投資法人みらい 2024年10月期決算概要
投資法人みらい
2024年10月期(第17期)決算動画説明書&質疑応答
○動画 https://www.net-presentations.com/3476/20241220/9jn2de565gz/
○説明資料 https://3476.jp/file/term-0aedb874642bfa72a211c1d8308a55da21b0091a.pdf
〇訂正・補足資料
https://3476.jp/file/term_errata-1e68670210e5e1b3a4dd146064cd71abeded8557.pdf
〇質疑応答 https://3476.jp/file/term-8f1409aaf3ab4c8bb68a359662debd7ef6846a9a.pdf
○説明者 投資法人みらい 執行役員 兼
三井物産・イデラパートナーズ株式会社 代表取締役社長 菅沼 通夫
○説明
投資法人みらいの第17期決算説明を始めさせて頂きます。本日は、第17期決算説明会資料のうち、冒頭のエグゼクティブサマリーを説明した後、Section 1運用ハイライトの内容に沿って説明させて頂きます。第17期中は、日米の金利動向や、国内のインフレ基調を中心に、不透明な経済状況が継続する中、J-REIT市場もその影響を多分に受け、不安定な値動きが継続しております。その中でも、みらいの主軸アセットである中規模のオフィスビルや、商業施設が安定的な収益貢献、又、ホテルアセットからの収益拡大による内部成長が実現し、予想を超える分配金を投資主の皆様にお渡しできる結果となりました。みらいの運営を支えて頂いている関係者の皆様に、改めて厚く御礼申し上げます。
それでは説明に入らせて頂きます。先ずは1頁目のエグゼクティブサマリーをご覧ください。第17期の一口当たり分配金は、業績予想を72円上回る1,257円となりました。一口当たりNAVは52,410円と、前期より180円増加しております。外部成長の面では、J-REITを取り巻く資本市場が不安定な状況下、公募増資による積極的な資産規模拡大は追求せず、当面の間は、保有物件を売却することで含み益を実現しつつ、現在確保する収益性の高いパイプライン物件を取得することで、分配金向上に注力してまいります。
ポートフォリオマネジメントとしては、NOIへの影響が大きいオフィスセクターでは、大規模オフィスのNOIが底打ちし、中規模オフィスでは、着実な賃料引き上げにより収益が向上しております。ホテルセクターでは、インバウンド需要がドライバーとなり、一部の物件では過去最高賃料を更新するなど、変動賃料の拡大があり着実な内部成長を実現しております。財務面では、金利上昇の環境下でも平均調達金利は0.7%と、引き続きレンダーからの熱い支援に支えられながら、有利な資金調達が実現できております。
今後のリファイナンスにおいても、金利上昇の影響を極力コントロールしながら、リスクとコストのバランスを踏まえた財務運営を維持していきます。ESGの面では、2023年に取得したGRESB 4-Starsを今年も維持しています。今後も物件の環境認証の取得等の必要な対応を進めてまいります。これ以降は、資料のSection 1運用ハイライトに沿って説明させて頂きます。
先ずは、中期経営計画の進捗状況です。4頁目の中期経営計画の進捗をご覧ください。投資法人みらいでは、2022年6月に中期経営計画を発表して以降の堅守・共攻のコンセプトに沿って、公募増資を伴う外部成長や戦略的な物件入替の実行、およびアセットマネジメント力を発揮した、内部成長の着実な進捗と投資主価値の拡大を実現してきております。
一口当たり分配金は、各種費用削減効果に加えて、好調なインバウンド需要によるホテル変動賃料の上振れがあり、第17期配当は、業績予想を72円上回る1,257円を実現、現在運営中の第18期、続く第19期は1,210円を予想しております。今後は運用資産の内部成長と併せて、資産入替を通じたポートフォリオ利回り向上により、目標とする1,300円到達を目指してまいります。一口当たりNAVは、第17期末時点では、中計開始時から1,740円、3.4%の増加を実現しており、目標である53,000円にはあと1息となっております。今後も内部成長や物件入替を通じたポートフォリオの価値向上に努め、目標達成を目指していきます。最後に資産規模ですが、こちらは資本市場が回復し、投資主価値の向上に繋がる外部成長が可能な状況になるまでは、無理な資産規模拡大を追求せず、資産入替によるポートフォリオの収益改善に注力していく方針ですので、達成には更なる時間を要する状況でございます。
これら3つの中期経営計画目標値の達成時期は2025年末ですが、足元のマーケット動向を踏まえますと、先に説明の通り、期限までの達成が難しいものがございます。達成期限や目標値を含めた計画の見直しは、資本市場の回復が見通せるであろう、来年4月期の決算発表以降のタイミングとさせて頂きたいと存じます。
