日本プロロジスリート投資法人 2023年11月期決算概要
日本プロロジスリート投資法人
2023年11月期(第22期)決算動画説明書
○動画 https://www.video-streaming.net/ir/3283/22_j/
○説明資料
https://www.prologis-reit.co.jp/file/ir_library_term-426fcebfffaba841fc5e6d83869e2ed7fcbaaf4d.pdf
○説明者 日本プロロジスリート投資法人 執行役員 兼
プロロジス・リート・マネジメント株式会社 代表取締役社長 山口 哲
○説明
早速ですが、日本プロロジスリート投資法人の第22期(2023年11月期)の決算説明に入らせて頂きます。
2頁をご覧下さい。第22期の決算を終え、私から投資家の皆様にお伝えしたいことはこちらに記載の5点となります。1点目としては、決算に関する説明に入る前に、世界と日本を取りますマクロ環境についての我々の認識と、それに対応する成長戦略を改めて説明致します。以降は、決算および本投資法人の運営状況に関する説明になります。2点目は、本投資法人のポートフォリオ運営が盤石で、高水準の内部成長を実現し、好調な業績を継続していること。3点目に、スポンサーからのクオリティの高いパイプラインを、引き続き確保していること。続いて、業界トップスラスの強固な財務基盤を維持し続け、機動的な財務戦略を展開できていること。そして5点目は、プロロジスグループを挙げて推進するESGでは、高水準のESG評価を維持していること。
それでは、項目ごとに説明させて頂きます。
4頁をご覧下さい。世界と日本を取り巻く環境は、皆様にお伝えするまでもなく、昨今、大きな変化が絶えず起こっています。これらの変化を現状認識した時、投資主価値の向上のために、我々がどのような成長戦略をとっていくべきか、今回、改めて整理して、お伝えいたします。先ず初めに、現在の環境下においては、我々は、内部成長戦略こそが最も需要だと考えています。現在日本において、物価上昇、インフレ環境が継続するターニングポイントになります。又、先進的物流施設に対する需要は、引き続き力強く、建築費高騰の影響等もあり、マーケット賃料の上昇も継続していくと考えられます。我々としては、このような状況を強く意識し、これまで以上に賃料増額改定、NOI成長を力強く追及し、投資主価値の最大化に努めます。一方、外部成長においては、我々を含めた物流J-REIT銘柄各社のNAVプレミアムが解消している状況にあり、今までと同様の政略では、投資主価値の向上達成がじゅなんに難しい環境にあるため、本投資法人は、市場環境に応じて機動的、且つ、柔軟にアクリーティブな外部成長を追求します。財務戦略では、金利上昇が継続する可能性を認識したうえで、我々がこれまで戦略的に構築した強固な財務基盤を活用し、戦略的なデットコストコントロールと、キャッシュマネジメントを行い、投資主価値の向上に貢献していきます。
内部成長の背景について、追加説明をさせて頂きます。5頁をご覧下さい。物流施設の建築費は、資材および人件費の高騰等により近年大きく上昇し、高止まりという状況にあります。左のグラフは、統計データが示す物流施設の建築費全体の平均値です。現実には、不動産デベロッパー各社が実際に発注している工事は、より高騰していると感じています。一方で、ここ数年増加してきた先進的物流施設の新規供給は、建築費の高止まりの影響等を主な要因として、昨年2023年をピークに今年2024年、来年2025年と、明確に減少する傾向にあります。建築費の高騰等もあり、新規開発の着工を見送るケースも出てきているようで、変化が訪れていると感じています。この2つの事象、つまり、リプレイスメントコストの上昇と新規供給量の減少により、我々が保有する既存の先進的物流施設には、賃料上昇に向けた強い追い風が吹いていると認識しています。
