ケネディクス商業リート投資法人 2022年9月期決算概要
ケネディクス商業リート投資法人
2022年9月期(第15期)決算動画説明書
動画 https://www.net-presentations.com/3453/20221117/ijio0i/
資料
https://www.krr-reit.com/file/top-f2990ad99ae4b6007c5691938aaa8ec6d47d9ce2.pdf
説明者 ケネディクス商業リート投資法人 執行役員 渡辺 萌
説明
2022年9月期(第15期)の決算説明を行います。
資料の3頁をご覧下さい。今回の決算発表のサマリーとして足元の状況を纏めています。
第15期は長引くコロナ禍に加えて、海外における地政学リスクの顕在化、国内外で急速に
進む物価上昇などで不透明中での運用となりました。そのような中でも、当リートは着実に歩みを進めてきました。先ず、外部成長ですが、
第15期末直後の今年の10月に、1年半ぶりに第6回の公募増資を実施しました。これらを通じて、第15期以降に5物件、合計
219億円を取得しています。内部成長の点では、長期化するコロナ禍においても当リートの
テナントは生活必需品を取り扱う業者が多いことから、核テナントを中心に引き続き好調
を維持しています。又、低稼働の時点で取得した物件も、リーシングが順調に進んでいます。
これらを受けた今後の戦略および課題としては、以下の2点をおいています。先ず1点目
には、コロナ後の消費回復を見据えたアップサイドの追求です。先ほど申し上げた生活密着
型商業施設の高い安定性をベースとしつつ、今後の更なる成長のために、今回の募集に
よって歩合賃料およびサービス系テナントの割合が高いイーアス春日井を取得しました。
2つ目が高騰する電力料金への対応です。こちらついては、テナントへのパススルー化を
進めることによって、影響の軽減を図ってまいります。以上が今回の決算報告の概要と
なります。これらの点について、この後説明してまいります。
4頁をご覧下さい。10月に実施しました第6回公募増資の概要です。この募集によって、
約50億円を調達し、コロナ後の消費回復を見据えた物件となるイーアス春日井などの取得
を行っています。今回は、昨年末に外部格付けがAA-に格上げとなってから、初めての
公募増資だったこともあって、不安定な市況の中でも国内地方の金融機関から比較的多く
の需要を頂くことが出来ました。本募集にあたり、ご支援を頂きました皆様に、この場を
借りて厚く御礼申し上げます。
5頁は。今回の公募増資後のポートフォリオの概要です。本募集により5物件を取得しまし
たことによって、当リートのAUMは2,692億円、物件数70物件まで成長しました。うち、
60件が商業施設、残り10件が物流施設です。テナント数も593社と、上場時の2倍を
超える数にまで増加しており、引き続き物件、テナントの両方で、分散の効いたポート
フォリオとなっています。これらのポートフォリオを鑑定NOI利回り5.2%、稼働率99.3%
で運用しています。
6頁は今回の新規取得資産の一覧です。商業施設は食品スーパーがメインテナントとなって
おり、堅固な商圏人口を有しています。物流施設は大阪の中心地へのアクセスが良好な物件で、いずれも、これまでの当リートの投資方針に即した物件となっています。これらの物件
を鑑定NOI利回りが平均5.1%と、ポートフォリオ全体とほぼ同水準で取得しています。
この取得によって、4大都市圏比率、食品関連テナント入居率がいずれも向上しました。
8頁をご覧下さい。一口当たり分配金を変動要因ごとに分解したものです。だし15期に
おいては、取得した物件によりNOIが増加したものの、過去の電気料金の精算が発生した
施設があり、そのインパクトが-182円分になったことから、当初予想を111円下まわる
6,484円となりました。現在進行中の第16期においては、公募増資を通じた物件取得など
によってNOIが増加する一方で、電力価格高騰による水光熱収支の悪化による影響を、
-286円織り込んでおり、分配金は6,360円を見込んでいます。第17期は固都税の費用化