5頁の一口当たり分配金目標をご覧ください。第19期の目標値である1,210円から中計目標の1,300円までの道筋を示ししております。先ず、内部成長効果として、ホテルの変動賃料がコロナ前の賃料水準まで回復した場合に+38 円、又、オフィスと商業両セクターにて 現在付与しているフリーレント、レントホリデーが解消し、賃料発生に至った段階で+53円の成長余地があります。加えて今後の主力政策としている物件入替の実行、現行ポートフォリオで、利回りの低い物件を収益性の高いパイプライン220億円相当の物件に入れ替えることにより、+35円の成長が見込まれます。
これら内部成長により、金利上昇下でのリファイナンスによる負債コスト上昇の影響の36円を考慮したとしても、1,300円のDPU達成は可能と認識しています。尚、一口当たり99円まで積み上がりました内部留保については、今後有効に活用してまいります。
6頁の成長の軌跡をご覧下さい。中計で掲げた3つの定量目標についての、現在までの軌跡を示ししております。一口当たり分配金、こちらは、物件譲渡益を差し引いたEPUベースでの数値の変化のグラフですが、中計公表後、コロナ禍による人流停滞の影響により、一時的に下がった第14期をボトムに成長の軌道にあります。一口当たりのNAVについては、物件入替や第16期中に行った第5回公募増資による収益性の高い物件取得、そして運用物件の内部成長の成果により着実な成長軌道にあります。AUMについては、昨年12月の公募増資でインプライドキャップレートを上回る物件取得を行い、着実に拡大しています。繰り返しになりますが、資本市場が回復するまでは、無理な資産規模の成長ではなく物件入替に注力してまいります。
7頁目の市場環境の変化と運用戦略をご覧ください。この頁からみらいの現状のバランスシートの資産サイド、負債サイド、そしてエクイティサイドの夫々の状況、そして今後のインフレ、金利上昇の環境下での、それぞれの項目の取り組みを説明させて頂きます。資産サイドのポートフォリオでは、ホテル変動賃料とオフィスを中心とする、残存2年以内の短期契約の割合が過半数の53.4%であり、今後はこれらの契約の賃料アップとともに、資産入替を通じて内部成長を実現しています。
又、費用面では、みらいの強みでありますアセマネ力を十二分に発揮し、インフレによるコスト上昇下であっても、不費用の維持、又は、軽減に注力してまいります。負債サイドでは、平均残存調達期間が3.3年と、資産サイドの平均残存賃貸借期間6.1年を下回っておりますが、当面の間、金利変動の影響を受ける変動金利と、残存期間が2年以内の借入れの合計額の割合が負債全体の38%、一方資産サイドで短期的に賃料引き上げが期待できる変動契約と残存2年以内契約の割合が約53%ですので、今後の金利上昇には一定程度対応可能なポートフォリオとなっております。尚、今後のリファイナンスにおいては、金利動向を考慮しながら、変動金利での借り換えにも柔軟に取り組むことで、コストコントロールに取り組んでまいります。最後にエクイティサイドですが、資本市場の回復までは公募増資による資金調達は小休止し、運用物件の収益改善を通じた 既存ポートフォリオのNAVの向上、そして資産入替を通じた含み益の実現を進めていく所存です。
8頁目の金利上昇リスクへの対応をご覧ください。この頁では、前の頁でご覧頂きましたB/Sのうち、ALMの観点から、資産サイドの収益拡大を通じた、借入コスト上昇のコントロールについて説明申し上げます。先に説明しました通り、短期間で賃料アップサイド余地のある資産の割合が、負債サイドで短期的に金利上昇の影響を受ける負債の割合を上回っておりますので、今後の金利上昇があった場合でも、契約賃料のアップサイトを実現することで、金利上昇によるコストアップを補えるポートフォリオが構築できております。
これを具体的な条件をおいて説明しておりますのが、頁右側の試算です。今後のリファイナンスに際して、想定金利以上の金利上昇、具体的には変動および残存2年以内に、借入の想定金利より0.1%から0.5%の金利上昇のDPUへのインパクトは、変動および残存2年以内の運用資産の想定賃料を、1%から5%引き上げることでカバーすることが可能となります。
次に9頁目、当面のポートフォリオ構築戦略をご覧ください。ここまで説明させて頂きましたALMの観点から、今後のポートフォリオ構築に際しては、従来のアセットタイプ毎の割合に加えて、契約形態も含めた各々のキャッシュフロー特性にも着目した上で、最良となるアセットミックスを実現していく方針です。具体的には先のALM戦略で説明しました変動賃料と残存2年以内契約の物件の割合を増やすことで、キャッシュフローのアップサイド余地の引き上げを目指してまいりたいと思います。現状ポートフォリオでは、これに分類される契約の割合が全体の53.4%であり、この割合を55%台まで引き上げていくことで、これまで以上に将来の金利上昇、インフレへの対応が可能なポートフォリオを構築していきます。
