野村不動産マスターファンド投資法人 2024年2月期決算概要

野村不動産マスターファンド投資法人
2024年2月期(第17期)決算動画説明書&質疑応答
○動画   https://www.net-presentations.com/3462/20240417/vddvg73rh3/
○説明資料
https://www.nre-mf.co.jp/file/top-financial-18b632922778ce5b2d90db9282d4d89786ad1831.pdf
〇質疑応答要旨
https://www.nre-mf.co.jp/file/top-financial-be0b295d56c4738493d9d809887add28604d6ef5.pdf
○説明者 野村不動産投資顧問株式会社 NMF運用グループ統括部長 増子 裕之
○説明 
先月、日銀によるマイナス金利の解除により、17年ぶりに利上げがなされ、2013年4月以来の、大規模な金融緩和政策は転換点を迎えました。日本経済は、30年間に亘りデフレが続いてまいりましたが、今後は、インフレを意識した不動産の運用が求められると考えております。本投資法人としましても、従来の慣習に囚われず、変化に適用しながら、投資主価値の向上に努めてまいりますので、ご期待を頂ければと存じます。それでは、野村不動産マスターファンド投資法人2024年2月期の決算内容について説明致します。

4頁をご覧ください。一口当たり分配金は、業績予想で示しました3,376円を上回る3,414円の着地で、前期比+12円となりました。棒グラフは23年8月期からの増減を示しています。賃貸事業収入は、既存物件の賃料・共益費の減少等により、55円のマイナスとなりました。オフィスセクターにおけるテナント入替時のダウンタイムやフリーレントと、物流セクターの新規契約に伴うフリーレントの影響によるものです。一方で、賃貸事業費用においては、修繕費が若干増加したものの、その他の費用減少により43円のプラスとなっております。その他資産入替を通じた35円のプラスを含め、紺色で示した巡航分配金は上昇しました。又、24年2月期におきましても、資産の入替を継続推進し、売却益を計上しています。売却益については、右から3つ目の棒グラフになりますが、前期から繰り越した利益を含め、160円は当期に分配、38円相当は、右上の表の通り翌期以降3期に亘り均等分配しています。

5頁は、損益計算書とその差異要因です。営業収益は、前期比-4,270百万円の39,375百万円、営業費用は前期比-510百万円の24,203百万円、当期純利益は前期比-3,788百万円の12,958百万円となりました。主な変動要因としましては、不動産等売却益が4,164百万円減少したことです。

次は物件の売買実績について説明致します。7頁をご覧ください。この頁は、24年2月期以降の資産入替を纏めています。先ず、新規取得が左側になります。外部からは持続的で底堅い観光需要が見込めるホテルを、スポンサーからはアップサイドが期待できる居住用施設を中心に、7物件141億円を取得しました。右側では、売却物件を示しております。オフィスおよび地方の居住用施設を中心に、5物件120億円を売却しました。尚、9頁でも触れますが、右上の野村不動産上野ビルは、再開発した場合を含め優先交渉権を取得しており、将来的な優良資産の取得機会を確保しています。私達の強みである、スポンサーパイプラインを活用したポートフォリオの強化を進めると同時に、合計約11.6億円の売却益を実現し、分配金を上積みしています。

8頁は前回決算発表以降に取得したホテルの紹介です。いずれも国内有数の観光地であり、国内外の観光客から安定した需要が期待できると考えています。MIMARU SUITE 東京浅草は、インバウンド観光客をメインターゲットにしたアパートメントホテルです。客室は、全室60から74m2程度で、4から6名程度が利用可能であり、加えてキッチン、冷蔵庫等の家電設備を備えていることから、長期滞在に適している希少性が高い物件であり、インバウンドを中心とした顧客に対し、高い競争力を有しています。右側記載のホテルウィングインターナショナルプレミアム金沢駅前は、新幹線停車駅であるJR金沢駅から徒歩5分に位置し、金沢を代表する有名な観光スポットに収容可能な利便性の高い物件です。ご認識の通り、2024年3月から北陸新幹線が、金沢駅から福井県の主要観光地である敦賀駅まで延伸されておりますので、今後、北陸地方の観光需要が喚起されることを期待しています。