の影響などから6,240円を予想しており、これが現在の巡航分配金の水準となっています。
9頁をご覧下さい。足元の分配金に大きな影響を与えている電力価格高騰の影響についての
説明です。先ず、ポートフォリオにおける負担方式別の内訳ですが、テナントが直接電力
会社と契約しているシングルテナントや底地物件等が5割強となっています。又、2割が
パススルー化によって、変動費が全額テナント負担となっている変動単価方式であり、この
2つで全体3/4を占めています。残りの1/4が固定単価、乃至は固定変動併用方式となって
おり、この分が電力価格変更の影響を受ける部分になります。右上の当該施設における電気
料金の支出内訳では、基本料金、燃料調整費、再生エネルギー賦課金、いずれも上昇して
います。なかでも、最終保証供給契約への移行などによる影響で、オレンジ色で示されて
いる基本料金と従量料金のインパクトが大きくなっています。これによって、中断にある
通り、電気料金収入も伸びているものの、それを上回る形で支出額が増加しており、収支が
悪化しています。頁の下段に今後の対応策を記載しています。先ず、共用部については、
太陽光発電の更なる導入、館内照明のLED化推進によって、自家発電や使用量削減への
取組みを進めてまいります。又、専有部では電気料金のテナントへのパススルー化を進め
ます。だし15期においては、固定単価となっている8物件において、請求単価の引き上げ
を実施しました。現在進行中の第16期においては、影響の大きい物件を先行させて変動費
をパススルーにすることで、価格変動の影響を受けづらい料金体系に切り替えていき、
マイナスの影響を回避していく所存です。
10頁をご覧下さい。第15期の損益計算書の概要です。中央の黄色い線で囲んである列が
第15期実績。そこから2つ右隣りの列が、今年の5月に開示した予想値との差額になり
ます。第15期において賃貸事業収入は8,011百万円となり、予想とほぼ同水準となり
ました。一方で、水道光熱費は電力価格高騰により、予想比で収入と支出、双方で大きく
上振れて、ネット収支で26百万円のマイナスとなっています。これらを催事収入の増加や
コスト削減でカバーすることで賃貸事業利益は、予想比+29百万円となりましたが、その
他営業費用に、先ほど申し上げました、過去の電気料金の精算が発生したことにより、当期
純利益は、-59百万円の3,774百万円、一口当たり分配金も予想比-111円の6,484円と
なりました。
以上が、今回の決算発表のサマリーとなります。続いて2点目の2022年9月期の運用状況
の説明に入ります。
13頁は賃貸借契約の概要です。左下の、賃料が金利/CPIに連動した賃貸借契約比率ですが、
賃料ベースでは全体の8.2%を占めています。第16期中には複数のテナントで、改定の
タイミングが到来します。足元の動向が賃料に反映されることで、金利や物価上昇による
影響の一部を緩和することが出来ます。又、右下円グラフの業種別内訳では、e-Commerce
への影響を受けにくい業種が8割以上を占めており、コロナ後に想定される、もの消費
から、こと消費への回帰に対応が可能な構成となっています。
14頁は賃料動向の概要です。左上の新規賃料/更改のグラフですが、3期連続で増額件数の
比率が減額の比率を上回りました。一方で、減額の中には比較的大規模な温浴施設2区画
が入っていたことから、年間の賃料の増減額は-44百万円となっています。その下の
グラフでも入退去双方で1%を超える水準となっている原因は、主に温浴施設のテナントの
入替えによるものです。一方で右下のグラフの通り、満期を迎えたテナントの85%は引き
続き契約を更新しており、安定した状況に変化はありません。
15頁では、コロナに関する項目を纏めています。左上のポートフォリオの稼働率ですが、
第15期末は現在のコンバージョン工事中の未開業のキテラプラザ青葉台を含むベースで
99.3%、青葉台の影響を除いた場合の稼働率は99.6%と、コロナ発生後も一貫して高い水準
で推移しています。その下の一時的な賃料減額は、第15期においては総額で230万円、
賃貸事業収入に占める割合は0.02%と、全体にほぼ影響のない水準にまで下がって来て