6頁をご覧下さい。このような環境から、本投資法人のポートフォリオは、引き続き力強い内部成長が可能であると考えております。例えば、我々が認識するマーケット賃料は、過去5年で、年成長率1.4%上昇しています。約3年前より、首都圏の空室率が上がり始めてからも、クオリティの高い先進的物流施設の需要は強く、マーケット賃料の上昇は継続してきました。又、足元の物価上昇下において、マーケット賃料に素早くキャッチアップできるリース契約の比率は、本投資法人ポートフォリオ全体の85%まで上昇させており、今後の賃料収入上昇の強力な基盤となっています。そして、本投資法人の水道光熱費の回収率は、大幅に改善しています。電気料金の請求方法について、入居カスタマーとの信頼関係に基づいた粘り強い協議を重ねて、変更手続きを進め、電気代高騰により下がってきた回収率を、大きく改善させました。そして、このような外部環境と、我々の積極的な取り組みの結果、我々は本投資法人の同一物件ベースのNOIを、直近1年前対比で+2.4%成長させました。今後予想される環境下において、我々は内部成長を投資主価値向上の主要ドライバーと捉え、スポンサーとも協働し、今後とも力強く取り組んでいく所存です。
次に財務戦略についてです。7頁をご覧下さい。本投資法人は、上場来の長きに渡って、強靭な財務基盤を戦略的に構築してまいりました。その結果、本投資法人の財務の状況は、業界平均と比較しても大きく優位になります。例えば左側のグラフでご覧の通り、有利子負債の固定金利比率は著しく高く、調達年数は著しく長くなっています。こうした優位性の下で、取り得る財務戦略の柔軟性は高く、今後の物件取得資金調達やリファイナンスについて、十分に保守的ながらも、柔軟にデットコストをコントロールすることができます。又、右側には示、本投資法人が生み出す余剰キャッシュフローを示しました。直近においては、年間70億円を超える、余剰キャッシュフローを算出できるポートフォリオの収益力を有しています。我々は上場来、この余剰キャッシュフローを有効に活用してまいりましたが、今後も、新たな物件取得の他に、戦略的な資本的支出、ペイアウトレシオの柔軟化、投資主還元等長期的な分配金成長、投資主価値の最大化に最も資する最有効の活用方法を、適切なタイミングで実行してまいります。このように、本投資法人は、以前にも増して柔軟に、且つ、戦略的に変化する環境に対応し、投資主価値の最大化を更に進めていきます。
続いて力強い本投資法人の運営状況、決算概要を説明致します。
9頁をご覧下さい。前第21期、当第22期の業績および第23期以降の業績予想を示しています。当22期の平均稼働率は、高い賃貸需要とプロロジスグループのリーシング力により、当初想定0.2 ポイント上回る98.3%となりました。加えて継続的な賃料増額改定の効果と、カスタマーとの粘り強い電気代請求方法の変更協議が完了し、水道光熱費の回収率が大きく改善した効果により、NOIを予想比+1.1%の23,444百万円と、力強く上昇させることができました。第23期以降は、昨年新規取得したプロロジスパーク草加の固定資産税の費用化の影響があるほか、第24期の業績予想については、全体的にやや保守的な想定を受けつつも、平均稼働率は98%台で安定的に推移する見込みであり、また、着実な賃料増額改定の効果もあり、NOIは安定的に推移する予想です。本投資法人のポートフォリオ運営は、引き続き現実かつ安定的に推移する見込みです。
次に一口当たり分配金です。10頁をご覧ください。当22期において、力強いNOI成長を達成し、又、水道光熱費の回収率を改善させた結果、一口当たり分配金は、予想の0.8%増となる5,085円の着地となりました。又、第20期と21期に実施した、水道光熱費の回収率減少に伴う一時的利益超過分配は、当該 2期で終了することができました。
第23期以降の予想としては、NOIは継続的に安定して推移し、賃貸事業費用、デットコスト等の適切なコントロールを行う結果として、一口当たり分配金は5,100円水準に迫り、第23期は5,095円、第24期は5,092円と想定しています。これらは昨年6月の公募増資の際に示しました、巡航分配金水準である5,045円を大きく超えております。これらの数値に寄与する要因として、今般、本投資法人の強靭なポートフォリオから生じる、豊富な余剰キャッシュフローを戦略的に活用し、投資主価値を向上させる観点から、ペイアウトレシオを柔軟化し、投資主還元を増加させることとしました。具体的には、継続的利益超過分配の減価償却費率を、これまでの30%から第23期に31%、24期に32%へと引き上げることとしました。今後も長期的に一口当たり分配金を安定的に成長させていきます。
11頁をご覧下さい。次に 現在最も重要と考えている、我々の安定的、且つ、力強い内部成長の状況です。ポートフォリオの平均稼働率は、左上の折れ線グラフで示しておりますが、当期は当初想定を上回り、98.3%で着地、続く第23期、24期は98.3%、98.0%と予想しています。稼働率の観点からも、本投資法人のポートフォリオ運営は、安定して継続的に推移していきます。賃貸借更改時における平均改定賃料変動率については、グラフ下の青地に白抜きの数字記載の通り、当22期はリース期間のマーケット賃料上昇分を確実に捉え、又、リース契約期間中の改定も2件あり、賃料を大きく上昇させることができ、+4.2%の力強い平均改定賃料変動率となりました。
