV水準がかなり割安になった水準では、かなり有効な選択肢として考えておりますので、現実的な話として考えております。あとは、エクイティコスト、デットコストのバランスを見たうえで、どのように使うのが一番投資主価値の向上に資するか、と言う考え方で決めたいと思っております。仮に今後、投資口マーケットが回復して、増資が可能になるような環境になった場合には、一部新規物件の取得に充当するということによって、アクリティブな成長ができるのであれば、そのような使い方が一番良いと考えておりますし、デットコストが今後どんどん高くなるような状況になれば、一部借入金の返済ということの選択肢もあるかと思っておりますので、正にエクイティコスト、デットコスト、それから私共のインプラント・キャップレート、投資口価格の水準というのを総合的に勘案して決めたいと思っています。
Q:LTVを今後引き上げていくことについてのスタンスですが、40%に到達しましたけれども、まだ引き上げていくように躊躇はないのか、それとも、これ以上はちょっと慎重に行きたいとか、従前の説明だと、今の環境では慎重に考えていきたいということだったと思いますが、こういう考え方に変化はないかどうか、そのあたりも含めて説明頂ければと思います。
A:LTVの使い方ですが、前回の決算説明でも申し上げました通りでして、一旦40%に達しておりますので、今後の使い方については、基本的には保守的に、出来ればあまり上げたくないというのが本音のところです。仮にデットコストが低下してきて、一方で高い利回りの物件があるような場合には、一時的にそのLTVを使って、物件を取得するというオプションは排除しない、使う時は使うというつもりではおりますが、基本的な考え方としては、現状維持というのが現実的な目線ではあります。
Q:資料7頁の取得した一宮1ですが、取得価格が鑑定よりも14%ディスカウントで取得できたということでしたが、なぜこんなに安く、安くというか、相対と言うことになるとは思いますが、価格を抑えられた形で取得できたのか、その背景についてのお話し頂ければと思います。
A:DPD一宮1を割安で取得できた理由というご質問でございますが、こちらは、私ども独自のリーシングでございますPDPというプログラムがございます。パートナーシップ・ディベロップメント・プログラムと呼んでおりますが、こちらは、私共は経験年数の長い運用会社でございますので、各種ブローカーから物流施設の物件の紹介は、多数ございますけれども、中には更地の情報といったものも含まれるケースがございます。そういった用地情報を仕入れた場合に、私共は運用会社であり、開発機能ございませんので、お付き合いのあるデベロッパーにその用地をご紹介して、私共が求める建物スペックの物件を開発頂くというプログラムを、繰り返し実行してございます。この一宮も小田急不動産と組む形で、私共が求める建物スペックの物件を、開発頂いたということでございまして、紹介した年は、今から3~4年前となりますので、その当時のマーケットに基づいて、将来私共が取得する価格について、緩やかに合意をさせて頂いたということでございます。当然、上場リートで取得するということになりますので、それに相応しいスペックの物件を作って頂くという取り組みになりますし、私共が提供できる賃料相場感ですとか、先ほど申し上げたスペック、それから将来価格目線、そういったことを提供することで、デベロッパーからも安心して開発に取り組んで頂いていると、双方WIN-WINの関係の取り組みを実施させて頂いておりまして、この物件がようやく竣工、それから満室稼働に至ったものですから、元々の約束通りの価格で取得したという経緯になります。その結果、鑑定評価に比べますとかなり割安での取得が可能になっています。この物件に限らず、PDPというプログラムでは、比較的高い利回りを確保する物件が多数ございますので、今後とも同様の取り組みをしていきたいと考えております。
Q:今回の入替で、仙台については築15年が経過し、大規模修繕も必要となるということで、売却という形になっています。31か32頁のところでも、物件の概要で建築時期のことを書いてありますが、基本的には、仮に今後売却がある場合には、限定でそのような形になると思いますけれども、やはり築年数のところがトリガーになるのか、或いは、売却益を狙えるからということになるか、どちらなのか、或いは、どちらもなのか、売却方針の基準などがありましたら開示できる範囲ないでお話し頂ければと思います。
A:仙台以外の物件で、売却を行う場合にどういったところをポイントとするのか、ということでございまして、言われる通り築年数は1つ大きなものとしてございます。ただ、築年数がいっていても、利回り感が非常に良いという物件が多数ございます。取得価格に対して高い賃料が得られておりますので、NOIが高く出ているという物件もございますので、一概に築年数がいっているから売却候補となるということではなくて、今後掛かるであろう追加的な修繕費、それからCAPEX、それからそれによる賃料の増額等総合的に勘案して、売却のメリットがあれば、築年数がたっている物件が売却候補になるということでございます。それから、売却益も当然、含み益を顕在化して投資主に還元するということでございますので、しかるべく売却益が得られるであろう物件を、厳選して調査するということになりますので、ご質問の通り両方を勘案して決めていくということになるかと思います。
こちらで質疑応答を終了させて頂きます。
2024年2月期(第15期)の決算説明会にご参加頂き有難うございました。投資家の皆様の期待にお答えすべく運用に努めてまいりますので、今後とも引き続きご支援を賜れますよう宜しくお願い申し上げます。