9頁は、スポンサーと共同した戦略的資産入替の推進です。先ほど申し上げた通り、優先交渉権を確保した上で、野村不動産上野ビルをスポンサーに売却しております。下段は、戦略的資産入替の実績ですが、嘗て本投資法人からスポンサーに物件を売却し、スポンサーが最有効使用を踏まえて再開発した優良資産を、再度本投資法人が取得しています。又、右側に記載の旧NOF溜池ビルは、スポンサーが再開発を終え、2023年10月に環境認証ZEB readyを有する、木造ハイブリッド構造のオフィスビルに変わっております。これからも、潜在力を有する物件を見出し、投資法人の特徴とスポンサーの開発力を生かした、戦略的資産入替を模索していきます。

次は、昨年10月に公表した運営戦略の推進状況です。12頁をご覧ください。23年8月期末以降、オフィスを中心に売却し、ソーシングを強化したホテル等を取得しました。24年4月末時点で、オフィスセクター比率が-0.7ポイント、ホテルセクター比率が+0.7ポイントと変化しています。運用戦略公表後まだ6ヶ月程度ですので、ボリュームが小さく見えますが、今後1~2年内でインフレ対応が望みにくいオフィスを、300億円程度売却し、資産を入れ替える予定です。

13頁は分配方針です。本投資法人は、巡航分配金の維持向上に主眼を置いていることから、予てより、取得を前提とした資産入替を推進してきております。詳細は後ほど説明しますが、25年2月期に向けて、紺色で示している巡航分配金は、前期比で2.3%上昇する予想をしています。又、物件売却により実現した売却益については、原則4期に分けて均等分配することを公表しており、分配金の積み上げを継続しています。売買マーケットは堅調であり、今後も資産入替は継続してまいりますので、更なる上積みを目指します。

次は3つ目の運用戦略である、内部成長の追求についてセクターごとに説明します。16頁をご覧ください。先ずは、オフィスセクターです。マーケットは需要が回復してきており、24年2月期末の稼働率が97.7%と、高水準を維持することができました。24年8月期末も98.2%と、更なる上昇を見込んでいます。左下は、テナント入替による賃料増減です。24年2月期は、全体で+0.1%となりましたが、東京圏では-1.7%、賃料ギャップを有する地方においては+3.6%となっております。但し、東京圏のオフィスは、堅調な需要を背景に賃料水準が底打ちしており、エリアによる強弱はあるものの、今後は賃料引き上げを意識した運用に切り替えていきたいと考えています。

17頁では、24年8月期のリーシング状況を示しています。24年8月期に2,815坪の解約を予定しておりますが、3月末時点で既に2,355坪のリースアップに目処をつけています。又、PMOだけを取り出しても、476坪の解約面積に対し、431坪のリースアップに目処がついており、リーシング環境が良好であることがお分かり頂けます。下段をご覧ください。全国屈指の人通りを有する、NMF渋谷公園通りビルのリーシング実績です。地下1階から1階の店舗の解約に加え、2、3階の事務所も解約となりました。これを好機と捉え、用途変更により、競争優位性の高い4連層の大型区画を形成しましたところ、世界的な大手アパレル企業に出店頂ける見込みとなりました。尚、賃料は2025年1月から収受する予定です。