2023年通年で見ると、+4.8%と過去10年で最大の賃料上昇を達成しています。又、右側のグラフは、満了を迎えた契約の改定状況の内訳です。再契約率は73%、又、81%のスペースで賃料増額が達成できており、賃料上昇のモメンタムが継続しています。更に、運用を開始した第23期においては、1月末時点で既に85%が解決済みで、カスタマーの力強い先進的物流施設に対する需要により、極めて順調なスタートを切っています。物流不動産賃貸市場は、2023年の大量供給の影響で、特に首都圏において、空室率が上昇しましたが、過去最高レベルの需要等を背景として、マーケット賃料は上昇が続いており、今後も拡大するレントギャップの解消を通じ、ポートフォリオの内部成長が継続する見通しです。
13頁をご覧下さい。力強く推し進めている内部成長について、事例を3件紹介させて頂きます。先ず、我々のフラッグシップ物件である羽田空港至近の、プロロジスパーク東京大田において、退去予定を早期に確認し、リーシングチームが素早く新規のカスタマーニーズを獲得、マーケット賃料上昇が著しいエリアに位置する物件において、力強い交渉の結果、賃料上昇率+25%を超えた大きな内部成長を実現したものです。続いてプロロジスパーク大阪4において、こちらもカスタマー区画で、退去予定を早期に確認し、リーシング活動を開始、2件の新規カスタマーニーズを獲得したものです。2件のニーズをうまく面積と入居時期を調整し、一部の空室も生じることなく、ダウンタイムなし、且つ、賃料上昇率+6.5%と大きな内部成長を実現できました。もう一つの事例は、こちらもフラッグシップ物件の一つ、プロロジスパーク市川1において、契約期間中の賃料改定条項に基づき交渉した結果、賃料改定率+4%、と長期契約の期間中、物価上昇、マーケット賃料上昇局面を着実に捉え、内部成長を実現しました。このように プロロジスグループ内にあるインハウスのプロパティマネージャ、リーシングチームと我々アセットマネジメントチームと我々が、日々常に協議を進め、着実に内部成長を力強積み上げていきます。
13頁をご覧下さい。こちらは、本投資法人のクオリティの高い物件取得パイプラインです。本投資法人の優先交渉権取得済み物件は、現時点で2物件。加えて、スポンサーのプロロジスでは、新規の開発用地確保を着実に進めています。プロロジスが公表しているものだけで、開発中、若しくは、計画を具体化させている物件が3物件あり、パイプラインの合計は、5 物件、約1200億円規模と足元の外部成長には十分となる規模のクオリティの高いパイプラインを確保しています。市場環境やインプライドNOIイールド等、慎重に見極めつつ、適切なタイミングと規模で、本投資法人の継続的な外部成長に繋げていきたいと考えています。
次にデッドコスト上昇に対し、柔軟且つ戦略的に対応できる強固な財務基盤についてです。14頁をご覧下さい。本投資法人の強固な財務基盤の評価の証として、JCR格付けは、J-REIT全銘柄中で最高であるAA+となっています。又、本投資法人の期末時点での簿価LTVは37.8%、鑑定評価ベースでのLTVは27.7%と、極めて保守的なレベルを維持しており、将来の外部環境の変化に左右されず、成長を継続しうる体力をしっかり確保しています。現在の平均負債コストは、0.69%という低水準です。前のセクションにてお話した通り、業界平均対比で優位にある、固定金利比率と調達年数を活用し、柔軟且つ臨機応変なデットコストコントロールを行う所存です。市場金利は上昇傾向ですが、本投資法人は、他投資法人と比較しLTVが低く、負債の長期固定化は高いレベルで、調達年数も長く維持しており、今後も調達手段の多様化も継続して行い、安定的な財務運営を行っていきます。
15頁をご覧下さい。ESG関連です。本投資法人では、ESGへの取り組みに常に注力しており、GRESBでは最高位の5-Starsを9年連続で取得、グリーンプロジェクト比率は、ポートフォリオの 98.3%に達し、更にDaw Jones Sustainability World Indicesなど多くのグローバルで利用されるESG指標に組み入れられています。又、本投資法人では、プロロジスグループと共に、施設の屋根を利用した太陽光発電、LED 照明の導入等を強く進めておりますが、併せて、各施設のグリーンエネルギー化も推進しています。我々のポートフォリオにおいて、既に面積ベースで10.6%の区画でグリーンエネルギー化を完了し、今後この比率を高めていく計画です。
