GLP投資法人 2024年8月期決算概要

GLP投資法人
2024年8月期(第25期)決算動画説明書
○動画  https://www.net-presentations.com/3281/20241016/qwr25u7ljtyt/
○説明資料
https://www.glpjreit.com/file/ir_library_term-689e3c051fa321de874ec9dd085bc468935f1c32.pdf
○説明者 GLP投資法人 執行役員 兼
     GLPジャパン・アドバイザーズ株式会社 代表取締役社長 川辻 佑馬
○説明
GLP投資法人の2024年8月期の決算概要および今後の成長戦略について説明致しますが、決算内容に入る前に、先週発表された米国のアレス・マネジメント社による、GLPグループの日本を含む国際事業の取得に関して2点説明致します。先ず、今回の取引の対象となっているのは、GLP グループの中国を除く地域の事業であり、GLPの日本のビジネスについては、ファンドマネジメントビジネスだけでなく、物件・土地の取得チーム、リーシングやプロパティマネジメントのチームなど、オペレーション機能も含んだ全体が対象となっています。

2点目として、日本GLPのマネジメント層や従業員については変更なく、そのまま引き継がれることとなっており、先週発表しているGLP投資法のプレスリリースにもある通り、本投資法人の運営および運用について変更は予定しておらず、スポンサーとの契約や投資運用の意思決定機構についても変更は予定しておりません。従って本投資法人は、これまでと同様に、事業環境を見極めながら継続して成長を実現し、投資主価値向上を図れるように努めていきます。

では、決算説明に移ります。先ず、今回の決算ハイライトについて説明致します。資料の4頁をご覧下さい。初めに、2024年8月期の一口当たり分配金は3,158円となり、去年10月に公表した当初予想から、16.7%と大幅に上振れして着地しております。又、2025年2月期の一口当たり分配金は、2024年4月の当初予想から、24%上振れした3,308円へ上方修正しております。いずれも、これまでの成長戦略の着実な実行によるものであり、次の頁以降で分配金の変化の内訳についてご説明します。

5頁をご覧ください。2024年8月の分配金実績については、堅調なリーシングを背景とした内部成長、複数物件の売却による含み益の還元、去年11月に実施した自己投資口の取得などを通じて、着実な成長を実現し、最終的な分配金は3,158円となっています。

続いて2025年2月期の上方修正の内訳について6頁をご覧ください。4月に公表した予想対比で、堅調なリーシング等による内部成長に加え、同じく複数の物件売却を実現することで予想分配金は大幅に上振れし、過去最大となる3,308円に上方修正しております。

8頁以降では、こうした成長に繋がった今期の取り組みについて紹介致します。先ず初めに、インフレと金利上昇が起きている現在の環境において、それに打ち勝つ内部成長が実現できるのかという点は、投資家の皆様の大きな関心事項であると認識しています。そのような中で、我々のポートフォリオは、実際に金利上昇に打ち勝つ強固なポートフォリオとなっております。資料左側にある通り、1年前から継続保有する84 物件の実績を比較すると、デットコストの上昇をNOIの増加が大幅に上回り、約2%の内部成長を実現しています。こうした力強い内部成長を実現できる背景として、右側にある通りリース契約の更新時に、平均で6%台の力強い賃料増額を実現していることに加え、リース契約の期間中であっても、CPI 連動条項により6%近い賃料成長を実現しており、又、平均稼働率は99%を上回り、環境が変化する中でも、安定したポートフォリオを構築できているということが挙げられます。

続いて24年8月期のリーシングの実績について9頁に記載しております。24年8月期についても、賃料増額率は、改定対象面積ベースで5.8%の力強い賃料増額を記録しています。又、CPI連動条項により、契約期中での賃料上昇も着実に実現しており、旧契約17万m2でCPI による改定が5.6%と、物価上昇の追い風を受けた賃料増額を実現できています。