18頁をご覧ください。物流は、引き続き100%稼働を維持しています。24年8月期は、Landport浦安における既存テナントとの再契約において、賃料を10.1%増額、川口ロジスティクスセンターB棟の再契約においては、賃料を3.5%増額することができており、既存物件にとっては良好な環境が持続しています。尚、物流マーケットにおいては、新規供給が継続されています。本投資法人が有する物流ポートフォリオは、需要の底堅い外環道国道16号線エリア内に立地しており、それが高稼働率の維持に繋がっていると考えています。
19頁をご覧ください。住宅セクターです。左上のグラフで示している通り、24年2月期の入替賃料増減率は、+3.9%と増額幅が拡大しております。又、左下の更新時賃料増減率につきましても、24年2月期は+0.9%と増額幅が拡大しております。東京圏への人口流入、外国人留学生の増加、分譲住宅価格の上昇など、当面、賃貸住宅への底堅い需要は継続すると考えています。今後は、企業の賃上げ対応等により、実質賃金の改善が見込まれることも踏まえ、引き続き賃料増額に主眼を置いた運用を推進していきます。

20頁をご覧下さい。上段では、引き続き海外留学生等の底堅い需要がご確認頂けます。海外留学生の取り込みを早期に着手していることから、季節的要因はありますけれども、前期も着実に実績を伸ばしています。下段をご覧ください。好調な賃貸マーケットを追い風に、ポテンシャルを有する物件については、引き続きリニューアル工事を推進しています。投資効率を踏まえ、ファミリータイプを中心とした15区画で、リニューアル工事を推進したところ、ROIベースで+14.5%、賃料増減率で+15%を実現しています。

21頁をご覧ください。大学の寮として1棟借りをしていたテナントが退去したことを契機に、リニューアル工事を推進したプラウドフラット三軒茶屋Ⅱの取り組み内容です。マーケットニーズを踏まえ、主要な2 Kを1 LDK に間取り変更すると同時に、その他必要なリニューアル工事を実施しました。そもそも契約満了日は2024年2月14日でしたけれども、期間満了日までの賃料は享受しつつ、解約日を前倒しすることでテナントと合意し、繁忙期の需要を取りこぼさないスケジュールで、工事も完了することができております。結果として、約2ヶ月間で92%を超える水準にまでリースアップが進み、賃料単価も26.8%の引き上げが実現できる見込みです。

22頁は商業セクターです。24年2月期末における商業セクター全体の稼働率は、前期比 横這いの99.0%となりました。サービス系テナントの需要は、変わらず底堅いことに加え、飲食テナントの新規出店ニーズも回復してきていることが、高稼働の維持に繋がっています。右上のグラフで、売上歩合を含む賃料収入を示しています。年間の売上歩合賃料を、一括で収受しているテナントの特殊要因を除きますと、売上歩合賃料が着実に上昇していることがお分かり頂けます。

23頁は、商業の基幹物件における運営状況です。ユニバーサル・シティウォーク大阪の年間売上は大きく伸長しており、売上増加を賃料収入に連動させるべく、売上歩合の導入や売上歩率の上昇に積極的に取り組んでおります。又、24年2月期は、本物件のポテンシャルを生かし、新たなスポンサーシップ契約の締結や、既存スポンサーとのスポンサー料の増額も実現しています。札幌のnORBESAにつきましては、大型商業施設の新規開業に合わせる形で、視認性や集客力の向上を企図した、外壁リニューアルを推進致しました。右上に記載の通り、再契約時の賃料増額に繋げています。そして、賃料以外の収入獲得機会も追求すべく、観覧車のマーケティングを強化しています。本年3月からは、再度観覧車の乗車料金を引き上げたことから、更なる観覧車収入の上昇を期待しています。

24頁をご覧ください。こちらは中座くいだおれビルの、リニューアル計画推進状況です。立地のポテンシャルと、くいだおれ太郎という貴重なコンテンツを最大限生かし、地域特性を意識したデザインに再生する予定です。テナントリーシングも極めて順調に推移しており、本年6月ぐらいから工事を開始し、2025年4月の大阪万博開幕前に、リニューアルオープンができるよう推進していく予定です。このバリューアップ投資により、ROIベースで12%程度と、高い投資効率を計画しており、2025年8月期以降の内部成長に、大きく貢献してくれる見通しです。