16頁をご覧下さい。投資家の皆様もご注目されている、物流不動産マーケットの動向について話しします。改めて先進的物流不動産市場に対する本投資法人の環境認識をお伝えします。1点目、先進的物流施設の希少性は、引き続き高い状況にあり、新規供給量は建築費の高止まりもあり、2023年でピークアウトの見込みです。一方、需要サイドでは、先ず、労働力不足による人件費等のコスト増、更に物流2024年問題等もあり、物流施設の効率化、拠点整備ニーズは、依然高い状況が続いています。又、E-Commerce Businessにおいては、日本はまだ発展途上の状況で、更にライフスタイルの変化も継続し、今後も物流施設ニーズは高いものと考えています。昨今は、製造業において製造拠点の日本回帰や、サプライチェーンにおける安定供給を目指した在庫増もあり、製造業関連の賃貸需要も高くなってきています。
この3点について説明させて頂きます。18頁をご覧下さい。こちらでお示しています通り、先進的物流施設の供給は、2023年まで拡大傾向となっておりますが、そのストックはいまだ日本の物流施設の6.5%に過ぎず、いずれにしても、その希少性は高い状況です。又、前のセクションで話しました通り、供給は2023年でピークアウトする見込みです。
19頁をご覧下さい。こちらでは首都圏および近畿圏における大型マルチテナント型物流施設の空室率と需給動向を示しています。物流不動産マーケットにおいては、需要は引き続き強く、過去最も高いレベルにあります。足元の空室率は、特に首都圏においては、2022年、2023年と、過去最大の供給量を記録し、高い状態になりますが、供給が2023年にピークを迎え、2024年、2025年と供給量が減少していく予想であり、市場環境は改善していくものと思われます。
2023年第3四半期末時点での空室率は、首都圏で8.9%、近畿圏で4.5%となっていますが、築1年以上の既存物件の空室率は、首都圏2.1%、近畿圏で0.5%と、空室が限定的といえる、非常に低い水準で推移しています。本投資法人を含め、安定稼働に入った物流特化型J-REITのポートフォリオ稼働率は、引き続き堅調に推移しております。空室は、無理に開発した競争力の低い地域物件に集中していると言え、優勝劣敗が明確な環境となってきています。今後のマーケット環境の改善によって起こると思われる空室率の低下や、マーケット賃料の上昇を捉え、更なる内部成長に繋げられるような運営を行ってまいります。
20頁をご覧下さい。左上の表にあります通り、物流業界における労働力不足問題は深刻で、又、新たなテクノロジー利用による物流効率化の流れからも、ソフト、ハードの両面で、物流業界のニーズにマッチする大型の先進的物流施設への需要は、引き続き非常に強い状況にあると考えています。又、先進的物流施設への力強い需要は、E-Commerce需要の成長が大きく寄与しています。ECの普及率は、コロナ禍において世界中で大きく加速しましたが、日本においては左下のグラフに示しております通り、2022年のEC普及率はいまだ9.1%で、海外主要国に比べると、まだまだ拡大余地が大きい状況にあると言えます。又、先に述べました通り、半導体製造を筆頭とした、製造業における製造拠点の日本回帰の流れが、EV需要という新たな物流施設ニーズもあり、又、コロナ禍の中で起きた、サプライチェーンの乱れへの対応として、安定した供給を止めないために在庫を増やそうとする、製造業からの賃貸需要も増加傾向にあります。
本日の私からの説明は以上となります。金融市場等で、世界および日本で、大きな環境変化が起こる中、我々の上場来の規律ある運用哲学、確固たる運用方針を堅持しつつ、環境変化に応じた柔軟かつ戦略的な対応を行ってまいります。我々は、強靭なB/Sと安定かつ強固なポートフォリオ、そして、強力なプロロジスによるスポンサーサポートとともに、先を見据えた取り組みを継続し、内部成長により力点を置き、投資口の経済的価値の向上を実現していきたいと考えています。皆様方には、引き続きご指導、ご支援を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。本日は、ご清聴有難うございました。
<質疑応答>