物件売却および自己投資口取得の実績について10頁をご覧下さい。直近約1年で6物件、合計180億円という規模での売却を実施し、鑑定評価額を平均で15%上回る価格での売却を実現しました。その6 物件の売却益は、分配金ベースで合計1,350円に上り、平均12%程度分配金を押し上げる結果となっております。又、売却により得られた手元資金を有効活用するため、足元の株価水準では自己投資口取得が最良の使い道だと考え、今回大規模に自己投資口取得を実施することとしました。昨年実施済みのものに加え、今回新たにJリート市場最大となる130億円の自己投資口取得を発表し、年間で168億円という大規模な自己投資口の取得を実施し、売却益の計上と合わせて、分配金の成長に繋げています。

新たなパイプライン物件の拡充について11頁をご覧ください。GLPグループが開発する、最新鋭の物流施設であるALFALINKシリーズの中で、今回新たに関西圏初のALFALINKシリーズとなる、ALFLINK茨城2の優先交渉権を取得しています。ALFALINK茨城は、アクセスと雇用確保に優れた立地に所在する物件で、その中でもALFALINK茨城2は大手3PL会社のトランコム社が、関西エリアでのハブ拠点として1棟利用する施設となります。こうした競争力のある最新鋭の物流施設の優先交渉権を確保することで、将来的な外部成長に繋げていきたいと考えております。

パイプラインの取得を通じた外部成長について、次の17頁をご覧ください。改めての紹介となりますが、本投資法人は、外部成長にあたりブリッジスキームを活用することで、柔軟なタイミングでの物件取得を可能としています。こうしたブリッジスキームを通じ、先ほど紹介しましたGLP ALFALINK茨城2を含む、最新鋭のALFALINKシリーズを3物件有するなど、現在、複数物件の優先交渉権を保有しております。今後も、スポンサーによる開発物件の取得機会は豊富に存在します。そのような中、足元の株価水準やパイプラインの溜まり具合も踏まえ、昨日、GLP狭山日高Ⅲ、GLP八尾Ⅰ、八尾Ⅱの優先交渉権の返上を発表しました。これを受けて、ブリッジスキームを通じて優先交渉権を有する物件は、現在7 物件となっており、全て100%稼働で本投資法人の外部成長を支える 盤石な土台となっています。

13頁では、投資主の裾野拡大に向けた取り組みについて紹介致します。日本の家計金融資産は2,000兆円を超える規模となる中、投資に回す資金は限定的で、政府は貯蓄から投資へのシフトを政策で後押ししている状況です。そのような中で、我々は、個人投資家の開発余地が大きいと考え、今回新たに映像メディアピボットに出演するなど、個人投資家をターゲットにした施策を実施しており、投資主の裾野拡大に力を入れている状況です。以上が今期行った取り組みとなります。

15頁以降では、今後の成長に向けた考え方について記載しています。はじめに、本投資法人のこれまでを振り返りたいと思います。本投資法人は、これまで一口当たり分配金や一口当たりNAVといった経営指標を重視し、去年11月に実施した自己投資口取得や、10期連続の物件売却などを含む、投資主価値の向上に資する施策を着実に実現してきました。それにより、一口当たり分配金、NAVは大きく成長してきましたが、投資口価格の水準やバリュエーションについては、本投資法人の潜在的な成長力と比べて、物足りない水準と認識しています。こうした現状認識に加え、変化する金融環境の中で、資本コストや株価を意識した経営の重要性が増していることも踏まえ、バリュエーションの早期回復を目指し、資本効率性を示す指標を新たな経営指標として設定することとしました 。

16頁をご覧ください。NAV倍率が1倍未満で推移する中、NAV倍率で1倍を超えるバリュエーションに回復させることが、マネジメントとして重要だと考えています。その回復のためには、本投資法人に期待されている、投資主資本コストを上回るリターンを生み出していくことが重要であり、J-REITに即した形での資本効率性の指標として、NAVに対する分配金総額で表せるDividend on NAV、DONAVを新たな指標とします。J-REITは配当が重視される投資対象であることから、エクイティ投資家が私たちに求める資本コストは、分配金利回りに現れていると考えています。私達の過去の配当利回りと10年国債の金利水準のスプレッドについて、過去10年を平均した数字を基に、足元の10年国債利回りの水準を加味した4.3%を、本投資法人に求められる足元の資本コストと想定しています。この水準を上回る4.5%のDONAVを、本投資法人の目標として設定し、この実現に繋がる施策を実行していくことにより、NAV倍率等のバリュエーション向上を実現していきたいと考えています。