10頁目、パイプライン検討状況をご覧ください。現状では6 物件、約220億円のパイプラインを有しております。キャッシュフロー特性としては、変動賃料と残存2年以内のアップサイド余地のある契約形態の物件が62.7%を占めており、物件入替による収益改善に加えて、取得後のポートフォリオ全体のインフレ耐性改善が見込まれます。又、物件紹介以外の機能提供を含めたスポンサーサポート案件が全体の57%を占めており、物件紹介、ブリッジファンドの組成および出資、ブリッジ期間中のテナントリーシングサポート等、幅広いスポンサーサポートを活用してパイプラインを確保しております。
11頁目、市場見通しおよび投資戦略をご覧ください。ここからはアセットタイプ毎の市場見通しと、投資戦略について説明致します。先ずオフィスですが、市場見通しとして、首都圏においては空室率の低下傾向は継続しており、賃料は増加トレンドに入っている可能性が高いと見ております。又、首都圏以外においては、引き続き稼働、賃料は安定しており、底堅い需要が継続しております。これらを踏まえて、引き続き賃料上昇が狙える資産クラスとして、地方中核都市所在物件を含めて積極的に検討してまいります。
12頁目をご覧ください。次に商業施設です。市場見通しとして、主要な都心商業エリアでは空室率は急速に低下しており、旺盛なインバウンド需要も追い風となり、テナントの新規出店意欲は引き続き高い状況です。地方都市においても、インバウンド需要が見込まれる地域は賃料上昇が見込まれており、その他駅前立地物件でも高い稼働が確認されております。これを受けた投資戦略としては、引き続き駅前立地条件を含む都市型商業施設を積極的に検討しながら、物件の利回り水準によっては固定賃料物件もターゲットとしていきたいと思います。
最後にホテルです。市場見通しとしては、旺盛なインバウンドの観光需要は継続 拡大しており、外国人宿泊者数は過去最高を更新しております。又、昨今の建築コスト上昇のトレンドは、新規物件の供給の制約になることから、既存物件の更なる稼働改善が期待できると考えております。投資戦略としては、継続してアップサイドが狙える変動賃料型ホテルに注目しながら、固定賃料型物件についても契約更改時の変動賃料型への切り替え可能性なども 考慮し 割安に取得できる案件であれば検討していきます。
13頁目、ポートフォリオマネジメント:オフィスをご覧ください。ここからは、みらいのポートフォリオの、アセットタイプごとの運用状況を説明致します。先ず大規模オフィス4 物件についてですが、左上の表の通り、いずれの物件ともに、引き続き高い稼働率を維持しております。湾岸エリアに所在する品川シーサイドパークタワーは、今年5月に総面積の約10%を占める主要テナントの1社であったメルセデスベンツ社が退去したため、一時的に稼働率が低下しましたが、稼働優先のリーシング戦略が功を奏し、第17期末稼働率が95.2%に達しており、入居確定済みテナントを含めますと2025年1月以降は100%稼働に回復します。天王洲にある東京フロントテラスにおいても、コロナ禍に大型テナント退去で稼働を下げておりましたが、現状稼働率は94.1%と高い稼働率が維持されております。
新宿イーストサイドスクエアでは、2025年7月に、大口テナントから本物件の総面積の21.4% について退去が予定されておりますが、現状では退去価格の過半の面積は、概ね賃料を改善の上で埋め戻しの目処がついており、その他区画についても引き合いがある状況でございますので、比較的短いダウンタイムでの埋め戻しの目途が立ちつつあります。これらの結果、頁左側の中段にあります通り、大規模オフィス4 物件のNOIは、2023年10月期をボトムに改善傾向にあります。
14頁目をご覧ください。続いて中規模オフィスの状況です。いずれの物件も高稼働を維持しながら、既存テナントの契約更改やテナント入替のタイミングにて賃料増額を実現しており、今後の内部成長を牽引するアセットとして期待しております。今後の外部成長においては、中規模オフィスのこのような収益向上トレンドを狙い、前向きに取得を進めていきたいと思います。