取締役副社長兼財務企画部長の戸田淳および取締役投資運用部長の佐伯賢治も参加致します。
Q:外部成長に関してですが、冒頭山口社長から、これまでと同様の外部成長は難しい環境であり、機動的かつ柔軟な外部成長を進めていきたいというお話でしたが、その辺について、もう少し具体的にどういうことなのか伺いたい。例えば、純粋に、パイプラインはあるので、タイミングを見計らって柔軟にやりますよという意味なのか、或いは、上場して10年も経ってきたので、そろそろ物件入替も積極化させていこうかという意味なのか、若しくは、LTVは低水準にとどまっているので、レバレッジ、借入でいきますよという意味なのか、この件に関してもう少し詳しく教えて頂ければと思います。
A:色んなことが考えられると思っておりますが、先ずは、タイミングですね。どういうマーケット環境なのかとか、我々のNAVと投資口価格の状況を踏まえて、インプライドNOIイールドというのをプレゼンテーションで申し上げましたけれども、そのあたりも慎重に検討したうえで、タイミングをしっかり計っていくのが、重要かと思います。そして、年間70億円を超える余剰キャッシュがありますので、その余剰キャッシュを活用するとか、デットを多少使うということも考えられると思っております。物件の入替については、物件のリスクが目に見えて出てくるようなものとか、我々のパフォーマンスをしっかりと考えた上で、慎重に検討していきたいと思いますけれども、これは積極的に活用して何か外部成長に繋げていくとか、そこまでは考えておりませんが、多くの選択肢を踏まえて柔軟に対応していく予定です
Q:今回 潤沢な キャッシュフローのもとに、ペイアウトレシオを柔軟化させていくということで、実際の業績予想でも減価償却費の31%、32%という話がありましたが、こちらについて、今後何かしらの明確なルールというのを設定した上で進められるのか、そうではなくて柔軟に、その時々の状況に応じて分配金水準を安定、若しくは、上昇させるために都度考えていかれるのか、こちらについてもお伺いできればと思います。
A:余剰キャッシュフローについての、減価償却対比の継続的利益超過分配31%、32%については、このあとの25期以降どうするかとか、今の現時点で決めているものではございません。このあたりも柔軟に、投資主価値の最大化で、キャッシュをどんどん出すことによってリスクが増えるとか、そういうことはあってはならないというふうに思っておりますので、しっかりとした保守的、安定的なところの中で、何が投資主にとって良いことなのか、投資主価値が最大化されるのかというところで、先ず、1つとして、今回は31%、32%まで継続的利益超過分配の減価償却比率を引き上げることで、投資主に還元していくということ、積極的な投資主への還元を行っていくことがベストかなということで、業績予想の中ではそのような数字を織り込んでおります。今後上げていくとか、下げていくとか 決めているわけではなく、状況によって柔軟に対応してまいりたいと考えております。
Q:賃料についてですが、説明のところで、マクロ環境の変化に対応して内部成長、賃料上昇を追求するのが、今後トッププライオリティになるという説明だったのですが、賃料上昇の具体的なターゲットというか、イメージというのはどのように認識すればいいのか。テナント入替の際のモメンタムは、一桁前半から23年には5%ぐらいのところが上がってきていますが、これが1桁後半のところまで行くのか、それとも2桁までいくというような話なのか、その賃料上昇のペースに関する目安となるというか、御社で目標とされているというところでも良いのですが、沿いうものがあれば、説明頂きたい。
A:賃料上昇のパーセンテージというところですが、今年2023年4.8%というところで約5%、その前が大体3.5%前後だったかと思っています。長期的なトレンドとしては、このように上がってきているというところが、申し上げることができることと思っております。賃料を上げられる数字というのは、その期に契約終了を迎える賃貸借契約のギャップの大きさによって結構変動するものですので、正直なところ2024年に迎えるものというのは、短めの賃貸借契約が終了を迎えるというところで、そこまで大きくはないのかなと思っていますが、今後、私が経済的なマクロ環境等申し上げたところで話しましたように、この環境が続いていくということを我々はある程度想定をしておりますので、2025年に関しましては更に上昇していく傾向に見て取れるのではないかと思っています。具体的なナンバーとして幾つというのは、その時の経済環境、色んなものがまだ見えてきておりませんので言うことはできませんが、マーケット賃料の伸びとかここに色々と皆さんに示しましたので、こうした数字を意識した上で、力強く内部成長を進めていきたいというふうに考えておりますので、その辺りを見ていただければなと思っております。