26頁をご覧ください。鑑定評価については、24年2月期末も約5割の物件で評価額が上昇し、含み益は前期比+71億円の2,509億円まで拡大しています。又、好調な売買マーケットを反映する形で、継続鑑定における平均キャップレートも若干低下しています。

28頁は財務活動です。24年2月期は、26,550百万円のリファイナンスを行いましたが、変動借入比率や借入年限の調整により、金利上昇の影響を抑えています、今後のリファイナンスにおきましても、金利上昇に柔軟に対応していきます。又、金融機関と良好なリレーションを築けていることや、返済期限の分散状況に鑑み、3年で100億円のコミットライン設定契約を解約致しました。解約後も極度ローンとコミットメントラインで、合計700億円の借入枠を維持しておりますので、必要な資金調達ニーズに機動的に対応できる見込みです。尚、この解約により融資関連費用が削減でき、金利上昇影響の抑制に貢献していることを申し添えます。

30頁は業績予想です。一口当たりの視点で差異要因も分析しています。結論から申し上げますと、24年8月期は、売却益の剥落もあり分配金が3,302円、25年2月期は3,378円と予想しております。24年8月期の差異要因としては、賃料・共益費の増加により、賃貸事業収入が213円のプラスとなりますが、公租公課や修繕費等の増加により、賃貸事業費用が226円のマイナスとなります。その他、売買影響等の収益底上げで18円のプラス、売却益相当分で43円のプラスとなり、締めて3,302円となります。次に25年2月期ですが、既存物件の影響で86円のプラス、売却益相当分の分割分配で43円のプラスにより、前期比+76円の3,378円となります。尚、紺色部分の巡航分配金については、24年8月期が前期比+5円の3,258円、25年2月期が前期比+76円の3,334円となっております。賃料は増加基調になり、25年8月期は、NMF渋谷公演通りビルのリテナントや、リニューアル後の中座くいだおれビルの賃料が寄与してくる予定です。

31頁をご覧ください。業績予想における損益計算書です。前の頁で説明しました内容を総額ベースで示しております。24年8月期の営業収益は、前期比+1,166百万円の40,541百万円、営業費用は+825百万円の25,028百万円、当期純利益が+314百万円の13,272百万円となります。25年2月期につきましては、右下に記載の通りです。

33頁をからは、ESGの取り組みについて説明します。本投資法人は、2030年および2050年に向け、温室効果ガスの意欲的な排出削減目標を設定し、取り組んでおります。他方で、不動産運用を通じて社会課題を解決していくことを目的として、社会分野におけるマテリアリティについても改めて設定を致しました。地域社会、従業員、テナント、PM・BM等の各ステークホルダーが抱える課題を、ボトムアップで抽出し、安全・尊厳、心身の健康、豊かな経済、魅力ある地域という4項目を切り口に整理しております。今後はこのマテリアリティに基づく具体的な取り組みを積み重ねていくことで、一歩ずつ社会課題を解決し、ひいては投資主価値の向上に繋げていきたいと考えています。

34頁をご覧ください。環境分野においては、温室効果ガスの削減状況をアップデートしています。2030年度に、2019年度比で80%削減する目標に向けて、着実に進めております。又、本投資法人は、TCFDに向けたシナリオ分析の中で、気候変動によるリスクと機会に基づき、財務的影響を定量的に分析し、この度開示しております。本投資法人の役割として、長期に亘る安定した不動産運用が求められる中で、リスクの低減と機会の創出により、安定的な収益を生み出していきます。尚、昨年10月に中小企業版SBTの申請を行いましたが、事務局より通常版SBTの申請を求められましたので、目標を切り替え、継続検討致します。その他のESGへの取り組みは、アペンディックスの59ページ以降をご覧ください。

最後となりますが、セクターによる強弱はあるものの、不動産賃貸マーケットは総じて好調に推移しており、従来以上に内部成長を追求してまいりたいと考えておりますので、引き続きご支援のほど、宜しくお願い申し上げます。
以上で本投資法人の2024年2月期の決算説明を終了します。
ご清聴、誠に有難うございました。