15頁をご覧ください。続きまして商業施設です。概ねコロナ禍からの人流回復の影響から、好調を維持しております。東京は青山の結婚式場であるTHINGA青山では、コロナ禍後は挙式件数の回復もさることながら、1件当たり単価の上昇が著しく、売上は前回アップサイド賃料が発生した2019年と同水準で推移すると、収益アップ が期待されております。イオン葛西店では、2023年のリニューアルオープン後の売上推移は順調であり、第17期は、3期連続で変動賃料が発生すると、リニューアル効果が着実に賃料アップに貢献しております。奈良の大型商業施設ミ・ナーラについては、季節性変動を平準化した1年単位で賃料推移を見ますと、施設リニューアル効果により変動賃料が着実に増加しており、直近の1年間実績が過去最高を達成しております。
16頁をご覧ください。ホテルは引き続き高いパフォーマンスを見せております。頁左側の表にて、みらいのホテル運用物件を、賃料形態およびキャッシュフロー特性別に分類しております。昨年の公募増資にて取得したホテル3物件は固定賃料でしたが、今年3月オペレーター変更に際し、京都と大阪の2物件を変動賃料契約に変更しており、AUMベースでは、変動賃料条件を含む物件の割合は、52%と過半数に達しております。結果として、頁右側の図にあります通り、変動賃料の割合が増加傾向にあることがご確認頂けます。今後は、まもなく営業は終了予定のダイワロイネットホテル秋田を含め、契約満期を迎える物件においては、将来のインフレ対応が可能な変動賃料条件を含む契約への見直しを進めていきたいと思います。
次の17頁では、変動賃型ホテル物件のRevPAR、稼働率、変動賃料の推移を示ししており、コロナ禍後の稼働改善に伴い、変動賃料が右肩上がりであることがご確認頂けます。個別物件のトピックとしましては、営業終了が予定されているダイワロイネットホテル秋田は、契約では2026年6月末までの賃料、もしくは賃料相当額は確保できておりますので、業績に与える影響は軽微です。現状、契約条件に基づき、現オペレーターのサポートの下、新オペレーターを複数候補先の中から選定中です。頁右下は、その他の変動賃料物件の状況です。
稼働回復が遅れ気味のスマイルホテル那覇ですが、RevPARは改善傾向にあり、直近では コロナ前水準を回復しつつあります。今後については、インバウンド事業を支える那覇空港 国際便の便数が、今年の冬ダイヤより概ね2019年冬ダイヤ水準まで回復することから、インバウンド事業による更なる回復が期待されております。スマイルホテル博多については、韓国を中心としますインバウンド需要が旺盛であり、10月RevPAR実績は、コロナ前2019年10月比で64%アップと極めて好調であります。今年3月に、京都とともにオペレーター変更を実施した大阪天王寺については、現場の運営体制整備に時間を要したことから、実績が京都に遅れを取っておりましたが、運営は概ね巡航ペースに改善しており、今後は来年4月から開催されます万博関連需要も期待しております。
18頁目の財務戦略をご覧ください。左側の財務ハイライトの通り、金融機関の支援により、平均調達期間は7.1年超、平均調達金利0.7%と、有利な資金調達が実現できております。LTVについては、総資産ベースで48.8%、鑑定ベースで45%となっており、今後も総資産LTVの上限 50%として運営していく所存です。尚、借入全体に占める固定金利の比率は、現在85.9%ですが、金利動向を注視しつつ変動金利の割合は柔軟に考えていきたいと思います。格付けは、第16期中にJCRからA+ポジティブ、本決算期間中にR&IからAポジティブと、2社ともに、見通しがそれまでの安定的から、ポジティブに変更がされております。引き続き安定的な財務体制を維持していくことで、更なる格付けの改善を目指してまいります。
19頁目のESGの取り組みをご覧ください。GRESBの評価では、昨年に引き続き4-Starsおよびグリーンスター、又、開示評価でもA レベルを取得しております。今後とも個別物件環境認証取得の取り組み等を推進し、ESG体制の維持向上を進めてまいります。
以上が第17期決算説明となります。オフィスセクターでは、大規模ビルの大型区画の解約には、稼働優先の積極的なリーシング活動により、大きなダウンタイムなく埋め戻しに成功し、総じて高い稼働率を維持、一方の中規模オフィスでは、契約更改とテナント入替で賃料引き上げ実績を積み上げ、商業セクターでは、一部物件で売上改善による変動賃料を継続的に享受、最後にホテルセクターでは、旺盛なインバウンド需要による変動賃料増加と、契約満期を迎える物件での変動賃料契約導入によるアップサイドを享受すると、既存ポートフォリオにおいて着実な内部成長を実現しております。今後はこれらに加えて、収益性の高いパイプライン物件を入替で取得することで、更なる内部成長を達成し、より多くの配当をお渡しできるよう運用会社従業員一同注力してまいります。投資家の皆様、そして関係者の皆様におかれましては、引き続きのご支援を賜りますよう、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
本日は、ご清聴頂きまして誠に有難うございました。