Q:運営スタンスに関してですが、マーケットでは新規物件に偏っているとはいえ、空室増加が続いています。これに対して御社の方針として、賃上げをどんどんやらずに退去防衛に一定程度目配りをするとか、そういう方針の変化というのがあったのかどうか。 それとも、立地、クオリティとも、新しくできて空いている物件というのは低いので、基本的にはあまり気にせず、どんどん自分達の内部成長を追求していくのか、この辺りのバランスに関して説明頂ければと思います。
A退去防衛等運営に対する変化いついてですが、賃料改定事例でも説明しましたように、東京大田とかではすごく上がっているとか、物件によって濃淡はありますので、そのあたりは物件ごと、タイミングごと、契約ごとに慎重に判断をしていくということにはなろうかと思いますけれども、何かの退去防衛に走らなきゃいけないとか、 そういったものは我々の立地とかクオリティとか、我々のカスタマーベース、リーシング力をもってして、そこに対して退去防衛に走らなくてはいけないとか、そういったものの物件があるとは思っておりませんので、当然ながら濃淡は出てきますけれども、大きく上げられるもの、上げられないものはあると思いますが、ここはもう自分たちの戦略のペース、我々のシナリオの中で進めていくという形に考えておりますので、大きな変化はございません。:
Q:マーケットの取引でCAP-Rateの動きはどのようになっているのか。金利上昇の影響が出ているのか、そのあたりに関して伺いたいと思います。資料4頁の認識と成長戦略のところに、第三者物件の取得の可能性と記載されていますが、これは、チャンスが広がっていると考えていいのかどうか伺いたい。
A:CAP-Rateですが、理論的に言えば、金利上昇すればCAP-Rateは上昇するということになろうかと思いますけれども、現在のところ、 今あまり多くの、特に物流不動産市場での売買取引はありませんので、なんとも断定的に申し上げることはできませんけれども、今現在において我々が毎日接している情報で行きますと、CAP-Rateの変化というのは見られてはいなくて、今の水準で安定的に推移しているという状況かなと思っております。この理由はおそらくグローバルで比較をして、日本のリスクフリーレートと実際の取引利回りのイールドキャップは、いまだ魅力的な水準であるとか、ドル・円、ドル換算した時の日本の不動産価格が下落をしているとか、あとは賃料が上がる傾向にあるというところで、キャッシュフローがある程度強気に見られるというところで、やはりCAP-Rateとしては、あまり大きく変化していないのではないかと思っております。第三者物件の取得に関ししては、いずれマーケットの変化に応じて出てくるのではないかなと思って見ております。今のところすぐに何か我々の目線に叶うような、魅力的な物件が出てきているかと言うとそうではないのは確かですけれども、今後はより注意深く見た上で、新たにそういうチャンスが出てくるのではないかなと見ており、もう少し長い目でそのチャンスを待ちたいと思っております。今すぐその兆しが見えているかというとそうではありませんが、いずれそうしたチャンスが出てくるなと私は信じております。
Q:今回のテナント入替の時に、大幅に賃料が上昇した東京大田ですが、ここまで大きく上昇した理由は、どのようなところにあるのでしょうか。前のテナントが安かったのか、検索しますと鮮魚関係のところが入ったとかニュースでは出てきますが、羽田空港から近いとか、立地を高く評価するところが入ったから高くなったのか、話せる範囲で結構ですので、大きく上昇した理由をお聞かせいただきたい。
A:<佐伯部長より>
プロロジスパーク東京大田の契約更改の賃料上昇率が高かったケースですが、プロロジスパーク東京大田は、昨今,マーケットの賃料が上昇している大きな物件と考えています。その中で、旧契約が4年ほどの契約になっていたこともあり、当時結んだ契約の賃料と現在のマーケット賃料の差が出ているということ、あと東京大田においては、空きが中々少ない物件になりますので、そこへの希望の会社が他にもあったということもあり、我々の希望する賃料で入居頂けたその結果として、賃料上昇率が20%を超えた形で実現できたものです。このご参加をしてください