おります。頁右は、売上歩合賃料です。コロナ禍においては、賃料収入の安定性を重視して
守りを固めた結果、歩合賃料が全体に占める割合は2.1%と限定的なものになっています。
その一方で、今回の公募増資を通じて売上歩合賃料比率が高いイーアス春日井を取得して
います。これらを通じて、今後のサービス業を中心とした消費回復を、賃料収入の増加に
繋げていけるものと考えています。
16頁は、当リートで把握可能なテナントの業種別売上推移を示しております。足元の8月、
9月は比較対象である2019年に、消費増税の駆け込み需要があった関係で、家電やホーム
センターで数値が落ちているものの、オレンジ色のポートフォリオ全体のグラフは、総じて
堅調に推移し、2022年9月期の売上高は、コロナ前の2019年同期比で1.3%の、マイナス
に止まっています。
17頁と18頁は財務の状況の説明です。調達コストについては、足元では市場金利が上昇し
ていますが、格付けに示される信用力向上の成果もあり、引き続き引き下げの傾向が続いて
います。又、2022年に入り積極的にGreen Financeに取組んでおり、全体の1割の合計
130.5億円がGreen化されたものになっています。AUMの約半分にあたる1,373億円、
20物件がグリーン適格資産に該当しており、今後も機会を捉えてグリーンファイナンス
による調達を積極的に推し進めていく所存です。
18頁上には、返済期限の分散状況がありますが、長期に亘って分散された形となっていま
す。その中でオレンジの枠線で示しているのが、マイナス金利政策前の2015年に調達した
借入れで、全体の15%程度残っています。これらは、その後の信用力向上と相まって、
リファイナンスによる調達コストの引き下げが十分に可能と考えています。借入れ先の
金融機関も、新たに2社加わって合計20社となっており、この点でも分散が進みました。
新規レンダーともしっかりと情報を共有して、引き続き安定した関係を構築してまいり
ます。2022年9月期の運用状況に関する説明は以上となります。
19頁からが3点目となる安定性を重視した成長戦略の説明となります。
20頁をご覧下さい。当リートでは上場来e-Commerceへの体制などを考慮し、安定した
Cash-Flowの源泉となる、生活密着型商業施設への投資を行うことで成長してきました。
又、その過程においては商業施設と物流施設の垣根の低下も見据えて、e-Commerce需要を
取り込む消費地配送型物流施設も投資対象に加えています。先程の運用状況でも説明した
通り、これらの施設の安定性は、コロナ禍において十分発揮されたと考えております。
当リートでは、この安定性をベースとしつつ。コロナ禍以降も念頭に置き、消費回復を、
売上歩合賃料を通じて収入の増加に繋げていく所存です。又、昨今高騰している電気料金に
ついては、先ほども説明しましたように、使用電力の削減とテナントへのパススルー化を
推し進めることで、料金変更に影響されにくい形に変えていきます。
21頁は外部成長に関する説明です。右上円グラフの通り、スポンサーおよびサポート会社
からの取得割合が全体の3/4を占めています。今回の取得物件うちイーアス春日井は、
スポンサーの仲介、東松山ショッピングセンターはサポート会社であるSMFL未来パート
ナーズからの取得です。又、パイプラインの1例をその下に掲載しています。現在のパイプ
ラインの規模としては、これらの物件を含む角度の高いもので合計180億円、この大半が
商業施設となります。又、角度の柔らかいものも含めたLong Listでは約1,100億円と
なり、商業と物流の比率は6:4となります。左の図の通り、スポンサー及びサポート会社
からは、物件供給だけでなく幅広いサポートを得られており、これらの機能を活用して
更なる成長を目指します。
22頁からは新規取得物件の説明です。ここではイーアス春日井について説明します。この
物件は、安定した人口を擁する、愛知県春日井市における市内最大規模のショッピング
センターです。本物件は国道沿いに立地するRoadside型のNSCで、昨年秋にオープンし