17頁では、これまで行ってきた施策や、今後の成長戦略が各経営指標に与える効果について纏めています。夫々の戦略が、夫々の経営指標に与える影響を矢印で示して見ました。本投資法人の強みである内部成長戦略や継続的な物件売却戦略に加えて、自己投資口の取得やレバレッジの活用と、様々な戦略を組み合わせながら各指標の成長、向上を実現していきます。

これらの戦略の組み合わせを通じて、目指していく各経営指標の数値について18頁をご覧ください。DONAVは足元 2024年度の数字である3.9%、4.5%の水準へ、一口当たり分配金については足元の6,000円弱の年間実績値を7,000円へ、一口当たりNAVについては着実な成長を実現していきたいと考えています。

本投資法人の掲げる経営目標について説明致しましたが、改めて今後の成長戦略について説明します。20頁をご覧ください。冒頭にも申し上げた通り、2025年2月期の一口当たり分配金は、内部成長、物件売却等の施策を実行することで、当初予想24%上回る3,308円、2025年8月期の一口当たり分配金は、2,702円を見込んでございます。2期先の2025年8月期の水準については、物件売却益を計上しておらず保守的な水準となっています。

2025年2月期のリーシング状況について21頁をご覧ください。2025年2月期に満期を迎えるリースのうち、既に90%以上が内定済みであり、賃料総額は引き続き5から6%と高い水準での内部成長を見込んでいます。又、CPI連動条項による効果も5から6%を見込んでおり、満期更改における賃料成長、契約期中における賃料成長という両輪により、内部成長は一層加速する見込みです。

CPI連動条項については、今後のインパクトも含め22頁をご覧下さい。本投資法人の代表的なCPI連動条項、「3年ごとにコアCPIの上昇幅に応じて賃料改定が実施されるもの」となっております。左側のグラフに記載の通り、3年間でのコアCPIの上昇幅が6%であれば、賃料も6%成長する仕組みとなっております。決算期により、CPI連動条項の対象となる面積が変動するため、各決算期における寄与には変動があるものの、インフレが進展する環境の中、着実にCPI連動条項の効果が、本投資法人の内部成長に寄与してくるものと見込んでいます。

続いて物件売却について23頁をご覧ください。これまでも本投資法人は、10期連続で継続的に物件売却を実施しており、豊富な含み益を投資主へ還元するとともに、ポートフォリオの強化を実施してきました。本年については、これまでより規模を大きく4物件、137億円の売却を完了しましたが、今回新たに掲げた経営目標を達成すべく、年間で200億円程度の売却を新たな目標とします。物件売却で得た資金については、自己投資口取得に振り向けていくことで、より効率的な資本の活用を実施していきます。

次の24頁をご覧ください。左のグラフにある通り、物流不動産に対する期待キャップレートは引き続き低位で推移しています。一方で、物流J-REITのインプライドキャプレートは、取引キャップレートと比較して高い水準で推移しています。その差を投資主価値に取り込むべく、物件売却で得たキャッシュを、今回大規模な自己投資口の取得に充当することとしています。自己投資口の取得の規模は130億円、時価総額に対する割合は2%と、大規模な2回目の自己投資口の取得を実施し、投資主価値の向上を実現します

成長戦略の最後に、レバレッジの活用について説明します。25頁をご覧ください。日本の金利は上昇している環境下ではありますが、グローバルと比較しても、依然として日本の不動産のイールドスプレッドは魅力的な状況です。一方で、本投資法人の鑑定レバレッジは、J-REITやSINGAPORE-REITの平均と比較して低位な水準にあります。株式市場での資金調達が現在の投資口価格では困難な中、レバレッジを活用した物件取得や、自己投資口の取得におけるレバレッジの活用も選択肢として、一口当たり分配金やDONAVといった経営指標の向上を実現します。

本日の私からの説明は以上となります。今回新たにDONAVを経営目標として設定し、一口当たり分配金も含めて中期目標を設定しました。これまでも本投資法人は、掲げた戦略を着実に遂行することにより成長を実現しましたが、新たな中期目標についても一つ一つ施策を積み重ねて実現していきたいと考えています。
ご清聴、誠に有難うございました。