Q:昨今の建築費の上昇のところで、今、スポンサーの持つ1,200億円のパイプラインは、ある程度できあがったもの、或いは、発注済みのものなので、ほぼほぼ影響はないということで良いのか。これから作るものについては建築費が上がってくるので、賃料に転嫁できれば利回りは従来通り確保できるかもしれませんが、今の1,200億円のパイプラインに関しては、利回りに与える影響は特段ないという認識で良いのか確認をお願いします。
A:スポンサーのパイプラインについては、13頁に記載しております。八千代1と古河4については完成しておりますし、八千代 2についても既に発注済みと状況で、仙台泉3、東海1は今後の物件ということになりますので、工事費のことに関しましては、プロロジスの方は建設会社との信頼関係等長い付き合いの中でのリレーションというのがあり、そのあたりでどういう形にして、どのタイミングで発注するか慎重に考えていると思いますが、若干影響があるのは確かだと思います。それに対して、今の環境からすると賃料という部分でしっかりとチャージをするということになるのではないかと思います。我々の取得する価格というのは、スポンサーとの今まで10年以上の取引の中でやっておりますが、鑑定評価で行うというところですので、コストが上がったから利回りに影響すると言ったものではなく、デベロッパーとしては、賃料なり、キャッシュフローをしっかりと考えたうえで、我々としては鑑定評価で取引をするということですので、コストによる利回りの変化というのは特にはないと申し上げたいと思っております。
Q:今後もかなり内部成長に力を入れていくという話でしたが、内部成長になりますとテナントの引き合いも、今も説明があったように、非常に多いということですが、この物流施設に対する引き合いというか、テナントの需要ですが、今後も途切れることはないのかと思ってしまうところもあります。今のところ、御社の今の情報を仕入れられている限りで、どの辺まで続くのと見られているのか、見越されているのかお話し頂ければと思います。
A:テナント需要がどこまで伸びていくのかとのご質問と思いますけれども、こちらの頁(20 頁)にも示したように、物流業界における拠点整備ニーズとかECのニーズとかは力強く続いています。我々、希少性というのを申し上げておりますが、日本の物流施設のストックの中では6.5%の比率が、先進的物流施設というところですが、こちらはApple to Appleのものではないのですが、欧州では15%を超えており、米国では30%を超えているような水準ですので、6.5%というのはまだまだ少なく、残りのものは結構古いものが多いと思いますので、現在の物流のオペレーションとか今後の効率化を考えると、残り90数%ある全てが駄目だというわけではありませんが、先進的物流施設に置き換わっていって、物流業界全体の効率化に資するものというものですので、海外との比較、主要国との比較から推測しても、まだ伸びる余地が十分にある、ここ2002年から2023年の20年間でまだ6.5%ですので、これからも需要が十分あるという認識を我々しております。
Q:基本的には内部成長を主眼において、外部成長もできればとのことですが、今回、分配金が5,000円を超えているというところで、かなり力強いが成長はできていると思います。5,000円を超えてきたわけですが、分配金に対する目線、目標値などがあるのであれば教えて頂ければと思います。
A:分配金の実での目線と言いますか 、そういったところは定めているわけではありませんが、分配金の成長というところは、今まで一口当たり分配金は+4.3%で成長しております。今の株価とかからいきますと、多少これよりも低い数字かもしれませんが、内部成長と外部成長を込みで達成していくというところで、我々としてはこの一口当たり分配金の成長、分配金の実額という分配金を如何に成長させていって、投資主価値の最大化に繋げていくかというのが我々のターゲットですので、分配金成長率をしっかり見定めた上で、今まで我々、3~4%という水準間で申し上げていたと思いますけれども、そのような水準間を、長期的には目線を見据えたうえで、しっかりやっていきたいと思っております。実額として何かというところではありませんが、今、現時点でも5100円レベルまで来たかなと思っております。
以上を持ちまして決算説明会を終了させて頂きます。
本日はお忙しい中、決算説明会にご参加頂きまして誠に有難うございました。