ました。今回の公募増資では、この物件の70%を取得しており、当リートにとって、最大の
物件となりました。
23頁をご覧下さい。頁左に記載のイーアス春日井のテナント構成ですが、日常生活の充実
といった生活密着型の特徴に加えて、来店客に新たな楽しみを提供できる構成になって
います。コロナ禍においては少人数で来店して、必要なものを短時間でまとめ買いをすると
いうもの消費を中心とする購買行動が見られました。一方で、コロナからの回復過程に
おいては、サービス系テナントを中心に商業施設の中でのこと消費のニーズも帰ってくる
と考えられます。右下の円グラフで示す通り、このテナントは、サービス系テナントと
売上歩合賃料との比較が、ポートフォリオ全体と比較して高いという特徴を持っています。
この2つの特徴が、コロナ後の消費回復の過程を通じて将来的なアップサイドに繋がって
いくものと考えています。
25,26頁は内部成長に関する事例の紹介です。25頁左は未消化容積を活用した増築です。
当リートでは、これまで駐車場が広い郊外型NSCなどの敷地内に増築を行い、物件の収益
力を高めてきました。現在もウニクス伊那においてこの施設で2件目となる飲食店B棟の
増築を行っています。写真の通り完成後は、コロナ禍でも好調なマクドが入居して、今年の
12月にオープンします。ここでは車から降りることなく駐車場で商品を受け取るなどの
新しいサービスが導入される予定です。集客力がある新たなテナントを施設内に呼び込む
ことで、賃料収入だけでなく、来店客数も増加して他のテナントへの好影響も期待できると
考えています。右のキテラタウン福岡長浜はコロナ禍に開業したことから、稼働率が低い
時点で取得しましたが、その後リーシングを順調に進め、足元の稼働率は90%を超える
水準まで上昇しています。残りの区画の大半についても、契約の協議が進んでいます。
26頁のキテラプラザ青葉台は、J-REITでは珍しいコンバージョンプロジェクトの事例で
す。元は施設全体がスポーツクラブとして使用されていた物件でしたが、コロナ禍で
テナントが抜けたタイミングで、競争力のある食品スーパーを誘致したうえで取得しまし
た。コロナ及びe-Commerce耐性の高いNSCとして再生させるため、現在コンバージョン
工事を行っており、来年の3月に科始業する予定です。これは乗降客数の多い東急田園
都市線青葉台駅近くでの、魅力的な利回りの物件取得であることに加えて、今後の取得の
幅を広げる取組みと考えています。これらのように、当リートではAM、PMが一体と
なった運用体制を生かし、取得した物件に手を加えることで施設の価値を最大化すること
に注力しています。
27頁以降はESG施策に関する説明です。代表的な取り組みを、この頁で一覧表に纏めて
おります。社会のSの欄に記載がありますが、今回新たな取り組みとして従業員向けの
持投資口制度導入しております。これは、コロナ禍に募集した従業員からの提言を、経営
陣が採用する形で導入されたものです。当リートにおいては、今回の決算発表に合わせた
タイミングで社員の申し込みが開始されています。この制度は、ケネディクスグループの
従業員に対する福利厚生としての面もありますが、投資主の皆様と当リート、運用会社の
従業員の利害の一致を図る意味でも、重要な施策であると考えています。
以上が当期の決算の説明となります。
新型コロナウイルスの影響は、いまだ予断を許さないものの、人々の行動は通常の形に戻り
つつあります。一方で金利の上昇や、インフレといった新たな課題も生じ、まだらで不透明
な状況が続いています。そのような中でも当リートは、物件の取得に工夫を重ね、その後も
手を入れていくことで物件価値の向上に努めています。安定したポートフォリオのもとで、
コロナ後の消費回復を取り込むことが可能となる物件取得も行いました。水光熱費に
ついては、価格変動を受けづらい体制作りを進めています。これからも生活密着型商業施設、
消費者配送型物流施設を通じて、生活インフラとしての役割を果たすべく各施策を推し
進めて、当リートの価値の最大化に努めてまいります。
引き続きご支援のほど、宜しくお願い致します。ご視聴、有難うございました。